説明

スパイク調節機構およびスパイクシューズ

【課題】スパイクの使用が好ましくない場合には、スパイクシューズからスパイクを取り外したり、スパイクの付いていない靴に履き替えたりしていた。
【解決手段】スパイクシューズのソールからスパイクを出し入れするスパイク調節機構であって、複数のアクチュエータと、複数のアクチュエータの作動流体を加圧する加圧部とを備え、複数のアクチュエータのそれぞれは、作動流体の圧力により、スパイクシューズのソールからスパイクを出し入れするスパイク調節機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパイク調節機構およびスパイクシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソールの底面に滑り止め用のスパイクが取り付けられたスパイクシューズが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2008−212532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スパイクの使用が好ましくない場合には、スパイクシューズからスパイクを取り外したり、スパイクの付いていない靴に履き替えたりしていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、スパイクシューズ(a spiked shoe)のソールからスパイクを出し入れするスパイク調節機構であって、複数のアクチュエータと、複数のアクチュエータの作動流体を加圧する加圧部とを備え、複数のアクチュエータのそれぞれは、作動流体の圧力により、スパイクシューズのソールからスパイクを出し入れするスパイク調節機構が提供される。
【0005】
上記のスパイク調節機構は、加圧部と複数のアクチュエータのそれぞれとの間で作動流体を流通させる配管と、配管の一部に配され、配管の内部を密封するか否かを切り替える切替部とをさらに備えてよい。上記のスパイク調節機構において、前記加圧室は、作動流体を加圧するポンプと、ポンプの吸入口側に配される吸入弁と、ポンプの吐出口側に配される吐出弁とを有してよい。上記のスパイク調節機構において、吸入弁および吐出弁は、一方向弁であってよい。
【0006】
上記のスパイク調節機構において、複数のアクチュエータのそれぞれは、スパイクが結合されるダイアフラムと、ダイアフラムとともに作動流体を貯留するチャンバを形成するシリンダとを有してよい。上記のスパイク調節機構において、スパイクは、ダイアフラムと着脱可能に結合されてよい。
【0007】
本発明の第2の態様においては、上記のスパイク調節機構と、スパイク調節機構を収容するソールを備える、スパイクシューズ(a spiked shoe)が提供される。
【0008】
上記のスパイクシューズにおいて、スパイク調節機構の加圧部は、ソールのかかと部に配されてよい。上記のスパイクシューズは、スパイク調節機構と結合され、スパイクシューズのソールから出し入れされるスパイクをさらに備えてよい。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】スパイクシューズ100の一例を概略的に示す。
【図2】スパイク調節機構140の側面図の一例を概略的に示す。
【図3】スパイク調節機構140の底面図の一例を概略的に示す。
【図4】アクチュエータ210の断面図の一例を概略的に示す。
【図5】加圧部220の側面図の一例を概略的に示す。
【図6】加圧部220の上面図の一例を概略的に示す。
【図7】吸入弁224の断面図の一例を概略的に示す。
【図8】閉止状態における切替部240の断面図の一例を概略的に示す。
【図9】開放状態における切替部240の断面図の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。以下、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。なお、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合がある。また、説明の都合上、図面相互間においても互いの寸法の関係又は比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0012】
図1は、スパイクシューズ100の一例を概略的に示す。本実施形態において、スパイクシューズ100は、アッパー110と、ソール120と、スパイク130と、スパイク調節機構140とを備える。アッパー110は、ソール120と結合される。スパイクシューズ100は、ゴルフシューズであってよい。
【0013】
ソール120は、スパイク調節機構140を収容する。ソール120は、底面122と側面124とを有する。本実施形態において、ソール120の底面122には、スパイク130を出し入れするための開口または窪みが形成される。ソール120の構造は、特に限定されないが、単層構造であってもよく、アウトソール、ミッドソールなどの複数のソールからなる複層構造であってもよい。
【0014】
スパイク130は、ソール120の底面122から突出して、地面に対するグリップ力を向上させる。スパイク130の材質は、特に限定されないが、金属製であってもよく、プラスチック製であってもよい。スパイク130は、スパイク調節機構140と、着脱可能に結合されてよい。スパイク130は、貫通孔132を有してよい。貫通孔132に治具を挿入して回転させることで、スパイク130を容易に着脱することができる。貫通孔132は、スパイク130の着脱を容易にするための治具が装着される治具装着部の一例であってよい。
【0015】
スパイク調節機構140は、スパイクシューズ100のソール120の底面122から、スパイク130を出し入れする。本実施形態において、スパイク調節機構140は、スパイク130をソール120の底面122から突出させるか否かを切り替える切替レバー142を有する。切替レバー142は、ソール120の側面124から、ソール120の外側に露出していてよい。
【0016】
スパイクシューズ100の使用者が、スパイク130をソール120の底面122から突出させるべく切替レバー142を操作した場合に、スパイク調節機構140は、ソール120の底面122に形成された開口を介して、ソール120の底面122からスパイク130を突出させる。一方、スパイクシューズ100の使用者が、スパイク130をソール120の内部に収容すべく切替レバー142を操作した場合には、スパイク調節機構140は、スパイク130をソール120の内部に収容する。
【0017】
金属製のスパイクにより、芝、グリーン、室内の床材などが傷つくことを防止する目的で、金属製のスパイクを有するスパイクシューズの使用が禁止または制限される場合がある。例えば、ゴルフ場において、オフィス、クラブハウスなどに入室するときに、スパイクを取り外す、またはスパイクの付いていない靴に履き替えるように要求される場合がある。
【0018】
プラスチック製のスパイクを有するスパイクシューズを使用する場合には、濡れた床または硬い床の上を歩く場合、使用者は転倒しないように注意する必要がある。また、プラスチック製のスパイクを有するスパイクシューズを履いたまま、コンクリート、アスファルトなどの上を歩くと、スパイクの寿命が減少する。
【0019】
本実施形態において、スパイクシューズ100はスパイク調節機構140を備え、必要に応じて、スパイク130をソール120の内部に収容することができる。これにより、スパイク130が、芝、グリーン、室内の床材などを傷つけることを防止することができる。また、使用者の転倒を抑制することができる。さらに、スパイク130の消耗を低減させることができる。また、切替レバー142を操作することで、スパイク130をソール120の内部に収容することができる。これにより、スパイクシューズ100を履いたまま、スパイク130を収容することができる。
【0020】
なお、本実施形態において、切替レバー142が、ソール120の側面124に配される場合について説明した。しかし、切替レバー142の位置はこれに限定されない。切替レバー142は、アッパー110に配されてもよい。切替レバー142は、スパイクシューズ100のタン(舌革)に配されてもよい。
【0021】
図2は、スパイク調節機構140の側面図の一例を概略的に示す。図3は、スパイク調節機構140の底面図の一例を概略的に示す。図2は、図3のA−A'断面を示す。図2は、スパイク調節機構140をソール120およびスパイク130とともに示す。図3は、図2のスパイク調節機構140を、図2において下方から見た図を示す。図2および図3を用いて、スパイク調節機構140について説明する。
【0022】
本実施形態において、スパイク調節機構140は、アクチュエータ210と、加圧部220と、配管230と、切替部240とを有する。加圧部220は、エアポンプ222と、吸入弁224と、吐出弁226とを含んでよい。配管230は、配管232と、配管234とを含んでよい。エアポンプ222は、ポンプの一例であってよい。
【0023】
スパイク調節機構140は、複数のアクチュエータ210を有してよい。本実施形態において、1つのスパイク130につき、1つのアクチュエータ210が結合される。これにより、アクチュエータ210の容積の合計値を小さくすることができる。その結果、スパイク130の出し入れの応答速度を向上することができる。
【0024】
アクチュエータ210は、作動流体の圧力エネルギを機械的エネルギに変換する。アクチュエータ210は、作動流体の圧力により、スパイクシューズ100のソール120からスパイク130を出し入れする。アクチュエータ210内部の作動流体の圧力が固有の閾値よりも大きくなると、スパイク130がソール120の底面122から突出する。アクチュエータ210内部の作動流体の圧力が固有の閾値よりも小さくなると、スパイク130がソール120の内部に収容される。
【0025】
作動流体は、気体であってよい。これにより、液体の作動流体を用いた場合と比較して、スパイクシューズ100を軽量化することができる。作動流体は、空気であってよい。これにより、外部の空気を吸入して作動流体として利用できる。その結果、スパイク調節機構140の構造を簡略化することができる。
【0026】
本実施形態において、アクチュエータ210は、ソール120に形成された開口250の内部に収容される。アクチュエータ210と開口250との隙間に、ゴムなどの弾性体がはめ込まれてよい。また、アクチュエータ210と開口250との隙間が樹脂などでシールされてよい。これにより、アクチュエータ210と開口250との隙間から、水、土、ゴミなどがスパイクシューズ100の内側に侵入することを防止することができる。
【0027】
加圧部220は、アクチュエータ210の作動流体を加圧する。加圧部220は、ソール120のかかと部に配されてよい。これにより、使用者の体重を利用してアクチュエータ210の作動流体を加圧することができる。
【0028】
エアポンプ222は、アクチュエータ210に作動流体を供給する。本実施形態において、エアポンプ222は、吸入弁224を介してスパイク調節機構140の外部から空気を吸入する。使用者がスパイクシューズ100を装着して歩行すると、エアポンプ222が押圧される。これにより、エアポンプ222は、吐出弁226を介して内部の空気を吐出する。エアポンプ222から吐出された空気がアクチュエータ210に供給されると、アクチュエータ210の内部の圧力が増加する。
【0029】
吸入弁224は、エアポンプ222の吸入口側に配される。吸入弁224は、一方向弁であってよい。吸入弁224は、スパイク調節機構140の外部からエアポンプ222の内部に向かって、作動流体の一例である空気を流通させる。一方、吸入弁224は、エアポンプ222の内部からスパイク調節機構140の外部に向かって作動流体が排出されることを抑制する。
【0030】
吐出弁226は、エアポンプ222の吐出口側に配される。吸入弁224は、一方向弁であってよい。吐出弁226は、エアポンプ222の内部からアクチュエータ210に向かって、作動流体を流通させる。一方、吐出弁226は、アクチュエータ210からエアポンプ222の内部に向かって作動流体が流入することを抑制する。
【0031】
配管230は、加圧部220と複数のアクチュエータ210のそれぞれとの間で作動流体を流通させる。配管232は、加圧部220の吐出弁226と、切替部240との間で作動流体を流通させる。配管234は、切替部240と、複数のアクチュエータ210のそれぞれとの間で作動流体を流通させる。
【0032】
切替部240は、配管230の一部に配され、配管230の内部を密封するか否かを切り替える。ここで、密封するとは、加圧部220から切替部240に供給された作動流体の大部分を複数のアクチュエータ210に供給することができる程度に、作動流体の漏出を抑制することをいい、作動流体を配管230の内部に完全に封じ込める場合に限定されない。
【0033】
本実施形態において、切替部240は、配管232と配管234との間に配され、切替部240には開口242が形成される。また、切替部240は切替レバー142を有し、使用者が切替レバー142を操作することにより、切替部240が配管230の内部を密封するか否かを切り替える。
【0034】
スパイクシューズ100の使用者が、スパイク130をソール120の内部に収容すべく切替レバー142を操作した場合、切替部240は、配管230の内部の作動流体の一部を、開口242を介して配管230の外部に排出させる。これにより、アクチュエータ210の内部の作動流体の圧力が大気圧と同程度の圧力になる。その結果、スパイク130が、ソール120の内部に収容される。
【0035】
一方、スパイクシューズ100の使用者が、スパイク130をソール120から突出させるべく切替レバー142を操作した場合、切替部240は、配管230の内部の作動流体が開口242から外部に排出されることを抑制する。これにより、加圧部220から切替部240に供給された作動流体が複数のアクチュエータ210に供給される。その結果、アクチュエータ210の内部の作動流体の圧力が大気圧よりも大きくなり、スパイク130が、ソール120から突出する。
【0036】
なお、本実施形態において、加圧部220が、吸入弁224から吸い込んだ外部の空気をアクチュエータ210に供給することで、アクチュエータ210の内部の作動流体の圧力を増加させる場合について説明した。また、切替部240が、配管230の内部の作動流体の一部を配管230の外部に排出することで、アクチュエータ210の内部の作動流体の圧力を減少させる場合について説明した。しかし、スパイク調節機構140はこれに限定されない。作動流体を貯留する貯留部をさらに備え、加圧部220は、貯留部から吸い込んだ作動流体をアクチュエータ210に供給してもよい。切替部240は、配管230の内部の作動流体の一部を貯留部に排出してもよい。
【0037】
また、本実施形態において、アクチュエータ210が、ソール120を貫通する開口250の内部に収容される場合について説明した。しかし、アクチュエータ210の配置はこれに限定されない。アクチュエータ210は、ソール120の底面122に形成された窪みに配されてもよく、ソール120の内部に埋め込まれてもよい。
【0038】
図4は、アクチュエータ210の断面図の一例を概略的に示す。本実施形態において、アクチュエータ210は、ダイアフラム410と、シリンダ420とを有する。シリンダ420は、シリンダ本体422と、ガイド部材424と、シール部材428を含む。アクチュエータ210の内部には、作動流体を貯留するチャンバ430が形成される。図4においては、説明を簡単にする目的で、各部の間に隙間があるように作図されている。しかし、実際の実施形態において、アクチュエータ210の各部は隙間なく結合される。
【0039】
ダイアフラム410は、チャンバ430の内部と外部とを隔てる。ダイアフラム410のチャンバ430の外部と接する側の面には、スパイク130が結合される。スパイク130は、ダイアフラム410に着脱可能に結合されてよい。ダイアフラム410は、スパイク130が取り付けられるねじ穴を有してよい。ダイアフラム410は、ゴムなどの弾性体により形成されてよい。
【0040】
ダイアフラム410は、チャンバ430内部の作動流体の圧力により、スパイク130を、図中、上下方向に移動させる。チャンバ430内部の作動流体の圧力が固有の閾値より大きくなると、ダイアフラム410は、ガイド部材424と接触するまで、図中、下方向に移動する。これにより、スパイク130が、図中、下方向に移動する。一方、チャンバ430内部の作動流体の圧力が固有の閾値より小さくなると、ダイアフラム410は、図中、下方向に移動する。これにより、スパイク130が、図中、上方向に移動する。
【0041】
シリンダ本体422は、ダイアフラム410とともにチャンバ430を形成する。シリンダ本体422は、中空形状を有してよい。シリンダ本体422には、ダイアフラム410が配される開口425と、チャンバ430と配管234との間で作動流体を流通させる開口426とが形成される。
【0042】
ガイド部材424は、スパイク130の移動をガイドする。これにより、スパイク130が、直線状に移動することができる。ガイド部材424は、ダイアフラム410とシリンダ本体422とを密着させるように、シリンダ本体422と結合される。これにより、作動流体が、ダイアフラム410とシリンダ本体422との隙間を介して外部に排出されることを抑制することができる。
【0043】
シール部材428は、ガイド部材424の底面122側の面に配される。シール部材428には、スパイク130が出入りする貫通孔が形成される。シール部材428は、ゴム、樹脂などの弾性を有する材料で形成されてよい。シール部材428の平面形状は、ソール120の開口250の形状に合わせて決定されてよい。これにより、アクチュエータ210と開口250との隙間から、水、土、ゴミなどがスパイクシューズ100の内側に侵入することを防止することができる。シール部材428の平面形状はリング状であってよい。
【0044】
なお、本実施形態において、アクチュエータ210が、ダイアフラム410と、シリンダ420とを有する単動型シリンダである場合について説明した。しかし、アクチュエータ210はこれに限定されない。アクチュエータ210は、ダイアフラム410の代わりにばね等の弾性体とピストンとを組み合わせた単動型シリンダであってもよく、復動型シリンダであってもよい。しかし、ダイアフラム410を用いることで、チャンバ430への水、土、ゴミなどの流入を防止することができる。
【0045】
図5は、加圧部220の側面図の一例を概略的に示す。図6は、加圧部220の上面図の一例を概略的に示す。図5および図6を用いて、加圧部220について説明する。本実施形態において、加圧部220は、エアポンプ222と、吸入弁224と、吐出弁226とを有する。エアポンプ222は、ダイアフラム512と、弾性体514と、支持部522とを含む。ダイアフラム512と支持部522とが結合されて、エアポンプ222の内部に作動流体を貯留するチャンバ530が形成される。
【0046】
ダイアフラム512は、形状を変形させることにより、チャンバ530の内部の作動流体を流動させる。ダイアフラム512は、中空の半球状または半楕円体状の形状を有してよい。ダイアフラム512には、吸入口624および吐出口626が形成される。吸入弁224から吸い込まれた作動流体は、吸入口624を通って、チャンバ530の内部に流入する。チャンバ530の内部の作動流体は、吐出口626を通って、チャンバ530の内部から排出される。チャンバ530から排出された作動流体は、吐出弁226を介して、アクチュエータ210に供給される。ダイアフラム512は、ゴム、樹脂製のシートなどの柔軟性を有する材料により形成されてよい。
【0047】
弾性体514は、押圧されて変形したダイアフラム512の形状を回復させる。弾性体514は、チャンバ530の内部に配される。弾性体514は、一端が支持部522と結合される。弾性体514の他端は、ダイアフラム512と結合される。本実施形態において、弾性体514としてばねが用いられる。
【0048】
次に、エアポンプ222の動作について説明する。使用者がスパイクシューズ100を装着した状態で歩行すると、使用者の体重によりダイアフラム512が押圧されて変形する。これにより、チャンバ530の容積が減少する。その結果、エアポンプ222が、吐出弁226を介して、チャンバ530の内部の作動流体を吐出する。一方、ダイアフラム512を押圧する力が減少すると、弾性体514の弾性力によりダイアフラム512の形状が押圧される前の形状に回復する。これにより、エアポンプ222が、吸入弁224を介して、チャンバ530の内部に作動流体を吸入する。
【0049】
図7は、吸入弁224の断面図の一例を概略的に示す。なお、吐出弁226も、吸入弁224と同様の構成を有してよい。本実施形態において、吸入弁224は、弁箱710および弁箱720と、弁体732と、弾性体734と、弁座736とを備える。弁箱710には、弁箱710の内部から弁箱710の外部に作動流体を排出する排出口712が形成される。弁箱720には、弁箱720の外部から弁箱720の内部に作動流体が流入する流入口722が形成される。
【0050】
弁体732および弾性体734は、弁箱710の内部に配される。弾性体734は、一端が弁箱710の内面と結合される。弾性体734の他端は、弁体732と結合される。弁座736は、弁箱720の内部に配される。弁箱720が弁箱710の外側を覆うように、弁箱710と弁箱720とが結合される。これにより、弾性体734が弁体732を弁座736に押し付ける。その結果、作動流体は、流入口722から排出口712に向かって流れることはできるが、排出口712からに流入口722向かって流れることはできない。弁箱710および弁箱720により弁箱を形成することで、吸入弁224の組み立てが容易になる。
【0051】
図8は、閉止状態における切替部240の断面図の一例を概略的に示す。図9は、開放状態における切替部240の断面図の一例を概略的に示す。図8および図9を用いて、切替部240について説明する。本実施形態において、切替部240は、流通部810と、開閉部820とを有する。流通部810は、切替部本体812と、蓋部材814とを含む。開閉部820は、閉止部材822と、押込部材824と、支持部材826と、蓋部材828とを含む。
【0052】
流通部810は、作動流体を流通させる。本実施形態において、切替部本体812は、中空形状を有し、一端に開口816が形成される。蓋部材814は、切替部本体812の開口816を閉止する。これにより、切替部本体812の内部に、作動流体が流通する流路830が形成される。切替部本体812には、流入口832と、排出口834と、圧力調整用の開口836が形成される。
【0053】
加圧部220から供給された作動流体は、流入口832を通って、流路830の内部に流入する。流路830の内部の作動流体は、排出口834を通って、流路830の内部から排出される。開口836は、流路830の内部を、スパイク調節機構140の外部に対して開放する。開口836が外部に対して開放されている場合、流路830の内部の作動流体は、開口836を通って、外部に排出される。
【0054】
開閉部820は、開口836を開閉する。閉止部材822は、押込部材824により開口836に押し込まれて、開口836を閉止する。閉止部材822は、流路830内部の作動流体の圧力により開口836から押し出されて、開口836を開放する。本実施形態において、閉止部材822は、一端に弾性体842を有する。弾性体842は、閉止部材822が開口836を閉止するときに、開口836の壁面と接する。これにより、開口836を密封することができる。閉止部材822の他端は、押込部材824に対向して配される。
【0055】
本実施形態において、押込部材824は、回転部844と、突出部846と、切替レバー142と、支持ピン848とを有する。回転部844は、支持ピン848を回転軸として回転する。回転部844は、略円盤状または略球状の形状を有してよい。突出部846は、回転部844の外周の一部に配される。突出部846は、閉止部材822と対向する位置に配されてよい。切替レバー142は、回転部844の外周の一部に配される。突出部846および切替レバー142は、支持ピン848を中心として略対称な位置に配されてよい。回転部844、突出部846および切替レバー142は、一体成形により形成されてよい。本実施形態において、支持ピン848は、回転部844を蓋部材828に対して回転可能に支持する。
【0056】
支持部材826は、押込部材824を支持する。本実施形態において、支持部材826は、押込部材824が配された蓋部材828を支持する。支持部材826は、中空形状を有し、一端に蓋部材828が配される。支持部材826の他端は、切替部本体812と結合される。支持部材826の他端において、支持部材826の壁面が開口836を囲うように配されてよい。支持部材826の壁面の一部には、開口242が形成される。支持部材826は、内部に、閉止部材822および押込部材824を収容する。支持部材826および切替部本体812は一体成形により形成されてよい。
【0057】
蓋部材828は、押込部材824を回転可能に支持する。蓋部材828は、押込部材824を囲うように配されてよい。切替レバー142の少なくとも一部が蓋部材828の外部に配されてよい。
【0058】
次に、切替部240の動作について説明する。突出部846が回転部844の外周から突出しているので、使用者が切替レバー142を操作することで、押込部材824の外表面と開口836との距離が変化する。そこで、使用者が、スパイク130をソール120から突出させるべく切替レバー142を操作すると、押込部材824が閉止部材822を開口836に押し込み、開口836を閉止する。また、流路830内部の作動流体の圧力が増加しても、閉止部材822が開口836から押し出されるのを防止する。
【0059】
一方、使用者が、スパイク130をソール120に収容すべく切替レバー142を操作すると、押込部材824が閉止部材822を開口836に押し込む力が弱まる、または、押込部材824が閉止部材822から離れる。この状態において、流路830内部の作動流体の圧力が一定値よりも大きい場合には、閉止部材822が開口836から押し出される。その結果、流路830内部の作動流体が開口836および開口242を介して、スパイク調節機構140の外部に排出される。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0061】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0062】
100 スパイクシューズ
110 アッパー
120 ソール
122 底面
124 側面
130 スパイク
132 貫通孔
140 スパイク調節機構
142 切替レバー
210 アクチュエータ
220 加圧部
222 エアポンプ
224 吸入弁
226 吐出弁
230 配管
232 配管
234 配管
240 切替部
242 開口
250 開口
410 ダイアフラム
420 シリンダ
422 シリンダ本体
424 ガイド部材
425 開口
426 開口
428 シール部材
430 チャンバ
512 ダイアフラム
514 弾性体
522 支持部
530 チャンバ
624 吸入口
626 吐出口
710 弁箱
712 排出口
720 弁箱
722 流入口
732 弁体
734 弾性体
736 弁座
810 流通部
812 切替部本体
814 蓋部材
816 開口
820 開閉部
822 閉止部材
824 押込部材
826 支持部材
828 蓋部材
830 流路
832 流入口
834 排出口
836 開口
842 弾性体
844 回転部
846 突出部
848 支持ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパイクシューズのソールからスパイクを出し入れするスパイク調節機構であって、
複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータの作動流体を加圧する加圧部と、
を備え、
前記複数のアクチュエータのそれぞれは、前記作動流体の圧力により、前記スパイクシューズの前記ソールから前記スパイクを出し入れする、
スパイク調節機構。
【請求項2】
前記加圧部と前記複数のアクチュエータのそれぞれとの間で前記作動流体を流通させる配管と、
前記配管の一部に配され、前記配管の内部を密封するか否かを切り替える切替部と、
をさらに備える、
請求項1に記載のスパイク調節機構。
【請求項3】
前記加圧部は、
前記作動流体を加圧するポンプと、
前記ポンプの吸入口側に配される吸入弁と、
前記ポンプの吐出口側に配される吐出弁と、
をさらに備え、
前記吸入弁および吐出弁は、一方向弁である、
請求項1または請求項2に記載のスパイク調節機構。
【請求項4】
前記複数のアクチュエータのそれぞれは、
前記スパイクが結合されるダイアフラムと、
前記ダイアフラムとともに、前記作動流体を密封するチャンバを形成するシリンダと、
を有する、
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のスパイク調節機構。
【請求項5】
前記スパイクは、前記ダイアフラムと着脱可能に結合される、
請求項4に記載のスパイク調節機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか一項に記載のスパイク調節機構と、
前記スパイク調節機構を収容するソールと
を備える、
スパイクシューズ。
【請求項7】
前記スパイク調節機構の前記加圧部は、前記ソールのかかと部に配される、
請求項6に記載のスパイクシューズ。
【請求項8】
前記スパイク調節機構と結合され、前記スパイクシューズの前記ソールから出し入れされるスパイクをさらに備える、
請求項6または請求項7に記載のスパイクシューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−231999(P2012−231999A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103196(P2011−103196)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(511109593)
【出願人】(511109607)
【出願人】(511109618)
【出願人】(511109629)
【Fターム(参考)】