説明

スイートコーン収穫機

【課題】スイートコーン収穫機を提供する。
【解決手段】走行部61と、前方が低くなるように傾斜して延在しかつ左右に並置され挟持物体を前方から後方へと移動させるべく駆動される一対の挟持搬送ベルト11と、前方に向かって間隙が漸次拡がるように左右に配置された一対の誘導ベルト17と、挟持搬送ベルトの前端下方に位置する下部カッター刃21と、挟持搬送ベルトの搬送途中位置の下面から所定の角度をもって後方に延在し互いの間に間隙tを介して左右に並置され軸を中心に回転駆動される一対の収穫ロッド41と、を備え、誘導ベルトによりスイートコーン植物体を引き込み挟持搬送ベルトにより挟持すると同時に下部カッター刃21が茎を切断し、茎上部を挟持したまま後端まで搬送する途中位置から茎上部が収穫ロッド間隙に入り込み、スイートコーン果実SC1がしごき落とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の生食用スイートコーンを収穫するスイートコーン収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
生食用スイートコーン(以下、単に「スイートコーン」と称する)の収穫は、一般的に、人手によりスイートコーン果実を1つ1つもぎ取る作業として行われていた。従って、その作業効率は作業員の数に依存し、また、作業員の負担も大きかった。
【0003】
従来、特許文献1等の人参や大根などの根菜を圃場から自動的に収穫してコンテナに収容する収穫機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−114590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スイートコーンについては、圃場から自動的に収穫してコンテナに収容する実用的な収穫機は、未だ提示されていない。スイートコーンは、その植物体の形態が根菜とは全く異なるので、根菜収穫機の構成をそのまま適用することはできない。
本明細書では、スイートコーンの植物体全体を「スイートコーン植物体」と称し、収穫される生食用部分を「スイートコーン果実」と称することとする。スイートコーン植物体の全体は、高さ約2mに達し、先端にはススキ状の雄穂があり、中間部には、通常、2個のスイートコーン果実が付く。2個のスイートコーン果実のうち、一番上に付くスイートコーン果実は"一番成り"と呼ばれる。通常は、一番成りのみが出荷の対象となり、二番成りは、出荷されない。
【0006】
そこで、本発明は、圃場のスイートコーン植物体からスイートコーン果実を自動的にもぎ取り収穫する機能、特に、一番成りのスイートコーン果実のみを自動的にもぎ取り収穫する機能を有するスイートコーン収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく本発明は、以下の構成を提供する。括弧内の半角数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付している。
本発明によるによるスイートコーン収穫機(1)は、
圃場を自走可能な走行部(61)と、
前記走行部(61)の上方において、前方が低くなるように傾斜して延在しかつ左右に並置された一対のベルトであって互いの間に挟持した物体を前方から後方へと移動させるべく各々駆動される一対の挟持搬送ベルト(11)と、
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の前端からさらに前方に向かって互いの間の間隙が漸次拡がるように左右に配置された別の一対のベルトであって互いの間に入り込んだ物体を前方から後方へと移動させるべく各々駆動される一対の誘導ベルト(17)と、
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の前端下方に位置する少なくとも1枚の下部カッター刃(21)と、
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の搬送途中位置の下面から該一対の挟持搬送ベルトに対し所定の角度をもって後方に延在し、互いの間に所定の間隙(t)を介して左右に並置された一対のロッド体であって各ロッド体の軸を中心に回転駆動される一対の収穫ロッド(41)と、を備える。
【0008】
上記構成のスイートコーン収穫機は、次のように動作する。前記走行部(61)が圃場を前方に走行するとき、前記誘導ベルト(17)はスイートコーン植物体(200)を引き込み前記一対の挟持搬送ベルト(11)へと誘導し、該一対の挟持搬送ベルト(11)の前端にて該スイートコーン植物体の茎(202)を挟持すると同時に前記下部カッター刃(21)が、該茎を、少なくとも1つのスイートコーン果実(SC1)を付けた茎上部(202a)と圃場に残留する茎下部(202b)とに切断すると、該一対の挟持搬送ベルト(11)は該茎上部(202a)を挟持したまま後端まで搬送する一方、搬送途中位置から該茎上部(202a)が前記一対の収穫ロッド(41)の間隙(t)に入り込むことにより、該一対の収穫ロッド(41,41)が該スイートコーン果実(SC1)を該茎上部(202a)からしごき落とすべく構成されている。
【0009】
上記のスイートコーン収穫機は、前記一対の挟持搬送ベルト(11)の前端近傍の上方に位置する上部カッター刃(16)をさらに備え、該上部カッター刃は、搬送されている前記茎上部(202a)の雄穂(201)を切断するべく構成されていることが好適である。
【0010】
上記のスイートコーン収穫機は、前記走行部(61)の後方に取り付けられたコンテナ(95)と、しごき落とされた前記スイートコーン果実(SC1)をその落下点から前記コンテナ(95)まで移送する1又は複数のコンベア(51,52,53)と、をさらに備えることが好適である。
【0011】
上記のスイートコーン収穫機は、前記一対の挟持搬送ベルト(11)の後端から排出される前記茎上部(202a)を受けるべく設置されたシュート(81)と、前記シュート(81)の下方に設けられ前記茎上部(202a)を裁断する裁断シリンダカッター(82)と、をさらに備えることが好適である。
【0012】
上記のスイートコーン収穫機は、前記一対の収穫ロッド(41)が、その間隙(t)の前方が狭く後方が広くなるように設置されていることが好適である。
【0013】
上記のスイートコーン収穫機は、前記一対の収穫ロッド(41)の各々が、ロッド芯部(41a)と、該ロッド芯部の周面上に螺旋状に突出する螺旋突起部(41b)とをそれぞれ具備することが好適である。
【0014】
上記のスイートコーン収穫機は、前記螺旋突起部(41b)が軟質素材からなることが好適である。
【0015】
上記のスイートコーン収穫機は、前記一対の挟持搬送ベルト(11)の一方の裏面を押圧する押圧用テンションプーリ(19a)と、他方の裏面を支持する支持用テンションプーリ(19b)とを備えることが好適である。
【0016】
上記のスイートコーン収穫機は、前記一対の挟持搬送ベルト(11)の傾斜を調整する手段を備えたことが好適である。
【0017】
上記のスイートコーン収穫機は、前記下部カッター刃(21)の高さ位置を調整する手段を備えたことが好適である。
【0018】
上記のスイートコーン収穫機は、2枚の下部カッター刃(21)を左右に並置することが好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるスイートコーン収穫機は、上記のように構成されているので以下の効果を奏する。
スイートコーン収穫機は、自走可能な走行部を有しており、一列に並んだスイートコーン植物体の列方向に走行する。そして、走行しつつ、1本のスイートコーン植物体から1個の一番成りのスイートコーン果実を収穫する。一列のスイートコーン植物体は、ほぼ等間隔で圃場に起立しているので、順次、収穫していく。
先ず、スイートコーン植物体の茎を、一対の誘導ベルトにより引き寄せ、後方の挟持搬送ベルトへと誘導する。一対の誘導ベルトは前方の間隔が広くなっているので、拡がった葉を捉えて茎を引き寄せ易い。
続いて、一対の挟持搬送ベルトが、その前端において両ベルトの間に茎の一箇所を引き込み、当該箇所を把持すると、後方へ移送し始める。挟持搬送ベルトが茎の一箇所を把持すると同時に、その下方に位置する下部カッター刃が、茎の別の一箇所を切断する。この切断位置は、一番成りの付き位置よりも下方であって、二番成りの付き位置よりも上方とする。これにより、一番成りの付いた茎上部は、挟持搬送ベルトにより後方へ移送され、二番成りの付いた茎下部は、圃場に残留することとなる。
【0020】
挟持搬送ベルトは、前方が低くなるように傾斜して設置されているので、茎上部は、後方へ移送されるに従って上昇することとなる。一方、挟持搬送ベルトの搬送途中位置の下面から挟持搬送ベルトに対し所定の角度をもって後方に延在する一対の収穫ロッドが設置されている。茎上部は、搬送途中位置から、一対の収穫ロッドの間隙に入り込む。挟持搬送ベルトにより把持された茎上部は次第に上昇するので、やがて一番成りが収穫ロッドに引っ掛かる。そして、両収穫ロッドの回転により、一番成りは茎上部からしごき落とされる(すなわち、もぎ取られる)。一番成りをもぎ取られた茎上部は、そのまま挟持搬送ベルトの後端まで移送される。
【0021】
好適な態様においては、挟持搬送ベルトの前端近傍の上方に位置する上部カッター刃を備えている。これにより、挟持搬送ベルトによる茎上部の移送の開始直後に、雄穂を切断して圃場に落とすことができる。
【0022】
好適な態様においては、走行部の後方に取り付けられたコンテナと、しごき落とされたスイートコーン果実をその落下点からコンテナまで移送する1又は複数のコンベアとを設けている。これにより、落下したスイートコーン果実が所定の範囲に散らばったとしても、コンベア上に落下しさえすれば、自動的にコンテナに集め収容することができる。
【0023】
好適な態様においては、挟持搬送ベルトの後端から排出される茎上部を受けるべく設置されたシュートと、シュートの下方に設けられ茎上部を裁断する裁断シリンダカッターとを設けている。これにより、不要の茎上部を直ちに収集裁断して、圃場に戻すことができる。
【0024】
好適な態様においては、一対の収穫ロッドの間隙は、前方が狭く後方が広くなるように設置されている。これにより、スイートコーン植物体が後方に搬送されるにつれて引き上げられた場合に、一対の収穫ロッドの間隙を通過する茎が次第に太くなっていくことに対応できる。
また、下部カッター刃による茎の切断位置は、二番成りより上方を目標とするが、誤って二番成りより下方が切断され、二番成りが茎上部に付いてしまった場合に対処できる。二番成りは、一番成りより未成熟で細いため、収穫ロッドの間隙を後端側で広くすることにより、二番成りを茎上部と共に通り抜けさせることができるからである。この結果、茎上部に二番成りも付いてしまった場合であっても、一番成りのみがもぎ落とされるので、収穫後に二番成りを選別する作業が不要となる。
【0025】
好適な態様においては、一対の収穫ロッドの各々が、ロッド芯部と、このロッド芯部の周面上に螺旋状に突出する螺旋突起部とをそれぞれ具備するスパイラルロッドである。これにより、回転する螺旋突起部の動きにより、スイートコーン果実を速やかにかつきれいに茎からしごき落とすことができる。また、螺旋突起部を、軟質素材とすることにより、スイートコーン果実を傷つけることなく収穫できる。
【0026】
好適な態様においては、一対の挟持搬送ベルトの一方の裏面を押圧する押圧用テンションプーリと、他方の裏面を支持する支持用テンションプーリとを備えている。これにより、一対の挟持搬送ベルトが、両側から物体を確実に挟持して安定に搬送することが可能となる。
【0027】
好適な態様においては、一対の挟持搬送ベルトの傾斜を調整可能である。これにより、挟持搬送ベルトの前端の高さ位置を変更できるので、茎の把持位置を調整できる。スイートコーン植物体の全高及び一番成りの付き位置のばらつきに合わせて、最適な高さに調整可能である。
【0028】
好適な態様においては、下部カッター刃の高さ位置を調整可能である。これにより、茎の切断位置を調整できる。一番成りの付き位置及び二番成りの付き位置のばらつきに合わせて、最適な位置で切断するように調整可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるスイートコーン収穫機の全体外観を示す側面図である。
【図2】スイートコーン収穫機の天井フレームを除いた平面図である。
【図3】スイートコーン収穫機の背面図である
【図4】挟持搬送ベルト及び搬送フレーム並びにこれらの前方部分を示す概略斜視図である。
【図4A】挟持搬送ベルトを押圧及び支持する一対のテンションプーリの作用説明図である。
【図5】搬送フレームの前端近傍部分における傾斜調整機構を示す概略斜視図である。
【図6】図1のA視図であり、スイートコーン収穫機の主要部のための回転駆動装置を概略的に示している。
【図7】図1のB視図である。
【図8】図1のC視図である。
【図9】(a)は、一対のスパイラルロッドの配置を示した平面図であり、(b)は、(a)のD−D断面図である。
【図10】基台フレーム上に設置される複数のコンベアの配置を示した斜視図である。
【図11】横移動用のコンベアの詳細斜視図である。
【図12】上昇用のコンベアの詳細斜視図である。
【図13】スイートコーン収穫機の前部分における作業状況を示した側面図である。
【図14】スイートコーン収穫機の中間部分における作業状況を示した側面図である。
【図15】スイートコーン果実をしごき落とす状況を示した正面図である。
【図16】スイートコーン収穫機の後部分における作業状況を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施例を示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図面中、2点破線で示した構成要素は、概略のみを示しているが、当該構成要素自体は公知のものであるので、本発明の理解に支障はない。
図1は、本発明によるスイートコーン収穫機の全体外観を示す側面図である。図2は、スイートコーン収穫機の天井フレームを除いた平面図であり、図3は、スイートコーン収穫機の背面図である。以下、各構成要素について、詳細に説明する。
【0031】
<走行部61及び全体フレーム>
図1に示す通り、スイートコーン収穫機1は、圃場を自走可能な走行部61を有する。走行部61は、圃場の走行に好適なクローラータイプであるが、これに限定しない。走行部61の上に、本体フレームが載置固定されている。本体フレームには、本発明の機能を備えた各構成要素が取り付けられている。本体フレームは、主要な枠組として、基台フレーム73と、基台フレーム73の周縁上に起立する適宜の本数の柱フレーム71、72と、柱フレームの上端に取り付けられた天井フレーム74とを具備する。柱フレーム71、72は、必要に応じて所定の位置に設ける。
【0032】
図2の平面図に示すように、スイートコーン収穫機1の収穫機能を担う主要部は、走行方向(図の左側)に向かって左半部に設置されている。右半部の前方には、運転部96が設置されており、作業者が走行部16及び収穫機能部の操作を行う。スイートコーン収穫機1は、基本的に一人の作業者により操作可能である。
【0033】
図3の背面図に示すように、スイートコーン収穫機1の右半部の後部にはフォークリフト91と、適宜の容量のコンテナ95とが取り付けられている。フォークリフト91は、フォークリフト駆動用の上下シリンダー92及び左右シリンダー93により上下左右に移動操作され、また、図2のチルトシリンダー94により角度変更操作される。コンテナ95は、収穫されたスイートコーン果実を収容する。コンテナ95の開口は、スイートコーン果実を運ぶ最終のコンベア52の直下に位置している。
また、スイートコーン収穫機1の左半部の後部には、シュート81と、その下に裁断シリンダカッター82が取り付けられている。裁断シリンダカッター82は、裁断カッター駆動モータ83により駆動される。
【0034】
<挟持搬送ベルト11及び搬送フレーム15>
図1及び図2に示すように、一対の挟持搬送ベルト11が、基台フレーム73と天井フレーム74の間のほぼ中間の高さ位置に前後方向に延在するように設置される。この一対の挟持搬送ベルト11は、前方が低く後方が高くなるように傾斜して配置されている。図2に示すように、左右に並置された一対の無端ベルトであり、各々をVベルトとすることが好適である。一対の挟持搬送ベルト11は、挟持しようとする物体を前端から引き込むように、各々のベルトが駆動される。一対の挟持搬送ベルト11により両側から挟持された物体は、前方から後方へと搬送され、最終的には後端から排出されることとなる。物体を把持する部分においては、双方のベルト間に隙間を生じ無いように配置されている。物体を確実に把持するための手段については、後述する。
【0035】
一対の挟持搬送ベルト11は、前後方向に延在する一体的に形成された一対の搬送フレーム15により支持されている。一対の搬送フレーム15の各々の後端には、搬送ベルト駆動プーリ12aが配置され、各々の前端には搬送ベルト従動プーリ12bが配置されている。1つの挟持搬送ベルト11は、1つの搬送ベルト駆動プーリ12aと1つの搬送ベルト従動プーリ12bの間に架け渡されている。一対の搬送ベルト駆動プーリ12aを、それぞれ所定の向きに回転駆動することにより、各挟持搬送ベルト11を前後方向に動かす。各搬送フレーム15の前後方向の中間部両側にはベルト受けローラ14があり、各挟持搬送ベルト11の往路部分と復路部分をそれぞれ支持している。
【0036】
<挟持搬送ベルト11の傾斜調整機構>
一対の搬送フレーム15は、その傾斜角度を調整する機構を備えている。これにより、一対の挟持搬送ベルト11の傾斜角度を調整可能である。図1及び図5を参照して、搬送フレーム15の傾斜調整機構を説明する。図5は、搬送フレーム15の前端近傍部分における傾斜調整機構を示す概略斜視図である。
【0037】
図1に示すように、一対の搬送フレーム15の後端近傍は、支持フレーム31の下端に固定されている。この支持フレーム31の上端は、柱フレーム72に対し支点Pを中心に回動可能に取り付けられている。また、図1及び図5に示すように、一対の搬送フレーム15の前端近傍は、支持フレーム32の下端に固定されている。この支持フレーム32の上端は、クランクフレーム33の一端である支点Sと回動可能に結合されている。このクランクフレーム33の他端は、クランクフレーム34の一端と支点Rで回動可能に結合されている。そして、クランクフレーム34の他端は、柱フレーム71に対し支点Qを中心に回動可能に取り付けられている。さらに、クランクフレーム33の中間位置とクランクフレーム34の中間位置の間には、伸縮制御される油圧シリンダー35が取り付けられている。
【0038】
例えば、図1の状態から油圧シリンダー35を収縮させると、クランクフレーム33とクランクフレーム34のなす角度が小さくなると共に、これらのクランクフレーム33、34が支点Qを中心に反時計回りに回動する。これに伴い、支持フレーム31、搬送フレーム15及び支持フレーム32は一体的に支点Pを中心に反時計回りに回動する。この結果、搬送フレーム15の傾斜すなわち挟持搬送ベルト11の傾斜は大きくなる。このことは、挟持搬送ベルト11の前端の位置が低くなることを意味する。
【0039】
逆に、図1の状態から油圧シリンダー35を伸長させると、クランクフレーム33とクランクフレーム34のなす角度が大きくなると共に、これらのクランクフレーム33、34が支点Qを中心に時計回りに回動する。これに伴い、支持フレーム31、搬送フレーム15及び支持フレーム32は一体的に支点Pを中心に時計回りに回動する。この結果、搬送フレーム15の傾斜すなわち挟持搬送ベルト11の傾斜は小さくなる。このことは、挟持搬送ベルト11の前端の位置が高くなることを意味する。
【0040】
挟持搬送ベルト11の前端の位置によって、収穫対象のスイートコーン植物体の茎における把持位置が決まる。従って、挟持搬送ベルト11の傾斜調整は、スイートコーン植物体の最適な把持位置を設定するために行う。
【0041】
<テンションプーリ19a、19b>
図4は、挟持搬送ベルト11及び搬送フレーム15並びにこれらの前方部分を示す概略斜視図である。図4に示すように、各搬送フレーム15上に2種類のテンションプーリ19a、19bが設けられている。これらのテンションプーリ19a、19bは、一対の挟持搬送ベルト11により物体を確実に把持して前端から後端まで安定に搬送するために設けられる。一方の搬送フレーム上には、複数の押圧用テンションプーリ19aが所定の間隔で設置されている。他方の搬送フレーム上には、複数の支持用テンションプーリ19bが所定の間隔で設置されている。
【0042】
図4Aは、挟持搬送ベルトを押圧及び支持する一対のテンションプーリ19a、19bの作用説明図である。押圧用テンションプーリ19aの回転軸19a3は、屈曲アーム19a2の一端に連結されている。屈曲アーム19a2は、屈曲点Xから短アームと長アームが延び、屈曲点Xを支点として回動可能である。屈曲アーム19a2の他端は、テンションスプリング19a1の一端に連結され引張力を受ける。物体を把持していないとき、屈曲アーム19a2と搬送挟持ベルト11とのなす角θは直角に近いが、茎を把持したときは、屈曲アーム19a2が回動して角度θが鋭角となる。このとき、テンションスプリング19a1は伸長され、その復帰弾性力により、押圧用テンションプーリ19aは、一方の挟持搬送ベルト11の裏面に対して食い付くように強く押し付けられる(黒矢印参照)。従来のテンションプーリでは、圧縮バネの復帰弾性力を直接的にプーリに作用させて押圧する構成であった。本発明では、テンションスプリング19a1に屈曲アーム19a2を組み合わせた構成としたので、屈曲アーム19a2の角θが鋭角となったとき、梃子の作用によりテンションスプリング19a1の弾性力を増幅するように作用する。この結果、テンションスプリング19a1を比較的小さいバネとすることができ、部品コストを低減できる。
一方、支持用テンションプーリ19bは、その固定点19b1及び回転軸19b2の位置は固定されており、他方の挟持搬送ベルト11の裏面を支持する。このようにして、テンションプーリ19a、19bは、それぞれ各挟持搬送ベルト11の裏面に当接し、挟持搬送ベルト11の動きに伴って回動する。この結果、双方の挟持搬送ベルト11が、両側から物体を押圧することになる。従って、スイートコーン植物体の茎のような細長い物体であっても姿勢を安定させ、確実に把持して搬送できる。
【0043】
<誘導ベルト17>
図1及び図4に示すように、一対の挟持搬送ベルト11の前端からさらに前方に向かって一対の誘導ベルト17が設けられている。一対の誘導ベルト17は、互いの間の間隙が漸次拡がるように左右に配置された別の一対の無端ベルトである。図4に示すように、各誘導ベルト17は、搬送ベルト従動プーリ12bのプーリ軸12cと同軸上に配置された誘導ベルト駆動プーリ18aと、前端に配置された誘導ベルト従動プーリ18bとの間に架け渡されている。誘導ベルト駆動プーリ18aは、搬送ベルト従動プーリ12bの回動に伴って駆動されるので、前方のスイートコーン植物体を内側に引き入れるように作用する。各誘導ベルト17は、所定の間隔で外方に突出する複数の係止突起17aを形成されている。これらの係止突起17aは、スイートコーン植物体の拡がった葉を掻き寄せ、確実にその茎を引き入れるために効果的である。
【0044】
<下部カッター刃21及び上部カッター刃16>
図4を参照すると、一対の挟持搬送ベルト11の前端下方には、2枚の下部カッター刃21が配置されている。2枚の下部カッター刃は、平面視(図2参照)では、一部重なり合うようにして左右に並置され、軸方向では互いに干渉しない程度に離間している。下部カッター刃21は、下部カッター駆動モータ23により回転駆動され、誘導ベルト17により引き込まれたスイートコーン植物体の茎をこの位置で切断する。下部カッター刃21は、中央に1枚のみを設けてもよいが、図示の例のように2枚並置することが、より好ましい。1枚のみであると、スイートコーン植物体の茎が直立している場合は問題ないが、天候の影響で斜めに生育したり、倒れかかったりしている場合には、下部カッター刃の範囲外に逸れて切断できない可能性がある。下部カッター刃を2枚並置することにより、切断可能範囲が広くなり、茎の姿勢に関わらず確実に切断できる。
下部カッター刃21は、カッター支持棒22の下端に固定され、カッター支持棒22の上端は、一方の搬送フレーム15の側面に固定されている。カッター支持棒22の固定位置は上下方向に調整可能であり、これにより下部カッター刃21の高さ位置を調整可能である。すなわち、スイートコーン植物体の茎の最適な切断位置を設定できる。
【0045】
また、図5を参照すると、一対の搬送フレーム15の前端近傍の上方(すなわち、一対の挟持搬送ベルト11の前端近傍の上方)には、1つの上部カッター刃16が配置されている。上部カッター刃16は、上部カッター駆動モータ16aにより回転駆動される。上部カッター刃16は、挟持搬送ベルト11により搬送されているスイートコーン植物体の茎の先端部分すなわち雄穂を切断する。
【0046】
<収穫ロッド41>
再び図1を参照すると、一対の挟持搬送ベルト11の搬送途中位置の下面から、挟持搬送ベルトに対し所定の角度αをもって後方に延在する一対の収穫ロッド41が配置されている。各収穫ロッド41は、それぞれ各搬送フレーム15の真下に位置する。所定の角度αは、図示のように鋭角である。
【0047】
図1及び図6〜図9を参照して、一対の収穫ロッド41について説明する。
図6は、図1のA視図であり、スイートコーン収穫機1の主要部のための回転駆動装置を概略的に示している。図7は、図1のB視図である。図8は、図1のC視図である。
【0048】
図1における一対の収穫ロッド41の各々は、その軸を中心に回転駆動される。図6のA視図は、挟持搬送ベルト11及び搬送フレーム15を背面側から見た図である。図6に示すように、収穫ロッド41の回転駆動力は、天井フレームに設置された駆動ボックス102から伝達される。駆動ボックス102は、ベルト駆動モータ101及び適宜の伝達機構を具備する。駆動ボックス102から2本の駆動シャフト111、112が下方に延びている。駆動シャフト111、112は、一対の搬送ベルト駆動プーリ12aをそれぞれ矢印の方向に回転駆動する。さらに、駆動シャフト111、112は、一対の第1スプロケット48aを回転駆動する。一対の第1スプロケット48aの回転は、適宜のベルトを介して斜め前下方に位置する一対の第2スプロケット48bに伝達される。これにより、一対の第2スプロケット48bの各々と同軸上に設けられた一対の第3スプロケット48cを回転駆動する。
【0049】
図7のB視図は、一対の挟持搬送ベルト11及び一対の搬送フレーム15を裏面側から見た図である。図7に示すように、一対の第3スプロケット48cの回転は、適宜のベルトを介して斜め前下方に位置する一対の第4スプロケット48dに伝達される。一対の第4スプロケットには、図8に示すユニバーサルジョイント46aが連結される。
【0050】
図8のC視図は、一対の収穫ロッド41の近傍を背面側から見た図である。一対の収穫ロッド41は、互いの間に所定の間隙tを介して左右に並置された一対のロッド体である。図1に示すように、収穫ロッド41の後端42bは、搬送フレーム15に固定された支持フレーム47により支持され、収穫ロッド41の前端42aは、搬送フレーム15に連結されている。従って、図1の側面図に示されるように、収穫ロッド41、支持フレーム47及び搬送フレーム15が三角形を形成している。また、図8に示すように、一対の挟持搬送ベルト11、一対の搬送フレーム15及び一対の収穫ロッド41は、左右対称に配置されている。
【0051】
図6のベルト駆動モータ101から図8の第4スプロケット48dへ伝達された回転駆動力は、収穫ロッド駆動シャフト46を介して、マイタギヤ49へ伝達される。収穫ロッド駆動シャフト46とマイタギヤ49もまた、ユニバーサルジョイント46bにより連結される。マイタギヤ49は回転軸の角度を変換して、収穫ロッド41の後端へ回転駆動力を伝達する。これにより、各収穫ロッド41は、その軸を中心に回転駆動される。
【0052】
図9(a)は、一対の収穫ロッド41の好適形態における配置を示した平面図である。(b)は、(a)のD−D断面図である。収穫ロッド41の好適形態は、ロッド芯部41aと、ロッド芯部41aの周面上に螺旋状に突出する螺旋突起部41bとから形成されたスパイラルロッドである。スパイラルロッドのロッド芯部41aは剛体であるが、螺旋突起部41bの材質は、軟質素材(例えば、軟質発泡ポリウレタン若しくは軟質発泡ポリエチレン等のスポンジ状材料、又は、ゴム状弾性材料等)であることが好ましい。これは、スイートコーン果実を傷付けないためである。回転する螺旋突起部41bの動きにより、スイートコーン果実を速やかにかつきれいに茎からしごき落とすことができる。
【0053】
また、一対の収穫ロッド41の間隙tは、前方が狭く後方が広くなるように設置されている。一対の収穫ロッド41の前端では、スイートコーン植物体の茎の比較的細い部分が間隙tに入り込むが、後方に搬送されるにつれて茎が引き上げられるために、収穫ロッド41の間隙tを通過する茎が次第に太くなっていく。これに対応するために間隙tを次第に広くしている。(b)の断面図に、前方から視た各収穫ロッド41の回転方向を矢印で示す。後述するように、この回転によりスイートコーン果実を茎からしごき落とす。
なお、収穫ロッド41の間隙tを、後端側で広くすることにより、次のような効果もある。茎を切断する際に誤って二番成りより下方を切断し、二番成りが茎上部に付いてしまった場合であっても、後端側の間隙tを広くすることで、一番成りよりも細い二番成りは茎上部と共に収穫ロッド41を通り抜けることができ、収穫されない。
【0054】
収穫ロッド41の一実施例における各部の寸法は、例えば次の通りである。
・全長 L1 :1m
・ロッド芯部の露出幅 L2:6cm
・螺旋突起部の幅 L3 :4cm
・前端の間隙 L4 :2cm
・後端の間隙 L5 :4cm
・ロッド芯部の直径 d1 :6cm
・最大直径 d2 :10cm
【0055】
<コンベア51、52、53及びコンテナ95>
図10は、基台フレーム上に設置される複数のコンベア51、52、53の配置を示した斜視図である。図1を参照すると、コンベア51は、収穫ロッド41の長手方向のほぼ中間部の下方に設置されている。スイートコーン果実SCのほとんどは、コンベア51の上方でしごき落とされ、コンベア51上に落下する。図10に示すように、コンベア51上に落下したスイートコーン果実SCは、横方向に搬送されてコンベア52の下端に落とされる。コンベア52は、後方に向かって上昇する傾斜を備え、スイートコーン果実SCをコンテナ95の上方まで運び揚げ、コンテナ95内に落下させる。コンベア53は、収穫ロッド41の後端近傍でしごき落とされたスイートコーン果実SCを受けとめて、コンベア51上へと搬送する。コンベア51、52、53は、それぞれ油圧モータ54、55、56により駆動される。
【0056】
図11は、コンベア51の詳細斜視図である。コンベア51は、コンベアロッド51aを連結して形成されたロッドコンベアである。各コンベアロッド51aは、コンベアシャフト51cの両端の一対のコンベアスプロケット51bと噛合する。コンベアスプロケット51bは、油圧モータ54により回転駆動される。
【0057】
図12は、コンベア52の詳細斜視図である。コンベア52も、コンベアロッド52aを連結して形成されたロッドコンベアである。所定の間隔で、コンベアロッド52aに対して係止爪52dを取り付けている。この係止爪52dは、上昇時にスイートコーン果実SCを引っ掛けるためのものである。
【0058】
<作業状態>
図13〜図16を参照して、本発明のスイートコーン収穫機を用いた作業状況を説明する。
【0059】
図13は、スイートコーン収穫機1の前部分における作業状況を示した側面図である。1本のスイートコーン植物体200は、茎202が圃場に起立し、茎には通常2箇所にスイートコーン果実SC1、SC2が付き、茎202の先端にはススキ状の雄穂201が付いている。上側の果実が一番成りSC1であり、下側の果実が二番成りSC2である。通常、出荷に適するのは一番成りSC1のみであるので、ここでは、一番成りSC1のみを収穫対象とした作業について説明する。
【0060】
作業開始に先立って、スイートコーン収穫機1の挟持搬送ベルト11の高さ位置を、上述した傾斜調整機構により最適に調整する。挟持搬送ベルト11の高さ位置は、茎202の挟持位置を決定する。上述の通り、一番成りSC1は、収穫ロッド41の長手方向のほぼ中間部に到達したときにしごき落とされることが好ましい。これに基づき、一番成りSC1の付き位置から最適な間隔で上方に離れた位置を、茎202の挟持位置とし、これに合わせて挟持搬送ベルト11の高さ位置を設定する。
【0061】
さらに、下方カッター刃21の高さも調整する。下方カッター刃21は、一番成りSC1の付き位置よりも下方であって、二番成りSC2の付き位置よりも上方で茎202を切断するように設定する。二番成りSC2の付き位置の近傍を切断位置の目安とすることが好ましい。
【0062】
設定を終えた後、スイートコーン収穫機1を稼働させる。スイートコーン収穫機1は、走行部1により前方へ走行しつつ作業を行う。走行方向は、一列のスイートコーン植物体200の列方向と同じであり、最前のスイートコーン植物体200に向かって走行する。先ず、スイートコーン収穫機1の最先端に位置する一対の誘導ベルト17が、その係止突起により、茎202の周りに拡がった葉を掻き寄せて茎202を引き込み、後方の挟持搬送ベルト11の方へと誘導する。茎202の挟持位置が、挟持搬送ベルト11の前端に到達すると、一対の挟持搬送ベルト11は茎202を引き込み確実に挟持し、後方へ搬送を開始する。茎202が後方へ搬送され始めると同時に、下方カッター刃21は、茎202を切断位置で切断する。このとき、二番成りSC2は圃場に残留させるので、傷ついても全く支障はない。一番成りSC1は、切断された茎上部202aに付いている。圃場には茎下部202bが残される。さらに、茎上部202aが後方に移動すると、上方カッター刃16が雄穂201を切断する。雄穂201は、圃場に落下する。
【0063】
図14は、スイートコーン収穫機1の中間部分における作業状況を示した側面図である。挟持搬送ベルト11は後方に向かって上昇する傾斜を有するので、茎上部202aは、後方に行くにつれて上昇する。茎上部202aは、一対の収穫ロッド41の前端に到達すると、収穫ロッド41の間隙に入り込む。収穫ロッド41は、後方に向かって下降する傾斜を有するので、茎上部202aが上昇しつづけると、いずれは一番成りSC1が収穫ロッド41に当たる。一番成りSC1は収穫ロッド41の間隙を通り抜けられないため、茎上部202aからしごき落とされることとなる。しごき落とされた一番成りSC1は、コンベア51上に落下する。その後、茎上部202aは、それに付いた葉と共に収穫ロッド41の間隙を通り抜け、さらに後方に搬送される。コンベア51上に落下した一番成りSC1は、上述した通り、コンテナへと運ばれる。
【0064】
図15は、一対の収穫ロッド(スパイラルロッド)41により一番成りを茎上部202aからしごき落とす様子を示した正面図である。(a)は、茎上部202aが収穫ロッド41の間隙に入り込んだ直後の状態であり、一番成りSC1は、未だ収穫ロッド41より下方に位置している。(b)は茎上部202aが上昇して、一番成りSC1が収穫ロッド41に当たった状態である。茎上部202aはさらに上方に引き上げられるが、一番成りSC1は収穫ロッド41の間隙を通り抜けられない。そこで、矢印の方向に回転している一方の収穫ロッド41が、一番成りSC1を茎上部202aから引き剥がすように作用する。このとき、他方の収穫ロッド41は、茎上部202の姿勢を鉛直方向に保持する役割を果たす。スパイラルロッドの螺旋突起部41bは、回転しながら一番成りSC1をきれいに茎からもぎ取ることができる。螺旋突起部41bを軟質素材とすることにより、一番成りSC1を傷つけることなく収穫できる。
【0065】
図16は、スイートコーン収穫機1の後部分における作業状況を示した側面図である。一番成りをしごき落とされた茎上部202aは、挟持搬送ベルト11により後端まで搬送される。後端で解放された茎上部202aは、シュート81内に落下する。そして、シュート81の下部に設けられた裁断シリンダカッター82により裁断され、その後、裁断片202cとして圃場に排出される。
【符号の説明】
【0066】
1 スイートコーン収穫機
11 挟持搬送ベルト
12a 搬送ベルト駆動プーリ
12b 搬送ベルト従動プーリ
12c プーリ軸
14 ベルト受けローラ
15 搬送フレーム
16 上部カッター刃
16a 上部カッター駆動モータ
17 誘導ベルト
17a 係止突起
18a 誘導ベルト駆動プーリ
18b 誘導ベルト従動プーリ
19a 押圧用テンションプーリ
19a1 テンションスプリング
19a2 屈曲アーム
19a3 回転軸
19b 支持用テンションプーリ
19b1 固定点
19b2 回転軸
21 下部カッター刃
22 カッター支持棒
23 下部カッター駆動モータ
31、32 支持フレーム
33、34 クランクフレーム
35 油圧シリンダー
P、Q、R、S 支点(回動中心)
41 収穫ロッド
41a ロッド芯部
41b 螺旋突起部
42a、42b 収穫ロッド軸受
46 収穫ロッド駆動シャフト
46a、46b ユニバーサルジョイント
47 ブラケット
48a 第1スプロケット
48b 第2スプロケット
48c 第3スプロケット
48d 第4スプロケット
49 マイタギヤ
51、52、53 コンベア
51a、52a コンベアロッド
51b、52b コンベアスプロケット
51c、52c コンベアシャフト
52d 係止爪
54、55、56 コンベアモータ
61 走行部
71、72 柱フレーム
73 基台フレーム
74 天井フレーム
81 シュート
82 裁断シリンダカッター
83 裁断カッター駆動モータ
91 フォークリフト
92 フォークリフト上下シリンダー
93 フォークリフト左右シリンダー
94 フォークリフトチルトシリンダー
95 コンテナ
96 運転部
101 ベルト駆動モータ
102 駆動ボックス
200 スイートコーン植物体
201 雄穂
202 茎
202a 茎上部
202b 茎下部
202c 裁断片
SC、SC1、SC2 スイートコーン果実

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を自走可能な走行部(61)と、
前記走行部(61)の上方において、前方が低くなるように傾斜して延在しかつ左右に並置された一対のベルトであって互いの間に挟持した物体を前方から後方へと移動させるべく各々駆動される一対の挟持搬送ベルト(11)と、
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の前端からさらに前方に向かって互いの間の間隙が漸次拡がるように左右に配置された別の一対のベルトであって互いの間に入り込んだ物体を前方から後方へと移動させるべく各々駆動される一対の誘導ベルト(17)と、
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の前端下方に位置する少なくとも1枚の下部カッター刃(21)と、
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の搬送途中位置の下面から該一対の挟持搬送ベルトに対し所定の角度をもって後方に延在し、互いの間に所定の間隙(t)を介して左右に並置された一対のロッド体であって各ロッド体の軸を中心に回転駆動される一対の収穫ロッド(41)と、を備え、
前記走行部(61)が圃場を前方に走行するとき、前記誘導ベルト(17)はスイートコーン植物体(200)を引き込み前記一対の挟持搬送ベルト(11)へと誘導し、該一対の挟持搬送ベルト(11)の前端にて該スイートコーン植物体の茎(202)を挟持すると同時に前記下部カッター刃(21)が、該茎を、少なくとも1つのスイートコーン果実(SC1)を付けた茎上部(202a)と圃場に残留する茎下部(202b)とに切断すると、該一対の挟持搬送ベルト(11)は該茎上部(202a)を挟持したまま後端まで搬送する一方、搬送途中位置から該茎上部(202a)が前記一対の収穫ロッド(41)の間隙(t)に入り込むことにより、該一対の収穫ロッドが該スイートコーン果実(SC1)を該茎上部(202a)からしごき落とすべく構成されていることを特徴とするスイートコーン収穫機。
【請求項2】
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の前端近傍の上方に位置する上部カッター刃(16)をさらに備え、該上部カッター刃は、搬送されている前記茎上部(202a)の雄穂(201)を切断するべく構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスイートコーン収穫機。
【請求項3】
前記走行部(61)の後方に取り付けられたコンテナ(95)と、
しごき落とされた前記スイートコーン果実(SC1)をその落下点から前記コンテナ(95)まで移送する1又は複数のコンベア(51,52,53)と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイートコーン収穫機。
【請求項4】
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の後端から排出される前記茎上部(202a)を受けるべく設置されたシュート(81)と、
前記シュート(81)の下方に設けられ前記茎上部(202a)を裁断する裁断シリンダカッター(82)と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスイートコーン収穫機。
【請求項5】
前記一対の収穫ロッド(41)が、その間隙(t)の前方が狭く後方が広くなるように設置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスイートコーン収穫機。
【請求項6】
前記一対の収穫ロッド(41)の各々が、ロッド芯部(41a)と、該ロッド芯部の周面上に螺旋状に突出する螺旋突起部(41b)とをそれぞれ具備するスパイラルロッドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスイートコーン収穫機。
【請求項7】
前記螺旋突起部(41b)が軟質素材からなることを特徴とする請求項6に記載のスイートコーン収穫機。
【請求項8】
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の一方の裏面を押圧する押圧用テンションプーリ(19a)と、他方の裏面を支持する支持用テンションプーリ(19b)とを備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のスイートコーン収穫機。
【請求項9】
前記一対の挟持搬送ベルト(11)の傾斜を調整する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のスイートコーン収穫機。
【請求項10】
前記下部カッター刃(21)の高さ位置を調整する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のスイートコーン収穫機。
【請求項11】
2枚の前記下部カッター刃(21)を左右に並置したことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のスイートコーン収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−92135(P2011−92135A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250974(P2009−250974)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【特許番号】特許第4469413号(P4469413)
【特許公報発行日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(504352788)オサダ農機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】