説明

シート止用条材

【課題】ハウスバンドとの摩擦を低減して、シートの寿命を担保し得るシート止用条材を提供する。
【解決手段】第1係止部11及び第2係止部12の外側の側壁部3a,3aの高さ寸法は同じにしてある。一方、第1係止部11及び第2係止部12の内側の側壁部3b,3bは、前記両外側の側壁部3a,3aの高さ位置を超えて延出してある。この第1係止部11及び第2係止部12の内側の側壁部3b,3bの縁部は、第1係止部11及び第2係止部12の底壁部2,2と平行をなす平坦な帯板状の連結部4aで連結してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の骨材間に合成樹脂製のシートを展張してなる、所謂ビニルハウスにおいて、前記シートを止めるシート止用条材に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の骨材間に合成樹脂製のシートを展張してなる、所謂ビニルハウスにあっては、骨材間にシート止用条材を架設しておき、このシート止用条材にシートの一部を係止するようにしてある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
即ち、図6に示した如く、シート止用条材70は、端面視が縦断三角フラスコ底部形状をしており、両側部の上縁部はそれぞれ外側へ丸め加工してある。そして、シート止用条材70内にシートSの一部を挿入させた後、その上から、面内交互台形波形状のスプリングPをシート止用条材70内に嵌入させることによって、シートSの一部をシート止用条材70に係止させるようにしてある。
【0004】
ところで、ビニルハウスでは換気を行うために、側部に配設したシートの一部を巻き上げ可能としたものがあり、そのようなビニルハウスに適用させるため、天井部に展張するシートと、側部に配する巻き上げ用のシートとを張り分け得る次のようなシート止用条材が開発されている。
【0005】
図7は、2枚のシートを分けて展張するための従来のシート止用条材を示す斜視図である。図7に示した如く、シート止用条材50、端面視が縦断三角フラスコ底部形状であり、シートの一部を係止させる第1係止部61と、端面視が前記第1係止部61と略同じ形状であり、他のシートの一部を係止させる第2係止部62とを両者の幅方向へ適宜距離を隔てて並設し、両者の間を平坦な連結部54で連結してある。
【0006】
即ち、第1係止部61及び第2係止部62は、帯状の底壁部52,52の両側縁にそれぞれ側壁部53a,53b、53a,53bを底壁部52,52に対して略45°の角度になるように立設してあり、底壁部52,52と両側壁部53a,53b、53a,53bとがなす両角部はそれぞれ円弧状になしてある。この両側壁部53a,53b、53a,53bの縁部間の開口の幅寸法は底壁部52,52の幅寸法の2/3程度にしてある。
【0007】
第1係止部61及び第2係止部62の前記連結部54で連結された内側の側壁部53b,53bの高さ寸法、並びに第1係止部61及び第2係止部62の外側の側壁部53a,53aの高さ寸法は全て同じにしてあり、従って、連結部54の高さ寸法は、第1係止部61及び第2係止部62の側壁部53a,53b、53a,53bの高さ寸法と同じである。そして、第1係止部61及び第2係止部62の外側の側壁部53a,53aの縁はそれぞれ、内側に2つ折りに屈曲させてある。一方、第1係止部61及び第2係止部62の内側の側壁部53b,53bの縁と連結部54とがなす角部は、円弧状に屈曲させてある。
【0008】
図8は、図7に示したシート止用条材50の使用状態例を示す斜視図である。なお、図中、図7に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。図8に示した如く、蒲鉾形のビニルハウスHの両肩部にそれぞれシート止用条材50(50)が、例えば第1係止部61(61)を上にして固定してある。そして、ビニルハウスHの天井部に展開したシートSの一縁部をシート止用条材50の第1係止部61内へ、また、前記シートSの他縁部を他方のシート止用条材(50)の第1係止部(61)内へ挿入した後、両第1係止部61(61)内へ面内交互台形波形状のスプリングP(P)をそれぞれ嵌入させることによって、シートSの両縁部を両シート止用条材50(50)に係止する。
【0009】
また、両シート止用条材50(50)の第2係止部62(62)にそれぞれ、ビニルハウスHの側部に展開させるシートS(S)の上縁部を挿入した後、両第2係止部62,62内へ前述したスプリングS(S)をそれぞれ嵌入させることによって、シートS(S)の両上縁部を両シート止用条材50(50)に係止する。このシートS(S)の下縁部には丸パイプ80(80)が連結してある。そして、丸パイプ80(80)の周囲にシートS(S)を巻回させることによって、シートS(S)を巻き上げるようにしてある。
【0010】
このようにして天井部のシートS及び両側部のシートS(S)を展張させた後、弾性を有する紐状のハウスバンドB,B,…複数をビニルハウスHの長手方向へ距離を隔てて配し、各ハウスバンドB,B,…をビニルハウスHの一側から他側に亘って掛け渡すことによって、天井部のシートS及び両側部のシートS(S)を押さえるようにしてある。
【0011】
【特許文献1】特開2001−309726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来のシート止用条材 にあっては、次のような問題があった。
【0013】
図9は、図8に示したビニルハウスの部分正断面図であり、図中、50はシート止用条材である。図9に示した如く、第1係止部61及び第2係止部62にその一部を係止させたシートSは、第1係止部61の側壁部53a,53bの縁部及び第2係止部62の側壁部53a,53bの縁部とハウスバンドBとの間に強く挟持されている。そのため、風によってシートS,Sが膨縮した場合、ハウスバンドBとシートSとの摩擦によってシートSに破れが発生し易く、シートSの寿命が短くなるという問題があった。
【0014】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、ハウスバンドとの摩擦を低減して、シートの寿命を担保し得るシート止用条材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、距離を隔てて平行に配した帯状の2条の底壁部の両側縁にそれぞれ外側の側壁部及び内側の側壁部を立設し、対向する両内側の側壁部の縁部間を連結部にて連結してなり、内外の側壁部及び底壁部で囲まれる2つの部分の少なくとも一方に、シートの一部を挿入させて当該シートを止めるシート止用条材において、前記連結部は、その幅方向の一部又は全部を前記両外側の側壁部より高くしてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、距離を隔てて平行に配した帯状の2条の底壁部の両側縁にそれぞれ外側の側壁部及び内側の側壁部を立設し、対向する両内側の側壁部の縁部間を連結部にて連結してなるシート止用条材において、前記連結部は、その幅方向の一部又は全部を前記両外側の側壁部より高くしてあるため、内外の側壁部及び底壁部で囲まれる2つの部分にそれぞれシートを係止させ、両シートをハウスバンドによって押さえた場合であっても、当該ハウスバンドは、主に連結部に当接する一方、前記両外側の側壁部には当接しないか、又は当接したとしても、弱い当接力で当接するので、風によって両シートが膨縮した場合であっても、ハウスバンドと両シートとの摩擦が小さく、両シートに破れが発生し難い。従って、両シートの寿命を担保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施の形態に係るシート止用条材は、距離を隔てて平行に配した帯状の2条の底壁部の両側縁にそれぞれ外側の側壁部及び内側の側壁部を立設し、対向する両内側の側壁部の縁部間を連結部にて連結してなる。そして、連結部は、その幅方向の一部又は全部を前記両外側の側壁部より高くしてある。
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に係るシート止用条材を示す斜視図であり、シート止用条材1aは、端面視が縦断三角フラスコ底部形状をなし、シートの一部を係止させる第1係止部11及び第2係止部12を、両者の幅方向へ適宜距離を隔てて並設してある。第1係止部11及び第2係止部12は、帯状の底壁部2,2の両側縁にそれぞれ側壁部3a,3b、3a,3bを底壁部2,2に対して略45°の角度になるように立設してあり、底壁部2,2と両側壁部3a,3b、3a,3bとがなす両角部はそれぞれ円弧状になしてある。この両側壁部3a,3b、3a,3bの縁部間の開口の幅寸法は底壁部2,2の幅寸法の2/3程度にしてある。
【0020】
また、第1係止部11及び第2係止部12の外側の側壁部3a,3aの高さ寸法は同じにしてある。一方、第1係止部11及び第2係止部12の内側の側壁部3b,3bは、前記両外側の側壁部3a,3aの高さ位置を超えて延出してある。この第1係止部11及び第2係止部12の内側の側壁部3b,3bの縁部は、第1係止部11及び第2係止部12の底壁部2,2と平行をなす平坦な帯板状の連結部4aで連結してあり、従って、連結部4aの高さ寸法は、前述した両外側の側壁部3a,3aの高さ寸法より2mm〜7mm程度高くしてある。
【0021】
ところで、第1係止部11及び第2係止部12の外側の側壁部3a,3aの縁はそれぞれ、内側に2つ折りに屈曲させてある。一方、第1係止部11及び第2係止部12内側の側壁部3b,3bの縁と連結部4aとがなす角部は、円弧状に屈曲させてある。
【0022】
図2は、図1に示したシート止用条材1aの使用状態を説明する説明図である。なお、図中、図1に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。図2に示した如く、シート止用条材1aは、蒲鉾形のビニルハウスの肩部に、例えば第1係止部11を上にして固定されており、シート止用条材1aの第1係止部11内に、ビニルハウスの天井部に展開したシートSの一縁部を挿入した後、面内交互台形波形状のスプリングPを嵌入させて、当該シートSを第1係止部11に係止してある。
【0023】
また、シート止用条材1aの第2係止部12内に、ビニルハウスの側部に展開させるシートSの上縁部を挿入した後、第2係止部12内へ前述したスプリングPを嵌入させることによって、当該シートSをシート止用条材1aに係止してある。そして、弾性を有する紐状のハウスバンドBをビニルハウスの一側から他側に亘って掛け渡すことによって、天井部のシートS及び側部のシートSを押さえてある。
【0024】
このとき、本発明に係るシート止用条材1aは、前述したように、連結部4aの高さ寸法が、第1係止部11及び第2係止部12の外側の側壁部3a,3aの高さ寸法より高くしてあるため、ハウスバンドBは、主に連結部4aに当接する一方、第1係止部11及び第2係止部12の外側の側壁部3b,3bには当接しないか、又は当接したとしても、弱い当接力で当接する。そのため、風によってシートS,Sが膨縮した場合であっても、ハウスバンドBとシートS,Sとの摩擦が小さいため、シートS,Sに破れが発生し難く、シートS,Sの寿命を担保することができる。
【実施例2】
【0025】
図3及び図4は、実施例2に係るシート止用条材を示す斜視図であり、連結部の形状を異ならせてある。なお、図中、図1に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0026】
図3に示した場合にあっては、シート止用条材1bの連結部4bは、端面視が三角屋根形をしている。即ち、シート止用条材1bに設けた第1係止部11及び第2係止部12の外側の側壁部3a,3aの高さと、第1係止部11及び第2係止部12の内側の側壁部3b,3bの高さとは同じにしてあり、連結部4bは、その第1係止部11及び第2係止部12の内側の側壁部3b,3bに、両内側の側壁部3b,3bの高さと同じ高さで連結する両縁部からそれぞれ、両内側の側壁部3b,3b間の中央位置に向けて漸次高くなしてある。
【0027】
一方、図4に示した場合にあっては、シート止用条材1cの連結部4cは、前述した第1係止部11及び第2係止部12の内側の側壁部3b,3bに、両内側の側壁部3b,3bの高さと同じ高さで連結する両縁部からそれぞれ適宜寸法ずつ、その高さ寸法で延設した後、両内側の側壁部3b,3b間の略中央位置において半円筒凸状に成形してなり、従って、連結部4cの幅方向の略中央には凸部41が形成してある。
【0028】
このように、いずれの場合も連結部4b,4cの中央部分の高さを、第1係合部11及び第2係合部12の内側の側壁部3b,3bの高さより高くしてあるため、第1係止部11及び第2係止部12に係止させた両シートをハウスバンドによって押さえた場合であっても、前同様、当該ハウスバンドは、主に連結部4b,4cに当接する一方、第1係止部11及び第2係止部12の外側の側壁部3a,3aには当接しないか、又は当接したとしても、弱い当接力で当接するので、風によって両シートが膨縮した場合であっても、ハウスバンドと両シートとの摩擦が小さく、両シートに破れが発生し難い。従って、両シートの寿命を担保することができる。
【0029】
一方、いずれの場合も第1係止部11及び第2係止部12の内側の側壁部3b,3bの高さは、第1係止部11及び第2係止部12の外側の側壁部3a,3aの高さと同じであるため、両係止部11,12にそれぞれシートを前述したスプリングによって係止させる作業を、連結部4b,4cの形状に拘わらず、円滑に行うことができる。
【実施例3】
【0030】
図5は、図1に示したシート止用状材1aの他の使用様態を示す斜視図であり、ビニルハウス内に生じる露を受けるようにしてある。図5に示した如く、蒲鉾形のビニルハウスの肩部にシート止用条材1aが、例えば第1係止部11を上にして固定してある。そして、ビニルハウスの側部に配したシートSの上縁を第2係止部12に挿入した後、ビニルハウスの天井部に展開したシートSの一縁部をシート止用条材1aの第2係止部12内へ挿入し、更に第2係止部12内へ面内交互台形波形状のスプリングを嵌入させることによって、両シートS,Sが係止してある。
【0031】
このとき、シート止用条材1aの連結部4aが第1係止部11の外側の側壁部3aより高いため、ビニルハウスの天井部に展開したシートSは、図5に示した如く、シート止用条材1aの連結部4aには接触しているが、第1係止部11の外側の側壁部3aには接触していない。従って、このシートSの内面を流下した露は、シート止用条材1aの当該シートSが接触している連結部4aを伝って、第1係止部11内に流入して、そこに貯留される。これによって、天井部に展開したシートSの内面に生じた露がビニルハウスの内部に滴下することが防止され、栽培中の植物に罹病等の悪影響を及ぼすことが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るシート止用条材を示す斜視図である。
【図2】図1に示したシート止用条材の使用状態を説明する説明図である。
【図3】実施例2に係るシート止用条材を示す斜視図である。
【図4】実施例2に係るシート止用条材を示す斜視図である。
【図5】図1に示したシート止用条材の他の使用態様を示す斜視図である。
【図6】従来のシート止用条材の使用状態を説明する説明図である。
【図7】2枚のシートを分けて展張するための従来のシート止用条材を示す斜視図である。
【図8】図7に示したシート止用条材の使用状態例を示す斜視図である。
【図9】図8に示したビニルハウスの部分正断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1a シート止用条材
1b シート止用条材
1c シート止用条材
2 底壁部
3a 側壁部
3b 側壁部
4a 連結部
4b 連結部
4c 連結部
11 第1係止部
12 第2係止部
B ハウスバンド
P スプリング
S シート
H ビニルハウス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離を隔てて平行に配した帯状の2条の底壁部の両側縁にそれぞれ外側の側壁部及び内側の側壁部を立設し、対向する両内側の側壁部の縁部間を連結部にて連結してなり、内外の側壁部及び底壁部で囲まれる2つの部分の少なくとも一方に、シートの一部を挿入させて当該シートを止めるシート止用条材において、
前記連結部は、その幅方向の一部又は全部を前記両外側の側壁部より高くしてあることを特徴とするシート止用条材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−94723(P2006−94723A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282174(P2004−282174)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(597088591)佐藤産業株式会社 (30)
【出願人】(503423317)
【Fターム(参考)】