説明

スケータ

【課題】使用者が搭乗部に乗った状態で体重移動を行って、搭乗部を左右に旋回し、あるいは所望の推進力を得ることができるスケータを提供する。
【解決手段】ハンドル付きの2輪のスケータであって、ハンドル16と、このハンドル16によって操舵される固定式キャスタ17からなる前輪と、前後方向の軸心30まわりに弾性的にねじれることが可能なボード本体12と、首振りのための中心軸28がスケータの進行方向に向けて傾斜され、前記ボード本体12の後部37の底面に取り付けられた首振り式キャスタ21からなる後輪を備えるスケータ11である。上記構成によれば、ボード本体12がねじれたときに、首振り式キャスタ21からなる後輪が、首振りのための中心軸28まわりに旋回され、これにより、ボード本体12を左右に旋回することができ、あるいはスケータ11に所望の推進力を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケータに関し、より詳細には、使用者が搭乗部に乗った状態で体重移動を行うことで、搭乗部を左右に旋回することができ、あるいは所望の推進力を得ることができるスケータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハンドル付きの2輪のスケータの一例が、特許文献1に開示されている。
このスケータは、ボード本体と、このボード本体の前方に設けられるハンドルと、このハンドルによって操舵される前部ホイールと、ボード本体の後部に設けられる後部ホイールとを備えている。使用者は、一方の足をボード本体に乗せた状態で、他方の足で地面を蹴ることにより、スケータを前進させるための推進力をスケータに与える。このスケータに与えられる推進力の大きさは、使用者が足で地面を蹴る力の大きさによって調整される。スケータの走行時に、使用者が両足をボード本体に乗せると、スケータは惰行する。
【0003】
スケータの進行方向を変えたい場合には、使用者が進みたい方向と同じ方向にハンドルを切る。そうすると、スケータはハンドルを切った方向に進む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−47683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような従来のスケータでは、使用者は、スケータを走行させるための推進力を得るために、継続して、足で地面を蹴り続ける必要があった。また、このような従来のスケータでは、ハンドルを切った方向にしかスケータを進めることができない。
【0006】
本発明の目的は、使用者が搭乗部に乗った状態で体重移動を行って、搭乗部を左右に旋回し、あるいは所望の推進力を得ることができるスケータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、ハンドル付きの2輪のスケータであって、ハンドルと、前記ハンドルによって操舵される前輪と、前後方向の軸心まわりに弾性的にねじれることが可能な搭乗部と、首振りのための中心軸がスケータの進行方向に向けて傾斜され、前記搭乗部の後部の底面に取り付けられた首振り式キャスタからなる後輪を備えるものである。
【0008】
本発明のスケータによれば、使用者が搭乗部に乗った状態で体重移動を行うと、搭乗部に対して前後方向の軸心まわりのねじり力が作用して搭乗部がねじり変位し、このねじり変位に対応して、搭乗部の後部の底面に取り付けられた首振り式キャスタが首振りのための中心軸まわりに旋回する。これにより、首振り式キャスタの転がり方向が前後方向と所定角度をなした方向とされ、首振り式キャスタが前後方向と所定角度をなした方向に地面を転がり、搭乗部の後部がハンドルで支持された前輪を中心として左右に旋回する。したがって、使用者は、搭乗部に乗った状態で体重移動を行うだけで、ハンドルを切ることなく、搭乗部を左右に旋回することができる。
【0009】
さらに、本発明のスケータによれば、搭乗部をねじり変位させた状態から使用者が体重移動を行って、搭乗部に作用するねじり力を解消しようとする際、搭乗部が初期状態に復元する復元力が首振り式キャスタに作用される。この復元力に起因して首振り式キャスタが斜め後方下向きに地面を押す力が作用される。この押す力の反作用として首振り式キャスタを介して斜め前方に上向く力が地面から搭乗部に作用される。それにより、スケータを前方へ進めるための推進力が発生される。使用者は、搭乗部に乗った状態で体重移動を行って、所望の推進力を得ることができる。
【0010】
また上記目的を達成するために請求項2に係る本発明は、請求項1に係るスケータであって、搭乗部を、前後方向の軸心まわりに弾性的にねじれることが可能な1枚板の踏み板から構成するものである。
【0011】
このスケータによれば、使用者が1枚板の踏み板に乗った状態で体重移動を行うと、踏み板に対して前後方向の軸心まわりのねじり力が作用して踏み板がねじり変位する。それによって、踏み板の後部の底面に取り付けられた首振り式キャスタが首振りのための中心軸まわりに旋回する。これにより、首振り式キャスタの転がり方向が前後方向と所定角度をなした方向とされ、首振り式キャスタが前後方向と所定角度をなした方向に地面を転がり、踏み板の後部が前輪を中心として左右に旋回する。したがって、使用者は、踏み板に乗った状態で体重移動を行うだけで、ハンドルを切ることなく、踏み板を左右に旋回することができる。
【0012】
さらに、本発明のスケータによれば、1枚板の踏み板をねじり変位させた状態から使用者が体重移動を行って、踏み板に作用するねじり力を解消しようとする際、踏み板が初期状態に復元する復元力が首振り式キャスタに作用される。この復元力に起因して首振り式キャスタが斜め後方下向きに地面を押す力が作用される。この押す力の反作用として、首振り式キャスタを介して斜め前方に上向く力が地面から搭乗部に作用される。それにより、スケータを前方へ進めるための推進力が発生される。使用者は、搭乗部に乗った状態で体重移動を行って、所望の推進力を得ることができる。
【0013】
また上記目的を達成するために請求項9に係る本発明は、請求項1に記載のスケータであって、搭乗部は、前の踏み板と、後ろの踏み板とを有し、前記スケータは、前の踏み板と後ろの踏み板とを互いに前後方向の軸心まわりで相対的にねじり変位できるように連結する連結部材と、前記ねじり変位に対する復元力を作用させる部材とを備えるものである。
【0014】
本発明のスケータによれば、使用者が前の踏み板および後ろの踏み板に乗った状態で体重移動を行うと、前の踏み板および後ろの踏み板から、連結部材およびねじり変位に対する復元力を作用させる部材に対して、前後方向の軸心まわりのねじり力が作用される。これによって、連結部材がねじれ、後ろの踏み板が前の踏み板に対して相対的にねじり変位し、後ろの踏み板の底面に取り付けられた首振り式キャスタが首振りのための中心軸まわりに旋回する。これにより、首振り式キャスタの転がり方向が前後方向と所定角度をなした方向とされ、首振り式キャスタが前後方向と所定角度をなした方向に地面を転がり、前の踏み板および後ろの踏み板が前輪を中心として左右に旋回する。したがって、使用者は、前の踏み板および後ろの踏み板に乗った状態で体重移動を行うだけで、ハンドルを切ることなく、前の踏み板および後ろの踏み板を左右に旋回することができる。
【0015】
さらに、本発明のスケータによれば、後ろの踏み板を前の踏み板に対して相対的にねじり変位させた状態から使用者が体重移動を行って、連結部材およびねじり変位に対する復元力を作用させる部材に作用したねじり力を解消することができる。その際、ねじり変位に対する復元力を作用させる部材によって、前の踏み板と後ろの踏み板のねじれ位置の関係を初期状態に復元する復元力が首振り式キャスタに作用される。この復元力に起因して首振り式キャスタが斜め後方下向きに地面を押す力が作用される。この押す力の反作用として首振り式キャスタを介して斜め前方に上向く力が地面から前の踏み板および後ろの踏み板に作用されることにより、スケータを前方へ進めるための推進力が発生される。したがって、使用者は、前の踏み板および後ろの踏み板に乗った状態で体重移動を行って、所望の推進力を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のスケータによれば、使用者が搭乗部に乗った状態で体重移動を行うと、搭乗部に対して前後方向の軸心まわりのねじり力が作用して搭乗部がねじり変位し、このねじり変位に対応して、搭乗部の後部の底面に取り付けられた首振り式キャスタが首振りのための中心軸まわりに旋回する。これにより、首振り式キャスタの転がり方向が前後方向と所定角度をなした方向とされ、首振り式キャスタが前後方向と所定角度をなした方向に地面を転がり、搭乗部の後部がハンドルで支持された前輪を中心として左右に旋回する。したがって、使用者は、搭乗部に乗った状態で体重移動を行うだけで、ハンドルを切ることなく、搭乗部を左右に旋回することができる。
【0017】
さらに、本発明のスケータによれば、搭乗部をねじり変位させた状態から使用者が体重移動を行って、搭乗部に作用するねじり力を解消しようとする際、搭乗部が初期状態に復元する復元力が首振り式キャスタに作用される。この復元力に起因して首振り式キャスタが斜め後方下向きに地面を押す力が作用される。この押す力の反作用として首振り式キャスタを介して斜め前方に上向く力が地面から搭乗部に作用される。それにより、スケータを前方へ進めるための推進力が発生される。使用者は、搭乗部に乗った状態で体重移動を行って、所望の推進力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスケータ11を斜め上方から見た斜視図である。
【図2】同スケータ11を斜め下方から見た斜視図である。
【図3】同スケータ11の側面図である。
【図4】同スケータ11の首振り式キャスタ21およびその周辺部分の側面図である。
【図5】同スケータ11の操作方法を説明する平面図である。
【図6】同スケータ11の操作方法を説明する平面図である。
【図7】同スケータ11の操作方法を説明する背面図である。
【図8】同スケータ11の操作方法を説明する平面図である。
【図9】同スケータ11の操作方法を説明する背面図である。
【図10】同スケータ11の操作方法を説明する平面図である。
【図11】同スケータ11の走行軌跡を示す平面図である。
【図12】同スケータ11の走行軌跡を示す平面図である。
【図13】同スケータ11のボード本体12の旋回軌跡を示す平面図である。
【図14】同スケータ11のボード本体12の旋回軌跡を示す平面図である。
【図15】本発明の実施の形態2におけるスケータ51を斜め下方から見た斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態3におけるスケータ61を斜め下方から見た斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態4におけるスケータ71を斜め上方から見た斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態5におけるスケータ81を斜め上方から見た斜視図である。
【図19】本発明の実施の形態6におけるスケータ91を斜め上方から見た斜視図である。
【図20】同スケータ91の側面図である。
【図21】同スケータ91のねじれパイプの内部構造を示す分解斜視図である。
【図22】本発明の実施の形態7におけるスケータ111を斜め上方から見た斜視図である。
【図23】同スケータ111の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態1におけるスケータ11を斜め上方から見た斜視図であり、図2は同スケータ11を斜め下方から見た斜視図であり、図3は同スケータ11の側面図であり、図4は同スケータ11の首振り式キャスタ21およびその周辺部分の側面図である。
【0020】
11は、本実施の形態1のスケータである。このスケータ11は、ハンドル付きの2輪のスケータであって、前後方向の軸心30まわりに弾性的にねじれることが可能な搭乗部であるボード本体12と、首振りのための中心軸28がスケータの進行方向に向けて傾斜され、前記ボード本体12の後部37の底面に取り付けられた首振り式キャスタ21からなる後輪(図4)と、ボード本体12の前部に回動自在に支持されるハンドル16と、前記ハンドル16により操舵される前輪としての固定式キャスタ17とを備えるものである。
【0021】
ボード本体12は、前後方向に縦長となる形状で形成され、弾性的にねじれることが可能な1枚板の踏み板から構成されており、例えば、合成樹脂材料から形成されている。
図1〜図3に示すように、このボード本体12の前部35には、ハンドル軸15を回動自在に取り付けるハンドル支持部14が設けられている。このハンドル支持部14を上下に貫通するハンドル軸15の上端には、ハンドル16が取り付けられている。ハンドル軸15の下端には、固定式キャスタ17が取り付けられる。ボード本体12の後部37の底面には、首振りのための中心軸28がスケータ11の進行方向に向けて傾斜され、ボード本体12の後部37の底面に取り付けられた首振り式キャスタ21からなる後輪が備えられている(図4)。
【0022】
固定式キャスタ17は、フロントフォーク18と、フロントシャフト19と、前部ホイール20から構成される。フロントフォーク18は、ハンドル軸15の下端に取り付けられる。フロントシャフト19は、フロントフォーク18に取り付けられる。前部ホイール20は、フロントフォーク18に対して、水平軸心の周りで回動自在となるようにフロントシャフト19に支持されている。
【0023】
ハンドル軸15は、ハンドル支持部14の内部を貫通して、僅かな角度で後ろ側に傾斜した状態でフロントフォーク18を支持している。ハンドル支持部14から上方に伸びるハンドル軸15の上端には、直角にハンドル16が取り付けられている。
【0024】
ハンドル16は、ハンドル支持部14とハンドル軸15と固定式キャスタ17と一体的になって、前記ボード本体12上に折り畳み可能とされている。具体的には、ボード本体12の前部35に対して、折り畳み機構13が取り付けられ、折り畳み機構13にハンドル支持部14が取り付けられ、ハンドル支持部14は、折り畳み機構13により水平軸心のまわりで揺動自在に支持されている(図3)。折り畳み機構13は、ハンドル軸15を起立させた使用状態と、ハンドル軸15をボード本体12上に寝かせた折り畳み状態とでロックできるようになっている。折り畳み状態とすると、スケータ11がコンパクトな形状とされ、保管場所をとらず、また、持ち運びを行い易くなる。
【0025】
図2に示すように、ボード本体12の前部35および後部37の底部には、補強リブ32が形成されている。ボード本体12の前部35および後部37の底部に補強リブ32を形成することにより、ボード本体12の剛性を確保しつつ、ボード本体12を軽量化し、材料コストを低く抑えることができる。
【0026】
ボード本体12の中央部36は、前部35や後部37よりも平面視で幅が狭く形成され、中央部36でねじり変位しやすくされている。これにより、ボード本体12の前部35に対して、相対的に後部37を前後方向の軸心30まわりにねじり変形させ易い。
【0027】
ボード本体12の中央部36には、貫通孔33が形成されている。このため、ボード本体12の中央部36のねじり変位をより行いやすい。
図4に示すように、ボード本体12の後部37の底部には、ボード本体12に対して、スケータ11の後方へ所定角度だけ下向くように傾斜された傾斜面26を有する楔状部25が形成されている。この楔状部25の傾斜面26は、ボード本体12の後部37の底面の一部を構成している。
【0028】
この楔状部25の傾斜面26に対して、首振り式キャスタ21のブラケット27が取付けられており、首振り式キャスタ21は、首振りのための中心軸28が地面29との垂直方向からスケータ11の進行方向へ傾斜するようにして取り付けられている。
【0029】
首振り式キャスタ21は、ブラケット27に対して、首振りのための中心軸まわりに相対的に回動自在に取り付けられたリアフォーク22と、リアフォーク22に取り付けられたリアシャフト23と、リアシャフト23の軸心まわりに回動自在に取り付けられた後部ホイール24とから構成される。
【0030】
ボード本体12をねじって、後部37の右側部分が下向くように前後方向の軸心30のまわりに傾斜させると、首振り式キャスタ21は、ボード本体12から斜め左下方向へ押されて、後部ホイール24がボード本体12の中心よりも左側へ位置するように、首振りのための中心軸28まわりに旋回する。
【0031】
また、ボード本体12をねじって、後部37の左側部分が下向くように前後方向の軸心30のまわりに傾斜させると、首振り式キャスタ21は、ボード本体12から斜め右下方向へ押されて、後部ホイール24がボード本体12の中心よりも右側へ位置するように、首振りのための中心軸28まわりに旋回する。
【0032】
このように、ボード本体12を、後部37の右側部分または左側部分が下向くように傾斜させると、首振り式キャスタ21がボード本体12から斜め下方向へ押されて、ボード本体12を下向けた側と反対側に首振り式キャスタ21を大きく振らせることができる。
【0033】
上記構成のスケータ11の使用方法について説明する。
まず、ボード本体12をねじらない場合のスケータ11の使用方法について説明する。
使用者は、ハンドル16を持った状態で、一方の足、例えば、左足41をボード本体12に乗せ、他方の足、例えば、右足42で地面29を蹴って、スケータ11に推進力を付与する。
【0034】
スケータ11が付与された推進力により走行を開始すると、図5に示すように、使用者は、手でハンドル16を持ち、左足41をボード本体12の前部35に乗せるとともに、右足42をボード本体12の後部37に乗せて、スケータ11に搭乗する。なお、右足42をボード本体12の前部35に乗せるともに、左足41をボード本体12の後部に乗せて、スケータ11に搭乗してもよい。
【0035】
スケータ11の走行中に、ボード本体12を地面29と平行に保ち、かつ固定式キャスタ17の前部ホイール20の転がり方向がボード本体12の前後方向を向くようにハンドル16を保持すると、スケータ11は直進走行する。
【0036】
スケータ11の走行中に、ボード本体12を地面29と平行に保ちながら、ハンドル16を右へ切ると、固定式キャスタ17の前部ホイール20の転がり方向が右方向に向けられ、スケータ11は、右方向にカーブ走行する。
【0037】
スケータ11の走行中に、ボード本体12を地面29と平行に保ちながら、ハンドル16を左に切ると、固定式キャスタ17の前部ホイール20の転がり方向が左方向に向けられ、スケータ11は、左方向にカーブ走行する。
【0038】
上記走行方法は、首振り式キャスタ21を有していない従来のハンドル付きの2輪のスケータと同様である。スケータ11は、加えて、以下のような走行を行うことが可能である。
【0039】
スケータ11の走行中に、固定式キャスタ17の前部ホイール20の転がり方向が、ボード本体12の前後方向を向くようにハンドル16を保持しつつ、ボード本体12全体を、右側に下向くように前後方向の中心軸30のまわりに傾けると、首振り式キャスタ21は、後部ホイール24がボード本体12の中心より左側へ位置するように、首振りのための中心軸28まわりに旋回する。これにより、平面視で、後部ホイール24が地面29を転がり、スケータ11を、固定式キャスタ17を中心として、後部37が円弧を描くように時計方向に旋回させることができる。したがって、ハンドルを切ることなく、スケータ11を右方向にカーブ走行できる。このとき、スケータ11の旋回半径は、略スケータ11の長さと同じになるので、スケータ11の旋回半径を小さくできる。
【0040】
また、スケータ11の走行中に、固定式キャスタ17の前部ホイール20の転がり方向が、ボード本体12の前後方向を向くようにハンドル16を保持しつつ、ボード本体12全体を、左側に下向くように前後方向の中心軸30のまわりに傾けると、首振り式キャスタ21は、後部ホイール24がボード本体12の中心より右側へ位置するように、首振りのための中心軸28まわりに旋回する。これにより、平面視で、後部ホイール24が、地面29を転がり、スケータ11を、固定式キャスタ17を中心として、後部37が円弧を描くように反時計方向に旋回させることができる。したがって、ハンドルを切ることなく、スケータ11を右方向にカーブ走行できる。このとき、スケータ11の旋回半径は、略スケータ11の長さと同じになるので、スケータ11の旋回半径を小さくできる。
【0041】
一方、図6に示すように、スケータ11の走行中に、ボード本体12を地面29と平行に保ちながら、ハンドル16を急激に右側に切ると、ボード本体12は、前後方向の中心軸30を中心として右側部分が下向くように傾斜され、首振り式キャスタ21が、ボード本体12から斜め左下方向へ押されて、後部ホイール24がボード本体12の前後方向と直交する左側の位置に移動する。すると、スケータ11は、前部ホイール20および後部ホイール24を滑らせながら、斜め右前方へ走行される。使用者は、ハンドル16を持つことにより、ボード本体12上でバランスをとることができるので、ハンドル16を切るだけで、容易にこのような走行をすることができる。
【0042】
ボード本体12を地面29と平行に保ちながら、ハンドル16を急激に左側に切った場合も、同様にして、スケータ11は、前部ホイール20および後部ホイール24を滑らせながら、斜め左前方へ走行される。
【0043】
このように、スケータ11のボード本体12にねじりを加えない場合、スケータ11は、首振り式キャスタ21を有していない従来のハンドル付きの2輪のスケータと同様の走行を行うことが可能である。加えて、ボード本体12の後部37の楔状部25の傾斜面26に取り付けられた首振り式キャスタ21により、固定式キャスタ17の前部ホイール20を中心として、首振り式キャスタ21の後部ホイール24を地面29に円弧を描くように転がすことができる。これにより、前部35を中心として、後部37を急角度に振って、ボード本体12を旋回することができる。このため、首振り式キャスタ21を有していない従来のハンドル付きの2輪のスケータよりも旋回半径を小さくでき、小回り性能を向上できる。
【0044】
次に、ボード本体12をねじる場合のスケータ11の使用方法について説明する。
ボード本体12をねじらない場合と同様に、スケータ11は、最初の動き始めの段階だけは、ボード本体12に一方の足を乗せた状態で、他方の足で地面29を蹴ることにより、前方へ進むための推進力をスケータ11に付与する必要がある。
【0045】
使用者が足で地面29を蹴ってスケータ11の走行を開始するときには、ボード本体12は地面29と平行になっており、首振り式キャスタ21は旋回しておらず、首振り式キャスタ21の後部ホイール24は、ボード本体12の前後方向を向いている。このため、固定式キャスタ17の前部ホイール20と首振り式キャスタ21の後部ホイール24とがいずれもボード本体12の前後方向の軸心30と平行方向となった状態で、スケータ11は走行する。
【0046】
スケータ11の走行時における、スケータ11へのさらなる推進力の付与は、以下のようにして行う。
使用者は、左足41を前部35にのせ、かつ右足42を後部37にのせて、ボード本体12に乗った状態で、体重移動を行う。まず、たとえば、図7および図8に示すように、ボード本体12の前部35に対して、左足41のつま先およびかかとから均等に下向きの力を作用させた状態で、ボード本体12の後部37の右側部分に対して、右足42のつま先から下方向の力FRを作用させる。すると、ボード本体12に対して前後方向の軸心30まわりのねじり力が作用する。これにより、ボード本体12は、前部35が地面29と平行な状態を維持しながら、後部37が前部35に対してスケータ11の進行方向について時計方向にねじれ変位し、ボード本体12の後部37の右側部分が下向きに傾斜する(図7)。ボード本体12の後部37の右側部分が下向きに傾斜すると、首振り式キャスタ21は、首振りのための中心軸28(図4)まわりに旋回し、首振り式キャスタ21の後部ホイール24がボード本体12の中心よりも左側へ移動する。これにより、首振り式キャスタ21の後部ホイール24の転がり方向がボード本体12の前後方向と所定角度αをなし、首振り式キャスタ21が前後方向と所定角度αをなした方向に地面を転がる(図8)。すると、平面視で、ボード本体12の後部37が固定式キャスタ17の前部ホイール20を中心として時計方向に旋回する。したがって、使用者は、ボード本体12に乗った状態で体重移動を行うだけで、ハンドル16を切ることなく、ボード本体12を右方向に旋回することができる。
【0047】
次に、ボード本体12をねじり変位させた状態から、図7および図8に示す場合とは反対側へ体重移動を行って、ボード本体12の後部37における右側部分に対する下方向の力FRを解除する。すると、ボード本体12に作用するねじり力が解消し、その際、ボード本体12のねじり変位に対応して、ボード本体12が初期状態に復元する力が首振り式キャスタ21に作用される。詳細には、この復元力に起因して首振り式キャスタ21が斜め後方下向きに地面29を押す力が作用され、この押す力の反作用として、首振り式キャスタ21を介して斜め前方に上向く力が地面29からボード本体12に作用される。この斜め前方に上向く力のうち、ボード本体12と水平な力の成分が分力FRIとなり、さらに、分力FRIのボード本体12の前後方向を向く成分がFRIcosαとなる。前後方向を向く成分FRIcosαがスケータ11を前方へ進めるための推進力となる(図8)。
【0048】
よって、使用者は、ボード本体12に乗った状態で体重移動を行って、所望の推進力を得ることができる。
分力FRIのボード本体12の前後方向と直角な方向を向く成分は、FRIsinαとなる。前後方向と直角な方向を向く成分FRIsinαにより、平面視で、ボード本体12が反時計方向に旋回されるため、スケータ11は、全体として左前方へカーブ走行することになる(図8)。
【0049】
そして、図9および図10に示すように、ボード本体12の前部35に対して、左足41のつま先およびかかとから均等に力を作用させた状態で、ボード本体12の後部37の左側部分に対して、右足42のかかとから下方向の力FLを作用させる。すると、ボード本体12に対して前後方向の軸心30まわりのねじり力が作用する。これにより、ボード本体12は、前部35が地面29と平行な状態を維持しながら、後部37が前部35に対してスケータ11の進行方向について反時計方向にねじれ変位し、ボード本体12の後部37の左側部分が下向きに傾斜する(図9)。ボード本体12の後部37の左側部分が下向きに傾斜すると、首振り式キャスタ21は、首振りのための中心軸28(図4)まわりに旋回し、首振り式キャスタ21の後部ホイール24がボード本体12の中心よりも右側へ移動する。これにより、首振り式キャスタ21の後部ホイール24の転がり方向がボード本体12の前後方向と所定角度βをなし、首振り式キャスタ21が前後方向と所定角度βをなした方向に地面を転がる(図10)。すると、平面視で、ボード本体12の後部37が固定式キャスタ17の前部ホイール20を中心として反時計方向に旋回する。したがって、使用者は、ボード本体12に乗った状態で体重移動を行うだけで、ハンドル16を切ることなく、ボード本体12を左方向に旋回することができる。
【0050】
次に、ボード本体12をねじり変位させた状態から、図9および図10に示す場合とは反対側へ使用者が体重移動を行って、ボード本体12の後部37における左側部分に対する下方向の力FLを解除する。すると、ボード本体12に作用するねじり力が解消し、その際、ボード本体12のねじり変位に対応して、ボード本体12が初期状態に復元する力が首振り式キャスタ21に作用される。詳細には、この復元力に起因して首振り式キャスタ21が斜め後方下向きに地面29を押す力が作用され、この押す力の反作用として、首振り式キャスタ21を介して斜め前方に上向く力が地面29からボード本体12に作用される。この斜め前方に上向く力のうち、ボード本体12と水平な力の成分が分力FLIとなり、さらに、分力FLIのボード本体12の前後方向を向く成分がFLIcosβとなる。前後方向を向く成分FLIcosβがスケータ11を前方へ進めるための推進力となる(図10)。
【0051】
よって、使用者は、ボード本体12に乗った状態で体重移動を行って、所望の推進力を得ることができる。
分力FLIのボード本体12の前後方向と直角な方向を向く成分は、FLIsinβとなる。直角な方向を向く成分FLIsinβによりボード本体12を時計方向に旋回されるため、スケータ11は、全体として右前方へカーブ走行することになる(図10)。
【0052】
上記体重移動を繰り返すことにより、ボード本体12が交互にねじられる。ボード本体12のねじりに対する復元力により、スケータ11は、右前方へのカーブ走行と左前方へのカーブ走行とを交互に繰り返して蛇行走行する。
【0053】
使用者が、ボード本体12を交互にねじって推進力を発生させながら、スケータ11を直進させたいときには、ボード本体12が旋回しようとする方向と逆側にハンドル16を切る。すると、ボード本体12を左右に振りながら、固定式キャスタ17の前部ホイール20を直進させることができる。結果として、スケータ11全体を直進走行させることができる。
【0054】
使用者が、ボード本体12上での体重移動を止めると、スケータ11は、それまでの走行の勢いによって惰行する。
使用者は、ボード本体12上で体重移動を行うとき、ハンドル16を持つことにより、ボード本体12上でバランスを確実に維持しながら、体重移動によって、ボード本体12の後部37に作用させる力を自在に切替えることができ、したがって、ボード本体12をねじる動作を安定して安全に行うことができる。
【0055】
このように、使用者は、ボード本体12上で体重移動を行って、スケータ11の進行方向の軸心30のまわりの時計方向と反時計方向とにボード本体12を交互にねじり変位させるだけで、スケータ11を前進するための推進力を得ることができる。
【0056】
図11および図12は、上述のように、ボード本体12を交互にねじって、スケータ11を走行させる時の、スケータ11の走行軌跡を示す平面図である。図11は、右足42によりボード本体12の後部37を押す部分を変更する周期を比較的長い周期とした場合のスケータ11の走行軌跡を示す。図12は、右足42によりボード本体12の後部37を押す部分を変更する周期を比較的短い周期とした場合のスケータ11の走行軌跡を示す。
【0057】
図11に示すように、比較的長い周期でボード本体12の後部37を押す部分を変更する場合には、スケータ11は、波長が長い波の軌跡を描く。この場合、体重移動によりスケータ11に与えられる推進力は小さいため、スケータ11の走行速度は比較的小さくなる。
【0058】
図12に示すように、比較的短い周期でボード本体12の後部37を押す部分を変更する場合には、スケータ11は、波長が短い波の軌跡を描く。この場合、体重移動によりスケータ11に与えられる推進力は大きいため、比較的長い周期でボード本体12を押す部分を変更する場合に比べて、スケータ11の走行速度は大きくなる。
【0059】
図13および図14は、ボード本体12の旋回軌跡を示す図である。
図13に示すように、右足42のつま先からボード本体12の後部37の右側部分を下向きに押す力FRを作用させ続けると、ボード本体12は、平面視で、固定式キャスタ17の前部ホイール20を中心に時計方向に旋回する。
【0060】
また、図14に示すように、右足42のかかとからボード本体12の後部37の左側部分を下向きに押す力FLを作用させ続けると、ボード本体12は、平面視で、固定式キャスタ17の前部ホイール20を中心に反時計方向に旋回する。
【0061】
このとき、ハンドル16の向きはボード本体12の前後方向の向きに揃おうとする。スケータ11は、ボード本体12がねじれ、首振り式キャスタ21を備えているので、容易にこのような走行をすることができ、その旋回半径を小さくできる。
【0062】
実施の形態1では、ボード本体12の後部37の底面に首振り式キャスタ21を1つだけ取り付けているが、これに限ることはなく、例えば、ボード本体12の後部37の底面に複数の首振り式キャスタを進行方向に直列に並ぶように配置しても良いし、ボード本体12の後部37の底面に複数の首振り式キャスタを進行方向に並列に並ぶように配置してもよい。このようにボード本体12の後部37の底面に複数の首振り式キャスタを設けることにより、スケータの走行安定性が向上する。

次に、本発明の実施の形態2を図面に基づいて説明する。
【0063】
図15は、本発明の実施の形態2におけるスケータ51を斜め下方から見た斜視図である。以下の説明において、第1の実施の形態と同一の構成には、同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0064】
実施の形態1では、ボード本体12のねじり変形を良好に行わせるために、ボード本体12の中央部36に貫通孔33が設けられている。これに対し、実施の形態2では、ボード本体52に貫通孔を設けず、それに代えて、ボード本体52の中央部56の左右方向の幅を、実施の形態1のボード本体12の左右方向の中央部36の左右方向の幅より狭く形成し、かつボード本体52の輪郭に沿って形成されるリブ58の高さを中央部で高くしている。
【0065】
この場合にもボード本体52は、前部55に対する後部57のねじり変形を良好に行わせることができ、また弾性的な復元力も確保することができる。さらに、ボード本体の中央部に貫通孔を設ける場合よりもボード本体52を平面視で細く形成することができる。ボード本体52の中央部56の形状は、角柱状や、円柱状に形成してもよい。このような実施の形態2のスケータ51の構成によれば、実施の形態1のスケータ11と同様の技術的効果を奏する。
【0066】
次に、本発明の実施の形態3を図面に基づいて説明する。
図16は、本発明の実施の形態3におけるスケータ61を斜め下方から見た斜視図である。以下の説明において、実施の形態1と同一の構成には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0067】
実施の形態3では、ボード本体62の中央部66の貫通孔33の下部に、ボード本体62の前部65と後部67を連結する、ボード本体12の前後方向を向く補強バー63が設けられる。補強バー63は、金属製のパイプである。図示しないが、補強バー63の前端部には、補強バー63をボード本体62の前部65の下面に取り付けるための取付けプレートが溶接される。この取付けプレートがボード本体62の前部65の下面にねじ止めされて補強バー63は固定される。補強バー63の後端部は、ボード本体62の後部67に形成された丸孔に嵌入され、この丸孔に対して抜き差し自在に支持される。
【0068】
実施の形態3のスケータ61の構成によれば、実施の形態1のスケータ11と同様の技術的効果を奏する。
さらに、実施の形態3のスケータ61では、ボード本体62の前後方向に補強バー63を取りつけているため、この補強バー63により、ボード本体62の貫通孔33周辺の曲げ強度を向上させることができる。
【0069】
さらに、実施の形態3のスケータ61では、ボード本体62の下部に補強バー63が設けられているので、使用者は、例えば、階段の手摺りなどのレール上に補強バー63を接触させた状態でスケータ61を滑らせて走行することができる。
【0070】
次に、本発明の実施の形態4を図面に基づいて説明する。
図17は、本発明の実施の形態4におけるスケータ71を斜め上方から見た斜視図である。なお、以下の説明において、実施の形態1と同一の構成には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0071】
実施の形態4におけるスケータ71では、ボード本体72が木材料により形成されている。この木材料が、一般のスケートボードの板として用いられている木製の板材であるため、ボード本体72は、前後端で前後方向の軸心30まわりに相対的に弾性的なねじり変形が可能である。このような実施の形態4におけるスケータ71の構成によれば、実施の形態1におけるスケータ11と同様の技術的効果を奏する。
【0072】
次に、本発明の実施の形態5を図面に基づいて説明する。
図18は、本発明の実施の形態5におけるスケータ81を斜め上方から見た斜視図である。なお、以下の説明において、実施の形態1と同一の構成には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0073】
実施の形態5におけるスケータ81では、ボード本体82が金属材料により形成されている。ボード本体82は、前後方向の軸心30まわりにねじり変形が可能に構成されている。このような実施の形態5におけるスケータ81の構成によれば、実施の形態1におけるスケータ11と同様の技術的効果を奏する。
【0074】
なお、上記実施の形態1〜実施の形態5において、ボード本体82の剛性が高く、ボード本体82にねじり変形が生じにくい場合には、使用者はボード本体82をねじることなく、ボード本体82を平面状態に維持しつつ、足でボード本体82の後部を左右方向に押したり、ボード本体82を左右方向に傾斜させたりすることによって、首振り式キャスタ21を旋回させることができ、スケータの旋回半径を小さくできる。
【0075】
次に、本発明の実施の形態6を図面に基づいて説明する。
図19は、本発明の実施の形態6におけるスケータ91を斜め上方から見た斜視図であり、図20は、同スケータ91の側面図である。なお、以下の説明において、実施の形態1と同一の構成には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0076】
実施の形態1におけるスケータ11では、ボード本体12を1枚板の踏み板により構成していたが、実施の形態6におけるスケータ91では、ボード本体92として、前の踏み板93および後ろの踏み板94の2枚の板が用いられている。
【0077】
このスケータ91は、前の踏み板93と、前の踏み板93の前端に固定された折り畳み機構13と、折り畳み機構13に固定されたハンドル支持部14と、後ろの踏み板94と、前の踏み板93と後ろの踏み板94とを離隔して連結する連結要素としてのねじれパイプ95と、首振りのための中心軸がスケータの進行方向に向けて傾斜され、後ろの踏み板94の底面に取り付けられた首振り式キャスタ21と、ハンドル支持部14にハンドル軸15まわりに回動自在に支持されたハンドル16と、ハンドル16に固定された固定式キャスタ17とを備える。
【0078】
前の踏み板93および後ろの踏み板94は、それぞれ、例えば、合成樹脂材料によって板状に成形される。前の踏み板93と後ろの踏み板94は、金属製の丸パイプから構成されるねじれパイプ95を介して、前後方向の軸心30まわりに捻転自在に連結されている。ねじれパイプ95に連結される前の踏み板93のパイプ支持部96は前の踏み板93の後端部に設けられ、後ろの踏み板94のパイプ支持部97は後ろの踏み板94の前端部に設けられる。パイプ支持部96およびパイプ支持部97は、前の踏み板93および後ろの踏み板94において使用者の足が乗せられる箇所より幅が狭く形成される。ねじれパイプ95の形状は、丸パイプに限定されることはなく、角棒やその他の形状であってもよい。
【0079】
前の踏み板93および後ろの踏み板94は、使用者が乗っても支障のない剛性を有する材料であれば、どのような材料を用いてもよく、上述した合成樹脂材料のほかに、例えば、木材料、金属材料を用いてもよい。
【0080】
図21に示すように、ねじれパイプ95は、前の踏み板93のパイプ支持部96に固定された内側のパイプ99と、後ろの踏み板94のパイプ支持部97に固定されたホルダー100と、内側のパイプ99とホルダー100に両端を結合された板スプリング98と、ホルダー100に固定された板スプリング98を覆う外側のパイプ101とを具備している。
【0081】
板スプリング98は、復元力を作用させる部材であり、一端が内側のパイプ99に結合され、他端がホルダー100に結合されている。このため、板スプリング98は、内側のパイプ99とホルダー100との間に相対的なねじれの力が加えられることによって弾性変形し、ねじれの力が解消されると、ねじれパイプ95を復元力により元の状態に回復させる。
【0082】
実施の形態6のスケータ91の構成によれば、実施の形態1のスケータ11と同様の技術的効果を奏する。
さらに、実施の形態6のスケータ91では、スケータ91の走行時に、スケータ91を旋回したり、スケータ91の推進力を発生させたりするために、前の踏み板93および後ろの踏み板94を同じ方向に下向くように左右方向に傾けた場合、ねじれパイプ95の板スプリング98の復元力により、前の踏み板93と後ろの踏み板94との間に大きなねじれが発生することを防止できる。このため、使用者は、スケータ91上でのバランスがとりやすくなり、走行の安全を図ることができる。
【0083】
さらに、実施の形態6のスケータ91では、前の踏み板94とねじれパイプ95と後ろの踏み板96は、互いに分離可能とすることができる。前の踏み板94とねじれパイプ95と後ろの踏み板96を分離することにより、スケータ91がコンパクトな形状とされ、スケータ91の保管及び形態に便利となる。
【0084】
また実施の形態6のスケータ91は、前の踏み板94と後ろの踏み板96を連結するねじれパイプ95の内部に板スプリング98を具備せずに、ねじれパイプ95の両側に、ねじれパイプ95と平行に弾性ゴムなどのような弾性体を配置し、前の踏み板94と後ろの踏み板96の両端を弾性体に取付けた構成であってもよい。
【0085】
このような構成であっても、ねじれパイプ95を介して、前の踏み板94に対して後ろの踏み板96を相対的にねじり変形するとき、前の踏み板94と後ろの踏み板96とが元の位置関係に戻る復元力を得ることができる。
【0086】
次に、本発明の実施の形態7を図面に基づいて説明する。
図22は、本発明の実施の形態7におけるスケータ111を斜め上方から見た斜視図であり、図23は、同スケータ111の側面図である。なお、以下の説明において、実施の形態6と同一の構成には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0087】
実施の形態7におけるスケータ111では、実施の形態6のねじれパイプ95と同様の構成であって、連結部材および復元力を作用させる部材であるねじれパイプ115が、前の踏み板113と後ろの踏み板114の下部に設けられている。この場合、前の踏み板113の下部および後ろの踏み板114の下部に、それぞれ、ねじれパイプ115を固定するための支持部116,117が設けられている。
【0088】
実施の形態7のスケータ111の構成によれば、実施の形態1のスケータ11と同様の技術的効果を奏する。
さらに、実施の形態7のスケータ111では、ボード本体112の底部にねじれパイプ115が設けられているので、使用者は、例えば、階段の手摺りなどのレール上にねじれパイプ115を接触させた状態でスケータ111を滑らせて走行することができる。
【符号の説明】
【0089】
11,51,61,71,81,91,111 スケータ
12,52,62,72,82,92,112 ボード本体
16 ハンドル
17 固定式キャスタ
20 前部ホイール
21 首振り式キャスタ
22 リアフォーク
23 リアシャフト
24 後部ホイール
25 楔状部
26 傾斜面
27 ブラケット
28 中心軸
29 地面
30 軸心
32 補強リブ
33 貫通孔
35,55,65 前部
36,56,66 中央部
37,57,67 後部
58 リブ
63 補強バー
93,113 前の踏み板
94,114 後ろの踏み板
95 ねじれパイプ
96,97,116,117 パイプ支持部
98 板ばね
99 内側のパイプ
100 ホルダー
101 外側のパイプ
115 連結パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル付きの2輪のスケータであって、ハンドルと、前記ハンドルによって操舵される前輪と、前後方向の軸心まわりに弾性的にねじれることが可能な搭乗部と、首振りのための中心軸がスケータの進行方向に向けて傾斜され、前記搭乗部の後部の底面に取り付けられた首振り式キャスタからなる後輪を備える。
【請求項2】
搭乗部は、前後方向の軸心まわりに弾性的にねじれることが可能な1枚板の踏み板から構成されている
請求項1に記載のスケータ。
【請求項3】
踏み板の中央部に貫通孔が設けられている
請求項2に記載のスケータ。
【請求項4】
踏み板の中央部は、踏み板の前部および後部よりも幅を狭く形成されている
請求項2に記載のスケータ。
【請求項5】
踏み板の下部に、踏み板の前部と後部とを連結する補強バーが設けられている
請求項3に記載のスケータ。
【請求項6】
踏み板は、合成樹脂材料にて形成されている
請求項2に記載のスケータ。
【請求項7】
踏み板は、木製の板材にて形成されている
請求項2に記載のスケータ。
【請求項8】
踏み板は、金属の板材にて形成されている
請求項2に記載のスケータ。
【請求項9】
搭乗部は、前の踏み板と、後ろの踏み板とを有し、前記スケータは、前の踏み板と後ろの踏み板とを互いに前後方向の軸心まわりで相対的にねじり変位できるように連結する連結部材と、前記ねじり変位に対する復元力を作用させる部材とを備える
請求項1に記載のスケータ。
【請求項10】
連結部材および復元力を作用させる部材は、前の踏み板と後ろの踏み板の底部に設けられている
請求項9に記載のスケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−11168(P2012−11168A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247981(P2010−247981)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(500514579)ジェイディジャパン株式会社 (20)