説明

シート状成形体の成形方法及び成形装置

【課題】 シート状成形体のシート厚さを測定するべく流動体の密度或いは面密度を測定することにより,シート状成形体が不良と判定された場合の流動体の無駄な消費を軽減し,また,キャリアフィルム等の平面担持体上に担持される流動体の調整作業を容易にすること。
【解決手段】 流動体収容器5に収容された流動体6をキャリアフィルム等の平面担持体1上にシート状に連続的に担持させ,該担持されたシート状の流動体を脱水,乾燥させる前に,上記流動体収容器5に収容された上記流動体6に含まれる上記元素或いは化合物の密度及び/若しくは上記平面担持体1上に担持されたシート状の流動体6aに含まれる上記元素或いは化合物の面密度等を測定し,該面密度等を測定した後に,上記シート状の流動体6aを脱水,乾燥させて上記元素を含んでなるシート状成形体6bを成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
溶媒と該溶媒より比重の大きい元素或いは該元素を構成要素とする化合物とを含むスラリー等の流動体をキャリアフィルム等の平面担持体上にシート状に連続的に担持させ,この担持されたシート状の流動体を脱水及び/若しくは乾燥させてシート状成形体を成形する方法およびシート状成形体を成形する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミックシート(セラミックグリーンシート),電極板,研磨シート,磁気テープ,セラミック繊維等からなる建材用の無機質ボード,多孔金属シート,保護フィルム,樹脂シート,シール材等(いずれもシート状成形体の一例)を成形する手法として,水や,アルコール類等の有機溶媒等に,上記各シート状成形体を構成する主要元素やその化合物,分散剤,結合剤等を混合して得られた泥状のスラリー(流動体に相当)をキャリアフィルム,キャリアベルト或いはフェルト製の抄造ベルト等(平面担持体の一例)の表面上にシート状に担持させ,その後,担持されたシート状のスラリーを乾燥或いは脱水した後に乾燥させることによりシート状成形体を得るいわゆる湿式成形法や湿式抄造法と呼ばれる手法が知られている。
ところで,成形されるシート状成形体の品質は専ら該シート状成形体の単位面積当たりの重量(坪量と呼ばれる)或いはシート厚さの均一性が確保されているかどうかに委ねられる。上記シート状成形体のシート厚さの均一性を確保する手法の一例が特許文献1に開示されている。この手法によれば,乾燥中のスラリーを挟持する一対の厚さ調整ローラによって上記乾燥中のスラリーを押圧回転させてスラリーの厚さを均一にすることにより,乾燥後に得られるシート状成形体のシート厚さの均一性が確保される。
しかしながら,近年,特に半導体等の電子デバイス分野においては上記シート状成形体の高い成形精度が要求されており,シート厚さの微小な不均一やバラツキでさえも許されない状況にある。上記特許文献1に記載の手法により乾燥後のシート状成形体の坪量やシート厚さの均一性はある程度確保されるものの,この手法は乾燥中のスラリーの外観厚さを均一にするものであるため,例えば,キャリアフィルムや抄造ベルト等に担持される前のスラリー内の前記主要元素や化合物の沈殿,溶媒の自然蒸発,或いは濃度の異なる新たなスラリーの混入等により,キャリアフィルムや抄造ベルト等に担持される前或いは担持された後のスラリー中の上記主要元素や化合物の含有密度や含有面密度(以下,単に密度,面密度と称す)が変動した場合は,乾燥後のシート状成形体の坪量やシート厚さに変動が生じる。このような状況下では所定の品質を確保できない不良シートが成形されるおそれがある。そのため,昨今では,X線等の放射線の透過率(減衰率)に基づいて,成形された乾燥後のシート状成形体のシート厚さを測定する測定器(検出特許文献2,特許文献3参照)を用いて,シート状成形体のシート厚さの不良を的確に検出することにより,シート状成形体の品質の向上を図っている。
そして,上記厚さ測定器において測定されたシート厚さが所定の品質範囲を逸脱している不良シートであると判定された場合は,シート状成形体の製造ラインを一端停止(オフライン)させて,上記キャリアフィルム等に担持されるスラリーの量を調整していた。
【特許文献1】特開平7−187803号公報
【特許文献2】特開2002−202120号公報
【特許文献3】特開平8−122038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,一般に,上記厚さ測定器は,成形されたシート状成形体のシート厚さを測定するべく上記スラリーを脱水する脱水設備或いは上記スラリーを乾燥させる乾燥設備の後工程に配設される。そのため,成形されたシート状成形体が良シートであるか不良シートであるかの判定結果を得るには,脱水或いは乾燥が完了するまでの相当の待ち時間を要していた。もちろん,この待ち時間の間も,上記キャリアフィルムへ継続的にスラリーが担持される。従って,例えば,測定されたシート厚さに基づきシート不良と判定された場合は,上記待ち時間中に担持された流動体や脱水中或いは乾燥中のスラリーまでもが不良とみなされて廃棄されるため,シート状成形体の原料となるスラリーを無駄に消費するという問題がある。
また,シート状成形体の製造ラインを一端停止させなければ,上記キャリアフィルム等に担持されるスラリーの量を調整することができなかったため,調整作業に時間がかかり,製造効率を悪くしていた。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,シート状成形体のシート厚さを測定するべく流動体の密度或いは面密度を測定することにより,シート状成形体が不良と判定された場合のスラリー(即ちシート状成形体の原料となる流動体)の無駄な消費を軽減し,また,キャリアフィルム等の平面担持体上に担持されるスラリーを適正量に容易に調整し得ると共に製造効率を向上させることが可能なシート状成形体の成形方法及び成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明のシート状成形体の成形方法及び成形装置は,少なくとも溶媒と該溶媒より比重の大きい元素或いは該元素を構成要素とする化合物とを含み,流動体収容器に収容された上記流動体を上記流動体収容器から排出してキャリアフィルム等の平面担持体上にシート状に連続的に担持させ,該担持されたシート状の流動体を脱水及び/若しくは乾燥させる前に,上記流動体収容器に収容された上記流動体に含まれる上記元素或いは化合物の密度及び/若しくは上記平面担持体上に担持されたシート状の流動体に含まれる上記元素或いは化合物の面密度を測定し,該面密度を測定した後に,上記シート状の流動体を脱水,乾燥させて上記元素を含んでなるシート状成形体を成形するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば,たとえ上記流動体(スラリー)の脱水工程や乾燥工程に長時間要しようとも,脱水,乾燥前の流動体に含まれる元素等の密度或いは面密度を測定することが可能となる。これにより,測定された密度若しくは面密度又はその両方に基づいて脱水,乾燥工程を経る前に脱水,乾燥後のシート状成形体が不良となるかどうかを予測判定することができ,仮に不良と判定されたとしても,その判定後,迅速にシート状成形体の製造ラインを停止させることができ,或いはキャリアフィルム上に担持させる流動体の担持量の調整を迅速に行うことができる。その結果,上記キャリアフィルム上に担持される無駄な流動体の量が減少し,上記流動体の無駄な消費が軽減され得る。
【0005】
この場合,上記流動体収容器に収容された上記流動体に含まれる上記元素或いは化合物の密度及び/若しくは上記平面担持体上に担持されたシート状の流動体に含まれる上記元素或いは化合物の面密度は,例えば,上記流動体にX線,γ線等の放射線を照射させ,該流動体を透過する上記放射線の透過率に基づいてを測定することが考えられる。このように放射線を用いて測定することにより,上記流動体の面密度の測定精度が向上され得る。
ここで,上記流動体に含まれる元素或いは化合物の面密度の測定に用いられる上記放射線のエネルギーがあまりにも低いと,放射線の透過率はシート状成形体を構成する元素だけでなく水やアルコール等の溶媒の影響を受けるため,正確な面密度を測定することができない。また,上記放射線のエネルギーがあまりにも高いと,上記放射線のほとんどが上記流動体を透過することとなり,この場合も正確な面密度を測定することができなくなる。そのため,上記流動体に照射されるX線やγ線等の放射線のエネルギーは,10keV〜40keV程度のいわゆる低エネルギーであることが望ましい。
【0006】
ところで,放射線の性質として,上記流動体に照射された放射線の透過率は上記流動体に含まれる物質の元素番号に大きく依存するということが一般的に知られている。例えば,上記流動体が比較的元素番号の小さい元素からなる水(H20)と比較的元素番号の大きい元素(アルミニウム)からなる酸化アルミニウム(Al23)とにより構成されている場合は,上記流動体に照射された放射線の透過率は上記酸化アルミニウムに大きく影響して低下(即ち放射線量が減衰する)し,上記水分子からの影響はほとんど受けない。一方,上記流動体を構成する溶媒には,流動体を乾燥させる工程で大気中に容易に放出され得るアルコール類等の有機溶媒(R−OH,ただし,Rは炭化水素基)や水等が用いられる。これらはいずれも比較的元素番号の小さい元素から構成されている。
従って,上記放射線の性質と上記流動体に用いられる溶媒の種類とに鑑みれば,上記元素は,元素番号12以上の元素であることが好ましいと考えられる。このような元素を含む流動体であれば,上記放射線を用いた上記密度や上記面密度の測定に好適である。
なお,上述したように,放射線の透過率が元素番号に依存するとはいうものの,流動体中の元素の含有量が少なくては正確な密度や面密度を測定すことはできない。従って,上記元素或いは該元素を構成要素とする上記化合物の上記流動体に対する重量比率は略50%以上であることが望ましい。これだけの重量比率を占める流動体であれば,流動体中の元素の密度や面密度を正確に測定することができるため,この密度や面密度をもって乾燥後のシート状成形体の正確な厚さを測定することが可能となる。
【0007】
また,本発明のシート状成形体の成形方法及び成形装置が,上記流動体収容器に収容された上記流動体に含まれる上記元素或いは化合物の密度及び/若しくは上記平面担持体上に担持されたシート状の流動体に含まれる上記元素或いは化合物の面密度の測定結果に応じて,上記平面担持体上に担持される上記シート状の流動体の担持量を調整するよう構成されたものであってもよい。例えば,上記測定結果に応じて自動的に上記シート状の流動体の担持量を調整するよう制御することにより,所定の密度や面密度を逸脱している場合でも,シート状成形体の製造ラインを停止(オフライン)させることなく,稼働(オンライン)させたままで上記流動体の担持量を調整することが可能となる。この結果,上記流動体の担持量の調整作業が容易化され,更に,担持量の調整が迅速に行われるため,流動体の無駄な消費が軽減され得る。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように,本発明によれば,少なくとも溶媒と該溶媒より比重の大きい元素或いは該元素を構成要素とする化合物とを含み,流動体収容器に収容された上記流動体を上記流動体収容器から排出してキャリアフィルムや抄造ベルト等の平面担持体上にシート状に連続的に担持させ,該担持されたシート状の流動体を脱水及び/若しくは乾燥させる前に,上記流動体収容器に収容された上記流動体に含まれる上記元素或いは化合物の密度及び/若しくは上記平面担持体上に担持されたシート状の流動体に含まれる上記元素或いは化合物の面密度を測定し,該面密度を測定した後に,上記流動体を脱水,乾燥させて上記元素を含んでなるシート状成形体が成形されるため,たとえ上記流動体の脱水工程や乾燥工程に長時間要しようとも,脱水,乾燥前の流動体に含まれる元素等の密度或いは面密度を測定することが可能となる。これにより,測定された密度若しくは面密度又はその両方に基づいて脱水,乾燥工程を経る前に脱水,乾燥後のシート状成形体が不良となるかどうかを予測判定することができ,仮に不良と判定されたとしても,その判定後迅速にシート状成形体の製造ラインを停止させることができ,或いはキャリアフィルム上に担持させる流動体の担持量の調整を迅速に行うことができる。その結果,上記キャリアフィルム上に担持される無駄な流動体の量が減少し,上記流動体の無駄な消費が軽減され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るシート状成形体の成形装置X1全体の概略構成を示す模式図,図2は上記シート状成形体の成形装置X1を説明するための斜視図,図3は本発明の実施例1に係るシート状成形体の成形装置X2の概略構成を示す模式図,図4は本発明の実施例3に係るシート状成形体の成形装置X4の概略構成を示す模式図である。
本発明の実施の形態に係るシート状成形体の成形装置(以下,単に「成形装置」と称す)X1は,いわゆるドクターブレード法によって,スラリー収容器5(流動体収容器に相当)に収容されたスラリー6(流動体に相当)をキャリアフィルム1(平面担持体に相当)上に連続的に担持させ,この担持されたシート状のスラリー6aを乾燥させることで所望するシート状成形体を成形するものである。なお,このような手法によりシート状成形体を生成する手法は一般に湿式成形法と呼ばれる。以下,図1及び図2の模式図を用いて上記成形装置X1の概略構成及びこの成形装置X1を用いて上記シート状成形体を成形する方法について説明する。
【0010】
図1に示されるように,上記スラリー6を担持するキャリアフィルム1は,図示しない複数の駆動ローラ間に張架されてループを形成すると共に,バッキングローラ3により適度なテンションが加えられた状態で支持されている。このキャリアフィルム1は後述する抄造ベルト(後段の実施例2の説明を参照)とは異なり,非通水性の材料で形成されている。
上記バッキングローラ3の上記キャリアフィルム1側の上方には,スラリー6を収容するスラリー収容器5が配設されており,該スラリー収容器5の上記キャリアフィルム1の移動方向(矢印Y1方向)下流側には上記キャリアフィルム1上に担持されたシート状のスラリー6aの面密度(後述する)を測定する面密度測定器7(密度測定手段の一例)が配設され,更にその下流側には上記シート状のスラリー6aを乾燥させる乾燥設備10(流動体脱水乾燥手段の一例)が配設されている。なお,一般に面密度(kg/m2,g/cm2)とは,単位面積当たりに占める材料等の重量をいうが,ここでは,上記シート状のスラリー6aの単位面積当たりに占める上記シート状のスラリー6aに含まれる元素或いは化合物の重量をいう。また,後述するように,放射線の透過率に基づき面密度を求める場合は,上記シート状スラリー6aに含まれる放射対象元素或いは化合物の重量を面密度という。
上記スラリー収容器5に収容されているスラリー6は,少なくとも溶媒と該溶媒より比重の大きい元素或いは該元素を構成要素とする化合物(即ち,成形するシート状成形体の材料)とを含む流動体からなる。上記溶媒としては,水又はアルコール類若しくは炭化水素化合物等の有機溶媒等があるが,スラリーを乾燥させる際に大気に放出される有機ガスが環境に与える影響に鑑みると,上記溶媒は水或いは微量有機溶媒を含む水溶液であることが好ましい。
上記スラリー6には,上記元素或いは化合物に応じて,溶媒中に分散しにくい無機や有機顔料等の固体粒子を均一に分散させて,上記元素或いは化合物の沈降や凝集を防止し,且つスラリーの粘性を低下させる高分子界面活性剤等の分散剤や,上記スラリーに含まれる上記元素や化合物を結合させて高分子化し,成形されたシート状成形体の硬化を促進させる結合剤(バインダー)等が少量混合される。なお,上記結合剤としては,例えば,水溶性アクリル樹脂,エポキシ樹脂,ポリエステル樹脂,フラン樹脂,フェノールフラン樹脂,フェノール樹脂等の有機高分子が挙げられる。
【0011】
上記スラリー収容器5の底部の上記キャリアフィルム1の移動方向(Y1方向)下流側には上記スラリー6を上記キャリアフィルム1上に排出する上記キャリアフィルム1の移動方向に直行する幅方向に長形の開口部が設けられている。
また,上記スラリー収容器5の上記キャリアフィルム1の移動方向下流側の側板4は上下動に昇降するよう構成されている。この側板4の下端部には,上記キャリアフィルム1との間で一定の隙間を形成すると共に,移動するキャリアフィルム1により搬送されたスラリー6を所定の均一厚さのシート状にして上記キャリアフィルム1上にシート状に連続的に担持させるドクターブレード4a(流動体担持手段の一例)が一体的に取り付けられている。
上記側板4の上方には,後述のコントローラ30による駆動制御により上記側板4を上下方向(Y2方向)へ昇降させる一以上の昇降モータ2が設けられている。なお,上記昇降モータ2の出力軸の駆動トルクを上記側板4に伝達させて上記側板4を昇降させる伝達駆動機構には,例えば,ギア,ベルト,カム等を利用した周知の機構が用いられる。
【0012】
本実施の形態の成形装置X1は,従来とは異なり,上記側板4の上記キャリアフィルム1の移動方向下流側であって,前記乾燥設備10より上記キャリアフィルム1の移動方向上流側に,上記ドクターブレード4aによりシート状に成形されたスラリー6aの面密度,より詳細には,上記シート状のスラリー6a中の元素或いは化合物(シート状成形体の材料となるもの)の面密度を測定する前記した面密度測定器7が配設されている。そして,上記面密度測定器7の上記キャリアフィルム1の移動方向下流側には,上記シート状のスラリー6aを乾燥させてスラリー内の溶媒を脱水して硬化させたシート状成形体6bを成形する赤外線ヒータ等の加熱器や熱風ファン等の乾燥設備10が配設されている。このように上記面密度測定器7が上記前記乾燥設備10の前工程に配設されているため,上記乾燥設備10によってシート状のスラリー6aを乾燥させる前に上記シート状のスラリー6aの面密度が測定され得る。
なお,上記面密度と乾燥後の上記シート状成形体6bのシート厚との間には面密度が大きいほどシート状成形体の厚み大きいといった相関関係があり,上記面密度から上記シート状成形体6bの厚さを推測或いは換算することができるため,本実施の形態では,従来のように乾燥後のシート状成形体6bの厚さ直接測定せずに,乾燥前のシート状のスラリー6aの面密度を測定することとした。
このように配設された上記面密度測定器7によって上記乾燥設備10を経ることなく乾燥前のシート状のスラリー6aの面密度を測定することにより,成形されるシート状成形体6bの良或いは不良を迅速に判断することができる。その結果,例えば,スラリー収容器5内のスラリーの密度が,主要元素や化合物の沈殿,溶媒の自然蒸発或いは,濃度の異なる新たなスラリーの混入等により変動したことにより上記スラリー6aの面密度が変動し,これにより,不良シートが成形されると判定された場合でも,シート状成形体の製造ラインの停止,或いはキャリアフィルム1上に担持させるシート状のスラリー6aの担持量の調整等の処置を迅速に行うことができるため,スラリーの無駄な消費が軽減され得る。
【0013】
本実施の形態の成形装置X1では,上記面密度測定器7として,シート状のスラリー6aにX線,γ線等の放射線を照射させ,該流動体を透過する上記放射線の透過率に基づいて上記シート状のスラリー6aに含まれる上記元素或いは化合物の面密度を測定する装置を用いる。このような面密度測定器7は,例えば,シート状のスラリー6aにビーム状の放射線を照射するための放射線源8と,上記放射線源8から照射され上記シート状のスラリー6aを透過した放射線量を検出する放射線検出器9と,上記放射線源8及び上記放射線検出器9を支持するフレームTF及びUF(図2参照)と,上記フレームTF及びUFの内面側で上記上射線源8及び上記放射線検出器9を移動させて,上記キャリアフィルム1の移動方向(Y1方向)と直行する幅方向に走査させるレールやモータ等からなる図示しない走査手段とを少なくとこ備えて構成されている。この走査手段は,後述するコントローラ30により駆動制御される。このように構成されることにより,キャリアフィルム1の移動方向(Y1方向)と直行する幅方向全域に渡って,上記シート状のスラリー6aの面密度を測定することが可能となり,面密度の測定精度が向上され得る。
もちろん,上述したような放射線を用いた装置を使用せずに,例えば,上記シート状のスラリー6aの電気的抵抗の変動率に基づき面密度を測定する装置等の他の装置を上記面密度測定器7として用いてもかまわない。
なお,上記シート状のスラリー6aに照射される放射線のエネルギーは,10keV〜40keV程度のいわゆる低エネルギーであることが望ましい。この程度のエネルギーであれば,上記シート状のスラリー6aを透過する放射線のエネルギー減衰量に応じた的確な面密度を測定することが可能となる。
【0014】
放射線の透過率に基づいて上記シート状のスラリー6aの面密度を測定する上記面密度測定器7を用いる本実施の形態では,上記スラリー6には,元素番号12(Mg)以上の元素或いは該元素を構成要素とする化合物を含むものを用いる。
このようなスラリー6を用いるのは,元素番号12以上の元素や該元素を有する化合物による単位面密度あたりの放射線の減衰量が水やアルコール類等の溶媒による単位面密度あたりの放射線の減衰量よりも極めて大きいためである。このようなスラリー6を用いることにより,溶媒による放射線の影響をほとんど受けずに,上記元素や化合物或いはその混合物の上記スラリー6中の面密度を正確に測定することが可能となる。
また,溶媒による放射線の影響を限りなくゼロに近づけて,上記元素等のより正確な面密度を測定するためには,上記元素或いは該元素を構成要素とする上記化合物の上記スラリー6に対する重量比率が50%以上のスラリーを用いるとよい。また,元素番号24以上の元素或いは該元素を構成要素とする上記化合物の上記スラリー6に対する重量比率が50%以上であるスラリーを用いれば,より正確に上記面密度を測定することができる。なお,このようなスラリーを例示すると,ニッケル,銅,鉄,ステンレス,クロム,コバルト,金,銀等の金属類,又は,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,二酸化ケイ素,酸化ジリコニウム,ジルコン,ムライト,コージライト,チタン酸アルミニウム,チタン酸バリウム,フェライト,ニオブ酸リチウム,コバルト酸リチウム,二酸化マンガン,二酸化マンガンリチウム,酸化バナジウム等の酸化物,窒化ケイ素,サイアロン,窒化アルミニウム,窒化チタンなどの窒化物,炭化ケイ素,炭化チタン,炭化タングステン等の炭化物,ホウ化ランタン,ホウ化チタン,ホウ化ジルコニウム等のホウ化物,硫化ガドリニウム,硫化モリブデン等の硫化物,ケイ化モリブデン等のケイ化物,金属水酸化物,金属炭酸化物等を主要成分として含有するスラリーが挙げられる。
【0015】
上記面密度測定器7で測定された面密度は,図示しないA/D変換器等によりデジタル信号に変換された後に,本成形装置X1が具備するコントローラ(担持量調整手段の一例)30に入力される。このコントローラ30は,CPU(中央演算処理装置),RAM,EEPROM,プログラムROM,モータドライバ,その他の制御デバイスや電子デバイス等を備えて構成されている。このコントローラ30は,前記昇降モータ2,前記面密度測定器7の走査手段(不図示),測定された面密度等を表示するディスプレイ11等と接続され,これらを統括的に制御する。
上記コントローラ30(正確には上記コントローラ30が備えるEEPROM)には,少なくとも使用するスラリーに応じて,例えば,以下の表1に示されるように,乾燥前のシート状のスラリー6aの面密度C(g/mm2)と乾燥後のシート状成形体6bのシート厚T(mm)との対応関係がテーブルデータとして記憶されている。
【表1】

上記面密度測定器7で測定された面密度が上記コントローラ30に入力されると,上記コントローラ30では,入力された面密度(即ち測定結果)に応じて前記した昇降モータ2(図1)を駆動制御することにより,キャリアフィルム1上に担持されるスラリー6の担持量を調整する処理を行う。具体的には,上記表1のテーブルデータを参照して,上記コントローラ30のCPUにより,入力された面密度が正常値(c1≦C<c2)の範囲内であるか,或いは異常値(C<c1,c2≦C)であるかどうかが判断され,異常値であると判断された場合に限り,昇降モータ2を駆動制御して,前記した側板4(図1)を昇降させて,ドクターブレード4aとキャリアフィルム1との間隙距離を調整する。例えば,入力された面密度Cが異常値(C<c1)であると判断されると,上記側板4を上昇させるよう上記モータ2が駆動制御され,入力された面密度Cが異常値(c2≦C)であると判断されると,上記側板4を下降させるよう上記モータ2が駆動制御される。
このように,入力された面密度をフィードバック信号として受け入れ,該信号に応じて自動的に上記モータ2をフィードバック制御して上記キャリアフィルム1上に担持されるスラリー6の担持量を調整することにより,所定の面密度を逸脱している場合でも,シート状成形体の製造ラインを停止(オフライン)させることなく,稼働(オンライン)させたままでスラリーの担持量を容易に調整することが可能となる。この結果,スラリーの担持量の調整が迅速に行われるため,スラリーの無駄な消費が軽減され得る。また,調整時間が短縮されるため製造効率が向上され得る。
【0016】
また,上述したように,上記面密度測定器7は,シート状のスラリー6aの幅方向全域の面密度を測定し得るものである。従って,例えば,上記シート状のスラリー6aの幅方向の一方端側の面密度が正常値を示し,他方端側の面密度が異常値を示す場合もあり得る。また,上記シート状のスラリー6aの面密度が正常値を示していても,上記シート状のスラリー6aの幅方向両端の面密度に偏差が生じる場合もあり得る。このような場合にも対応するべく,例えば,上記側板4の一方端側及び他方端側それぞれに昇降モータを設け,入力された一方端側及び他方端側の面密度に応じて上記それぞれの昇降モータを個別に駆動制御するようにすれば,上記側板4の下端部に取り付けられたドクターブレード4aの幅方向両端それぞれと上記キャリアフィルム1との間隙距離を個別に調整することが可能となり,上記キャリアフィルム1上に担持されるスラリー6の担持量の微調整が実現され得る。もちろん,上記側板4を二以上の複数の分割して,分割された側板毎に設けられた昇降モータを個別に駆動制御するものであってもかまわない。
【実施例1】
【0017】
次に,図3を用いて,本発明の実施例1に係るシート状成形体の成形装置X2について説明する。なお,本成形装置X2が備える構成要素のうち,上記実施の形態に係る成形装置X1の構成要素と同じ構成要素については図3中に同一符号を示してその詳細な説明を省略する。
上記成形装置X2の構成と上述の実施の形態に係る成形装置X1の構成との異なるところは,上記成形装置X2には上記成形装置X1が具備する面密度測定器7が設けられておらず,代わりにスラリー収容器5に収容されたスラリー6の密度を測定する密度測定器20(密度測定器の一例)が設けられている点にある。この密度測定器20は,上記スラリー収容器5内のスラリー6に埋設された放射線源8aと,該放射線源8aから照射され上記スラリー6を透過した放射線量を検出する放射線検出器9aと,上記放射線源8aからX線又はγ線等の放射線を放射させると共に,上記放射線源8aから放射された放射線量と上記放射線検出器9aにより検出された放射線量とから放射線の透過率を求め,該求められた透過率に基づいて上記スラリー収容器5内のスラリー6の密度を測定する密度測定器本体7aとを備えて構成されている。もちろん上記密度測定器20は,このように構成されたものに限られず,例えば,上記スラリー収容器5内のスラリー6の電気的抵抗の変動率を求めて,これに基づいてスラリー6の密度を測定するものであってもよい。
このような密度測定器20により測定されたスラリー6の密度と乾燥後の上記シート状成形体6bのシート厚との間にも,一定の相関関係があるため,即ち,密度が大きければ成形されるシート状成形体の厚みが大きくなるという相関関係があるため,測定された上記密度から上記シート状成形体6bの厚さを推測或いは換算することができる。従って,このように配設された密度測定器20により乾燥設備10を経ることなくスラリー6の密度を測定することにより,成形されるシート状成形体6bの良或いは不良を迅速に判断することができる。これにより,例えば,測定された密度に基づいて不良シートが成形されると判定された場合でも,シート状成形体の製造ラインの停止,或いはキャリアフィルム1上に担持させるシート状のスラリー6aの量の調整等の処置を迅速に行うことが可能となる。その結果,スラリーがキャリアフィルム1に担持される前にドクターブレード4aが調整されるため,スラリーの無駄な消費が軽減され得る。
なお,上記成形装置X2の密度測定器20と上述した実施形態における成形装置X1の面密度測定器7とが併設された成形装置であれば,これらの測定器により測定された密度及び面密度の両方に基づいて成形されるシート状成形体6bの良或いは不良をより的確に判定することができるため好ましい。
【実施例2】
【0018】
続いて,本発明の実施例2に係るシート状成形体の成形装置X3(不図示)について説明する。実施例2に係る成形装置X3は,上述した実施形態及び実施例1の成形装置X1及びX2と大きく異なるところはないが,シート状成形体を成形する方法として,いわゆる湿式抄造法が用いられる点が異なる。そのため,構成上において,本実施例2の成形装置X3は,前記キャリアフィルム1に代えてフェルト或いはフェルト上の通水性を有する材料で形成された抄造ベルトが用いられる点,前記乾燥設備10の上記抄造ベルトの移動方向上流側に上記抄造ベルトを通してスラリー6に含まれる溶媒を強制的に吸引して脱水する脱水設備(流動体脱水乾燥手段の一例)が設けられている点,前記したスラリー収容器5の側板4(図1参照)の上記抄造ベルトの移動方向下流側であって,上記脱水設備より上記キャリアフィルム1の移動方向上流側に,前記した面密度測定器7が配設されている点が上述の実施形態及び実施例1の成形装置X1及びX2とは異なる。なお,上記成形装置X3における他の構成要素については上記成形装置X1及びX2と同じであるため,上述した実施形態及び実施例1の説明を参照されたい。なお,本実施例2では上記脱水設備を設けている例について説明するが,上記脱水設備は上記成形装置X3に必須のものではなく,必要に応じて設置されるものである。
このように構成された成形装置X3であっても,脱水或いは乾燥前のスラリーの密度若しくは面密度又はその両方を測定することにより,例えば,スラリー収容器5内のスラリーの密度が,主要元素や化合物の沈殿,溶媒の自然蒸発或いは,濃度の異なる新たなスラリーの混入等により変動したことにより,不良シートが成形されると判定された場合でも,シート状成形体の製造ラインの停止,或いは抄造ベルト上に担持させるシート状のスラリーの担持量の調整等の処置を迅速に行うことができるため,スラリーの無駄な消費が軽減され得る。
【実施例3】
【0019】
上述した実施形態及び各実施例では,ドクターブレード法により前記キャリアフィルム1(図1)や前記抄造ベルトにスラリーを担持させてシート状成形体を得る手法について説明してきたが,本発明は上記ドクターブレード法によるものに限定されることはない。例えば,図4に示すように,駆動ローラ43により駆動するベルトコンベア等の搬送ベルト41上をY1方向に移動する鋳型42にスラリー6をスラリー供給装置44により流し込み,鋳型42に流し込まれたスラリー6を脱水或いは乾燥させるいわゆるスラリキャスト法(スラリー鋳込み法)によりシート状成形体を成形する成形装置X4にも本発明を適用することが可能である。なお,本成形装置X4が備える構成要素のうち,上記各構成要素以外の構成要素については,図4中に上述の実施形態X1の構成要素と同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記スラリー供給装置44としては,内部にスラリー6を収容する容器と,コントローラ30による制御信号に応じて収容するスラリー6の供給タイミングと供給量を調整するモータやモータドライバ等を有する公知の装置が用いられる。また,このように構成された成形装置X4に抄造法を適用する場合は,上記搬送ベルト41に抄造ベルトを用い,底部を通水性のあるフェルト等の材質で形成された鋳型42を用いることも考えられる。このような成形装置X4であっても,上記鋳型42に流し込まれたスラリーの密度若しくは面密度またはその両方を測定することにより前記した課題,即ち,スラリーの無駄な消費を軽減することができる。また,上記スラリー供給装置44のスラリーの供給量を製造ライン稼働中でも適正量に容易に調整されるため,製造効率を向上させることができる。
【0020】
本発明は,ドクターブレード法を用いて湿式成形法或いは湿式抄造法によりセラミックシート,電極板,研磨シート,磁気テープ,セラミック繊維等からなる建材用の無機質ボード,多孔金属シート,保護フィルム,樹脂シート,シール材等のシート状成形体を成形する成形方法及びその成形装置,又は,シート状成形体や各種機器或いは機材に均一厚さの塗料或いは樹脂等のコーティング材(塗料)をコーティング(塗工)する方法及びその装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート状成形体の成形装置X1の概略構成を示す模式図。
【図2】上記成形装置X1を説明するための斜視図。
【図3】本発明の実施例1に係るシート状成形体の成形装置X2の概略構成を示す模式図。
【図4】本発明の実施例3に係るシート状成形体の成形装置X4の概略構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0022】
1…キャリアフィルム(平面胆持体に相当)
2…昇降モータ
3…バッキングロール
4…側板
4a…ドクターブレード
5…スラリー収容器(流動体収容器に相当)
6…スラリー(流動体の一例)
6a…シート状のスラリー(シート状の流動体に相当)
6b…シート状成形体
7…面密度測定器(密度測定器の一例)
8…放射線源
9…放射線検出器
10…乾燥設備(流動体脱水乾燥手段の一例)
11…ディスプレイ
20…密度測定器(密度測定器の一例)
30…コントローラ(担持量調整手段の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも溶媒と該溶媒より比重の大きい元素或いは該元素を構成要素とする化合物とを含み,流動体収容器に収容された流動体を上記流動体収容器から排出して平面担持体上にシート状に連続的に担持させ,該担持されたシート状の流動体を脱水及び/若しくは乾燥させて上記元素を含んでなるシート状成形体を成形するシート状成形体の成形方法において,
上記担持されたシート状の流動体を脱水及び/若しくは乾燥させる前に,上記流動体収容器に収容された上記流動体に含まれる上記元素或いは化合物の密度及び/若しくは上記平面担持体上に担持されたシート状の流動体に含まれる上記元素或いは化合物の面密度を測定することを特徴とするシート状成形体の成形方法。
【請求項2】
上記流動体に放射線を照射させ,該流動体を透過する上記放射線の透過率に基づいて上記流動体収容器に収容された上記流動体に含まれる上記元素或いは化合物の密度及び/若しくは上記平面担持体上に担持されたシート状の流動体に含まれる上記元素或いは化合物の面密度を測定する請求項1に記載のシート状成形体の成形方法。
【請求項3】
上記流動体に照射される放射線が,10〜40keVのエネルギーのX線或いはγ線である請求項2に記載のシート状成形体の成形方法。
【請求項4】
上記元素が,元素番号12以上の元素である請求項1〜3のいずれかに記載のシート状成形体の成形方法。
【請求項5】
上記元素或いは該元素を構成要素とする上記化合物の上記流動体に対する重量比率が略50%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のシート状成形体の成形方法。
【請求項6】
上記流動体収容器に収容された上記流動体に含まれる上記元素或いは化合物の密度及び/若しくは上記平面担持体上に担持されたシート状の流動体に含まれる上記元素或いは化合物の面密度の測定結果に応じて,上記平面担持体上に担持される上記シート状の流動体の担持量を調整する請求項1〜5のいずれかに記載のシート状成形体の成形方法。
【請求項7】
溶媒と該溶媒より比重の大きい元素或いは該元素を構成要素とする化合物とを含んでなる流動体を収容する流動体収容器と,
上記流動体収容器に収容された上記流動体を上記流動体収容器から排出して平面担持体上にシート状に連続的に担持させる流動体担持手段と,
上記流動体担持手段により担持されたシート状の流動体を脱水及び/若しくは乾燥させて上記元素を含んでなるシート状成形体を得る流動体脱水乾燥手段と,
を備えてなるシート状成形体の成形装置において,
上記流動体乾燥手段によって上記担持されたシート状の流動体を脱水及び/若しくは乾燥させる前に,上記流動体収容器に収容された上記流動体に含まれる上記元素或いは化合物の密度及び/若しくは上記平面担持体上に担持されたシート状の流動体に含まれる上記元素或いは化合物の面密度を測定する密度測定手段と,
上記密度測定手段による測定結果に基づいて上記流動体担持手段による上記流動体の担持量を調整する担持量調整手段と,
を具備してなることを特徴とするシート状成形体の成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−21364(P2006−21364A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199812(P2004−199812)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000100517)アースニクス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】