説明

シャッター

【課題】 強風時のシャッター板のばたつきを防止し、耐風性の向上を図る。
【解決手段】 建物の開口に設けられシャッター板12の両側端部を昇降自在に支持するガイドレール20を有するシャッター枠14と、このシャッター枠14の上部に設けられシャッター板12を巻取り収納するシャッターボックス13とを備え、前記シャッター板12は多数枚のスラット11のうちの閉鎖時の開口高さ方向中間領域に位置する何枚かは高強度スラット11Aとされ、シャッター板12の左右方向中間部の室内側に中柱100を立設し、この中柱100と前記高強度スラット11Aとの間に、中柱100と高強度スラット11Aに対して共に着脱自在に係合され且つ係合状態で中柱100に対して高強度スラット11Aを固定する固定部材200を設けている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャッターに係り、特に耐風性の向上を図ったシャッターに関する。
【0002】
【従来の技術】建物の窓や出入口等の開口に設けられるシャッターは、建物の開口に設けられシャッター板の両側端部を昇降自在に支持するガイドレールを有するシャッター枠と、このシャッター枠の上部に設けられシャッター板を巻取り収納するシャッターボックスとを備えている。
【0003】ところで、幅の広いタイプやサイズの大きいシャッターにおいては、台風のような強い風が吹くときには、風圧でシャッターが室内外側へ押されて、大きく撓むおそれがある。そこで、そのような強風のおそれのある場合には、シャッター板の左右方向中間部の室内もしくは室外側に中柱を立てて、室内側からシャッター板を補強するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記シャッターにおいては、単に室内側に中柱を立てるだけであったので、台風等の強風によりシャッター板がばたつくおそれがあった。
【0005】本発明は、前記事情を考慮してなされてもので、強風時のシャッター板のばたつきを防止することができ、耐風性の向上が図れるシャッターを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1に係る発明は、建物の開口に設けられシャッター板の両側端部を昇降自在に支持するガイドレールを有するシャッター枠と、このシャッター枠の上部に設けられシャッター板を巻取り収納するシャッターボックスとを備え、前記シャッター板は多数枚のスラットのうちの閉鎖時の開口高さ方向中間領域に位置する何枚かは高強度スラットとされ、シャッター板の左右方向中間部の室内側に中柱を立設し、この中柱と前記高強度スラットとの間に、中柱と高強度スラットに対して共に着脱自在に係合され且つ係合状態で中柱に対して高強度スラットを固定する固定部材を設けたことを特徴とする。
【0007】請求項2に係る発明は、建物の開口に設けられシャッター板の両側端部を昇降自在に支持するガイドレールを有するシャッター枠と、このシャッター枠の上部に設けられシャッター板を巻取り収納するシャッターボックスとを備え、前記シャッター板は多数枚のスラットのうちの閉鎖時の開口高さ方向中間領域に位置する何枚かは高強度スラットとされ、シャッター板の左右方向中間部の室内側に中柱を立設し、この中柱と前記高強度スラットとの間に、中柱と高強度スラットに対して共に着脱自在に係合され且つ係合状態で中柱に対して高強度スラットを固定する固定部材を設け、この固定部材は高強度スラットに左右方向にスライド自在に係合される共に、中柱の高さ方向の任意の位置に固定可能とされていることを特徴とする。
【0008】
【実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。図1はシャッターの概略構成を示す斜視図、図2はシャッター枠の分解斜視図である。
【0009】図1ないし図2に示すように、このシャッター10は、水平に細長いスラット11をよろい状に縦方向につないでなるシャッター板12と、建物の開口に設けられシャッター板12の両側端部を昇降自在に支持するガイドレール20を有するシャッター枠14と、このシャッター枠14の上部に設けられシャッター板12を巻取り収納するシャッターボックス13とから主に構成されている。
【0010】シャッター板12を構成するスラット11は、大半が鋼板の曲げ加工品よりなるものの、シャッター板12を閉じたときに高さ方向の中間領域に位置する何枚かは、アルミニウム形材(押し出し成形品)の高強度スラット11Aとされている。また、シャッター板12の先端部(下端部)には、このシャッター板12を先導するエンドスラット11Bが設けられている。
【0011】前記シャッターボックス13は、横長の箱状に形成されており、その内部にはシャッター板12を巻取るための巻取ドラム(図示されず)が設けられている。シャッターボックス13の下面は開口されており、この開口を塞ぐようにカバー材15が着脱自在に取付けられている。
【0012】前記シャッター枠14は、例えばアルミニウム合金の押出形材からなる上枠16、下枠17および左右の縦枠18,18により四方枠状に組立てられ、両縦枠18,18の室外面にガイドレール20が着脱可能に取付けられている。また、図示例のシャッター10は、サッシ50の室外側に設けられるタイプであり、シャッター枠14とサッシ枠51が一体に形成されたタイプとされているが、シャッター枠14の内側にサッシ枠51を別体で設けるタイプとされていてもよい。
【0013】サッシ枠51は、例えばアルミニウム合金の押出形材からなる上枠53、下枠54、および左右の縦枠60、60により四方枠状に組立てられている。このサッシ枠51は、建物の開口に取付けられる。また、サッシ枠51内には、図6に示すように、障子52a、52bが引き違いに開閉可能に設けられている。
【0014】ガイドレール20には、エンドスラット11Bの両側端部およびシャッター板12の両側端部を上下方向に昇降自在に案内するガイド溝21が設けられている。ガイドレール20は、例えばアルミニウム合金の押出形材からなり、断面略コ字状に形成されている。左右のガイドレール20、20は、ガイド溝21の開口部分を対向させた姿勢で、シャッター枠14の縦枠18(本実施の形態の場合、シャッター枠14とサッシ枠51が一体であるため、サッシ枠51の縦枠60といってもよい。)の室外面に着脱可能に取付けられている。なお、ガイドレール20は、シャッター枠14の縦枠18に一体形成されていてもよい。
【0015】図3は、台風等の強風時に必要に応じてシャッター板12の左右幅方向の中間位置に立設される中柱100と、高強度スラット11Aの関係を示す分解斜視図である。また、図4は中柱100の上端の係合構造、図5は中柱100の下端の係合構造を示す側面図である。
【0016】図3に示すように、中柱100は、例えばアルミニウム合金の押出形材からなり、その上下端にはサッシ枠14に対して着脱自在に固定するための係合金具110、120が設けられている。
【0017】中柱100は、図6に示すように、室外側に位置する外面板101と室内側に位置する内面板102を2枚の平行な連結板103、103でつないだ断面形状を備えており、2枚の連結板103、103と外面板101及び内面板102とで形成した閉じた矩形断面部105を有する。矩形断面部105より外側に突出した外面板101と内面板102との間には側溝104が形成されており、側溝104の内側面をなす外面板101の内面側には、長手方向に連続した係合溝106が形成されている。
【0018】中柱100の上端の係合金具110は、図4R>4に示すように、シャッター上枠16に裏板112とビス113により取付けたブラケット111に差し込み係合できるように構成され、下端の係合金具120は、いわゆる落し錠のようになっており、図5に示すように、シャッター下枠17に裏板122とビス123により取付けたブラケット121に差し込み係合できるようになっている。
【0019】このシャッター10は、このように立設した中柱100に対して、高強度スラット11Aを固定部材200により適宜固定できるようになっている。固定部材200は、図3および図6並びに図7に示すように、第1スライド板201と第2スライド板202とをスペーサ204を介して締付固定具であるビス203で連結したものである。
【0020】第1スライド板201は中柱100に係合されるもので、一端側に、中柱100の溝104に挿入されることで溝104内の係合溝106にスライド可能に係合する係合部であるフック部201aを有している。この第1のスライド板201の他端側が第2スライド板202にビス203で締付可能に連結されている。
【0021】第2スライド板202は、高強度スラット11Aの裏面溝11mにスライド可能に嵌合されるもので、単なる矩形板状をなしている。第2スライド板202を係合する対象の高強度スラット11Aの裏面部(室内面部)には、アリ溝形のスライド係合溝11mが長手方向(左右方向)に沿って形成されている。
【0022】また、高強度スラット11Aの裏面部には、固定部材200の第2スライド板202を挿入するための切欠部(挿入口)11cが設けられている。この切欠11cは、中柱100と干渉しない位置に設けられている。
【0023】前記固定部材200は、第2のスライド板202をシャッター板12の高強度スラット11Aのスライド係合溝11mに嵌めることにより左右方向にスライド移動することができ、また、第1のスライド板201のフック部201aを中柱100の側溝104から係合溝106の長手方向(高さ方向)の対応する任意の位置に係合させることができる。また、固定部材200は、第2のスライド板202と第1のスライド板201を予めビス203で緩く連結しておくことにより、中柱100の係合溝106に対する第1のスライド板201のフック部201aの挿入を容易に行うことができ、ビス203を工具(ドライバー)で締め付けることにより、第1のスライド板201と第2のスライド板202を互いに締付固定して、シャッター板12の高強度スラット11Aと中柱100を接合固定することができる。なお、中柱100の室外面には、軟質樹脂製の緩衝材107が設けられていることが好ましい。
【0024】次に、以上の構成からなるシャッターの作用を述べる。台風等の強風時には、まず、シャッター板12をシャッターヘッド13から巻き降ろして閉鎖し、シャッター板12の室内側に、上下端の係合金具110,120をシャッター枠14の上枠16および下枠17のブラケット111,121に係合させて中柱100を立設する。次いで、固定部材200の第2スライド板202を、高強度スラット11Aの裏面の切欠11cからスライド係合溝11mに嵌め込み、固定部材200を中柱100の近くまでスライドさせる。
【0025】次に、固定部材200のビス203を緩めた状態で、第1スライド板201のフック部201aを、中柱100の側面の側溝104から内部の係合溝106に係合させる。その状態で、ビス203を締めて第1スライド板201と第2スライド板202とを強く締結する。これにより、図6、図7に示すように、固定部材200を介して高強度スラット11Aを中柱100に固定することができ、強風によるシャッター12のばたつきを抑制ないし防止することができる。
【0026】この場合、鋼板製のスラット11ではなく、高強度スラット11Aを中柱100に固定するので、無理な変形を防止しながら、確実にシャッター12のばたつきを押さえることができる。また、装着当初に、固定部材200を、高強度スラット11Aおよび中柱100に対して自由にスライドできるように構成しているので、シャッター板12の寸法や中柱100の高さや位置によらず、固定部材200を用いてシャッター板12を確実に固定することができる。
【0027】以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。例えば、前記サッシ50は、引き違い式に限定されず、片引き式等であってもよい。固定部材200の形状や中柱100の断面形状は任意に変更することができる。固定部材200は、中柱100の左右の側溝104,104のいずれに係合させてもよい。
【0028】また、固定部材200を2個用いて、中柱100の左右の側溝104,104に固定部材200をそれぞれ係合させてもよい。中柱は、1本に限定されず、左右方向に適宜間隔で複数本立設してもよい。固定部材は、中柱の高さ方向に適宜間隔(高強度スラットの間隔)で複数使用してもよい。また、前記実施の形態では、シャッターがサッシと組み合わされているが、サッシと組み合わせないシャッター単体であってもよい。この場合、シャッター枠は、少なくとも上枠と左右の縦枠からなっていてもよい。シャッター枠が下枠を有しない場合には、中柱の下端をコンクリート基礎等に埋設したブラケットに係合固定すればよい。
【0029】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0030】(1)請求項1に係る発明によれば、建物の開口に設けられシャッター板の両側端部を昇降自在に支持するガイドレールを有するシャッター枠と、このシャッター枠の上部に設けられシャッター板を巻取り収納するシャッターボックスとを備え、前記シャッター板は多数枚のスラットのうちの閉鎖時の開口高さ方向中間領域に位置する何枚かは高強度スラットとされ、シャッター板の左右方向中間部の室内側に中柱を立設し、この中柱と前記高強度スラットとの間に、中柱と高強度スラットに対して共に着脱自在に係合され且つ係合状態で中柱に対して高強度スラットを固定する固定部材を設けているため、固定部材によりシャッター板を中柱に容易に固定することができ、台風等の強風時のシャッター板のばたつきを防止することができ、耐風性の向上が図れる。
【0031】(2)請求項2に係る発明によれば、建物の開口に設けられシャッター板の両側端部を昇降自在に支持するガイドレールを有するシャッター枠と、このシャッター枠の上部に設けられシャッター板を巻取り収納するシャッターボックスとを備え、前記シャッター板は多数枚のスラットのうちの閉鎖時の開口高さ方向中間領域に位置する何枚かは高強度スラットとされ、シャッター板の左右方向中間部の室内側に中柱を立設し、この中柱と前記高強度スラットとの間に、中柱と高強度スラットに対して共に着脱自在に係合され且つ係合状態で中柱に対して高強度スラットを固定する固定部材を設け、この固定部材は高強度スラットに左右方向にスライド自在に係合される共に、中柱の高さ方向の任意の位置に固定可能とされているためで、シャッター板のサイズや中柱の高さに関わらずに、固定部材によりシャッター板を中柱に容易に固定することができ、台風等の強風時のシャッター板のばたつきを防止することができ、耐風性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すシャッターの概略斜視図である。
【図2】図1のシャッターにおけるシャッター枠の分解斜視図である。
【図3】図2のシャッター枠に設けられる中柱と高強度スラットとの関係を示す分解斜視図である。
【図4】前記中柱の上端の係合構造を示す側面図である。
【図5】前記中柱の下端の係合構造を示す側面図である。
【図6】前記シャッターの横断面図である。
【図7】図6のA−A矢視断面図である。
【符号の説明】
11 スラット
11A 高強度スラット
12 シャッター板
13 シャッターボックス
14 シャッター枠
100 中柱
200 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 建物の開口に設けられシャッター板の両側端部を昇降自在に支持するガイドレールを有するシャッター枠と、このシャッター枠の上部に設けられシャッター板を巻取り収納するシャッターボックスとを備え、前記シャッター板は多数枚のスラットのうちの閉鎖時の開口高さ方向中間領域に位置する何枚かは高強度スラットとされ、シャッター板の左右方向中間部の室内側に中柱を立設し、この中柱と前記高強度スラットとの間に、中柱と高強度スラットに対して共に着脱自在に係合され且つ係合状態で中柱に対して高強度スラットを固定する固定部材を設けたことを特徴とするシャッター。
【請求項2】 建物の開口に設けられシャッター板の両側端部を昇降自在に支持するガイドレールを有するシャッター枠と、このシャッター枠の上部に設けられシャッター板を巻取り収納するシャッターボックスとを備え、前記シャッター板は多数枚のスラットのうちの閉鎖時の開口高さ方向中間領域に位置する何枚かは高強度スラットとされ、シャッター板の左右方向中間部の室内側に中柱を立設し、この中柱と前記高強度スラットとの間に、中柱と高強度スラットに対して共に着脱自在に係合され且つ係合状態で中柱に対して高強度スラットを固定する固定部材を設け、この固定部材は高強度スラットに左右方向にスライド自在に係合される共に、中柱の高さ方向の任意の位置に固定可能とされていることを特徴とするシャッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2001−220967(P2001−220967A)
【公開日】平成13年8月17日(2001.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−29040(P2000−29040)
【出願日】平成12年2月7日(2000.2.7)
【出願人】(000003724)トステム株式会社 (8)