説明

スクリューコンベア装置

【課題】搬送物の瞬間輸送量及び累積輸送量を測定することができるスクリューコンベア装置を提供する。
【解決手段】トラフ2が、測定部Aのトラフ2Aと、搬送部Bのトラフ2Bとによって構成され、トラフ2Aとトラフ2Bとが、ジョイント部12において、弾性シール材16を介して弾性的に接続され、スクリュー3のシャフト8に、スクリュー3の送り速度を計測する速度検出器13が接続され、その計測値が積算計に送信されるように構成され、トラフ2Aと、これを支持する脚部5との間に、導入された搬送物の重量を計測するロードセル20が配置され、その計測値が積算計に送信されるように構成され、これらの計測値に基づいて、搬送物の瞬間輸送量が算出されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樋状或いは円筒状のトラフの中に配置されたスクリューを回転させることにより、トラフの一端側から導入された搬送物を、他端側へ搬送できるように構成したスクリューコンベア装置に関し、特に、搬送物の瞬間輸送量及び累計輸送量を測定できるように構成したスクリューコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の施設において、固形状、流動状、或いは、半流動状の処理対象物を連続して搬送する必要がある場合、例えば、下水汚泥の処理施設において、ある処理を行う装置から排出された下水汚泥のスラッジ、脱水ケーキ、或いは、乾燥汚泥等を、次の処理を行う装置に向けて連続して搬送するような場合、従来より、スクリューコンベアと呼ばれる装置が使用されることが多い。従来の一般的なスクリューコンベア装置は、樋状或いは円筒状のトラフの中にスクリューが配置されており、モータによってスクリューを連続的に回転させることにより、トラフの一端側に形成された導入口から導入された処理対象物を、トラフの他端側へ向かって搬送し、排出口から排出できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−240923号公報
【特許文献1】特開2004−224566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、処理対象物が、複数の処理装置の間をそれぞれ搬送されるようなシステムにおいて、搬送される処理対象物の輸送量を把握することができれば、各処理装置の処理量や処理対象物の性状(含水率等)の制御を行おうとするうえで有効である。しかしながら、従来のスクリューコンベア装置においては、処理対象物の輸送量を測定することができなかった。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術を解決すべくなされたものであって、処理対象物(搬送物)の瞬間輸送量及び累積輸送量を測定することができるスクリューコンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスクリューコンベア装置は、樋状或いは円筒状のトラフの中にスクリューが配置され、モータによってスクリューを連続的に回転させることにより、トラフの一端側に形成された導入口から導入された搬送物を、トラフの他端側へ向かって搬送し、排出口から排出できるように構成され、トラフは、測定部のトラフと、搬送部のトラフとによって構成され、測定部のトラフと搬送部のトラフとは、ジョイント部において、弾性シール材を介して弾性的に接続され、スクリューに回転駆動力を伝達するシャフトに、スクリューの送り速度又は回転数を計測する計測器(速度検出器)が接続され、その計測値が積算計に送信されるように構成され、測定部のトラフと、これを支持する手段(脚部)との間に、トラフ内に導入された搬送物の重量を計測する重量計(ロードセル)が配置され、その計測値が積算計に送信されるように構成され、積算計において、スクリューの送り速度又は回転数の計測値と、トラフ内に導入された搬送物の重量の計測値とに基づいて、搬送物の瞬間輸送量が算出され、表示されるように構成されていることを特徴としている。
【0007】
尚、ジョイント部が、測定部のトラフのフランジ、搬送部のトラフのフランジ、弾性シール材、ボルト、及び、ナットを含み、測定部のトラフのフランジと、搬送部のトラフのフランジとを、中間に弾性シール材を挟み込んだ状態で突き合わせ、ボルト及びナットを、スプリングを介在させた状態で弾性的に締結することによって、測定部のトラフと搬送部のトラフとを弾性的に接続することが好ましく、更に、積算計において算出された瞬間輸送量の値を、スタート時、或いは、リセット時から積算することにより、累計輸送量を算出し、瞬間輸送量と併せて表示し、或いは、切替表示できるように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスクリューコンベア装置は、トラフ内に連続的に導入される搬送物の瞬間輸送量及び累計輸送量を測定することができ、後段に配置される各処理装置の処理量や処理対象物の性状(含水率等)の制御を行おうとするうえで好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るスクリューコンベア装置1の部分的な側面図である。
【図2】図2は、図1に示すX−X線によるトラフ2、及び、スクリュー3の断面図である。
【図3】図3は、図1に示すジョイント部12の拡大図である。
【図4】図4は、図1に示すジョイント部12の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るスクリューコンベア装置1の部分的な側面図である。尚、図1(1)は、スクリューコンベア装置1の前方の端部付近の側面を示し、図1(2)は、後方の端部付近の側面を示している。これらの図に示すように、このスクリューコンベア装置1は、トラフ2、その内部に配置されたスクリュー3、スクリュー3に回転駆動力を供給するモータ4、トラフ2を下側から支持する複数本の脚部5、図示しない積算計、制御装置等によって構成されている。
【0011】
トラフ2は、図2(図1に示すX−X線によるトラフ2、及び、スクリュー3の断面図)に示すように、全体的に断面がU字形となるように形成されており、両端部は側板21a,21b(図1参照)によって閉じられている。また、トラフ2の上縁部(上縁フランジ22)には、平板状の蓋板6が載置されている。蓋板6は、ボルト或いはクランプ(図示せず)等によってトラフ2の上縁フランジ22に対して固定されている。この蓋板6は、トラフ2の全長(本実施形態においては25m)にわたって配置されており、トラフ2の上縁開放部分は、蓋板6によってほぼ全面的に閉じられる構造となっている。
【0012】
トラフ2の内部に配置されるスクリュー3は、トラフ2の全長(トラフ2の両端部の側板21a,21b間の離間寸法)よりも僅かに短い寸法に設定されており、後方側(図1(2)における右側)の端部において、シャフト8と連結されている。このシャフト8は、回転自在に支持されており、トラフ2の後方側の側板21bを貫通し、減速機等を介してモータ4の駆動軸と動力的に接続されている。そして、モータ4の回転駆動力が、シャフト8に伝達され、更に、スクリュー3に伝達されるようになっている。尚、シャフト8には、速度検出器13が取り付けられており、スクリュー3の送り速度が計測され、その計測値が積算計に送信されるようになっている。
【0013】
トラフ2の内面のうち、下半側の湾曲した内面には、超高分子ポリエチレン製のライナー9(図2参照)が配設されており、トラフ2内においてスクリュー3が回転する際の摩擦抵抗を低減している。
【0014】
トラフ2の前方側(図1(1)における左側)の端部付近には、搬送物をトラフ2内に導入するための導入口10が形成されている。この導入口10は、蓋板6に形成された貫通孔に臨むように構成され、このスクリューコンベア装置1の前段に配置される処理装置の排出口、或いは、ホッパー等と接続される。
【0015】
トラフ2の後方側端部付近には、搬送物をトラフ2内から外部へ排出するための排出口11が形成されている。この排出口11は、トラフ2の下半側の湾曲部分に形成された貫通孔に臨むように構成され、このスクリューコンベア装置1の後段に配置される処理装置の導入口等と接続される。
【0016】
このスクリューコンベア装置1は、ジョイント部12を境界として、その前方側(より詳細には、トラフ2の前方側の端部の側板21aから所定の範囲(本実施形態においては3.1m)まで)が測定部Aとして構成され、ジョイント部12よりも後方側が搬送部Bとして構成されている。上述の導入口10は、測定部Aの蓋板6Aに形成され、排出口11は、搬送部Bのトラフ2Bに形成されている。
【0017】
測定部Aのトラフ2Aと搬送部Bのトラフ2Bとは、ジョイント部12において弾性的に接続されている。より詳細には、ジョイント部12は、図3に示すように、測定部Aのトラフ2Aのフランジ14A、蓋板6Aのフランジ15A、搬送部Bのトラフ2Bのフランジ14B、蓋板6Bのフランジ15B、弾性シール材16、及び、締結手段(ボルト17、ナット18)によって構成されており、フランジ14A,15Aと、フランジ14B,15Bとを、中間に弾性シール材16を挟み込んだ状態で突き合わせ、ボルト17及びナット18を締結することによって連結されている。
【0018】
そして、図3に示されているように、ボルト17とナット18とは、適度な弾性力を有する(適度なバネ定数の)スプリング19を介在させた状態で、弾性的に締結され、また、フランジ14A,15Aとフランジ14B,15Bとによって挟持される弾性シール材も、適度な弾性力を有しているため、測定部Aのトラフ2A及び蓋板6Aは、図4に示すように、搬送部Bのトラフ2B及び蓋板6Bに対して、揺動可能な状態で弾性的に連結されている。
【0019】
測定部Aのトラフ2Aと、搬送部Bのトラフ2Bはいずれも、脚部5によってそれぞれ下方側から支持されている。但し、搬送部Bのトラフ2Bが脚部5上において固定状態で支持されているのに対し、測定部Aのトラフ2Aは、非固定状態で支持されている。そして、測定部Aのトラフ2Aと、これを支持する脚部5との間には、四つのロードセル20(重量計)が、トラフ2Aの長手方向及び横幅方向へそれぞれ間隔を置いた位置に配置されており(四点支持)(図1(1)参照)、導入口10からトラフ2A内に導入される搬送物の重量が計測され、積算計に送信されるようになっている。
【0020】
本実施形態のスクリューコンベア装置1は、上記のような構成に係るものであるところ、搬送物の瞬間輸送量及び累計輸送量を測定できるようになっている。具体的に説明すると、まず、このスクリューコンベア装置1は、従来装置と同様に、モータ4から出力される回転駆動力によってスクリュー3を所定方向へ連続的に回転させることにより、測定部Aに形成された導入口10からトラフ2A内に導入された搬送物を、トラフ2の他端側へ向かって搬送し、排出口11から排出できるように構成されている。
【0021】
そして、導入口10からトラフ2A内に搬送物が導入されたとき、導入された搬送物の重量(搬送方向(トラフ2の長手方向)1m当たりの搬送物の重量、単位:kg/m)が、測定部Aにおいて測定され、その計測値が電気信号に変換されて出力され、積算計に送信される。また、シャフト8に取り付けられている速度検出器13により、スクリュー3の送り速度(1分間当たりの回転数×スクリュー3のピッチ、単位:m/min)が計測され、その計測値が電気信号に変換されて出力され、積算計に送信されるようになっている。
【0022】
尚、搬送物の重量は、四つのロードセル20によって計測された重量の合計値から、トラフ2A、蓋板6A、導入口10、測定部Aにおけるスクリュー3等の重量の値(搬送物の非導入時においてロードセル20によって計測される重量の値)を差し引き、これを測定部Aの全長(3.1m)で除算することによって求められる。
【0023】
積算計は、ロードセル20から送信された信号(搬送物の重量の値)と速度検出器13から送信された信号(スクリュー3の送り速度)とを電気的に乗算することによって、搬送物の瞬間輸送量(単位:kg/min)を出力して表示するようになっている。尚、瞬間輸送量の表示単位は、更に「60」を乗じて「kg/h」とすることもできる。また、このようにして算出した輸送量の値を、スタート時、或いは、リセット時から積算することにより、累計輸送量を出力し、瞬間輸送量と併せて表示し、或いは、切替表示することもできる。
【0024】
尚、本実施形態においては、スクリュー3として、シャフトレススクリューが使用されているが、必ずしもこれには限定されず、シャフト周りに螺旋状のフライト(スクリュー羽根)が固定されたスクリューを用いることもできる。また、本実施形態においては、速度検出器13によってスクリュー3の送り速度が計測されるように構成されているが、スクリュー3の回転数(単位:min−1)が計測され、その計測値(信号)が積算計に送信され、計測された回転数の値に基づいてスクリュー3の送り速度が積算計において算出されるように構成することもできる。
【0025】
また、本実施形態においては、搬送物の重量を計測する重量計として、ロードセルを用いているが、他の重量計を用いることもできる。
【符号の説明】
【0026】
1:スクリューコンベア装置、
2,2A,2B:トラフ、
3:スクリュー、
4:モータ、
5:脚部、
6,6A,6B:蓋板、
8:シャフト、
9:ライナー、
10:導入口、
11:排出口、
12:ジョイント部、
13:速度検出器、
14A,14B,15A,15B:フランジ、
16:弾性シール材、
17:ボルト、
18:ナット、
19:スプリング、
20:ロードセル、
21a:側板、
21b:側板、
22:上縁フランジ、
A:測定部、
B:搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樋状或いは円筒状のトラフの中にスクリューが配置され、モータによってスクリューを連続的に回転させることにより、トラフの一端側に形成された導入口から導入された搬送物を、トラフの他端側へ向かって搬送し、排出口から排出できるように構成されたスクリューコンベア装置において、
前記トラフは、測定部のトラフと、搬送部のトラフとによって構成され、
前記測定部のトラフと搬送部のトラフとは、ジョイント部において、弾性シール材を介して弾性的に接続され、
前記スクリューに回転駆動力を伝達するシャフトに、スクリューの送り速度又は回転数を計測する計測器が接続され、その計測値が積算計に送信されるように構成され、
前記測定部のトラフと、これを支持する手段との間に、トラフ内に導入された搬送物の重量を計測する重量計が配置され、その計測値が積算計に送信されるように構成され、
前記積算計において、スクリューの送り速度又は回転数の計測値と、トラフ内に導入された搬送物の重量の計測値とに基づいて、搬送物の瞬間輸送量が算出され、表示されるように構成されていることを特徴とするスクリューコンベア装置。
【請求項2】
前記ジョイント部が、測定部のトラフのフランジ、搬送部のトラフのフランジ、弾性シール材、ボルト、及び、ナットを含み、
前記測定部のトラフのフランジと、搬送部のトラフのフランジとを、中間に弾性シール材を挟み込んだ状態で突き合わせ、ボルト及びナットを、スプリングを介在させた状態で弾性的に締結したことを特徴とする、請求項1に記載のスクリューコンベア装置。
【請求項3】
前記積算計において算出された瞬間輸送量の値を、スタート時、或いは、リセット時から積算することにより、累計輸送量を算出し、瞬間輸送量と併せて表示し、或いは、切替表示できるように構成したことを特徴とする、請求項1に記載のスクリューコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49498(P2013−49498A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186929(P2011−186929)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【出願人】(390000011)JFEアドバンテック株式会社 (32)
【出願人】(591162022)巴工業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】