説明

シーリング材上塗り塗料組成物

【課題】目地上に形成される塗膜がシーリング材の変位に追従し、シーリング材の残存タックによる汚染が防止され、粉塵等が付着しても水洗又は降雨等により粉塵等の除去の可能な高弾性なシーリング材が充填された接合部目地上に塗布する塗料組成物の提供。
【解決手段】(A)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、(B)分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルとを含有する、シーリング材の変位に追従しかつ汚れ防止性を有するシーリング材上塗り塗料組成物とすることにより、上記の目的を達成するものである。このような構成とすることによりシーリング材の変位に対する追従性と防汚性とを両立させる優れたものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング材表面に塗布して形成される塗膜が、下地であるシーリング材の変位に対して追従可能な性質を有するとともに汚れ防止性をも有する、シーリング材上塗り塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建築構造物や土木構造物などの外壁に対する高耐久性、長寿命化の大きな潮流がある。高耐久性、長寿命化のこの流れは、外壁全面に上塗り塗装仕上げを施し高耐久性、長寿命化に対応していることもみられるが、構成部材そのものが無機材料や有機材料によりコーティングされて、高耐久性、長寿命化に応えていることもよくみられることである。
【0003】
また建築構造物の壁材として窯業系サイディング板、金属系サイディング板、ALC板、などが多く使用されている。このような板状材料を用いて外壁面を構成する場合、材料の接合部に目地を設計し、接合部からの雨水の侵入を防止し、温度差等で生じる材料の膨張や収縮あるいは風圧や地震等で生じる材料の変形による板状材料の破壊を防いでいる。この目地には建築用シーリング材が充填されて使用される。建築用シーリング材は、目地に充填された後空気中の水分と反応することにより、また酸素による酸化還元反応をすることにより、また溶媒である水や有機溶剤が揮散することなどにより架橋し、三次元化してゴム状弾性体を形成するものである。そのため各種の材料に対する優れた接着性をもち、変位を吸収するため硬化後の物性が低モジュラスで伸びの大きな柔らかなものとなるように設計されている。この建築用シーリング材にはシリコーン系、変性シリコーン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系などの種類があり、それぞれ一液タイプまたは二液タイプで供給されることが多い。
【0004】
外壁面を構成する板状材料では高耐久性化などのため塗装仕様となることが多く、種々の塗料が開発されている。外壁全体に上塗り塗装仕上げを施す場合もそうであるが、構成部材そのものに無機材料や有機材料により塗装する場合においても、特に外壁に占める面積比率の大きな構成部材は、美観の点で必然的に構造物の良否を左右しかねないことが多い。シーリング材は、外壁における占有比率は小さいが、この部位の美観が損なわれると際立って意匠性が低下することが多く、この場合もまた構造物の良否を左右しかねない。このような部位に使用される上塗り塗料の防汚性は、建築構造物の美観を維持するために重要な性能となっている。目地部の汚染には、シーリング材または塗料の残存タックによりその表面に空気中の粉塵等が付着し生じる場合、シーリング材の低分子量物が基材周辺へまたは上塗り塗料ヘブリードしそこに粉塵が付着して生じる場合などがある。外壁部材においても、表面に空気中の粉塵等が付着し汚染することがみられている。近年外壁材表面への粉塵等の付着は、外壁部材表面の親水性・疎水性が関与しているといわれている。最近の研究により、粉塵等は親油性や親水性を示すことが判明してきており、外装材表面に親水性化処理などをすることで粉塵等の付着防止または粉塵等が付着しても水洗、降雨などにより容易に除去できることが判明してきている。このためには外壁材表面の水に対する濡れ性(接触角)をある範囲とすればよいことがいわれている。
【0005】
また、シーリング材または塗料の残存タックの改善、シーリング材または塗料によるブリードの防止、更には外壁材表面に酸化チタン等の微粒子層を形成して、その光触媒作用による汚染防止や親水化による汚染防止方法などが開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照。)。
【0006】
しかしながら、これらのものには、特に接合部のシーリング材上に形成される塗膜においては下地であるシーリング材の変位に対する追従性が重要であり、更に汚染防止のため残存タックの改善、表面の濡れ性の向上が求められているために、接合部のシーリング材用上塗り塗料は、単一の機能では汚染防止は不十分であり、塗膜の下地であるシーリング材の変位への追従性、残存タックの改善、濡れ性の向上等の性能が必要不可欠である。現在あるシーリング材用上塗り塗料では不十分である。
【0007】
目地部に充填して使用されるシーリング材、板状外壁材料用塗料、外壁全面への上塗り塗料のいずれにおいても、耐老化性(光安定性、酸化防止性、熱安定性)・接着性・機械的性能に優れた材料が要求されてきており、このように高耐久性化の流れ中で、外壁を構成する部材の耐汚染性がクローズアップされてきているが、高弾性なシーリング材が充填される板状外壁材料接合部目地上に上塗りする塗料であって、下地であるシーリング材の変位に追従し、かつ残存タックによる汚染の防止、空気中の粉塵の付着による汚染の防止、更には付着した粉塵の洗浄等の機能はいまだ不十分である。
【0008】
【特許文献1】特許2003−126771号公報
【特許文献2】特開平10−235287号公報
【特許文献3】特開平9−262539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、高弾性なシーリング材が充填された板状外壁材料接合部目地上に塗布し、塗布した塗料組成物により形成される塗膜が、シーリング材の変位に追従し、シーリング材の残存タックによる汚染を防止し、粉塵等が付着しても水洗又は降雨等により粉塵等の除去を可能とすることはいまだ不十分である。
そこで、特定の成分を含有させることにより、上記開題点を解決し、下地のシーリング材の変位に追従可能な性質を有し、かつ汚れ防止性を有するシーリング材上塗り塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと分子内にポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルとを含有するシーリング材上塗り塗料組成物により形成される塗膜が、シーリング材の変位に追従可能な性質を有するとともに汚れ防止性をも有することを見出し、本願発明に至ったものである。
【0011】
すなわち、本願発明は、(A)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと(B)分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルとを含有する、下地であるシーリング材の変位に追従しかつ汚れ防止性を有するシーリング材上塗り塗料組成物とこの組成物を用いたシーリング材上への塗装方法に関するものである。
【0012】
ここで、(A)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、有機ポリイソシアネートと、活性水素含有化合物と、場合によりさらに鎖延長剤とを、活性水素含有化合物の活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものである。
【0013】
そのイソシアネート成分が、脂肪族系ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族系ポリイソシアネート化合物および脂環族系ポリイソシアネート化合物の少なくとも一種を使用することが挙げられる。
また、(B)分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルは、前記ポリオキシエチレン鎖の一末端及び/または二末端がエステル結合でアクリル酸及び/又はメタアクリル酸に結合し残りの末端がアルキルエーテルであるもの、ポリオキシエチレン鎖(−[CO]−)のnが3〜30であるものが挙げられる。
【0014】
前記シーリング材上塗り塗料組成物は、更に溶剤、耐候性安定剤などの(C)添加剤が配合されていてもよい。さらに、上記シーリング材上塗り塗料組成物は、この組成物により形成される硬化塗膜表面に対する水の接触角が70°以下であるものが挙げられる。
前記シーリング材上塗り塗料組成物は、下地のシーリング材が一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材用又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材用のものとして好適である。
さらに本願発明は、前記シーリング材上塗り塗料組成物を未硬化状態のシーリング材表面に上塗り塗装すること、を特徴とするシーリング材上塗り塗料組成物の塗装方法に関するものである。
【0015】
本願発明におけるシーリング材上塗り塗料組成物についてさらに詳細に説明する。
【0016】
本願発明は、(A)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと(B)分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルとを含有する、下地であるシーリング材の変位に追従しかつ汚れ防止性を有するシーリング材上塗り塗料組成物に関するものであるが、本願発明のシーリング材上塗り塗料組成物は、(A)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを硬化成分の主とするものであり、常温において湿気等の水分との反応により架橋・網状化して硬化するものである。
【0017】
まず、(A)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーについて説明する。
【0018】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、水分と反応して尿素結合を形成して架橋、硬化するイソシアネート基を分子中に1個以上含有する化合物であり、具体的には後述する活性水素含有化合物と有機イソシアネートをイソシアネート基過剰で反応させて得られるものである。
【0019】
有機イソシアネートとしては、有機ポリイソシアネートと、場合により有機モノイソシアネートとが挙げられ、有機ポリイソシアネートとしては、具体的には例えば、フェニレンジイソシアネート、ジフエニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフエニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフエニルメタンジイソシアネート等のジフエニルメタンジイソシアネート(MDI)類、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート(TDI)類、ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、およびこれらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)などが挙げられ、これらは単独または2種以上を組合わせて用いることができる。また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、場合によりn−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−へキサデシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネート等の有機モノイソシアネートを使用することもできる。これらのうち、耐候安定性、接着性、耐水性などが優れている点で、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。
【0020】
前記活性水素含有化合物としては、ポリオールやポリアミン、或いはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用としてモノオール、モノアミンなど公知の活性水素含有化合物を使用することができる。活性水素含有化合物の数平均分子量は、100以上、さらに100〜10,000、特に200〜3,000が好ましい。数平均分子量が100未満では、得られるシーリング材上塗り塗料組成物の硬化後の伸びが悪化し下地の変位に追従できなくなり、10,000を超えるとウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎ件業性が悪くなり、また汚染防止性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
この活性水素含有化合物の具体的なものとしては、たとえばポリエステルポリオール(ポリエステルアミドポリオールも含む)、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオールなどもあげられる。以下これらの化合物についてさらに説明する。
【0021】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、へキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、または酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
【0022】
また、例えば、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε-カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0023】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
【0024】
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類、ポリカルボン酸の他、ソルビトール、マンニトール、ショ糖(スクロース)、グルコース等の糖類系低分子多価アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類の一種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物の1種以上を開環付加重合あるいは共重合(以下、「重合あるいは共重合」を(共)重合という。)させた、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレン系ポリオール、ポリ−(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)−ランダムあるいはブロック共重合系ポリオール、さらに、前述のポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートエーテルポリオールなどが挙げられる。また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたポリオールも挙げられる。
【0025】
ポリオキシアルキレン系ポリオールの1分子当たり平均アルコール性水酸基の数は2個以上、さらに2〜4個、特に2〜3個が好ましい。
【0026】
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加重合させたポリオキシプロピレン系モノオール等のポリオキシアルキレン系モノオールなどを場合により使用することもできる。
【0027】
なお、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールあるいはポリオキシアルキレン系モノオールなどの「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるものが最も好ましい。
【0028】
炭化水素系ポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール、塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
【0029】
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体類と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下あるいは不存在下に共重合したものなどが挙げられる。
【0030】
動植物系ポリオールとしては、例えば、ヒマシ油系ジオールなどが挙げられる。
【0031】
本願発明で使用するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、一括仕込み反応法、多段階仕込み反応法のいずれでも合成できるが、プレポリマーの分子中にイソシアネート基を残す必要がある。イソシアネート基とポリオール、場合により更に他の活性水素含有化合物の活性水素(基)とのイソシアネート基/活性水素(基)の当量比は、1.1以上が好ましく、更に1.1〜10が好ましい。このようにして得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は、0.1〜30質量%が好ましく、特には0.5〜20質量%である。イソシアネート基含有量が0.1質量%未満では、分子量が大きくなりすぎ、またプレポリマー中の架橋点が少ないため十分な接着力が得られない。イソシアネート基含有量が30質量%を超えるとイソシアネート基が水分と反応して生成する炭酸ガスによる発泡を防止することが困難となるため好ましくない。またシーリング材上塗り塗料組成物中のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、5質量%以上が好ましい。
【0032】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成には、公知のウレタン化触媒を用いることができる。たとえば、テトラ−n−ブチルチタネート等の金属のアルコキシド、オクチル酸第一錫、オクテン酸錫などの、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、オクテン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)等の金属キレート化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4、0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の第3級アミン類、あるいはこれらのアミン類と有機酸との塩類などが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち硬化を促進する効果が高い点で、金属キレート化合物や有機金属と有機酸との塩が好ましく、さらにジブチル錫ジラウレートが好ましい。
【0033】
つぎに、(B)分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルについて説明する。
【0034】
分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルとしては、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとの相溶性がよくかつ分子内にイソシアネート基と反応する活性水素(基)を実質的に有しない化合物であることが好ましい。この(B)分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルは、ポリオキシエチレン構造を有していればどのようなものでも使用できるが、シーリング材上塗り塗料組成物により形成される塗膜が下地シーリング材の変位に追従でき、さらに親水性基を有し、すなわち水に対する接触角をできるだけ小さくし、また塗膜の接着性、耐候性、耐水性などの耐久性を低下させることがなく、またさらにはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに配合したときの相溶性がよく保存安定性が良好なこと、比較的容易に安価に手に入れられる点などから、アクリル酸及び/又はメタアクリル酸のモノエステルまたはジエステルが好ましく、さらにはポリエチレングリコールモノアルキルエーテル及び/又はポリエチレングリコールとのエステル化合物が好ましい。さらには、アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルにポリオキシエチレン鎖を導入することで、アクリロイル基及び/又はメタアクリロイル基の光などによるラジカル重合により反応して架橋しそれ自身が造膜性を有し、かつ前記アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルをイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに加えることで親水性を備えた塗膜を形成させることが期待される。
【0035】
アクリル酸及び/又はメタアクリル酸のモノエステルまたはジエステルのアルコール成分としては、後述するモノアルコールや多官能アルコールなどにエチレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加させて得られる、分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するモノアルコールや多官能アルコールが好適に挙げられる。ポリオキシエチレン鎖は、他のオキシアルキレン鎖との共重合体でもよいが、水に対する濡れ性を効果的に実現させるためにホモポリマーが好ましく、さらにはポリオキシエチレン鎖(−[CO]−)のnは3〜30であることが好ましく、特に7〜20であることが好ましい。
【0036】
添加量はシーリング材上塗り塗料組成物中に、分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルとして2〜30質量%、更には10〜25質量%存在することが好ましい。2質量%未満では親水性の付与が乏しく接触角が小さくならず、30質量%を超えると塗膜が硬くなり下地のシーリング材の変位に対する追従性が低下する。親水性は形成される塗膜の水に対する接触角などにより表わされ、前記の配合量とすることで接触角が70°以下とすることが可能である。
【0037】
つぎに具体的に説明する。
ポリオキシアルキレンモノオール又はポリオキシアルキレンポリオールは、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの成分である活性水素含有化合物と同様なものが使用されるが、先ず開始剤として、メタノール、エタノール、オレイルアルコールに代表されるモノアルコール、又はエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどの多価アルコールの少なくとも1種にアルキレンオキシドを反応させて得られる。またポリオキシアルキレンモノオールは、開始剤としてモノアルコールのアルキル鎖はC8以下であることが好ましく、またポリオキシアルキレンポリオールの水酸基の全部を除く少なくとも1個以上がアルキルエーテルであってもよく、アルキル鎖はメチル基及び/又はエチル基が好ましい。アルキレンオキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて開環付加重合させることができる。
【0038】
重合性不飽和基であるアクリロイル基及び/又はメタアクリロイル基のラジカル硬化反応を促進するため既存の触媒を用いることができる。添加量はイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して0〜1重量部である。1重量部を超えるとウレタン樹脂の耐久性を損なう傾向がある。
市販品として具体的なもの例示することにすれば、サーフィノール440、465、485(日信化学工業社)、ニューコール170、1203、1210、1525、1545(日本乳化剤社)、DO−400、600、1000(三洋化成社)、ライトエステル041MA、14EG、ライトアクリレート130A、14EG−A(共栄社化学社)などである。
【0039】
つぎに、本願発明には添加剤を配合することも可能である。
この添加剤としては、溶剤、耐候安定剤、接着性付与剤、硬化促進触媒、貯蔵安定性改良剤などが挙げられる。
溶剤は、具体的にはシーリング材上塗り塗料組成物の成分を溶解希釈し、塗布作業に適した粘度に調節するために使用され、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系炭化水素系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、工業ガソリン、ミネラルスピリット、リグロイン、灯油等の石油系溶剤など従来公知の有機溶剤が挙げられ、イソシアネート基と反応しないものであればどのようなものでも使用できる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち溶解性と安全性に優れている点でケトン系溶剤、エステル系溶剤が好ましく、更にメチルエチルケトン、酢酸エチルが好ましい。有機溶剤はイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して0〜2,000重量部、5〜1,000重量部、特に5〜500重量部配合するのが好ましい。2,000重量部を超えるとシーリング材上塗り塗料組成物としての効果がなくなる。
【0040】
耐候安定剤としては、硬化物の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、耐候性だけでなく耐熱性を更に向上させるために使用されるものである。耐候安定剤としては具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを挙げることができる。
【0041】
酸化防止剤としてはヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤が挙げられ、ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、旭電化工業社製の商品名アデカスタブシリーズのLA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87等の分子量1,000未満の低分子量のヒンダードアミン系酸化防止剤、同じくアデカスタブシリーズのLA−63P、LA−68D、あるいはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名CHIMASSORBシリーズの119FL、2020FDL、944FD、944LD等の分子量1,000以上の高分子量のヒンダードアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0042】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリト−ル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
【0043】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のべンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
これらの耐候安定剤は単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0044】
耐候安定剤は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して、0.01〜30重量部、特に0.1〜10重量部配合するのが好ましい。
【0045】
接着性付与剤としては、カップリング剤の他に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキルチタネ−ト類、有機ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0046】
前記カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種カップリング剤および/またはその部分加水分解縮合物を挙げることができ、このうちシラン系カップリング剤および/またはその部分加水分解物が接着性に優れているので好ましい。
このシラン系カップリング剤としては、具体的には、メチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物および/またはこれらシラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物を挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上を組み合せて使用できる。
【0047】
硬化促進触媒としては、たとえば、テトラ−n−ブチルチタネート等の金属のアルコキシド、オクチル酸第一錫、オクテン酸錫などの、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、オクテン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)等の金属キレート化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4、0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の第3級アミン類、あるいはこれらのアミン類と有機酸との塩類などが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち硬化を促進する効果が高い点で、金属キレート化合物や有機金属と有機酸との塩が好ましく、さらにジブチル錫ジラウレートが好ましい。
【0048】
貯蔵安定性改良剤としては、組成物中に存在する水分と反応するビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、p−トルエンスルホニルイソシアネートなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0049】
耐候安定剤、接着性付与剤、硬化促進触媒及び貯蔵安定性改良剤の合計の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して、0〜500重量部、特に10〜300重量部が好ましい。
【0050】
本願発明の上塗り塗料組成物の塗装方法について説明する。
本願発明のシーリング材上塗り塗料組成物下地であるシーリング材の完全硬化前、好ましくは充填直後にその表面にエヤスプレー、エヤレススプレー、エヤゾール型スプレー刷毛等により均一に塗布する。このようにすることでイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが大気中の水分と反応し、表層にポリウレタン、ポリウレアの高架橋密度の樹脂膜を作り密着固化して、シーリング材表面の汚染を防止し耐候性を向上させ、さらに分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルにより塗膜の親水性が増し汚染防止性が期待される。
【0051】
本願発明のシーリング材上塗り塗料組成物は、シリコーン系、変性シリコーン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系など、通常建築用のシーリング材であれば一液タイプまたは二液タイプのどのようなものにでも適用することができるが、とくに一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材または一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材である場合に効果的である。
【発明の効果】
【0052】
以上のように、本願発明のシーリング材上塗り塗料組成物により形成される塗膜は、シーリング材の変位に対する追従性と防汚性とを両立させる優れたものとなる、という効果を奏するものである。
【実施例】
【0053】
〔イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液の合成〕
〔合成例1〕
攪拌機、温度計、冷却管、乾燥窒素導入管を組んだ反応器に、酢酸エチル572.8g、分子量300のポリオキシプロピレントリオール112.8gを仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート237.8gを仕込んだ。更にジブチル錫ジラウリレート0.3gを仕込んだ後に、発熱に注意しながら70℃まで徐々に加熱し、イソシアネート基含有量が4.6質量%になるまでウレタン化反応を行ない、粘度約8mm/s、不揮発分38質量%のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液((UP−A)を得た。
【0054】
〔合成例2〕
攪拌機、温度計、冷却管、乾燥窒素導入管を組んだ反応器に、酢酸エチル513.2g、分子量300のポリオキシプロピレントリオールール112.8gを仕込み、攪拌しながらキシリレンジイソシアネート201.5gを仕込んだ。更にジブチル錫ジラウリレート0.3を仕込んだ後に、発熱に注意しながら70℃まで徐々に加熱し、イソシアネート基含有量が5.1質量%になるまでウレタン化反応を行ない、粘度約11mm/s、不揮発分38質量%のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液(UP−B)を得た。
【0055】
〔実施例1〕
合成例1で得られたUP−A 100重量部に対しライトアクリレート130A(共栄社化学社製、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、n≒9)を15重量部添加した後、均一になるまで攪拌、混合してシーリング材上塗り塗料組成物を得た。次にポリエチレン製シート上に一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(PU−1、オート化学工業製、オートンサイディングシーラント)を厚み5mmになるよう打設し、直ちに得られたシーリング材上塗り塗料組成物を市販の噴霧器で均一に吹付け、標準状態(23℃50%相対湿度)で一週間乾燥後試験に供した。
【0056】
〔実施例2〕
実施例1において、一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材の代わりに、一液型湿気便化性変成シリコーン系シーリング材(MS−1、セメダイン社製、POSシールLM)を使用した以外は同様にして、試験体を作製し試験に供した。
【0057】
〔実施例3〕
実施例1において、ライトアクリレート130Aを15重量部添加した代わりに、ライトエステル14EG(共栄社化学社製、PEG#600ジメタクリレート、n≒14)を10重量部添加した以外は同様にしてシーリング材上塗り塗料組成物を作製し、同様に試験体を件製し試験に供した。
【0058】
〔実施例4〕
実施例3において、ライトエステル14EGを15重量部添加した以外は同様にしてシーリング材上塗り塗料組成物を作製し、同様に試験体を作製し試験に供した。
【0059】
〔実施例5〕
実施例1において、合成例1で得られたUP−Aの代わりに合成例2で得られたUP−Bを使用した以外は同様にしてシーリング材上塗り塗料組成物を作製し、同様に試験体を作製し試験に供した。
【0060】
試験した結果を次の表1に示す。
【表1】

【0061】
試験方法
〔性能試験〕
(1)接触角測定
得られた試験体について、標準状態の1ケ月、3ケ月、6ヶ月経過した後、接触角計(協和化学社製、CA−P型)を用いて水の接触角を測定した。
(2)耐屈曲性試験
得られた試験体について、ポリエチレン製シートを内側にして直径10mmの丸棒に90°巻きつけ、塗膜に割れが生じるか否かを目視で確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと(B)分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルとを含有する、下地であるシーリング材の変位に追従しかつ汚れ防止性を有するシーリング材上塗り塗料組成物。
【請求項2】
(A)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが、有機ポリイソシアネートと活性水素含有化合物とを活性水素含有化合物の活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものであって、該有機ポリイソシアネート成分が、脂肪族系ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族系ポリイソシアネート化合物、脂環族系ポリイソシアネート化合物の少なくとも一種である請求項1に記載のシーリング材上塗り塗料組成物。
【請求項3】
(B)分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)
を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルが、前記ポリオキシエチレン鎖の一末端及び/または二末端がエステル結合でアクリル酸及び又はメタアクリル酸に結合し残りの末端がアルキルエーテルである請求項1〜2のいずれか一項に記載のシーリング材上塗り塗料組成物。
【請求項4】
(B)分子内にポリオキシエチレン鎖(−[CO]−、ただし、nは重合度を示す。)を有するアクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルのポリオキシエチレン鎖(−[CO]−)のnが3〜30である請求項1〜3のいずれか一項に記載のシーリング材上塗り塗料組成物。
【請求項5】
前記シーリング材上塗り塗料組成物に更に(C)添加剤を配合してなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシーリング材上塗り塗料組成物。
【請求項6】
前記シーリング材上塗り塗料組成物により形成される硬化塗膜表面に対する水の接触角が70°以下であること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のシーリング材上塗り塗料組成物。
【請求項7】
下地のシーリング材が一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材である請求項1〜6のいずれか一項に記載のシーリング材上塗り塗料組成物。
【請求項8】
未硬化状態のシーリング材表面に上塗り塗装すること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のシーリング材上塗り塗料組成物の塗装方法。

【公開番号】特開2006−241259(P2006−241259A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56872(P2005−56872)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000103541)オート化学工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】