説明

シート積載装置

【課題】シート揃え時の生産性およびシートの揃え精度を向上する。
【解決手段】処理対象のシートを受け入れて一時積載するシフトトレイ102と、所定のシート束単位でシフトトレイ102上の積載位置をシフトさせつつシートを搬送し、シフトトレイ102に積載されているシート束の両側部に、駆動機構によりメインジョガー210F、210Rをそれぞれ突き当ててシート束の揃えを行なうとともに、複数の駆動機構を制御し、積載位置の切り替え時に、メインジョガー210毎にそれぞれ独立してシフト動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、あるいは複合機などの画像形成装置の排紙側、あるいはステープルや穴あけ、紙折りなどのシート(用紙)の後処理を行なう用紙後処理装置の排紙側に配置可能なシート積載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば複写機などの画像形成装置の排紙側に、当該装置から排紙されるシートを受け入れ、昇降可能な排紙トレイに比較的大量のシートを積載するシート積載装置が知られている。
【0003】
従来の画像形成装置においては、画像形成の高速化が図られており、この高速化に伴い画像形成装置本体から排出されるシートも高速化している。この結果、排出されたシートを揃えて積載するシート積載装置においても、大容量のみならず、高速かつ高精度にシートを揃えることが望まれている。
【0004】
ところで、特許文献1記載のシート媒体整合装置においては、一対の揃え部材をシートの幅方向に駆動するシフト動作を一つのステッピングモータで行う構成を採っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−197198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、シフト動作を行うと、一対の揃え部材が同時にシフト動作を行うこととなり、揃え部材間の距離が、シート幅に対して十分な余裕がない場合にシフト動作を行うと、次に搬送(排出)されてきたシートと揃え部材が接触する恐れがあった。
これを回避するために、揃え部材間の距離が、シート幅に対して十分な余裕を持つように制御を行うと、シフト動作に移行するまでに時間がかかり、ひいては、生産性が低下してしまう恐れがあった。
【0007】
本発明は、揃え部材のシフト動作に要する時間を低減するとともに、揃え部材が搬送中のシートに接触する恐れを低減して、生産性およびシートの揃え精度の向上を図ることが可能なシート積載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、処理対象のシートを受け入れて一時積載するトレイと、所定のシート束単位で前記トレイ上の積載位置をシフトさせつつシートを搬送する搬送手段と、複数の揃え部材と、各揃え部材をそれぞれ駆動する複数の駆動機構を有し、トレイに積載されているシート束の両側部に、駆動機構により揃え部材をそれぞれ突き当ててシート束の揃えを行なうシート揃え手段と、前記複数の駆動機構を制御し、積載位置の切り替え時に、前記揃え部材毎にそれぞれ独立してシフト動作を行わせる制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、揃え部材にそれぞれ独立して退避動作を行わせるので、各揃え部材のシフト動作に要する時間を減少して生産性を向上できるとともに、シートの搬送動作と、揃え部材のシフト動作が同時に行われる可能性が低くなり、シートの揃え精度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施形態にかかる用紙積載装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、スタッカの概要構成説明図である。
【図3】図3は、シートの積載位置をシフトするシフト搬送機構部の概要構成図である。
【図4】図4は、先端揃え部の構成を示す説明図である。
【図5】図5は、図2におけるスタッカのメインジョガーの構成を示す説明図である。
【図6】図6は、図2におけるスタッカのメインジョガーの構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、メインジョガーの揃え部の構成を示す説明図である。
【図8】図8は、シフト排紙モード時の動作説明図である。
【図9】図9は、シフト排紙モード時の動作タイミングチャートである。
【図10】図10は、サブジョガー機構部の構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるシート積載装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、この実施の形態にかかる用紙積載装置のシステム構成を示すブロック図である。この図1において、この実施の形態にかかるシート積載装置(以下、スタッカという)100は、複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置500の排紙側に機械的および電気的に接続され、画像形成処理システムとして構築されている。
図2は、スタッカの概要構成説明図である。
【0013】
まず、スタッカ100の構成について説明する。
スタッカ100は、スタッカ100全体を制御するメイン制御部10と、シート(用紙)搬送路の切替を行う分岐爪切替部20と、プルーフ排紙機構23と、ストレート排紙機構26と、シフト排紙機構30とを備えている。
【0014】
メイン制御部10は、図示しないCPU、ROM、RAM、タイマーなどを含むマイクロコンピュータシステムとして構成されている。メイン制御部10は、画像形成装置500のシステムコントローラ501からの制御信号にしたがった所定の動作モード、すなわち、プルーフ排紙モード、ストレート排紙モード、シフト排紙モードに基づいてスタッカ100の各部を制御する。なお、これらの動作モードについては、後に詳述する。
【0015】
メイン制御部10は、スタッカ100を構成する駆動系に対してROM内に格納されたプログラムに従って、駆動制御を実行する。
【0016】
分岐爪切替部20は、分岐爪を駆動して、実際にシートを搬送するシート搬送路を切り替える駆動部21と、メイン制御部10の制御下で駆動部21の制御を行う駆動制御部22と、を備えている。
【0017】
プルーフ排紙機構23は、動作モードがプルーフ排紙モードである場合に、プルーフ排紙機構23を構成する各部を駆動する駆動部24と、メイン制御部10の制御下で駆動部24を制御する駆動制御部25と、を備えている。
【0018】
ストレート排紙機構26は、動作モードがストレート排紙モードである場合にストレート排紙機構26を構成する各部を駆動する駆動部27と、メイン制御部10の制御下で駆動部27を制御する駆動制御部28と、を備えている。
【0019】
シフト排紙機構30は、シートの先端の整合を行うための先端揃え部70と、先端揃え部70の各部を駆動する駆動部41と、メイン制御部10の制御下で駆動部41を制御する駆動制御部42と、積載されたシートにより構成されるシート束のシートの搬送方向とは直交する方向(シートの幅方向;シートの左右方向)を揃えるメインジョガー機構部200と、メインジョガー機構部200を構成する各部を駆動する駆動部221と、メイン制御部10の制御下で駆動部221を制御する駆動制御部222と、積載されたシートにより構成されるシート束のシートの搬送方向(シートの前後方向)を揃えるサブジョガー機構部300と、サブジョガー機構部300を構成する各部を駆動する駆動部321と、メイン制御部10の制御下で駆動部321を制御する駆動制御部322と、シートをシートの搬送方向と直交する方向(シートの幅方向;副走査方向)にシフトさせた位置に排紙し、シート束単位でシフト方向を変更して仕分けるシフト機構部350と、シフト機構部350を構成する各部を駆動する駆動部351と、メイン制御部10の制御下で駆動部351を制御する駆動制御部352と、シートを積載するためのトレイ機構部400と、トレイ機構部400を構成する各部を駆動する駆動部401と、メイン制御部10の制御下で駆動部401を制御する駆動制御部402と、を備えている。
【0020】
次に画像形成装置の構成について説明する。
画像形成装置500は、画像形成装置500の全体制御および周辺機器との制御信号のやり取りを司るシステムコントローラ501と、ユーザによる各種の入力設定および装置の状態などを表示する操作表示部502と、作像プロセスを用い、画像データに応じて最終的に用紙上に画像を形成する作像エンジン503と、を備える。
【0021】
次に実施形態の動作を説明する。
スタッカ100は、図示しない画像形成装置から排紙されたシートを矢印A方向から導入する。
スタッカ100の動作モードとしては、プルーフ排紙モード、ストレート排紙モード及びシフト排紙モードの三つの動作モードのいずれかを選択可能となっている。
【0022】
プルーフ排紙モードは、第1シート搬送路L1を介してプルーフトレイ101上にシートを導いてスタックする動作モードである。
【0023】
ストレート排紙モードは、第2シート搬送路L2を介して、後段に備えられた他の用紙後処理装置(例えば、ステープラ、スタッカ等)シートを導く動作モードである。
【0024】
シフト排紙モードは、第3シート搬送路L3を介して、シフトトレイ102上にシートを排出してスタックする動作モードである。このシフト排紙モードにおいては、駆動制御部352が、メイン制御部10の制御下で駆動部351を制御する。
これにより、駆動部351は、シフト機構部350を駆動して、シートをシートの搬送方向と直交する方向(シートの幅方向;副走査方向)にシフトさせた位置に排紙し、シート束単位でシフト方向を変更して仕分けることにより、第1シフトトレイ102上の互いに異なるシフト位置にシートをスタックする。
【0025】
シフトトレイ102は、昇降可能なエレベータ103上に載置されている。
そして、トレイ機構部400を構成する第1エレベータ103は、駆動部401を構成する計4本のタイミングベルト104によって四隅が吊られており、タイミングベルト104のそれぞれは、駆動部401を構成する対応するタイミングプーリ105に巻き付けられている。
【0026】
各タイミングプーリ105は、駆動部401としての複数のギヤから構成されるギヤ列107とウォームギヤ106とによって連係されており、駆動部401としてのトレイ昇降モータ109の駆動力によって同期的に回転されることによって、シフトトレイ102とともにエレベータ103を昇降させる。ここで、動力伝達系統がウォームギヤ106を介しているため、シフトトレイ102を一定位置に保つことが可能となっている。すなわち、動力の伝達を行っていない場合でも、シフトトレイ102が自重で下がってしまうようなことがなく、一定位置に保持される。
【0027】
エレベータ103を最下位置まで下降させた場合には、シフトトレイ102を台車108上に載置することにより、シフトトレイ102上に積載されたシートをシフトトレイ102とともに台車108によって搬出できるようになっている。なお、シフトトレイ102は、スタッカ100の筐体内に収容されており、筐体に設けられている図示しない開閉扉を開かなければ触れることができないようになっている。
【0028】
パドル110は、第3シート搬送路L3中の排紙ローラ111に連動して図2の視点では反時計回り方向に、図3の視点では時計回り方向に回転し、シフトトレイ102上に排出されるシートの後端近傍を叩いて下方に押し付ける。シフトトレイ102上に積載されたシートはフィラー112を押し上げる。光学式の紙面センサS3は、フィラー112の動きに基づいてシフトトレイ102上に積載されているシートの最上面の位置が紙面センサS3の所定の基準位置から所定の高さ以上となっているか否かを検出する。
【0029】
紙面センサS3がオン状態となっているとき、すなわち、シフトトレイ102上に積載されているシートの最上面の位置が所定の基準位置から所定の高さ以上となっている場合には、トレイ昇降モータ109によってシフトトレイ102を下降させる。そして、シフトトレイ102が下降した結果、紙面センサS3がオフ状態となると、トレイ昇降モータ109が停止することとなる。
【0030】
したがって、シフトトレイ102上にスタックされた用紙によって紙面センサS3がオンとなるたびに、シフトトレイ102が所定の高さだけ下降することとなる。
【0031】
また、スタッカ100は、シート搬入口に備わってシートの通過を検出するための用紙搬送パスセンサ(以下、入口センサ)S1、第3シート搬送路L3中におけるシートの通過を検出するための用紙搬送パスセンサ(以下、排紙センサ)S2を備えている。また、排紙ローラ111には、ばねによって付勢された従動ローラ113が圧接されており、これらの排紙ローラ111および従動ローラ113の間にシートが挟み込まれて搬送される。
【0032】
図3は、シートの積載位置をシフトするシフト排紙機構の概要構成図である。
シフト排紙機構30は、図3に示すように、シフトトレイ102側および第2シフトトレイ102Bに対応させてそれぞれ設けられている。そして、各シフト排紙機構30は、排紙ローラ111と従動ローラ113とを図2の矢印方向(矢印G1は、図2におけるスタッカ100の手前側、矢印G2はスタッカ100の奥側に相当)に所定量移動させることによって、シフトトレイ102上におけるシートの排出位置を、図2中、手前側又は奥側にシフトする。
【0033】
すなわち、図3に示すように、シフト排紙機構30のホルダ51と、ホルダ52とは、軸53及び軸54により互いに連結され、一体となって、矢印G1、G2方向に移動する。このとき、排紙ローラ111を支持する回転軸111AXと、従動ローラ113を支持する回転軸113AXとは、ホルダ51及びホルダ52により回転可能に支持されている。この結果、ホルダ51及びホルダ52が一体となって、矢印G1、G2方向にシフト移動されると、排紙ローラ111及び従動ローラ113も矢印G1、G2方向に移動されることとなる。
【0034】
これと並行して、排紙ローラ111は、矢印G1、G2方向の移動位置に関わらずステッピングモータ55によって回転される。すなわち、排紙ローラ111には、回転軸AXを介して従動ギヤ56が取り付けられており、この従動ギヤ56は、ステッピングモータ55によって回転される駆動ギヤ60に、は、排紙ローラ111の矢印方向の移動位置に関わらず、ギヤ57、58及びベルト59を介して連動して、排紙ローラ111を回転させ、ひいては、従動ローラ113も回転させることとなる。
【0035】
また、ホルダ51にはラック61が設けられており、ラック61はピニオン62を介してシフトモータ63に連結されている。排紙ローラ111と従動ローラ113は、図2に示す中心位置から矢印G1、G2方向に所定量(例えば、10mm)ずつスライドしてシフト可能である。
【0036】
また、排紙ローラ111及び従動ローラ113のホームポジションは、シート搬送路の中央部に設定されており、ピニオン62に連動する遮光板62Aが、光学式のホームポジションセンサS4を構成する検出光送出部S4Tから検出光受光部S4Rに至る検出光を遮っているか否かによってホームポジションにあるか否かが検知される。そして、ホームポジションを基準として、シフトモータ63を所定量回転させることにより、排紙ローラ111及び従動ローラ113が所定のシフト位置に移動する。
【0037】
次に先端揃え部70の構成について説明する。
図4は、先端揃え部の構成を示す説明図である。
先端揃え部70は、図4に示すように、シフトトレイ102上に排出されるシートの先端部を揃えるための機構であり、矢印H1,H2方向(図2及び図4参照)に位置調整可能なストッパ71を備えている。
【0038】
ストッパ71はスライダ72に取り付けられており、スライダ72は、図4のように、矢印H1方向に延在するシャフト73にスライド可能にガイドされている。
【0039】
スライダ72は、プーリ74,75の間に掛け渡されたベルト76に連結されている。そして、モータ77によってベルト76が移動することにより、スライダ72がストッパ71と共に矢印H1方向に移動して、その位置が調整される。スライダ72には遮蔽板78が備えられており、ストッパ71がホームポジションに移動したときに、その遮蔽板78が光学式のホームポジションセンサS5によって検出される。
【0040】
シフトトレイ102への排出時にストッパ71に突き当たった用紙は、パドル110によって下方かつ搬送方向の後方へと付勢され、突き当て部64に突き当たる。
【0041】
つぎにメインジョガー機構部200の構成について説明する。
図5は、図2におけるスタッカのメインジョガーの構成を示す説明図である。
図6は、図2におけるスタッカのメインジョガーの構成を示す斜視図である。
図7は、メインジョガーの揃え部の構成を示す説明図である。
【0042】
メインジョガー機構部200は、幅方向(用紙排出方向と垂直で水平な方向)の移動を制御するステッピングモータ201と、ステッピングモータ202と、上下方向移動を制御する第1ステッピングモータ203F及び第2ステッピングモータ203Rと、を備えている。
【0043】
またメインジョガー機構部200は、第1ステッピングモータ203Fのギヤと噛み合わされたギヤ204Fと、ギヤ204Fが取り付けられる第1回転軸205Fと、第1回転軸205F及び後述の第2回転軸205Rと平行に設けられた駆動軸206と、駆動軸206に連結された第1スライダ207Fと、第1スライダ207Fがホームポジションにあるか否かを検出するセンサS6Fと、第1回転軸205Fの回転状態を示しギヤ204Fに設置されたフィラー208Fと、フィラー208Fを検出するセンサS7Fと、を備えている。
【0044】
さらにメインジョガー機構部200は、第2ステッピングモータ203Rのギヤと噛み合わされたギヤ204Rと、ギヤ204Rが取り付けられる第2回転軸205Rと、駆動軸206に連結された第2スライダ207Rと、第2スライダ207Rがホームポジションにあるか否かを検出するセンサS6Rと、第2回転軸205Rの回転状態を示しギヤ204Rに設置されたフィラー208Rと、フィラー208Rを検出するセンサS7Rと、を備えている。
【0045】
本構成では、メインジョガー機構部200は、メインジョガー210Fと、メインジョガー210Rと、の互いの対向間隔(図5における左右方向の間隔)が広くなったり、狭くなったりするように駆動する。
【0046】
また、メインジョガー機構部200の第1ステッピングモータ203F及び第2ステッピングモータ203Rは、メインジョガー210F及びメインジョガー210Rをそれぞれ独立して上下方向(シート上面に対して離接する方向)に駆動する。センサS7Fにてフィラー208Fが検出される状態がメインジョガー210Fのホームポジションであり、メインジョガー210Fは下がった状態位置となる。また、センサS7Rにてフィラー208Rが検出される状態がメインジョガー210Rのホームポジションであり、メインジョガー210Rは下がった状態位置となる。
【0047】
メインジョガー210Fは、図6中、回転軸205が反時計回り(CCW)に回転することにより、第1回転軸205Fを中心として回動し、先端210FTが弧を描くように上昇する。回動量は任意であるが、他の部材との衝突を避けるために50〜60°程度とすると良い。同様に、メインジョガー210Rは、図6中、回転軸205が反時計回り(CCW)に回転することにより、第2回転軸205Rを中心として回動し、先端210RTが弧を描くように上昇する。この場合においても、回動量は任意であるが、他の部材との衝突を避けるために50〜60°程度とすると良い。
【0048】
図6に示すように、対となるメインジョガー210F及びメインジョガー210Rは、板状体として構成されている。
メインジョガー210Fの揃え部211F及びメインジョガー210Rの揃え部211Rは、これらがメインジョガー210F、210Rの最下部に位置し、互いの対向面は平坦でありシフト方向G1,G2と直交する。なお、メインジョガー210F、210Rは、下端が突き当て部64よりも下方に位置するように設置されている。
【0049】
上述したように、揃え部211F、211Rを、互いの対向面がシフト方向G1,G2と直交する平坦面となるように構成したことにより、メインジョガー210F、210Rをシフト方向G1又はシフト方向G2に移動することによって、シフトトレイ102上に積載された用紙の端面に揃え部211F、211Rを確実に接離させて用紙束を揃えることができる。
【0050】
メインジョガー210F、210Rは、図7に示すように、図2に示した排紙ローラ111から排出された用紙を対向間隔内に導く際に、排出される用紙との干渉を避けるために、各揃え部211F、211Rの回転軸205に近い部分が揃え部211F、211Rの対向間隔よりも広くなるように逃げ部212F、212Rが段状に形成されている。
【0051】
メインジョガー210F、210Rは、第1スライダ207F、第2スライダ207Rによって根元を挟んで押さえつけるように構成されており、第1スライダ207F、第2スライダ207Rの位置によってメインジョガー210F、210Rが所定位置より下方には垂れ下がらないようになっているが、上方向には移動が自由となっている。
【0052】
ここで、動作モードがシフト排紙モードである場合に、シフトトレイ102にシートを積載する場合の動作について説明する。
図8は、シフト排紙モード時の動作説明図である。
また、図9は、シフト排紙モード時の動作タイミングチャートである。
まず、メイン制御部10は、分岐爪切替部20の駆動制御部22を介して、駆動部21を駆動して分岐爪を第3シート搬送路L3側にシートが搬送可能な状態とする。
これにより、入口ローラ114(図2参照)によりスタッカ100内に導入されたシートは、シフトトレイ102に搬送可能となる。
【0053】
この場合において、メインジョガー210F、210Rは、図8(a)に示すように、排紙ローラ111から排出されるシート(用紙)を受け入れることができる所定の対向間隔を空けた揃え待機位置(受け入れ位置)で待機している。
【0054】
そして、メイン制御部10は、シート(用紙)が排紙ローラ111によって排出されシフトトレイ102に積載されると、ステッピングモータ201及びステッピングモータ202を駆動して、時刻t1において、図8(b)に示すように、ステッピングモータ202の駆動を開始し、メインジョガー210Rにおいて、メインジョガー210Fとの対向間隔を狭める動作を開始し(ステップS205)、メインジョガー210Rを揃え待機位置からシート(用紙)の端面に突き当てる揃え動作を行う。
【0055】
同様にメイン制御部10は、時刻t2において、図8(b)に示すように、ステッピングモータ201の駆動を開始し、メインジョガー210Fにおいて、メインジョガー210Rとの対向間隔を狭める動作を開始し(ステップS200)、メインジョガー210Fを揃え待機位置からシート(用紙)の端面に突き当てる揃え動作を行う。
【0056】
次にメイン制御部10は、ステッピングモータ201及びステッピングモータ202を駆動して、図8(c)に示すように、メインジョガー210F、210Rの対向間隔を広げる離間動作を行い(ステップS201、ステップS206)、メインジョガー210F、210Rを揃え待機位置に復帰させる。
【0057】
そして、ステップS200→ステップS201、ステップS205→ステップS206の一連の揃え動作を繰り返し行うことによりシート(用紙)の端面を揃える。
【0058】
一方、排紙ローラ111は、シート(用紙)ごとに矢印G1方向に所定量のシフト動作を繰り返しながらシフトトレイ102に積載する第一のシート束(用紙束:図8では、シート束PS2)を構成する所定枚数のシートの排出を終了する。
【0059】
これにより、メイン制御部10は、次のシート束PS3を構成するシートPを受け入れるべく、シートの積載位置、すなわち、シフト位置を切り替えるべく、メインジョガー210Rの退避動作を、メインジョガー210Fの退避動作に先立って行う。
【0060】
すなわち、メイン制御部10は、時刻t3において、図8(d)に示すように、ステッピングモータ201を駆動して、メインジョガー210Fをメインジョガー210Rとの対向間隔を広げる退避動作(ステップS201)を開始した段階で、ステッピングモータ202を駆動することによるメインジョガー210Rをメインジョガー210Fとの対向間隔を広げる離間動作を同時に開始することとなるが、時刻t4において、図8(d)に示すように、ステッピングモータ202の駆動を停止し、これと同時に第2ステッピングモータ203Rを駆動して、メインジョガー210Rをシート束PS2の上面から上方に離間する方向に駆動する退避動作を開始する(ステップS207)。これは、用紙束PS2の端面からの離間距離がメインジョガー210Rの方が、メインジョガー210Fよりも少なくなっているということである。
【0061】
続いて、時刻t5において、図8(e)に示すように、ステッピングモータ201の駆動によるメインジョガー210Fをメインジョガー210Rとの対向間隔を広げる離間動作(ステップS201)が完了すると、メイン制御部10は、第1ステッピングモータ203Fを駆動して、メインジョガー210Fをシート束PS2の上面から上方に離間する方向に駆動する退避動作を開始する(ステップS202)。
【0062】
そして、時刻t6において、図8(e)に示すように、メインジョガー210Rの上方への退避動作が完了すると、メイン制御部10は、ステッピングモータ202を駆動し、メインジョガー210Rをメインジョガー210Fとの対向間隔が狭まるシフト動作を行い、メインジョガー210Rを所定の揃え待機位置まで移動する(ステップS208)。
【0063】
同様に、時刻t7において、メインジョガー210Fの上方への退避動作が完了するとメイン制御部10は、ステッピングモータ201を駆動し、図8(f)に示すように、メインジョガー210Fをメインジョガー210Rとの対向間隔が拡がる方向に駆動する離間動作を行い、所定の揃え待機位置まで移動する(ステップS203)。
【0064】
そして、メイン制御部10は、時刻t8において、図8(f)に示すように、メインジョガー210Rの所定の揃え待機位置までの移動が完了すると、第2ステッピングモータ203Rを駆動して、メインジョガー210Rをシート束PS2の上面に近接する方向に駆動し、メインジョガー210Rをシート束PS2の上面に当接させる(ステップS209)。
【0065】
同様に、メイン制御部10は、時刻t9において、図8(g)に示すように、メインジョガー210Fの所定の揃え待機位置までの移動が完了すると、第1ステッピングモータ203Fを駆動して、メインジョガー210Fをシフトトレイ102の内底面に近接する方向に駆動し、メインジョガー210Fをシフトトレイ102の内底面に当接させて揃え待機位置とする(ステップS204)。
【0066】
そして、メイン制御部10は、図8(h)に示すように、シート束PS3を構成するシートPが排紙ローラ111によって排出されシフトトレイ102に積載されると、ステッピングモータ201及びステッピングモータ202を駆動して、ステッピングモータ202の駆動を開始し、メインジョガー210Rにおいて、メインジョガー210Fとの対向間隔を狭める動作を開始し、メインジョガー210Rにシート束PS2上を移動させて、揃え待機位置からシートPの端面に突き当てる揃え動作を行う。同様にメイン制御部10は、ステッピングモータ201の駆動を開始し、メインジョガー210Fにおいて、メインジョガー210Rとの対向間隔を狭める動作を開始し(ステップS200)、メインジョガー210Fを揃え待機位置からシートP及びシート束PS1の端面に突き当てる揃え動作を行う。
【0067】
以下、同様にして、シート束毎に揃え動作を繰り返し、メイン制御部10は、矢印G2方向に所定量のシフト動作を繰り返させて、シフトトレイ102に次のシート束(用紙束)を積載していく。シフト方向の切り替えの際、メインジョガー210F、210Rが退避回転位置に移動することにより、揃え部211F、211Rが退避した状態となり、この状態の下でメインジョガー210F、210Rがシフト動作を行う。
【0068】
例えば、排紙ローラ111がメインジョガー210F側にシフトされる場合、メインジョガー210Rはシフトトレイ102上に積載された排出シートの奥側の側面、かつ、シフトトレイ102上に積載されている前回、シフト排紙されたシート束(用紙束)の上面に当接する位置に配置されることとなる。
【0069】
他方のメインジョガー210Fは、シフトトレイ102に積載されている用紙手前側面に位置し、上下位置としてはホームポジションをとっている。排紙ローラ111のシフト方向が逆方向となるたびに回転軸205に取り付けられたアーム209F、209Rがメインジョガー210F、210Rの根元を下に押し付ける方向に回転させることにより、退避位置へ移動させる。
【0070】
シフト動作を行うたびに、反対側の揃え部材を前回揃えたシート束(用紙束)上に当接させる(乗せる)ようにし、排出されたシート束(用紙束)を揃えていく。このとき、メインジョガー210F、210Rによって用紙がずれない摩擦係数に設定することで、用紙を安定して揃えることが可能となる。よって、メインジョガー210F、210Rを低摩擦の樹脂(PTFEなど)を用いて形成することが好ましい。
【0071】
また、メインジョガー210F、210Rの上方への退避量(退避距離)については、センサS7によりフィラー208を検出するホームポジションからの退避量(退避距離)となるため、その量は常に一定となる。
この場合において、ホームポジションからシフトトレイ102に積載されているシート束の最上面+α(遊び)の移動(上昇)をさせないと、シフト動作してくる積載された用紙束と干渉(接触)して、揃え束が崩れてしまうこととなる。
【0072】
ところで、遊びαの値は、シフトトレイ102に積載されているシート束の最上面からメインジョガー210F、210Rの上方への機械的な限度である最上昇位置までの間の距離を上限とするが、αの値が大きければ検出用紙のカールや折れによる膨らみに対する対応の余裕度は増えるが、次のシート(用紙)を受け入れ可能な位置(ホームポジション)への復帰に時間がかかってしまうため、紙間を詰める(排紙間隔を短くする)こととのトレードオフを考慮して最適な値を設定することとなる。
【0073】
図10は、サブジョガー機構部の構成の説明図である。
サブジョガー機構部300は、シフトトレイ102あるいは第2シフトトレイ102B上に排出されるシートの先端を揃えるための機構であり、ステッピングモータ301によって幅方向に位置調整可能なサブジョガー310F、310Rを備えている。
【0074】
サブジョガー310F、310Rは、それぞれスライダ311F、311Rに取り付けられており、スライダ311F、311Rは、幅方向に延伸するシャフト302、303にスライド可能に案内されている。スライダ311F、311Rは、プーリ304、305の間に架け渡されたベルト306に連結されている。ステッピングモータ301によってベルト306が駆動されることにより、スライダ311F、311Rがサブジョガー310F、310Rとともに幅方向に移動する。
スライダ311F、311Rがホームポジションに移動したときに、図示しない光学式のホームポジションセンサによって検出される。
【0075】
以上の説明のように、本実施形態によれば、メインジョガー210F、210Rにそれぞれ独立してシフト動作を行わせるので、各揃え部材のシフト動作量を減少して生産性を向上できるとともに、シートの搬送動作と、揃え部材の退避動作が同時に行われる可能性が低くなり、シートの揃え精度を確保できる。
さらには、メインジョガー210F、210Rにそれぞれ独立して離間動作を行わせるので、離間距離を短くでき、生産性を向上できる。
【0076】
また、本実施形態においては、シフトトレイ102の動作を通紙中は下降させるだけとすることによりトレイの動作回数を減らしているため、第1トレイ昇降モータ109Aの長寿命化を図ることができる。
また、シフトトレイ102の動作自体を少なくすることによって、省エネルギー化を図ることも可能となっている。
【0077】
ところで、排紙トレイが外部にあり、排紙中の用紙にユーザが常時触れることのできる装置の場合は、用紙を排出している途中でユーザが排紙トレイの用紙を取る可能性がある。したがって、トレイの位置を検出するセンサを用いて常にトレイの位置を監視することで用紙が抜き取られたことを検知し、用紙が取り除かれた場合にはトレイを上昇させる必要があった。
【0078】
本実施形態に係るシート積載装置では、上下方向に移動する排紙トレイであるシフトトレイ102は筐体内に収容されており、筐体に設けられた扉を開かない限りユーザがシフトトレイ102から用紙を取り除くことができない。また、用紙が抜き取られた場合には、扉が閉まった後で上昇させれば良いことから、シフトトレイ102の位置を常に監視する必要は無い。
【0079】
また、通紙中は、シフトトレイ102に積載された用紙とパドル110とが何度も接触を繰り返すが、シフトトレイ102が上昇するときには用紙とパドル110との接触面積や接触圧が大きくなるため、パドル110の材質が用紙に移りやすくなる。本実施形態においては、シフトトレイ102は下降動作しか行わないため、シフトトレイ102が移動する際に用紙とパドル110Aとの接触面積が小さくなり、接触圧も小さくなるため、コバ面(用紙裁断面)の汚れをも低減できる。
【0080】
さらに、本実施形態においては、シートを積載する際に、シフトトレイ102を下降させるのみの動作であるため、従来のように、下降後にトレイを上昇させる場合と比較して、紙面は低い位置となるが、メインジョガー210F、210Rの先端が突き当て部64よりも下に位置するため、シフトトレイ102の下降量が大きい場合でも、シート揃え動作を確実に行えるというメリットがある。
【0081】
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記実施形態においては用紙積載装置が画像形成装置と独立した構成を例として説明したが、画像形成装置と一体の構成であっても良い。
【符号の説明】
【0082】
10 メイン制御部
20 分岐爪切替部
30 シフト排紙機構
70 先端揃え部
100 スタッカ(シート積載装置)
102 シフトトレイ
200 メインジョガー機構部
203F 第1ステッピングモータ(駆動機構)
203R 第2ステッピングモータ(駆動機構)
204F、204R ギヤ(駆動機構)
205F 第1回転軸(駆動機構)
205R 第2回転軸(駆動機構)
206 駆動軸(駆動機構)
207F 第1スライダ(駆動機構)
207R 第2スライダ(駆動機構)
210F、210R メインジョガー(揃え部部材)
300 サブジョガー機構
500 画像形成装置
L3 第3シート搬送路(搬送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象のシートを受け入れて一時積載するトレイと、
所定のシート束単位で前記トレイ上の積載位置をシフトさせつつシートを搬送する搬送手段と、
複数の揃え部材と、各揃え部材をそれぞれ駆動する複数の駆動機構を有し、前記トレイに積載されている前記シート束の両側部に、前記駆動機構により前記揃え部材をそれぞれ突き当てて前記シート束の揃えを行なうシート揃え手段と、
前記駆動機構を制御し、前記積載位置の切り替え時に、前記揃え部材毎にそれぞれ独立してシフト動作を行わせる制御手段と、
を備えたことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記揃え部材毎に、前記シフト動作に続けて、次回の積載位置に対応する所定の揃え待機位置に配置する配置動作を行うことを特徴とする請求項1記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記積載位置がシフトされていた側に位置していた一方の揃え部材のシフト動作を、他方の揃え部材のシフト動作よりも先に開始することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記揃え部材のシフト動作後、次のシートが前記トレイに搬送される前に前記配置動作を完了することを特徴とする請求項2記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記積載位置がシフトされていた側に位置していた一方の揃え部材の前記シートの側方への離間距離を、他方の揃え部材の前記シートの側方への離間距離よりも少なくすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシート積載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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