説明

ストロー付きキャップ

【課題】ストローとキャップ本体との相対的な位置合わせを行う必要がなく、簡単に組み立てることができるストロー付きキャップを提案する。
【解決手段】本発明のストロー付きキャップは、天面壁11から立ち上がる筒体14の頂部に空気置換孔15を備えるキャップ本体10と、キャップ本体10に直立姿勢で設けられる屈曲性のストロー20と、キャップ本体10に揺動可能に取り付けられる蓋体30とを備え、蓋体30に、閉鎖方向への揺動変位にてストロー20を筒体14上で屈曲させて空気置換孔15を閉塞する押さえ壁34を設け、ストロー20に、天面壁11の裏面側にて一体連結するフランジ23を設け、フランジ23に、少なくともそれらのうちの1個が筒体14に適合して内部空間Mと空気置換孔15とを連通させる複数個の貫通孔25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の吸引を可能とするストローを備え容器の口部に装着される、ストロー付きキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料用の内容物を収納する容器の口部に装着され、内容物の吸引を可能とするストローを備えるストロー付きキャップとしては、例えば特許文献1に記載されているように、容器本体の口部に装着される栓部材と、この栓部材に回動自在に枢支された蓋部材とを備え、栓部材に、内容物の吸引を可能とするストローと、内容物の吸引に伴い容器本体内に空気を導入する空気孔とを設け、蓋部材に、閉蓋時にストローを屈曲させて内容物の流路を閉塞するとともに、屈曲したストローにて空気孔を閉塞する押さえ部材を設けた、携帯用液体飲料容器の栓が知られている。そして特許文献1に記載の栓によれば、分解洗浄が容易となり、転倒時においてもストローから内容物が漏れることがなく、またストローの飲み口から塵埃が入ることを防止できる、とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−205958号公報
【0004】
ところで、特許文献1に記載のストローは、「く」字状に傾斜した形状であるため、分解洗浄後に再度組み立てる際には、蓋部材の枢支軸に対して飲み口が離れる向きに向かうように位置を合わせなければならないという煩わしさがあった。またこのストローは、栓部材から立ち上がるストロー取付部に嵌合保持されているものの、やや強めに引き上げると抜けてしまうおそれがあり、これに対応するべく嵌合代を増して強く嵌合保持させるようにすると、今度は組み立て難くなるという懸念があった。さらに、容器本体と栓部材との間からの内容物の漏れ出しを防止する為には、パッキンを設ける必要があり、部品点数が増加するという問題も残されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ストローをキャップ本体に取り付けるに当たって、ストローとキャップ本体との相対的な位置合わせを行う必要がなく、しかも、ストローの取り付けやすさは維持できる一方で、使用中に外れてしまうおそれがないストロー付きキャップを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器の口部を覆う天面壁を有し該天面壁から立ち上がる筒体の頂部に容器の内部空間に繋がる空気置換孔を備えるキャップ本体と、該キャップ本体に直立姿勢で設けられ該内部空間の内容物の吸引を可能とする屈曲性のストローと、該キャップ本体に揺動可能に取り付けられる蓋体とを備え、該蓋体に、閉鎖方向への揺動変位にて該ストローを該筒体上で屈曲させて該空気置換孔を閉塞する押さえ壁を設けたストロー付きキャップであって、
前記ストローは、前記天面壁の裏面側にて一体連結するフランジを有し、
該フランジは、少なくともそれらのうちの1個が前記筒体に適合して前記内部空間と前記空気置換孔とを連通させる複数個の貫通孔を備えるものであるストロー付きキャップである。
【0007】
前記フランジは、前記容器の口部と前記天面壁との間で挟持され前記内部空間を密閉する端部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
ストローは、キャップ本体に対して直立姿勢で設けられるものとし、またこのストローに、キャップ本体の天面壁の裏面側にて一体連結するフランジを設け、そしてフランジに、複数個の貫通孔を設けて少なくともそれらのうちの1個がキャップ本体の筒体に設けた空気置換孔に適合するようにしたので、ストローとキャップ本体との相対的な位置合わせを行うことなく取り付けることができる上、使用中にストローが外れてしまうことがない。
【0009】
フランジに、容器の口部と天面壁との間で挟持されて容器の内部空間を密閉する端部を設ける場合は、容器とキャップ本体との間に配設していたパッキンを設けることなく内容物の漏れ出しを防止することができるため、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に従うストロー付きキャップを容器に装着して示す側面視での断面図であって、図中実線で示す蓋体及びストローは、蓋体を開放した姿勢で示す図であり、二点鎖線で示す蓋体及びストローは、蓋体を閉鎖した姿勢で示す図である。
【図2】図1に示すストロー付きキャップにつき、蓋体を開放した姿勢で示す平面図である。
【図3】図2に示すストロー付きキャップにつき、蓋体を閉鎖した姿勢で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従うストロー付きキャップを容器に装着して示す側面視での断面図であって、図中実線で示す蓋体及びストローは、蓋体を開放した姿勢で示す図であり、二点鎖線で示す蓋体及びストローは、蓋体を閉鎖した姿勢で示す図であって、図2は、図1に示すストロー付きキャップにつき、蓋体を開放した姿勢で示す平面図であって、図3は、図2に示すストロー付きキャップにつき、蓋体を閉鎖した姿勢で示す平面図である。
【0012】
図1において、符号1は、本発明のストロー付きキャップを装着する容器の一例である。図示の例で容器1は、図示しない有底筒状の胴部に口部1aを一体連結するものであり、その内側に内容物を収納する内部空間Mを備えている。また、口部1aの外面壁には、図示の例ではねじとなる係合部1bが設けられている。
【0013】
図1において、符号10は、口部1aに装着されるキャップ本体である。キャップ本体10は、口部1aを覆う天面壁11と、この天面壁11の裏面に設けられ口部1aを取り囲む外筒12とを備えている。外筒12の内面壁には、係合部1bに対応する被係合部12aを設けている。これにより、キャップ本体10を、ねじ止めにて容器1に固定保持することができる。なお、係合部1b及び被係合部12aは、アンダーカット係合するものであってもよい。
【0014】
天面壁11には、その中央部を貫き、後述するストローを保持する開口13を設けている。また、開口13の外側には、天面壁11から立ち上がり有頂筒状となる筒体14を設けている。図1及び図2に示すように筒体14は、平面視にて幅広のトラック形状となるものであり、上方へ向けて先細りとなるように傾斜させて設けていて、図1に示すように筒体14の頂部には、その表裏を貫いて設けた空気置換孔15を形成している。また、開口13を挟んで筒体14の反対側には、後述する蓋体を揺動可能に保持する軸受部16が設けられている。さらに天面壁11の縁部には、軸受部16を設けた部位を除いて、蓋体を閉鎖姿勢で保持する係止部17が形成されている。
【0015】
図1において、符号20は、シリコーンゴム等の屈曲性のある材料で形成されるストローである。ストロー20は、内容物の吸い口をなし、開口13に挿通されてキャップ本体10に対し直立姿勢で取り付けられるストロー本体21と、ストロー本体21と連通し、容器1の底部に向けて延びるパイプpを嵌合保持する保持部22とを備えている。また、ストロー20は、キャップ本体10の裏面側にて円板状のフランジ23を一体連結するとともに、フランジ23の上方には、フランジ23との間で天面壁11を挟持する突出部24を備えている。そしてフランジ23は、その表裏を貫く貫通孔25を、図2に示すように複数個(図示の例では8個の貫通孔25を同一直径上に均等配置で設けている。)備えている。ここで、筒体14の形状及び貫通孔25の配置は、キャップ本体10に対してストロー20を何れの回転角度で取り付けても、少なくとも1つの貫通孔25が筒体14に適合するように設けている。なおパイプpは、ストロー20と一体連結させてもよい。
【0016】
また、フランジ23の端部23aは、その端縁を径方向外側に向けて伸延させて、図1に示すように容器1の口部1aとキャップ本体10の天面壁11との間で挟持させることが好ましい。これにより、従来、ストロー20とは別体として設けていたパッキン等を設けることなく、容器1及びキャップ本体10の間からの内容物の漏れ出しを抑制することができ、部品点数を削減することができる。
【0017】
図1において、符号30は、キャップ本体10に揺動可能に取り付けられる蓋体である。図示の例で蓋体30は、キャップ本体10上に覆い被さるドーム状の蓋体本体31と、蓋体本体31と一体連結するとともに、図2に示すように対向配置で設けられる枢軸保持部32と、枢軸保持部32の相互間に設けられ軸受部16に保持される枢軸33とを備えている。なお、図示の例では軸受部16と枢軸33とを組み合わせて蓋体30を揺動可能に保持しているが、これらに代えてヒンジにて揺動可能に設けることもできる。また、蓋体本体31の内側には、蓋体30を閉鎖姿勢に変移させることでストロー20を屈曲させる押さえ壁34が設けられている。図示の例で押さえ壁34は、図2に示すように中央部に1個設ける場合を示しているが、間隔をあけて複数個設けてもよい。さらに蓋体本体31の端縁には、キャップ本体10の係止部17に適合する被係止部35を設けるともに、枢軸33の反対側に摘み部36を設けている。
【0018】
上記のように構成されるストロー付きキャップは、キャップ本体10の裏面側からストロー20を開口13に差し込み、突出部24が開口13を乗り越えるまで押し込むことでストロー20を取り付けることができ、しかもストロー20は、キャップ本体10に対する回転方向の相対的な位置合わせを行う必要がないので、取り付け作業が容易となる。
【0019】
そして、本発明のストロー付きキャップを容器1に装着してこれを使用するに当たっては、図1に実線で示すように、蓋体30を開放した姿勢に変位させると、ストロー本体21が直立した姿勢となって空気置換孔15を開放することができ、これにより、内部空間M内の内容物の吸引に伴って容器1内に空気置換孔15から外気を取り込むことができるので、吸引が妨げられることがない。また、ストロー本体21は、これを不用意に引き上げても、フランジ23によってキャップ本体10から外れてしまうことがない。一方、図1及び図3に二点鎖線で示すように、蓋体30を閉栓した姿勢に変位させると、押さえ壁34によってストロー本体21が筒体14上で屈曲し、ストロー本体21の管路を狭めるので、容器1を傾けても内容物の漏れ出しが防止される。この時、屈曲したストロー本体21によって、空気置換孔15も閉塞されるので、この空気置換孔15からの内容物の漏れ出しも併せて防止することができる。
【0020】
なお、図示の例では筒体14を、平面視にて幅広のトラック形状となるように設けたが、ストロー20の取り付け角度によらずに少なくとも1つの貫通孔25に適合する種々の形状のものが適用可能である。例えば図示のように同一直径上に複数個の貫通孔25を配設する場合には、この筒体14を、これらと同一直径上に伸延する円弧状のものとして設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によれば、ストローをキャップ本体に取り付けるに当たって、ストローとキャップ本体との相対的な位置合わせを行う必要がなく、使用中にストローを引き上げても外れてしまうおそれがない上、部品点数も削減することができるストロー付きキャップを提供できる。
【符号の説明】
【0022】
1 容器
1a 口部
10 キャップ本体
11 天面壁
14 筒体
15 空気置換孔
20 ストロー
21 ストロー本体
23 フランジ
23a 端部
25 貫通孔
30 蓋体
34 押さえ壁
M 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部を覆う天面壁を有し該天面壁から立ち上がる筒体の頂部に容器の内部空間に繋がる空気置換孔を備えるキャップ本体と、該キャップ本体に直立姿勢で設けられ該内部空間の内容物の吸引を可能とする屈曲性のストローと、該キャップ本体に揺動可能に取り付けられる蓋体とを備え、該蓋体に、閉鎖方向への揺動変位にて該ストローを該筒体上で屈曲させて該空気置換孔を閉塞する押さえ壁を設けたストロー付きキャップであって、
前記ストローは、前記天面壁の裏面側にて一体連結するフランジを有し、
該フランジは、少なくともそれらのうちの1個が前記筒体に適合して前記内部空間と前記空気置換孔とを連通させる複数個の貫通孔を備えるものであるストロー付きキャップ。
【請求項2】
前記フランジは、前記容器の口部と前記天面壁との間で挟持され前記内部空間を密閉する端部を有する請求項1に記載のストロー付きキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−112405(P2013−112405A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262673(P2011−262673)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000112299)ピップ株式会社 (46)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】