説明

シリアルインターフェース回路設定方法及び応答制御データ設定方法

【課題】各被制御機器とコントローラ間のシリアルインターフェース回路の設定及び応答制御データの設定が簡単にできる設定方法を提供する。
【解決手段】シリアルインターフェース回路の選択設定を、アプリケーションソフトにより行なうため、切換え設定するために必要であった切換えスイッチを省略できる。コントローラ2に接続される被制御機器についてのシリアルインターフェース回路の選択設定をデータベース26により管理することができ、誤設定を回避することが可能になる。送受信データ及びパラメータ情報を設定ソフトにより設定できるから、プログラム作成能力を有しない者でも、コントローラに接続される被制御機器の応答制御をカスタマイズすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被制御機器と、該複数の被制御機器を接続して所定の制御プログラムに基きシリアル通信により制御信号を送出し、各被制御機器の作動を制御するコントローラとからなる制御システムに対するシリアルインターフェース回路の設定方法及び応答制御データ設定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の被制御機器と、該複数の被制御機器を接続して所定の制御プログラムに基きシリアル通信により制御信号を送出し、各被制御機器の作動を制御するコントローラとからなる従来の制御システムでは、各被制御機器とコントローラ間のシリアルインターフェース回路の設定は、切換えスイッチにより切換えて設定していた。また、各被制御機器とコントローラ間の応答制御データである送受信データ及びパラメータ情報の設定は、コントローラがCPUを組み込んだものである場合は、各被制御機器に対応した設定プログラムを作成して設定していた。
【0003】
上記切換えスイッチにより各被制御機器とコントローラ間のシリアルインターフェース回路の設定は誤設定の虞がある。また、異なる被制御機器が接続された場合、送受信データ及びパラメータ情報の設定はプログラム作成能力を有する者しかできなかった。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、各被制御機器とコントローラ間のシリアルインターフェース回路の設定及び応答制御データの設定が簡単にできる設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための請求項1に記載のシリアルインターフェース設定方法は、複数の被制御機器と、該複数の被制御機器を接続して所定の制御プログラムに基き制御信号を送出し、各被制御機器の作動を制御するコントローラ間のシリアル通信に必要な通信規格を予め登録したデータベースと、該データベースから各被制御機器に対応した通信規格を読み出し、各被制御機器毎にシリアルインターフェース回路を選択設定し、該各設定情報を前記データベースに登録するとともに、前記コントローラのメモリに記憶させることができる設定ソフトとを備えた設定処理装置を、前記コントローラに接続して前記各設定情報をコントローラのメモリに記憶させるとともに、コントローラ起動時に実行する制御プログラムにより、前記メモリから設定情報を読み出し、コントローラに接続された各被制御機器毎にシリアルインターフェース回路を選択設定することを特徴とする。
【0006】
上記問題点を解決するための請求項2に記載の応答制御データ設定方法は、複数の被制御機器と、該複数の被制御機器を接続して所定の制御プログラムに基き制御信号を送出し、各被制御機器の作動を制御するコントローラ間のシリアル通信に必要な応答制御データを予め登録したデータベースと、該データベースから各被制御機器に対応した応答制御データを読み出し、各被制御機器毎に設定し、該各設定情報を前記データベースに登録するとともに、前記コントローラのメモリに記憶させることができる設定ソフトとを備えた設定処理装置を、前記コントローラに接続して前記各設定情報をコントローラのメモリに記憶させるとともに、コントローラ起動時に実行する制御プログラムにより、前記メモリから設定情報を読み出し、コントローラに接続された各被制御機器毎に応答制御データを設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載のシリアルインターフェース設定方法によれば、コントローラと被制御機器間のシリアルインターフェース回路の選択設定をソフトウェアにより行なうから、従来選択設定に必要であったハードウェア(設定スイッチ等)が不要となる。また、各被制御機器とコントローラ間のシリアル通信に必要な通信規格及び各被制御機器毎にシリアルインターフェース回路を選択設定した設定情報が共にデータベースに登録されているから、コントローラに接続される被制御機器についてのシリアルインターフェース回路の選択設定をデータベースにより管理することができ、誤設定を回避することが可能になる。
【0008】
請求項2に記載の応答制御データ設定方法によれば、応答制御データを設定ソフトにより設定できるから、プログラム作成能力を有しない者でも、コントローラに接続される被制御機器の応答制御をカスタマイズすることが可能となる。また、設定情報がデータベースに登録されているから、コントローラに接続される被制御機器についての応答制御データの設定をデータベースにより管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
各被制御機器とコントローラ間のシリアルインターフェース回路の設定及び応答制御データの設定が簡単にできる設定方法を提供するという目的を、シリアルインターフェース回路の選択設定をソフトウェアにより行ない、応答制御データの設定を設定ソフトにより行なうことで実現した。
【実施例】
【0010】
(第1実施例)
本発明の第1実施例について図面を参照して説明する。図1は、第1実施例に係る制御システム1の構成を示した概略ブロック図である。コントローラ2は、CPU3 メモリ4及びポートP1〜P4を備えている。各ポートP1〜P4には、被制御機器11〜14が接続されている。各ポートP1〜P4に対応して、それぞれシリアルインターフェース回路であるRS−232C回路21、RS−422A回路22及びRS−485回路23が実装されている。
【0011】
コントローラ2は、各ポートP1〜P4に接続された被制御機器11〜14に対して、所定の制御プログラムに基きシリアル通信により制御信号を送出してその作動を制御する。従って、コントローラ2と各被制御機器11〜14間でシリアル通信を可能とするシリアルインターフェース回路を選択して設定する必要がある。
【0012】
シリアルインターフェース回路の選択設定は、シリアルインターフェース回路設定用のアプリケーションソフトをインストールしたパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという。)24をコントローラ2に接続して行なう。パソコン24は、上記アプリケーションソフトを実行するパソコンアプリケーション25とメモリ26を備えている。図2は、シリアルインターフェース回路の選択設定処理の概略を示したフローチャートである。先ず、設定用のアプリケーションソフトを実行して、パソコン24のモニター画面(図示しない)を見ながらメモリ26に、コントローラ2と被制御機器11〜14間のシリアル通信に必要な通信規格及び各被制御機器11〜14毎に設定したシリアルインターフェース回路を登録してデータベース化する(ステップS10)。続いて、データベース26から各被制御機器11〜14に対応させた通信規格を読み出す(ステップS15)。そして、コントローラ2に各設定情報を送出する(ステップS20)。
【0013】
コントローラ2では、CPU3の処理により受信した各被制御機器11〜14毎のシリアルインターフェース回路の選択設定情報をメモリ4に記憶する(ステップS25)。そして、CPU3はコントローラ2の起動時に実行される制御プログラムにより、メモリ4から各被制御機器11〜14毎のシリアルインターフェース回路の選択設定情報を読み出すとともに、各ポートP1〜P4に接続された被制御機器11〜14毎にシリアルインターフェース回路であるRS−232C回路21、RS−422A回路22及びRS−485回路23何れかに切換える(ステップS30)。
【0014】
上記したように、シリアルインターフェース回路の選択設定を、アプリケーションソフトにより行なうため、切換え設定するために必要であった切換えスイッチを省略できる。また、図3に示すようにコントローラ2の各ポートP1〜P4に被制御機器15〜18を接続して、制御システム1と異なる制御システム31を構成した場合、制御システム1の被制御機器11、14が制御システム31の被制御機器15と同一で、同じく被制御機器12が被制御機器16,17と同一で、同じく被制御機器13が被制御機器18と同一であれば、メモリ26に、被制御機器11,12、13のシリアルインターフェース回路の選択設定情報が登録されてデータベース化されているから、該データベースを共用することにより制御システム31に対するシリアルインターフェース回路の選択設定を容易に行なうことができる。そして、コントローラ2に接続される被制御機器についてのシリアルインターフェース回路の選択設定をデータベースにより管理することができ、誤設定を回避することが可能になる。
【0015】
(第2実施例)
第2実施例は、第1実施例と同一構成の制御システムにおいて、コントローラ2と各ポートP1〜P4に接続された被制御機器11〜14間のシリアル通信の応答制御を、パソコン24にインストールした応答制御データ設定用のアプリケーションソフトを用いて送受信データ及びパラメータ情報の設定を行なうものである。この場合、第1実施例で説明したように、コントローラ2と各被制御機器11〜14間のシリアル通信を可能にするシリアルインターフェース回路が選択設定されている。
【0016】
図4は、コントローラ2と例えば被制御機器11間で行なわれる応答制御処理の一例を示した概略のフローチャートである。処理がスタートすると、ステップS50でコントローラ2からコマンドが送信される。ステップS52では応答待ち時間T2の間、被制御機器11からの応答を待機する。続くステップS54で応答有りと判定されると、ステップS56で応答データが規定された内容の応答データで有るか否かを判定する。前記ステップS54及びステップS56での判定が否定判定である場合は、ステップS58でコマンド送信の繰り返し時間T1が経過したかを判定し、経過していない場合はステップS50に戻りコマンド送信処理を繰り返す。ステップS58で繰り返し時間T1が経過したと判定されると、ステップS60でコマンド送信を停止する。
【0017】
上記ステップS56で応答データが規定された内容の応答データで有ると判定されると、ステップS62へ進みステータスコマンドを送信する。ステップS64では、応答待ち時間T3の間、被制御機器11からの応答を待機する。続くステップS66で応答有りと判定されると、ステップS68で応答データが規定された内容の応答データで有るか否かを判定する。肯定判定であれば、ステップS70で通信を完了する。
【0018】
前記ステップS66での判定が否定判定である場合は、ステップS72でコマンド送信の繰り返し時間T1が経過したかを判定し、経過していない場合はステップS62に戻りステータスコマンドの送信処理を繰り返す。ステップS72で繰り返し時間T1が経過したと判定されると、ステップS76でコマンド送信を停止する。
【0019】
同様にステップS68での判定において、応答データが規定された内容の応答データではないという否定判定である場合は、ステップS74でコマンド送信の繰り返し時間T1が経過したかを判定し、経過していない場合はステップS50に戻りコマンド送信処理を繰り返す。ステップS74で繰り返し時間T1が経過したと判定されると、ステップS76でコマンド送信を停止する。
【0020】
送受信データ及びパラメータ情報設定用のアプリケーションソフトでは、上記した応答制御処理における以下の項目が設定できる。設定可能項目は、(1)送信コマンド、(2)送信コマンドに対する応答データ、この場合応答データ無しにも設定可能である。(3)送信コマンドに対する応答待ち時間T2、(4)送信コマンド+ステータスコマンド繰り返し時間T1、(5)ステータスコマンド、この場合コマンド無しにも対応可能である。(6)ステータスコマンドに対する応答データ、この場合応答データ無しにも設定可能である。(7)ステータス応答データ、この場合応答データ無しにも設定可能である。(8)ステータスコマンドに対する応答待ち時間T3等である。
【0021】
上記設定可能項目(1)〜(8)の設定の仕方により、ステータス応答制御が必要なコマンドに対応させることができる。その制御例としては、「コマンド送信→コマンド応答受信→ステータスコマンド送信→(ステータスコマンド応答+ステータス応答)受信で、ステータスがOKならば動作完了する。ステータスがNGであれば、設定した繰り返し送信時間が経過するまで上記処理を繰り返す。」
というように設定できる。
【0022】
上記した第2実施例では、送受信データ及びパラメータ情報を設定ソフトにより設定できるから、プログラム作成能力を有しない者でも、コントローラ2に接続される被制御機器11〜14の応答制御をカスタマイズすることが可能となる。また、設定情報がメモリ26に登録されてデータベース化されているから、コントローラ2に接続される被制御機器11〜14についての送受信データ及びパラメータ情報設定をデータベースにより管理することができ、第1実施例と同様データベースを共用することにより、コントローラ2に同じ被制御機器が接続された別の制御システムに対する送受信データ及びパラメータ情報の設定が容易に行なうことができる。さらに、送受信データ及びパラメータ情報をより細かく制定できるようにすれば、プログラムレスであらゆる応答制御を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施例に係る制御システムの概略のブロック図である。
【図2】シリアルインターフェース回路の選択設定処理の概略を示したフローチャートである。
【図3】他の制御システムの概略のブロック図である。
【図4】応答制御処理の一例を示した概略のフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1、31 制御システム
2 コントローラ
3 CPU
4 メモリ
11〜14、15〜18 被制御機器
21〜23 シリアルインターフェース回路
24 パソコン
25 パソコンアプリケーション
26 メモリ(データベース)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被制御機器と、該複数の被制御機器を接続して所定の制御プログラムに基き制御信号を送出し、各被制御機器の作動を制御するコントローラ間のシリアル通信に必要な通信規格を予め登録したデータベースと、該データベースから各被制御機器に対応した通信規格を読み出し、各被制御機器毎にシリアルインターフェース回路を選択設定し、該各設定情報を前記データベースに登録するとともに、前記コントローラのメモリに記憶させることができる設定ソフトとを備えた設定処理装置を、前記コントローラに接続して前記各設定情報をコントローラのメモリに記憶させるとともに、コントローラ起動時に実行する制御プログラムにより、前記メモリから設定情報を読み出し、コントローラに接続された各被制御機器毎にシリアルインターフェース回路を選択設定することを特徴とするシリアルインターフェース回路設定方法。
【請求項2】
複数の被制御機器と、該複数の被制御機器を接続して所定の制御プログラムに基き制御信号を送出し、各被制御機器の作動を制御するコントローラ間のシリアル通信に必要な応答制御データを予め登録したデータベースと、該データベースから各被制御機器に対応した応答制御データを読み出し、各被制御機器毎に設定し、該各設定情報を前記データベースに登録するとともに、前記コントローラのメモリに記憶させることができる設定ソフトとを備えた設定処理装置を、前記コントローラに接続して前記各設定情報をコントローラのメモリに記憶させるとともに、コントローラ起動時に実行する制御プログラムにより、前記メモリから設定情報を読み出し、コントローラに接続された各被制御機器毎に応答制御データを設定することを特徴とする応答制御データ設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−215697(P2006−215697A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26169(P2005−26169)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】