説明

シーリング材又は防水材の表面塗布剤

【課題】シーリング材や防水材が有するモジュラス、耐久性などの基本性能を損なうことなく、シーリング材又は防水材の表面光沢度を低減することが可能な全く新しい表面塗布剤を提供する。また、上記表面塗布剤を、湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材に適用した場合には、当該シーリング材又は防水材の速やかな硬化を達成し、これにより、シーリング材又は防水材の施工工期が短縮され得ると共に、作業者が誤って触れた場合の外観・性能の劣化の危険性を低減する。
【解決手段】(A)水と、(B)界面活性剤と、を含有することを特徴とする、シーリング材又は防水材の表面塗布剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング材又は防水材の表面塗布剤に関する。
【背景技術】
【0002】
防火性、施工性、外観の良さなどの点から、窯業系外壁材が、特に1戸建て住宅において多く使用されている。近年では、外壁材の表面の光沢度を下げて艶を消した塗装をし、落ち着きのある高級なイメージを持った外壁材も使われてきている。
【0003】
表面光沢度を下げて艶を消した塗装をした外壁材の目地に、光沢や艶のあるシーリング材や防水材を使用すると、外壁材よりシーリング材が目立つことによって、建物外壁の美観が損なわれることがある。
【0004】
この様な問題を解決するために、シーリング材や防水材の光沢度を低減するために種々の技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、加水分解性シリル基を有するプロピレンオキシド重合体に融点が10〜200℃のアミン化合物などを配合して、硬化後の表面の艶を消した室温硬化性シーリング材が提案されている。また、特許文献2には、平均粒径が100μm以上のバルーンを配合した、ざらつき感を有するシーリング材が提案されている。
【0006】
しかし、アミン化合物を配合する方法は、加水分解性シリル基を有するプロピレンオキシド重合体などを硬化性樹脂として用いる変成シリコーン系のシーリング材にしか用いることができない。ウレタン系の湿気硬化型シーリング材等の他のシーリング材にアミン化合物を配合すると、保存中に硬化してしまうためである。
【0007】
一方、硬化前のシーリング材にバルーンを配合すると、硬化後のシーリング材の物性が低下し、建物の動きに対する追従性などに悪影響を与えるという問題がある。さらに、硬化後のシーリング材表面に砂をまぶしたようなざらつき感はでるものの、表面の光沢度が依然として高く、艶が残ることがある。これにより、外壁材よりシーリング材が浮き立って見え、建物外壁の美観を損なってしまうという問題が生じる。
【0008】
さらに、これらの方法のように、シーリング材に直接艶消し効果を付与する物質を添加した場合、外壁材の色調毎に、光沢のシーリング材と艶消されたシーリング材を用意しなければならない。外壁材の色調が数百種類にも及ぶ昨今では、生産効率の低下や在庫管理のコストの増大が避けられない。
【0009】
また、前述のような外壁材の外観(イメージ)とは別に、施工時のイメージを長く保つため、セルフクリーニング機能を有するような外壁材も使われるようになってきている。このような外壁材には表面に親水性を付与する特殊な塗料が塗布されている。シーリング材のベタツキ防止を目的として、このような外壁材の目地のシーリング材部分に表面塗布剤を塗布すると、目地部分からはみ出して外壁材に付着した場合、その部分だけ疎水性を示すなど外壁材の表面が有する本来の機能が損なわれるという問題が生じる。付着した直後に拭き取った場合でも外壁材の表面の塗装を痛めてしまい、やはり外壁材の表面が有する本来の機能が損なわれてしまう。特にこのような問題は表面に意匠性を付与した外壁材の場合に起こりやすいものである。つまり、目地周辺部にマスキングテープなど貼ることによって表面塗布剤のはみ出しを防止しても、凹凸のある外壁材の場合、マスキングテープと外壁材の表面の間に隙間ができてしまい表面塗布剤のはみ出しを防ぎきれない場合が多い為である。
【0010】
また、従来、外装材の目地に使用されるシーリング材として、シリコーン系、変成シリコーン系、ウレタン系等の湿気硬化型シーリング材が知られている。1液湿気硬化型シーリング材を用いることにより、主剤と硬化剤を混合する手間が省け、かつ、主剤と硬化剤の計量ミスによる硬化不良も生じないことから、作業性が向上する。特に、ウレタン系湿気硬化型シーリング材は、硬化後に、低モジュラス、高伸び、および良好なゴム弾性を実現でき、接着性や耐久性に優れているなどの特徴から、年々使用量が伸びている。
【0011】
ところが、1液型のウレタン系湿気硬化型シーリング材に代表される湿気硬化型シーリング材は、被着体中の水分や雰囲気中の湿気と反応して硬化するものであるため、湿気の少ない雰囲気中及び/または低温の雰囲気中で使用される場合や、水分を殆ど含有せず接合面の湿気硬化型シーリング材層に湿気を殆ど供給しない金属やプラスチック等の難透湿性材料が被着体である場合には、湿気硬化反応が十分に進行しないという問題点がある。硬化後の表面には残留タックといわれるベトツキ感が残り、周囲の塵埃などが付着して表面が汚染されるという問題もある。
【0012】
また、湿気硬化型シーリング材や塗膜防水材等の場合、特にその表面の硬化が遅いと上塗り塗装等の次工程が遅れる事になったり、他の作業中に作業者が表面に誤って触れた際に外観や機能を損ねてしまう場合がある。特に、難透湿性材料を接着する場合には、これらの問題が顕著になる。その為、湿気硬化型シーリング材や塗膜防水材に硬化触媒を添加する事も試みられたが、貯蔵安定性の低下や、使用条件によっては硬化が速すぎる等の不具合が生じる場合がある。
【0013】
この様な問題点を解決する為に、使用する直前に水を吸収せしめた高吸水性ポリマーを混合したり、結晶水を有する無機化合物を混合する方法が提案されている。(特許文献3,4)。しかし、使用前に添加物を混合する事は、1液型の特長である「混合する手間が無い」という利点を減殺する。
【0014】
さらに、1液型のウレタン系湿気硬化型シーリング材の場合は、硬化時に、二酸化炭素の発生を伴うことから、使用現場において特別な装置による脱泡工程を行わなければならない。2液型のウレタン系湿気硬化型シーリング材の時には問題とならない、混合時の気泡量でも、一液型のウレタン系湿気硬化シーリング材では問題となり、外観、物性の悪化にすることがある。残留タックに対しては、飽和および/または不飽和のアルキル鎖分布を有するアミン化合物を添加する方法(特許文献5)が提案されているが、特許文献1と同様に、この方法は適用できるシーリング材種が限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平09−100408号公報
【特許文献2】特開平10−251618号公報
【特許文献3】特開平05−320596号公報
【特許文献4】特開平11−092729号公報
【特許文献5】特開2006−137804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、シーリング材や防水材が有するモジュラス、耐久性などの基本性能を損なうことなく、かつ、外壁材の表面を傷めるおそれもない、シーリング材又は防水材の表面光沢度を低減することが可能な全く新しい表面塗布剤を提供することを課題とする。
【0017】
また、上記表面塗布剤を、湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材に適用した場合には、当該シーリング材又は防水材の速やかな硬化を達成し、これにより、シーリング材又は防水材の施工工期が短縮され得ると共に、作業者が誤って触れた場合の外観・性能の劣化の危険性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題に鑑み、本発明者が鋭意研究した結果、界面活性作用を有する化合物を含む水溶液を、シーリング材や防水材の表面に塗布することにより、艶消しが可能であるという知見を見出し、本発明を完成させた。また、上記水溶液を、湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材に適用した場合には、当該シーリング材又は防水材の速やかな硬化を達成し、硬化後のタックも抑制できることを見出した。
【0019】
本発明の第1の態様は、(A)水と、(B)界面活性剤と、を含有することを特徴とする、シーリング材又は防水材の表面塗布剤である。
【0020】
本発明の第2の態様は、前記シーリング材又は防水材が、湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材である前記表面塗布剤である。
【0021】
本発明の第3の態様は、前記湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材が、一液湿気硬化型シーリング材又は一液湿気硬化型防水材である前記表面塗布剤である。
【0022】
本発明の第4の態様は、前記シーリング材又は防水材が、親水コーティング外壁材用のシーリング材又は防水材である、表面塗布剤である。
【0023】
本発明の第5の態様は、さらに、(C)有機溶媒を含有する、前記表面塗布剤である。
【0024】
本発明の第6の態様は、(D)酸及び/又は酸無水物を含有する前記表面塗布剤である。
【0025】
本発明の第7の態様は、さらに、(E)消泡剤を含有し、エアロゾルの形態である前記表面塗布剤である。
【0026】
本発明の第8の態様は、(B)界面活性剤が、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級アンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルベタイン、アミンオキサイド又はこれらの組合せである、前記表面塗布剤である。
【0027】
本発明の第9の態様は、(C)有機溶媒が、炭素数2〜20のアルコール系溶剤、炭素数2〜20のケトン系有機溶媒、炭素数2〜20のエステル系溶剤である表面塗布剤である。
【0028】
本発明の第10の態様は、湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材を硬化させる前に、当該湿気硬化型シーリング材又は防水材の表面に、上記表面塗布剤を塗布または噴霧することを特徴とする、シーリング材又は防水材の施工方法である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、シーリング材又は防水材の艶消しが可能である。艶消しは、表面に塗布することにより達成されるので、シーリング材又は防水材が有するモジュラス、耐久性などの基本性能を損なうことはない。また、外壁材表面の塗装を傷めてしまう危険性を低減することができる。さらに、各色調のシーリング材又は防水材について、予め「艶あり」及び「艶無し」の2タイプを用意する必要がないことから、生産性の向上及びコストの低減を達成することができる。
【0030】
また、本発明の表面塗布剤は水分を含有するので、湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材に適用した場合には、当該シーリング材又は防水材の速やかな硬化を達成することができる。これにより、シーリング材又は防水材の施工工期が短縮され得ると共に、作業者が誤って触れた場合の外観・性能の劣化の危険性を低減することができる。また、硬化後の表面のタックを抑制することができる。
【0031】
特に、本発明の表面塗布剤は、シーリング材又は防水材に混合するのではなく、シーリング材又は防水材の表面に塗布することにより速やかな硬化と艶消しを実現できるので、一液湿気硬化型シーリング材又は一液湿気硬化型防水材が有する良好な作業性が損なわれることもない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。
【0033】
本発明の表面塗布剤における水((A)成分)としては、種々の水を使用することができ、具体例としては、水道水、蒸留水、イオン交換水等があげられる。水は、シーリング材又は防水材の表面の艶の十分な低減及び良好な外観、並びに湿気硬化型シーリング材又は防水材に適用した場合の迅速な硬化を達成する観点から、表面塗布剤全体に対して、5〜90質量%の範囲で使用することが好ましい。後述する有機溶媒((C)成分)を含む場合、10〜80質量%、特に10〜50質量%の範囲がさらに好ましい。一方、有機溶媒を含有しない場合には、50〜90質量%、特に70〜90質量%の範囲が好ましい。
【0034】
界面活性剤((B)成分)としては、特に制限はなく、具体的には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤などがあげられる。界面活性剤は、単独または2種類以上を組み合わせて使用する事もできる。
【0035】
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、前記以外の高分子界面活性剤などがあげられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などがあげあれる。
【0036】
これらのなかでも、外観、艶消し、耐汚染性などの観点から、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩が好ましい。アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩等の、炭素数10〜20のアルキル硫酸塩が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、オクチルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩などのアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、アルキルスルホコハク酸塩としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、特にジオクチルスルホコハク酸塩等の、アルキル基が1〜20のジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。
【0037】
これらの化合物は、市販品を好適に使用することができ、具体的には、花王株式会社から発売されている、エマール0、10PT、2Fペースト、2F−30、40ペースト、40パウダー、TD、AD−25R、20C、E−27C、270J、20CM、D−3−D、D−4−D、20T;ラテムルE−118B、E−150、WX、ASK、PS;レベノールWX;ネオペレックスGS、G−15、G−25、G−65、No6Fパウダー;ペレックスNBL、OT−P、TR、CS、TA、SS−L、SS−H;NSソープ;SS−40N;KSソープ;OSソープ;FR−14;FR−25;エレクトロストリッパーF;デモールN、NL、RN、RN−L、T、T−45、MS、SN−B、SS−L、SC−30、EP;ポイズ520、521、530、532A;ホモゲノールL−18、L−1820、L−95、L−100などが挙げられる。
【0038】
カチオン性界面活性剤としては、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩等のアルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩などがあげられ、外観、艶消し、耐汚染性などの観点から第四級アンモニウム塩が好ましい。
【0039】
第4級アンモニウム塩の具体例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、椰子アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、N−ラウロイルアミドプロピル−N’−トリメチルアンモニウムクロライド、N−ミリストイルアミドプロピル−N’−トリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライドなどがあげられる。
【0040】
第4級アンモニウム塩のなかでも、アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキル基の炭素数が8〜22のアルキルトリメチルアンモニウム塩(塩としては、クロライドが好ましい。)が更に好ましい。
【0041】
カチオン性界面活性剤についても、市販品を好適に使用することができ、具体的には、花王株式会社から発売されている、アセタミン24、86;コータミン24P、86Pコンク、60W、86W、D86P;サニゾールC、B−50などが挙げられる。
【0042】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキレンエステル等のポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン誘導体等のポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等のポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどが挙げられる。
【0043】
非イオン性界面活性剤の中でも、外観、艶消し、耐汚染性などの観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特にポリオキシアルキレン単位が1〜6の範囲、アルキレン基の炭素数が2〜5、アルキル基の炭素数が5〜18のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0044】
これらの市販品としては、花王株式会社から発売されている、エマルゲン103、104P、105、106、108、109P、120、123P、130K、147、150、210P、220、306P、320P、404、408、420、430、705、707、709、1108、1118S−70、1135S−70、1150S−60、4085、2020G−HA、2025G、LS−106、LS−110、LS−114、MS−110、A−60、A−90、A−500、B−66、PP−290;レオドールSP−L10、SP−P10、SP−S10V、SP−S30V、SP−O10V、SP−O30V、スーパーSP−L10、スーパーTW−L120、AS−10V、AO−10V、AO−15V、TW−L120、TW−L106、TW−P120、TW−S120V、TW−S106V、TW−S320V、TW−O120V、TW−O106V、TW−O320V、TW−IS399C、430V、440V、460V、MS−50、MS−60、MO−60、MS−165V;エキセルVS−95、O−95R、200、84、122V、P−40S;エマノーン1112、3199V、3299V、3299RV、4110、CH−25、CH−40、CH−60(K);アミート105、320;アミノーンPK−02S、L−02;エレクトロストリッパーTS−2B、TS−3B、TS−5、TS−6B、TS−7B、TS−8B、HS−12N、EAなどが挙げられる。
【0045】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アミンオキサイドなどがあげられる。アルキルベタインとしては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタインなどがあげられる。アミンオキサイドとしては、ラウリルジメチルアミンオキサイド、オレイルジメチルアミンオキシドなどがあげられる。
【0046】
なかでも、外観、艶消し、耐汚染性などの観点からアミンオキサイドが好ましい。特に、アルキル基の炭素数が8〜22のアルキルジメチルアミンオキサイドが好ましい。アルキル両性界面活性剤の具体的な市販品としては、花王株式会社から発売されている、アンヒトール20BS、24B、86B、20Y−B、20Nなどが挙げられる。
【0047】
界面活性剤は、外観、艶消し、耐汚染性などの観点から、表面塗布剤中に0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%配合される。0.1重量%未満であると艶消し、耐汚染性が不十分であり、50重量%を超えると耐汚染性が低下するため好ましくない。
【0048】
本発明の表面塗布剤には、有機溶媒((C)成分)を含有させることが好ましい。有機溶媒((C)成分)としては、本発明の効果を損ねない範囲で、(B)界面活性剤及び(D)酸等他成分の存在下、(A)水と混和するものを適宜選択することができる。有機溶媒を使用すると、目地周辺の外壁材に付着した本発明の表面塗布剤が該外壁材に滲み込んで濡れ色に変色した場合に、表面塗布剤に含まれる水の揮発を促進し、外壁の変色を早く解消することができる。
【0049】
具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ステアリン酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、γ−ブチロラクトン、マロン酸ジエチルなどのエステル系溶剤;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンなどのケトン系溶剤:エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテートなどのアセテート系溶剤;n−ヘキサン、2−メチルペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、n−デカン、n−ドデカンなどの脂肪族炭化水素系溶剤;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素系溶剤;キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ナフタレン、テトラリン、ビフェニルなどの芳香族炭化水素系溶剤;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノールなどのアルコール系溶剤;などが挙げられる。また、ジメチルスルホキシド、石油ナフサ、コールタールナフサ、ソルベントナフサなどやこれらの混合物もあげられる。
【0050】
特に、炭素数2〜10、好ましくは2〜5のアルコール系溶剤、炭素数2〜10、好ましくは2〜5のアセトン等のケトン系溶剤、炭素数2〜10、好ましくは2〜5の酢酸エチルなどのエステル系溶剤などを好ましく用いることができる。これらのうち本発明の表面塗布剤を用いて処理したシーリング材硬化物の表面の外観が良好な点、シーリング材を充填した目地周辺の外壁材に付着した場合に該外壁材の表面の塗装を痛めない点、及び水と混ざりやすい点から、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の炭素数2〜10のアルコール系溶剤が好ましく、n−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコールが特に好ましい。有機溶媒は、単独または2種以上組み合わせて使用できる。
【0051】
これら有機溶媒の含有量は、外観、艶消し、耐汚染性などの観点から、表面塗布剤中に、5〜90質量%、特に30〜75質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0052】
本発明の表面塗布剤には、酸及び/又は酸無水物((D)成分)を含有させることが好ましい。酸及び/又は酸無水物((D)成分)は、本発明の効果を損ねない範囲で、通常公知のものを適宜選択して使用することができる。酸及び/又は酸無水物を添加することにより、シーリング材又は防水材の良好な外観を実現できる。
【0053】
酸としては、特に制限はないが、各種カルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの直鎖飽和脂肪酸類;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;乳酸などのヒドロキシ酸;1−メチル酪酸、イソ酪酸、2−エチル酪酸、イソ吉草酸、ツベルクロステアリン酸、ピバル酸、ネオデカン酸などの枝分れ脂肪酸類;アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スペリン酸、セバシン酸、エチルマロン酸、グルタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、オキシ二酢酸などの飽和ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、アセチレンジカルボン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。芳香族カルボン酸として、安息香酸、9−アントラセンカルボン酸、アトロラクチン酸、アニス酸、イソプロピル安息香酸、サリチル酸、トルイル酸などの芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、カルボキシフェニル酢酸、ピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸等を用いても良い。酸は、1種のみを用いても良く、2種以上を組み合わせても良い。
【0054】
酸無水物としては、無水マレイン酸(MA)、無水コハク酸(SA)、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(Me−THPA)、無水メチルナジック酸(NMA)、アルケニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MeHHPA)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物(MCTC)等の環状脂肪族酸無水物を用いることができる。酸無水物は、1種のみを用いても良く、2種以上を組み合わせても良い。
【0055】
これらのうち、本発明の表面塗布剤を用いて処理したシーリング材硬化物の表面の汚染防止性から環状脂肪族酸無水物が好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(Me−THPA)、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MeHHPA)の少なくとも1種が特に好ましい。
【0056】
酸及び/又は酸無水物は、外観、耐汚染性などの観点から、表面塗布剤中に0.01〜15重量%、好ましくは0.03〜8重量%配合される。
【0057】
以上の成分以外にも、本発明の表面塗布剤には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに種々の添加剤を添加することができる。具体的には、消泡剤、顔料、染料、老化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤などの耐候安定剤などが挙げられる。
【0058】
本発明の表面塗布剤には、消泡剤((E)成分)を含有させることが好ましい。消泡剤((E)成分)は、本発明の効果を損ねない範囲で、通常公知のものを適宜選択して使用することができる。特にシリコーン系消泡剤が好ましく、その中でもエマルジョン型のものが特に好ましい。消泡剤((E)成分)は、良好な外観を実現する観点から、表面塗布剤中に0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%配合される。
【0059】
本発明の表面塗布剤は、種々のシーリング材及び防水材に適用することができ、具体例としては、ウレタン系、変性シリコーン系、シリコーン系、ポリサルファイド系等があげられる。これらのうち、作業性に優れ、硬化後低モジュラス、高伸びで接着性、耐候性などに優れている点で、ウレタン系、変成シリコーン系、シリコーン系が好ましく、特にウレタン系、変成シリコーン系が好ましい。特に、湿気硬化型のシーリング材及び防水材は好適であり、これらは一液型又は二液型のいずれであっても良い。とりわけ、本発明の表面塗布剤が、シーリング材又は防水材表面への塗布という簡便な作業で艶消しを実現できる利点を考慮すると、シーリング材又は防水材の施工時に混合作業を行わない一液湿気硬化型シーリング材及び一液湿気硬化型防水材が好適である。
【0060】
一液湿気硬化型シーリング材及び一液湿気硬化型防水材として代表的なものは、ウレタン系、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリサルファイド系があり、本発明の表面塗布剤は如何なるシーリング材及び防水材にも適用することができる。特に一液湿気硬化型ウレタン系シーリング材及び一液湿気硬化型ウレタン系防水材は好適である。一液湿気硬化型ウレタン系シーリング材及び一液湿気硬化型ウレタン系防水材は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを硬化成分として含有し、これに各種添加剤を配合してシーリング材および防水材としたものである。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基が湿気(水分)と反応し、尿素結合を形成して架橋、硬化するものであり、活性水素化合物と、有機イソシアネートとを、活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で、或いは活性水素化合物としてアルコール性水酸基含有化合物を使用した場合は、水酸基に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものが好適である。
【0061】
更に具体的には、活性水素化合物(特にアルコール性水酸基含有化合物)と有機イソシアネートとを、イソシアネート基/活性水素(基)(特に水酸基)の当量比が1.1〜10/1.0、特に1.3〜2.5/1.0となる範囲で同時或いは逐次に反応させて、好適に製造することができる。当量比が1.1/1.0を下回ると、得られるウレタンプレポリマーの粘度が高くなりすぎてゲル化の危険性が生じ、当量比が10/1.0を超えると、イソシアネート基が湿気と反応して生成する炭酸ガスの発生量が多くなって発泡の原因となるため好ましくない。
【0062】
前記活性水素化合物としては、ポリオール、アミノアルコール、ポリアミンなどが挙げられる。ポリオールは、低分子のポリオールと高分子のポリオールがあり、このうち高分子のポリオールが好ましい。高分子のポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、炭化水素系ポリオール等が挙げられ、数平均分子量500以上、好ましくは1,000以上のものである。
【0063】
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、アルキレンオキシドを開環付加重合させたものや、活性水素を2個以上含有する化合物などの開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させたものなどが挙げられる。
【0064】
開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の低分子多価アルコール類、ソルビトール、シュークロース、グルコース、ラクトース、ソルビタン等の糖類系低分子多価アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類、アジピン酸、テレフタル酸等の低分子ポリカルボン酸類、これらの少なくとも1種にアルキレンオキシドを反応させて得られる分子量500未満の低分子量のポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。
【0065】
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0066】
すなわち、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、具体的には、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリテトラメチレンエーテル系ポリオール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ランダム或いはブロック共重合系ポリオール、ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシブチレン)−ランダム或いはブロック共重合系ポリオールなどを挙げることができ、また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたものも挙げられる。
【0067】
ポリオキシアルキレン系ポリオールは、作業性などの点から、数平均分子量が500〜100,000、更に1,000〜30,000、特に1,000〜20,000のものが好ましく、また、1分子当たり平均のアルコール性水酸基の個数は2個以上、更に2〜4個が好ましく、2〜3個が最も好ましい。
【0068】
更に、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、その製造時に使用する触媒として、セシウム系化合物(水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムなど)、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、複合金属シアン化錯体など、なかでも亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体を使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、更に0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度を低下でき、かつ硬化後のゴム弾性物性が良好となる点で好ましい。
【0069】
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールとしては、例えば、公知のコハク酸、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、それらの酸エステル、酸無水物等と、前記のポリオキシアルキレン系ポリオールの合成に開始剤として使用される活性水素を2個以上含有する化合物との脱水縮合反応で得られる化合物が挙げられる。更に、ε−カプロラクトン等の環状エステル(すなわちラクトン)モノマーの開裂重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0070】
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、例えば、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールと前記のジカルボン酸、酸無水物等とから製造される化合物が挙げられる。
【0071】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記のポリオキシアルキレン系ポリオールの製造に用いる低分子多価アルコール類と、ホスゲンとの脱塩酸反応、或いはジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応などから得られる化合物が挙げられる。
【0072】
ポリ(メタ)アクリルポリオールとしては、水酸基を含有するヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合したものなどが挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は、「メタアクリル」又は「アクリル」を含むのは言うまでもなく、「メタアクリル」と「アクリル」の混合物も含む。
【0073】
炭化水素系ポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオールや水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール、塩素化ポリプロピレンポリオールなどが挙げられる。
【0074】
ポリオールとしては更に、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールの製造原料として挙げた数平均分子量500未満の低分子多価アルコール類などが挙げられる。
【0075】
ポリアミンとしては、ポリプロピレングリコールの末端ジアミノ化物などの、数平均分子量500以上でポリオキシアルキレン系ポリオールの末端がアミノ基となったポリオキシアルキレンポリアミン等の高分子ポリアミンが挙げられる。
【0076】
ポリアミンとしては更に、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン等の数平均分子量500未満の低分子ポリアミンが挙げられる。
【0077】
アミノアルコールとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等が挙げられる。
【0078】
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0079】
これらのうち、得られる一液湿気硬化型ウレタン系シーリング材及び一液湿気硬化型ウレタン系防水材の物性が良好な点で、高分子のポリオールが好ましく、更にポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、特にポリオキシプロピレン系ポリオールが好ましい。
【0080】
また、前記活性水素化合物として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、モノオール化合物も場合により使用できる。モノオール化合物としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類の他、これら低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを開環付加重合させた、後述の液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の合成に使用されるポリオキシアルキレン系モノオールと同様の化合物が挙げられる。このうちポリオキシプロピレン系モノオールが好ましい。
【0081】
なお、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールとは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、更に80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がウレタン、エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた部分の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるポリオールが最も好ましい。
【0082】
前記有機イソシアネートとしては、具体的には、有機ポリイソシアネートや、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、場合により使用される有機モノイソシアネートなどが挙げられる。
【0083】
有機ポリイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を2個以上含有する化合物であり、具体的には例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート類、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート類、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等のフェニレンジイソシアネート類、2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート類、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート類などの芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。更に、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートも使用できる。また、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、ウレア結合などを1以上含有する変性イソシアネートも使用できる。
【0084】
これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用できるが、これらのうち耐黄変性が良好な点で、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが好ましい。
【0085】
有機モノイソシアネートは、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−テトラデシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、オクタデシルモノイソシアネートなどが挙げられる。これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0086】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成の際には、後述の硬化促進触媒と同様の反応触媒を用いることができる。また、更に公知の有機溶媒を用いることもできる。
【0087】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は0.3〜15.0質量%が好ましく、特に0.5〜5.0質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、ウレタンプレポリマー中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、ウレタンプレポリマー中の架橋点が多くなりゴム弾性が悪化する点と、湿気との反応による炭酸ガスの発生量が多くなり硬化物が発泡する点で好ましくない。
【0088】
一液湿気硬化型ウレタン系シーリング材及び一液湿気硬化型ウレタン系防水材には、潜在性硬化剤としてオキサゾリジン化合物を添加することができる。オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子を含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは2〜6個有する化合物である。オキサゾリジン化合物を用いることにより、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基が湿気と反応して硬化するのではなく、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が湿気により加水分解を受けて2級アミノ基とアルコール性水酸基が生成し、これらの活性水素(基)がイソシアネート基と反応する。これにより炭酸ガスを発生することなく硬化するので、これらを含むシーリング材や防水材の炭酸ガスによる発泡を防止できる。
【0089】
オキサゾリジン化合物としては、具体的に、水酸基含有オキサゾリジン化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させて得られる、ウレタン基(ウレタン結合)含有オキサゾリジン化合物やエステル基含有オキサゾリジン化合物、或いはまた、カーボネート基含有オキサゾリジン化合物などが挙げられ、製造し易く粘度の低い点でウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
【0090】
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、具体的には、水酸基含有オキサゾリジン化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.9〜1.2の範囲、好ましくは0.95〜1.05の範囲となるように使用し、有機溶剤の存在下又は不存在下に50〜120℃の温度で反応して得られるものが挙げられる。
【0091】
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物としては、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に用いられる有機イソシアネートと同様のものが挙げられ、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の結晶性が低く溶解性に優れる点で、脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、さらにイソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0092】
前記水酸基含有オキサゾリジン化合物としては、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物又はアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。
【0093】
この水酸基含有オキサゾリジン化合物の合成方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0モルに対し、アルデヒド又はケトンのカルボニル基が1.0モル以上、好ましくは1.0〜1.5倍モル、更に好ましくは1.0〜1.2倍モル使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水結合反応を行う方法が挙げられる。
【0094】
アルカノールアミンとしてはジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、イソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒドなどが挙げられる。これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0095】
これらのうち、水酸基含有オキサゾリジン化合物の製造の容易さと、得られる湿気硬化型組成物が硬化するときの発泡防止性と、表面の亀裂発生を防止する性能に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物又はアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。これらの具体的な例として、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
【0096】
エステル基含有オキサゾリジン化合物は、前述した水酸基含有オキサゾリジン化合物とジカルボン酸もしくはポリカルボン酸の低級アルキルエステルとのエステル交換反応によって得ることができる。
【0097】
なお、オキサゾリジン化合物は、分子内に、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と5〜35℃の常温で反応する官能基を実質的に有してない。この「実質的に有していない」とは、例えば前述のウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成においてモル比の選択により少量の活性水素(基)が分子内に残存する場合があるが、潜在性硬化剤としての機能を達成する上で、有していないとしても差し支えないことを意味する。
【0098】
オキサゾリジン化合物の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基1.0モルに対して、オキサゾリジン化合物が加水分解して再生する2級アミノ基の活性水素が0.1モル以上、さらに0.2〜1.0モルとなるように使用するのが好ましい。0.1モル未満では発泡防止効果が不十分となり好ましくない。
【0099】
本発明の表面塗布剤の使用方法は、特に制限されるものではない。例えば、一液湿気硬化型シーリング材を、外壁の目地等の被施工対象に充填後、本発明の表面塗布剤を、当該シーリング材の表面に吹き付け又は塗布することができる。吹きつけ、塗布方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、スプレー、スプレー塗布機、噴霧器、刷毛、ローラー等の通常の装置を用いて行うことができる。塗布量は、本発明の硬化を損なわない範囲であれば特に限定されず、100〜800ml/mの範囲が好ましい。少なすぎる場合にはシーリング材等の表面に均一に塗布することができず、多すぎる場合にはシーリング材等を充填した目地の下部に表面塗布剤が溜まってしまい、周囲を汚染するおそれがある。
【0100】
本発明の表面塗布剤は、エアゾールとして調製することもできる。エアゾールとして調製する場合には、外観の向上を目的として、消泡剤を添加することが好ましい。消泡剤とは、上記の消泡剤を、上記の使用量で使用することができる。エアゾールの噴射剤としては、通常公知の液化ガス噴射剤及び/又は圧縮ガス噴射剤を使用することができる。液化ガス噴射剤としては、プロパン、ブタン等のLPG、ジメチルエーテル(DME)、HFC134a、HFC152a、HF01234Ze等の代替フロンガス等が挙げられる。圧縮ガス噴射剤としては、窒素、炭酸ガス、圧縮空気、酸素、アルゴン、ヘリウム、亜酸化窒素ガスなどがあげられる。これらの噴射ガスは、1種の単独又は組合せで用いて良い。また、これらの中でも、利便性、安全性等を考慮すると、プロパン、窒素、ジメチルエーテルを用いることが好ましい。
【実施例】
【0101】
以下、本発明を実施例に則して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0102】
表1に示す組成(重量比)で、水、有機溶媒、界面活性剤及び酸を良く混合し、A〜F(実施例)及びG〜I(比較例)の表面塗布剤を調製した。また、各表面塗布剤を使用して以下の評価を行った。なお、比較例4は、表面塗布剤を使用しない場合の実験例である。
<艶消し性>
厚さ5mmのスレート板の表面に、厚さ16mm×幅20mmの短冊状に切り出したサイディング板を四角枠状に配置し接着剤を用いて接着し、底部にバッカーを入れて、深さ5mm×幅20mm×長さ150mmの目地を作製し、この目地に1液湿気硬化型シーリング材(オートンラスティング30、オート化学工業社製)を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らにしたものに市販の噴霧器(ダイヤスプレーNo.530、株式会社フルプラ製)で表面塗布剤を全面に吹きつけたものを試験体とした。
【0103】
試験体を23℃、50%相対湿度の雰囲気下で24時間養生した。養生後、目地部分の表面を目視により観察し、下記の判定基準により評価した。
○:表面塗布剤を吹き付けない1液湿気硬化型シーリング材と比較して著しく艶が消えた状態。
×:表面塗布剤を吹き付けない1液湿気硬化型シーリング材と比較して同程度の艶を有している状態。
<外観>
<艶消し性>と同様の試験体を作成し、23℃、50%相対湿度の雰囲気下で24時間養生した。養生後、目地部分の表面を目視により観察し、表面状態が一様で、斑等が無い状態のものを○、それ以外を×とした。
<耐汚染性(表面タックの評価)>
厚さ5mmのスレート板の表面に、厚さ16mm×幅20mmの短冊状に切り出したサイディング板を四角枠状に配置し接着剤を用いて接着し、底部にバッカーを入れて、深さ5mm×幅20mm×長さ150mmの目地を作製し、この目地に1液湿気硬化型シーリング材(オートンラスティング30、オート化学工業社製)を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らにしたものに市販の噴霧器(ダイヤスプレーNo.530、株式会社フルプラ製)で表面塗布剤を全面に吹きつけたものを試験体とした。
【0104】
試験体を作成後、23℃、50%相対湿度の雰囲気下で24時間養生した。養生後、試験体の表面に黒色珪砂(粒径70〜110μm)をふりかけた後、直ちに試験体を裏返し、底を手でたたき、余分の黒色珪砂を落とした。表面に付着して残った黒色珪砂(汚れ)の状態を目視により観察し、硬化途中の汚染性を下記の判定基準により評価した。
判定基準
○:表面に黒色珪砂の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
△:表面に黒色珪砂の付着が若干認められるが許容され得る状態。
×:表面に黒色珪砂が多量に付着し、黒く汚れた状態。
【0105】
【表1】

【0106】
有機溶媒:n−プロピルアルコール
アニオン性界面活性剤:エマール2F−30(花王製)
カチオン性界面活性剤:コータミン60W(花王製)
非イオン性界面活性剤:エマルゲン105(花王製)
両性界面活性剤: アンヒトール20N(花王製)
酸:リカシッドMH−700(新日本理化社製、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30混合物)
以上の通り、本発明の表面塗布剤により、十分な艶消が可能であると共に、表面タックも生じていないことが分かる。
【0107】
次に、本発明の表面塗布剤を用いた場合の外壁材塗装面への影響及びシーリング目地のセルフクリーニング性を、以下の通りに評価した。
【0108】
<外壁材塗装面への影響>
幅50mm×長さ50mmの親水コーティング外壁材(親水セラ、ケイミュー株式会社製)に表面塗布剤A、E及びF、表面塗布剤Eのn−プロピルアルコールの代わりに酢酸エチルを用いた表面塗布剤Jと市販の表面塗布剤(オートンプロテクターN、オート化学工業社製)、水10質量部と上記アニオン性界面活性剤3質量部からなる表面塗布剤Kを、表面塗布剤A,E、J、Kについては市販の噴霧器(ダイヤスプレーNo.530、株式会社フルプラ製)で、市販の表面塗布剤については使用方法に従って全面に吹きつけた。吹きつけ後直ちに清浄な布で表面塗布剤を拭き取ったもの、吹きつけ後直ちに水洗したもの、何れの処理も行わなかったもの及び表面塗布剤を吹きつけなかったものを23℃、50%相対湿度の雰囲気下で24時間養生したものを試験体とした。
【0109】
試験体を23℃の水に10秒間浸漬して取り出した後、表面状態を観察する。表面塗布剤を吹きつけなかったものと同様の状態のものを○、吹き付けなかったものと状態が異なるもの(水をはじいているもの)を×とした。また、評価を終えた試験体を吹きつけ面が屋外の南面30°傾斜の位置となるように静置し、1ヶ月間暴露した後に同様の評価を行った。結果を表2に示した。
【0110】
【表2】

【0111】
<シーリング目地のセルフクリーニング性>
厚さ5mm×幅50mm×長さ100mmの厚紙の表面に、4辺を厚さ5mmのポチエチレン製目地調整材(パックバッカー、コンドーテック社製)で囲んだ枠を作成し、ここに1液湿気硬化型シーリング材(オートンラスティング30、オート化学工業社製)を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らにしたものに表面塗布剤E、F、J、Kと市販の表面塗布剤(オートンプロテクターN、オート化学工業社製)を、表面塗布剤E、F、及びJについては市販の噴霧器(ダイヤスプレーNo.530、株式会社フルプラ製)で、市販の表面塗布剤Kについては使用方法に従って全面に吹きつけたものと、何も吹きつけなかったものを試験体とした。
【0112】
試験体を作成後、23℃、50%相対湿度の雰囲気下で7日間養生した。養生後、試験体の表面に試験体の表面に5%のカーボン水を吹きかけた後、直ちに噴霧器で水道水を吹きかけて洗い流し、表面をふき取らずに23℃、50%相対湿度の雰囲気下で1日間乾燥した後、分光測色計(CM−2500d、コニカミノルタ社製)を用いて、試験前の状態との色差(△E)を測定した。
【0113】
【表3】

【0114】
次に、エアゾール形式の本発明の表面塗布剤の性能を以下のように評価した。
【0115】
<エアゾール化適応性>
表面塗布剤E及び表面塗布剤Eに消泡剤としてBYK−028(水系用シリコーン消泡剤、ビックケミー・ジャパン製)を表面塗布剤中に0.5重量%になるように添加した表面塗布剤ESをそれぞれ300g、噴射剤としてジメチルエーテル(DME)250gを500mlの容器に充填してエアゾール化したものを、<艶消し性>と同様の目地に噴射したものを試験体とした。試験体を23℃、50%相対湿度の雰囲気下で24時間養生した後、目地部分の表面を目視により確認し、表面状態が一様で斑がない状態のものを○、斑があるものを×とした。
【0116】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の表面塗布剤は、シーリング材又は防水材の艶消剤及び/又は硬化促進剤として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水と、
(B)界面活性剤と、を含有することを特徴とする、シーリング材又は防水材の表面塗布剤。
【請求項2】
前記シーリング材又は防水材が、湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材である、請求項1記載の表面塗布剤。
【請求項3】
前記湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材が、一液湿気硬化型シーリング材又は一液湿気硬化型防水材である、請求項2記載の表面塗布剤。
【請求項4】
前記シーリング材又は防水材が、親水コーティング外壁材用のシーリング材又は防水材である、請求項1〜3何れかに記載の表面塗布剤。
【請求項5】
さらに、(C)有機溶媒を含有する、請求項1〜4何れかに記載の表面塗布剤。
【請求項6】
さらに、(D)酸及び/又は酸無水物を含有する、請求項1〜5何れかに記載の表面塗布剤。
【請求項7】
さらに、(E)消泡剤を含有し、エアロゾルの形態である、請求項1〜6何れかに記載の表面塗布剤。
【請求項8】
(B)界面活性剤が、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級アンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルベタイン、アミンオキサイド又はこれらの組合せである、請求項1〜7何れかに記載の表面塗布剤。
【請求項9】
(C)有機溶媒が、炭素数2〜20のアルコール系有機溶媒、炭素数2〜20のケトン系有機溶媒、炭素数2〜20のエステル系有機溶媒から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の表面塗布剤。
【請求項10】
湿気硬化型シーリング材又は湿気硬化型防水材を硬化させる前に、当該湿気硬化型シーリング材又は防水材の表面に、請求項1〜9何れかに記載の表面塗布剤を塗布するか、噴霧することを特徴とする、シーリング材又は防水材の施工方法。

【公開番号】特開2013−76065(P2013−76065A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195140(P2012−195140)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(000103541)オート化学工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】