説明

スキー靴に用いるヒンジ連結機構、及びそれを用いたスキー靴

【課題】滑走時にスキー板に生じる微小振動を吸収して、振動による滑走者の脚部への負担を軽減することが可能なスキー靴に用いるヒンジ連結機構、及びそれを用いたスキー靴を提供する。
【解決手段】硬質合成樹脂で形成されるアウターシェル1が下部シェル11と上部シェル12とを有するスキー靴10において、前記上部シェル12の左右両側部と前記下部シェル11とを、ヒンジ連結軸33でそれぞれ連結するヒンジ連結機構3であって、前記ヒンジ連結軸33の周囲を覆うと共に、前記上部シェル12又は/及び下部シェル11の収容孔121に収容される弾性部材30を備えてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキー靴に用いる連結機構、及びそれを用いたスキー靴に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のスキー靴は、ポリウレタン等の硬質合成樹脂で成形されたアウターシェルと、このアウターシェル内に挿入されるインナーブーツと、から構成されている。また、アウターシェルは、足首から下方の足部分を覆う下部シェルと、足首から上方の脚部分を覆う上部シェルと、に分割されている。上部シェルは、左右両側部が左右一対のヒンジ連結機構により下部シェルに連結され、くるぶし部分において下部シェルに対して前後方向に回転可能になっており、スキーヤーの前傾運動を容易にしている。
【0003】
一般に、ヒンジ連結機構は、下部シェルと上部シェルの左右くるぶし部分に貫通孔を形成し、この貫通孔(軸受孔)に金属製のヒンジ連結軸を挿通し、ヒンジ連結軸の両端をリベット等の固定具で固定している。
【0004】
また、スキーヤーの脚の形状には個人差があるために、O脚やX脚にも対応することができるように、下部シェルに対して上部シェルのカント角(靴底面に対するヒンジ回転軸の角度)を調整可能にしたスキー靴も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の第9図に記載のスキー靴は、ヒンジ連結軸を偏心位置に設けた偏心フランジを上部シェルに取り付け、この偏心フランジの回転角を変えることにより、下部シェルに対する上部シェルの取り付け角度を変化させて、カント角を調整可能にしている。偏心フランジには、上部シェルに回転可能に係合するガイド円板を形成してあり、このガイド円板の偏心位置にヒンジ連結軸を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のスキー靴に用いられているヒンジ連結機構は、下部シェルと上部シェルの貫通孔(軸受孔)にアルミニウム等の金属製のヒンジ連結軸を直接挿通したものであった。このため、従来のスキー靴は、滑走時にスキー板から伝わってくる微小振動が、ヒンジ連結軸を介して下部シェルから上部シェルへダイレクトに伝わり、滑走者の膝などに負担をかけるという問題があった。
【0008】
また、上記特許文献1に記載のスキー靴も、ヒンジ連結軸及び偏心フランジがアルミニウム等の金属で形成されているために、滑走時にスキー板から伝わってくる微小振動が、ヒンジ連結軸及び偏心フランジを介して下部シェルから上部シェルへダイレクトに伝わるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、滑走時にスキー板に生じる微小振動を吸収して、振動による滑走者の脚部への負担を軽減することが可能なスキー靴に用いるヒンジ連結機構、及びそれを用いたスキー靴を提供するものである。
【0010】
本願の発明者は、アウターシェルのうち、上部シェルが足首から上方の脚部分を覆っていることから、この上部シェルの振動が滑走者の膝など脚部への負担を増大させていると考えた。そして、本願の発明者は、下部シェルから上部シェルに伝わる微小振動を抑制することにより、滑走者の膝など脚部への負担が大幅に軽減されることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、硬質合成樹脂で形成されるアウターシェルが下部シェルと上部シェルとを有するスキー靴において、前記上部シェルの左右両側部と前記下部シェルとを、ヒンジ連結軸でそれぞれ連結するヒンジ連結機構であって、前記ヒンジ連結軸の周囲を覆うと共に、前記上部シェル又は/及び下部シェルの収容孔に収容される弾性部材を備えたスキー靴に用いるヒンジ連結機構を提供するものである。
【0012】
また、本発明のスキー靴に用いるヒンジ連結機構は、前記弾性部材が、前記上部シェルの収容孔に収容される円柱状又は正多角柱状を成し、偏心位置に前記ヒンジ連結軸を挿通可能な挿通孔を有する。
【0013】
また、本発明のスキー靴に用いるヒンジ連結機構は、前記弾性部材より大径のフランジ部材を備え、該フランジ部材と前記下部シェルとで前記弾性部材及び前記上部シェルを挟み込むようになしたものである。
【0014】
また、本発明のスキー靴に用いるヒンジ連結機構は、前記弾性部材と前記フランジ部材とを一体的に形成してなるものである。
【0015】
また、本発明は、上記何れかのヒンジ連結機構を用いて、前記下部シェルと前記上部シェルとを連結したスキー靴を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、硬質合成樹脂で形成されるアウターシェルが下部シェルと上部シェルとを有するスキー靴であって、前記上部シェルの左右両側部を前記硬質合成樹脂より軟質な合成樹脂で形成すると共に、該左右両側部を前記下部シェルに左右一対のヒンジ連結軸で連結するヒンジ連結機構を備えたスキー靴を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスキー靴に用いるヒンジ連結機構は、硬質合成樹脂で形成されるアウターシェルが下部シェルと上部シェルとを有するスキー靴において、前記上部シェルの左右両側部と前記下部シェルとを、ヒンジ連結軸でそれぞれ連結するヒンジ連結機構であって、前記ヒンジ連結軸の周囲を覆うと共に、前記上部シェル又は/及び下部シェルの収容孔に収容される弾性部材を備えた構成を有することにより、アウターシェルの収容孔に収容される弾性部材が、下部シェルから上部シェルに伝わる微小振動を吸収して、滑走者の膝など脚部への負担を大幅に軽減することができる効果がある。
【0018】
また、滑走者の脚の動きも弾性部材を介して下部シェル・スキー板へと伝わり、スキー板の横方向の振動も抑制することができ、スキー板の引っ掛かりがなく滑らかな滑走感を得ることができる。
【0019】
また、本発明のスキー靴に用いるヒンジ連結機構は、前記弾性部材が、前記上部シェルの収容孔に収容される円柱状又は角柱状を成し、偏心位置に前記ヒンジ連結軸を挿通可能な挿通孔を有することにより、上部シェルの収容孔に収容される弾性部材が、下部シェルから上部シェルに伝わる微小振動を吸収して、滑走者の膝など脚部への負担を大幅に軽減することができると共に、弾性部材の回転角を変えることにより、上部シェルのカント角を調整することができる効果がある。
【0020】
また、本発明のスキー靴に用いるヒンジ連結機構は、前記弾性部材より大径のフランジ部材を備え、該フランジ部材と前記下部シェルとで前記弾性部材及び前記上部シェルを挟み込むようになしたことにより、確実に弾性部材を収容孔に収容することができ、下部シェルから上部シェルに伝わる微小振動を吸収することができると共に、上部シェルのカント角を確実に調整することができる効果がある。
【0021】
また、本発明のスキー靴に用いるヒンジ連結機構は、前記弾性部材と前記フランジ部材とを一体的に形成してなることにより、フランジ部材と弾性部材とを一体的に回転させて、簡単かつ迅速に上部シェルのカント角を調整することができる効果がある。
【0022】
また、本発明のスキー靴は、上記何れかのヒンジ連結機構を用いて、前記下部シェルと前記上部シェルとを連結した構成を有することにより、滑走者の膝など脚部への負担を大幅に軽減することができる効果がある。
【0023】
また、本発明のスキー靴は、硬質合成樹脂で形成されるアウターシェルが下部シェルと上部シェルとを有するスキー靴であって、前記上部シェルの左右両側部を前記硬質合成樹脂より軟質な合成樹脂で形成すると共に、該左右両側部を前記下部シェルに左右一対のヒンジ連結軸で連結するヒンジ連結機構を備えた構成を有することにより、軟質な合成樹脂で形成された上部シェルの左右両側部が、下部シェルから上部シェルに伝わる微小振動を吸収して、滑走者の膝など脚部への負担を大幅に軽減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るスキー靴に用いるヒンジ連結機構の一実施例を示す分解斜視図。
【図2】そのヒンジ連結機構を用いたスキー靴の一実施例を示す斜視図。
【図3】図2に示すスキー靴の要部を示す断面図。
【図4】図3に示すスキー靴要部のA−A線断面図。
【図5】スキー靴要部の他の実施例を示すA−A線断面図。
【図6】スキー靴要部の別の実施例を示すA−A線断面図。
【図7】図6に示すスキー靴の要部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を図示する実施例に基づいて説明する。
本発明に係るスキー靴に用いるヒンジ連結機構は、硬質合成樹脂で形成されるアウターシェル1が下部シェル11と上部シェル12とを有するスキー靴10において、前記上部シェル12の左右両側部と前記下部シェル11とを、ヒンジ連結軸33でそれぞれ連結するものであり、前記ヒンジ連結軸33の周囲を覆うと共に、前記上部シェル12又は/及び下部シェル11の収容孔121に収容される弾性部材30を備えてある。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明に係るスキー靴に用いるヒンジ連結機構の一実施例を示す分解斜視図である。図2は、そのヒンジ連結機構を用いたスキー靴の一実施例を示す斜視図である。図3は、図2に示すスキー靴の要部を示す断面図である。図4は、図3に示すスキー靴要部のA−A線断面図である。
【0027】
スキー靴10は、硬質で強靭なポリウレタン等の硬質合成樹脂で形成されたアウターシェル1と、足に適合して快適に保持するために、アウターシェル1内に挿入されるインナーブーツ2と、から構成されている。また、アウターシェル1は、足首から下方の足部分を覆う下部シェル11と、足首から上方の脚部分を覆う上部シェル12と、を有する。下部シェル11は、甲側で開放端部が重ね合わされており、バックル4で締め付けるようになっている。上部シェル12は、前側で開放端部が重ね合わされており、バックル5で締め付けるようになっている。
【0028】
上部シェル12は、左右両側部が左右一対のヒンジ連結機構3により下部シェル11に連結され、くるぶし部分において下部シェル11に対して前後方向に回転可能になっている。図示しないが、スキー靴10の後部には、下部シェル11に対する上部シェル12の回転制限手段が設けられている。また、本実施例では、フロントエントリーのスキー靴を例に説明するが、本発明に係るヒンジ連結機構3をリアエントリーのスキー靴に用いることも可能である。
【0029】
図1に示す実施例において、ヒンジ連結機構3は、ヒンジ連結軸33と、弾性部材30と、フランジ部材31と、皿頭ネジ32と、を有する。ヒンジ連結軸33は、一方の端部に軸部より大径の顎部34を形成してあり、他方の端部内側に雌ネジ部35を設けている。また、下部シェル11には、ヒンジ連結軸33の軸部を挿通させる挿通孔111(軸受孔)と、顎部34を収容する収容部112と、を設けている。図示しないが、顎部34及び収容部112には、回り止めを形成している。なお、雌ネジ部35は、図4に示すように、ヒンジ連結軸33内を貫通していてもよい。
【0030】
弾性部材30は、上部シェル12の収容孔121に収容される円柱状を成し、偏心位置にヒンジ連結軸33を挿通可能な挿通孔30aを有する。弾性部材30は、天然ゴム、合成ゴム、発泡樹脂等の微小振動を吸収可能な部材で形成されている。なお、収容孔121を正多角形状に形成し、弾性部材30を同一形状の正多角柱状に形成することも可能である。
【0031】
フランジ部材31は、アルミニウム等の金属又はエンプラ、スーパーエンプラと呼ばれる合成樹脂からなる。フランジ部材31は、弾性部材30より大径に形成され、下部シェル11とで弾性部材30及び上部シェル12を挟み込むように成している。フランジ部材31は、弾性部材30と対応する偏心位置に、ヒンジ連結軸33と螺合する皿頭ネジ32を挿通可能な挿通孔31aを有する。挿通孔31aには、皿頭ネジ32の頭部を受け入れるテーパー部を形成している。また、図示の実施例において、上部シェル12の左右両側部には、弾性部材30を収容する収容孔121と同軸に設けられ、フランジ部材31を受け入れる凹部122を形成している。
【0032】
ヒンジ連結機構3は、ヒンジ連結軸33に皿頭ネジ32を螺合することにより、顎部34と皿頭ネジ32の皿頭部とで、下部シェル11と、上部シェル12に収容された弾性部材30と、フランジ部材31と、を挟み込む。ヒンジ連結機構3は、弾性部材30及びフランジ部材31の回転角を変えることにより、上部シェル11のカント角を調整することができる。ヒンジ連結機構3は、カント角調整が容易になることから、弾性部材30とフランジ部材31とを一体的に形成してあることが好ましい。弾性部材30は、例えば、フランジ部材31に接着又は溶着することにより、フランジ部材31と一体的に形成することができる他、フランジ部材31と一体的に成形することも可能である。
【0033】
なお、ヒンジ連結機構3は、弾性部材30の中心位置に挿通孔30aを設けると共に、ヒンジ連結軸33の両端をリベット等の固定具で固定し、カント角調整機能を設けない構成にすることも可能である。この場合、アウターシェル1は、下部シェル11に弾性部材30の収容部を設けることも可能である。
【0034】
図2に示すスキー靴10は、本実施例のヒンジ連結機構3を用いて、下部シェル11と上部シェル12とを連結してあるから、弾性部材30が下部シェル11から上部シェル12に伝わる微小振動を吸収して、滑走者の膝など脚部への負担を大幅に軽減することができる。
【実施例2】
【0035】
図5は、スキー靴要部の他の実施例を示すA−A線断面図である。図示の実施例において、ヒンジ連結機構30は、皿頭ネジ32と、ナット36と、弾性部材30と、フランジ部材31と、を有する。ヒンジ連結機構30は、皿頭ネジ32のネジ部32aが、ヒンジ連結軸を形成している。また、下部シェル11には、皿頭ネジ32のネジ部32a(ヒンジ連結軸)を挿通させる挿通孔111(軸受孔)と、ナット36を収容する収容部112と、を設けている。
【0036】
弾性部材30は、上部シェル12の収容孔121に収容される円柱状を成し、偏心位置に皿頭ネジ32のネジ部32a(ヒンジ連結軸)を挿通可能な挿通孔30aを有する。弾性部材30は、天然ゴム、合成ゴム、発泡樹脂等の微小振動を吸収可能な部材で形成されている。フランジ部材31は、実施例1の構成と同様であり、弾性部材30と一体的に形成してあることが好ましい。また、図示の実施例において、上部シェル12の左右両側部には、弾性部材30を収容する収容孔121と同軸に設けられ、フランジ部材31を受け入れる凹部122を形成している。
【0037】
ヒンジ連結機構3は、ナット36に皿頭ネジ32を螺合することにより、ナット36と皿頭ネジ32の皿頭部とで、下部シェル11と、上部シェル12に収容された弾性部材30と、フランジ部材31と、を挟み込む。ヒンジ連結機構3は、弾性部材30及びフランジ部材31の回転角を変えることにより、上部シェル11のカント角を調整することができる。
【実施例3】
【0038】
図6は、スキー靴要部の別の実施例を示すA−A線断面図である。また、図7は、図6に示すスキー靴の要部を示す斜視図である。
【0039】
図示の実施例において、スキー靴10は、硬質合成樹脂で形成されるアウターシェル1が、足首から下方の足部分を覆う下部シェル11と、足首から上方の脚部分を覆う上部シェル12と、を有する。上部シェル12は、左右両側部12aを、他の部分を形成する硬質合成樹脂より軟質な合成樹脂で形成すると共に、該左右両側部12aを下部シェル11に左右一対のヒンジ連結軸33で連結するヒンジ連結機構3を備えている。
【0040】
上部シェル12は、左右両側部12aがポリアミド系樹脂(ナイロン)等の軟質な合成樹脂で形成され、他の部分が硬質で強靭なポリウレタン等の硬質合成樹脂で形成され、左右両側部12aは他の部分と一体的に成形されている。
【0041】
図示の実施例において、ヒンジ連結機構30は、皿頭ネジ32と、ナット36と、偏心フランジ部材40と、を有する。ヒンジ連結機構30は、皿頭ネジ32のネジ部32aが、ヒンジ連結軸を形成している。また、下部シェル11には、皿頭ネジ32のネジ部32a(ヒンジ連結軸)を挿通させる挿通孔111(軸受孔)と、ナット36を収容する収容部112と、を設けている。
【0042】
偏心フランジ部材40は、上部シェル12に回転可能に係合するガイド円板部41と、フランジ部42とからなり、偏心位置に皿頭ネジ32のネジ部32aを挿通可能な挿通孔30aを設けている。図示の実施例では、上部シェル12の左右両側部12aが、ヒンジ連結軸を介して下部シェル11から上部シェル12に伝わる微小振動を吸収するから、偏心フランジ部材40は、アルミニウム等の金属又はエンプラ、スーパーエンプラと呼ばれる合成樹脂で形成することができる。
【0043】
また、図示の実施例において、上部シェル12の左右両側部には、偏心フランジ部材40のガイド円板部41を収容する収容孔121と、この収容孔121と同軸に設けられ、フランジ部42を受け入れる凹部122と、を形成している。
【0044】
ヒンジ連結機構3は、ナット36に皿頭ネジ32を螺合することにより、ナット36と皿頭ネジ32の皿頭部とで、下部シェル11と、上部シェル12に収容された偏心フランジ部材40と、を挟み込む。ヒンジ連結機構3は、偏心フランジ部材40の回転角を変えることにより、上部シェル11のカント角を調整することができる。
【0045】
本実施例のスキー靴10は、上部シェル12において、ポリアミド系樹脂(ナイロン)等の軟質な合成樹脂で形成された左右両側部12aが、ヒンジ連結軸を介して下部シェル11から上部シェル12に伝わる微小振動を吸収することができる。なお、ヒンジ連結機構3は、ナット36に代えて、図1に示すヒンジ連結軸33を設けた構成にすることも可能である。また、ヒンジ連結機構3は、ヒンジ連結軸の両端をリベット等の固定具で固定し、カント角調整機能を設けない構成にすることも可能である。
【0046】
また、上部シェル12は、左右両側部12aを硬質で強靭なポリウレタン等の硬質合成樹脂で形成すると共に、左右両側部12aの内側で収容孔121の周囲に凹部を形成し、この凹部に天然ゴム、合成ゴム、発泡樹脂等の弾性部材を嵌合した構成にすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 アウターシェル
2 インナーブーツ
3 ヒンジ連結機構
4,5 バックル
10 スキー靴
11 下部シェル
12 上部シェル
30 弾性部材
31 フランジ部材
32 皿頭ネジ
33 ヒンジ連結軸
34 顎部
35 雌ネジ部
36 ナット
40 偏心フランジ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質合成樹脂で形成されるアウターシェルが下部シェルと上部シェルとを有するスキー靴において、前記上部シェルの左右両側部と前記下部シェルとを、ヒンジ連結軸でそれぞれ連結するヒンジ連結機構であって、
前記ヒンジ連結軸の周囲を覆うと共に、前記上部シェル又は/及び下部シェルの収容孔に収容される弾性部材を備えたスキー靴に用いるヒンジ連結機構。
【請求項2】
前記弾性部材が、前記上部シェルの収容孔に収容される円柱状又は正多角柱状を成し、偏心位置に前記ヒンジ連結軸を挿通可能な挿通孔を有する請求項1に記載のスキー靴に用いるヒンジ連結機構。
【請求項3】
前記弾性部材より大径のフランジ部材を備え、該フランジ部材と前記下部シェルとで前記弾性部材及び前記上部シェルを挟み込むようになした請求項2に記載のスキー靴に用いるヒンジ連結機構。
【請求項4】
前記弾性部材と前記フランジ部材とを一体的に形成してなる請求項3に記載のスキー靴に用いるヒンジ連結機構。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のヒンジ連結機構を用いて、前記下部シェルと前記上部シェルとを連結したスキー靴。
【請求項6】
硬質合成樹脂で形成されるアウターシェルが下部シェルと上部シェルとを有するスキー靴であって、前記上部シェルの左右両側部を前記硬質合成樹脂より軟質な合成樹脂で形成すると共に、該左右両側部を前記下部シェルに左右一対のヒンジ連結軸で連結するヒンジ連結機構を備えたスキー靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−80988(P2012−80988A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228165(P2010−228165)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(505350569)株式会社スポーツアヴェニュー (3)
【Fターム(参考)】