説明

シャッタ

【課題】ガイドレールとシャッタ用開閉板との間の隙間を無くし、水漏れを防止して、遮音、遮光及び温調も優れたシャッタを提供する。
【解決手段】ヒンジ部材5の長手方向両端部に、ガイド溝23に接触して摺動する合成樹脂製の摺動部材6が固定される。摺動部材6は、ヒンジ部材5の長手方向端面に当接する当接面を有する板状の本体部61及び本体部61から突設する一対の突設部63,64を備える。突設部63,64の間にヒンジ部材5の端部を配置させる。突設部63,64におけるガイド溝23に接触する外面が円弧面に形成される。突設部63,64がヒンジ部材5の外面とオーバーラップしてシャッタ用開閉板3の両端面がガイド溝23内に配置され、シャッタ用開閉板3とガイド溝23との間の隙間が小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のガイドレール間にシャッタ用開閉板を摺動自在に保持するシャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備機械の開口部や投入取出し口、家具の開口部、構造物の出入り口等を開閉するシャッタは、一対のガイドレールと、これらガイドレールに摺動自在に保持されるシャッタ用開閉板とから構成される。そして、シャッタ用開閉板は、前記ガイドレールに沿って摺動できるように、通常は、複数の帯板状のスラットと、これらスラットを相互に屈曲自在に連結するヒンジ部材とを備える(特許文献1参照)。さらに、ヒンジ部材の両端部には、ローラ部材が取り付けられており、これらローラ部材をガイドレールに配置させることで、シャッタ用開閉板をガイドレールに沿って良好に摺動させるようになっている。
【0003】
従来のシャッタのシャッタ用開閉板100は、図10に示すように、帯状板からなる複数の合成樹脂製のスラット110の長辺部の相互を長尺なヒンジ部材120で屈曲可能に連結しており、各ヒンジ部材120の長手方向両端部にローラ部材130が取り付けられている。
【0004】
そして、ローラ部材130は、図9に示すように、ヒンジ部材120に形成されるネジ穴にネジ止めすることで、ヒンジ部材120の両端部に固定される。ローラ部材130は、ローラ本体131、ボルト132及びワッシャー133から構成される。ボルト132は、ネジ軸部134と、ネジ軸部134の端部に形成される頭部135と、この頭部135の先端から張り出す鍔部136とから構成される。頭部135は、ローラ本体131の中心孔137に嵌る大きさを有し、ローラ本体131は鍔部136により抜け止めされ、ワッシャー133は頭部135に当接するようになっている。
【0005】
ボルト132にローラ本体131を挿通させた後、ワッシャー133を挿通させることにより、鍔部136とワッシャー133との間にローラ本体131が回転可能に配置され、そのままボルト132をヒンジ部材120のネジ穴にネジ止めすることで、ローラ本体131が回転自在となるようにローラ部材130がヒンジ部材120に固定される。
【0006】
そして、図9に示すように、ローラ部材130をガイドレール140のガイド溝141に配置させて、ローラ部材130のローラ本体131を回転させることで、シャッタ用開閉板100がガイドレール140のガイド溝141に沿ってスムーズに摺動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−238924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来のシャッタにおいては、シャッタ用開閉板100をガイドレール140に沿ってスムーズに摺動させるためにローラ部材130を用いているが、ローラ部材130による摺動を良好に行なうためには、図9に示すように、ローラ本体131のローラ面全幅をガイド溝141の側面に接触させる必要があり、ローラ部材130はヒンジ部材120の端面からの突出量(図10においてbで示す長さ)が大きくなる。そのため、ガイド溝141の底面とシャッタ用開閉板100の端部との間隔(b)が大きくなってしまう。さらに、ガイド溝141の深さは少なくともローラ本体131のローラ幅が必要となり、ガイドレール140の大型化を阻止するためにガイド溝141の深さを最小限にすると、図9及び図10に示すように、ガイド溝141の開放端よりも外側にヒンジ部材120及びスラット110の端面が位置してしまう。以上の結果、ガイド溝141とシャッタ用開閉板100との間に大きな隙間が形成されてしまい、この隙間から、シャッタの内側に水が侵入したり、遮音、遮光、温調も良好に行なえないなどの問題が生じていた。
【0009】
なお、その他に、従来のローラ部材130では、ワッシャー133が金属製であり、このワッシャー133はスラット110の端面にも接触するため、ワッシャー133により合成樹脂製のスラット110の端面が削られて破損する虞があり、また、ローラ部材130のボルト132とワッシャー133は金属製なので錆が生じる虞もあり、クリーンな環境には対応できない問題もあった。
また、従来のローラ部材130は、ローラ本体131、ボルト132及びワッシャー133の三点から構成されるため、ローラ部材130をヒンジ部材120に固定するにあたり、部品点数が多いために取付作業が煩雑となり製造に多大な労力を有していた。
さらに、従来のローラ部材130は、ボルト132でヒンジ部材120に固定するため、組み付け時に締め付けトルクにばらつきが生じる虞があるのでトルク管理が非常に困難となるし、締め付け力が弱い場合には、ローラ部材130がヒンジ部材120から外れて、シャッタが損傷するおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、シャッタ用開閉板の端部とガイドレールとの間の隙間を小さくすることが可能なシャッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るシャッタは、
複数の帯板状のスラット相互を長尺なヒンジ部材によって屈曲自在に連結させたシャッタ用開閉板と、前記シャッタ用開閉板を摺動自在に保持するガイド溝が形成された一対のガイドレールとから構成されるシャッタにおいて、
ヒンジ部材の長手方向両端部には、ガイドレールのガイド溝に接触して摺動する合成樹脂製の摺動部材が固定されており、
前記摺動部材は、前記ヒンジ部材の長手方向端面に当接する当接面を有する板状の本体部と、この板状本体部の両端部に前記当接面から突設して前記ガイド溝の側壁に接触する一対の突設部とを備え、一対の突設部の間に前記ヒンジ部材の端部を配置させると共に、各突設部における前記ガイド溝の側壁に接触する外面が円弧面に形成されている。
【0012】
上記構成より、ガイドレールのガイド溝内に配置される摺動部材は、一対の突設部がシャッタ用開閉板のヒンジ部材の長手方向端部の外面とオーバーラップする。すなわち、前記ヒンジ部材及び前記スラットの長手方向両端面が前記ガイド溝内に配置された状態になる。従って、ガイド溝の底面とシャッタ用開閉板の端部との間隔を小さくすることができる。その結果、前記シャッタ用開閉板と前記ガイド溝との間の隙間を小さくすることができる。
【0013】
また、前記摺動部材は、合成樹脂製であり、しかも、前記一対の突設部の外面が円弧面に形成されているので、これら突設部の前記ガイド溝との接触面積を小さくできることから、前記ヒンジ部材に固定される前記摺動部材が前記ガイド溝に沿って円滑に摺動し、前記シャッタ用開閉板を前記ガイドレールに沿って円滑に移動させることができる。
【0014】
また、前記摺動部材は、合成樹脂材料のみで形成されているので、金属製のワッシャーを用いていた従来のローラ部材130に比べて前記スラットの摩耗を抑えて耐久性を向上でき、さらに金属製の部品を使用する必要がなくなりクリーンな環境での使用が可能となる。
【0015】
さらに、前記摺動部材を用いることにより、従来のローラ部材130を用いた場合に比べて部品点数を低減でき、前記ヒンジ部材へ組み付ける際のばらつきを減らして完成品の品質を安定させることができる。
【0016】
前記摺動部材が超高分子量ポリエチレンにより形成されていることが好ましい。
超高分子量ポリエチレンは、耐摩耗性に優れ、低温から高温領域まで広い範囲で高い衝撃強さを有し、自己潤滑性も有し、軽量で、寸法安定性が良い。従って、超高分子量ポリエチレンで形成された摺動部材は、摩耗による粉塵の発生が抑えられ、本シャッタのクリーンな環境での使用が可能となる。
【0017】
前記ヒンジ部材は、長手方向端部において開口する開口部を有し、
前記摺動部材は、前記本体部の当接面から突設する軸部が前記ヒンジ部材の開口部に圧入されるとともに、前記各突設部の内面が前記ヒンジ部材の外側面に圧接されて前記ヒンジ部材を挟持するように構成されていることが好ましい。
【0018】
これにより、前記ヒンジ部材の長手方向両端部に形成された開口部に摺動部材の軸部を圧入することで、摺動部材がヒンジ部材から外れ難くなり、さらに、摺動部材の一対の突設部によりヒンジ部材の長手方向端部を圧接状態で挟持するので、摺動部材はヒンジ部材に対して強固に固定される。従って、従来のようなローラ部材の外れに起因したシャッタの破損を防止することができる。
【0019】
前記摺動部材の少なくとも一方の突設部には、切欠部又は穴部が形成されていることが好ましい。
これにより、前記の切欠部又は穴部によって前記突設部が弾性変形し易くなるので、前記一対の突設部によるヒンジ部材の挟持力の安定性が向上される。その結果、ヒンジ部材に対し摺動部材が回転しようとしても、ヒンジ部材から摺動部材が外れるのを阻止することができる。
【0020】
前記摺動部材の軸部は、断面多角形形状に形成されていることが好ましい。
これにより、前記ヒンジ部材に形成する開口部の内面と前記軸部との接触面積を小さくできるので、軸部の開口部への挿入時の摩擦抵抗を小さくでき、ヒンジ部材に対して摺動部材を組み付け易くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るシャッタによれば、ガイドレールのガイド溝の底面とシャッタ用開閉板の端部との間隔を小さくして、シャッタ用開閉板とガイド溝との隙間を小さくすることができるので、水漏れ防止、遮音性、遮光性、温調効果の優れたシャッタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態におけるシャッタの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のシャッタに用いられるシャッタ用開閉板の断面図である。
【図3】ヒンジ部材とスラットとの連結状態を示す断面図である。
【図4】本実施形態のシャッタに用いる摺動部材の正面図である。
【図5】本実施形態のシャッタに用いる摺動部材の側面図である。
【図6】スラットが連結されたヒンジ部材に摺動部材が固定された状態を示す断面図である。
【図7】実施形態のシャッタに係るガイドレールにシャッタ用開閉板の端部が配置された状態を示す断面図である。
【図9】実施形態のシャッタに係るシャッタ用開閉板の部分平面図である。
【図8】従来のシャッタに係るガイドレールにシャッタ用開閉板の端部が配置された状態を示す断面図である。
【図10】従来のシャッタに係るシャッタ用開閉板の部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態によるシャッタは、例えば、工作機械や実験装置等の産業用又は家庭用の機械器具を収納する収納庫の開口部を開閉自在にするために使用される。
【0024】
シャッタ1は、図1に示されるように、湾曲部を有する一対のガイドレール2と、ガイドレール2相互間に摺動自在に保持されるシャッタ用開閉板3と、ガイドレール2を載置固定させるための矩形状の土台フレーム12とから構成されている。また、このシャッタ1の背面部には、シャッタ用開閉板3のストッパとしてガイドレール2相互を水平に架橋するサイドフレーム13が取付けられている。
【0025】
前記ガイドレール2は、図1に示されるように、アルミニウム製の直線状のストレート部材21と、アルミニウム製の円弧状のカーブ部材22とを連結させて形成されている。ガイドレール2には、図2及び図7に示すように、シャッタ用開閉板3を摺動自在に保持するガイド溝23が全長にわたって形成されている。
【0026】
シャッタ用開閉板3は、図1〜図3及び図6に示されるように、透明合成樹脂材料又はアルミニウム等の金属材料からなる帯板状のスラット4と、隣接するスラット4相互を屈曲自在に保持するヒンジ部材5と、前記ヒンジ部材5の長手方向端部に取付けられる摺動部材6とを備える。シャッタ用開閉板3の下端部には、シャッタ用開閉板3を開閉するための取手11が取付けられている。
【0027】
スラット4は、図3に示すように、両方の長辺部の縁部に、後述するヒンジ部材5の側溝51に形成された円弧突部53に回動自在に係合する断面半円状の凹条部41が形成されている。
【0028】
ヒンジ部材5は、図1〜図3に示すように、スラット4の長辺部と同じ長さを有するアルミニウム製の長尺体からなり、略矩形状の断面を有している。ヒンジ部材5の断面形状は、図2及び図3に示すように、ヒンジ部材5をガイドレール2のガイド溝23に配置させた状態において、ガイド溝23の溝幅方向の長さが、それと直交する方向の長さよりも長く、図3において上部から下部に向かって徐々に横幅が小さくなるように押出成形によって形成されている。
【0029】
図3において、ヒンジ部材5の上部には、隣接するスラット4をそれぞれ回動自在且つ抜け止め状態に保持する一対の側溝51が左右対称に形成されている。また、ヒンジ部材5の溝幅方向中心より下方には、円形の貫通孔52が形成されている。この貫通孔52のヒンジ部材5の長手方向端面の開口部が、後述する摺動部材6の軸部65が圧入される円形開口部52となる。
【0030】
側溝51は、スラット4を抜け止め状態に挿通保持するために、開放部の溝幅が奥部の溝幅よりも狭く、かつ、側溝51の最小幅がスラット4の板厚よりも小さくなっている。側溝51の奥部は、スラット4の端縁に形成された凹条部41を支点として、スラット4を揺動可能に収容できる大きさの溝幅を有している。さらに、側溝51の開放端部の下側には、スラット4の凹条部41が回動自在に係合する円弧突部53が形成されている。そのため、スラット4は、側溝51の長手方向の一端側から凹条部41を円弧突部53に合わせるようにして、ヒンジ部材5及びスラット4を長手方向に相互にスライド移動させながら、側溝51内に挿入される。
【0031】
また、側溝51における上側内面の傾斜角度をスラット4のヒンジ部材5に対する回動が所定範囲に制限される角度となるように設定しており、スラット4の過剰回動によるシャッタ用開閉板3の湾曲により、シャッタ用開閉板3がガイド溝23に引っ掛からないようにしている。
【0032】
ヒンジ部材5の長手方向端部に固定される摺動部材6は、耐摩耗性及び潤滑性に優れる超高分子量の合成樹脂材料で形成され、ガイドレール2のガイド溝23に接触して摺動するようになっている。本実施形態では、摺動部材6は、超高分子量ポリエチレンにより形成されている。超高分子量ポリエチレンは、耐摩耗性に優れ、低温から高温領域まで広い範囲で高い衝撃強さを有し、自己潤滑性も有し、軽量で、寸法安定性が良いので、摺動部材6の摩耗による粉塵の発生を抑えられる。
【0033】
摺動部材6は、図2、図4及び図5に示すように、ヒンジ部材5の長手方向端面に当接する当接面62を有する板状の本体部61と、摺動部材6をガイド溝23に配置させた時の本体部61における溝幅方向両端部からヒンジ部材5側に向かって突設する一対の突設部63,64と、板状本体部61の当接面62から突設され、ヒンジ部材5の円形開口部52に圧入される軸部65とを備える。
【0034】
これら突設部63,64は、図6及び図7に示すように、シャッタ用開閉板3の外面側に配置される薄肉の第1突設部63と、シャッタ用開閉板3の内面側に配置される厚肉の第2突設部64とから構成され、第1突設部63を弾性変形させて、これら突設部63,64の間にヒンジ部材5の端部を配置させるようになっている。
【0035】
これら突設部63,64におけるヒンジ部材5の外面と接触する内面は、ヒンジ部材5の外面の円弧面に沿う円弧状に形成されている。そして、摺動部材6は、これら突設部63,64の弾性変形により、ヒンジ部材5の上下両端部の外面に突設部63,64の内面が圧接して、ヒンジ部材5を挟持するようになっている。
【0036】
さらに、各突設部63,64及びこれら突設部63,64が延設される板状本体部61のガイド溝23の側壁に接触する外面も円弧状に形成されている。このようにガイド溝23と接触する外面を円弧面に形成することにより、突設部63,64の外面とガイド溝23の側壁内面との接触面積を小さくできるので、突設部63,64の摩擦抵抗が小さくなり、摺動部材6の摺動を円滑に行なえる。
【0037】
また、第1突設部63におけるヒンジ部材5と対向する内面の中央部には切欠部63aが形成されている。切欠部63aにより、第1突設部63のヒンジ部材5との接触面積を小さくするとともに、第1突設部63が弾性変形し易くなるので、突設部63,64によるヒンジ部材5の挟持がより安定したものとなる。なお、切欠部63aは、第1突設部63にだけ形成してもよいし、図4の二点破線の仮想線で示すように、第2突設部64に形成してもよい。さらに、第2突設部64の中央部には、切欠部63aと同様の効果を奏する穴部64aが形成されている。
【0038】
摺動部材6に形成する軸部65は、溝幅方向の中央部において本体部61の当接面62から突設され、断面がヒンジ部材5の円形開口部52に圧入可能な大きさの矩形状である四角柱状に形成されている。軸部65の外周の角部はヒンジ部材5の円形開口部52に沿うように円弧状に形成されている。また、軸部65の中心部には、軸部65を径方向に弾性変形し易くするための穴65aが形成されている。これにより、軸部65を円形開口部52に強固に圧入させることができる。なお、軸部65は、四角柱状に限らず断面多角形形状に形成することができる。
【0039】
軸部65は、矩形断面の対角線の長さがヒンジ部材5の円形開口部52の内径よりもやや大きく、軸部65を貫通孔52内に強制的に嵌め込むことにより、軸部65が円形開口部52内に圧入されて、摺動部材6がヒンジ部材5に保持される。
【0040】
本実施形態の摺動部材6は、ヒンジ部材5に形成された円形開口部52に軸部65を圧入すると共に、一対の突設部63,64によってヒンジ部材5を圧接状態で挟持するので、摺動部材6はヒンジ部材5に対して強固に固定される。このように、摺動部材6は、ヒンジ部材5に対してネジ止めするのではなく、軸部65を円形開口部52に圧入するとともに、突設部63,64によりヒンジ部材5を挟持するので、従来のローラ部材130のようにネジ止めによる締付トルク不足による問題を無くすことができ、シャッタ組立後の故障発生を抑制することができる。
【0041】
さらに、軸部65は、断面が矩形状の四角柱状に形成されているので、ヒンジ部材5の円形開口部52の内面との接触面積を小さくでき、軸部65の円形開口部52への挿入時の摩擦抵抗をできるだけ小さくして軸部65が円形開口部52へ挿入し易くなる。
【0042】
以上の構成のシャッタ1は、シャッタ用開閉板3の閉状態から取手11を把持してシャッタ用開閉板3を引上げると、ガイドレール2のガイド溝23に摺動部材6が接触して摺動することで、ヒンジ部材5を介して隣接するスラット4は、ガイド溝23内を移動する。
【0043】
図2及び図6に示すように、側溝51をヒンジ部材5の上部に偏って形成させると共に、ヒンジ部材5の上面とスラット4の表面との高低差が小さく、さらに、摺動部材6の第1突設部63の厚みも薄いので、シャッタ用開閉板3をガイド溝23に沿って移動させる際に、スラット4はガイド溝23の溝幅方向の外側に偏って移動されることとなる。そのため、湾曲部においてスラット4の表面がガイド溝23に引っ掛かりにくく、シャッタ用開閉板3をスムーズに開閉することができる。
【0044】
また、ヒンジ部材5の上面とスラット4の表面との高低差が小さいので、シャッタ用開閉板3の表面の凹凸が小さく平板に近くなりシャッタ1の外観にも優れる。
【0045】
本実施形態に係るシャッタ1は、摺動部材6の一対の突設部63,64の間にヒンジ部材5の長手方向端部を配置させてこれら突設部63,64によりヒンジ部材5を挟持すると共に、摺動部材6の軸部65をヒンジ部材5の円形開口部52に圧入して、ヒンジ部材5の長手方向両端面に摺動部材6の板状本体部61の当接面62を当接させることにより、1つの部材からなる合成樹脂製の摺動部材6をヒンジ部材5に簡単に固定することができる。
【0046】
さらに、図7及び図8に示すように、摺動部材6は、ガイド溝23と接触する突設部63,64がヒンジ部材5の長手方向端部の外面とオーバーラップする。これにより、シャッタ用開閉板3の端部とガイド溝23の底面との間隔を狭くすることができるので、摺動部材6は、ヒンジ部材5の長手方向端面からの突出量が本体部61の厚みだけでよくなり、この突出量が小さくなる(図8においてaで示す長さ)。その結果、ヒンジ部材5及びスラット4の長手方向両端面がガイド溝23内に配置された状態にでき、シャッタ用開閉板3とガイド溝23との間の隙間を小さくすることができるので、本実施形態のシャッタ1は、シャッタ1内部への水漏れを抑制することができ、遮音性、遮光性、保温効果に優れる。
【0047】
特に、摺動部材6は、耐摩耗性・潤滑性に優れる超高分子量ポリエチレンにより形成され、しかも、突設部63,64の外面を円弧面に形成して突設部63,64のガイド溝23との接触面積をできるだけ小さくしていることから、ローラでないにも関わらず、摩耗量が少なくヒンジ部材5に固定される摺動部材6をガイド溝23に沿って円滑に摺動させることができ、シャッタ用開閉板3をガイドレール2に沿って円滑に移動させることができる。さらに、摺動部材6は合成樹脂材料のみで形成されているので、金属製のワッシャーを用いていた従来のローラ部材130に比べてスラット4の摩耗を抑えて、シャッタ1の耐久性を向上できる。
【0048】
また、摺動部材6によってヒンジ部材5の側溝51の長手方向両端の開放部が閉塞されるので、スラット4が側溝51から長手方向に飛び出してシャッタ用開閉板3の両端縁部が不揃いになることも防止でき、シャッタ用開閉板3をスムーズにガイド溝23に沿って移動させることができる。
【0049】
なお、本発明のシャッタは上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態は例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。即ち、特許請求の範囲に記載の技術には、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【0050】
例えば、摺動部材6には軸部65を設けず、突設部63,64と当接面62とをヒンジ部材5に接着剤により接着することで、摺動部材6をヒンジ部材5に固定することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1 シャッタ
2 ガイドレール
3 シャッタ用開閉板
4 スラット
5 ヒンジ部材
6 摺動部材
23 ガイド溝
52 貫通孔(円形開口部)
61 本体部
62 当接面
63 第1突設部
63a 切欠部
64 第2突設部
65 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の帯板状のスラット相互を長尺なヒンジ部材によって屈曲自在に連結させたシャッタ用開閉板と、前記シャッタ用開閉板を摺動自在に保持するガイド溝が形成された一対のガイドレールとから構成されるシャッタにおいて、
ヒンジ部材の長手方向両端部には、ガイドレールのガイド溝に接触して摺動する合成樹脂製の摺動部材が固定されており、
前記摺動部材は、前記ヒンジ部材の長手方向端面に当接する当接面を有する板状の本体部と、この板状本体部の両端部に前記当接面から突設して前記ガイド溝の側壁に接触する一対の突設部とを備え、一対の突設部の間に前記ヒンジ部材の端部を配置させると共に、各突設部における前記ガイド溝の側壁に接触する外面が円弧面に形成されているシャッタ。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッタにおいて、
前記摺動部材は、超高分子量ポリエチレンにより形成されているシャッタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャッタにおいて、
前記ヒンジ部材は、長手方向端部において開口する開口部を有し、
前記摺動部材は、前記本体部の当接面から突設する軸部が前記ヒンジ部材の開口部に圧入されるとともに、前記各突設部の内面が前記ヒンジ部材の外側面に圧接されて前記ヒンジ部材を挟持するように構成されているシャッタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャッタにおいて、
前記摺動部材の少なくとも一方の突設部には、切欠部又は穴部が形成されているシャッタ。
【請求項5】
請求項3に記載のシャッタにおいて、
前記摺動部材の軸部は、断面多角形形状に形成されているシャッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−96162(P2013−96162A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240947(P2011−240947)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)