説明

ストロボ内蔵カメラ

【目的】 ストロボ光の一部がレンズフードに遮られることによって、画面の一部に影がある写真が出来上がることを防ぐことができるストロボ内蔵カメラを提供すること。
【構成】 レンズフードを装着可能な撮影レンズ鏡筒を有するカメラボディと;このカメラボディに設けられたストロボ装置と;撮影レンズ鏡筒へのレンズフードの装着の有無を検出する検出手段と;ストロボ装置を使用するストロボ撮影モードにおいて、この検出手段がレンズフードが有ることを検出したとき、撮影者に対して警告を発する警告手段と;を備えたストロボ内蔵カメラ。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撮影レンズ鏡筒にレンズフードを装着可能なストロボ内蔵カメラに関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】近年市販されているカメラの多くは、ストロボ装置を内蔵している。このため、ストロボ撮影の際には、カメラと別にストロボを持ち運ぶ手間が省けるので携帯には非常に便利である。しかしながら、撮影レンズにレンズフードを装着してのストロボ撮影では、内蔵ストロボを使用すると、ストロボが発光する光の一部がレンズフードに遮られてしまい、画面の一部に影がある写真が出来上がることがしばしばある。これは、内蔵ストロボが、撮影レンズに近接した位置に形成されていることに原因がある。
【0003】ストロボ撮影時に発光部がカメラ本体上方に飛び出す、所謂ポップアップ式またはリトラクタブル式の内蔵ストロボにあっても、レンズフードの口径や全長によってストロボ光の一部がレンズフードに遮られてしまう。このストロボ撮影時におけるレンズフードによる不都合は、単にレンズフードを取り外すだけで解消される。しかしながら、撮影者が撮影中にこの問題点に気付くことは稀であり、出来上がった写真を見て初めて気付くことが殆どである。ファインダー視野からは、撮影レンズにレンズフードが装着されているかどうかが分からないことも、この原因の一つとなっている。このため、レンズフード及び内蔵ストロボを使用しての撮影条件下で多くの撮影コマを撮影してしまい、この結果、撮影した写真の多くが、画面の一部に影がある写真として仕上がってしまうという悲惨な結果になることがしばしばあった。
【0004】
【発明の目的】本発明は、上述した従来の問題点に鑑みて成されたもので、ストロボ光の一部がレンズフードに遮られることによって、画面の一部に影がある写真が出来上がることを防ぐことができるストロボ内蔵カメラを提供することを目的とする。
【0005】
【発明の概要】本発明のストロボ内蔵カメラは、レンズフードを装着可能な撮影レンズ鏡筒を有するカメラボディと;このカメラボディに設けられたストロボ装置と;撮影レンズ鏡筒へのレンズフードの装着の有無を検出する検出手段と;ストロボ装置を使用するストロボ撮影モードにおいて、この検出手段がレンズフードが有ることを検出したとき、撮影者に対して警告を発する警告手段と;を備えたことを特徴としている。
【0006】
【発明の実施例】以下図示実施例に基づいて本発明を説明する。図4及び図5は、本発明を適用したストロボ内蔵カメラを示している。このカメラ10は、カメラボディ12の上部にポップアップ式のストロボ装置14を有し、カメラボディ12の前面に撮影レンズ鏡筒16を有している。両図中のカメラ10では、ストロボ装置14がカメラボディ12からポップアップされたストロボ撮影モードが選択されている。このストロボ撮影モードでは、レリーズ時、ストロボ装置14の発光部15からストロボ光が照射される。ポップアップされたストロボ装置14をカメラボディ12内に収納すると、レリーズ時にストロボ装置14を用いない通常撮影モードとなる。
【0007】撮影レンズ鏡筒16の前端部には、レンズフード20が装着可能とされている。図4は、レンズフード20非装着時のカメラ10を示しており、図5は、レンズフード20装着時のカメラ10を示している。レンズフード20と撮影レンズ鏡筒16との連結部分の構造は、本発明の特徴部分ではないので両図中図示を省略しているが、撮影レンズ鏡筒16の内周面前端部に雌ねじ部を形成し、この雌ねじ部に螺合する雄ねじ部をレンズフード20の後端部外周面に形成する構造や、撮影レンズ鏡筒16前端部とレンズフード20後端部をバヨネットマウントを用いて連結する構造等の公知の連結構造とすることができる。両図中の左側に図示されたRは、被写体の写る範囲を示している。また同図中、Oは、撮影レンズ鏡筒16の光軸を示している。
【0008】図4及び図5の両図には、ストロボ装置14の発光部15の上辺15aから投光された光束が、撮影レンズ鏡筒16のエッジ上部16a(またはレンズフード20のエッジ上部20a)に蹴られない境界線22aと、ストロボ装置14の発光部15の下辺15bから投光された光束が、撮影レンズ鏡筒16のエッジ上部16a(またはレンズフード20のエッジ上部20a)に蹴られない境界線22bとが示されている。図4に示すレンズフード20非装着時のカメラ10によるストロボ撮影では、同図に示された境界線22a及び境界線22bから分かるように、撮影レンズ鏡筒16のエッジ上部16aで遮られたストロボ光による影は範囲Rに至らないので問題ない。
【0009】しかしながら、図5に示すレンズフード20装着時のカメラ10によるストロボ撮影では、同図に示された境界線22a及び境界線22bから分かるように、撮影レンズ鏡筒16のエッジ上部16aで遮られたストロボ光による影は範囲Rに至たる。より詳細には、範囲R1は影ができない範囲、範囲R3は必ず影ができる範囲、これら範囲R1と範囲R3の中間の範囲R2は、範囲R1での状態から範囲R3での状態へ遷移する範囲(下方に行くにつれて徐々に暗くなる範囲)となる。これら図4及び図5から分かるように、ストロボ撮影の際には、レンズフード20を取り外す必要がある。
【0010】本発明のカメラ10は、内蔵のストロボ装置14を用いたストロボ撮影モードにおいて、レンズフード20が装着されているとき、撮影者にレンズフード20を取り外すことが必要であることを認識させる手段を有している。本発明は、この手段をストロボ内蔵カメラに設けたことに特徴を有するものである。以下、この特徴部分について詳述する。
【0011】図3は、本発明の特徴部分に係るカメラ10の主要回路を示したブロック図である。レンズフード検出手段30は、レンズフード20が撮影レンズ鏡筒16に装着されているか否かを検出し、この検出結果を制御手段34に伝達する手段であり、撮影レンズ鏡筒16の前端部に設けられたスイッチ手段(図示せず)等を介してレンズフード20の有無を検出する。
【0012】撮影モード検出手段32は、ストロボ撮影モードと通常撮影モードのいずれの撮影モードが選択されているかを検出し、この検出結果を制御手段34に伝達する手段であり、ストロボ装置14が図4及び図5に示すポップアップ状態にあるときはストロボ撮影モードを検出し、ストロボ装置14が収納状態にあるときは通常撮影モードを検出するように設けられている。
【0013】制御手段34は、カメラ10の様々な制御を行う制御回路(CPU)であり、レンズフード検出手段30からレンズフード20が装着されている旨の検出情報と、撮影モード検出手段32からストロボ撮影モードにある旨の検出情報とを受け取ったとき、警告手段36に警告を発するための駆動信号を出力する。
【0014】警告手段36は、制御手段34が出力した駆動信号を入力したとき、所定の警告を発する。所定の警告としては、撮影者に対してレンズフード20を取り外す必要があることを認識させることができるものであれば、どのような警告でもよい。
【0015】例えば、警告手段36に警告音としてのビープ音を発するビープ音発信手段を設け、制御手段34が出力した駆動信号を入力したとき、このビープ音発信手段を駆動してビープ音を発する構成としてもよい。
【0016】他の例として、警告手段36に、ファインダ接眼部近傍またはファインダ視野内に所定の警告表示マークを設け、制御手段34が出力した駆動信号を入力したとき、この警告表示マークが視認可能な状態にする構成としてもよい。
【0017】また他の例として、警告手段36に、『レンズフードを取り外して下さい』等の音声アナウンスを発する音声発信手段を設け、制御手段34が出力した駆動信号を入力したとき、この音声発信手段を駆動して上記音声アナウンスを発する構成としてもよい。
【0018】また、上記何れかの警告に加えて、カメラ10のレリーズ釦をレリーズ不能とする構成としてもよい。この構成の場合には、警告に従ってレンズフード20を取り外した後は、レリーズ釦を操作可能な状態とする。
【0019】次に、このストロボ内蔵のカメラ10の本発明の特徴部分に係る動作について、図1に示したフローチャートチャートを参照して説明する。カメラ10のメインスイッチ(図示せず)をオンにすると、制御手段34が起動して同図のフローチャートに入る。ステップS11では、レンズフード20が装着されているか否かをレンズフード検出手段30の検出結果により判断し、装着されている場合にはステップS13に進み、装着されていない場合にはリターンする。
【0020】ステップS13では、ストロボ撮影モード及び通常撮影モードのいずれの撮影モードにあるかを撮影モード検出手段32の検出結果により判断し、ストロボ撮影モードにある場合にはステップS15に進み、通常撮影モードの場合にはリターンする。ステップS15では、上述した何れかの所定の警告を発し、その後リターンする。
【0021】以上の構成を有するカメラ10によれば、内蔵ストロボ装置14を用いてのストロボ撮影モードのときにレンズフード20を取り付けていると、カメラ10が撮影者に所定の警告によってレンズフード20を取り外す必要があることを教えてくれるので、ストロボ光の一部がレンズフードに遮られ、この結果、画面の一部に影がある写真が出来上がるような従来の不都合が解消される。
【0022】図2は、カメラ10の本発明の特徴部分に係る動作の別の実施例を示すフローチャートである。同図中のステップS11、13、15は、図1中の同ステップと同様である。ステップS14では、レリーズ釦(図示せず)が半押しされているか否かを、例えば図3に一点鎖で示したレリーズ釦半押し状態検出手段38の検出結果により判断し、半押しされていればステップS15に進み、半押しされていなければリターンする。この図2に示す動作の実施例は、カメラ10がAF機能を備え、レリーズ釦の半押時に測距及び測光等を行い、全押し時にシャッターをレリーズする構成を有するカメラである場合に適用することができる。この図2に示す実施例の動作を行うカメラ10によっても、図1に示す動作を行うカメラ10と同様の効果が得られる。
【0023】本実施例ではカメラ10に関して説明したが、本発明はこれに限定されず、ストロボ装置を内蔵しかつレンズフードを取り付け可能な全てのカメラに適用することができる。
【0024】また、本発明は、撮影レンズ鏡筒を一体に有するカメラに限らず、撮影レンズ鏡筒を別体とする一眼レフカメラ等のカメラにも適用することができる。
【0025】また、本発明を適用可能なカメラの内蔵ストロボは、本実施例のカメラ10に備わるポップアップ式のストロボ装置に限定されることなく、カメラボディに固定して設けられたストロボであってもよい。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明のストロボ内蔵カメラによれば、ストロボ撮影モードにおいて撮影レンズ鏡筒にレンズフードを装着しているときにはカメラが警告を発するので、撮影者はレンズフードの取り外しが必要であることを知ることができる。よって、ストロボ光の一部がレンズフードに遮られることによって、画面の一部に影がある写真が出来上がることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したストロボ内蔵カメラの動作をフローチャートで示す図である。
【図2】同ストロボ内蔵カメラの他の動作をフローチャートで示す図である。
【図3】同ストロボ内蔵カメラの主要回路を示したブロック図である。
【図4】レンズフード非装着時における同ストロボ内蔵カメラのストロボ光の様子を示す説明図である。
【図5】レンズフード装着時における同ストロボ内蔵カメラのストロボ光の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
10 カメラ
12 カメラボディ
14 ストロボ装置
15 発光部
16 撮影レンズ鏡筒
20 レンズフード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 レンズフードを装着可能な撮影レンズ鏡筒を有するカメラボディと;このカメラボディに設けられたストロボ装置と;上記撮影レンズ鏡筒へのレンズフードの装着の有無を検出する検出手段と;上記ストロボ装置を使用するストロボ撮影モードにおいて、この検出手段がレンズフードが有ることを検出したとき、撮影者に対して警告を発する警告手段と;を備えたことを特徴とするストロボ内蔵カメラ。
【請求項2】 請求項1において、警告手段は、警告音の発生手段であるストロボ内蔵カメラ。
【請求項3】 請求項1において、警告手段は、ファインダ視野内に警告表示をする表示手段であるストロボ内蔵カメラ。
【請求項4】 請求項3において、警告表示は、レンズフードの取り外しが必要であることを示す表示マークであるストロボ内蔵カメラ。
【請求項5】 請求項1において、警告手段は、レンズフードの取り外しが必要である旨を音声で撮影者に伝える手段であるストロボ内蔵カメラ。
【請求項6】 請求項2ないし5のいずれか一項において、警告手段は、レリーズ釦を半押ししたときに作動するストロボ内蔵カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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