説明

シュレッダ

【課題】細断処理時に投入口から外部に漏れる騒音を抑制して小さくすることができるようにする。
【解決手段】挿入通路7の中間部に、投入口6の縁と、挿入通路7のケース本体2内に開口する縁とを結ぶ直線を遮るようにした屈曲部7bを設け、被細断物Aが挿入通路7内を閉塞しつつ進むようにして、細断処理で発生する騒音が、挿入通路7を通って外部に漏れるのを抑制しうるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙・書類等の紙葉状の被細断物を細断処理するシュレッダに係り、特に、細断処理時に、投入口から外部に漏れる音を抑制することができるようにしたシュレッダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシュレッダは、特許文献1に開示されているように、ケース本体の上面に被細断物を投入する投入口が設けられている。ケース本体の内部には、互いに噛合しつつ回転する複数のカッタを設けた1対の細断ローラを有する細断部と、被細断物を投入口から1対の細断ローラのカッタ噛み合い部に向かって案内するための、投入口からカッタ噛み合い部に向かって下降傾斜する挿入通路とが設けられている。
【0003】
従来のシュレッダの挿入通路は、投入口からカッタ噛み合い部に向けて、ほぼ直線状に形成されている。
【特許文献1】特許第3236584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されているシュレッダにおいては、挿入通路が、投入口からカッタ噛み合い部に向けて、ほぼ直線状に形成されているので、この挿入通路を通って、ケース本体内において細断処理時に発生する作動音が、外部に漏れ、騒音の原因となっている。
【0005】
本発明は、上述のような従来の課題を解決するためになされたものであって、細断処理時に投入口から外部に漏れる騒音を抑制することができるようにしたシュレッダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)ケース本体の上部に、投入口から投入された紙葉状の被細断物を細断部に案内する挿入通路を設けたシュレッダにおいて、前記挿入通路の中間部に、前記投入口の縁と、挿入通路のケース本体内に開口する縁とを結ぶ全ての直線を遮るようにした屈曲部を設ける。
【0007】
(2)上記(1)項において、挿入通路を、投入口から細断部の上方に向かって下降傾斜する第1通路部と、この第1通路部の終端から、屈曲部を介して、さらに前記細断部に向けて下向き傾斜する第2通路部とで形成する。
【0008】
(3)上記(2)項において、挿入通路を、第1通路部の上面を形成する第1ガイド面と第2通路部の上面を形成する第2ガイド面とが屈曲部において連設された上部ガイド板と、第1通路部の下面を形成する第1ガイド面と第2通路部の下面を形成する第2ガイド面とが屈曲部において連設された下部ガイド板とにより形成し、上部ガイド板の第1ガイド面と下部ガイド板の第1ガイド面とは、互いに平行とし、かつ上部ガイド板の第2ガイド面と下部ガイド銀の第2ガイド面とは、細断部に向かって互いに拡開させる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、挿入通路内を通って細断部に向かう被細断物は、挿入通路内の屈曲部において、挿入通路を斜めに遮り、挿入通路を塞ぐようにして進むので、挿入通路が被裁断物により閉塞される。これにより、細断部が被細断物を細断処理しているときに発生する騒音が、挿入通路から外部に漏れるのが大幅に抑えられ、騒音を少なくすることができる。
また、被裁断物を挿入通路に挿入していないときにも、挿入通路が屈曲しているので、ケース本体内の作動音等が、挿入通路を直進して、外部に漏れることはなく、一度は挿入通路を形成する面に反射して減衰させられるので、騒音防止効果が得られる。
【0010】
請求項2記載の発明によると、挿入通路を、投入口から細断部の上方に向かって下降傾斜する第1通路部と、この第1通路部の終端から、屈曲部を介して、さらに前記細断部に向けて下向き傾斜する第2通路部とを有するものとしてあるので、音漏れの少ない挿入通路が簡単に得られるとともに、被細断物を無理なく、円滑に細断部に導くことができる。
【0011】
請求項3記載の発明によると、第2通路部が細断部に向かって拡開するようにしてあるので、異常発生時に、細断部を逆転作動させた際に、細断途中の被裁断物を、第2通路部の開口縁に引っ掛けることなく、円滑に挿入通路から外部に引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のシュレッダの一実施形態を示す斜視図、図2は、同じく、縦断側面図、図3は、同じく、投入口における挿入通路を形成する上下ガイド板による作動状態を概略的に示す要部拡大縦断側面図である。
【0013】
このシュレッダ(1)は、図1及び図2に示すように、前後寸法が短く、左右寸法が長い縦長の有底箱状体からなるケース本体(2)を備えている。このケース本体(2)は、上面と前面とが開放し、内部は、上下に収容空間(2a)(2b)が区画形成されている。
【0014】
ケース本体(2)内の上部収容空間(2a)には、細断ユニット(3)が取外し可能に組付けられている。細断ユニット(3)は、前部に操作パネル(4)を設けた上面カバー(5)を有し、この上面カバー(5)の上面ほぼ中央部には、紙・書類等の被細断物(A)が投入される投入口(6)が設けられている。この投入口(6)には、ケース本体(2)の後方に向けて所定の角度で下降傾斜する挿入通路(7)が続いている。
【0015】
挿入通路(7)は、上下1対のガイド板(8)(9)により形成されており、第1通路部(7a)と、この第1通路部(7a)の下端に、屈曲部(7b)を介して連設された第2通路部(7c)とからなっている。
【0016】
上側ガイド板(8)は、上面カバー(5)に固定されており、図3に示すように、第1通路部(7a)の上面となる第1ガイド面を形成する基端部(8a)と、第2通路部(7c)の上面となる第2ガイド面を形成する先端部(8b)とを有し、先端部(8b)は、第1通路部(7a)から第2通路部(7c)に向けて挿入されて来る被細断物(A)の先端を下方に向けて案内する目的と、能力以上の硬い物、例えばプラスチック板や金属板等が挿入されたとき、その挿入を抑止する目的で、挿入通路(7)の屈曲部(7b)を形成するように、下方に向けて屈曲または湾曲させてられている。
【0017】
下側ガイド板(9)は、第1通路部(7a)の下面となる第1ガイド面を形成する基端部(9a)と、第2通路部(7c)の下面となる第2ガイド面を形成する先端部(9b)とを有し、投入口(6)側の端部(9c)が軸(10)をもって上面カバー(5)に枢着され、先端部(9b)側が下方に傾動自在に取り付けられている。なお、下側ガイド板(9)の先端部(9b)は、上側ガイド板(8)の先端部(8b)と協働して、第2通路部(7a)が後下方に向かって拡開するように、ほぼ真下に向かって垂下するように屈曲させられている。
【0018】
下側ガイド板(9)は、上側ガイド板(8)との間に、数枚の紙類を重ねた状態で挿入可能な挿入通路(7)を形成するための間隔(a)を確保するように、基端部(9a)が上側ガイド板(8)の基端部(8a)と平行に配置され、この間隔(a)を維持するように、板ばね(11)により、上向きに付勢されている。また、下面側には、投入口(6)から挿入通路(7)の間隔(a)以上の異物や厚紙等の厚い物が挿入され、下側ガイド板(9)が板ばね(11)の付勢力に抗して下方(矢印方向)に傾動したとき、この傾動による下側ガイド板(9)の移動を検知する、リミットスイッチからなる厚物検知センサ(12)が設けられている。
【0019】
挿入通路(7)の下方には、後部と前部の1対の細断ローラ(13a)(13b)が、互いに噛合せた状態で配設されている。ここで、細断ローラ(13a)(13b)間の噛み合い部(B)と挿入通路(7)との関係は、図3に示すように、上側ガイド板(8)の先端部(8b)から真っ直ぐ斜め後下方に向かって延びる延長線(C1)が、噛み合い部(B)の中心に対して、わずかの距離(x)だけ後方に変位するように設定してある。
【0020】
細断ローラ(13a)(13b)は、図3に示すように、回転軸(14a)(14b)に等間隔に円盤状のカッタ(15a)(15b)が列設して取り付けられたものである。各カッタ(15a)(15b)の外周面には、複数の刃(16)と切欠凹部(17)とが、回転方向に向かって交互に繰り返すようにして設けられている。なお、各回転軸(14a)(14b)でのカッタ(15a)(15b)の刃(16)及び切欠凹部(17)の向きは、図2及び図3に示すように、互いに逆になっている。
【0021】
1対の回転軸(14a)(14b)は、図4に示すように、一方の回転軸(14a)のカッタ列におけるカッタ(15a)(15a)間に、他方の回転軸(14b)のカッタ列におけるカッタ(15b)(15b)の刃(16)を交互に入り込ませて、互いに平行に配設され、上面カバー(5)の下方に配設した正逆転可能のモータ(18)に連動して、互いに逆方向に回転する。そして、モータ(18)が正転駆動されると、両列の互いに隣接するカッタ(15b)(15b)同士が摺り合わされた状態で互いに逆方向に回転し、被細断物(A)の細断が行われるようになっている。
【0022】
ケース本体(2)内の下部収容空間(2b)には、細断部から排出される細断屑を収容する屑収容箱(C)が、前面の開口部(2c)から出し入れ可能に収容されている。下部収容空間(2b)の底部上面には、リミットスイッチからなる屑収容箱検知センサ(19)が設置されており、この屑収容箱検知センサ(19)は、屑収容箱(C)が定位置に位置しているか否かを検知する。
【0023】
ケース本体(2)の径上部には、第1の転倒検知センサ(20a)が、同じく、底面中央には、第2の転倒検知センサ(20b)がそれぞれ設置され、第1の転倒検知センサ(20a)は、例えば、内蔵したフォトセンサがボールの転動によりON/OFFするようにした非接触型の振子型スイッチのような僅かな、振動や衝撃で作動する高精度で信頼性の高いセンサからなり、ケース本体(2)の初期転倒状態を検知する。一方、第2の転倒検知センサ(20b)は、例えばロッドセンサからなり、ケース本体(2)が、例えば約20度以上傾斜したときに作動し、これらの組合せによりケース本体(2)の転倒を正確に検知するようになっている。
【0024】
ケース本体(2)の前面には、扉(21)が開閉自在に設けられており、この扉(21)の開閉状態は、ケース本体(2)の扉ヒンジ部(21a)近傍に設けたリミットスイッチからなる扉開検知センサ(22)により検知されるようになっている。この扉開検知センサ(22)は、扉(21)の開状態で、駆動部のモータ(18)の作動を停止し、扉(21)の閉状態では、モータ(18)の駆動を許容するように作動する。
【0025】
投入口(6)における挿入通路(7)の間口幅方向には、図1に示すように、被細断物(A)の挿入状態を検知する左右1対の用紙センサ(23)(23)が設置されている。各用紙センサ(23)は、図2及び図3に示すように、上側ガイド板(8)と下側ガイド板(9)とに、互いに対向するように設けられた投光素子(24a)と受光素子(24b)とからなっている。
【0026】
操作パネル(4)上には、図1に示すように、スタート/リスタート釦(25a)、リバース釦(25b)、ストップ釦(25c)等のボタンスイッチ類(25)や、電源のON/OFF、運転中または停止中、厚物有り、屑収容箱満杯、開扉・屑収容箱なし、モータ過熱等を表示するLED表示ランプ群(26)が設けられている。
【0027】
次に、動作を説明する。
投入口(6)から被細断物(A)が投入されると、これが2個の用紙センサ(23)(23)により検知され、モータ(18)が正転させられ、細断ローラ(13a)(13b)が回転させられる。
投入口(6)から投入された被細断物(A)は、図3中に、矢印(D)で示すように、投入口(6)では、下側ガイド板(9)上を滑りながら第1通路部(7a)内を進む。先端が第2通路(7c)内に到達すると、上側ガイド板(8)の先端部(8b)に当接し、その後、その先端部(8b)の下面に摺接しつつ、第2通路部(7b)内を後下方に向かって進む。第2通路部(7b)を出ると、そのまま噛み合い部(B)に向かって進み、噛み合い部(B)に入ると、カッタ(15a)(15b)により、細断が行われる。
【0028】
したがって、被細断物(A)は、投入口(6)が設けられた第1通路部(7a)側では、投入口(6)の縁となる下側ガイド板(9)の上面に接し、排出側では上側ガイド板(8)の上面に接した状態で挿入通路(7)内を湾曲しつつ進む。すなわち、挿入通路(7)内を被細断物(A)が湾曲して閉塞する形で送られるので、細断ローラ(13a)(13b)の細断処理で発生する音が、挿入通路(7)を通って外部に漏れるのを抑制することができ、騒音の少ないシュレッダが得られる。
【0029】
また、細断部である細断ローラ(13a)(13b)に、最大細断枚数を超えて被細断物(A)が投入され、細断部が過負荷状態になる等の異常事態が発生し、そのことをセンサが感知して、オートリバースさせられるときには、被裁断物(A)は、細断部から第2通路部に向かって戻される。このとき、上側ガイド板(8)の先端部(8b)と下側ガイド板(9)の先端部(9b)とが、細断部に向かって互いに拡開していることにより、被細断物(A)は、第2通路部(7b)の開口縁に引っ掛かることなく、円滑、かつ簡単に投入口から取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のシュレッダの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同じく、縦断側面図である。
【図3】同じく、投入口における挿入通路を形成する上下ガイド板による作動状態を概略的に示す要部拡大縦断側面図である。
【図4】同じく、1対の細断ローラを示す図である。
【符号の説明】
【0031】
(1)シュレッダ
(2)ケース本体
(2a)上部収容空間
(2b)下部収容空間
(2c)開口部
(3)細断ユニット
(4)操作パネル
(5)上面カバー
(6)投入口
(7)挿入通路
(7a)第1通路部
(7b)屈曲部
(7c)第2通路部
(8)上側ガイド板
(8a)基端部
(8b)先端部
(9)下側ガイド板
(9a)基端部
(9b)先端部
(9c)端部
(10)軸
(11)板ばね
(12)厚物検知センサ
(13a)細断ローラ
(13b)細断ローラ
(14a)回転軸
(14b)回転軸
(15a)カッタ
(15b)カッタ
(16)刃
(17)切欠凹部
(18)モータ
(19)屑収容箱検知センサ
(20a)第1の転倒検知センサ
(20b)第2の転倒検知センサ
(21)扉
(21a)扉ヒンジ部
(22)扉開検知センサ
(23)用紙センサ
(24a)投光素子
(24b)受光素子
(25)スイッチ類
(25a)スタート/リスタート釦
(25b)リバース釦
(25c)ストップ釦
(26)LED表示ランプ群
(A)被細断物
(B)噛み合い部
(C)屑収容箱
(D)矢印
(a)間隔
(x)ずれ量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体の上部に、投入口から投入された紙葉状の被細断物を細断部に案内する挿入通路を設けたシュレッダにおいて、
前記挿入通路の中間部に、前記投入口の縁と、挿入通路のケース本体内に開口する縁とを結ぶ全ての直線を遮るようにした屈曲部を設けたことを特徴とするシュレッダ。
【請求項2】
挿入通路は、投入口から細断部の上方に向かって下降傾斜する第1通路部と、この第1通路部の終端から、屈曲部を介して、さらに前記細断部に向けて下向き傾斜する第2通路部とを有していることを特徴とする請求項1記載のシュレッダ。
【請求項3】
挿入通路を、第1通路部の上面を形成する第1ガイド面と第2通路部の上面を形成する第2ガイド面とが屈曲部において連設された上部ガイド板と、第1通路部の下面を形成する第1ガイド面と第2通路部の下面を形成する第2ガイド面とが屈曲部において連設された下部ガイド板とにより形成し、上部ガイド板の第1ガイド面と下部ガイド板の第1ガイド面とは、互いに平行とし、かつ上部ガイド板の第2ガイド面と下部ガイド面の第2ガイド面とは、細断部に向かって互いに拡開させたことを特徴とする請求項2記載のシュレッダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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