説明

シャッフルトランプカードおよびその製造方法

【課題】ゲームに先立ちゲーム主催者が長時間をかけてシャッフルを行う必要がなく、かつ、不正行為の入り込む余地のないシャッフルトランプカードを提供する。
【解決手段】所定数のデッキを構成するトランプカード12をシャッフル機によりシャッフルして得られる1組のシャッフルトランプカードセット1である。このシャッフルトランプカードセット1は、1組ずつ個別に包装されており、固有のシャッフルトランプIDをあらわすバーコード13aを印刷したシール13で封緘されている。シャッフルトランプIDは、そのトランプのシャッフルに関与したシャッフル機を特定可能な情報に関連付けてデータベースに登録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランプゲームに用いられるトランプカードに関し、特に、十分ランダムにシャッフルされた(切り混ぜられた)状態で個別包装されたシャッフルトランプカードと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポーカー、バカラ、ブリッジ、またはブラックジャック等の各種のトランプゲームにおいては、ディーラーが、1デッキもしくは複数デッキのトランプカードをカードシュータ等にセットし、そこから一枚ずつ繰り出して、ゲーム参加者にカードを配る。このとき、ゲームの公平性を担保するために、それらのカードはランダムに配られる必要があるので、ゲーム主催者は、カードシュータにセットする前に、トランプカードを十分にランダムにシャッフルしておかなければならない。
【0003】
なお、カードをシャッフルするための従来のカードシャッフル装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−198668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ゲーム主催者がゲームに先立ってシャッフルを行う場合、シャッフルに長い時間を要することがあり、ゲームの効率的な運用を妨げる要因となっていた。また、ゲームの主催者がシャッフルを行うと、カードの抜き差しや差し替え等の不正行為が行われる余地があるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであって、ゲームに先立ちゲーム主催者が長時間をかけてシャッフルを行う必要がなく、かつ、不正行為の入り込む余地のないシャッフルトランプカードおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明にかかるシャッフルトランプカードの製造方法は、所定数のデッキを構成するトランプカードをシャッフル機によりシャッフルして1組のシャッフルトランプを組むシャッフルステップと、前記シャッフルステップを経たシャッフルトランプを1組ずつ個別に包装する包装ステップと、前記シャッフルステップを行うシャッフル機のシャッフル完了の信号をもとに、前記シャッフルステップを経たシャッフルトランプの組毎に異なるシャッフルトランプIDを情報処理装置において作成するID生成ステップと、前記シャッフルトランプIDを、前記シャッフルトランプの包装にIDコードとして付与するID付与ステップと、前記シャッフルトランプIDを、当該シャッフルトランプIDが付与されたシャッフルトランプのシャッフルステップに関与したシャッフル機を特定可能な情報に関連付けてデータベースに登録するID登録ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ゲームに先立ち、ゲーム主催者が長時間をかけてシャッフルを行う必要がなく、かつ、不正行為の入り込む余地のないシャッフルトランプカードを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかるシャッフルトランプカードおよびその製造方法の一実施形態について説明する。
【0010】
図1(a)および(b)は、本発明の一実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット(個別包装済み)の外観を示す斜視図である。図1(a)および(b)に示すように、本実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット1は、紙箱11の中に十分にシャッフルされたトランプカード12が収納され、その蓋がシール13によって封緘されたものである。トランプカード12は、それが用いられるゲームの種類等に応じて、所定数のデッキ(例えば4デッキまたは8デッキ等)に構成されている。なお、この例では、紙箱による包装形態を例示しているが、包装の形態はこれに限定されない。例えば、プラスティック箱を用いることも可能である。また、箱に限らず、紙または樹脂フィルム等の包装紙によって包装され、シールで封緘された形態であっても良い。要は、ゲーム開始前に封が開けられて、カードの順番が並べ替えられたり、カードの挿入または抜き出しがなされたり、あるいは、カードに何らかの印が付けられたりといった不正行為が不可能な包装形態であれば良い。
【0011】
シール13には、バーコード13aおよび仕様表13bが印刷されている。バーコード13aは、後に詳述するが、シャッフルトランプカードセット1を個別に特定可能なID(シャッフルトランプID)を表している。仕様表13bは、必須ではないが、例えば、このトランプカードの製造番号、品番、品名、色、製造年月日等の任意の情報を記載することができる。
【0012】
図1(a)および(b)から分かるように、シャッフルトランプカードセット1は、紙箱11の蓋の開封口がシール13によって封緘されているので、このシャッフルトランプカードセット1を使用する際には、シール13を剥がすか破断しなければならない。なお、不正行為を防止するために、シール13は、一旦剥がすと元の状態に接着することができない材料で形成されているか、剥がそうとする外力が加わると少なくともその一部が破断される形態であることが好ましい。
【0013】
以上のとおり、本実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット1は、十分ランダムにシャッフルされたトランプカード12が、シール13によって封緘された個別の包装(紙箱11)に入れられているので、このシャッフルトランプカードセット1をゲームに使用する際は、紙箱11を開けてすぐにトランプカード12をカードシュータにセットすればよい。したがって、ゲーム主催者がトランプカードをシャッフルする手間を省くことができる。また、シャッフルする際に、トランプカードの抜き差しや差し替え等の不正行為が介在する余地がなくなる。
【0014】
次に、本実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット1の製造方法について説明する。
【0015】
本実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット1の製造工程においては、工程管理システムによって、受注から出荷まで一貫した工程管理がなされることが好ましい。この実施形態では、そのような工程管理システムを利用した製造工程について説明する。
【0016】
まず、顧客から受注した際に、シャッフルトランプカードセット1の製造者は、受注番号を起番して工程管理システムへ入力する。この受注番号の起番の方法および入力方法は任意であり、工程管理システムが受注番号の起番を自動的に行ってもよい。
【0017】
本実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット1は、従来のトランプカードと同じく、カード原紙の一面にスートとランクとを印刷し、裏面に絵柄を印刷し、印刷済みのカード原紙を切断機により個別のカードにカッティングする工程を経て作成されたトランプカードを用いて製造される。そして、そのトランプカードを、その用途(どのようなゲームに使用されるか)に応じて、所定数のデッキを構成する枚数分集めて十分にランダムにシャッフルし、個別包装して封緘したものが、上述のシャッフルトランプカードセット1である。
【0018】
カード原紙への印刷の前に、シャッフルトランプカードセット1の製造者は、原紙関連情報(例えば、メーカ、製品名、購入日、紙ロット番号等)を工程管理システムへ入力する。また、印刷工程においては、シャッフルトランプカードセット1の製造者は、印刷工程関連情報(印刷機番号、印刷日時、ロット番号等)を工程管理システムへ入力する。さらに、カッティング工程においても、シャッフルトランプカードセット1の製造者は、カッティング工程関連情報(切断機番号、印刷日時、ロット番号等)を工程管理システムへ入力する。このように、各工程で入力された情報のうち所要の情報が、後に説明するように、工程管理システムのデータベース上において、シャッフルトランプIDに関連付けられる。
【0019】
次に、シャッフル工程について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット1を製造する工程において、トランプカードをシャッフルする際に用いられるシャッフル機100の概略構成を示す図である。図2に示すように、シャッフル機100は、カードスタック101と、カードフィーダ102と、スライドレール103と、フィーダ移動ローラ104と、カード送り出しローラ105と、カメラ106(または後述するカードセンサ109)と、画像処理部108とを備えている。
【0021】
カードスタック101は、複数のポケット101a〜101gを備えている。なお、図2の構成においては、カードスタック101が7個のポケットを備えた構成を例示したが、ポケットの個数は任意である。各ポケット間には、可動式の仕切り板107a〜107fが設けられている。カードフィーダ102は、シャッフルすべきトランプカードをセットすると、その底部に設けられているカード送り出しローラ105が回転することに伴い、カードフィーダ102内の最下部にあるカードcが、カードフィーダ102の下部側面に設けられたカード送り出し口からカードスタック101へ向けて送り出される仕組みになっている。また、カードフィーダ102は、モータ(図示せず)等の駆動手段により駆動されるフィーダ移動ローラ104によって、スライドレール103に沿って鉛直方向(上下)にスライド移動可能に構成されている。
【0022】
上記の構成により、シャッフル機100は、ポケット101a〜101gのいずれかに対向する位置へのカードフィーダ102のスライド移動と、カードフィーダ102からポケットへのカードcの送り出しとを、交互に行う。なお、シャッフル機100は、カードフィーダ102をポケット101a〜101gのどれに対向する位置へ移動させるかを、乱数発生プログラム等を用いてランダムに決定する。これにより、カードフィーダ102にセットされたカードは、1枚ずつランダムな順序で、カードスタック101のポケット101a〜101gへ送り出される。そして、カードフィーダ102にセットされた全てのカードがカードスタック101に送り出されると、カードスタック101において、仕切り板107a〜107fがカードスタック101内部から退行することにより、ポケット101a〜101gのそれぞれに仕分けされたカードが、1つに積層された状態で、シャッフル機100から取り出される。ただし、上記の仕切り板107a〜107fの退行は必須ではなく、他の任意の代替手段を用いることができる。例えば、ロボットアーム等でポケット101a〜101gのそれぞれからカードを取り出す構成であっても良い。ここまでが、シャッフル機100によって行われる1回のシャッフル工程である。このシャッフル工程を経ることにより、カードフィーダ102にセットされた1組のトランプカードは、ある程度シャッフルされた状態となる。カードフィーダ102のスライド移動が高いランダム性を持って制御される場合は、シャッフル機100によって上記のシャッフル工程を1回行うだけでも、十分ランダムにシャッフルされたシャッフルトランプカードを組むことができる。ただし、このようなシャッフル工程を実行するシャッフル機100を複数台用いてシャッフル工程を複数回繰り返すことにより、シャッフルトランプカードにおけるカードの並びのランダム性を、さらに向上させることができる。
【0023】
なお、カードフィーダ102において、トランプカードは、表面(スートとランクが印刷された面)が下方(カメラ106側)を向くようにセットされる。カメラ106は、カードフィーダ102からカードスタック101へカードcが送り出される毎に当該カードcの画像を撮影する。撮影された画像は、画像処理部108へ送られる。各シャッフル機100におけるカメラ106および画像処理部108の機能は、以下に説明するように、製造ラインにおける当該シャッフル機100の位置によって異なる。
【0024】
図3は、本実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット1の製造ラインの一部を示す模式図である。この製造ラインは、上記の構成を有するシャッフル機100を、複数台連続して並べたものである。なお、図3においては、シャッフル機100が3台(シャッフル機100a〜100c)並べられた製造ラインを例示するが、シャッフル機100の台数は3台に限定されず、これよりも少なくても良いし、多くても良い。シャッフル機100aは、図2に示されたとおりの構成であるが、シャッフル機100b,100cは、カメラ106の代わりにカードセンサ109を備えている。カードセンサ109は、センサ上を通過するカードの枚数をカウントする機能を有している。
【0025】
図3に示すように、所定数のデッキを構成する1組のトランプカードが、まず、シャッフル機100aのカードフィーダ102にセットされる。そして、シャッフル機100aにおいて上述のシャッフル工程が行われた1組のトランプカードは、シャッフル機100bのカードフィーダ102にセットされる。そして、シャッフル機100bで上述のシャッフル工程が行われた1組のトランプカードは、さらにシャッフル機100cのカードフィーダ102にセットされる。なお、シャッフル機100a〜100cにおいて、カードフィーダ102のスライド移動は互いに独立して制御される。このように、シャッフル機100a〜100cによる複数回のシャッフル工程を経ることにより、トランプカードの並びのランダム性は、さらに向上する。
【0026】
また、シャッフル機100aにおいては、カメラ106が撮影したカード表面の画像は、このシャッフル機100a〜100cを含む製造ラインを管理する工程管理システムの画像処理部108において、画像解析処理により、カードフィーダ102からカードスタック101へ送り出されるカードのスートおよびランクが検出される。すなわち、シャッフル機100aにおいて、カードフィーダ102からカードスタック101へカードが送り出される毎に、そのカードのスートおよびランクが検出され、カードフィーダ102にセットされた1組のカードの全てがカードスタック101に送り出された時点で、当該1組のカードに含まれているべきスートとランクの組み合わせに過不足がないかが確認される。例えば、1組のカードが6デッキで構成されている場合、当該1組のカードには、スートとランクとの組み合わせが同じカードが6枚含まれているはずである。ここで、スートとランクの組み合わせに過不足があった場合は、当該1組のカードは不良品として廃棄される。なお、画像処理部108では、スートとランクの確認に加えて、各カードの汚れの有無、切断状態の良否、裏柄のデザイン等を検査し、各カードが所定の規格に合ったものであるか否かも検査し、不良があったカードの組は廃棄される。
【0027】
2回目以降のシャッフル工程を行うシャッフル機100b,100cにおいては、カードセンサ109が設けられ、カードセンサ109上を通過したカードの枚数をカウントする。このように、シャッフル機100b,100cにおいては、シャッフルすべき1組のカードの枚数を確認し、最終製品におけるカードの過不足を検査している。また、初回のシャッフル工程を行うシャッフル機100aにおいては、図4に示すように、カードの裏面(絵柄の面)がカメラ106に向くようにミラー110を設けるか、またはカードの裏面を撮影するもう1台のカメラ(図示せず)を設けて、カードの両面を同時に検査することが好ましい。
【0028】
なお、最終シャッフル工程を行うシャッフル機100cにおいてシャッフルが完了すると、シャッフル機100cは、シャッフル完了信号を出力する。そして、工程管理システムは、このシャッフル完了信号を検知すると、最終シャッフル工程を経て完成された1組のシャッフルトランプに付与すべきシャッフルトランプIDを生成する。このシャッフルトランプIDは、シャッフルトランプカードセット1のそれぞれに対して固有のIDとして生成される。工程管理システムは、生成したシャッフルトランプIDを、工程管理システムのデータベース上で、当該データベースに格納されている生産関連情報のうち所定の情報に関連付ける。なお、シャッフルトランプIDと関連付けられる情報の種類や容量は任意であるが、シャッフル工程に関与した製造ラインまたはシャッフル機を特定する情報は特に重要である。
【0029】
すなわち、本実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット1の製造者は、複数の製造ラインを有する場合、各製造ラインに対して、固有の製造ラインIDをあらかじめ付与しておく。そして、工程管理システムは、シャッフルトランプIDを生成した際に、生成したシャッフルトランプIDを、そのシャッフルトランプの製造に関与した製造ラインの製造ラインIDと関連付けて、データベースへ登録する。なお、このように製造ライン単位のIDに限らず、シャッフル機のそれぞれにあらかじめシャッフル機IDを付与し、シャッフル工程に関与した全てのシャッフル機IDに関連付けて、シャッフルトランプIDをデータベースへ登録することとしても良い。
【0030】
このように、シャッフルトランプカードセット1のシャッフルトランプIDと、当該シャッフルトランプカードセット1の製造に関与した製造ラインまたはシャッフル機のIDとを関連付けてデータベースへ登録することにより、次のような利点がある。
【0031】
例えば、シャッフルトランプカードセット1を購入した顧客が、購入したカードに何らかの不良があったことに気付いた場合に、当該顧客は、シャッフルトランプカードセット1の製造者にシャッフルトランプIDを知らせる。これにより、製造者は、このシャッフルトランプIDに基づいてデータベースを検索することにより、不良が生じた可能性がある製造ラインまたはシャッフル機を特定することができる。このような場合、製造者は、同じ時期に同じ製造ラインまたはシャッフル機にて製造されたシャッフルトランプカードセット1について顧客に注意を喚起したり、必要な場合には、製品の破棄を依頼したりまたは製品を回収したりするといった対策をとることもできる。また、製造者は、特定された製造ラインまたはシャッフル機を検査することにより、不良品の再発を防ぐことができる。
【0032】
また、納品の際に、納品対象のシャッフルトランプカードセット1に関するデータ(シャッフルトランプIDおよびこれに関連付けられた情報)をデータベースから可搬型の記憶媒体へダウンロードし、この記憶媒体を添付して顧客へ納品しても良い。なお、データベースから記憶媒体へのダウンロードデータのデータ構造(フォーマット)は、顧客のコンピュータにおいて参照可能であることを条件として、任意である。この場合、顧客側において、例えばカードの折れ曲がり等の不良を発見した場合に、不良があったシャッフルトランプカードセット1のシャッフルトランプIDに基づいて、この記憶媒体上のデータを検索することができる。また、その検索結果に基づいて、同じ製造ラインまたはシャッフル機が関与しているシャッフルトランプカードセット1を破棄する等の対策をとることが可能となる。また、顧客への納品物の中に、不正目的のシャッフルトランプカードセット1が混入していたとしても、顧客側で、記憶媒体に格納されているシャッフルトランプIDと納品物のシャッフルトランプIDとを照合チェックすることにより、納品時に提供された記憶媒体内に存在しないシャッフルトランプIDを有するシャッフルトランプカードセット1があることが判明すれば、そのシャッフルトランプカードセット1が不正目的で混入されたものであると判断できる。これにより、第三者による不正品の混入が防止できる。
【0033】
なお、上記の実施形態においては、製造ラインIDまたはシャッフル工程を行ったシャッフル機IDをシャッフルトランプIDに関連付けてデータベースへ記憶する例を示したが、シャッフルトランプIDに含めるべき情報はこれに限定されない。例えば、上記の実施形態では、シャッフル機100にカメラ106が内蔵され、シャッフルと同時に、画像処理部108の画像解析処理によって、カードが揃っているか否かを検査する例を示した。しかし、変形例として、それぞれのシャッフル工程の後に、カメラ106および画像処理部108を含む検査機を設け、シャッフル機100a〜100cによってシャッフルが完了したカードをこの検査機に投入することにより、全てのカードが揃っているか否かを検査する構成としても良い。この場合、検査機にあらかじめ検査機IDを付与しておき、それぞれのシャッフルトランプカードセット1に対して付与するシャッフルトランプIDとして、この検査機IDを含めるようにしても良い。
【0034】
また、その他にも、印刷工程に関与した印刷機のID、カッティング工程に関与した切断機のID、包装工程に関与した包装機のID、原紙のロット番号、製造日、製造日時、カードの品種を表すID、顧客ID等の様々な情報をシャッフルトランプIDに含めることが可能である。この場合、これらの情報を、当該情報が含まれたシャッフルトランプIDに関連付けてデータベースへ登録すればよい。
【0035】
また、上記の実施形態においては、シャッフルトランプIDをバーコードとして印刷したシール13によって紙箱11を封緘する例を示した。しかし、本発明の実施態様はこれに限定されない。シャッフルトランプIDを、いわゆるQRコード等の二次元マトリックスコードとして包装に付与しても良い。また、シャッフルトランプIDを、封緘シール以外の箇所に記録することも可能である。すなわち、包装に直接にまた、シャッフルトランプIDを記録する製法を採用しても良い。例えば、レーザ光を照射すること等により、シャッフルトランプIDを包装に付与することが可能である。また、シャッフルトランプIDを、PFIDまたはRFID(いわゆるICタグ)として包装に添付することも好ましい。
【0036】
さらに、本実施形態においては、1つのシャッフルトランプセット1に対して1つのシャッフルトランプIDを付与する例を示したが、例えば、複数のシャッフルトランプセット1をカートン詰めし、カートン毎に固有のIDを付与しても良い。あるいは、複数カートンを輸送するためのコンテナ毎に固有のIDを付与しても良い。このような場合も、それぞれのIDをデータベースに登録することにより、後日に何らかの不良が発見された場合に、当該IDに基づいてデータベース検索を行うことにより、不良があった製品の製造および流通履歴を把握することができる。
【0037】
例えば、カートン詰め工程においては、シャッフルトランプセット1の所定数の箱が1カートンに詰められるが、このとき、カートン内のシャッフルトランプセット1のバーコード13aをバーコードリーダで読み取ることにより、1つのカートンに詰められたシャッフルトランプセット1のシャッフルトランプIDを、工程管理システムのデータベースへ容易に登録することができる。また、1カートン内の全てのシャッフルトランプセット1のバーコード13aの読み取りが完了すると、工程管理システムは、カートンを特定するID(カートンID)を生成し、このカートンIDを表すバーコードをシールに印刷するようにしてもよい。このシールをカートンに貼り付けることにより、カートン単位での管理が可能となる。なお、生成されたカートンIDは、そのカートンに詰められたシャッフルトランプセット1のシャッフルトランプIDと関連付けて、データベースに登録される。
【0038】
同様に、所定数のカートンを1パレットに搭載し、複数パレットをコンテナに詰める際に、1パレットに搭載されている全てのカートンから、前記のカートンIDをバーコードリーダで読み取り、読み取ったカートンIDをパレットを特定するID(パレットID)に関連付けて、工程管理システムのデータベースへ登録しても良い。このとき、1パレット内の全てのカートンからのバーコード読み取りが完了すると、工程管理システムは、パレットを特定するID(パレットID)を生成し、このパレットIDを表すバーコードをシールに印刷する。このシールをパレットに貼り付けることにより、パレット単位での管理が可能となる。パレットをコンテナに積み込む際に、このパレットのバーコードを利用することにより、どのコンテナにどのパレットが積み込まれたかを記録することができる。
【0039】
なお、このようにコンテナへの積み込みが完了すると、パレット単位またはコンテナ単位で、出荷情報(顧客名、出荷日、仕向け先、運送会社、便の種類等)が工程管理システムへ入力される。
【0040】
以上のとおり、シャッフルトランプIDの包装だけではなく、カートンやパレット等にもカートンIDやパレットIDを添付することにより、カートン単位、パレット単位での管理が可能となる。すなわち、例えば、ある1つのシャッフルトランプセット1に何らかの不具合が発見された場合、そのシャッフルトランプセット1のシャッフルトランプIDに基づいて、当該シャッフルトランプセット1が入っていたカートン、パレット、コンテナのIDをデータベースから検索することができる。そして、不具合があったシャッフルトランプセット1の入っていたカートン、パレット、コンテナ単位での廃棄処分を行うことも可能となる。
【0041】
また、上記の実施形態において例示したシャッフル機100はあくまでも一例であり、シャッフル機の具体的構成は上記の例のみに限定されない。例えば、上記においては、カードフィーダ102がスライド移動する構成を示したが、カードフィーダ102は固定されており、カードスタック101がカードフィーダ102に対して相対的にスライド移動する構成であっても良い。また、カードフィーダ102からカードを送り出す構成についても、上述したような送り出しローラに限定されず、例えばロボットアームのような機構によってカードが取り出される構成としても良い。
【0042】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、以下の付記事項にも及ぶ。
【0043】
[付記1]
原紙の一面にトランプカードのランクおよびスートを印刷する表面印刷ステップと、
原紙の他の面に裏絵柄を印刷する裏面印刷ステップと、
前記表面印刷ステップおよび裏面印刷ステップの両方を経た印刷済みのカード原紙を切断機により個別のトランプカードにカッティングするステップと、
前記カッティングするステップにおいて切断された個別のトランプカードを所定数のデッキを構成するように集めてシャッフルしシャッフルトランプを組むシャッフルステップと、
前記シャッフルステップで組まれた個別のシャッフルトランプを包装する包装ステップと、を含む製造工程を有し、
前記シャッフルステップを行うシャッフル機のシャッフル完了の信号をもとに、前記シャッフルされた個別のシャッフルトランプ毎に異なるシャッフルトランプIDを情報処理装置において作成し、
このシャッフルトランプIDを前記個別のシャッフルトランプの包装にIDコードの形式で付与するID付与ステップを含み、
前記IDコードで表された前記シャッフルトランプIDが、対応する前記個別のシャッフルトランプのシャッフルステップに関与したシャッフル機の情報もしくはこのシャッフル機を含む前記製造工程に関与した生産ラインに関する情報に関連付けられてデータベースが構成され、前記シャッフルトランプIDをもとにして、前記個別のシャッフルトランプを構成する個別のトランプカードの製造工程におけるシャッフルステップに関与したシャッフル機もしくは前記シャッフル機を含む生産ラインが特定可能なように前記データベースが構成されていることを特徴とする、トランプカードの製造方法。
【0044】
[付記2]
原紙の一面にトランプカードのランクおよびスートを印刷する表面印刷ステップと、
原紙の他の面に裏絵柄を印刷する裏面印刷ステップと、
前記表面印刷ステップおよび裏面印刷ステップの両方を経た印刷済みのカード原紙を切断機により個別のトランプカードにカッティングするステップと、
前記カッティングするステップにおいて切断された個別のトランプカードを所定数のデッキを構成するように集めてシャッフルしシャッフルトランプを組むシャッフルステップと、
前記シャッフルステップ中もしくはシャッフルステップの後に、前記シャッフルトランプを構成する所定数のデッキの個別のトランプカードが所定枚数そろっていることを検査機により検査する検査ステップと、
前記シャッフルステップで組まれた個別のシャッフルトランプを包装する包装ステップと、を含む製造工程を有し、
前記検査ステップにおける検査機による検査合格の信号をもとに、前記シャッフルされた個別のシャッフルトランプ毎に異なるシャッフルトランプIDを情報処理装置において作成し、
このシャッフルトランプIDを前記個別のシャッフルトランプの包装にIDコードの形式で付与するID付与ステップを含み、
前記前記シャッフルトランプIDが、対応する前記個別のシャッフルトランプの前記検査ステップに関与した検査機もしくは当該検査機を含む製造工程に関与した生産ラインに関する情報に関連付けられてデータベースが構成され、前記シャッフルトランプIDをもとにして、前記個別のシャッフルトランプを構成する個別のトランプカードの製造工程における検査ステップに関与した検査機もしくは前記検査機が属する生産ラインが特定可能なように前記データベースが構成されていることを特徴とする、トランプカードの製造方法。
【0045】
[付記3]
前記表面印刷ステップおよび裏面印刷ステップの少なくとも一方の印刷を行った印刷機を特定するデータが情報処理装置に入力されるステップをさらに含み、
前記個別のシャッフルトランプの前記製造工程を行う前記生産ラインに関する情報には、前記印刷機を特定するデータが含まれ、前記シャッフルトランプIDをもとにして、前記個別のシャッフルトランプを構成する個別のトランプカードの生産ラインにおける前記印刷機が特定可能なように前記データベースが構成される、付記1または2に記載のトランプカードの製造方法。
【0046】
[付記4]
前記個別のシャッフルトランプの製造工程を行う前記生産ラインに関する情報には、前記表面印刷ステップまたは裏面印刷ステップの対象となる原紙のロット番号が含まれ、前記個別のシャッフルトランプを特定する前記シャッフルトランプIDをもとにして、前記個別のシャッフルトランプを構成する個別のトランプカードに対応する前記ロット番号が特定可能なように前記データベースが構成される、付記1または2に記載のトランプカードの製造方法。
【0047】
[付記5]
前記個別のシャッフルトランプを構成する所定数のデッキの数は1から10のいずれかであることを特徴とする、付記1から4の何れかに記載のトランプカードの製造方法。
【0048】
[付記6]
前記個別のシャッフルトランプが包装された状態のシャッフルトランプ複数個を、搬送箱に梱包する工程をさらに含み、前記搬送箱は個別に異なる搬送箱データが作成され、前記搬送箱の表面には対応する搬送箱データがIDコードで付与される工程をさらに含み、前記搬送箱内のシャッフルトランプを特定する前記シャッフルトランプIDと前記搬送箱データとが関連付けられて前記データベースに含まれる、付記1から5の何れかに記載のトランプカードの製造方法。
【0049】
[付記7]
前記IDコードは、前記シャッフルトランプIDで特定される前記シャッフルトランプについての製造日、製造日時、品種および顧客に関する情報の内いずれかをさらに含むことを特徴とする、付記1から6のいずれかに記載のトランプカードの製造方法。
【0050】
[付記8]
前記シャッフルトランプIDを表すIDコードはバーコードの形式で対応するシャッフルトランプの包装に付されている、付記1から7のいずれかに記載のトランプカードの製造方法。
【0051】
[付記9]
前記シャッフルトランプIDを表すIDコードはQRコード(二次元マトリックスコード)の形式で対応するシャッフルトランプの包装に付されている、付記1から7のいずれかに記載のトランプカードの製造方法。
【0052】
[付記10]
前記シャッフルトランプIDを表すIDコードはPFIDの形式で対応するシャッフルトランプの包装に付されている、付記1から7のいずれかに記載のトランプカードの製造方法。
【0053】
[付記11]
前記シャッフルトランプIDを表すIDコードはICタグの形式で対応するシャッフルトランプの包装に付されている、付記1から7のいずれかに記載のトランプカードの製造方法。
【0054】
[付記12]
原紙の一面にトランプカードのランクおよびスートを印刷する表面印刷ステップと、
原紙の他の面に裏絵柄を印刷する裏面印刷ステップと、
前記表面印刷ステップおよび裏面印刷ステップの両方を経た印刷済みのカード原紙を切断機により個別のトランプカードにカッティングするステップと、
前記カッティングするステップにおいて切断された個別のトランプカードを集めてシャッフルし所定数のデッキからなるシャッフルトランプを組むシャッフルステップと、
前記シャッフルステップで組まれた個別のシャッフルトランプを包装する包装ステップと、を含む製造工程により製造され、
前記シャッフルステップにおけるシャッフルステップ完了の信号をもとに作成された個別のシャッフルトランプ毎に異なるシャッフルトランプIDが対応する前記個別のシャッフルトランプの包装に付されており、
前記シャッフルトランプIDは、対応する前記個別のシャッフルトランプの前記シャッフルステップに関与したシャッフル機の情報もしくはこのシャッフル機を含む製造工程に関与した生産ラインに関する情報に関連付けられて構成されたデータベースを用いて、前記個別のシャッフルトランプを構成する個別のトランプカードの製造工程におけるシャッフルステップに関与したシャッフル機もしくは前記シャッフル機を含む生産ラインが特定可能なように構成されていることを特徴とする、シャッフルトランプカード。
【0055】
[付記13]
原紙の一面にトランプカードのランクおよびスートを印刷する表面印刷ステップと、
原紙の他の面に裏絵柄を印刷する裏面印刷ステップと、
前記表面印刷ステップおよび裏面印刷ステップの両方を経た印刷済みのカード原紙を切断機により個別のトランプカードにカッティングするステップと、
前記カッティングするステップにおいて切断された個別のトランプカードを集めてシャッフルし所定数のデッキからなるシャッフルトランプを組むシャッフルステップと、
前記シャッフルステップ中もしくはシャッフルステップの後に、前記シャッフルトランプを構成する所定数のデッキにおいて個別のトランプカードが所定枚数そろっていることを検査機により検査するシャッフルトランプの検査ステップと、
前記シャッフルステップで組まれた個別のシャッフルトランプを包装する包装ステップと、を含む製造工程により製造され、
前記検査ステップにおける検査機の検査合格の信号をもとに作成された個別のシャッフルトランプ毎に異なるシャッフルトランプIDが対応する前記個別のシャッフルトランプの包装に付されており、
前記シャッフルトランプIDは、対応する前記個別のシャッフルトランプの前記検査ステップに関与した検査機もしくは当該検査機を含む前記製造工程に関与した生産ラインに関する情報に関連付けられて構成されたデータベースを用いて、前記個別のシャッフルトランプを構成する個別のトランプカードの製造工程における検査ステップに関与した検査機もしくは前記検査機が属する生産ラインが特定可能に構成されていることを特徴とする、シャッフルトランプカード。
【0056】
[付記14]
前記IDコードは、前記シャッフルトランプIDで特定される前記シャッフルトランプについての製造日、製造日時、品種および顧客に関する情報の内いずれかをさらに含むことを特徴とする、付記12または13に記載のシャッフルトランプカード。
【0057】
[付記15]
前記所定数のデッキの数は1から10のいずれかであることを特徴とする、付記12から14のいずれかに記載のシャッフルトランプカード。
【0058】
[付記16]
前記シャッフルトランプIDを表すIDコードはバーコードもしくは二次元マトリックスコード(QRコードなど)の形式で対応するシャッフルトランプの包装に付されている、付記12から15のいずれかに記載のトランプカードの製造方法。
【0059】
[付記17]
前記IDコードがラベルに印刷され、このラベルが前記シャッフルトランプの包装に付けられることを特徴とする、付記16に記載のシャッフルトランプカード。
【0060】
[付記18]
前記IDコードがレーザ光により個々のシャッフルトランプの包装に付されることを特徴とする、付記16に記載のシャッフルトランプカード。
【0061】
[付記19]
前記シャッフルトランプIDを表すIDコードはPFIDの形式で対応するシャッフルトランプの包装に付されている、付記12から15のいずれかに記載のトランプカードの製造方法。
【0062】
[付記20]
前記シャッフルトランプIDを表すIDコードはICタグの形式で対応するシャッフルトランプの包装に付されている、付記12から15のいずれかに記載のトランプカードの製造方法。
【0063】
[付記21]
前記個々のシャッフルトランプの包装には開封されたことを知るためのシールが付されている、付記12から20のいずれかに記載のシャッフルトランプカード。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(a)および(b)は、本発明の一実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット(個別包装済み)の外観を示す斜視図である
【図2】本発明の一実施形態にかかるシャッフルトランプカードセットの製造工程において、トランプカードをシャッフルする際に用いられるシャッフル機の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるシャッフルトランプカードセットの製造ラインの一部を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるシャッフル機の概略構成の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 シャッフルトランプカードセット
11 紙箱
12 トランプカード
13 シール
13a バーコード
13b 仕様表
100 シャッフル機
101 カードスタック
102 カードフィーダ
103 スライドレール
104 フィーダ移動ローラ
105 カード送り出しローラ
106 カメラ
101a〜101g ポケット
107a〜107g 仕切り板
108 画像処理部
109 カードセンサ
110 ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数のデッキを構成するトランプカードをシャッフル機によりシャッフルして1組のシャッフルトランプを組むシャッフルステップと、
前記シャッフルステップを経たシャッフルトランプを1組ずつ個別に包装する包装ステップと、
前記シャッフルステップを行うシャッフル機のシャッフル完了の信号をもとに、前記シャッフルステップを経たシャッフルトランプの組毎に異なるシャッフルトランプIDを情報処理装置において作成するID生成ステップと、
前記シャッフルトランプIDを、前記シャッフルトランプの包装にIDコードとして付与するID付与ステップと、
前記シャッフルトランプIDを、当該シャッフルトランプIDが付与されたシャッフルトランプのシャッフルステップに関与したシャッフル機を特定可能な情報に関連付けてデータベースに登録するID登録ステップとを含むことを特徴とする、シャッフルトランプカードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−24603(P2011−24603A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306173(P2007−306173)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000103301)エンゼルプレイングカード株式会社 (13)