説明

ストロボ装置

【課題】 下側へのバウンス角度を大きくし、近距離撮影の場合にもカメラボディとの干渉なくバウンスライト可能なバウンス機構を備えたストロボ装置の提供
【解決手段】 ストロボ装置10の本体1の上部に発光部2を光軸に対して下向きに略10度、上向き90度の範囲で回動可能とする第1のバウンス軸部3−1を設け、本体1の下部に本体1を光軸に対して略0度から下向きに略90度の範囲で回動可能とする第2のバウンス軸部3−2を設ける。第2のバウンス軸部3−2を設けたことにより、下方に大きな角度でバウンスできるので、被写体とカメラの距離が近い場合でも十分フラッシュ光を届けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に接続して用いるストロボ装置のバウンス機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ストロボ撮影の際、自然な感じを出すために被写体に直接ストロボ光を発射するのではなく、バウンスライティングによるフラッシュ撮影法がある。バウンスライティングには、閃光の照射方向を撮影レンズの光軸に対して上方または横に向け、天井または壁からの反射光により被写体を照明する方法等がある。バウンスライティング可能なストロボ装置には発光部にバウンスクリック機構が設けられており、予め設定された複数のバウンス位置で発光部を保持する
【0003】
例えば、特許文献1には、発光部のバウンス機構を備えた電子閃光装置において、少なくとも発光部の光軸が撮影レンズの光軸に対して上方に向く位置で発光部をロック可能なバウンスロック機構を備えるようにして 発光部の光軸が撮影レンズの光軸に対して上方に向く位置で発光部をロック可能な電子閃光装置が記載されている。
【特許文献1】特開平06−18965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のストロボ装置のバウンス機構は図7に示すようにストロボ装置70の本体1の上部に発光部2を下向きに略10度、上向き90度の範囲で回動可能とするバウンス軸部3を設けた構造をなしているので大型のクリップオンストロボの場合、このバウンス角度ではレンズとのパララックスが大きいため被写体とカメラの距離が近い場合には光が届きにくいといった課題があった。また、図に示すような上部に1箇所だけバウンス軸部3を設けた構造のバウンス機構で下側に(10度を超えた角度で)大きくバウンスするとカメラのボディ側にフラッシュ光が干渉するため、回動範囲を下側に拡大することは難しいといった課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、下側へのバウンス角度を大きくし、近距離撮影の場合にもカメラボディとの干渉なくバウンスライト可能なバウンス機構を備えたストロボ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、発光部のバウンス機構を備えたストロボ装置において、本体の上部に設けられ、発光部をロック可能な第1のバウンスロック機構と、本体の下部に設けられ、該本体をロック可能な第2のバウンスロック機構と、を備えたことを特徴とするストロボ装置を提供する。
これにより、第1のバウンスロック機構による角度に加え、第2のバウンスロック機構による角度により下方に大きな角度でバウンスできるのでレンズとのパララックスが小さくなる。また、被写体とカメラとの距離が近い場合でも十分フラッシュ光を届けることができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明では、第1のバウンスロック機構は発光部を下向きに10度、上向きに90度の範囲内の位置でロック可能であり、第2のバウンスロック機構は本体を水平位置から下向きに略30度から略90度の範囲内の位置でロック可能であること、を特徴とする請求項1に記載のストロボ装置を提供する。
第2のバウンスロック機構を設けたことにより近接撮影等の近距離撮影がより可能となった。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2のバウンス軸部を設けたことにより、従来のストロボ装置のバウンス構造によるバウンス角度よりもさらに下向きにバウンスすることができるのでレンズとのパララックスが無くなる。また、本体を下方に傾けた分だけ被写体とカメラとの距離が近い場合でも十分フラッシュ光を届けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明に基づくストロボ装置の一実施例の要部を透視した側断面図、図2はストロボ装置の本体下部の断面図であり、符号1はストロボ装置10の本体、符号2は発光部、符号3−1は本体1の上部に設けられ発光部2を撮影レンズの光軸に対して下向きに略10度〜上向きに90度の範囲で回動可能とする第1のバウンス軸部、符号3−2は本体1の下部に設けられ本体1を撮影レンズの光軸に対して略0度〜下向きに略90度の範囲で回動可能とする第2のバウンス軸部、符号4はデジタルカメラ等の電子機器にストロボ装置10を固定すると共に電気的にも接続する台部、符号5は本体1のフロントケース、符号6は本体1のリアケース、符号7は第2のバウンス軸部3−2を含むシューケースASSY(集合部材)を示す。これらの符号の意味は後述する図2〜図6においても同様である。また、第1のバウンス軸部3−1は本発明の第1のバウンスロック機構に相当し、第2のバウンス軸部3−1は本発明の第2のバウンスロック機構に相当する。
【0010】
図3は第2のバウンス軸部3−2の断面図であり、図3で、符号3−2−1はビス止め用穴、符号3−2−2はクリックスプリング、3−2−3はクリックピン、3−2−4は軸、3−2−5はロックノブ、3−2−6は回転台である。軸3−2−4の両端はシューケースASSY7の両端で軸支され、図4に示すように本体1の下部に取り付けられたシューケースASSY7を介して本体1を前方に略0度〜下向きに略90度の範囲で回動可能とする。クリックスプリング3−2−2、クリックピン3−2−3、ロックノブ3−2−5は本体1の回動範囲内の位置でロックするバウンスロック機構をなし、又その操作でロックが解除される。
【0011】
図4は第2のバウンス軸部3−2を含むシューケースASSY7の本体1への取り付け説明図であり、本体1の縦断面を示している。図4(a)は本体1と本体1に取り付ける前のシューケースASSY7を示し、本体1のフロントケース5の下部にはシューケースASSY7のフロント側を嵌合してシューケースASSY7を本体1の下部に固定する嵌合部5−1が設けられている。また、シューケースASSY7には第2のバウンス軸部3−2がその構造の一部として組み込まれている。図4(b)はシューケースASSY7を本体1の下部に組み込む様子を示し、本体1のフロントケース5とリアケース6でシューケースASSY7を挟み込むようにしてASSY7のフロントケース5とリアケース6を嵌合部5−1に嵌め合わせて固定する。図4(c)はシューケースASSY7を組み込んだ本体1を30度回転させた状態を示し、本体1はフロントケース5の下部でシューケースASSY7に固定されるので、向かって右方向に付勢されると第2のバウンス軸部3−2を中心として右に回転する。
【0012】
図5は本発明に基づくストロボ装置10によるバウンス動作(発光部2を回転させない場合)の説明図であり、本体1の側面を示している。図5(a)において、ストロボ装置10は発光部2を撮影レンズの光軸に対して水平に保っている。この状態で、本体1と発光部2のなす角度を90度、本体1と台部4とのなす角度を0度とすると、図5(b)は本体1と発光部2のなす角度を0度、本体1と台部4のなす角度を下向きに30度とした状態、つまり、発光部2を傾けず、本体1だけを第2のバウンス軸部3−2を中心として30度回転させてロックし、結果的に発光部2を下方に30度傾けた状態を示している。このように、第2のバウンス軸部3−2を設けたことにより、結果的に発光部2を大きく下向きに傾けることができる。このまま更に、本体1を下方に45度回転させると発光部2は真下を照射するが、本体1の長さに対応する距離分カメラから発光部2が離れるので、第2のバウンス軸部3−2を設けたことにより近接撮影等の近距離撮影の場合にもカメラボディとの干渉なく大きくバウンスすることが可能となる。
【0013】
図6は本発明に基づくストロボ装置によるバウンス動作(発光部および本体を回転させた場合)の説明図である。図6(a)において、ストロボ装置10は発光部2を撮影レンズの光軸に対して下向きに10度傾け、本体1を下向きに垂直に保った状態を示している。また、図6(b)は図6(a)の状態から更に本体1を第2のバウンス軸部3−2を中心として30度回転させてロックし、結果的に発光部2を下方に40度傾けた状態を示している。このように、第1のバウンス軸部3−1に加えて第2のバウンス軸部3−2を設けたことにより、発光部2をより下向きに傾けることができる。このまま更に、本体1を下方に45度回転させると、発光部2は真下より更にカメラ側の下部を照射するが、本体1の長さに対応する距離分カメラから発光部2が離れる。つまり、第2のバウンス軸部3−2を設けたことにより近接撮影等の近距離撮影の場合にもカメラボディとの干渉なくバウンスライトすることが可能となる。
【0014】
以上、本発明の実施例について説明したが本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に基づくストロボ装置の一実施例の要部を透視した側断面図である。
【図2】ストロボ装置の本体下部の断面図である。
【図3】第2のバウンス軸部の断面図である。
【図4】第2のバウンス軸部を含むシューケースASSYの本体への取り付け説明図である。
【図5】本発明に基づくストロボ装置によるバウンス動作(発光部を回動させない場合)の説明図である。
【図6】本発明に基づくストロボ装置によるバウンス動作(発光部および本体を回動させた場合)の説明図である。
【図7】従来のストロボ装置のバウンス構造の説明図である。
【符号の説明】
【0016】
1 本体
2 発光部
3 バウンス軸部
3−1 第1のバウンス軸部
3−2 第2のバウンス軸部
4 台部
5 本体のフロントケース
6 本体のリアケース
7 シューケースASSY
10 ストロボ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部のバウンス機構を備えたストロボ装置において、本体の上部に設けられ、前記発光部をロック可能な第1のバウンスロック機構と、前記本体の下部に設けられ、該本体をロック可能な第2のバウンスロック機構と、を備えたことを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
前記第1のバウンス機構は前記発光部を下向きに10度、上向きに90度の範囲内の位置でロック可能であり、前記第2のバウンス機構は前記本体を水平位置から下向きに略30度から略90度の範囲内の位置でロック可能であること、を特徴とする請求項1に記載のストロボ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−322454(P2007−322454A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149250(P2006−149250)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(300093467)トーカドエナジー株式会社 (21)
【Fターム(参考)】