説明

スチルビデオカメラ及びストロボ装置

【目的】 ストロボ光の色温度を周囲光の色温度に適合させるとともに、発光量を制御し、より自然な撮影画像を得る。
【構成】 IGBT52のONで、キセノン管41のトリガ電極に接続したトリガ回路54のトリガコンデンサC1の電荷が放電されるので、キセノン管41の発光が開始する。IGBT53のONで、キセノン管45のトリガ電極に接続したトリガ回路55のトリガコンデンサC2の電荷が放電されるので、キセノン管45の発光が開始する。キセノン管41、45の発光色温度は、フィルタ40、44によって別の色温度に変換してある。したがって、キセノン管41、45の発光量をストロボ調光回路及びタイマ回路によってそれぞれ制御することでストロボ装置全体の発光色温度を被写体の周囲光の色温度に適合させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ストロボ撮影時におけるホワイトバランス制御を行うストロボ装置及びスチルビデオカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】従来スチルビデオカメラでは、照明光の色温度にかかわらず、白い被写体が白く撮影されるように、ホワイトバランス調整が行われている。例えば、ストロボ装置を備えたスチルビデオカメラでは、ストロボ発光時のホワイトバランス調整は、ストロボ光の色温度で被写体全体が照射された場合に得られる撮影画像がより自然なものとなるように各色信号のゲイン調整が行われる。
【0003】ストロボ装置の発光管に用いられるキセノン管から放射される光の色温度は、蛍光灯等の一般電灯より相対的に高い。このため、ストロボ発光時のホワイトバランス調整は、ストロボ光によって白い被写体が青く偏って色再現されるのを防止するため、画像全体において青色が抑えられるように制御される。
【0004】しかし、色温度がストロボ光と異なる照明光が被写体中に存在する場合、このような制御によって撮影された画像に不自然な色が再現されることがある。例えば、図56(a)に示されるように、壁Wの前に立っている人間Mの上方でタングステンランプ等の白熱電球LTが点灯していた場合、この白熱電球LTの照明光の色温度はストロボ装置STによる照明光よりも低いため、図56(b)に示されるように、撮影された画像において、人間Mの像の色は適切に再現されるが、ストロボ光が照射されにくい壁Wの色が赤側に偏ってしまう。
【0005】このような不自然な色を再現することを防止する装置として、ストロボ装置の発光時におけるホワイトバランス調整を、ストロボ光の色温度、外部光の色温度又はストロボ光と外部光との中間の色温度の何れかを自動的に選択して、その色温度に従ってホワイトバランス調整を行う構成が従来知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従来の構成では、ストロボ光が照射される部分と照射されない部分とで、それぞれの条件に忠実なホワイトバランス調整が行われるわけではないので、撮影画面全体にわたってより自然な色再現を実現することは困難である。
【0007】本発明は、以上のような問題点に鑑み、ストロボ発光を伴うスチル撮影から得られる撮影画面の色再現性をより自然なものとするストロボ装置及びこのストロボ装置を備えたスチルビデオカメラを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1のストロボ装置は、被写体を照射する光または被写体が発する光の色温度を測定する測色手段と、この測色手段による測定色温度に基づき、ストロボ発光手段が発する光の色温度を測定色温度と実質的に同じ色温度に変換する色温度変換手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】本発明に係る第1のスチルビデオカメラは、第1のストロボ装置と、被写体からの到来光量を測定する測光手段と、測光手段による測定光量が所定量に達したときストロボ発光手段の発光を停止させる発光停止手段と、被写体像を画像信号に変換する撮像素子と、測色手段により測定された色温度に応じて撮像素子が出力する画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】本発明に係る第2のストロボ装置は、被写体の色温度を測定する測色手段と、複数の閃光発光管と、閃光発光管の投光面前それぞれに具備され、相互に異なる分光透過率を有する色温度変換フィルタと、各閃光発光管の発光量を調整して閃光全体の合成色温度を前記測色手段による測定色温度に適合させる制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】本発明に係る第2のスチルビデオカメラは、第2のストロボ装置と、被写体像を画像信号に変換する撮像素子と、測色手段により測定された色温度に応じて撮像素子が出力する画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
【実施例】以下図示実施例により、本発明を説明する。図1は本発明の第1実施例のストロボ装置25を装備するスチルビデオカメラのブロック回路図である。この図において、各回路を制御するシステムコントロール回路22には、撮像素子駆動回路26、ストロボ調光回路29、ストロボ充電/発光回路58、フィルタ制御回路63、測色回路24、露出演算回路32、絞り駆動回路27、D/A変換器86、88及びレリーズスイッチ33が接続される。
【0013】撮像素子駆動回路26には、電子シャッタ機能を備える固体撮像素子(CCD)11が接続されており、撮像光学系レンズ36及び、絞り20を介して入射した被写体35の像がこのCCD11によって電気信号に変換される。絞り駆動回路27には絞り20が接続されており、CCD11に入射する光量が調整される。また、CCD11には信号処理回路15、及びアンプ84、87が接続されており、変換された各色信号はこれらの回路15、84、87へ出力される。
【0014】信号処理回路15には記録回路19が接続されており、所定の信号処理が施されたビデオ信号が、この記録回路19に入力される。また、記録回路19には図示しない磁気ディスクが装備されており、ビデオ信号がこの磁気ディスクの各トラックに色差線順次で記録される。
【0015】ストロボ充電/発光回路58にはキセノン管41が接続されており、ストロボ発光制御及び、発光用の電荷充電制御が行われる。
【0016】キセノン管41の前には、フィルタ制御回路63と接続された色温度変換フィルタ67が設けられており、キセノン管41から射出された光の色温度がこのフィルタ67によって調整される。この色温度変換フィルタ67の構造は後述するが、透明電極78a、78b(図6)を備えるゲスト・ホスト(GH)液晶セルが用いられる。この色温度変換フィルタ67を透過する光F2の色温度は、フィルタ制御回路63から透明電極78a、78bに印加される電圧の振幅値によって調整される。
【0017】ストロボ調光回路29には測光センサ28が接続されており、ストロボ調光回路29は、キセノン管41から射出され被写体35で反射して到来するストロボ光の光量を測定し、目的光量に達したところでキセノン管41の発光を停止させる調光信号(クエンチ信号)S6をストロボ充電/発光回路58に出力する。
【0018】測色回路24には、透過光の分光分布が異なるフィルタをそれぞれ備える複数の光電変換素子等から構成される測色センサ23が接続されており、被写体35の周囲光の色温度が測定され、その測色結果がホワイトバランス制御因子として用いられる。
【0019】測色センサ23による周囲光の色温度測定について説明する。分光感度が異なる光電変換素子の出力信号の比(R/GまたはB/G)は受光する光の色温度に一対一に対応する。そこで、この出力信号比(R/GまたはB/G)を用いて、周囲光F4の色温度が求められる。測色回路24には、測色センサ23から入力される信号の値(R/GまたはB/G)と、その信号値における色温度情報との対応を示すデータテーブルが記憶されている。このデータテーブルを利用して、測色センサ23から入力される信号値から周囲光F4の色温度が求められる。
【0020】露出演算回路32には測光回路31が接続され、測光回路31には光電変換素子からなる測光センサ30が接続されている。測光センサ30、測光回路31により、被写体35の明るさが測定され、露出演算回路32では、その測光値から露出演算が行われる。
【0021】レリーズスイッチ33は開閉接点が二つあるボタンスイッチで、後述するように、測光、測色、絞り20の開放量及び電子シャッタの制御等を行う、撮影処理の開始をシステムコントロール回路22に指令する。
【0022】測色センサ23と測色回路24は測色手段を、色温度変換フィルタ67とフィルタ制御回路63は色温度可変手段を、アンプ84、87及びD/A変換器86、88は色信号制御手段を、測光センサ28及びストロボ調光回路29はストロボ調光手段を、測光センサ30、測光回路31及び露出演算回路32は測光手段をそれぞれ構成する。なお、ストロボ発光手段であるキセノン管41については、他の閃光管を用いてもよい。
【0023】ホワイトバランスについて簡単に説明する。白色中のR成分およびB成分の割合は、色温度によって変化し、またG成分も色温度によって変化する。しかしR成分、B成分、G成分は同じ色温度であっても明るさにより変化してしまう。一方、R/G信号とB/G信号は明るさの影響を受けず、色温度と一対一に対応した値が得られる(図2)。そこで、このR信号/G信号及びB信号/G信号の割合を求め、その割合、すなわち色温度に基づいて、色信号R,Bのゲインが調整される。
【0024】図3にストロボ調光回路29の回路図を示す。この図において、オペアンプ60の逆相入力端子60a及び出力端子60c間には、積分コンデンサ64及びスイッチ66が並列接続され、逆相入力端子60a及び正相入力端子60b間にはフォトダイオード等の光電変換素子である測光センサ28が接続される。正相入力端子60bには基準電圧電源68が接続されており、オペアンプ60は、被写体35からの反射光によって変化する測光センサ28の光電流を積分する。
【0025】オペアンプ60の積分は、システムコントロール回路22から入力される積分開始信号S5により、リセットスイッチ66の接点が開放されることで開始される。オペアンプ60の出力端子60cは、コンパレータ61の逆相入力端子に接続される。このコンパレータ61の正相入力端子にはD/A変換器62の出力端子が接続される。D/A変換器62には、システムコントロール回路22からキセノン管41の発光時間を制御するための調光レベル設定データである適正積分値S9が入力される。コンパレータ61の出力端子はシステムコントロール回路22と接続されており、適正積分値S9によって定まる電圧値と、オペアンプ60の出力電圧値とが比較され、クエンチ信号S6が出力される。
【0026】図4は、ストロボ充電/発光回路58及びキセノン管41を備えた第1実施例であるストロボ装置25全体の回路図である。この図において、充電回路50の二つの出力端子には、メインコンデンサC5、サイリスタ136、抵抗器R14と直列接続されたネオン管132、抵抗器R15と接続されたサイリスタ124及び、キセノン管41が並列接続される。充電回路50はシステムコントロール回路22と接続されており、充電開始信号S2が入力される。サイリスタ136のゲート端子及びカソード端子間には、このサイリスタ136が漏れ電流によって誤動作することを防止するため、抵抗器R16及びコンデンサC6が並列接続される。このゲート端子には、入力保護用の抵抗器R17を介して上述したクエンチ信号S6が入力されるようにコンパレータ61の出力端子と接続される。
【0027】抵抗器R14とネオン管132との接続中点は、システムコントロール回路22と接続されており、充電完了信号S23を出力する。サイリスタ124のゲート端子とカソード端子間には、漏れ電流によってこのサイリスタ124が誤動作しないように、コンデンサC8及び抵抗器R18が並列接続されている。サイリスタ124のゲート端子は抵抗器R19を介してシステムコントロール回路22と接続されており、発光トリガ信号S24が入力される。
【0028】サイリスタ124のアノード端子は、抵抗器R15及びコンデンサC7の一端と接続される。このコンデンサC7の他端はトリガトランスT3の低圧側コイルと接続されている。トリガトランスT3の高圧側コイルはキセノン管41のトリガ電極に接続される。キセノン管41の前面には、フィルタ制御回路63と接続された色温度変換フィルタ67が設けられており、キセノン管41から射出された光の色温度がこの色温度変換フィルタ67によって調整される。この色温度変換フィルタ67の構造は後述するが、透明電極78a、78b(図6)を備えるゲスト・ホスト(GH)液晶セルが用いられる。透明電極78a、78bはフィルタ制御回路63と接続され、極性が相反するか又は同相の矩形波信号216、218が入力される。この色温度変換フィルタ67を透過する光F2の色温度は、フィルタ制御回路63から透明電極78a、78bに印加される電圧の振幅値によって調整される。
【0029】図5は、フィルタ制御回路63の回路図である。発振回路150は、3つのインバータ150a〜150cと、2つの抵抗器150d、150eと、コンデンサ150fとから構成される。発振回路150の出力端子は、インバータバッファ168及びノンインバータバッファ170の入力端子と、抵抗器166を介してトランジスタ164のベース端子とに接続される。インバータバッファ168とノンインバータバッファ170の出力端子はスリーステート出力である。すなわち、バッファ168、170の出力イネーブル端子がローレベル電圧であると、出力端子がハイインピーダンス状態になる。バッファ170の出力イネーブル端子には、インバータ172の出力端子が接続されており、このインバータ172の入力端子及び、インバータバッファ168の出力イネーブル端子はシステムコントロール回路22と接続され、発振制御信号222がシステムコントロール回路22から入力される。
【0030】インバータバッファ168及びノンインバータバッファ170の出力端子は、抵抗器162を介してトランジスタ160のベース端子に接続される。トランジスタ160、164の各コレクタ端子は、抵抗器156、158を介してD/A変換器152の出力端子と接続される。また、トランジスタ160のコレクタ端子は色温度変換フィルタ67の透明電極78aと、トランジスタ164のコレクタ端子は透明電極78bと接続される。D/A変換器152には、基準電圧電源154と、システムコントロール回路22とが接続される。そして、色温度変換フィルタ67に印加する矩形波信号216、218の振幅を調整するためのディジタルデータ220がシステムコントロール回路22から入力される。
【0031】図6は、本実施例に用いる色温度変換フィルタ67(図1)としてのGH液晶セルを示す。この図において、液晶セル69は細長い液晶分子からなる液晶物質77を、透明電極78aを備えるガラス基板21aと、透明電極78bを備えるガラス基板21bとで挟みこんだ構造である。ガラス基板21aのキセノン管41に対する面には、偏光板93aが密着されている。キセノン管41から射出された光はこの偏光板93aによって、一つの直線偏光の光に制限される。
【0032】GH液晶セル69としては、例えばホモジニアス配向(細長い液晶分子が液晶分子を挟むガラス基板面に対して水平方向に配向している)させた、誘電異方性が正(細長い液晶分子の長軸方向の誘電率が、それに直交する方向の誘電率より大きい)の液晶中に、細長い形状の色素分子を溶解させ、しかも色素分子の光吸収特性が、長軸方向より短軸方向に振動する光を強く吸収するものを用いる。
【0033】本実施例の作用を説明する。充電開始信号S2が充電回路50に入力されると、ストロボ装置25又はスチルビデオカメラ本体内に具備された電池等の電源電圧を昇圧させた高電圧信号がこの充電回路50からメインコンデンサC5及びコンデンサC7に印加される。これによりコンデンサC5、C7に電荷が徐々に蓄えられる。電荷蓄積によりメインコンデンサC5の両端電位差が所定電位差になると、ネオン管132に電流が流れ、充電完了信号S23がシステムコントロール回路22に出力される。
【0034】レリーズスイッチ33が全押しされると、後述する撮影処理タイミングチャートに従って、システムコントロール回路22から発光トリガ信号S24が出力される。この発光トリガ信号S24はストロボ装置25に入力され、これによりサイリスタ124がONする。サイリスタ124のONによりコンデンサC7に蓄えられた電荷が放電され、トリガトランスT3の高圧側コイルに高電圧が誘起され、キセノン管41のトリガ電極に印加される。このトリガ電極への高電圧印加により、キセノン管41内のキセノンガスがイオン化し、キセノン管41の陽極、陰極間の抵抗が急激に低下する。これにより、メインコンデンサC5に蓄えられた電荷がこのキセノン管41内で放電され、閃光が生成される。閃光によってキセノン管41から射出された光F2は、色温度変換フィルタ67を経て被写体35に照射される。
【0035】一方、ストロボ装置25の発光開始前に、システムコントロール回路22によってストロボ調光回路29に適正積分値S9が設定されている。そして、発光トリガ信号S24がストロボ充電/発光回路58に入力されるのと同期して、積分開始信号S5がストロボ調光回路29に入力される。この積分開始信号S5によって、スイッチ66がOFFされ、被写体35からの反射光F4によって変化する測光センサ28の光電流が、コンデンサ64を有するオペアンプ60によって積分される。他方、システムコントロール回路22からD/A変換器62に入力された適正積分値S9により、コンパレータ61の正相入力端子に目的レベル電圧が印加される。この印加電圧値と、オペアンプ60の出力信号S7の電圧値との差が所定値になることで、コンパレータ61からクエンチ信号S6が出力される。このクエンチ信号S6により、ストロボ装置25のサイリスタ136がONされ、キセノン管41の発光に使用されていたメインコンデンサC5の電荷がサイリスタ136を通って放電される。これにより、キセノン管41の閃光が停止される。
【0036】フィルタ制御回路63の動作について説明する。システムコントロール回路22からフィルタ制御回路63に入力されるディジタルデータ220は、D/A変換器152によってアナログ信号に変換され、トランジスタ160、164のコレクタ端子に印加される。これにより矩形波信号216、218の振幅値が調整される。また、発振回路150から出力された矩形波信号は、インバータバッファ168、ノンインバータバッファ170及びトランジスタ164のベース端子に印加される。この時、システムコントロール回路22から入力される制御信号222がローレベル信号であると、ノンインバータバッファ170の出力がアクティブにされ、トランジスタ160、164の各ベース端子に印加される信号が同相となる。このため、透明電極78a、78bにそれぞれ印加される矩形波信号216、218は同相となり、液晶物質77の透過光軸方向には電位差が生じない。
【0037】これに対し、制御信号222がハイレベル信号であると、インバータバッファ168の出力がアクティブとなり、トランジスタ164のベース端子に印加される信号と、トランジスタ160のベース端子に印加される信号の位相が反転する。これにより、透明電極78a、78bに印加される矩形波信号216、218の位相が相反し、液晶物質77の透過光軸方向に電位差が生じる。
【0038】液晶物質77両側に電位差がないと、図6(ア)に示すように、入射光の偏光方向と、液晶分子の配列方向、すなわち色素分子の長軸方向とが一致する。したがって、色素分子の光吸収が強い方向と入射光の偏光面とが直交するので、透過光の光吸収は生ぜず、キセノン管41の光がそのまま被写体35に向かって射出される。
【0039】これに対し、液晶物質77の両側に所定値以上の電位差が加えられると、図6(イ)に示すように、液晶分子がホモジニアス配列状態からホメオトロピック配列状態になり、色素分子の配列方向が電界方向に変化する。これにより、入射光の偏光方向と色素分子の長軸方向とが直交するので、色素分子による光吸収が生じてキセノン管41からの透過光が着色され、光F2の分光分布に変化が生じ、色温度が変化する。
【0040】液晶物質77の両側に印加する電圧の大きさによって、液晶分子のホモジニアス配列状態からホメオトロピック配列状態への変化度合いを調整することもできるので、色素分子による光吸収強度を変化させることができる。このため、印加電圧によってキセノン管41から発光される光の色温度を調整することができる。例えば、液晶中に溶解させる色素分子が短い波長の可視光線を吸収できるならば、印加電圧を大きくすることによって、ストロボ発光の色温度を除々に低くさせることができる。
【0041】次に、スチルビデオカメラにおけるストロボ撮影全体の処理について説明する。図7は、ストロボ光を発光させた時の本実施例におけるスチルビデオカメラの撮影処理のタイミングチャートである。
【0042】レリーズスイッチ33が半押しされると(ステップD20)、システムコントロール回路22の制御に基づいて、測光センサ30及び測光回路31により被写体35の輝度が測定される。そして、その測光値から露出値が露出演算回路32で演算され、システムコントロール回路22に入力される。システムコントロール回路22では、この被写体35の輝度値又は露出値に基づき、絞り20の開放量及びCCD11にある電子シャッタの開放時間が決定される(ステップD21)。
【0043】次に、レリーズスイッチ33が半押し状態から連続的に全押しされると(ステップD22)、システムコントロール回路22の制御に基づき、測色センサ23及び測色回路24により、被写体35の周囲光の色温度が測定され(ステップD23)、測定色温度データがシステムコントロール回路22に入力される。システムコントロール回路22では、この測定色温度データに基づいて、上述した液晶物質77に印加する電位差を決定すべく、ディジタルデータ220をフィルタ制御回路63に出力する(ステップD24)。
【0044】測色回路24から入力される被写体35からの光F4の色温度測定値に基づいて、CCD11から入力されるR信号及びB信号のゲイン調整を行うべく、D/A変換器86、88に出力するディジタルデータを設定する(ステップD25)。測定色温度データに基づいて、ストロボ発光時間を調整する適正積分値S9を求め、ストロボ調光回路29のD/A変換器62に入力する(ステップD26)。
【0045】これに対し、測光センサ30による測光結果又は測定色温度データから、被写体35の周囲光が所定の明るさより暗いと判断した場合は、制御信号222をローレベルにして、キセノン管41の原光をそのまま被写体35に向けて照射する。さらに、そのストロボ光の原色温度に適応させたホワイトバランス(アンプ84、87のゲイン調整)及びストロボ調光レベル(適正積分値S9の設定)の設定を行う。一方、レリーズスイッチが全押しされる前に、充電完了信号S23がストロボ充電/発光回路58から入力されているか否かの判断結果に応じて、充電開始信号S2をストロボ装置25に出力して、発光に必要な電荷をメインコンデンサC5に蓄えておく。
【0046】このようしてフィルタ制御回路63、ストロボ調光回路29及びアンプ84、87の調整が行われると、システムコントロール回路22は、絞り駆動回路27を介して絞り20の開度を制御すると共に(ステップD27)、撮像素子駆動回路26を介してCCD11の電子シャッタを開ける(ステップD28)。この電子シャッタを開けると共に、発光トリガ信号S24をストロボ装置25に出力してキセノン管41の発光を開始させる(ステップD29)。
【0047】発光トリガ信号S24の出力に同期させて、システムコントロール回路22はストロボ調光回路29に積分開始信号S5を出力して(ステップD30)、ストロボ調光回路29による調光制御を開始させる。すなわち、ストロボ光による被写体35からの反射光F4を時間積分する。この反射光F4が目的光量に達すると(ステップD31)、ストロボ調光回路29からクエンチ信号S6がストロボ装置25に入力されることにより、ストロボの発光が停止される(ステップD32)。
【0048】このようして、ストロボ発光が停止されると、スイッチ66が閉じられ(ステップD33)、オペアンプ60の積分動作が停止される。さらにCCD11の電子シャッタが閉じられ(ステップD34)、絞り20も閉じられる(ステップD35)。そして、この電子シャッタが開いている間にCCD11に蓄えられた電荷が読み出され、信号処理回路15へ出力される(ステップD36)。
【0049】このようにして、周囲光が所定以上の明るさである場合には、測色センサ23によって測定した被写体35の周囲光の色温度にキセノン管41から射出される光の色温度を合わせると共に、CCD11から読み出すR信号及びB信号のゲインを調整してホワイトバランスを調整する。また、周囲光が所定の明るさより暗い場合は、キセノン管41から発光される光の色温度を調整せず、その発光色温度に基づいてホワイトバランス及びストロボの調光レベルを調整する。これにより、色々な撮影環境下において常に最適なホワイトバランス調整を取ることができる。
【0050】図8(ア)(イ)は、第1実施例のストロボ装置25に設けられる、発光色温度を変換するための色温度変換フィルタ67の第2構成例の横断面図を示す。図9(ア)には、図8(ア)(イ)に示すストロボ装置の投光面正面図を示す。これらの図において、キセノン管41の後方周囲には、このキセノン管41から放射された光をストロボ装置の前方に効率良く反射させるリフレクタ89が設けられている。このリフレクタ89の前には、化学的処理によって形成された拡散板90が設けられる。拡散板90の中央部分91の片面には、キセノン管41からの放射光の色温度を低下させる、アンバー色のフィルターコート92が蒸着等の処理によって付着されている。この拡散板90の外側には、液晶セル69が取りつけられる。
【0051】液晶セル69は、透明電極78a、78bを有する透明ガラス基板21a、21bと、これらの透明電極78a、78bの間に設けられ、ホモジニアス配向処理を施した液晶物質77とを有している。液晶分子の長軸方向の配向は、基板21a、21b間で捩じれており、TN(ツイステッドネマティク)形の液晶セルを構成する。液晶セル69の両面には偏光面が直交する偏光板93aと検光板93bが密着して取りつけられている。なお、透明電極78a、78bは、図8(イ)に示すように、フィルターコート92が在る中央部分91の液晶物質77に電圧が印加されるように部分的にのみ形成される。
【0052】図8(ア)の色温度変換フィルタ67では、キセノン管41から放射されて拡散板90を透過した光は、偏光板93aによって、液晶セル69のガラス基板21a面の液晶分子配列方位に偏光方向が一致した直線偏光の光だけが、液晶物質77に入射される。この液晶物質77に入射した光は、液晶分子のねじれに沿ってほぼ90°偏光し、検光板93bをそのまま透過することができる。
【0053】図8(イ)の様に、液晶セル69の中央部分91の透明電極78a、78b間にのみ電位差を加えると、その中央部分91の液晶分子の分子配向が電界方向に並び、ホモジニアス配列がホメオトロピック配列に変化する。このため、キセノン管41から放射され、フィルターコート92を透過した中央部分91の光の大部分は、その偏光面を回転させられないので、検光板93bを透過することができない。
【0054】従って、中央部分91の透明電極78a、78bに電位差が加えられないと、図8(ア)の様に、キセノン管41から射出された光は、フィルターコート92を通過した中央部分91の光と、フィルターコート92を通過しない周辺部分94a、94bの光とが液晶セル69を透過して射出される。フィルターコート92を透過した光は、その色温度を低下させられ、黄色い光になる。フィルターコート92を透過しない周辺部分94a、94bの光は、原色温度のストロボ光がそのまま照射される。この結果、ストロボ装置から射出される光は、色温度を低下させられた透過光と、色温度を低下させられない透過光との和によって、全体の色温度が低下する。
【0055】逆に、図8の(イ)に示す様に、液晶セル69の透明電極78a、78bの中央部分91に電位差が加えられると、上述したように液晶分子による光の90°旋光が消失するので、偏光板93aで直線偏光させられた透過光の大部分は、検光板93bを透過することができない。このため、フィルターコート92によって色温度を低下された光の大部分は、外部に射出されない。色温度が低下された光が放射されないと、キセノン管41の放射光全体は図8(ア)に比較して色温度が高く、黄色味が抑えられた色となる。
【0056】図8(ウ)には、第1実施例のストロボ装置25に設けられる色温度変換フィルタ67の第3構成例の横断面図を示す。図9(イ)にはこの第3構成例の正面図を示す。これらの図において、透明電極78aと透明電極78bとは、フィルターコート92が在る中央部分91には設けられておらず、液晶物質77の周辺部分94a、94bにのみ設けられている。その他のキセノン管41、リフレクタ89、拡散板90、フィルターコート92、偏光板93a及び検光板93bは図8(ア)、(イ)と同一の構成である。
【0057】このフィルタ67の第3構成例において、透明電極78a、78bの周辺部分94a、94bに電位差が加えられると、上述の様にその部分の液晶物質77の分子配向が電界方向に並び、液晶物質による透過光の90°旋光が消失し、検光板93bを透過することができない。このため、周辺部分94a、94bの色温度が変化されていない光の大部分が液晶セル69を透過することができず、キセノン管41の放射光全体は、図8(ア)に比べさらに色温度が低下させられることになる。
【0058】図10(ア)には第1実施例における色温度変換フィルタ67の第4構成例を示す。この図において、拡散板90の片面には、アンバー色のフィルターコート96a、96b、96cが部分的に付着されている。そして、透明電極78a、78bは、フィルターコート96a、96b、96cに対向する液晶物質77の部分95a、95b、95cにのみ電圧を印加できるように構成される。なお、キセノン管41及びリフレクタ89の構成は図8(ア)に示す色温度変換フィルタ67と同一である。
【0059】このフィルタ67の第4構成例において、液晶セル69の電圧を印加する場所をフィルターコート96a、96b、96cが存する部分95a、95b、95cとする。これにより、フィルターコート96a、96b、96cによって色温度の低下させられた光の大部分が遮光され、キセノン管41から射出される光の色温度全体は、電圧が印加されていないときに比べ、相対的に高くなる。また、この第4構成例のフィルタ67は、フィルターコート部分を拡散板90の面上で分散させたことにより、図8の第2構成例に比べ、近接撮影で被写体に生ずる投光むらを小さくすることができる。
【0060】図10(イ)には第1実施例のストロボ装置25に装着する色温度変換フィルタ67の第5構成例を示す。この図において、分割したフィルターコート98a、98b、98cを、拡散板90の片面の中央部分99に集中的に付着させる。また、偏光板97a及び検光板97bを液晶セル69の中央部分99にのみ取りつけ、偏光板97a、検光板97b及びフィルターコートによって、キセノン管41からの射出光を減光させない周辺部分42a、42bを設ける。また、透明電極78a、78bは、フィルターコート98a、98b、98cに対峙する、液晶セル69の部分99a、99b、99cに電圧を印加できるように構成される。キセノン管41及びリフレクタ89の構成は図8(ア)のフィルタ67と同一である。
【0061】このフィルタ67の第5構成例においては、第4構成例と同様に、フィルターコート98a、98b、98c部分に在る液晶物質77にのみ電圧を印加して、遮光部分99a、99b、99cを形成し、フィルターコート98a、98b、98cを透過した光の大部分を遮光する。これにより、透明電極78a、78bに電圧を印加していない時に比較して、ストロボ装置から射出される光全体の色温度を相対的に高くすることができる。また、偏光板97a及び検光板97bの面積を第2〜第4構成例に比較して小さくしたことにより、偏光板97a、検光板97bによるキセノン管41から射出される光の減光をより少なくすることができるので、ストロボ装置25自体のガイドナンバの低下を相対的に小さくすることができる。
【0062】なお、上述の第2〜第5構成例のフィルタ67における透明電極78a、78bは、それぞれ、液晶物質77の電圧を印加すべき部分にのみ設けてあるが、これを次の様にしてもよい。例えば、透明電極78aは、Y軸方向に配列された複数の帯状の表示電極で構成し、他方の透明電極78bは、X軸方向に配列された複数の帯状の走査電極で構成する。これら両面の透明電極78a、78bによってマトリックスを形成し、透明電極78a、78bの表示電極及び走査電極を選択して電圧を印加する。これによって、液晶セル69の色々な部分を選択して電圧を印加することができ、その電圧を印加した部分の光透過を制御させる。これにより、ストロボ発光の色温度調整と共に、投光量全体をも調整することができる。
【0063】図11(ア)、(イ)は、第1実施例のストロボ装置25に設けられるフィルタ67の第6構成例を示す。この図において、第2〜第5構成例のフィルタ67と同じように、キセノン管41及びリフレクタ89が設けられており、そのリフレクタ89の両側に、図示しないモータ等から構成される駆動装置及び回転軸102a、102bによって、回転させられる回転体100、101が設けられている。この回転体100、101には、図11(エ)に示す様な、濃度が徐々に異なる複数のフィルタ部分104a、104b、104c、104dから構成される一枚のフィルタ膜103が巻き付けられている。回転体100、101の左右方向へのフィルタ膜の巻取り動作によって、フィルタ部分104a、104b、104c、104dのいずれかがキセノン管41の前面を覆う。各フィルタ部分104a〜104dはアンバー色系のフィルタであり、フィルタ部分104aから徐々にフィルタ部分104dへと、その濃度が薄くなっている。これにより、フィルタ部分104aがキセノン管41の前面を覆う場合に比べ、フィルタ部分104dがキセノン管41の前面を覆った方がよりストロボ光の色温度を高くすることができる。
【0064】図11(ウ)は、第1実施例のストロボ装置25に用いられる色温度変換フィルタ67の第7構成例を示す。この図において、図11(エ)に示すフィルタ膜103は、無端状の一枚膜に形成されており、回転体100、101に巻回されている。回転体100、101の回転によって、キセノン管41の前後を取り巻くように各フィルタ部分104a〜104dが移動される。このフィルタ67の第7構成例に用いるフィルタ膜103は、第6構成例と同様、フィルタの濃度が徐々に薄くなっている。
【0065】第6、7構成例のフィルタ67において、回転体100、101を回転させ、キセノン管41の前面を覆うフィルタ膜103のフィルタ部分104a、104b、104c、104dを選択することで、ストロボ装置の色温度を変化させる。即ち、フィルタ色の濃度を濃くするほど、キセノン管41の発光色温度を低下させることができる。また、このフィルタ膜103の濃度変化を連続的なものにしてもよく、その場合、色温度の可変量を連続的にすることができる。
【0066】図12は、第1実施例のストロボ装置25に設けられるフィルタ67の第8構成例を示す。この図において、ストロボ装置の筐体105内には、図示しないモータ等の駆動装置によって回転させられる歯車106が設けてあり、この歯車106と歯合するギヤ歯を背面に有するスライダ107が筐体105内を平行移動するように設けられている。スライダ107の上部にフィルタ108が立設されており、歯車106の回転によってフィルタ108が左右にスライドし、リフレクタ89前の開口部105aを覆う。すなわち、この第8構成例においては、フィルタ108が開口部105aを覆うか否かによって、キセノン管41の発光色温度が調整される。
【0067】なお、第6、第7及び第8構成例において、フィルタ膜103又はフィルタ108の前又は後に拡散板90を設けるようにしてもよい。これによりストロボ光をより広範囲に照射させることが可能になる。
【0068】また、図8及び図10に示す各フィルタ67における、フィルターコート92、96a、96b、96c、98a、98b、98cのフィルタ色は、アンバー色に限定するものではなく、さらに波長の長い光のみを透過させる赤色系のフィルタであってもよい。またストロボ光の色温度を上げるべくブルー系のフィルタを用いるてもよい。拡散板90に付着させるフィルターコートが複数ある図10の第4、第5構成例のフィルタ67においては、それぞれ別の透過光分布を持つフィルターコートをそれぞれ組み合わせてもよいし、図8(ア)の第2構成例のフィルタ67において、一枚のフィルターコートの透過光の分光分布に斑を持たせてもよい。例えば、フィルターコート92の厚みを不均一または多段に積層して、フィルタ色を斑点若しくはまだら等にする。さらに、透明電極78a、78bへの電圧を印加する中央部分91を更に細分化して、遮光する中央部分91を細分化すれば、ストロボ光の発光色温度の調整範囲をさらに大きくすることができる。
【0069】また、図10の第4、第5構成例のフィルタ67において、電圧を印加して遮光する部分を、フィルターコート96a〜96c、98a〜98cに対応する部分95a〜95c、99a〜99cとしたが、これを図8(ウ)の様に、フィルターコートの無い部分、例えば、周辺部42a、42bに電圧を印加してキセノン管41からの光を遮光するようにしてもよい。偏光板93aと検光板93bについても、その偏光面を図8及び図10の各フィルタ67においては、直交させたがこれを平行となるように配置してもよく、この場合、印加電圧による光の透過が上述実施例とは逆になる。即ち、電圧を印加することで、TN形液晶セルの液晶分子がホメオトロピック配列となるので、透過光の偏光面のねじれが消失し、偏光板93aを透過した直線偏光の光がそのまま検光板93bを透過することができる。従って、印加電圧のON・OFFによるストロボ光の色温度制御は上述とは逆になる。
【0070】液晶物質77についても、図8及び図10の各フィルタにおいては、誘電異方性が正の液晶物質を用い、ホモジニアス配向処理を行ったガラス基板21a、21bによってツイストネマティク配列セルを構成したが、電圧印加のON・OFFによって、透明、不透明状態を切り換えることができる液晶物質であれば、如何なるものでもよく、しかも透明と不透明とのコントラストが大きなものである必要はない。従って、印加電圧を加えない状態で不透明となる液晶セル、例えば正の誘電異方性を持ち、螺旋ピッチが比較的長いコレステリック液晶又はカイラルネマティック液晶を用いた相転移効果を持つ液晶セル等であってもよい。
【0071】さらに図4に示す第1構成例のフィルタ67において、キセノン管41の放射光の色温度を変化させるために、GH液晶セルを用いたが、この代わりに、電界制御複屈折(ECB)効果を持つ、ホメオトロピック(細長い液晶分子が液晶分子を挟むガラス基板面に対して垂直方向に配向している)配向させた、誘電異方性が負(細長い液晶分子の長軸方向の誘電率が、それに直交する方向の誘電率より小さい)のネマティック液晶セルを直交偏光板の間に置いたもので、印加する電圧の大きさによって、透過光の着色を変化させるようにしてもよい。
【0072】つまり、ECB効果を持つ液晶セルでは、電圧が印加されていないと、液晶分子の長軸方向と入射光の光軸とが一致するので、液晶セルは複屈折を示さず、直交させた偏光板によって、光は透過することができない。しかし、電圧を印加すると、フレデリック遷移により液晶分子が電界と直角の方向に傾き、液晶セルに複屈折が生じ、入射光の一部が検光板を透過することができる。この複屈折は電界の大きさによって制御できるので、加える電圧の大小で生じる干渉効果により、透過する光の色相を変化させることができ、これによってキセノン管41からの透過光の色温度を調整することができる。
【0073】さらに、GH液晶セル自体についても、コレステリック・ネマティック相転移効果を応用した、偏光板を備えないホワイト・テーラ形等のGH液晶セルを用いてもよい。このホワイト・テーラ形GH液晶セルでは、電圧が印加されていない場合では、液晶分子はコレステリック液晶状態をとるので、らせん状に並んで色々な方向を向いている色素分子によって、吸収効果が強く働き、キセノン管41からの透過光を着色することができる。他方、電圧が印加されると、液晶分子がホメオトロピック配列のネマティック状態になるので、色素分子も電界方向に並び、吸収効果が消失してキセノン管41の光がそのまま透過する。さらに、GH液晶セルに用いる液晶分子の誘電異方性についても、正のもののみならず、負のものであってもよい。誘電異方性が負の液晶分子をホメオトロピック配向処理を施した基板間に挟み、その液晶中に、分子の光吸収効果が長軸方向で強い色素分子を溶解させた場合、電圧を印加すると透過光に吸収効果が強く働いて、キセノン管41からの発光透過光が着色される。
【0074】さらに図13(ア)の様に、光吸収分光特性が異なる色素分子を、それぞれ溶解させたGH液晶セル180〜182を複数枚重ね、さらに一枚の偏光板93aを取りつけた複合液晶セルであってもよく、この場合、電圧を印加するGH液晶セルを選択することによって、液晶セル全体を透過する光の着色を自由に選択することができ、ストロボ発光の色温度の調整範囲をより大きくすることができる。図13(イ)には、TN液晶セル183と、複屈折板184と、透過光の直線偏光方向が直交若しくは平行となるように配置された二つの偏光板93a、検光板93bとから構成される色温度変換フィルタを示す。この例においては、複屈折板184の厚みと、板の複屈折との積できまるレターデーションによって、固有な色彩の透過光が得られるが、TN液晶セルに加える電圧のON・OFFによって、補色関係にある二つの透過光が得られる。
【0075】このように、色素分子を溶解させたGH液晶セル又は、フィルターコートを備えるTN液晶セルを用いることによって、ストロボ発光の色温度を調整することができる。従って、ストロボ発光の色温度を調整するために用いるフィルタとしての液晶セルを上述したものに特に限定するものでなく、電圧の印加で透過光量を調整できるものならば、その液晶セルの前方又は後方に、所定の色を有するフィルタを設ければよい。また、透過光の色を直接変化させられるGH液晶セルであれば、その液晶中に溶解させる色素分子を選択することによって、ストロボ発光の色温度を調整することができる。
【0076】測色センサ23及び測光センサ30の構成についても、例えば各センサを複数の受光素子から構成し、CCD11で撮影される画像全体を分割して、測色及び測光するようにしてもよいし、さらに各センサ23、30の前にプリズム若しくは反射ミラー等の導光手段を備え、撮像光学系レンズ36を介してCCD11に入光する光を測光及び測色できるようにしてもよい。
【0077】上記各実施例によれば、ストロボ光を用いて行うスチルビデオカメラ撮影において、ストロボ光の色温度と、被写体35の周囲光の色温度とが大きく異なる場合でも、ストロボ光の色温度をその周囲光の色温度に同調させるように、ストロボ発光管の前に色温度変換フィルタを備えたので、より最適なホワイトバランスを施した撮影画像を得ることができる。さらに、測光センサによる測光結果から、撮影環境が暗く、測色センサによって被写体の色温度を充分に測定できない場合でも、このホワイトバランス制御を、予め記憶した、色温度を調整しない場合のストロボ光の色温度データに基づいて行うので、誤った測色結果からホワイトバランスのずれが生じることを未然に防止できる。
【0078】図14は第2実施例のストロボ装置25を備えるスチルビデオカメラのブロック回路図である。この図において、被写体35から到来する光線F4は、撮像光学系レンズ36及び絞り20を通って(固体撮像素子)CCD11に導かれ、このCCD11上に被写体像が結像される。CCD11には撮像素子駆動回路26が接続されており、この撮像素子駆動回路26からの駆動信号によって、画像信号(ここではR、G、B信号)がCCD11から相関二重サンプリング(CDS)回路12に入力される。なお、CCD11の電荷蓄積時間即ち電子シャッタ時間はシステムコントロール回路22によって制御される。
【0079】CDS回路12において、画像信号からリセット雑音が除去される。そして、CDS回路12から色分離回路13にリセット雑音が除去された画像信号が入力される。色分離回路13では、画像信号から輝度信号Yと2つの色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 とが分離生成される。
【0080】この色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 はホワイトバランス調整回路14に入力され、色差信号のゲインが調整されるホワイトバランス調整が行われる。そしてホワイトバランス調整が行われた各色差信号(R−Y)1 、(B−Y)1 は、色分離回路13から出力される輝度信号Yとともに、信号処理回路15において所定の処理を施された後、インターフェイス回路16を介してディスプレイ装置17に出力され画面上に表示される。またこれらの信号は、信号処理回路15からFM変調回路18にも供給されてFM変調され、記録回路19に入力される。記録回路19はフレキシブルディスクMの信号記録面上のトラックをトレースする図示しない磁気ヘッドに接続されており、シャッターレリーズスイッチ33がオンされた時、システムコントロール回路22の制御によって動作し、これにより輝度信号と色差信号がフレキシブルディスクMに色差線順次記録される。
【0081】外光の色温度を検出するため、測色センサ23と測色制御回路24とが設けられている。測色センサ23は、透過光の分光分布が異なるフィルタをそれぞれ備える複数の光電変換素子等から構成される。この測色センサ23により、外光のR、G、B成分それぞれの強度が検出され、測色制御回路24では、R/G信号とB/G信号が求められる。これらのR/G信号とB/G信号は、ホワイトバランス調整回路14とシステムコントロール回路22にそれぞれ入力される。白色中のR成分およびB成分の割合は、色温度によって変化し、またG成分も色温度によって変化する。しかしR成分、B成分、G成分は同じ色温度であっても、明るさにより変化してしまう。一方、R/G信号とB/G信号は明るさの影響を受けず、色温度と一対一に対応した値が得られる(図2)。したがってR/G信号とB/G信号を求めることにより、色温度が検出される。ホワイトバランス調整回路14では、色温度に基づいて、色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 のそれぞれに対する増幅度が調整され、ホワイトバランス調整が施される。
【0082】ストロボ調光回路29には測光センサ28が接続されており、ストロボ装置25から射出され、被写体35で反射して到来するストロボ光の光量を測光センサ28を用いて測光し、システムコントロール回路22へ調光信号(クエンチ信号)が出力される。露出演算回路32には測光回路31が接続され、測光回路31には光電変換素子からなる測光センサ30が接続されている。測光センサ30及び測光回路31により、被写体35の明るさが測定され、露出演算回路32で、その測光値から露出演算が行われる。レリーズスイッチ33は、後述するように、測光、測色、絞り20の開放量及びCCD11の電子シャッタ制御等を行う、撮影処理の開始をシステムコントロール回路22に指令する。
【0083】システムコントロール回路22は、測色制御回路24から入力されるR/G信号およびB/G信号に基づいて、ストロボ装置25を制御する。ストロボ装置25は、後述する様に2つの閃光発光管を備えた場合と、1つの閃光発光管を備えた場合の2種類があるが、何れの場合においてもストロボ装置25の発光色温度を被写体35の周囲に存在する光の色温度にマッチさせるようにシステムコントロール回路22によって制御される。またシステムコントロール回路22にはタイマ回路34が接続されており、後述するストロボ装置25の各キセノン管の発光時間のバランス制御因子として用いられる。タイマー回路34には、計時用データが入力され、タイマー回路34からシステムコントロール回路22に計時結果によるタイムオーバ信号S14が入力される。
【0084】図14におけるストロボ調光回路29は図3に示すものと同一である。システムコントロール回路22に接続されるストロボ装置25の第2実施例を図15に示す。この図に示す第2実施例のストロボ装置25は、ストロボ光の色温度を変えるフィルタ40、44をそれぞれ具備したキセノン管41、45が設けられている。キセノン管41、45の各カソード端子は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下IGBT)52、53を介してグランド共通信号線S10に接続される。キセノン管41、45の各トリガ電極に、それぞれトリガ回路54、55が接続されている。各トリガ回路54、55は、それぞれ抵抗器R5、R6と、トリガ用コンデンサC1、C2と、トリガトランスT1、T2とから構成されている。トリガ用コンデンサC1、C2は抵抗器R5、R6の一端と、IGBT52、53の各コレクタ端子及びキセノン管41、45のカソード端子とに接続されており、IGBT52、53のONにより、トリガ用コンデンサC1、C2の電荷が放電されることで、トリガトランスT1、T2の高圧側コイルにトリガ信号が生成される。
【0085】キセノン管41、45の各アノード、カソード端子間には、各キセノン管専用のメインコンデンサC3、C4がIGBT52、53を介して並列に接続されている。IGBT52、53のONにより、トリガトランスT1、T2でトリガ信号が生成されて、それぞれキセノン管41、45に印加される。これによって、メインコンデンサC3、C4に蓄積された電荷を用いてストロボ光が生成される。
【0086】キセノン管41のアノード端子は、信号線S18によってフォトMOSリレー85bのスイッチ部84bの一端に接続され、キセノン管45のアノード端子は、信号線S12によってフォトMOSリレー85aのスイッチ部84aの一端に接続される。各スイッチ部84a、84bの他端は信号線S19によってダイオードD1のカソード端子と抵抗器R8の一端とに接続される。ダイオードD1のアノード端子は充電回路50に接続されており、システムコントロール回路22から充電回路50に入力される充電開始信号S2によって、この充電回路50からパルス状の高電圧の充電信号が各スイッチ部84a、84bに入力される。ONしているフォトMOSリレー85a、85bを介して各メインコンデンサC3、C4に印加され、発光用電荷が蓄積される。
【0087】なお、ダイオードD1の作用により、スイッチ部84a、84b何れかが導通状態にあるとき、メインコンデンサC3、C4から充電回路50に電荷が逆流することが防止される。スイッチ部84a、84bは光電素子、ブリーダ抵抗及びパワーMOSFET等で構成されている。フォトMOSリレー85a、85bの各発光ダイオード82a、82bのカソード端子は共にグランド共通信号線S10に接続されており、各発光ダイオード82a、82bの各アノード端子はそれぞれ抵抗器R10、R11を介してシステムコントロール回路22に接続されており、信号S20、S21によってフォトMOSリレー85a、85bがONされる。
【0088】また、信号線S19と信号線S10との間に、抵抗器R8、R9が直列接続されており、抵抗器R8と抵抗器R9との接続点P1がA/D変換器56と接続されている。A/D変換器56はシステムコントロール回路22に接続されおり、接続点P1の電圧がA/D変換されてシステムコントロール回路22に入力される。これにより、間接的にコンデンサC3、C4の充電電圧が測定できる。
【0089】図16〜図22は、閃光発光管(キセノン管)41、45部分の構成例を示す。図16に示される第1の構成例では、断面放物線状の反射鏡37の内側に、水平方向に延びる第1および第2のキセノン管41、45が設けられており、第1のキセノン管41は第2のキセノン管45の上方に配設されている。そして平板状のフィルタ40、44がそれぞれキセノン管41、45の前方に配設されている。
【0090】図17に示される第2の構成例では、フィルタ40、44は筒状を有しており、キセノン管41、45の外周にそれぞれ嵌合されている。その他の構成は図16と同様である。
【0091】図18に示される第3の構成例では、キセノン管41、45は、反射鏡37の放物線の焦点位置に配設され、しかも同一直線上に設けられている。また、平板状を有するフィルタ40、44がそれぞれ、キセノン管41、45の前方に配設されている。
【0092】図19に示される第4の構成例では、図18と同様に、キセノン管41、45は反射鏡37の放物線の焦点位置に配設され、相互に同じ直線上に設けられている。またフィルタ40、44は筒状を有しており、キセノン管41、45の外周にそれぞれ嵌合されている。
【0093】図20に示される第5の構成例では、断面が放物線状の2つの反射鏡38、39が上下方向に並べて設けられ、各反射鏡38、39の焦点位置に、水平方向に延びるキセノン管41、45がそれぞれ設けられている。また各反射鏡38、39の開口部38a、39aには、平板状を有するフィルタ40、44がそれぞれ設けられている。反射鏡38、39は、矢印で示すように、各フィルタ40、44が内向するように回動可能であり、これにより、ストロボ光を被写体全体にわたって均一にすることが容易になる。
【0094】図21に示される第6の構成例では、各反射鏡38、39は一体的に形成され、また各反射鏡38、39の焦点位置にそれぞれ配設されたキセノン管41、45の前方にはフィルタ40、44が設けられている。
【0095】図22に示される第7の構成例では、反射鏡37の内側に、水平方向に延びる第1および第2のキセノン管41、45が設けられており、第1のキセノン管41は第2のキセノン管45の上方に配設されている。そして平板状を有するフィルタ40が第1のキセノン管41の前方に配設されており、第2のキセノン管45の前方にはフィルタは設けられていない。すなわちこの構成例では、第2のキセノン管45の前方に、全ての光に対する透過率が100%であるフィルタが設けられていることと等価である。
【0096】次に、図23〜図37を参照して、本実施例におけるストロボ発光制御の動作を説明する。図23(a)、(b)、(c)は、異なる複数の色温度下での色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 のゲイン調整によるホワイトバランス特性を示す図である。
【0097】ホワイトバランス調整を行わない状態において、図23(a)に示されるように、ある色温度KA において、2つの色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 が同じレベルを示し、かつそのレベルが0であったとすると、その色温度KA では白い被写体が白く再現され、ホワイトバランスが正しいことになる。そこで、ストロボ光の色温度KS に対してホワイトバランス調整(色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 のゲインを調整)を行うと、図23(b)に示されるように、色差信号(R−Y)のレベルが高められるともに、色差信号(B−Y)のレベルが低められ、色温度KS に対して2つの色差信号(R−Y)、(B−Y)が共に0レベルを示すようになる。ところがこの時、ストロボ光よりも低い色温度KB の外光があると、この外光で照らされている被写体から得られる2つの色差信号(R−Y)、(B−Y)は0レベルから大きくはずれている。すなわち、ストロボ光の色温度に対してホワイトバランス調整を行うことにより、外光の影響を受ける被写体の色は不自然な色に再現される。
【0098】そこで本実施例では、ストロボ装置のキセノン管41、45の発光時間をそれぞれ制御することにより、図23(c)に示されるようにストロボ光の合成色温度KBSを外光の色温度KB に近づけるとともに、周囲光の色温度KB に基づいてホワイトバランスを行い、これにより良好な色再現を得る。つまり、ストロボ光の合成色温度を外光の色温度KB に近似させることにより、画像の一部に赤側あるいは青側に偏った不自然な色が現れることを防止する。なお、外光が極めて弱い場合の色温度測定不能状態等では、ストロボ光を所定の合成色温度Kbsに設定してホワイトバランス制御を行うようにしてもよい。また、第1および第2のキセノン管41、45は、基本的に同じ性能を有し、発光開始後の光強度の時間的変化は同じであり、発光時間を制御することにより、所定の光量が得られる。
【0099】図24は、各種光の色温度の一例を示しており、この図から理解されるように、通常のストロボ光の色温度は6000°K〜7000°Kであり、太陽光、ハロゲン電球および白熱電球の色温度よりもかなり高い。また図25に1例として示されるように、ストロボ光の分光分布は、波長の短い青側において高い光強度を示し、波長の長い赤側ほど弱い光強度を示す。そこで、このような分光分布をフィルタ40、44によって変えることにより、光の色温度を制御することが可能である。例えば、波長の短い光の強度を抑えるとともに、波長の長い光の強度を高めることで、色温度の低い、例えば白熱電球の光に近いストロボ光が得られる。
【0100】キセノン管41、45のストロボ光の発光制御による合成色温度の調整について説明する。本実施例で用いるフィルタ40、44は種々のものを用いることができる。例えば、フィルタ44は図26の実線Q1で示されるように短い波長において高い分光透過率を有し、フィルタ40は実線Q2で示されるように長い波長において高い分光透過率を有している。ここで例えば、キセノン管45の発光量を破線M1で示されるように相対的に小さくするとともに、キセノン管41の発光量を実線M2で示されるように相対的に大きくする。なお、キセノン管の発光量は、発光継続時間と、発光開始時に於けるキセノン管のアノード・カソード端子間に印加される電位差、すなわちメインコンデンサC3,C4の蓄積電荷量によって定る。
【0101】この結果、実際にフィルタ44を介して照射されるストロボ光の光量は、光量M1に透過率Q1を掛けたものに比例するから、図26(c)の実線N1で示されるように、相対的に小さくなる。また、フィルタ41を介して照射されるストロボ光の光量は、光量M2に透過率Q2を掛けたものに比例するから、図26(c)実線N2で示されるように、相対的に大きくなる。したがって被写体に照射されるストロボ光の分光分布は、図26(c)二点鎖線N3で示されるように、波長の短い青側において光量が少なく、また波長の長い赤側において光量が多い。すなわち、この例によれば、色温度の低い光と同じ分光分布のストロボ光が得られる。即ち、ストロボ装置25の合成発光色温度を調整することができる。
【0102】フィルタ40、44の具体例について説明する。キセノン管41の投光面前に取り付けられるフィルタ40は、下記(6)式を満足する色温度変換能力Taを持った色温度変換フィルタとする。
Ta≧(106 /Ka’)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (6)
なお、この色温度変換能力Taがプラスの値をとるとき、フィルタ40はアンバー系のフィルタであって絶対値が大きくなるほどアンバー色が強くなり、色温度変換能力Taがマイナスの値をとるとき、フィルタ40はブルー系のフィルタであって絶対値が大きくなるほどブルー色が強くなる。
【0103】キセノン管45の投光面前に取り付けられるフィルタ44は、下記(7)式を満足する色温度変換能力Tbを持った色温度変換フィルタとする。
Tb≦(106 /Kb)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (7)
なお、この色温度変換能力Tbがプラスの値をとるとき、フィルタ44はアンバー系のフィルタであって絶対値が大きくなるほどアンバー色が強くなり、色温度変換能力Tbがマイナスの値をとるとき、フィルタ44はブルー系のフィルタであって絶対値が大きくなるほどブルー色が強くなる。
【0104】つまり、各キセノン管41、45が放射するフィルタを介さない光の原色温度が同じKc〔K〕であるとき、その光を色温度Ka〔K〕に変換できる能力を持ったフィルタがフィルタ40であり、色温度Kb〔K〕に変換できる能力を持ったフィルタがフィルタ44である。
【0105】なお、色温度Ka’、Kb’〔K〕は、キセノン管41、44それぞれが発する光の合成色温度を範囲Gに制御しようとするときの下限色温度と上限色温度を示す。したがって、Ka≦Ka’≦G≦Kb’≦Kbのようになる。
【0106】図27〜29に制御範囲Gと、キセノン管41、45の原色温度Kc〔K〕と、色温度制御範囲Gと、色温度Ka〔K〕、Kb〔K〕との大小関係を例示する。図27はキセノン管41、45の原色温度Kc〔K〕が色温度Kb〔K〕以上の値であるときを、図28は原色温度Kc〔K〕が、色温度Ka〔K〕とKb〔K〕との間の値であるときを、図29は原色温度Kc〔K〕が色温度Ka〔K〕以下の場合を示している。
【0107】図27、28、29何れの場合であっても、キセノン管の原色温度Kc〔K〕を色温度Ka〔K〕に変換するフィルタ40の色温度変換能力Taは必ず(6)式を満足し、原色温度Kc〔K〕を色温度Kb〔K〕に変換するフィルタ44の色温度変換能力Tbは必ず(7)式を満足する。
【0108】また、図30、31にストロボ発光制御において、ストロボ装置25から発せられる光の合成色温度を色温度Kd〔K〕に制御したいとき、各キセノン管41、45の発光量Pa、Pbの微少変化に対する合成色温度変化の様子を示す。なお、図30は、下記(8)式を満足する色温度変換能力Taを持つフィルタ40と、下記(9)式を満足する色温度変換能力Tbを持つフィルタ44とを用いた場合を示す。
Ta=(106 /Ka’)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (8)
Tb=(106 /Kb’)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (9)
【0109】図30の場合、フル発光されるキセノン管41の原色温度Kc〔K〕がフィルタ40によって、色温度制御の目的範囲Gにおける最小色温度Ka’〔K〕に変換され、同じくフル発光されたキセノン管45の原色温度Kc〔K〕がフィルタ44によって色温度制御範囲Gの最大色温度Kb’〔K〕に変換される。また、図31は、下記(10)式を満足する色温度変換能力Ta’を持つフィルタ40と、下記(11)式を満足する色温度変換能力Tb’を持つフィルタ44を用いた場合を示す。つまり、図31の場合のフィルタ40、44の色温度変換能力Ta、Tbが図30の場合に比べて相対的に高い。
Ta’=(106 /Ka)−(106 /Kc)
>(106 /Ka’)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (10)
ただし、Ka<Ka’ Tb’=(106 /Kb)−(106 /Kc)
<(106 /Kb’)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (11)
ただし、Kb>Kb’
【0110】図31に於いては、フル発光されたキセノン管41の原色温度Kc〔K〕がフィルタ40によって、色温度Ka’〔K〕より小さな色温度Ka〔K〕に変換され、同じくフル発光されたキセノン管45の原色温度Kc〔K〕が、フィルタ44によって色温度Kb’〔K〕より大きな色温度Kb〔K〕に変換される。
【0111】図30、図31を比較すれば判るように、合成色温度の制御目的範囲が共に同一範囲Gであっても、用いるフィルタの色温度変換能力が異なると、制御目的の色温度Kdからのズレ量が相違する。例えば、キセノン管41の発光量がΔP増えてPa’となり、キセノン管45の発光量がΔP減ってPb’となった時、二つのキセノン管41、45による合成色温度はKd’となる。他方、キセノン管41の発光量がΔP減ってPa”となり、キセノン管45の発光量がΔP増えてPb”となったとき、合成発光色温度はKd”となる。そこで、目的色温度Kd〔K〕からの偏位範囲Kd”−Kd’は、図30では範囲e1、図31では範囲e2となり、図から明らかなようにe1<e2で図31の場合の方が誤差が大きくなる。
【0112】したがって、色温度の制御目的値が範囲G(Ka’≦G≦Kb’)であった場合、(8)式を満足させる色温度変換フィルタ40と、(9)式を満足する色温度変換フィルタ44とを用いるのが最も理想となる。上限色温度Kb’〔K〕及び下限色温度Ka’〔K〕は、本ストロボ装置25を使用して撮影を行う環境によって変わる。例えば、自然光のある撮影環境からローソクのある撮影環境までの広い範囲の撮影環境を網羅したい場合、制御目的範囲Gの上限色温度Kb’は約10000〔K〕であり、下限色温度Ka’は約1000〔K〕となる。
【0113】上記範囲Gに対して、キセノン管41、45の原色温度がKcが約6000〔K〕であると、色温度変換フィルタ40の色温度変換能力Taが約833.3〔ミレッド〕、色温度変換フィルタ44の色温度変換能力Tbが約−66.7〔ミレッド〕となる。この様な色温度変換能力Ta、Tbを持った色温度変換フィルタ40、44を用いてキセノン管41、45の発光量を調整することにより、ストロボ装置25が発するストロボ光の合成色温度KBSを周囲光の色温度KB に近似させることが可能になる。
【0114】第2実施例の動作を説明する。図32に本第2実施例における撮影処理の概要を表したシーケンス図を示す。レリーズスイッチ33が撮影者によって半押しされると(ステップD20)、測光センサ30及び測光回路31を用いて、被写体35の輝度測定が行われる。この被写体35の輝度測定値に応じて、露出演算処理が露出演算回路32において行われる(ステップD21)。
【0115】露出演算処理では、CCD11の電子シャッタの動作時間と、ストロボ装置25の発光必要性等とが決定される。なお、充電回路50によるメインコンデンサC3、C4への充電処理は、本実施例を適用したスチルビデオカメラのメインスイッチがONされた時点又は、ストロボ撮影を行うことを指示する図示しないスイッチが操作された時点などで行われる。また、後述するステップD30のストロボ発光を伴った撮影の終了時点においても、充電処理が開始される。この充電処理については後述する。
【0116】測光及び露出演算処理が終了した後、レリーズスイッチ33が半押し状態から全押しされると(ステップD22)、測色センサ23を用いて被写体35から到来する光F4の色温度が測色制御回路24によって求められる(ステップD23)。光F4は被写体35の周囲にある光源からの光であり、その光F4の色温度に応じて、各キセノン管41、45の発光量を調整することにより、ストロボ装置25全体の合成色温度を調整し、結果としてより自然なスチル写真撮影が行われる。
【0117】計測された色温度から、ホワイトバランス調整回路14では、色温度に基づいて、色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 のそれぞれに対する増幅度が調整され、ホワイトバランス調整が施される(ステップD24)。そして、測光値からCCD11の前に設けられた絞り20の開放量がシステムコントロール回路22によって制御され、CCD11に入射される被写体35からの光F4の光量が調整される(ステップD25)。さらに、測光結果からCCD11における光電変換信号の電荷蓄積時間、すなわち電子シャッタ時間が決定され、電荷蓄積が開始される(ステップD26)。
【0118】このステップD26による信号電荷の蓄積が開始されると共に、測光結果の判断に基づき、ストロボ装置25によるストロボ発光が必要であるならば、後述するストロボ発光制御が開始される(ステップD27)。ストロボ発光を伴った撮影が完了すると、システムコントロール回路22の制御のもと、撮像素子駆動回路26からCCD11へシフトパルスが入力される。このシフトパルスによって、CCD11の電荷蓄積が終了され(ステップD28)、さらに絞り20が閉じられる(ステップD29)。この後、撮像素子駆動回路26からCCD11に転送パルス等の信号電荷読み出し制御信号が入力され、CCD11において蓄積された信号電荷が画像信号として、CDS回路12に供給されてリセット雑音が除去される。色分離回路13では、画像信号に基づいて、輝度信号Yと2つの色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 とが生成される。
【0119】色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 はホワイトバランス調整回路14に供給されホワイトバランスが調整される。ホワイトバランスが調整された色差信号(R−Y)、(B−Y)は輝度信号Yとともに、信号処理回路15において所定の処理を施された後、インターフェイス回路16を介してディスプレイ装置17に出力され画面上に表示される。またこれらの信号は、信号処理回路15からFM変調回路18に供給されてFM変調され、記録回路19を介して輝度信号と色差信号とが磁気ディスク等の記録媒体Mに記録される(ステップD30)。
【0120】メインコンデンサC3、C4の充電処理について説明する。図33にメインコンデンサC3、C4の充電を同時に行う処理フローチャートを示す。フォトMOSリレー85a、85bにスイッチ制御信号S20、S21がシステムコントロール回路22から同時に出力される(ステップ110)。スイッチ制御信号S20、S21によって、発光ダイオード82a、82bから発せられる光がスイッチ部84a、84bの光電素子に投光され、この光によって光電素子に光電変換電流が流れる。この光電変換電流はブリーダ抵抗によって電圧信号に変換され、パワーMOSFETのソース・ゲート間に印可される。これによりパワーMOSFETがONされ、スイッチ部84a、84bが導通状態にされる。
【0121】また、メインコンデンサC3、C4の端子電圧、つまり信号線S12、信号線S18の電位は、スイッチ部84a、84bがONされていることにより、信号線S19の電位と等しくなる。この信号線S19の電位は接続中点P1の電位と比例している。この接続中点P1の電位は、A/D変換器56で変換されてシステムコントロール回路22で監視される。つまり、メインコンデンサC3又はメインコンデンサC4の充電電圧がシステムコントロール回路22に於いて間接的に監視される。そして、メインコンデンサC3、C4の充電電圧が充電停止電圧以上になっているか否かがシステムコントロール回路22によって識別される(ステップ111)。
【0122】メインコンデンサC3、C4の充電電圧が充電停止電圧以上であるなら、スイッチ制御信号S20、S21の出力が停止され(ステップ115)、図33に示す同時充電処理が終了される。ここで、充電停止電圧とはキセノン管41又はキセノン管45の発光開始が可能な電圧か又はストロボ発光によって十分な光量を得ることができる電圧(ストロボ装置のガイドナンバーに対応したもの)をいう。メインコンデンサC3、C4の充電電圧が充電停止電圧以上でないならば、充電回路50に充電開始信号S2がシステムコントロール回路22から入力される(ステップ112)。
【0123】この充電開始信号S2により、充電回路50からダイオードD1及びスイッチ部84a、84bを介して、メインコンデンサC3、C4へ充電電流が供給される。これにより、メインコンデンサC3、C4に電荷が順次蓄積される。そして、A/D変換器56を利用してメインコンデンサC3、C4の充電電圧が充電停止電圧以上になるまで充電が継続される(ステップ113)。メインコンデンサC3、C4の充電電圧が充電停止電圧以上になると(ステップ113の判断でYes)、充電開始信号S2の出力が停止され(ステップ114)、さらにスイッチ制御信号S20、S21の出力が停止され(ステップ115)て同時充電処理が終了される。
【0124】図34、35にメインコンデンサC3、C4の充電が別々に行われるフローチャートを示す。図34に於いて、初めにフォトMOSリレー85aにスイッチ制御信号S20がシステムコントロール回路22から出力される(ステップ116)。これによりスイッチ部84aが導通状態にされる。そして、メインコンデンサC4の充電電圧が充電停止電圧以上になっているか否かがA/D変換器56を利用してシステムコントロール回路22で判断される(ステップ117)。充電電圧が充電停止電圧以上であるなら、スイッチ制御信号S20の出力が停止され(ステップ121)、そして、図35に示すメインコンデンサC3の充電処理が開始される。しかし、メインコンデンサC4の充電電圧が充電停止電圧以上でないなら、充電回路50に充電開始信号S2がシステムコントロール回路22から出力される(ステップ118)。
【0125】スイッチ部84aがONされているので、充電開始信号S2により、充電回路50からメインコンデンサC4への充電が開始される。そして、メインコンデンサC4の充電電圧が充電停止電圧以上になるまで充電が継続される(ステップ119)。メインコンデンサC4の充電電圧が充電停止電圧以上になると(ステップ119の判断でYes)、充電開始信号S2の出力が停止され(ステップ120)、さらにスイッチ制御信号S20の出力が停止される(ステップ121)。
【0126】メインコンデンサC3の充電処理について説明する。図35に於いて、初めにフォトMOSリレー85bにスイッチ制御信号S21がシステムコントロール回路22から出力される(ステップ124)。このスイッチ制御信号S21によって、スイッチ部84bのみが導通状態にされる。そして、メインコンデンサC3の充電電圧が充電停止電圧以上になっているか否かがシステムコントロール回路22によって判断される(ステップ126)。充電電圧が充電停止電圧以上であるなら、スイッチ制御信号S21の出力が停止され(ステップ134)、メインコンデンサC3、C4の順次充電処理が終了される。しかし、メインコンデンサC3の充電電圧が充電停止電圧以上でないなら、充電回路50に充電開始信号S2がシステムコントロール回路22から入力される(ステップ128)。
【0127】充電開始信号S2の入力により、充電回路50からメインコンデンサC3への充電が開始される。そして、メインコンデンサC3の充電電圧が充電停止電圧以上になるまで充電が継続される(ステップ130)。充電によって、メインコンデンサC3の充電電圧が充電停止電圧以上になると(ステップ130の判断でYes)、充電開始信号S2の出力が停止され(ステップ132)、さらにスイッチ制御信号S21の出力が停止される(ステップ134)。
【0128】ストロボ発光制御について説明する。図36、37に、本実施例におけるストロボ発光制御のフローチャートを示す。図36において、被写体35からの光F4の色温度の測定値に適合するように、キセノン管41、45の発光量の比率A:Bがシステムコントロール回路22によって演算される。この発光比率A:Bは、ストロボ装置25の合成色温度の制御目的値に応じて定めれるものであり、例えば合成色温度を低くする場合は、図26(b)に示すように、フィルタ44によって色温度が高められたキセノン管45の発光量を少なくすると共に、フィルタ41によって色温度が低められたキセノン管41の発光量を多くする。
【0129】発光させるキセノン管(以下キセノン管45を先に発光させる場合について説明する)の最大発光時間Laがシステムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルから、色温度測定値に発光合成色温度が略等しくなるように求められる。なお、この最大発光時間Laとは、各キセノン管41、45がメインコンデンサC3、C4の電荷をそれぞれ十分使用して発光させた場合に、上記発光量の比率A:Bを保持できる時間限度を意味している。つまり、キセノン管45を最大発光時間La以上継続して発光させると、メインコンデンサC3の電荷を全て用いてキセノン管41を発光させても、比率A:Bを維持できない限度値を表している。
【0130】この最大発光時間Laのデータが信号線S15を介してタイマー回路34に設定され、計時動作が開始される(ステップ136)。計測時間が最大発光時間Laを越えると、タイマー回路34からシステムコントロール回路22にタイムオーバ信号S14が出力される。また、キセノン管の発光量は一般に発光時間には単純に比例しない。さらに、被写体の反射率によっても反射光量が変化する。そこで、発光されるキセノン管には調光制御が施される。この調光制御とは、良好な撮影画像を得る目的から、ストロボ装置25から被写体35に向けて投光されるストロボ光によって、被写体35からの反射到来光量が所定量に達するようにキセノン管の発光量を調整することである。
【0131】従って、スチルビデオカメラから被写体35までの距離が遠く、被写体35から反射してくるストロボ光の反射光量が少ない場合は、より長く各キセノン管を発光させる必要がある。つまり、撮影状況によっては、調光制御が行われるが故に、先に発光させるキセノン管の発光量が多くなる場合が生じる。
【0132】先に発光されるキセノン管の発光量が多くなると、上述したように、後に発光させるキセノン管をフル発光させても比率A:Bを維持できなくなる虞がある。比率A:Bを維持できないと、ストロボ装置25の合成色温度が目的値に調整できず、ストロボ光の色温度を制御してより自然な撮影画像を得ようとする本発明の目的が損なわれる。そこで、この調光制御によってキセノン管45の発光量が多くなりすぎることを防止すべく、調光制御に上述の最大発光時間Laによる制限が加えられる。
【0133】調光制御を行うべく、キセノン管45に対応した適正積分値Ma(デジタルデータ)がシステムコントロール回路22からストロボ調光回路29のD/A変換器62に出力される(ステップ137)。この適正積分値Maは上記キセノン管45の比率Aに対応した値であり、システムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルを用いて、光F4の色温度測定値から求められる。D/A変換器62に入力された適正積分値Maは、アナログ信号S8に変換されてコンパレータ61に出力される。
【0134】次にシステムコントロール回路22からストロボ調光回路29のリセットスイッチ66に積分開始信号S5が出力され、オペアンプ60、積分コンデンサ64及びリセットスイッチ66で構成される積分回路がリセットされる(ステップ138)。スイッチ66のリセット後に積分が開始される(ステップ139)。これにより、測光センサ28の光電流がオペアンプ60によって経時積分される。つまり、測光センサ28が受光する被写体35からの反射光F4の照度に応じて、測光センサ28に流れる光電流が変化するが、この光電流を積分することにより、被写体35からの反射光F4の累積光量が検知される。そして、積分値と適正積分値Maとの大小比較がコンパレータ61で行われる。
【0135】この積分開始と共に、IGBT53に発光トリガ信号S3がシステムコントロール回路22から出力される(ステップ140)。この発光トリガ信号S3の出力によって、IGBT53がONされ、トリガ用コンデンサC2に蓄えられえた電荷がIGBT53を介して信号線S10に流れる。トリガ用コンデンサC2の放電によりトリガトランスT2の低圧側コイルに電流が流れ、高圧側コイルに高電圧のトリガ信号が誘導される。このトリガ信号はキセノン管45のトリガ電極に印加され、キセノン管45内のキセノンガスがイオン化される。このキセノンガスのイオン化により、アノード・カソード端子間の抵抗が急激に低下し、アノード端子からカソード端子へスパーク電流が流れて閃光が発生される。
【0136】このストロボ光F3により被写体35から到来する反射光F4が増大し、オペアンプ60からの出力値が、適正積分値Maに達すると、クエンチ信号S6がシステムコントロール回路22に入力される。このクエンチ信号S6の入力有無がシステムコントロール回路22で監視されており(ステップ141)、クエンチ信号S6が入力されたなら、発光トリガ信号S3の出力が停止される(ステップ143)。
【0137】発光トリガ信号S3が停止されてIGBT53がOFFされると、キセノン管45を流れる電流がIGBT53によって遮断され、キセノン管45のストロボ発光が停止される。しかし、クエンチ信号S6が入力されない場合、タイマー回路34からのタイムオーバ信号S14の入力有無がシステムコントロール回路22において判断される(ステップ142)。タイムオーバ信号S14が入力されない場合、ステップ141に戻り、再度クエンチ信号S6の入力有無が判断される。逆に、タイムオーバ信号S14が入力されると、発光トリガ信号S4の出力が停止され、キセノン管45の発光が停止される(ステップ143)。ステップ143において、発光トリガ信号S3の出力が停止されると、タイマー回路34が停止及びリセットされ(ステップ144)、次のキセノン管41の発光開始が制御される。
【0138】図37において、上記ステップ136と同じように、キセノン管41に対する最大発光時間Lbが、被写体35からの光F4の色温度測定値に基づいてデータテーブルから求められる。この最大発光時間Lbがタイマー回路34に設定され、タイマー回路34の計時動作が開始される(ステップ145)。さらに、キセノン管45の調光制御を行う為、光F4の色温度測定値に基づいて、システムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルを用いてキセノン管41の比率Bに対応した適正積分値Mb(デジタルデータ)が求められ、D/A変換器62に出力される(ステップ146)。D/A変換器62に設定された適正積分値Mbは、アナログ信号S8に変換されてコンパレータ61に出力される。この適正積分値Mbは、上記適正積分値Maと同じように、比率A:Bを維持すると共に、被写体35からの反射光量が最適画像を得られる量に達したことを判断する閾値である。
【0139】そして、積分開始信号S5によってオペアンプ60の積分回路がリセットされ(ステップ147)、オペアンプ60による積分が開始される(ステップ148)。この後、発光トリガ信号S4がIGBT52に出力され、キセノン管41の発光が開始される(ステップ149)。そして、コンパレータ61からクエンチ信号S6が入力されるか、またはタイマー回路34からタイムオーバ信号S14が入力されると、発光トリガ信号S4の出力が停止されて、キセノン管41の発光が停止される(ステップ174〜176)。発光が停止されると、タイマー回路34の計時動作が停止される(ステップ177)。その後、条件によっては、次の新たなストロボ発光制御のために、図33〜図35の充電処理が開始される。
【0140】このように、本実施例によれば、ストロボ装置25から照射される光の合成色温度を制御するために、発光色温度が異なる複数のフィルタ40、41を備えるキセノン管を用いるが、それら複数のキセノン管それぞれに、発光用電荷を蓄積する独立のコンデンサを設けるようにした。しかし、このコンデンサの増加に対し、充電手段である充電回路50を1つに集約し、しかも充電を行うコンデンサC3,C4の選択をフォトMOSリレー85a、85bによって行うようにした。これにより、コンデンサC3,C4に十分な電荷を蓄積させることができ、各キセノン管の発光量が不足することを防止できる。したがって、ストロボ装置25の合成色温度をより的確に制御できる。しかも充電回路50を一つに集約したのでストロボ装置25全体の規模が大きくなることを防止できる。また、メインコンデンサC3、C4への充電が終了した後、スイッチ部84a、84bがOFFされるので、メインコンデンサC3、C4から抵抗器R1、R2又は充電回路50を介してグランド共通信号線S10に電荷が放電されることを防止でき、無用にメインコンデンサC3、C4の電荷が消費されることを防止できる。
【0141】なお、本実施例においては、フォトMOSリレー85a、85bの代わりに、磁気エネルギーによって2次側スイッチを開閉するメカニカル・リレー又は、フォト・カプラ等を用いてもよい。また、本実施例においては、ストロボ光が高い色温度に変換されるキセノン管45をキセノン管41より先に発光させたが、これをストロボ光の色温度が相対的に低く変換されるキセノン管41を先に発光させるようにしてもよい。
【0142】図38に本発明に係るストロボ装置25の第3実施例を示す。この図において、第1、第2実施例と同一回路には同一符号が付されている。なお、本第3実施例では、信号線S19と信号線S18及び信号線S12との間に、ダイオードD2、D3がそれぞれ接続されており、充電回路50から出力される充電電流がダイオードD2、D3を介して各メインコンデンサC3、C4に供給される。このダイオードD2、D3はメインコンデンサC3、C4の各蓄積電荷が相手方のコンデンサへ流入することと、充電回路50へ逆流することを防止する。
【0143】信号線S18とグランド共通信号線S10との間に、抵抗器R12、R13が直列接続されており、抵抗器R12及び抵抗器R13の接続点P2がA/D変換器51に接続されており、この接続点P2の電位がA/D変換されて信号S17としてシステムコントロール回路22に入力される。また、メインコンデンサC4の両端には、抵抗器R8、R9が直列接続されており、抵抗器R8及び抵抗器R9の接続点P1がA/D変換器56に接続されている。このA/D変換器56によって接続点P1の電位がA/D変換されてシステムコントロール回路22に信号S16として入力される。つまり、A/D変換器56はメインコンデンサC4の充電電圧を監視するために用いられ、A/D変換器51はメインコンデンサC3の充電電圧を監視するために用いられる。その他の構成は、第2実施例と略同じである。
【0144】第3実施例の動作を説明する。なお、スチルビデオ撮影と、ストロボ装置25の発光制御とは、第2実施例と同じであるので説明は省略する。図39に、本第3実施例におけるメインコンデンサC3、C4の充電処理のフローチャートを示す。この図に於いて、信号線S12の電圧、つまりメインコンデンサC4の充電電圧がA/D変換器56を利用してシステムコントロール回路22で監視されており、メインコンデンサC4の充電電圧が充電停止電圧以上でないなら(ステップ300の判断でNo)、充電回路50にシステムコントロール回路22から充電開始信号S2が入力される(ステップ302)。
【0145】メインコンデンサC4の充電電圧が充電停止電圧(キセノン管45の発光に必要な電荷がメインコンデンサC4に蓄積されたときのコンデンサ両端の電位差を意味する)以上なら(ステップ300の判断でYes)、次に信号線S18の電位がA/D変換器51を用いて測定され、間接的にメインコンデンサC3の充電電圧がチェックされる(ステップ301)。つまり、メインコンデンサC3の充電電圧が充電停止電圧より小さいと(ステップ301の判断でNo)、充電開始信号S2がシステムコントロール回路22から充電回路50に出力される(ステップ302)。逆に、メインコンデンサC3の充電電圧が充電停止電圧以上なら何ら充電処理は行われず、図39の充電処理が終了される。
【0146】充電開始信号S2が出力されることでコンデンサC4またはC3の充電が開始された後(ステップ302)、メインコンデンサC4の充電電圧が充電停止電圧以上になったか否かが判断される(ステップ303)。メインコンデンサC4の充電電圧が充電停止電圧以上なら(ステップ303でYes)、次にメインコンデンサC3の充電電圧が充電停止以上になったか否かが判断される(ステップ304)。ステップ304の判断によって、メインコンデンサC3の充電電圧が充電停止電圧以上になったことが検知されると充電開始信号S2の出力が停止される(ステップ305)。
【0147】以上のように第3実施例では、ストロボ装置25の合成色温度を調整するために、ストロボ光が異なる色温度に変換される複数のキセノン管を用いるが、それら複数のキセノン管それぞれに独立したコンデンサを設けるようにした。しかし、このコンデンサの増加に対し、充電手段である充電回路50を1つとしコンデンサの増数に伴って充電手段が増数することを防止した。しかも、各メインコンデンサC3、C4の充電電圧をA/D変換器51、56でチェックするようにした。これにより、コンデンサへの充電不足による各キセノン管の発光量が不足することを防止することができる。この結果、ストロボ装置25の合成色温度を的確に制御でき、しかもストロボ装置の規模が大きくなることを防止できる。
【0148】さらに、色温度変換フィルタを用いてキセノン管の発光色温度を変換し、かつ各キセノン管の発光量を調整することにより、発光手段、つまりキセノン管の色温度に拘らず、様々な合成色温度の光を発生させることができる。したがって、一般的な自然光や蛍光灯等の人工光に対応した色温度の光を生成でき、如何なる撮影環境においても、よりホワイトバランスの優れた撮影画像を得ることができる。
【0149】なお上記第2、第3実施例に於いて、色温度変換フィルタを2種類用いたが、3種類以上の色温度変換フィルタを同時に用いてもよい。例えば、3種類以上の色温度変換フィルタを用いる場合、各フィルタ専用のキセノン管を設けると共に、各キセノン管の発光量を光F4の色温度から定めて制御する。それに併せて各実施例でメインコンデンサを増数させると共に、第1実施例では、フォトMOSリレー85を増数させ、第2実施例ではA/D変換器やダイオードを増数させる。これにより、ストロボ装置25の合成色温度をさらにきめ細かく制御できる。また、色温度変換フィルタを複数個設ける場合、一方の色温度変換フィルタを色温度を低くするもの、他方の色温度変換フィルタを色温度を高めるものとしてもよい。
【0150】上記各実施例のA/D変換器51、56の使用方法についてであるが、複数の抵抗器によってメインコンデンサの充電電圧を分圧して間接的に測定したが、メインコンデンサの充電電圧を直接A/D変換できるもの(充電回路50から出力されるパルス状の充電信号に対する入力耐圧が高いもの)なら,抵抗器R8、R9、R12、R13を省いても良いし、充電停止電圧値を閾値としてD/A変換器に入力し、その閾値のアナログ信号とコンデンサの両端の電位差とをアナログコンパレータで比較することにより、コンデンサの充電電圧を監視するようにしてもよい。
【0151】各キセノン管の発光・停止を制御するスイッチ手段についても、上記第2、第3実施例においては、IGBT52、53を用いたが、これを複数のサイリスタを用いて行うようにしてもよく、IGBTに特に限定するものではない。被写体35からのストロボ反射光の測定手段と、クエンチ信号生成手段についても、図3のようなオペアンプ及びアナログコンパレータに限定するものでなく、デジタル回路によって積分回路と、比較回路とを構成してもよい。さらに上記第1、第2、第3実施例における発光手段として光源にキセノン管を用いたが、これに限定するものでなく、電流のON、OFFによって閃光の発生と停止を繰り返して行えるものなら如何なるものでも良い。
【0152】また、上記第2、第3実施例において、測光センサ28、測色センサ23に入射させる被写体からの反射光は、CCD11に備える撮影レンズ系を介した光の一部を利用するようにしてもよい。このような構成により、CCD11に入射する光量をより正確に測定することができ、より正確な調光制御と色温度制御が可能になる。さらにまた、上記各実施例では、スチルビデオカメラについて説明したが、ストロボ装置25、測色センサ23及び測光センサ28等を備えるストロボ装置に本発明を用いることもできる。つまり、CCD11、信号処理回路15及び記録回路19等のスチルビデオ撮影回路が無いストロボ装置のみに本発明を適用してもよく、その様なストロボ装置を従来から在るスチルカメラ等に使用すれば、ストロボ撮影時においてより自然な画像を得ることができる。
【0153】図40に本発明に係るストロボ装置25の第4実施例を示す。なお、スチルビデオカメラ全体の構成は図14に示す第2実施例と同一とする。図40においてシステムコントロール回路22に接続されたストロボ装置25は、ストロボ光の色温度を低い方向に変える色温度変換フィルタ40を備えるキセノン管41と、ストロボ光をそのまま被写体35に向けて投光するキセノン管45とが設けられている。キセノン管41、45の各カソード端子は、IGBT52のコレクタ端子に接続されている。このIGBT52のエミッタ端子はグランド共通信号線S10に、ベース端子はシステムコントロール回路22にそれぞれ接続されており、システムコントロール回路22から発光トリガ信号S3がベース端子に入力される。また、信号線S10は充電回路50と接続されている。
【0154】キセノン管41、45のアノード端子は信号線S12によって充電回路50の充電信号出力端子と接続される。信号線S12とグランド共通信号線S10との間にトリガ回路54及びメインコンデンサC3が接続されており、充電回路50から信号線S12に出力される充電電流によって、キセノン管41、45の閃光用の電荷がメインコンデンサC3に蓄えられる。つまり、上記第2、3実施例と異なり、キセノン管41、45の発光用電荷は一つのメインコンデンサC3に蓄えられる。このメインコンデンサC3の電荷蓄積の開始、つまり充電開始は、システムコントロール回路22から充電回路50に入力される充電開始信号S2によって行われ、終了は充電回路50から出力される充完信号S1によって行われる。
【0155】キセノン管41、45の閃光発生用のトリガ回路54の構成について説明する。トリガ回路54は、抵抗器R5と、トリガ用コンデンサC1と、トリガトランスT1とから構成されている。抵抗器R5の一端は信号線S12と接続されており、他端はトリガ用コンデンサC1の一端とIGBT52のコレクタ端子と接続される。トリガ用コンデンサC1の他端はトリガトランスT1の低圧側コイルに接続されており、トリガトランスT1のコモン端子76はグランド共通信号線S10に接続されている。
【0156】トリガトランスT1の高圧側コイルはフォトMOSリレー72、75に内蔵される各スイッチ部71、74の一端と接続されている。スイッチ部74の他端はキセノン管45のトリガ電極に接続され、スイッチ部71の他端はキセノン管45のトリガ電極に接続される。なお、スイッチ部71、74は光電素子、ブリーダ抵抗及びパワーMOSFET等で構成されている。
【0157】フォトMOSリレー75が具備する発光ダイオード73のアノード端子は抵抗器R21を介してシステムコントロール回路22と接続されており、システムコントロール回路22からトリガセレクトS20が入力される。同じように、フォトMOSリレー72が具備する発光ダイオード70のアノード端子は抵抗器R20を介してシステムコントロール回路22と接続されており、システムコントロール回路22からトリガセレクトS21が入力される。発光ダイオード70、73のカソード端子はグランド共通信号線S10と接続される。また、システムコントロール回路22に接続されているタイマー回路34に計時用データが信号線S15を介して入力される。そして、タイマー回路34からシステムコントロール回路22へ、計時結果によるタイムオーバ信号S14が入力される。
【0158】本実施例の作用を説明する。本第4実施例における撮影処理の概要(図32に示す)は第2実施例と同一である。なお、充電回路50によるメインコンデンサC3への充電処理は、本実施例を適用したスチルビデオカメラのメインスイッチがONされた時点又は、ストロボ撮影を行うことを指示する、図示しないスイッチ等が操作されるか又は、後述するストロボ発光撮影が終了した後等において行われる。
【0159】メインコンデンサC3への充電処理について簡単に説明する。コントロール回路22から充電回路50に充電開始信号S2が入力されると、本スチルビデオカメラに具備された電池等の電源電圧を昇圧したパルス状の充電信号が充電回路50から信号線S12を介してメインコンデンサC3に入力される。これにより、メインコンデンサC3に電荷が徐々に蓄積され、蓄積された電荷で信号線S12の電圧が上昇する。上昇する信号線S12の電圧は充電回路50によって監視されており、その電圧が充電停止電圧を越えると、充電回路50からコントロール回路22に充完信号S1が入力される。なお、ここでの充電停止電圧とはキセノン管41、45の発光開始が可能な電圧か、又はストロボ発光によって十分な光量を得ることができる電圧(ストロボ装置のガイドナンバーに対応したもの)をいう。
【0160】ストロボ発光制御について説明する。図41、42に本実施例におけるストロボ発光制御のフローチャートを示す。このフローチャートは基本的に第2実施例と同様である。図41において、測定された光F4の色温度値に適合するように、キセノン管45、41の発光量の比率A:Bがシステムコントロール回路22において定められる。この比率A:Bは、ストロボ装置25の合成発光色温度の制御目的値に応じて定めれるものであり、例えば、より高い色温度に制御する場合、色温度の高いキセノン管45の発光量を増大させ、且つ色温度が低いキセノン管41の発光量を減少させる。しかも定められた比率A:Bに応じて、発光量の少ないキセノン管から先に発光させるべく制御される。
【0161】この発光順序の決定は、発光量の多いキセノン管を先に発光させると、発光量が多いが故に、メインコンデンサC3の電荷が多く消費される。この結果、次に発光させるキセノン管に閃光発生に必要な電圧を印加できなくなる虞があるので、そのことを防止するため、発光量の少ないキセノン管を先に発光させる。
【0162】発光量の比率A:Bが、例えばA<Bであった場合、キセノン管45を先に発光させる。この先に発光させるキセノン管の決定と共に、その発光させるキセノン管(以下キセノン管45を先に発光させる場合について説明する)の最大発光時間Laがシステムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルから、色温度の測定値に基づいて求められる。
【0163】まず最大発光時間Laのデータが信号S15を介してタイマー回路34に設定され、タイマー回路34の計時動作が開始される(ステップ240)。次いで、調光制御を行うべく、キセノン管45に対応した適正積分値Ma(デジタルデータ)がシステムコントロール回路22からストロボ調光回路29のD/A変換器62に出力される(ステップ241、図3参照)。この適正積分値Maは上記キセノン管45の比率Aに対応した値であり、システムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルを用いて、光F4の色温度測定値から求められる。この適正積分値Maは、被写体35からの光F4で適正露光が得られる閾値を表している。D/A変換器62に入力された適正積分値Maは、アナログ電圧値の信号S8に変換されてコンパレータ61に入力される。
【0164】そして、システムコントロール回路22からスイッチ66に積分開始信号S5が出力され、積分回路がリセットされ、その後積分が開始される(ステップ242、243)。これにより、測光センサ28の光電流がによって経時積分される。つまり、測光センサ28が受光する被写体35からの反射光F4の照度に応じて、測光センサ28に流れる光電流が変化するが、この光電流を積分することで、被写体35からの反射光F4の累積光量が検知される。そして、オペアンプ60等から構成される積分回路の積分値と適正積分値Maとの大小比較がコンパレータ61において行われる。
【0165】他方、積分開始と共に、フォトMOSリレー75の発光ダイオード73にトリガセレクトS20がシステムコントロール回路22から出力される(ステップ244)。なお、トリガセレクトS20とトリガセレクトS21とは排他的にシステムコントロール22から各リレー72、75に出力される。トリガセレクトS20により発生する発光ダイオード73の光が、スイッチ部74の光電素子に投光されるので、光電素子に光電変換電流が流れる。この光電変換電流はブリーダ抵抗によって電圧信号に変換され、パワーMOSFETのソース・ゲート間に印可される。これによりパワーMOSFETがONされ、スイッチ部74が導通状態にされる。つまりトリガセレクトS20によってスイッチ部74が導通状態にされる。
【0166】これは、キセノン管45を発光させるときのみスイッチ部74をONさせるためである。この後、IGBT52に発光トリガ信号S3がシステムコントロール回路22から出力される(ステップ245)。この発光トリガ信号S3の入力によって、IGBT52がONされ、トリガ回路54のトリガ用コンデンサC1に蓄えられえた電荷がIGBT52を介してグランド共通信号線S10に向かって流出する。
【0167】トリガ用コンデンサC1の放電によりトリガトランスT1の低圧側コイルに電流が流れ、トリガトランスT1の高圧側コイルに高電圧のトリガ信号が誘導される。このトリガ信号は、スイッチ部74のみがONしていることで、キセノン管45のトリガ電極に印加される。トリガ信号が印加されると、キセノン管45内のキセノンガスがイオン化される。このキセノンガスのイオン化により、アノード・カソード端子間の抵抗が急激に低下し、アノード端子からカソード端子へスパーク電流が流れてストロボ光F3が発生する。このストロボ光F3により被写体35から到来する反射光F4が増大し、オペアンプ60等から構成される積分回路の積分値が適正積分値Maに達すると、クエンチ信号S6がコンパレータ61からシステムコントロール回路22に入力される。このクエンチ信号S6の入力有無がシステムコントロール回路22に於いて識別されており(ステップ246)、クエンチ信号S6が入力されたなら、発光トリガ信号S3の出力が停止される(ステップ248)。
【0168】発光トリガ信号S3の出力停止で、IGBT52がOFFされ、キセノン管45を流れる電流が遮断される。これによりキセノン管45のストロボ発光が停止される。しかし、クエンチ信号S6の入力がない場合(ステップ246の判断でNo)、タイマー回路34からのタイムオーバ信号S14の入力有無がシステムコントロール回路22において判断される(ステップ247)。タイムオーバ信号S14が入力されない場合、ステップ246に戻り、再度クエンチ信号S6の入力有無が判断される。逆に、タイムオーバ信号S14が入力されると、発光トリガ信号S3の出力が停止され、キセノン管45の発光が停止される(ステップ248)。
【0169】発光トリガ信号S3の出力が停止されると、トリガセレクトS20の出力が停止されてトリガ回路54とキセノン管45のトリガ電極とが切り離される(ステップ249)。そして、タイマー回路34が停止されて(ステップ250)、次のキセノン管41の発光開始が制御される。
【0170】第2のキセノン管発光制御について説明する。図42において、上記ステップ240と同じように、キセノン管41に対する最大発光時間Lbが、光F4の色温度測定値に基づいてシステムコントロール回路22においてデータテーブルから求められる。この最大発光時間Lbがタイマー回路34に設定され、タイマー回路34の計時動作が開始される(ステップ251)。キセノン管41の調光制御を行う為、光F4の色温度測定値に基づいて、システムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルを用いてキセノン管41の比率Bに対応した適正積分値Mb(デジタルデータ)が求められ、D/A変換器62に出力される(ステップ252)。D/A変換器62に入力された適正積分値Mbは、アナログ電圧値の信号S8に変換されてコンパレータ61に出力される。
【0171】この適正積分値Mbは、上記適正積分値Maと同じように、比率A:Bを維持すると共に、被写体35からの反射光量が最適画像を得られる量に達したことを識別する閾値である。そして、積分開始信号S5によって積分回路がリセットされた後、積分が開始される(ステップ253、254)。この後、フォトMOSリレー72の発光ダイオード70にトリガセレクトS21がシステムコントロール回路22から出力される(ステップ255)。トリガセレクトS21によって、フォトMOSリレー72のパワーMOSFETがONされ、スイッチ部71が導通状態にされる。その後、発光トリガ信号S3がIGBT52に出力され、キセノン管41の発光が開始される(ステップ256)。
【0172】そしてストロボ調光回路29のコンパレータ61からクエンチ信号S6が入力されるか、又はタイマー回路34からタイムオーバ信号S14が入力されると、発光トリガ信号S3の出力が停止されて、キセノン管41の発光が停止される(ステップ259)。つまり、調光制御のクエンチ信号S6又は、時間的な制限であるタイムオーバ信号S14の何れかがシステムコントロール回路22に入力されるまで、キセノン管41の発光が継続される。キセノン管41の発光が停止されると、トリガセレクトS21が停止されて、キセノン管41のトリガ電極とトリガ回路54とが遮断される(ステップ260)。さらに、タイマー回路34の計時動作が停止される(ステップ261)。
【0173】なお、図41、42のフローチャートは発光比A:Bにおいて、A<Bの場合のものであり、A>Bの場合はステップ244、249のトリガセレクトはS21に、またステップ255、260のトリガセレクトはS20にそれぞれ変更される。
【0174】そして、CCD11から画像信号が読み出され、記録媒体Mに記憶され、撮影処理が終了される。その後、条件によっては、次の新たなストロボ発光制御のためにメインコンデンサC3の充電処理が開始される。
【0175】このように本実施例によれば、ストロボ装置25の合成発光色温度を制御するために、フィルタと複数のキセノン管を用いるが、キセノン管45、41の導電状態をIGBT52で制御すると共に、キセノン管41、45の各トリガ電極とトリガ回路54との接続/遮断をフォトMOSリレー72、75で行うようにした。これにより、キセノン管を増数させたにも拘らず、付属部品の増数を最小限に抑えることができ、ストロボ装置の規模が大きくなることを防止できる。
【0176】図43に本発明の第5実施例を示す。この図において、第4実施例と同一回路には同一符号が付されている。なお、本第5実施例では、トリガ回路54で生成されるトリガ信号のキセノン管41、45への印加選択を、FET48a、48bで行う様にした。つまり、トリガトランスT1の高圧側コイルを、抵抗器R23を介してFET48bのドレイン端子と接続すると共に、抵抗器R22を介してFET48aのドレイン端子に接続する。FET48a、48bのソース端子はグランド共通信号線S10に接続され、各ゲート端子はシステムコントロール回路22に接続されている。FET48bにトリガセレクトS20が、FET48aにトリガセレクトS21がそれぞれシステムコントロール回路22から入力される。なお、スチルビデオカメラ全体の構成は図14の第2実施例と同一である。
【0177】本第5実施例の作用を簡単に説明する。本第5実施例のスチル撮影及びストロボ発光制御も基本的に第4実施例と同じである。つまり、レリーズスイッチ33の半押し及び全押しに応じて、被写体35に対する測光/露出演算及び、光F4の色温度測定が行われる。光F4の色温度に応じて色差信号(R−Y)0 、(B−Y)0 の増幅度が調整されることで、撮影記録される画像信号のホワイトバランスが保たれる。さらに絞りの調整及び電子シャッタの制御等の露光調整が行われてストロボ発光制御が行われる。
【0178】ストロボ発光制御では、光F4の色温度に応じて、キセノン管45、41の発光量の比率A:Bが定められ、その比率A:Bに応じて発光順序の選択と、最大発光時間による発光量の制限と、調光制御とが行われる。トリガセレクトS20、S21とキセノン管45又はキセノン管41の発光開始動作との関係について説明する。通常、トリガセレクトS20、21は“L”状態にされており、FET48a、48bは常時OFF状態にされている。
【0179】従って、トリガトランスT1で発生される高電圧のトリガ信号は、キセノン管45、41双方に印加可能状態にある。そして、キセノン管45を先に発光させる場合、“H”状態のトリガセレクトS21がFET48aに出力されてFET48aがONされ、キセノン管41のトリガ電極にトリガ信号が印加されないようにしておく。この状態で発光トリガ信号S3が出力されて、第4実施例と同様に、トリガトランスT1においてトリガ信号が生成される。FET48bはOFFしているので、トリガ信号はキセノン管45のトリガ電極のみに印加されてキセノン管45の発光が開始される。キセノン管45の発光停止は、調光制御に基づくクエンチ信号S6又は発光時間制限に基づくタイムオーバ信号S14が入力されたとき、発光トリガ信号S3の出力が停止され、IGBT52がOFFされて行われる。
【0180】同じように、キセノン管41の発光開始は、“H”状態のトリガセレクトS20がFET48bに出力されて、FET48bがONされ、キセノン管45にトリガ信号が印加されないようにしておく。その後、発光トリガ信号S3がIGBT52に出力されて、トリガトランスT1で生成されたトリガ信号がキセノン管41のトリガ電極に印加される。これによりキセノン管41の発光が開始される。発光の停止は、クエンチ信号S6又はタイムオーバ信号S14が入力されたとき、IGBT52がOFFされて行われる。
【0181】上記のように、第4、第5実施例では、ストロボ装置25の合成発光色温度を調整するために、フィルタと異なる複数のキセノン管を用いるが、それら複数のキセノン管の閃光用電荷を蓄えるメインコンデンサと、このメインコンデンサへの充電を行う充電回路と、閃光発生用のトリガ回路と、各キセノン管の発光開始及び停止を制御するIGBTとをそれぞれ一つにした。但し、トリガ回路のトリガ信号を各キセノン管に選択して印加するのに、二つのフォトMOSリレー若しくはFETを用いた。このようなフォトMOSリレー又はFETは実装スペースが極めて小さいので、キセノン管の増数にも拘らず、部品点数の増加を十分に抑えることができる。この結果ストロボ装置の規模が大きくなることを防止できる。
【0182】さらに、少なくとも一方のキセノン管の発光色温度を色温度変換フィルタによって調整し、それら発光色温度が異なる複数のキセノン管を用いるので、ストロボ装置の合成発光色温度を自由に制御できる。例えば、一般的な自然光や蛍光灯等の人工光に対応した色温度の光を生成できるので、如何なる撮影環境においてもより自然な撮影画像の色再現を実現できる。
【0183】なお上記第4、第5実施例に於いて、色温度変換フィルタ40をキセノン管41にのみ用いたが、これは室内撮影等、キセノン管の色温度よりも低い色温度への変換を重視したもので、もちろんキセノン管45にも色温度変換フィルタ44を用いるようにしても良いし、さらに、3種類以上の色温度変換フィルタを用いてもよい。例えば、3種類以上の色温度変換フィルタを用いる場合、各フィルタ専用のキセノン管を設けると共に、各キセノン管の発光量を光F4の色温度に応じて制御する。それに併せて各キセノン管にトリガ信号を選択して印加する手段としてのフォトMOSリレー若しくはFETを増数させる。これにより上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0184】各キセノン管の発光・停止を制御する発光制御スイッチ手段として、上記第4、第5実施例ではIGBTを用いたが、これを複数のサイリスタを用いて行うようにしてもよく、IGBTに特に限定するものではない。被写体35からのストロボ反射光の測光手段及びクエンチ信号生成手段についても、図3のようなオペアンプ及びアナログコンパレータに限定するものでなく、デジタル回路によって積分回路と、比較回路とを構成してもよい。各実施例における発光手段として光源にキセノン管を用いたが、これに限定するものでなく、電流のON、OFFによって閃光の発生と停止を繰り返して行える発光手段なら如何なるものでも良い。
【0185】また、各実施例において、測光センサ28、測色センサ23に入射させる被写体からの反射光は、CCD11に備える撮影レンズ系を介した光の一部を利用するようにしてもよい。このようにすることで、CCD11に入射する光量をより正確に測定することができ、より正確な調光制御とストロボ光の色温度制御が可能になる。上記第4、第5実施例におけるフォトMOSリレー若しくはFETに代えて、磁気エネルギーによって2次側スイッチを開閉するメカニカル・リレー若しくはフォト・カプラ又は、一般的なバイポーラトランジスタ等を用いてもよく、導電状態をON/OFFできるものなら如何なる選択手段でもよい。
【0186】さらにまた、上記第4、第5実施例では、スチルビデオカメラについて説明したが、ストロボ装置25、測色センサ23及び測光センサ28等を備えるストロボ装置に本発明を用いることもできる。つまり、CCD11、信号処理回路15及び記録回路19等のスチルビデオ撮影回路が無いストロボ装置に本発明を適用すれば、従来のスチルカメラ等に使用することができる。
【0187】次に図44に示す第6実施例について説明する。なお、スチルビデオカメラ全体の構成は図14に示すものと同じである。システムコントロール回路22に接続されたストロボ装置25は、ストロボ光の色温度を変える色温度変換フィルタ44を備えるキセノン管45と、同じく色温度変換フィルタ40を備えるキセノン管41と、各キセノン管45、41の発光用電荷を蓄えておくメインコンデンサC3と、このメインコンデンサC3に電荷を蓄積する充電回路50と、各キセノン管45、41各々の閃光発生用のトリガ信号を生成するトリガ回路54と、各キセノン管45、41の発光開始と停止を行うスイッチ手段であるIGBT53、52とから構成されている。なおフィルタ44の色温度変換能力Taは、ストロボ装置25全体の発光合成色温度の制御目的値が範囲G(Ka’≦G≦Kb’)で、しかも発光されたキセノン管45、41の原色温度がKc〔K〕の場合、上記(6)式を満足するものとする。フィルタ40も、制御目的範囲Gに対して(7)式を満足する色温度変換能力を持ったものとする。
【0188】ストロボ装置25内の接続状態を説明する。充電回路50から充電電流が出力される信号線S12にメインコンデンサC3の正電極と、キセノン管45、41の各アノード端子と抵抗器R5の一端とが接続される。メインコンデンサC3の負電極と、トリガトランスT1の共通端子と、IGBT52、53のエミッタ端子とがグランド共通信号線S10に接続される。トリガトランスT1の低圧側コイルはトリガ用コンデンサC1を介して抵抗器R5の他端に接続されると共に、ダイオードD5、D4のアノード端子に接続されている。
【0189】ダイオードD5のカソード端子はキセノン管45のカソード端子及びIGBT53のコレクタ端子と接続されており、ダイオードD4のカソード端子はキセノン管41のカソード端子及びIGBT52のコレクタ端子と接続されている。IGBT52、53のベース端子はシステムコントロール回路22に接続されており、システムコントロール回路22から出力される発光トリガ信号S3、S4によってIGBT53、52がそれぞれONされて、IGBT53、52に動作電流が流れる。
【0190】IGBT52がONされるとダイオードD4を介し、またIGBT53がONされるとダイオードD5を介して、トリガ用コンデンサC1の電荷がそれぞれ放電されるので、トリガトランスT1の低圧側コイルに電流が流れ、高圧側コイルにトリガ信号が誘導される。このトリガ信号はキセノン管41、45のトリガ電極に印加され、各キセノン管に於ける閃光生成に用いられる。しかし、IGBT52、53がONしていなければ、各キセノン管に電流が流れないので、IGBT52、53のON/OFFによって何れのキセノン管に於いて閃光を発生させるか否かを選択できる。
【0191】システムコントロール回路22には、スチルビデオカメラ本体に設けられたレリーズスイッチ33と、タイマー回路34とが接続されており、レリーズスイッチ33の操作に応じて、システムコントロール回路22によって撮影に必要な各種制御が行われる。また、システムコントロール回路22と充電回路50との間で、メインコンデンサC3への電荷蓄積、即ち充電開始を指示する充電開始信号S2と、メインコンデンサC3への充電が完了したことを報知する充完信号S1とが授受される。また、図3に示すフォトダイオード等から構成された測光センサ28と、オペアンプ60と、コンパレータ61と、D/A変換器62とから構成されるストロボ調光回路29を用いて調光制御が行われる。
【0192】本実施例の作用を説明する。本第6実施例における撮影処理の概要は図32に示され、第2〜第5実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0193】色温度変換能力Ta、Tbを持った色温度変換フィルタ44、40を用いたストロボ装置25の発光制御について説明する。図45、46に本実施例のストロボ発光制御のフローチャートを示す。この図において、光F4の色温度の測定値に適合するように、キセノン管45、41の発光量の比率A:Bがシステムコントロール回路22によって定められる。
【0194】この発光比率A:Bは、前述の実施例と同様、ストロボ装置25の合成発光色温度の制御目的値に応じて定められるものであり、例えばストロボ装置25全体の発光色温度をより高い色温度に制御する場合には、キセノン管41の発光量を増大させると共に、キセノン管45の発光量を減少させる。定められた比率A:Bにより、発光量の少ないキセノン管から先に発光させるように制御される。例えば、比率A<比率Bであった場合、キセノン管45を先に発光させる。このように、先に発光させるべきキセノン管の決定と共に、その発光させるキセノン管(以下キセノン管45を先に発光させる場合について説明する)の最大発光時間Laがシステムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルから、色温度の測定値に基づいて求められる。
【0195】最大発光時間Laのデータが信号S15を介してタイマー回路34に設定され、タイマー回路34の計時動作が開始される(ステップ263)。計測時間が最大発光時間Laを越えると、タイムオーバ信号S14がタイマー回路34からシステムコントロール回路22に入力される。
【0196】調光制御を行うべく、キセノン管45に対応した適正積分値Ma(デジタルデータ)がシステムコントロール回路22からD/A変換器62に出力される(ステップ264、図3参照)。この適正積分値Maは上記キセノン管45の比率Aに対応した値であり、システムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルを用いて、光F4の色温度測定値から求められる。D/A変換器62に入力された適正積分値Maは、アナログ電圧値の信号S8に変換されてコンパレータ61に出力される。
【0197】また、システムコントロール回路22からリセットスイッチ66に積分開始信号S5が入力され、オペアンプ60等から構成される積分回路がリセットされる(ステップ265)。この後、積分が開始される(ステップ266)。これにより、測光センサ28の光電流がによって経時積分される。
【0198】ステップ266の積分開始と共に、IGBT53に発光トリガ信号S3がシステムコントロール回路22から出力される(ステップ267)。この発光トリガ信号S3の出力によって、IGBT53がONされ、トリガ用コンデンサC1に蓄えられえた電荷が、ダイオードD5及びIGBT53を介してグランド共通信号線S10に向かって流れる。
【0199】トリガ用コンデンサC1の放電によりトリガトランスT1の低圧側コイルに電流が流れ、トリガトランスT1の高圧側コイルに高電圧のトリガ信号が誘導される。この高圧側コイルに誘導されたトリガ信号はキセノン管45のトリガ電極に印加され、キセノン管45内のキセノンガスがイオン化される。このキセノンガスのイオン化により、アノード・カソード端子間の抵抗が急激に低下し、アノード端子からカソード端子へスパーク電流が流れて閃光が発生され、ストロボ光F3が被写体35に向けて投光される。
【0200】このストロボ光F3により被写体35から到来する反射光F4が増大し、オペアンプ60等から構成される積分回路から出力される積分値が、適正積分値Maに達すると、クエンチ信号S6がコンパレータ61からシステムコントロール回路22に入力される。このクエンチ信号S6の入力有無がシステムコントロール回路22に於いて判断されており(ステップ268)、クエンチ信号S6が入力されたなら、発光トリガ信号S3の出力が停止される(ステップ270)。
【0201】発光トリガ信号S3の停止でIGBT53がOFFされ、キセノン管45を流れる電流が遮断され、キセノン管45のストロボ発光が停止される。クエンチ信号S6が入力されない場合は、タイマー回路34からのタイムオーバ信号S14の入力有無がシステムコントロール回路22に於いて判断される(ステップ269)。タイムオーバ信号S14が入力されない場合、ステップ268に戻り、再度クエンチ信号S6の入力有無が判断される。逆に、タイムオーバ信号S14が入力されると、発光トリガ信号S3の出力が停止され、キセノン管45の発光が停止される(ステップ270)。発光トリガ信号S3の出力が停止された後、タイマー回路34が停止され(ステップ271)、此の後、キセノン管41の発光が開始される。
【0202】図46において、初めにキセノン管41の最大発光時間Lbが、光F4の色温度測定値に基づいてデータテーブルからシステムコントロール回路22において求められる。この最大発光時間Lbが信号線S15を介してタイマー回路34に設定され、タイマー回路34の計時動作が開始される(ステップ272)。次にキセノン管41の調光制御を行う為、光F4の色温度測定値に基づいて、システムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルを用いて、キセノン管41の発光比率Bに対応した適正積分値Mb(デジタルデータ)がD/A変換器62に出力される(ステップ273)。D/A変換器62に入力された適正積分値Mbは、アナログ電圧値の信号S8に変換されてコンパレータ61に出力される。この適正積分値Mbは、上記適正積分値Maと同じように、比率A:Bを維持すると共に、被写体35からの反射光量が最適画像を得られる量に達したことを判断するための閾値である。
【0203】積分開始信号S5によってリセットスイッチ66がONされ、積分回路がリセットされる(ステップ274)。そして、積分回路における積分が開始される(ステップ275)。この後、発光トリガ信号S4がIGBT52に出力され、キセノン管41の発光が開始される(ステップ276)。そして、コンパレータ61からクエンチ信号S6が入力されるか、又はタイマー回路34からタイムオーバ信号S14が入力されると、発光トリガ信号S4の出力が停止されて、キセノン管41の発光が停止される(ステップ279)。この後、タイマー回路34の計時動作が停止される(ステップ280)。このようにしてキセノン管45、41の発光制御が終了された後、条件によっては、充電開始信号S2が再びシステムコントロール回路22から充電回路50に出力され、次の新たなストロボ発光制御のためにメインコンデンサC3の充電が開始される。
【0204】本実施例では、トリガ回路54を各キセノン管45、41で共用し、キセノン管45、41の発光と停止を行うスイッチ手段であるIGBTを各キセノン管に独立して設けたが、スイッチ手段を各キセノン管で共用し、トリガ回路をそれぞれのキセノン管に独立して設け、そのトリガ回路のON、OFFをシステムコントロール回路22によって独立して行うようにしてもよい。これにより、複数あるキセノン管の発光を、複数設けたトリガ回路によって独立して制御できるし、各キセノン管の発光と停止とを交互に繰り返させることもできる。さらなる応用として、スイッチ手段とトリガ回路とを独立して各キセノン管毎に設けるようにしてもよい。
【0205】図47に本発明の第7実施例を示す。この図において、第6実施例と同一回路には同一符号が付されている。なお、第7実施例では、一本のキセノン管45の投光面前に、上記(6)式を満足する色温度変換能力Taを持った色温度変換フィルタ44と、上記(7)式を満足する色温度変換能力Tbを持った色温度変換フィルタ40とを交互に移動できるように設ける。そして、投光面前に位置するフィルタを切換えることで、発光色温度を変え、ストロボ装置25全体の合成発光色温度を制御する。図48〜50に、本実施例に用いるストロボ光投光部分の詳細図を示す。
【0206】図48は本第7実施例のストロボ装置25の正面図を、図49、50は図48のX−X切断線から見たストロボ装置25の水平断面図である。これらの図に示すように、ストロボ装置25の中央に位置する開口部285内に、キセノン管45が取り付けられており、キセノン管45の背後にストロボ光を前方に反射させるリフレクタ286が設けられている。このリフレクタ286と開口部285とで挟まれたストロボ装置25の内部に、スライダ283に垂設された色温度変換フィルタ44、40が設けられている。
【0207】スライダ283の片面にはギヤ歯が設けられており、このギヤ歯はモータ282で回転される歯車284と歯合し、モータ282の正逆回転によって、色温度変換フィルタ44、40がキセノン管45の投光面前を移動される。また、モータ282はモータ駆動回路281と接続されており、モータ駆動回路281はシステムコントロール回路22と接続されている。システムコントロール回路22の命令に基づき、モータ駆動回路281によってモータ282の正逆回転が行われ、これによってキセノン管45前に位置する色温度変換フィルタ44、40が換えられる。その他の構成は、第6実施例と略同じである。ただし、キセノン管を一本にした関係から、ダイオードD4、D5が無く、IGBT53のON、OFFによって、キセノン管45の発光と停止とが制御される。
【0208】本第7実施例の動作を説明する。図51、52に、本実施例におけるストロボ発光制御のフローチャートを示す。なお、本実施例を適用したスチルビデオカメラの撮影処理全体は、第2実施例における処理(図32に示す)と同じであるので説明は省略する。ストロボ発光制御前の測色処理で、色温度変換フィルタ44又は色温度変換フィルタ40を用いて行うキセノン管45の発光量の比率A:Bが光F4の測定色温度に応じて定められる。
【0209】つまり、色温度変換フィルタ44が投光面前に移動されて発光されるキセノン管45の発光量と、色温度変換フィルタ40が投光面前に移動されて、発光されるキセノン管45の発光量との比率A:Bが、光F4の色温度に応じて定められる。
【0210】求められた比率A:Bに応じて、少ない比率に対応したフィルタを用いる場合(以下A<Bとし、色温度変換フィルタ44を用いて先に発光させる場合について説明する)の最大発光時間Laがシステムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルから求められる。求められた最大発光時間Laのデータがタイマー回路34に設定され、タイマー回路34の計時動作が開始される(ステップ287)。
【0211】発光比率の小さいフィルタ、ここでは色温度変換フィルタ44が、キセノン管45の投光面前に位置するよう、モータ282が駆動される(ステップ288)。なお、光F4の色温度値から定められた比率A:BがもしA>Bならなば、色温度変換フィルタ40がキセノン管45の前に先に移動され、以下の処理がなされる。
【0212】次に調光制御を行うべく、色温度変換フィルタ44を用いた場合の適正積分値Ma(デジタルデータ)が、システムコントロール回路22のメモリに記憶されたデータテーブルを用いて、光F4の色温度測定値から求めら、D/A変換器62に出力される(ステップ289)。この適正積分値Maは上記比率Aに対応した値であり、D/A変換器62においてアナログ電圧値の信号S8に変換されてコンパレータ61に出力される。オペアンプ60等から構成される積分回路が積分開始信号S5によってリセットされた後(ステップ290)、積分が開始される(ステップ291)。これにより、反射光F4の累積光量による調光制御が開始される。
【0213】測光センサ28による受光量の積分開始と共に、発光トリガ信号S3が出力され、キセノン管45の発光が開始される(ステップ292)。調光制御によって、クエンチ信号S6が入力されたか否かがシステムコントロール回路22において判断される(ステップ293)。クエンチ信号S6が入力されたなら、発光トリガ信号S3の出力が停止され、キセノン管45の発光が停止される(ステップ295)。
【0214】しかし、クエンチ信号S6が入力されない場合は、タイマー回路34からのタイムオーバ信号の入力有無がシステムコントロール回路22において判断される(ステップ294)。タイムオーバ信号が入力されなければ、ステップ293の判断に戻り、逆に入力があれば、発光トリガ信号S3の出力が停止されてキセノン管45の発光が停止される(ステップ295)。そして、タイマー回路34の計時動作が停止される(ステップ296)。次に、色温度測定値によって定められた発光比率の大きいフィルタ、ここでは色温度変換フィルタ40に対応した最大発光時間Lbが、データテーブルから読み出されてタイマー回路34に設定され、タイマー回路34がスタートされる(図52のステップ330)。
【0215】色温度変換フィルタ44に代えて色温度変換フィルタ40が、モータ282の駆動でキセノン管45の前に移動される(ステップ331)。色温度変換フィルタ40を伴うキセノン管45の調光制御を行うべく、光F4の測定色温度から求められる適正積分値MbがD/A変換器62に設定される(ステップ332)。そして積分回路のリセット後(ステップ333)、積分が開始され(ステップ334)、その後、発光トリガ信号S3が出力されてキセノン管45の発光が再び開始される(ステップ335)。
【0216】調光制御によるコンパレータ61からのクエンチ信号S6の入力有無と、タイマー回路34からのタイムオーバ信号S14の入力有無とが判別される(ステップ336、337)。クエンチ信号S6が入力されるか、又はタイムオーバ信号S14が入力されると、発光トリガ信号S3の出力が停止され(ステップ338)、キセノン管45の発光が停止される。そしてタイマー回路34の計時動作が停止される(ステップ339)。
【0217】このようにしてストロボ発光制御が終了されると、CCD11において蓄積された信号電荷が画像信号として読み出され、信号処理回路15で所定フォーマットの画像信号に変換された後、記録回路19によって記録媒体Mに記録される。その後、条件によっては、充電開始信号S2が再びシステムコントロール回路22から充電回路50に出力され、次の新たなストロボ発光制御の準備が行われる。
【0218】以上のように第7実施例では、制御目的の色温度範囲に応じて、(6)式によって定められる色温度変換フィルタ44と、(7)式によって定められる色温度変換フィルタ40とをキセノン管45の前に、交換移動できるように設けた。しかも、色温度変換フィルタ44が投光面前にあるときのキセノン管45の発光量と、色温度変換フィルタ40が投光面前にあるときのキセノン管45の発光量との比率を、光F4の色温度から定め、ストロボ装置25全体の合成発光色温度を調整するようにした。さらに、調光制御により、一方の色温度変換フィルタを用いたキセノン管45の発光量が過多に増大することを防止すべく、それぞれの色温度変換フィルタにおけるキセノン管45の発光時間に、光F4の色温度に基づいて制限を加えた。
【0219】これにより、光の色温度に応じて、的確にストロボ装置の合成発光色温度を調整することが可能であり、より自然なスチルビデオ撮影が可能になる。しかも、調光制御によって一方の色温度変換フィルタを用いた場合のキセノン管の発光量が増大することを防止でき、ストロボ装置の合成発光色温度が目的値からずれることも防止できる。
【0220】上記第6、7実施例によれば、キセノン管の原色温度と制御目的色温度範囲に対して、何れの色温度変換能力を持ったフィルタを用いればよいのか容易に特定でき、且つストロボ装置の合成発光色温度をより正確に制御できる。しかも、制御目的色温度範囲に対して的確なフィルタを用いることが可能なので、発光時のメインコンデンサの蓄積電荷量によってキセノン管の発光量が微少変動した場合にも、その発光量の変動によるストロボ装置の合成発光色温度が目的値からずれることを最小限に抑えることができる。
【0221】さらに、色温度変換フィルタを特定できることから、発光手段の色温度に拘らず、様々な色温度の光を発生させることができる。例えば、上記各実施例のように発光手段にキセノン管を用いた場合、一般的な自然光や蛍光灯等の人工光に対応した色温度の光を生成でき、如何なる撮影環境においても、より色バランスの優れた撮影画像を得ることができる。
【0222】次に第8実施例として、複数のキセノン管を同時に発光させる例を説明する。図53は、この実施例における撮影動作を示すタイミングチャートである。なお、回路構成は図14および図15に示すものと同様である。
【0223】シャッターレリーズスイッチが全押しされると(符号W1)、測色センサ23と測色制御回路24が作動し(符号W2)、外光のR/G信号およびB/G信号がシステムコントロール回路22に入力される。システムコントロール回路22では、これらの信号に基づいて、ストロボ制御信号が演算される(符号W3)。このストロボ制御信号は、第1および第2のキセノン管45、41の発光時間に対応するものである。
【0224】ストロボ制御信号の演算が終了すると、ストロボ装置25により第1およひ第2の発光開始信号W4、W5が同時に出力され、これにより第1および第2にキセノン管45、41がそれぞれ発光を開始する。そしてストロボ制御信号に基づいたタイミングで、第1および第2の発光停止信号W6、W7が出力され、これにより第1および第2のキセノン管45、41の発光がそれぞれ停止する。すなわち、第1のキセノン管45は発光開始信号W4の立ち上がりによって発光を開始し、発光停止信号W6の立ち上がりによって発光を停止する。また、第2のキセノン管41は発光開始信号W5の立ち上がりによって発光を開始し、発光停止信号W7の立ち上がりによって発光を停止する。
【0225】第1および第2のキセノン管45、41は、基本的に同じ性能を有し、発光開始後の光強度W8、W9の時間的変化は同じであり、発光時間を制御することにより、所定の光量が得られる。この光量は、図53において斜線を施した部分の面積に対応している。すなわちこの例では、第1のキセノン管45と第1の色フィルタ44を介して得られる光量は相対的に少なく、第2のキセノン管41と第2の色フィルタ40を介して得られる光量は相対的に多い。したがってCCD11によって検出されるストロボ光の分光分布は、結果的に、図26(c)に示されるようなものとなる。つまり、ストロボ光が外光とほぼ同じ色温度のストロボ光を発光したのと同等な効果が得られる。
【0226】なおCCD11における電荷の蓄積は、第1および第2の発光開始信号W4、W5の立ち上がりの直前に開始されるようになっており、また電荷蓄積の時間W10はキセノン管45、41の発光時間よりも充分に長い。また第8実施例では、第1および第2のキセノン管45、41の発光開始タイミングは同じであったが、これらのキセノン管45、41の発光開始および発光停止は、全く別個に行ってもよく、少なくとも電荷蓄積時間W10の間に行われればよい。
【0227】図54は、第9実施例であるスチルビデオカメラのブロック図を示すものである。この実施例では、第1のキセノン管45と第1の色フィルタ44の間、また第2のキセノン管41と第2の色フィルタ40の間に、それぞれ第1および第2の液晶フィルタ433、434が配設されている。これらの液晶フィルタ433、434は、システムコントロール回路22によって制御され、これにより光の透過率が変化する。この実施例では、第1および第2のキセノン管45、41の発光時間は同じであり、液晶フィルタ433、434の各透過率をそれぞれ制御することにより、色フィルタ44、40を通過する光の強度が変化し、これによりストロボ光の分光分布が制御される。
【0228】図55はこの実施例におけるタイミングチャートを示したものである。なお、この図において符号W11、W12は、それぞれ第1および第2の液晶フィルタ433、434の制御信号であり、この信号の振幅が大きいほど液晶フィルタの透過率が高くなるように制御される。また、この実施例では、第1および第2のキセノン管45、41は同時に発光を開始し、また同時に発光を停止しているが、各キセノン管45、41の発光時間が同じであればよく、これらのキセノン管45、41の発光動作は独立に行われてもよい。
【0229】以上のように第8および第9実施例によれば、ストロボ光の色温度が被写体の色温度に近くなるように制御することができる。したがって、画像の全体に渡って適当なホワイトバランス調整が行われ、全画面に渡って赤側あるいは青側に偏った色が出現することが防止される。また通常ストロボ光は昼光色に近いため、従来、昼光照明をしたくない場合であってもストロボ発光により強制的に昼光照明となっていたが、第8および第9実施例によれば、ストロボ光が外光と同じ色温度となったのと同じ効果が得られるため、ストロボ装置は本来の補助光の役割を持ち、自然な色再現を得ることができる。
【0230】なお第8および第9実施例では、キセノン管45、41の発光時間あるいは液晶フィルタ433、434の透過率を制御することにより、ストロボ装置の光量を制御してストロボ光の色温度を変えていたが、キセノン管45、41内の気体の性質を変化させることも可能である。またキセノン管45、41に対する印加電圧を変化させても、ストロボ光の色温度を制御することができる。
【0231】なお、上記各実施例に用いた色温度変換フィルタを二種類に限定するものではなく、3種類以上の色温度変換フィルタを用いてもよい。例えば、第6実施例に於いて3種類以上の色温度変換フィルタを用いる場合、各フィルタ専用のキセノン管を設けると共に、各キセノン管の発光量を光F4の色温度から定めて制御する。第7実施例では、モータ282によってキセノン管45の投光面前にそれぞれの色温度変換フィルタを移動できるように設け、各フィルタを用いた場合のキセノン管の発光量を、光F4の色温度に応じて制御する。これにより、ストロボ装置25の合成発光色温度を自由に制御できる。
【0232】各キセノン管の発光・停止を制御するスイッチ手段についても、上記各実施例においては、IGBT52、53を用いたが、これを複数のサイリスタを用いて行うようにしてもよく、IGBTに特に限定するものではない。被写体35からのストロボ反射光の測定手段と、クエンチ信号生成手段についても、図3のようにオペアンプ及びアナログコンパレータに限定するものでなく、デジタル回路によって積分回路と、比較回路とを構成してもよい。各実施例における発光手段として光源にキセノン管を用いたが、これに限定するものでなく、電流のON、OFFによって閃光の発生と停止を繰り返して行えるものなら如何なるものでも良い。
【0233】また、各実施例において、測光センサ28、測色センサ23に入射させる被写体からの光は、CCD11に備える撮影レンズ系を介して入射する光を利用するようにしてもよい。このようにすることで、CCD11に入射する光量をより正確に測定することができ、より正確な調光制御と色温度制御が可能になる。
【0234】また、上記各実施例では、スチルビデオカメラについて説明したが、ストロボ装置25、測色センサ23及び測光センサ28等を備えるストロボ装置に本発明を用いることもできる。つまり、CCD11、信号処理回路15及び記録回路19等のスチルビデオ撮影回路が無いストロボ装置に本発明を適用すれば、従来のストロボ装置の無いスチルカメラ等に使用することができる。
【0235】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ストロボ発光による撮影画面において、常に良好な色再現を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるスチルビデオカメラ全体の構成回路図である。
【図2】白色中のR/G成分およびB/G成分の割合を示す図である。
【図3】測光センサ、積分回路、及び比較回路の詳細図である。
【図4】本発明の第1実施例に係るストロボ装置の回路図である。
【図5】第1実施例におけるフィルタ制御回路の回路図である。
【図6】第1実施例のストロボ装置に使用するGH液晶セル説明図である。
【図7】第1実施例におけるスチルビデオカメラの撮影処理のタイミングチャートである。
【図8】第1実施例におけるストロボ投光部の第2、3例の横断面図である。
【図9】図8に示すストロボ投光部の正面図を示す図である。
【図10】第1実施例におけるストロボ投光部の第4、第5例を示す図である。
【図11】第1実施例におけるストロボ投光部の第6、第7例を示す図である。
【図12】第1実施例における、ストロボ投光部の第8例を示す図である。
【図13】第1実施例における液晶セルの応用例を示す図である。
【図14】本発明に於ける第2実施例のスチルビデオカメラのブロック回路図である。
【図15】本発明におけるストロボ装置の第2実施例の回路図である。
【図16】第2実施例のストロボ装置の第1の構成例を示す図である。
【図17】第2実施例のストロボ装置の第2の構成例を示す図である。
【図18】第2実施例のストロボ装置の第3の構成例を示す図である。
【図19】第2実施例のストロボ装置の第4の構成例を示す図である。
【図20】第2実施例のストロボ装置の第5の構成例を示す図である。
【図21】第2実施例のストロボ装置の第6の構成例を示す図である。
【図22】第2実施例のストロボ装置の第7の構成例を示す図である。
【図23】異なる複数の色温度下でのホワイトバランス特性を示す図である。
【図24】光源の色温度を示す図である。
【図25】ストロボ光の分光分布の例を示す図である。
【図26】本発明の第2実施例におけるストロボ光の色温度の制御を説明するための図である。
【図27】各色温度変換フィルタによって変換する色温度範囲の上位にキセノン管の原色温度が位置する関係を示す図である。
【図28】各色温度変換フィルタによって変換する色温度範囲の中間にキセノン管の原色温度が位置する関係を示す図である。
【図29】各色温度変換フィルタによって変換する色温度範囲の下位にキセノン管の原色温度が位置する関係を示す図である。
【図30】各色温度変換フィルタによって制御できる色温度範囲に於いて、キセノン管の発光量が微少変化したときの目的色温度からの変位量を示す図である。
【図31】図30より色温度変換能力が高い各色温度変換フィルタで制御する範囲に於いて、キセノン管の発光量が微少変化したときの目的色温度からの変位量を示す図である。
【図32】第2実施例の撮影処理全体のシーケンス図である。
【図33】第2実施例における複数のメインコンデンサへの同時充電処理のフローチャートを示す図である。
【図34】第2実施例における複数のメインコンデンサへの充電処理を別々に行うフローチャートを示す図である。
【図35】第2実施例における複数のメインコンデンサへの充電処理を別々に行うフローチャートを示す図である。
【図36】第2実施例のストロボ発光制御のフローチャート図である。
【図37】第2実施例のストロボ発光制御のフローチャート図である。
【図38】本発明に於けるストロボ装置の第3実施例の回路図である。
【図39】第3実施例に於ける複数のメインコンデンサへの充電処理のフローチャートを示す図である。
【図40】本発明に於けるストロボ装置の第4実施例の回路図である。
【図41】第4実施例のストロボ発光制御のフローチャート図である。
【図42】第4実施例のストロボ発光制御のフローチャート図である。
【図43】本発明に於けるストロボ装置の第5実施例の回路図である。
【図44】本発明に於けるストロボ装置の第6実施例の回路図である。
【図45】第6実施例のストロボ発光制御のフローチャート図である。
【図46】第6実施例のストロボ発光制御のフローチャート図である。
【図47】本発明に於けるストロボ装置の第7実施例の回路図である。
【図48】第7実施例のストロボ装置の正面図である。。
【図49】第7実施例のストロボ装置の断面図である。
【図50】第7実施例のストロボ装置の断面図である。
【図51】第7実施例のストロボ発光制御のフローチャート図である。
【図52】第7実施例のストロボ発光制御のフローチャート図である。
【図53】第8実施例の撮影処理のタイミングチャートである。
【図54】第9実施例のスチルビデオカメラのブロック回路図である。
【図55】第9実施例の撮影処理のタイミングチャートである。
【図56】従来例の説明図である。
【符号の説明】
11 CCD
12 CDS回路
13 色分離回路
14 ホワイトバランス調整回路
15 信号処理回路
16 インタフェース回路
17 ディスプレイ
18 FM変調回路
19 記録回路
20 絞り
22 システムコントロール回路
23 測色センサ
24 測色制御回路
25 ストロボ装置
26 撮像素子駆動回路
27 絞り駆動回路
28 測光センサ
29 ストロボ調光回路
30 測光センサ
31 測光回路
32 露出演算回路
33 レリーズスイッチ
34 タイマー回路
35 被写体
36 撮像光学系レンズ
40、44 色温度変換フィルタ
41、45 キセノン管

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体を照射する光または被写体が発する光の色温度を測定する測色手段と、この測色手段による測定色温度に基づき、ストロボ発光手段が発する光の色温度を前記測定色温度と実質的に同じ色温度に変換する色温度変換手段とを備えたことを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】 前記色温度変換手段が、前記ストロボ発光手段が発する光の色温度を変換する色温度変換フィルタと、印加電圧によって透過光量を調整可能な液晶と、印加電圧調整手段とを備え、前記液晶によって、前記ストロボ発光手段からの直接光および前記色温度変換フィルタを透過した光のうちの一方の光の外部への投射光量を調整することにより前記測定色温度と実質的に同じ色温度のストロボ光を生成することを特徴とする請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項3】 前記ストロボ発光手段の発光色温度がKc〔K〕であり、前記色温度変換フィルタを介して得られる光の色温度がKa〔K〕であるとき、前記色温度変換フィルタが、下記(1)式により表される色温度変換能力Taを持つことを特徴とする請求項2に記載のストロボ装置。
Ta=(106 /Ka)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (1)
【請求項4】 前記ストロボ発光手段の原発光色温度がKc〔K〕であるとき、前記色温度変換手段が、下記(2)式で表される色温度変換能力Taを持つ第1の色温度変換フィルタと、下記(3)式で表される色温度変換能力Tbを持つ第2の色温度変換フィルタと、前記第1および第2の色温度変換フィルタを前記ストロボ発光手段の投光面前に選択して移動する移動手段とから構成され、各色温度変換フィルタが前記ストロボ発光手段の投光面前に移動されて発せられる各光の合成色温度を少なくとも色温度Ka’〔K〕から色温度Kb’〔K〕(Ka’<Kb’)の間に制御可能であることを特徴とする請求項1に記載のストロボ装置。
Ta≧(106 /Ka’)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (2)
Tb≦(106 /Kb’)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (3)
【請求項5】 前記第1の色温度変換フィルタがアンバー系の色温度変換フィルタであり、前記第2の色温度変換フィルタがブルー系の色温度変換フィルタか又は色温度変換能力Tb=0であることを特徴とする請求項4に記載のストロボ装置。
【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5に記載のストロボ装置と、被写体からの到来光量を測定する測光手段と、該測光手段による測定光量が所定量に達したとき前記ストロボ発光手段の発光を停止させる発光停止手段と、被写体像を画像信号に変換する撮像素子と、前記測色手段により測定された色温度に応じて撮像素子が出力する画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段とを備えたことを特徴とするスチルビデオカメラ。
【請求項7】 被写体の明るさを測定する測光手段と、該測光手段による測光結果から被写体の明るさが所定値以上でないとき、前記ストロボ発光手段の発光色温度にしたがって前記画像信号のホワイトバランスを調整することを特徴とする請求項6に記載のスチルビデオカメラ。
【請求項8】 被写体の色温度を測定する測色手段と、複数の閃光発光管と、該閃光発光管の投光面前それぞれに具備され、相互に異なる分光透過率を有する色温度変換フィルタと、前記各閃光発光管の発光量を調整して閃光全体の合成色温度を前記測色手段による測定色温度に適合させる制御手段とを備えたことを特徴とするストロボ装置。
【請求項9】 前記各閃光発光管の発光用電荷を蓄積する複数の電荷蓄積手段と、該電荷蓄積手段の端子電圧値を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段によって測定された前記端子電圧値に応じて充電信号を出力する充電手段と、該充電手段と前記各電荷蓄積手段との電気的接続を開閉する複数のスイッチ手段とを備えたことを特徴とする請求項8に記載のストロボ装置。
【請求項10】 前記電圧検出手段が前記充電手段の出力端子と並列に接続され、前記スイッチ手段は前記各電荷蓄積手段への充電が行われない場合、常に開放されていることを特徴とする請求項9に記載のストロボ装置。
【請求項11】 前記閃光発光管それぞれの発光用電荷を蓄積する複数の電荷蓄積手段と、該電荷蓄積手段の端子電圧値を検出する複数の電圧検出手段と、該各電圧検出手段によって測定された前記端子電圧値に応じて充電信号を出力する充電手段と、前記各電荷蓄積手段の蓄積電荷が混じり合うことを防止する複数の整流素子とを備えたことを特徴とする請求項8に記載のストロボ装置。
【請求項12】 前記複数の閃光発光管の発光用電荷を蓄積する一つの電荷蓄積手段と、該電荷蓄積手段への充電を行う一つの充電手段と、前記各発光手段の発光開始・停止を制御する一つの発光制御スイッチ手段と、発光トリガ信号を発生する発光トリガ手段と、前記発光トリガ信号を印加する前記各発光手段を選択する選択スイッチ手段とを備えたことを特徴とする請求項8に記載のストロボ装置。
【請求項13】 第1の閃光発光管の発光色温度がKc〔K〕であるとき、この閃光発光管の前に設けられる第1の色温度変換フィルタの色温度変換能力Taが下記(4)式を満足し、第2の閃光発光管の発光色温度がKc’〔K〕であるとき、この閃光発光管の前に設けられの第2の色温度変換フィルタの色温度変換能力Tbが下記(5)式を満足し、前記第1および第2の閃光発光管から発せられる光全体の合成発光色温度が少なくとも色温度Ka’〔K〕から色温度Kb’〔K〕(Ka’<Kb’)の間に制御されることを特徴とする請求項8、9、10、11又は12に記載のストロボ装置。
Ta≧(106 /Ka’)−(106 /Kc) 〔ミレッド〕 (4)
Tb≦(106 /Kb’)−(106 /Kc’)〔ミレッド〕 (5)
【請求項14】 前記第1の色温度変換フィルタがアンバー系の色温度変換フィルタであり、前記第2の色温度変換フィルタがブルー系の色温度変換フィルタか又は色温度変換能力Tb=0であることを特徴とする請求項13に記載のストロボ装置。
【請求項15】 前記測色手段により測定された色温度に基づき、前記複数の閃光発光管の発光時間を制御する発光時間制御手段を備えたことを特徴とする請求項8、9、10、11、12、13又は14に記載のストロボ装置。
【請求項16】 被写体からの到来光量を測定する測光手段と、該測光手段による測定光量が所定量に達したとき前記閃光発光手段の発光を停止させる発光停止手段を備えたことを特徴とする請求項8、9、10、11、12、13、14又は15に記載のストロボ装置。
【請求項17】 請求項8、9、10、11、12、13、14、15又は16に記載のストロボ装置と、被写体像を画像信号に変換する撮像素子と、前記測色手段により測定された色温度に応じて撮像素子が出力する画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段とを備えたことを特徴とするスチルビデオカメラ。
【請求項18】 被写体の明るさを測定する測光手段と、該測光手段による測光結果から被写体の明るさが所定値以上でないとき、前記ストロボ装置の合成発光色温度にしたがって前記画像信号のホワイトバランスを調整することを特徴とする請求項17に記載のスチルビデオカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図4】
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【図5】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図25】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図24】
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【図27】
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【図12】
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【図14】
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【図26】
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【図15】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図35】
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【図38】
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【図34】
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【図36】
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【図37】
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【図40】
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【図39】
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【図43】
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【図45】
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【図46】
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【図41】
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【図42】
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【図44】
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【図56】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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