説明

シ―ルド形プラグ付ケ―ブル

【課題】携帯電話機等の高い周波数を使用する電子機器からの妨害電波を確実に防止し得るシールド形プラグ付ケーブルを提供することを目的とする。
【解決手段】同軸ケーブル1の端部にシールド形プラグ6を接続する。シールド形プラグ6は、プラグ本体9とその外側をシールドするシールドキャップ10からなり、プラグ本体9は、中心接触ピン11、円筒状の外部接触片12及び中心接触ピン11と外部接触片12との間を絶縁する絶縁体13により構成される。上記外部接触片12の一端には、半円状のケーブル取付片15を突出して設け、プラグ本体9を同軸ケーブル1に取付ける際、ケーブル取付片15を同軸ケーブル1の編組線4にカシメて取付ける。上記のようにシールドキャップ10を備えた同軸ケーブル1にシールド形プラグ6を取付けた後、その外側及び同軸ケーブル1との接続部分を合成樹脂により一体的にモールド加工する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、テレビジョン受信機に使用されるシールド形プラグ付ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家庭においては、各部屋の壁面等にTV用分岐端子を設け、屋外に設置したTVアンテナに同軸ケーブルを介して接続している。この場合、TV用分岐端子には、VHFアンテナ、UHFアンテナの他、BSアンテナ、CSアンテナ等により受信された信号が単独あるいはミキサーにより混合されて入力される。そして、上記TV用分岐端子と部屋内に設置したテレビジョン受信機のアンテナ端子との間をプラグ付ケーブルにより接続している。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記テレビジョン受信機のアンテナ端子とTV用分岐端子との間を接続するケーブルとしては、同軸ケーブルが使用され、家庭用電子機器等から出される電気的ノイズの影響を受けないようにしている。
【0004】
しかし、接続ケーブルのプラグ部分は、充分なシールドがなされておらず、家庭用電子機器等から出される低い周波数の影響はないが、高い周波数の電波に対しては影響を受け易くなっている。この高い周波数を使用する電子機器としては、近年、携帯電話機が急速に普及している。携帯電話機は、CS放送の周波数帯(1335MHz〜2150MHz)に含まれる1500MHz、1900MHz等の周波数を使用しており、CS放送の受信機能を備えたテレビジョン受信機に上記接続ケーブルのプラグ部分を介して影響を与える。例えば携帯電話機をテレビジョン受信機の近くで使用した場合に画面が乱れるなどの影響を与える。
【0005】
本考案は上記の課題を解決するためになされたもので、携帯電話機等の高い周波数を使用する電子機器からの妨害電波を確実に防止し得るシールド形プラグ付ケーブルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の考案に係るシールド形プラグ付ケーブルは、同軸ケーブルと、この同軸ケーブルの中心導体及び編組線に接続して設けられる直線型のプラグ本体と、このプラグ本体の外側に設けられ、上記編組線に電気的に接続されるシールドキャップと、このシールドキャップを含むプラグ本体外側及び上記同軸ケーブルとの接続部を一体的に樹脂加工してなるモールド部とを具備したことを特徴とする。
【0007】
第2の考案は、第1の考案におけるプラグ本体を、中心接触ピンと、ケーブル取付片を備えた円筒状の外部接触片と、この外部接触片に一体に設けられたケーブル取付片と、上記中心接触ピンと外部接触片との間を絶縁する絶縁体とにより構成したことを特徴とする。
【0008】
第3の考案に係るシールド形プラグ付ケーブルは、同軸ケーブルと、この同軸ケーブルの中心導体及び編組線に接続して設けられるL字型のプラグ本体と、このプラグ本体の外側に設けられ、上記編組線に電気的に接続されるシールドキャップと、このシールドキャップを含むプラグ本体及び上記同軸ケーブルとの接続部を一体的に樹脂加工してなるモールド部とを具備したことを特徴とする。
【0009】
第4の考案に係るシールド形プラグ付ケーブルは、同軸ケーブルと、この同軸ケーブルの中心導体及び編組線に接続して設けられるL字型のプラグ本体と、このプラグ本体と一体に設けられ、該プラグ本体と同軸ケーブルとの接続部をシールドするシールドキャップと、このシールドキャップを含むプラグ本体及び上記同軸ケーブルとの接続部を一体的に樹脂加工してなるモールド部とを具備したことを特徴とする。
【0010】
【考案の実施の形態】
以下、図面を参照して本考案の実施形態を説明する。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態は、本考案を直線型プラグに実施した場合の例を示したものである。図1(a)は本考案に係るシールド形プラグ付ケーブルの外観構成を示す図、図1(b)は同図(a)をプラグ側から見た図、図2は図1(a)を一部断面して示す図、図3はシールド形プラグの要部を断面して示す図である。
【0012】
図1〜図3において、1は同軸ケーブルで、中心導体2、絶縁体3、編組線(外導体)4及び外皮5からなり、上記同軸ケーブル1の端部にシールド形プラグ6が接続される。上記シールド形プラグ6の外側及び同軸ケーブル1との接続部には、モールド加工(樹脂加工)7が施される。この場合、外部接触片12の先端部は、相手機器に接続するためにモールド加工7は施していない。
【0013】
上記シールド形プラグ6は、プラグ本体9とその外側をシールドするシールドキャップ10からなっている。上記プラグ本体9は、中心接触ピン11、円筒状の外部接触片12、及び上記中心接触ピン11と外部接触片12との間を絶縁する絶縁体13により構成される。上記外部接触片12は、図4(a)、(b)に示すように例えば黄銅、銅合金等の金属板を円筒状に加工したもので、長手方向に沿ってスリット14を設けている。図4(a)は外部接触片12の一部を断面して示す正面図、同図(b)は同側面図である。また、上記外部接触片12の下部には、半円状のケーブル取付片15を突出して設けている。この場合、外部接触片12には、ケーブル取付片15を形成する部分にスリット16を設け、ケーブル取付片15の位置を同軸ケーブル1に合わせて調整できるようにしている。
上記プラグ本体9は、同軸ケーブル1に取付ける際、ケーブル取付片15を同軸ケーブル1の編組線4にカシメて取付ける。
【0014】
上記シールドキャップ10は、図5(a)、(b)に示すように黄銅、銅合金等を用いて円筒状に構成したもので、一方の端部を上記ケーブル取付片15の外側形状に合わせて小径に形成している。図5(a)はシールドキャップ10の断面図、同図(b)は小径部10a側から見た図である。
【0015】
そして、上記同軸ケーブル1にシールド形プラグ6を取付ける場合は、同軸ケーブル1の中心導体2を絶縁体3から一定長さ突出させると共に、外皮5を端部から所定の長さだけ取り去り、図3に示すように編組線4を折り返す。この編組線4の部分にシールドキャップ10を嵌めて所定位置より少し先までずらし、その後、上記編組線4の折り返し部分に外部接触片12のケーブル取付片15をカシメて取付ける。そして、中心導体2の先端をプラグ本体9の中心接触ピン11に半田付け加工18により電気的に接続する。その後、シールドキャップ10を外部接触片12の外側に重なるように移動し、図3に示すようにシールドキャップ10の下端部と編組線4の折り返し部とを半田付け加工19により、また、シールドキャップ10の上端部と外部接触片12とを半田付け加工20により電気的に接続する。
【0016】
上記のようにして同軸ケーブル1にシールド形プラグ6を取付けた後、図1及び図2に示すようにシールド形プラグ6の外側及び同軸ケーブル1との接続部分を合成樹脂により一体的にモールド加工し、シールド形プラグ6の強度、操作性及び美観の向上を図っている。
【0017】
上記実施形態で示したようにプラグ本体9の外側にシールドキャップ10を取付けてシールドすることにより、同軸ケーブル1への外部電波の進入を確実に防止できる。従って、上記シールド形プラグ付ケーブルをテレビジョン受信機に使用すれば、その近くで携帯電話機を使用しても、画面が乱れる等の影響を確実に阻止することができる。
【0018】
なお、上記実施形態では、プラグ本体9に中心接触ピン11を予め設けた場合について示したが、中心接触ピン11は予め設けずに、同軸ケーブル1の中心導体2をプラグ本体9の絶縁体13内を挿通させて中心接触ピンとしても良い。
【0019】
(第2実施形態)
次に本考案の第2実施形態について説明する。 この第2実施形態は、L字型プラグに実施した場合の例を示したものである。
図6(a)は本考案の第2実施形態に係るシールド形プラグ付ケーブルの外観構成を示す図、図6(b)は同図(a)をプラグ側から見た図、図7は図6(a)
を一部断面して示す図である。
【0020】
図6及び図7において、1は同軸ケーブルで、中心導体2、絶縁体3、編組線(外導体)4及び外皮5からなり、上記同軸ケーブル1の端部にL字状に形成されたシールド形プラグ21が接続される。上記シールド形プラグ21の外側及び同軸ケーブル1との接続部には、モールド加工22が施される。この場合、外部接触片32の先端部は、相手機器に接続するためにモールド加工22は施していない。
【0021】
上記シールド形プラグ21は、L字型プラグ本体23にシールドキャップ24を設けている。上記プラグ本体23は、中心接触ピン31、円筒状の外部接触片32、及び上記中心接触ピン31と外部接触片32との間を絶縁する絶縁体33により構成される。上記外部接触片32は、円筒状に形成されて周縁部の長手方向に沿ってスリット36が設けられると共に、基部にケーブル取付片34がL字形状に折り曲げられて設けられる。また、上記シールドキャップ24は、L字型プラグ本体23と同軸ケーブル1との接続部をシールドするように、外部接触片32の基部に一体的に形成されるが、その底部に円板状の底板35が設けられている。この円板状の底板35は、その周縁部の一部がシールドキャップ24の本体部分と一体に形成されており、図7に矢印aで示すようにシールドキャップ本体との連結部分において折り曲げ可能となっている。上記底板35は、最初は開いた状態となっている。
【0022】
そして、上記同軸ケーブル1にシールド形プラグ21を取付ける場合は、同軸ケーブル1の中心導体2を絶縁体3から一定長さ突出させると共に、外皮5を端部から所定の長さだけ取り去り、図7に示すように編組線4を折り返す。この編組線4の折り返し部分にL字型プラグ本体23のケーブル取付片34をカシメて取付ける。そして、中心導体2の先端をプラグ本体9の中心接触ピン11に半田付け加工41により電気的に接続する。上記半田付け加工41は、底板35を開いた状態で行ない、半田付け処理を行なった後に底板35を折り曲げてシールドキャップ24の底部を閉じる。また、上記シールドキャップ24と編組線4の折り返し部との接触部に半田付け加工42を行ない、電気的に接続する。
【0023】
上記のようにして同軸ケーブル1にL字形状のシールド形プラグ21を取付けた後、図6及び図7に示すようにシールド形プラグ21の外側及び同軸ケーブル1との接続部分を合成樹脂により一体的にモールド加工し、シールド形プラグ21の強度、操作性及び美観の向上を図っている。
【0024】
従来のL字型のプラグ付ケーブルでは、シールドキャップ24が設けられておらず、このため携帯電話機からの電波がL字型プラグ本体23内に進入してテレビジョン受信機に妨害を与えたが、本考案ではL字型プラグ本体23にシールドキャップ24を設けているので外部妨害電波の進入を確実に防止することができる。従って、第1実施形態と同様に、テレビジョン受信機の近くで携帯電話機を使用しても、画面が乱れる等の影響を確実に阻止することができる。
【0025】
なお、上記第2実施形態では、外部接触片32とシールドキャップ24を一体に形成した場合について示したが、シールドキャップ24を別体に形成して外部接触片32の外側に装着するようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0026】
【考案の効果】
以上詳記したように本考案によれば、テレビジョン受信機のアンテナ端子とTV用分岐端子との間を接続するプラグ付ケーブルにおいて、プラグ本体の外側、あるいはプラグ本体と一体的にシールドキャップを設けて外部電波をシールドするようにしたので、外部妨害電波の進入を確実に防止でき、テレビジョン受信機の近くで携帯電話機を使用しても、画面が乱れる等の影響を確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本考案の第1実施形態に係るシールド形プラグ付ケーブルの構成図、(b)は同図(a)のプラグ側から見た図。
【図2】同実施形態におけるシールド形プラグ付ケーブルの一部を断面して示す図。
【図3】同実施形態における要部の断面図。
【図4】(a)は同実施形態における外部接触片の一部を断面して示す正面図、(b)は同図(a)の一部(ケーブル取付片)を断面して示す側面図。
【図5】(a)は同実施形態におけるシールドキャップの断面図、(b)は同図(a)を小径部側から見た図。同実施形態におけるシールドキャップの構成を示す図。
【図6】(a)は本考案の第2実施形態に係るシールド形プラグ付ケーブルの構成図、(b)は同図(a)のプラグ側から見た図。
【図7】同実施形態におけるシールド形プラグ付ケーブルの一部を断面して示す図。
【符号の説明】
1 同軸ケーブル
2 中心導体
3 絶縁体
4 編組線
5 外皮
6 シールド形プラグ
7 モールド加工
9 プラグ本体
10 シールドキャップ
11 中心接触ピン
12 外部接触片
13 絶縁体
14、16 スリット
15 ケーブル取付片
18〜20 半田付け加工
21 シールド形プラグ
22 モールド加工
23 L字型プラグ本体
24 シールドキャップ
31 中心接触ピン
32 外部接触片
33 絶縁体
34 ケーブル取付片
35 底板
36 スリット
41、42 半田付け加工

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 同軸ケーブルと、この同軸ケーブルの中心導体及び編組線に接続して設けられる直線型のプラグ本体と、このプラグ本体の外側に設けられ、上記編組線に電気的に接続されるシールドキャップと、このシールドキャップを含むプラグ本体及び上記同軸ケーブルとの接続部を一体的に樹脂加工してなるモールド部とを具備したことを特徴とするシールド形プラグ付ケーブル。
【請求項2】 上記プラグ本体は、中心接触ピンと、ケーブル取付片を備えた円筒状の外部接触片と、この外部接触片に一体に設けられたケーブル取付片と、上記中心接触ピンと外部接触片との間を絶縁する絶縁体とから成ることを特徴とする請求項1記載のシールド形プラグ付ケーブル。
【請求項3】 同軸ケーブルと、この同軸ケーブルの中心導体及び編組線に接続して設けられるL字型のプラグ本体と、このプラグ本体の外側に設けられ、上記編組線に電気的に接続されるシールドキャップと、このシールドキャップを含むプラグ本体及び上記同軸ケーブルとの接続部を一体的に樹脂加工してなるモールド部とを具備したことを特徴とするシールド形プラグ付ケーブル。
【請求項4】 同軸ケーブルと、この同軸ケーブルの中心導体及び編組線に接続して設けられるL字型のプラグ本体と、このプラグ本体と一体に設けられ、該プラグ本体と同軸ケーブルとの接続部をシールドするシールドキャップと、このシールドキャップを含むプラグ本体及び該プラグ本体と上記同軸ケーブルとの接続部を一体的に樹脂加工してなるモールド部とを具備したことを特徴とするシールド形プラグ付ケーブル。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【登録番号】第3062286号
【登録日】平成11年(1999)7月7日
【発行日】平成11年(1999)9月28日
【考案の名称】シ―ルド形プラグ付ケ―ブル
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−1643
【出願日】平成11年(1999)3月18日
【出願人】(000006817)八木アンテナ株式会社 (2)