説明

ジャーポット

【目的】 外部電源がないときにも湯の温度を表示できるジャーポットを得る。
【構成】 本体1に容器2内の液体3を加熱する発熱体4と、液体3の温度を検知する水温センサー5と、液体3を導出する電動ポンプ8と、液体3の温度を表示する湯温表示部26と、ジャーポット全体を制御する制御装置27を備え、外部電源により、容器2内の液体3を加熱沸騰させた後に所定の温度にて保温し、液体の温度を表示し、出湯できるジャーポットにおいて、本体1内部に制御装置27に接続した内部電源供給手段28を設け、外部電源が接続されていないときにも、制御装置27は内部電源供給手段28からの電源により水温センサー5の検知出力に基づき湯温表示部26に湯の温度を表示させ、電動ポンプ8にて出湯させるよう制御するものとしたジャーポット。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は容器内の水を加熱して湯を沸かした後に所定の温度で保温する機能を有するものにおいて、外部電源が接続されていないときも湯温表示ができるジャーポットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のジャーポットは、本体内部に設けた液体を収容する容器と、容器底部に密着させ容器内の液体を加熱沸騰する発熱体と、この発熱体により加熱された容器内の液体を導出する導出手段等を備え、容器内の液体を加熱沸騰させた後に所定の温度にて保温するもので、液体の導出手段として蓋内にべローズポンプを備え、このべローズポンプを押し、容器内に空気を圧送して出湯させるエアー式ジャーポットが一般的であったが、ポンプを押す煩わしさを軽減するため、電動ポンプ等を備えた電動式ジャーポットがある。また、電動式ジャーポットにおいて本体内部に内部電源供給手段を備え、外部より電源が供給されていないときにも出湯可能としたもの(例えば実開平5−63419号公報、特開昭63−43619号公報参照)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のジャーポットには、湯沸かし中、あるいは保温中の湯の温度を表示するものが有るが、いずれも外部電源が接続されているときのみの表示で有り、外部電源が接続されていないときはその機能が働かない。ジャーポットを外部電源を接続せずに放置した場合、発熱体への通電が行われず、保温がされないために湯の温度が下がるが、電動式ジャーポットにおいて本体内部に内部電源供給手段を備え外部より電源が供給されていないときにも出湯可能としたものでも、湯の温度表示がなされないため、使用者が湯の温度を把握できず、用途に適した湯の温度かどうか判らないという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本体に液体を収容する容器と、容器内の液体を加熱する発熱体と、液体の温度を検知する水温センサーと、容器内の液体を導出する導出手段と、液体の温度を表示する湯温表示部と、ジャーポット全体を制御する制御装置を備え、外部電源により、容器内の液体を加熱沸騰させた後に所定の温度にて保温し、液体の温度を表示し、出湯できるジャーポットにおいて、本体内部に制御装置に接続した内部電源供給手段を設け、外部電源が接続されていないときにも、制御装置は内部電源供給手段からの電源により水温センサーの検知出力に基づいて湯温表示部に湯の温度を表示させるよう制御するものとし、導出手段は外部電源が接続されていないときにも出湯させることができるものとした。
【0005】また、導出手段は制御装置にて制御され、外部電源によっても、内部電源供給手段からの電源によっても駆動できる電動ポンプとした。
【0006】
【作用】上記構成により、外部電源が接続されていないときに、制御装置は内部電源供給手段からの電源により水温センサーの検知出力に基づいて湯温表示部に湯の温度を表示させ、導出手段は外部電源が接続されていないときにも出湯させることができる。
【0007】また、外部電源によっても、内部電源供給手段からの電源によっても制御部は電動ポンプを駆動し容器内の液体を出湯させることができる。
【0008】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施例を示すジャーポットの概略断面図、図2は同じくジャーポットの表示部の正面図、図3は同じくジャーポットの制御系統図である。
【0009】図1において、1は本体で、2は本体1に内蔵され水や湯などの液体3を収納する容器である。4は容器2底面に装着され容器2内の液体3を加熱、保温する発熱体である。5は容器2の外底面中央部に装着された水温センサーで、容器2内の液体の温度を検知する。6は容器2の底面前部に穿設された孔で、7はこの孔6に貫設された容器パイプである。8は容器パイプ7の先に取り付けられ容器2内の液体3を送水する導出手段としての電動ポンプである。
【0010】その電動ポンプ8の先には順次ジョイント9、容器2内の湯を出湯させる透明ガラス管のゲージパイプ10、ジャーポットが転倒したとき湯が流出しないようにゲージパイプ10の下流に設けられたセラミック製の本体側の転倒流水防止弁11、本体1上部に転倒流水防止弁11と連設された湯口パイプ12、湯口カバー13が接続され、出湯経路14を形成している。
【0011】15はヒンジ16を中心に回動自在に本体1の上部開口に着脱自在に載置された蓋体で、17は蓋体15の前方に設けた開閉レバーである。18はこの蓋体15の下側開口部に装着された裏蓋で、19は裏蓋18下面を覆うように装着固定された内蓋である。
【0012】20は蓋体15後部上面に形成された蒸気孔で、この蒸気孔20に裏蓋18とともに中栓21を接続し、蒸気通路を構成している。22はジャーポットが転倒したとき容器2内の湯が流出しないように中栓21内に設けられた鋼球製の蒸気側の転倒流水防止弁である。23は開閉レバー17と係止するよう蓋体15の前方に設けられたフックであり、24は本体上部に覆設された本体リングである。25はその本体リング24の先端部上面に設けられた制御操作部であり、その制御操作部25には湯温を表示する湯温表示部26や、出湯操作をする出湯ボタン33等がある(図2)。
【0013】本体1下部に制御装置27と、内部電源供給手段28(例えば大容量コンデンサ、又は二次電池)が設けられ、制御装置27は発熱体4、水温センサー5、電動ポンプ8、湯温表示部26および内部電源供給手段28が接続され(図3)、また、内部にマイコンが装着されており、ジャーポット全体を制御する。29は制御装置27に覆設した防水ケースで、30は本体1底部の底枠で、31は底枠30に併設した回転台で、32は本体1の上部に設けた持ち運び用のハンドルである。
【0014】次に上記構成からなる本実施例の作用について説明する。
【0015】蓋体15の前方に設けた開閉レバー17を引き上げると、開閉レバー17と係止しているフック23が後方に押され、本体リング24との嵌合が外れ蓋体15は開けられる。
【0016】容器2内に液体である水3を入れ、蓋体15を閉じ外部電源(図示せず)により通電すると、水温センサー5の情報により制御装置27で制御し、発熱体4により水3を加熱し湯沸かしを始め、また、並行して制御装置27に接続された内部電源供給手段28に充電を開始する。
【0017】その後、次第に容器2内の水温が上昇し、それとともに水温センサー5の検出温度が上昇して所定の温度に達すると、制御装置27内に装着されたマイコンが沸騰検知を始め、沸騰、湯沸かし完了と判定すると発熱体4への通電を制御し、保温状態になる。
【0018】本体1に内蔵された内部電源供給手段28は、この湯沸かし時間内に充電を終了するものであるが、湯沸かし状態でなく例えば保温中でも、所定の時間外部電源より通電すれば内部電源供給手段28の充電は終了するものである。
【0019】通常の使用状態である外部電源が接続された状態での湯沸かし中、あるいは保温中には、外部電源により水温センサー5が検出する湯温が湯温表示部26に表示される。また、外部電源が接続されていないときも、内部電源供給手段28により水温センサー5が検出する湯温が湯温表示部26に同じく表示されることとなり、使用者は湯(液体)3の温度を随時把握することができる。
【0020】容器2内の湯を出湯させるときは、図2に示す制御操作部25の出湯ボタン33を押すと制御装置27は電動ポンプ8を動作させ、容器パイプ7から湯3を電動ポンプ8内に吸い出湯経路14を構成するジョイント9、ゲージパイプ10、本体側の転倒流水防止弁11を通って、湯口パイプ12から出湯する。なお、外部電源が接続されていないときも、制御装置27は内部電源供給手段28により電動ポンプ8を動作させ、容器2内の湯を出湯させることはできるが、発熱体4への通電は停止するよう制御する。
【0021】なお、本実施例では導出手段は電動ポンプ8を用いた電動式としたが、蓋内にべローズポンプを備え、このべローズポンプを押し、容器内に空気を圧送して出湯させるエアー式としてもよい。
【0022】
【発明の効果】以上本発明によれば、制御装置は本体内部に設けた内部電源供給手段からの電源により水温センサーの検知出力に基づいて湯温表示部に湯の温度を表示させるよう制御するものとし、電動ポンプは内部電源供給手段からの電源によっても出湯させることができるものとしたから、外部電源が接続されていないときにも、使用者がお湯の温度を把握して、出湯することができ、使い勝手がよく効果的に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すジャーポットの概略断面図である。
【図2】同じくジャーポットの制御操作部の正面図である。
【図3】同じくジャーポットの制御系統図である。
【符号の説明】
1 本体
5 水温センサー
8 電動ポンプ(導出手段)
26 湯温表示部
27 制御装置
28 内部電源供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体に液体を収容する容器と、容器内の液体を加熱する発熱体と、液体の温度を検知する水温センサーと、容器内の液体を導出する導出手段と、液体の温度を表示する湯温表示部と、ジャーポット全体を制御する制御装置を備え、外部電源により、容器内の液体を加熱沸騰させた後に所定の温度にて保温し、液体の温度を表示し、出湯できるジャーポットにおいて、前記本体(1)内部に制御装置(27)に接続した内部電源供給手段(28)を設け、外部電源が接続されていないときにも、制御装置(27)は内部電源供給手段(28)からの電源により前記水温センサー(5)の検知出力に基づいて前記湯温表示部(26)に湯の温度を表示させるよう制御するものとし、また、前記導出手段は外部電源が接続されていないときにも出湯させることができるものとしたことを特徴とするジャーポット。
【請求項2】 前記導出手段は制御装置(27)にて制御され、外部電源によっても、内部電源供給手段(28)からの電源によっても駆動できる電動ポンプ(8)としたことを特徴とする請求項1記載のジャーポット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平9−206212
【公開日】平成9年(1997)8月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−19225
【出願日】平成8年(1996)2月6日
【出願人】(000005131)株式会社日立ホームテック (10)