説明

スキャナ装置

【課題】 被写体が回転するのに伴い、被写体が読取手段に対して軸心方向に位置ずれを起こすのを防止できるスキャナ装置を提供する。
【解決手段】 円筒状又は円柱状の被写体Xに跨って載られる一対の回転体231,231を有し、各回転体231が回転することにより被写体Xを周方向に回転させる回転体ユニット23と、被写体Xの外周面を読み取る読取手段3とを備えるスキャナ装置1において、読取手段3が被写体Xを読み取る際に被写体Xが読取手段3に対して軸心方向で相対的に変位するのを規制する規制手段4を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状又は円柱状の被写体の外周面を読み取るスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒状又は円柱状の被写体の外周面を全周に亘って読み取るスキャナ装置として、被写体を周方向に回転させる回転手段と、被写体の外周面を読み取る読取手段とを備えるスキャナ装置が知られている(例えば、特許文献1)。斯かるスキャナ装置の回転手段は、被写体に跨って載られる一対の回転体を備え、各回転体が回転することにより、被写体を回転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−334872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かるスキャナ装置においては、被写体が一対の回転体に跨って載せられているため、例えば、被写体の種類によっては、被写体が回転するのに伴い、被写体が読取手段に対して軸心方向に位置ずれを起こすことも考えられる。そして、このような位置ずれが生じると、取得するデータ(画像)の品質を低下させることになる。
【0005】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、被写体が回転するのに伴い、被写体が読取手段に対して軸心方向に位置ずれを起こすのを防止できるスキャナ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスキャナ装置は、円筒状又は円柱状の被写体に跨って載られる一対の回転体を有し、各回転体が回転することにより被写体を周方向に回転させる回転体ユニットと、被写体の外周面を読み取る読取手段とを備えるスキャナ装置において、読取手段が被写体を読み取る際に被写体が読取手段に対して軸心方向で相対的に変位するのを規制する規制手段を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るスキャナ装置によれば、各回転体が回転することにより、回転体ユニットが被写体を周方向に回転させる。そして、読取手段が被写体を読み取る際に、被写体が読取手段に対して軸心方向で相対的に変位するのを規制手段が規制する。
【0008】
また、本発明に係るスキャナ装置は、規制手段は、軸心方向に離間して配置されて被写体を両側から係止する一対の係止部を備えてもよい。
【0009】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、一対の係止部が軸心方向に離間して配置されるため、一対の係止部が被写体を両側から係止する。これにより、読取手段が被写体を読み取る際に、被写体が読取手段に対して軸心方向で相対的に変位するのを規制できる。
【0010】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、回転体ユニットは、被写体の両端部を支持すべく、軸心方向に離間して一対設けられ、各係止部は、各回転体ユニットの少なくとも一方の回転体から径方向に突出して形成されてもよい。
【0011】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、回転体ユニットが軸心方向に離間して一対設けられるため、各回転体ユニットが被写体の端部をそれぞれ支持する。そして、各係止部が各回転体ユニットの少なくとも一方の回転体から径方向に突出して形成される。これにより、回転体と係止部とを一体的に形成できるため、例えば、構造を簡素化することができたり、また、回転体が被写体の中間部と接触せずに被写体を回転させることができるため、例えば、被写体の種類に対してフレキシブルに対応することができたりする。
【0012】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、一対の係止部は、軸心方向において接離可能に構成されてもよい。
【0013】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、一対の係止部が軸心方向において接離できる。これにより、被写体の軸心方向の幅寸法に応じて、一対の係止部間の距離を調整できるため、被写体の形状に対してフレキシブルに対応することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上の如く、本発明に係るスキャナ装置によれば、読取手段が被写体を読み取る際に、被写体が読取手段に対して軸心方向で相対的に変位するのを規制するため、被写体が回転するのに伴い、被写体が読取手段に対して軸心方向に位置ずれを起こすのを防止できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るスキャナ装置の全体図であって、斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係るスキャナ装置の全体図であって、(a)は蓋体が閉められた状態の斜視図、(b)は被写体を載せた状態の斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係るスキャナ装置の要部概要図であって、正面図を示す。
【図4】同実施形態に係るスキャナ装置の要部概要図であって、平面図を示す。
【図5】同実施形態に係るスキャナ装置の要部概要図であって、図4のA−A線における拡大断面図を示す。
【図6】同実施形態に係るスキャナ装置が構成するシステム概要図を示す。
【図7】本発明の他の実施形態に係るスキャナ装置の要部概要図であって、(a)及び(b)はそれぞれ正面図を示す。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係るスキャナ装置における取付具の全体図であって、(a)は斜視図、(b)は被写体に取り付けられた状態の正面図を示す。
【図9】本発明のさらに他の実施形態に係るスキャナ装置の要部概要図であって、(a)は正面図、(b)はB−B線における断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るスキャナ装置における一実施形態について、図1〜図6を参酌して説明する。なお、本実施形態においては、被写体が粘着ロール体(粘着ロールテープ)である場合について説明する。
【0017】
まず、本実施形態に係るスキャナ装置の各構成を説明するのに先立って、スキャナ装置で読み取る被写体(粘着ロール体)について説明する。図2〜図5に示すように、被写体Xは、円筒状に形成され、円周状の外周面を備える。そして、被写体Xは、軸心方向の中間部に粘着性を有する粘着部X1と、軸心方向の両端部に粘着性のない非粘着部X2とを備える。なお、本実施形態においては、被写体Xの粘着部X1で、例えばクリーンルームの床上の虫や塵埃を採取している。
【0018】
図1〜図5に示すように、本実施形態に係るスキャナ装置1は、円筒状の被写体Xを周方向に回転させる回転手段2と、被写体Xの外周面を読み取る読取手段3とを備える。そして、スキャナ装置1は、読取手段3が被写体Xを読み取る際に被写体Xが読取手段3に対して軸心方向で相対的に変位するのを規制する規制手段4を備える。また、スキャナ装置1は、回転手段2、読取手段3及び規制手段4を収容する装置本体5を備える。
【0019】
回転手段2は、被写体Xを周方向に回転させるための駆動源となる駆動手段(モータ)21と、駆動手段21の駆動を伝達するための伝達手段22とを備える。そして、回転手段2は、伝達手段22を介して駆動手段21の駆動を受けて回転する一対の回転体231,231を有する回転体ユニット23,23を備える。
【0020】
伝達手段22は、駆動手段21の駆動ローラ211とともに無端状の伝達部材(ベルト)221で掛け渡される一対の従動ローラ222,222と、各従動ローラ222に一端部が連結される回転軸223とを備える。また、伝達手段22は、回転軸223の両端部付近をそれぞれ回転可能に支持する軸受部224,224を備える。
【0021】
各回転軸223は、円筒状に形成される回転体231の内部に挿通される。そして、各回転軸223は、回転体231と軸心方向で相対的に変位するのを防止する軸係合部223a(図示していない)と、回転体231と周方向で相対的に回転変位するのを防止する周係合部223bとを備え、回転体231と一体的になって回転する。
【0022】
(回転軸223の)軸係合部223aは、回転軸223の外周部に軸心方向に沿って並設される凹状部(ノッチ)であって、回転体231の内周部と軸心方向で係合するように構成されている。また、(回転軸223の)周係合部223bは、回転軸223の外周部から径方向に突出し且つ軸心方向に延設される突条部であって、回転体231の内周部と周方向で係合するように構成されている。これにより、伝達手段22は、複数の回転体231,…を同期させて(同一方向及び同一回転速度で)回転させることになる。
【0023】
回転体ユニット23,23は、被写体Xの軸心方向に離間して一対設けられ、被写体Xの両端部である非粘着部X2をそれぞれ支持している。なお、各回転体ユニット23は、一対の回転体231,231が被写体Xに跨って載られることで、被写体Xを支持している。また、各回転体ユニット23は、回転体231,231が回転することにより、回転体231と接触している被写体Xを摩擦力で周方向に回転させている。
【0024】
このとき、回転体231は、回転中心が被写体X及び回転軸223の各回転中心とそれぞれ平行である。即ち、回転体231は、軸心方向が被写体X及び回転軸223の各軸心方向とそれぞれ平行である。そして、各回転体231は、回転軸223と軸心方向で相対的に変位するのを防止する軸係合部231a(図示していない)と、回転軸223と周方向で相対的に回転変位するのを防止する周係合部231bとを備える。また、各回転体231は、被写体Xに接触する接触部231cを備える。
【0025】
(回転体231の)軸係合部231aは、内周部から内方に突出する凸状部であって、回転軸223の軸係合部223aと軸心方向で係合するように構成されている。即ち、各軸係合部223a,231a同士でノッチ機構を構成している。これにより、回転体231は、軸心方向に付勢されることで回転軸223に対して軸心方向で相対的に変位できる一方、当該付勢が解除されることで回転軸223に固定される(回転軸223に対して軸心方向で相対的に変位できない)。
【0026】
(回転体231の)周係合部231bは、内周部に設けられる凹状部であって、回転軸223の周係合部223bと周方向で係合するように構成されている。したがって、回転体231は、軸心方向においては、付勢されることにより回転軸223に対して相対的に変位できる一方、周方向においては、付勢されても回転軸223に対して相対的に回転変位できない。
【0027】
接触部231cは、摩擦係数が高い素材で構成され、被写体Xと接触する部位同士が位置ずれを起こすのを防止している。例えば、接触部231cは、ウレタンゴムやシリコンゴム等の合成ゴムで構成される。
【0028】
読取手段3は、被写体Xに向けて投光する投光部31と、被写体Xで反射した光を読み取る読取部(読取ヘッド)32,32とを備える。また、読取手段3は、被写体Xの軸心方向の全長を一度に読み取るのを可能にすべく、読取部32,32を二つ備えている。なお、図5において、直線Lは、光軸を示している。
【0029】
投光部31は、光を放射する光源311と、光源311から放射された光を集光させて被写体Xに照射させる光源光学系312とを備える。そして、光源311は、被写体Xの軸心方向に沿って延設され且つ被写体Xよりも下方側に配置されるLED基板である。また、光源光学系312は、被写体Xの軸心方向に沿って延設され且つ光源311と被写体Xとの間に配置される棒状のレンズである。
【0030】
各読取部32は、被写体Xで反射した光を集光する読取光学系321と、読取光学系321で集光した光を読み取る(受光する)受光素子322とを備える。そして、各読取部32は、被写体Xの読取位置を、被写体Xの軸心方向と直交する面(即ち、被写体Xの径方向に沿う面であって、被写体Xや回転体231の回転する方向に沿う面)において、一対の回転体231,231の間の位置に設定している。したがって、各読取部32は、被写体Xの(径の)大きさに関わらず、焦点距離を一定とすることができる。
【0031】
読取光学系321は、光軸Lの方向を変更させる反射ミラー321aと、光を集光させるレンズ321bとを備える。なお、読取光学系321は、読取部32の焦点距離が一定であるため、反射ミラー321aやレンズ321bの位置を固定している。そして、反射ミラー321aは、被写体Xの下方側に配置され、光軸Lを90°方向転換させる。また、レンズ321bは、反射ミラー321aの側方であって、反射ミラー321aと受光素子322との間に配置される。
【0032】
受光素子322は、CCDラインセンサであって、被写体Xにおける最も下方に位置し且つ軸心方向に沿ったライン状の部位を読取位置として読み取る。また、二つの読取部32,32における受光素子322,322同士は、被写体Xの読取位置が互いに一部重複するように、それぞれ読取位置を設定している。
【0033】
規制手段4は、軸心方向に離間して配置され、被写体Xの端部を両側から係止する一対の係止部41,41を備える。そして、各係止部41は、各回転体231にそれぞれ配設される係止片411を備える。即ち、各係止片411は、回転体231と一体的に構成されている。これにより、回転体231が付勢されることにより回転軸223に対して軸心方向で相対的に変位できるため、係止部41、41は、軸心方向において互いに接離可能に構成される。
【0034】
各係止片411は、回転体231から径方向に突出して形成される。具体的には、各係止片411は、回転体231の接触部231cの外側に配置され、全周に亘って外周部から突出して形成される。
【0035】
装置本体5は、回転手段2及び読取手段3を収容する収容体51と、収容体51を覆う蓋体52とを備える。そして、収容体51は、読取手段3内に塵埃等が侵入するのを防止すべく、被写体Xと読取手段3とを隔離する隔離壁511を備える。なお、隔離壁511には、読取手段3が被写体Xの読取位置を読み取るのを可能にすべく、例えばガラス板等で構成される透光可能な透光部511aが設けられている。
【0036】
ところで、本実施形態に係るスキャナ装置1は、図6に示すように、取得した(読み取った)データを処理すべく、処理装置100に接続されている。
【0037】
処理装置100は、スキャナ装置1で取得したデータを記憶する記憶手段101と、記憶手段101で記憶されたデータを演算処理する演算手段102とを備える。また、処理装置100は、所望の処理を行うために操作するためのキーボードやマウス等の入力手段103と、データを他の装置に向けて外部に出力するための外部出力端子やデータを表示するモニタ等の出力手段104とを備える。
【0038】
演算手段102は、二つの読取部32,32から取得するデータを合成させる。このとき、被写体Xの大きさに関わらず、各読取部32の焦点距離が一定であるため、演算手段102は、二つの読取部32,32が重複している被写体Xの読取位置の領域(範囲)を、被写体Xの大きさに関わらず、一定として処理している。
【0039】
以上より、本実施形態に係るスキャナ装置1は、各回転体231が回転することにより、回転体ユニット23で被写体Xを周方向に回転させる。そして、規制手段4により、読取手段3が被写体Xを読み取る際に、被写体Xが読取手段3に対して軸心方向で相対的に変位するのを規制できる。したがって、被写体Xが読取手段3に対して軸心方向に位置ずれを起こすのを防止できる。
【0040】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、一対の係止部41,41が軸心方向に離間して配置されるため、各係止部41で被写体Xの端部を側方から係止する。これにより、各係止部41が被写体Xを両側から係止するため、回転体ユニット23が被写体Xを周方向に回転させて、読取手段3が被写体Xを読み取る際に、被写体Xが読取手段3に対して軸心方向で相対的に変位するのを規制できる。
【0041】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、回転体ユニット23が軸心方向に離間して一対設けられるため、各回転体ユニット23が被写体Xの端部をそれぞれ支持する。これにより、本実施形態に係る被写体Xのように、中間部に配置される粘着部X1に、回転体231を接触させたくない場合においても、対応することができる。
【0042】
したがって、例えばクリーンルームの床上の虫や塵埃(小動物が通過した痕跡)を採取した粘着部X1について、従来はスケッチして保存していたが、本実施形態に係るスキャナ装置1によれば画像データとして保存することができる。
【0043】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、各係止部41は、各回転体231から径方向に突出して形成される係止片411,411から構成されるため、係止部41(係止片411)と回転体231とを一体的に形成できる。これにより、構成を簡素化することができる。
【0044】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、一対の係止部41,41が軸心方向において接離可能に構成されているため、被写体Xの軸心方向の幅寸法に応じて、一対の係止部41,41間の距離を調整することができる。これにより、被写体Xの形状に対してフレキシブルに対応することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、読取手段3が被写体Xの読取位置を一対の回転体231,231の間の位置に設定しているため、被写体Xの大きさに関わらず、焦点距離を一定とすることができる。これにより、読取光学系321で焦点調整を行うことなく、被写体Xを適切に読み取ることができる。
【0046】
さらに、読取手段3が被写体Xの軸心方向の全長を一度に読み取るのを可能にすべく、読取部32,32を二つ備えているが、二つの読取部32,32が重複している被写体Xの読取位置も、被写体Xの大きさに関わらず一定となる。これにより、被写体Xの大きさに関わらず、二つの読取部32,32が重複している被写体Xの読取位置の領域(範囲)を一定として、演算手段102が処理できるため、処理プログラムを簡素化することができる。
【0047】
なお、本発明に係るスキャナ装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0048】
例えば、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、円筒状に形成されている粘着テープ体を被写体Xとして読み取る場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、円柱状に形成されている被写体を対象として読み取る場合でもよく、粘着テープ体以外の円筒状に形成されている被写体を対象として読み取る場合でもよい。
【0049】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、回転軸223及び回転体231にそれぞれ軸係合部223a,231aと周係合部223a,231bとが設けられることにより、回転体231が回転軸223に固定される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、回転体231が別部材である締結手段を締めることにより回転軸223に固定され、締結手段を緩めることにより回転軸223に対して相対的に変位(回転変位)できる場合でもよい。
【0050】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、回転体ユニット23,23、即ち、一対の回転体231,231が被写体Xの端部を支持する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、一対の回転体(回転ユニット)は、規制手段(係止部を構成する部材)と別部材で構成され、被写体Xの中間部を支持するように配置される場合でもよい。
【0051】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、読取手段3が被写体Xの読取位置を一対の回転体231,231の間の位置に設定している場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、読取手段は、被写体Xの上方側の部位を読取位置に設定し、読取光学系にオートフォーカス機能を搭載したり、読取部を移動可能にして、焦点距離を調整可能に構成させたりする場合でもよい。
【0052】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、読取部32,32を二つ備えることで、被写体Xの軸心方向の全長を読み取る場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、回転手段と読取手段とを被写体Xの軸心方向で相対的に変位可能に構成される場合でもよい。斯かる構成のスキャナ装置の例を図7に示す。
【0053】
図7(a)に示すスキャナ装置10においては、読取手段30は、読取部32を一つ備えている。そして、回転手段2は、装置本体5(収容体51)に固定される一方、読取手段30、即ち、投光部310及び読取部32は、移動可能(装置本体5に対して相対的に変位可能)に構成されている。
【0054】
斯かる構成によれば、読取手段30が移動することにより、読取手段30と被写体Xとが軸心方向で相対的に変位できるため、被写体Xを軸心方向の全長に亘って読み取ることができる。なお、読取手段30が被写体Xを読み取る際には、読取手段30は、停止している。また、投光部については、被写体Xの全長をカバーできるような上記実施形態に係る投光部31を採用し、投光部31が装置本体5に固定される一方、読取部32が移動可能に構成される場合でもよい。
【0055】
また、図7(b)に示すスキャナ装置11においては、読取手段300は、読取部32を一つ備えている。そして、読取手段300、即ち、投光部310及び読取部32は、装置本体50に固定される一方、回転手段20は、基部24が装置本体50の支持部53上をスライドすることにより、移動可能(装置本体50に対して相対的に変位可能)に構成されている。
【0056】
斯かる構成によれば、回転手段20が移動することにより、読取手段300と被写体Xとが軸心方向で相対的に変位できるため、被写体Xを軸心方向の全長に亘って読み取ることができる。なお、読取手段30が被写体Xを読み取る際には、回転手段20は、停止している。また、図7(a)及び(b)に係るスキャナ装置10,11に限られず、回転手段及び読取手段が双方共に移動可能に構成される場合でもよい。
【0057】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、規制手段4が被写体Xの両端部を側方から係止する一対の係止部41,41を備えて構成される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、規制手段は、被写体Xの一端部を把持したり、嵌合したりして保持し、被写体Xが軸心方向に変位するのを規制するように構成される場合でもよい。
【0058】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、各係止部41が一対の回転体231,231の双方に係止片411,411を設ける場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、係止部は、回転体ユニット23のうち何れか一方の回転体231に係止片411を設ける場合でもよい。
【0059】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、係止部41,41が接離可能に構成される場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、係止部41,41間の離間距離が一定となるように固定されて構成される場合でもよい。
【0060】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、被写体Xに取り付けられ且つ回転体と接触する取付具を介して、被写体Xが周方向に回転するように構成されてもよい。斯かる取付具の一例を図8に示す。
【0061】
図8に示す取付具6は、円錐台状(テーパ状)に形成され、円筒状に形成される被写体Xの端部に先端部から挿入されて取り付けられる。そして、取付具6は、側部(外周部)に、回転体232と接触するための接触部61,…を複数備え、複数の接触部61,…は、取付具6の側部が段差状に形成されることで、それぞれが異なる径を有して形成されている。さらに、取付具6は、側部が段差状に形成されることで、回転体232の側面を係止する規制手段62,…も備えている。
【0062】
斯かる構成によれば、被写体Xの端部にそれぞれ取付具6,6を挿入して取り付け、被写体Xの外径と同一である径を有する所定の接触部61と、回転体232とを接触させて被写体Xを回転させる。これにより、回転体232に直接接触させて被写体Xを読み取る場合と、同じ焦点距離で被写体Xを読み取ることができる。
【0063】
したがって、例えば、被写体が軸心方向の全長に亘って粘着部を有し、回転体232が被写体の外周面に接触できない場合においても、同じ焦点距離の状態で、被写体を回転させることができる。しかも、接触部61の外側に隣接して配置されている規制手段62が回転体232の側部を係止するため、被写体Xを周方向に回転させる際に、被写体Xが読取手段3(図8において図示していない)に対して軸心方向に位置ずれを起こすのを防止できる。
【0064】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、被写体Xと回転体231との間に生じる摩擦力を大きくすべく、被写体Xを回転体231に向けて押圧する押圧手段を備えてもよい。具体的には、円筒状の被写体Xの内部に配置され、自重や弾性力で付勢する等して、被写体Xの内周を回転体231に向けて押圧する押圧手段を備えてもよい。斯かる押圧手段の一例を図9に示す。
【0065】
図9に示す押圧手段7は、被写体Xの内部に配置される円柱状の金属体としている。そして、押圧手段7は、回転体231とで被写体Xを挟むように、被写体Xの内周面に載置されることで、自重により、被写体Xを回転体231に向けて押圧する。斯かる構成によれば、被写体Xと回転体231との間に生じる摩擦力が大きくなるため、被写体Xと回転体231との接触する部位同士が位置ずれを起こすのを防止できる。なお、押圧手段7は、被写体Xが回転するのに伴い、回転している。
【符号の説明】
【0066】
1…スキャナ装置、2…回転手段、3…読取手段、23…回転体ユニット、231…回転体、4…規制手段、41…係止部、X…被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状又は円柱状の被写体に跨って載られる一対の回転体を有し、各回転体が回転することにより被写体を周方向に回転させる回転体ユニットと、被写体の外周面を読み取る読取手段とを備えるスキャナ装置において、
読取手段が被写体を読み取る際に被写体が読取手段に対して軸心方向で相対的に変位するのを規制する規制手段を備えることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項2】
規制手段は、軸心方向に離間して配置されて被写体を両側から係止する一対の係止部を備える請求項1に記載のスキャナ装置。
【請求項3】
回転体ユニットは、被写体の両端部を支持すべく、軸心方向に離間して一対設けられ、
各係止部は、各回転体ユニットの少なくとも一方の回転体から径方向に突出して形成される請求項2に記載のスキャナ装置。
【請求項4】
一対の係止部は、軸心方向において接離可能に構成される請求項1〜3の何れか1項に記載のスキャナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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