説明

スタンプ台等の蓋体開閉装置

【課題】 簡素な構造で蓋体を開閉駆動することできる一方、手では開けにくい種々の蓋体を容易に開閉操作することができると共に、手で直接に触れると汚れやすい蓋体を手を汚すことなく開閉することができる蓋体開閉装置。
【解決手段】 台座2に開閉連結部4で蓋体1を連結した蓋体開閉装置において、蓋体1に一体に開閉従動部15、16を設ける一方、台座2に、蓋体1の開閉従動部15,16に当接して開閉駆動する開き駆動部51と閉じ駆動部52を先端部に有すると共に、手前側に操作部55を有する開閉駆動部材5を台座2の底部27に設けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手で直接持って開閉すると手が汚れたり、汚損する恐れがある蓋体、手で直接持って開閉し難い構造や状況のある蓋体、開いた直後に閉じておきたい蓋体等に適した化粧品容器、ゴミ容器、揮発性物容器、スタンプ台等の蓋体開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一個の押しボタンによって蓋体を開閉操作するようにした蓋体開閉装置は知られている(特許文献1参照。)
この蓋体開閉装置は、押しボタンを弾力部材の復帰弾力に抗して押し込むと、押し棒部材の先端が押しボタンに近い距離位置にある蓋体の開き溝を押圧して、蓋体をヒンジ連結部の軸心を中心に回転して開放すると共に、弾力部材の復帰弾力により復帰した押しボタンを再度押し込むと、押し棒部材の先端が蓋体が閉じて近い距離に位置する閉じ溝を押圧して、蓋体をヒンジ連結部の軸心を中心に回転して閉じる構成であり、このとき、開閉切り換え部材が、前記押し棒部材の先端を蓋体の開閉に伴って閉じ状態の蓋体の開き溝と開き状態の蓋体の閉じ溝に切り換えて係合させる構成である。
【特許文献1】特開平6−321246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来装置では、蓋体に開閉に伴って押しボタンに遠近する開き溝や閉じ溝を設ける必要があり、且つ、閉じた蓋体の下側に、押し棒部材、弾力部材、開閉切り換え部材を必要とし、構造が複雑になる課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、請求項1に記載のように、台座に対して閉じ位置と開き位置との間を開閉連結部を中心に往復開閉自在に蓋体を連結し、蓋体を台座に設けた一個の開閉駆動部材の操作部の押し込み操作により往復開閉するようにした蓋体開閉装置において、蓋体に開閉連結部を中心に蓋体と一体に旋回する開き従動部と閉じ従動部を設ける一方、前記開閉駆動部材の開閉駆動部に、蓋体閉じ位置付近の開き始動位置から押し放し位置において開き従動部に当接する開き駆動部と、蓋体開き位置付近の閉じ始動位置から押し放し位置において閉じ従動部に当接する閉じ駆動部を一体に設けると共に、前記開閉駆動部材の操作部を、開き従動部又は閉じ従動部に伴って前記開き又は閉じ閉駆動部と連動して蓋体閉じ位置又は蓋体開き位置の開閉駆動始動位置に復帰作動するように設けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置を提供するものである。
【0005】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部の開き駆動部と閉じ駆動部とを開閉連結部の旋回軸心を間にその両側の蓋体閉じ位置と蓋体開き位置に位置して開閉駆動部材に設け、開閉駆動時において蓋体開き位置と蓋体閉じ位置の中間の押し放し位置で開き従動部及び閉じ従動部を開き駆動部と閉じ駆動部とに当接しない位置に開放して開閉駆動を終了すると共に、蓋体を開閉駆動の慣性力によって押し放し位置から蓋体開き位置又は蓋体閉じ位置に旋回し、同時に開き従動部又は閉じ従動部により開き駆動部又は閉じ駆動部を押し倒して操作部を伴って開閉駆動部材を開閉駆動開始位置に復帰回転駆動するように設けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1又は2に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材を台座の裏側に取り付けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1、2又は3に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材の開閉駆動部と操作部との間を台座の裏側に設けた駆動連動部材で連結してなるスタンプ台等の蓋体開閉装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項4に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材を一本の線材を折り曲げて構成してなるスタンプ台等の蓋体開閉装置を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項1乃至5のいずれかに記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材の開き駆動部又は閉じ駆動部が当接する蓋体の開き従動部又は閉じ従動部の接触面に、押し回しに伴って押し回し速度が増大するように傾斜面部を設けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項1乃至6のいずれかに記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材の操作部に当接する台座に設けた押しボタンの接触面に、押し回しに伴って押し回し量が増大するように傾斜面部を設けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るスタンプ台等の蓋体開閉装置によれば、請求項1に記載のように、台座に対して閉じ位置と開き位置との間を開閉連結部を中心に往復開閉自在に蓋体を連結し、蓋体を台座に設けた一個の開閉駆動部材の操作部の押し込み操作により往復開閉するようにした蓋体開閉装置において、蓋体に開閉連結部を中心に蓋体と一体に旋回する開き従動部と閉じ従動部を設ける一方、前記開閉駆動部材の開閉駆動部に、蓋体閉じ位置付近の開き始動位置から押し放し位置において開き従動部に当接する開き駆動部と、蓋体開き位置付近の閉じ始動位置から押し放し位置において閉じ従動部に当接する閉じ駆動部を一体に設けると共に、前記開閉駆動部材の操作部を、開き従動部又は閉じ従動部に伴って前記開き又は閉じ閉駆動部と連動して蓋体閉じ位置又は蓋体開き位置の開閉駆動始動位置に復帰作動するように設けてなる構成を有することにより、蓋体閉じ位置において、駆動開始位置に位置する開閉駆動部材の操作部を押しボタン等により操作して開き駆動部により、蓋体と一体に旋回する開き従動部を閉じ位置から開き位置に向かって旋回させ、蓋体閉じ位置と蓋体開き位置との中間の押し放し位置で開き従動部を開放すると、蓋体はその勢いで閉じ位置に向かって旋回を継続し、開き位置に達することとなり、同時に閉じ従動部で閉じ駆動部を押し回して開閉駆動部材を駆動開始位置に復帰回動することができ、次いで、この蓋体開き位置において、再度前記押しボタン等により駆動開始位置に位置する開閉駆動部材の操作部を押し回し操作すると、閉じ駆動部により蓋体と一体に旋回する閉じ従動部を開き位置から閉じ位置に向かって旋回させ、蓋体開き位置と蓋体閉じ位置との中間の押し放し位置で閉じ従動部を開放すると、蓋体はその勢いで閉じ位置に向かって旋回を継続し、同時に開き従動部で開き駆動部を押し回して開閉駆動部材を駆動開始位置に復帰回動し、蓋体閉じ位置に達することとなり、一個の開閉駆動部材によって簡素な構造で蓋体を開閉駆動することできる効果がある一方、手では開けにくい種々の蓋体を開閉駆動部材で容易に開閉操作することができると共に、手で直接に触れると手が汚れやすい開閉蓋体を手を汚すことなく開閉することができる等の効果がある。
【0012】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部の開き駆動部と閉じ駆動部とを開閉連結部の旋回軸心を間にその両側の蓋体閉じ位置と蓋体開き位置に位置して開閉駆動部材に設け、開閉駆動時において蓋体開き位置と蓋体閉じ位置の中間の押し放し位置で開き従動部及び閉じ従動部を開き駆動部と閉じ駆動部とに当接しない位置に開放して開閉駆動を終了すると共に、蓋体を開閉駆動の慣性力によって押し放し位置から蓋体開き位置又は蓋体閉じ位置に旋回し、同時に開き従動部又は閉じ従動部により開き駆動部又は閉じ駆動部を押し倒して操作部を伴って開閉駆動部材を開閉駆動開始位置に復帰回転駆動することができ、蓋体開き位置又は蓋体閉じ位置において開閉駆動部材を開閉駆動開始位置に自動的に復帰させることができる効果がある。
【0013】
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1又は2に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材をスタンプ台等の台座の裏側に取り付けてなる構成を有することにより、スタンプ台等を嵌着する台座の開口部から開閉操作部材の軸受溝を無くすことができ、開口部に設けたスタンプ台等のインク等が漏れ出るのを防止することができる効果があると共に、開閉操作部材の開閉駆動部及び操作部の駆動回転軸と蓋体の開閉連結部の旋回軸心との距離が遠くなるため、その分だけ蓋体の開き従動部又は閉じ従動部、或いは、開き駆動部又は閉じ駆動部の回転半径を長く設定することができ、テコの原理で開閉駆動部で軽く回転駆動操作することができる効果があると共に、開閉駆動部材の駆動回転軸を中心とする操作部の回転半径を長く設定することができ、同様にテコの原理で開閉駆動部で軽く回転駆動操作することができる効果があり、また、その相乗効果により蓋体の開閉駆動を軽快、迅速、確実にすることができるものである。
【0014】
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1、2又は3に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材の開閉駆動部と操作部との間を台座の裏側に設けた駆動連動部材で連結してなる構成を有することにより、請求項3における効果を達成することができる効果がある。
【0015】
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項4に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材を一本の線材を折り曲げて構成してなる構成を有することにより、弾力性のある開閉駆動部材を開閉駆動部、操作部及び駆動回転軸部を含めて全体を、強靱に、簡素・簡単に、且つ、小嵩に構成することができる効果がある。
【0016】
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項1乃至5のいずれかに記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材の開き駆動部又は閉じ駆動部が当接する蓋体の開き従動部又は閉じ従動部の接触面に、押し回しに伴って押し回し速度が増大するように傾斜面部を設けてなる構成を有することにより、開閉駆動部の初動時の押し回しによって、開閉蓋体を加速度的に効果的に回転操作することができる一方、開閉駆動部の回転角度を小さくすることができると共に、開閉駆動部の回転半径を小さくすることができ、蓋体の回転操作を迅速に軽快に行うことができる効果がある。
【0017】
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項1乃至6のいずれかに記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材の操作部に当接する台座に設けた押しボタンの接触面に、押し回しに伴って押し回し量が減少しないように傾斜面部を設けてなる構成を有することにより、押しボタン等により操作部を加速度的に効果的に回転操作することができると共に、押しボタン等の押し込み深さを小さくすることができる、蓋体の回転操作を迅速に軽快に行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図示する実施例により、本発明に係る蓋体開閉装置を説明する。
〔実施例〕
【0019】
図に記載のスタンプ台の蓋体開閉装置の実施例のおいて、蓋体1は、図1乃至図4に記載のように、台座2に対して閉じ位置と開き位置との間を開閉連結部4の軸心35を中心に往復開閉自在に設けてある。
実施例の場合、図5に記載のように、台座2はその上側にスタンプ台装着枠部10と開閉操作用の押しボタン装着枠20を具備し、スタンプ台装着枠部10には、スタンプ枠6及びスタンプ台枠3が順次一体に嵌着するように構成してあり、押しボタン装着枠20には、押しボタン40を中央に取付けてスタンプ台枠3と一体に設けた押え板36,37が装着されており、蓋体1は実質的にはスタンプ枠6及びスタンプ台枠3の開口部を開閉するように構成してある。スタンプ枠6及びスタンプ台枠3の開口部には図では省略したスタンプ台が嵌着されて使用される。
【0020】
蓋体1と台座2との開閉連結部4は、台座2の上向きの軸受枠21、22の軸受溝23、24とスタンプ台枠3の下向きの軸受枠31、32の軸受溝33、34との間に、蓋体1の連結枠11、12に設けたヒンジ軸13を挟持する形で回転自在に軸受けするように構成してある。
14は蓋体1の開閉連結部4の両側に設けたカバー枠部である。
【0021】
蓋体1には、開閉連結部4のヒンジ軸13の軸心35を中心に蓋体1と一体に旋回する開き従動部15及び閉じ従動部16が設けてあり、図1乃至図4に記載のように、開き従動部15は蓋体1の閉じた状態において開閉駆動部材5の開き駆動部51と相対し、閉じ従動部16は蓋体1のほぼ開いた状態において、開閉駆動部材5の閉じ駆動部52と相対して設けてある。
【0022】
また、台座2の底面付近には、図1乃至図4に記載のように、蓋体閉じ位置及び蓋開き位置において開き駆動部51及び閉じ駆動部52をほぼ水平な状態で下側から支持する側面板部25が突設してあり、開き駆動部51及び閉じ駆動部52が蓋体1の回転軸心35の下方を直角に通る駆動軸部53を中心に起立すると、開き従動部15及び閉じ従動部16は蓋体1の回転に伴って側面板部25の上方で回転可能である。
【0023】
前記従動部15、16と側面板部25との間には、図6又は図7に記載のように、開閉駆動部材5の開き駆動部51と閉じ駆動部52がヒンジ軸13の軸心35と直交する方向の駆動軸部53を中心に起立回転するように設けてあり、図3または図4の蓋体1が閉じて開き従動部15と開き駆動部51とが相対する開閉駆動開始位置から開き駆動部51が起立回転して、蓋体1が側面板部25にほぼ垂直な蓋体1の開閉中間位置の手前の開き駆動が終了する押し放し位置まで回転して、蓋体1が慣性により更に回転し、図1または図2の蓋体1が開いて閉じ従動部16に押されて閉じ駆動部52が側面板部25上に倒されて往復回転し、開閉駆動開始位置から閉じ駆動部52が起立回転すると、蓋体1が側面板部25にほぼ垂直な蓋体1の開閉中間位置の手前の開き駆動が終了する押し放し位置まで回転して、蓋体1を閉じて往復回転するように構成してある。
【0024】
開閉駆動部材5は、図5に記載のように、ねじり弾性を有する一本の線材からなり、駆動軸部53の先端部をU字状に折り曲げて開き駆動部51及び閉じ駆動部52を一体に成形してあり、図8に記載のように、駆動軸部53を台座2の底板部27に沿って設けた軸受溝26に回転自在に装着してあり、開き又は閉じ駆動部51,52を開閉駆動開始位置と駆動終了の押し放し位置との間で往復回転可能に軸受け支持されている。
この実施例の場合、開閉駆動部材5の開閉駆動部51,52は、駆動軸部53に連なる線材を開き駆動部51で二重に折り曲げ、駆動軸部53と一直線上にある連結軸部53を経て閉じ駆動部52で二重に折り曲げて簡素に成形してある。
また、駆動軸部53は、線材に限らず、駆動連動部材として操作部55の回転駆動を開閉駆動部51,52に伝達する従来公知の駆動連動機構を採用することができる。
なお、台座2の底部には、駆動軸部53等からなる駆動連動部材を台座底部に設けるスペースを確保するために、支持脚部56,57,58が設けてある。
【0025】
開閉駆動部材5の手前側には、図5、図9又は図10に記載のように、駆動軸部53から線材を屈曲してクランク腕部54を介してクランク式に屈曲した操作部55を前記駆動軸部53と平行に設けてあり、図において、前記開閉駆動部51,52に対して反時計方向に90度を越えて、好ましくは、100度から160度程度の角度に設けてあり、図9の90度以上に傾斜した操作部55を水平方向に向かって下方に押し回し反時計方向に回転操作したとき、水平状態の開閉駆動部51,52を反時計方向に30度乃至80度程度起立回転するように構成してある。
【0026】
操作部55の設置位置には、図8に記載のように、蓋体1の底部27から押しボタン装着枠部20内に向かってL字状の切欠孔部28が貫通して設けてあり、駆動軸部53から起立したクランク腕部54と操作部55が切欠孔部28を通って押しボタン装着枠部20内に起立可能に位置するように構成してある。
上記の実施例において、前記開閉駆動部材5の駆動軸部53を台座2の下側に設けたことにより、クランク腕部54の長さを大きく設定することができるから、操作部55の回転半径を大きくすることができ、テコの原理により操作部55による開閉駆動部51,52の回転を軽快且つ円滑に行うことができる。
【0027】
押しボタン装着枠部20内には、図5に記載のように、長手方向の一端部に駆動軸部53とほぼ平行に遠く離れて支点枠部41が設けてあり、該支点枠部41に押しボタン40の一端部に連結腕枠部43を介して設けた支点部42が上下揺動自在に支持されている。押しボタン40の下側は操作部55で支持されている。
押しボタン40の支点部42及び連結腕枠部43の上方は、スタンプ台枠3の手前側に突設した水平板状の押え板36が覆うと共に、押しボタン40の先端部側は同様に水平板状の押え板37が覆うように設けてあり、押しボタン40の上面の押しボタン部は押え板36,37の間に突出して位置するように設けてある。
【0028】
また、押しボタン40の手前側にはカバー板部44が一体に設けてあり、操作部55を覆うと共に、カバー板部44の上下する台座2には、操作用切り欠き部29が設けてあり、押しボタン40を復帰可能に押し下げることができるように構成してある。
従って、蓋体1の開又は閉位置において、開閉駆動部51,52が開閉従動部15,16に押し倒された状態で、開閉駆動開始位置に起立状態の操作部54が押しボタン40を上方に押した状態で、押しボタン40の上部が押え板36,37で上から押さえられて支持されて安定する状態にすることができる。
なお、押しボタン40は操作部55を介して開閉駆動部材5の駆動軸部53のねじりばね弾力を受けて弾性的に支持されるように構成することも可能である。
【0029】
押しボタン40の内側には、操作部55が駆動回転に伴って接触する部分に、押し回しに伴って押し回し量が減少しない若しくは増大するように筋状の傾斜面部45を設けてあり、これにより、押しボタン40により操作部55を加速度的に効果的に回転操作することができると共に、押しボタン55の押し込み深さを小さくすることができ、蓋体1の回転操作を迅速に軽快に行うことができる。
従って、クランク腕部54の長いことによる効果と傾斜面部45による効果の個々の効果はもちろんであるが、その相乗効果によって押しボタン40による蓋体1の開閉操作をより軽快に行うことができる。
【0030】
また、図9又は図10に記載のように、連結腕枠部43の裏側には、底板部27に当接して押しボタン40の押し込み限度を規制するストッパ46が設けてある。
そして、押しボタン40を押しさげて、操作部55がほぼ水平になった駆動終了状態で、開閉駆動部51,52が反時計方向において90度以下の、好ましくは30度から80度の反転可能な角度に起立回転し、蓋体1を旋回駆動して押し放し、蓋体1が慣性で90度を越えて旋回し、蓋体1の自重により開き又は閉じ従動部15,16によって開き又は閉じ駆動部51,52を側面板部25上に押し倒して、操作部55はほぼ時計方向に30度乃至80度程度起立回転して水平な開閉駆動開始位置に復帰するように構成してある。
【0031】
上記の実施例において、開閉駆動部材5をスタンプ台等の台座2の裏側又は底部27に取り付けてなる構成を有することにより、スタンプ台等を嵌着する台座2のスタンプ台装着部10,スタンプ枠6又はスタンプ台枠3から開閉操作部材5の軸受溝を無くすことができ、スタンプ台等のインク等が漏れ出るのを防止することができる効果があると共に、開閉操作部材5の開閉駆動部51,52と蓋体の開閉連結部4の駆動軸心35との距離が遠くなるため、蓋体1の開き従動部15又は閉じ従動部16の回転半径を長く設定することができ、又は、開き駆動部51又は閉じ駆動部52の回転半径を長く設定することができ、テコの原理で開閉駆動部51,52で軽く回転駆動操作することができると共に、開閉駆動部51,52の小さな回転駆動角度で従動部15,16を回転操作することができる効果がある。
【0032】
なお、この場合、蓋体1の開き従動部15又は閉じ従動部16の回転半径を長く設定する方が、相対的に開き駆動部51又は閉じ駆動部52の回転半径を小さくすることができるから、側面受板25の大きさを小さくすることができる効果があるのみならず、操作部55との回転半径の比率からテコの原理により操作部55を軽快に回転操作することができる効果がある。
【0033】
また、上記の実施例において、図1又は図2に記載のように、蓋体1が開いた状態で、開閉駆動開始位置の開閉駆動部材5の先端方向の閉じ駆動部52が閉じ従動部15に相対しており、図3又は図4に記載のように、蓋体1が閉じた状態では手前側の開き駆動部51が開き従動部16に相対し、それぞれ駆動部51,52が従動部15,16に当接して駆動軸心35を中心に回転して、蓋体1を開き、又は閉じることとなるが、本発明では、開閉従動部15,16の開閉駆動部51,52に接触する面に、初期接触面に接触抵抗の大きいほぼ平面的な接触抵抗面部15a,16aと引き続いて接触する二次接触面に接触抵抗を小さくした円滑接触面15b、16bが設けてあり、開閉駆動の初期段階では接触抵抗面部15a,16aが開閉駆動部に当接して強い回転力を受けて始動し、引き続いて円滑接触面15b,16bが当接して円滑に滑りながら加速されて急速な回転力を受け、蓋体1に開閉方向の慣性力を有効に付与することができるように構成してある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明装置の一実施例の一作動状態を示す概略縦断側面図。
【図2】その要部の拡大縦断側面図。
【図3】その他の作動状態を示す概略縦断側面図。
【図4】その要部の拡大縦断側面図。
【図5】その分解斜視図。
【図6】その要部の一作動状態を示す概略斜視図。
【図7】その要部の拡大斜視図。
【図8】その実施例の底面図。
【図9】その要部の斜視図。
【図10】その要部の拡大斜視図。
【符号の説明】
【0035】
1 蓋体
2 台座
3 スタンプ台枠
4 開閉連結部
5 開閉駆動部材
6 スタンプ枠
10 スタンプ台装着枠部
11,12 連結枠
13 ヒンジ軸(回転軸、旋回軸)
14 カバー枠部
15 開き従動部
16 閉じ従動部
20 押しボタン装着枠部
21,22 軸受枠
23 軸受溝
24 軸受溝
25 側面板部
26 軸受溝
27 底部
28 切欠孔部
29 操作切り欠き部
31,32 軸受枠
33 軸受溝
34 軸受溝
35 軸心(回転軸心、旋回軸心)
36 押え板
37 押え板
40 押しボタン
41 支点枠部
42 支点部
43 連結腕枠部
44 カバー板部
45 傾斜面部
46 ストッパ部
51 開き駆動部
52 閉じ駆動部
53 駆動軸部
54 クランク腕部
55 操作部
56、57、58 支持脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座に対して閉じ位置と開き位置との間を開閉連結部を中心に往復開閉自在に蓋体を連結し、蓋体を台座に設けた一個の開閉駆動部材の操作部の押し込み操作により往復開閉するようにした蓋体開閉装置において、蓋体に開閉連結部を中心に蓋体と一体に旋回する開き従動部と閉じ従動部を設ける一方、前記開閉駆動部材の開閉駆動部に、蓋体閉じ位置付近の開き始動位置から押し放し位置において開き従動部に当接する開き駆動部と、蓋体開き位置付近の閉じ始動位置から押し放し位置において閉じ従動部に当接する閉じ駆動部を一体に設けると共に、前記開閉駆動部材の操作部を、開き従動部又は閉じ従動部に伴って前記開き又は閉じ閉駆動部と連動して蓋体閉じ位置又は蓋体開き位置の開閉駆動始動位置に復帰作動するように設けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部の開き駆動部と閉じ駆動部とを開閉連結部の旋回軸心を間にその両側の蓋体閉じ位置と蓋体開き位置に位置して開閉駆動部材に設け、開閉駆動時において蓋体開き位置と蓋体閉じ位置の中間の押し放し位置で開き従動部及び閉じ従動部を開き駆動部と閉じ駆動部とに当接しない位置に開放して開閉駆動を終了すると共に、蓋体を開閉駆動の慣性力によって押し放し位置から蓋体開き位置又は蓋体閉じ位置に旋回し、同時に開き従動部又は閉じ従動部により開き駆動部又は閉じ駆動部を押し倒して操作部を伴って開閉駆動部材を開閉駆動開始位置に復帰回転駆動するように設けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材を台座の裏側に取り付けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材の開閉駆動部と操作部との間を台座の裏側に設けた駆動連動部材で連結してなるスタンプ台等の蓋体開閉装置。
【請求項5】
請求項4に記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材を一本の線材を折り曲げて構成してなるスタンプ台等の蓋体開閉装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材の開き駆動部又は閉じ駆動部が当接する蓋体の開き従動部又は閉じ従動部の接触面に、押し回しに伴って押し回し速度が増大するように傾斜面部を設けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の蓋体開閉装置において、開閉駆動部材の操作部に当接する台座に設けた押しボタンの接触面に、押し回しに伴って押し回し量が増大するように傾斜面部を設けてなるスタンプ台等の蓋体開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−12791(P2009−12791A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173744(P2007−173744)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】