説明

スパイラル脱葉機

【課題】ローラに付着した砂や土砂などの夾雑物の除去作業などを不要としてメンテナンス性と耐久性に優れたスパイラル脱葉機を提供する。
【解決手段】枝葉や砂、泥を有した細長の収穫物が供給される搬送方向に所定間隔を有して伸延並列された一対のスパイラルローラ11と、スパイラルローラ11の一方の基端部11aを自由端とし他方の基端部11bを駆動端として回転自在に軸支するローラ軸受部12と、ローラ軸受部12により片持ち支持された1対のスパイラルローラ11の回転軸をそれぞれ逆方向に回転させて上方から供給される収穫物Sの葉Hや砂Nをローラ軸間に挟み込んで除去排出しながら前記収穫物を駆動端側から自由端側に搬送する回転駆動部13を備えた基台部とでスパイラル脱葉機10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂糖キビ等の収穫物に付着している葉や砂、泥などを除去するスパイラル脱葉機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収穫した砂糖キビ等を脱葉処理して砂糖などの抽出装置の原料を供給するための装置として、左右一対のローラ間に砂糖キビ等の葉を挾み込んで茎から葉を引きちぎるようにした脱葉装置が用いられている。このような脱葉装置では、原料である茎がローラ間に噛み込まれて、葉とともに排出されることがあるために歩留りが悪く、また、引きちぎられた葉がローラに巻付くとローラからの取外し作業が煩雑である。このような脱葉装置の改良に関連して例えば、以下のようなものが提案されている。
特許文献1には、砂糖キビ等の収穫物の搬送方向である前後方向に伸延する左右一対のスパイラル式ローラを左右幅方向に間隔を開けて横架すると共に、両スパイラル式ローラを相互に反対方向に回転可能とし、左右一対のスパイラル式ローラ同士はスパイラル状の突条体同士を相互に嵌合させ、相互のブラシの先端と突条体の先端とが干渉する程度に近接させて突条体の上部間に形成される摩擦角を大きく形成したことを特徴とする砂糖キビ等の付着物除去装置が記載されている。
【特許文献1】特許第2667639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献に記載の従来の砂糖キビ等の付着物除去装置のものでは以下のような課題があった。
(1)スパイラル式ローラの軸両端が固定されているため、その中央部は収穫物に付着した砂や泥などの夾雑物を挟んだ時に撓んで膨れる。このローラ間に挟まれたままの夾雑物はスパイラルの送り作用を受け先端部まで送られるが、先端部が固定されて撓まないため夾雑物が積層して抵抗が大きくなり、機械を停止して清掃する必要があった。
(2)スパイラル式ローラ軸先端の固定軸受は、砂糖キビの酸性を帯びた水分及び水分により運ばれる土砂により摩擦が激しい。このため次々と送られて来る夾雑物は先端部で圧縮され、軌間を広げようとする圧力となり軸受部の寿命を著しく短くしていた。
(3)脱葉処理されてローラ上を移動する収穫物がローラ末端の固定軸受の部分で停止して堆積するため、その排出速度が一定せず作業性が悪いという問題があった。
【0004】
本発明は前記従来の課題を解決するためになされたもので、ローラに付着した砂や土砂などの夾雑物の除去作業などを不要としてメンテナンス性と耐久性、作業性に優れたスパイラル脱葉機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)前記従来の課題を解決するためになされた本発明のスパイラル脱葉機は、枝葉や砂、泥を有した細長の収穫物が供給される搬送方向に所定間隔を有して伸延並列された一対のスパイラルローラと、前記スパイラルローラの一方の基端部を自由端とするとともに他方の基端部を駆動端として回転自在に軸支するローラ軸受部と、前記ローラ軸受部により片持ち支持された前記スパイラルローラの回転軸をそれぞれ逆方向に回転させて上方から供給される前記収穫物の枝葉や砂、泥をローラ軸間に挟み込んで除去排出しながら前記収穫物を駆動端側から自由端側に搬送する回転駆動部を備えた基台部と、を有するように構成されている。
【0006】
(2)本発明のスパイラル脱葉機は、前記(1)において、前記スパイラルローラの駆動端を片持ち支持する前記ローラ軸受部を、前記基台部に対して所定角度に傾斜させて固定する傾斜角度調整部を備えていることにも特徴を有している。
【0007】
(3)本発明のスパイラル脱葉機は、前記(1)又は(2)において、前記スパイラルローラにはそのローラ本体の周壁面に合成樹脂製ブラシや弾性ゴムからなる被覆層が配置されており、それぞれの被覆層に突条部がスパイラル状に形成されるとともに両突条部のねじれ方向を相互に反対方向としたことにも特徴を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所定間隔を有して並列された一対のスパイラルローラの先端部を自由端とするとともに他方の基端部を駆動端として回転自在に軸支するようにしているので、ローラ軸が、夾雑物を挟んだ時に先端の排出部に向って開くように撓み、抵抗なく排出される。このような機械自身の自浄作用により清掃のための人手を必要とせず、連続して安全な操業が可能となる。また、スパイラル軸先端側を開放された自由端としているので、砂糖キビの酸性を帯びた水分及び水分により運ばれる土砂によるローラ面への摩擦や腐食を軽減して耐久性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本実施形態のスパイラル脱葉機は、枝葉や砂、泥を有した細長の収穫物が供給される搬送方向に所定間隔を有して伸延並列された一対のスパイラルローラと、前記スパイラルローラの一方の基端部を自由端とするとともに他方の基端部を駆動端として回転自在に軸支するローラ軸受部と、前記ローラ軸受部により片持ち支持された前記スパイラルローラの回転軸をそれぞれ逆方向に回転させて上方から供給される前記収穫物の枝葉や砂、泥をローラ軸間に挟み込んで除去排出しながら前記収穫物を駆動端側から自由端側に搬送する回転駆動部を備えた基台部と、を有するように構成される。これによって、ローラに付着した砂や土砂などの夾雑物がスパイラルローラのその先端側に付着堆積して生じるトラブルを防止してメンテナンス性と耐久性に優れたスパイラル脱葉機を提供することができる。
【0010】
例えば、砂糖キビに付着した砂や泥を除去する際には、左右一対のスパイラルローラの間に、一定長さに切断した砂糖キビを載置し、両ローラを相互に反対方向に回転させると、各ローラのローラ本体の周壁に、相互にねじれ方向を反対にして取付けたスパイラル状の突条部と、ローラ本体との間で砂糖キビの葉を挾み込んで、茎から葉を引き離すことにより脱葉するとともに、砂糖キビの茎に付着した砂や泥等を突条部により掻き落すことができる。
この際、突条部の先端と、対向するローラ本体の周壁とを可及的に近接させて配置した場合には、葉を確実に挾持して脱葉するとともに、茎がローラ本体間に形成される間隙より脱落するのを防止することができる。
【0011】
しかも、ローラ本体の外周面に砂糖キビの葉が巻付いた場合にも、同葉は対向するローラの突条部によりローラ本体の外周面に押付けられて、繰返し引きちぎり作用を受け、やがてローラ本体の自由端から剥離されるために、ローラ本体の外周面に葉が積層状態に巻付くことはなく、常に、ローラ本体の外周面を清浄な状態に保つことができ、各スパイラル式ローラの回転抵抗の増大を防止して、収穫物の脱葉、洗浄機能を良好に確保することができる。
【0012】
そして、相互にねじれ方向が反対向きのスパイラル状の突条部同士により、砂糖キビを脱葉及び付着泥土等の除去を行ないながら、両ローラの長手方向に搬送させることができ、別途搬送装置を設けることなく次工程へ円滑に移送させることができる。また、突条部はローラ本体に植毛された合成樹脂製や金属製のブラシにより形成することができるために、弾力性と柔軟性を備えた突条部により砂糖キビの茎を損傷等させることなく、脱葉や付着物の除去を行なって、砂糖キビの商品価値を良好に確保することもできる。
【0013】
スパイラルローラは、砂糖キビなどの細長の収穫物が供給されるその搬送方向に沿って、互いに所定間隔を有して並列されたローラ対である。このスパイラルローラ本体の周面はスパイラル状の突条部を有して形成され、これら左右の回転する突条部同士の間で収穫物の枝葉となる部分を把持して引きちぎったり、付着した泥などをこすり落としたりすることができるようになっている。突条部は例えばローラ本体に植毛されたブラシ表面に段差を設けてスパイラル状に形成することができる。なお、左右一対に隣接配置される各スパイラルローラのローラ中心間隔Dは、各スパイラルローラの最大外半径dに対して、例えば2d±(1/10)dの範囲とすることが好ましい。すなわち、ローラ中心間隔Dが2d−(1/10)dより狭くなると、各突条部同士の噛み込みが深くなって供給される収穫物を傷つけて商品価値を損ねるような弊害が顕著になる。逆にローラ中心間隔Dが2d+(1/10)dを超えて拡大させると、細長の収穫物とローラ間の接触角度が適正範囲を逸脱して、砂糖キビなどの茎部がローラ間に取り込まれて下部に排出され歩留まり低下の要因となるので好ましくない。
【0014】
ローラ軸受部は、前記スパイラルローラの一方の基端部を自由端とし他方の基端部を駆動端として回転自在に軸支する部材であり、基台部の上部などに固定されて配置される。このようなローラ軸受部に片持ち支持された各スパイラルローラはプーリや、ギア、ベルト、チェーンなどを介して電動モータなどの回転駆動部の動力が伝達されることによって、それぞれ反対方向に回転されるようになっている。
【0015】
基台部は、左右一対のスパイラルローラを片持ち支持するローラ軸受部及びスパイラルローラに動力を伝達する回転駆動部を備えたハウジング部分であり、この開口した上部から所定長さに切り揃えられた砂糖キビなどの細長の収穫物が供給されて、収穫物の枝葉や砂、泥を互いに逆回転するスパイラルローラのローラ軸間に挟み込んで除去排出しながら、この処理された収穫物をスパイラルローラの自由端側に向けて搬送することができる。
【0016】
本実施の形態のスパイラル脱葉機は、前記スパイラルローラの駆動端を片持ち支持する前記ローラ軸受部を、前記基台部に対して所定角度に傾斜させて固定する傾斜角度調整部を備えるようにすることもできる。
傾斜角度調整部を設けることによって、収穫物が供給されるスパイラルローラの傾斜角度を、その収穫物の種類や形状、作業形態、供給速度などに応じて適正角度に調整することが可能となり、砂糖キビなどの収穫物の処理操作を効率良く行うことができる。例えば、スパイラル脱葉機への収穫物の供給速度が過大となって、スパイラルローラの撓み量や回転駆動部の負荷が増大した場合には、スパイラルローラの傾斜角度を変更して、撓み量や負荷を所定範囲に制御して安定した運転を継続させることもできる。
傾斜角度調整部としては、例えば、スパイラル脱葉機の装置本体を前側支持体と後側支持体とにより支持し、前側支持体に設けた油圧シリンダにより装置本体の後部側を軸芯として傾斜調節可能として、装置本体を所望の傾斜姿勢に変更することができるようにした機構のものとすることができる。なお、前記のように装置全体を傾斜させる他に、スパイラルローラを片持ち支持するローラ軸受部を基台部に対して所定角度に傾斜可能に取り付けルようにしてもよい。
【0017】
本実施の形態のスパイラル脱葉機は、前記スパイラルローラにはそのローラ本体の周壁面に合成樹脂製ブラシや弾性ゴムからなる被覆層が配置されており、それぞれの被覆層に突条部がスパイラル状に形成されるとともに両突条部のねじれ方向を相互に反対方向とするように構成することもできる。
これのように形成された突条部を設けることによって、収穫物とスパイラルローラとの当りをソフトにして砂糖キビなどの茎を損傷させることなく、脱葉や付着物の除去を行なって、砂糖キビの商品価値を良好に確保することができる。
【0018】
(実施例1)
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は実施例1のスパイラル脱葉機の正面図であり、図2はその平面図であり、図3は図2における矢視A−A及び矢視B−Bの断面図である。
図1、図2において、10は実施例1のスパイラル脱葉機、11は枝葉や砂、泥を有した砂糖キビなどの収穫物Sが供給されるその搬送方向に所定のローラ中心間隔Dを有して並列された左右一対のローラR、ローラLからなるスパイラルローラ、12はスパイラルローラ11の一方の基端部11aを自由端とし他方の基端部11bを駆動端として回転自在に軸支するためのローラ軸受部、13はローラ軸受部12により片持ち支持されたローラR、Lをそれぞれ逆方向に回転させるための電動モータからなる回転駆動部、14はスパイラルローラ11の基端部11bを片持ち支持するローラ軸受部12及び回転駆動部13が設置されるフレーム状に形成された基台部である。
【0019】
ローラR及びローラLの対からなるスパイラルローラ11は図示するように、それぞれ3組が平行に配列されているが、処理する収穫物の形態や、供給速度などに応じて、所定組数、例えばスパイラルローラ11が4組〜10組のものを適宜配列することができる。
各ローラR,Lのローラ本体11cの周面には、合成樹脂製の線条が植設されてブラシ状に被覆層11dが形成されその表面にはスパイラル状の突条部11eがそれぞれ逆向きとなるように設けられている。従って、ローラR及びローラLをそれぞれ反対方向に回転させことによって、そのローラ軸間に供給された収穫物Sをスパイラルローラ11の自由端となる基端部11a側に向けて移動させることができるとともに、それぞれの突条部11eの間に収穫物Sの葉Hやその表面に付着した砂Nなどを噛み込ませるようにして葉Hを引きちぎりながらローラ軸間の隙間を通してその下部に排出することができる。
【0020】
ローラ軸受部12は基台部14の上部に固定配置され、処理する収穫物Sが供給される各3組のスパイラルローラ11の重量を片持ち支持することのできる所定の剛性と構造強度を有している。
回転駆動部13は、ローラ軸受部12により片持ち支持されたローラR、Lの回転軸をそれぞれ逆方向に回転させるための動力源となる装置であり、ベルト13aやプーリ13b、ギア13c、ギアボックス13dを介してスパイラルローラ11にその動力が伝達されるとともに、図示しない制御部を介してその回転速度が制御できるようになっている。
基台部14は所定の剛性と強度を有したスチールやステンレススチールなどによってフレーム状に形成され、前記ローラ軸受部12及び回転駆動部13が取り付けられる。こうして、そのフレーム上部に形成された開口部から輸送コンベアなどを介して砂糖キビ畑で刈り取られた砂糖キビなどの収穫物Sが定量的に供給されて、収穫物Sの脱葉処理がなされるようになっている。
【0021】
続いて、以上のように構成されたスパイラル脱葉機10における収穫物Sの脱葉処理について図3及び図4を参照して説明する。図4のスパイラルローラによる脱葉機構を示す模式図に示されるように、基台部14上部の開口部から供給された細長の収穫物Sはその軸芯はスパイラルローラ11の軸芯と平行に揃えられて各ローラR、L間の上部に挟み込まれるようにして、その自由端となる基端部11a側に移動する。このとき、収穫物Sの葉Hや砂Nが互いに噛み込むように対向して逆回転する突条部11eの間に引き込まれて除去され、ローラ軸間から下方に排出される。このとき駆動端となる基端部11b側のスパイラルローラ11はローラ軸受部12によって、各ローラR、Lのローラ中心間隔Dが図3(a)に示すように固定されている。一方、その自由端となる基端部11a側が図3(b)に示すようにスパイラルローラ11の弾性により撓むことによってローラ中心間隔Dが拡大しうる状態に保持されている。
【0022】
このため、収穫物Sのスパイラル脱葉機10への過剰供給などに伴うスパイラルローラ11の自由端となる基端部11a側にかかる負荷がこのようなローラ軸の撓みによって効果的に逃がすことができその耐久性を高めることができる。さらに、従来のスパイラル脱葉機のようにスパイラル軸先端に固定軸受となる部分を設けていないので、各ローラ軸の自由端側(基端部11a)が夾雑物を挟んだ時に排出部に向って開くように撓んで抵抗なく排出することができ、機械自身の自浄作用により掃除の手間を省くことができ人手を必要とせず、連続して安全な操業が可能となる。また、スパイラルローラの収穫物が排出される先端側に固定軸受を設けた場合は、砂糖キビの酸性を帯びた水分及び水分により運ばれる土砂によりこの部分の磨耗量が多くなって耐久性が低下するが、スパイラルローラ11の排出側を自由端とすることによって、これらの不具合を回避できる。
【0023】
(実施例2)
図5は前述したスパイラル脱葉機10を用いて構成される砂糖キビ集中脱葉設備のフロー図である。
図5に示すように砂糖キビ集中脱葉設備20はスパイラル脱葉機10の他に、砂糖キビやその処理物などを搬送するための複数の搬送コンベア21と、収穫物Sに付着した砂Nや除去された葉Hなどを吹き飛ばすための送風機22と、搬送コンベア21の末端に滞留した処理物を落下させるための掻き落し装置23と、を有して構成されている。砂糖キビ畑などで刈り取られた砂糖キビなどの収穫物Sは第1送風分離装置の搬送コンベア21上に載置され、搬送コンベア21末端の掻き落し装置23により掻き落とされる。このとき搬送コンベア21末端の下方に設けられた送風機22により収穫物Sに送風して、付着した砂や泥、自然脱落した葉などの夾雑物を脱葉収集装置の搬送コンベア21を介して収集する。一方、掻き落とされた砂糖キビの茎部は、前記第2送風分離装置と同様の第2、第3送風分離装置を介して以上のような洗浄処理を繰り返し実行した後、スパイラル脱葉機10に供給されるようにしている。
【0024】
こうして、砂糖キビ集中脱葉設備20においては、長茎無脱葉の砂糖キビを後続設備であるスパイラル脱葉機10へ供給する際には、搬送コンベア21の始端部側に大量の無脱葉の長茎砂糖キビを供給すると、掻き落し装置23が長茎砂糖キビを終端部側へ搬送し、搬送コンベア21の終端部に形成した掻き落し口より一定量の長茎砂糖キビを掻き落して、スパイラル脱葉機10に連続して供給することができ安定操業を行うことができる。
【0025】
この際、搬送コンベア21上に形成される長茎砂糖キビの滞留空間内に滞留上限検出センサを配置しておき、このセンサが長茎砂糖キビの滞留上限を検出するまでは、搬送コンベアの駆動部を高速度にて駆動させることにより、スパイラル脱葉機10への長茎砂糖キビの一定供給を効率良く行うことができる。そして、掻き落し装置23が長茎砂糖キビに押圧されて上方へ押上げられ、一定以上の傾斜角度に姿勢が変更されたことを傾斜角度検出センサが検出した場合には、図示しない制御部を介して搬送コンベア21の駆動部を、例えば、中速度にて駆動させるように制御することにより、掻き落し装置23を元の傾斜姿勢に復帰させるようなこともできる。
【0026】
さらに、滞留上限検出センサが長茎砂糖キビの滞留上限位置を検出した場合には、制御部を介して、例えば、搬送コンベア21の駆動部を停止させるとともに、掻き落し装置23の駆動部を低速度にて駆動させるように制御することにより、長茎砂糖キビの滞留量を減少させるようにしてもよい。
【0027】
(実施例3)
図6は実施例3のスパイラル脱葉機の正面図である。
図6において、30は実施例3のスパイラル脱葉機、31はスパイラルローラ11の基端部11bを片持ち支持するローラ軸受部12及び回転駆動部13が設置されるフレーム部、32はフレーム部31に設けられた回動軸部33を回動軸芯としてフレーム部31全体を傾斜自在に支持する基台部、34はその両端がそれぞれフレーム部31の他方の回動軸部35及び基台部32の支持軸36に連結されて全体が伸長してフレーム部31を基台部32に対して所定の傾斜角度θに調整固定するための油圧シリンダや電動シリンダなどからなる傾斜角度調整部である。なお、実施例3のスパイラル脱葉機30は、実施例1のスパイラル脱葉機10とその基台部の構成を異にするが、他の構成は略同様であるので、実施例1と同様の機能を有するものについては同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
【0028】
スパイラル脱葉機30は、フレーム部31をその後側の回動軸部33と収穫物の排出側となる前側の回動軸部35により支持して、回動軸部35及び支持軸36間を油圧シリンダなどの角度調整部34により伸長させることで、フレーム部31の基台部32に対する傾斜角度θを調節可能として、スパイラルローラ11の軸芯を所望の傾斜姿勢に変更することができるようにしている。これによって、搬送コンベア21を介して供給される収穫物の供給速度や作業環境などに応じてスパイラルローラ11の傾斜角度を適正角度に調整することができ、砂糖キビなどの収穫物の処理操作を効率的に行うことができる。
【0029】
なお、左右一対のスパイラルローラ11は、ローラ本体の周壁に一定長さの合成樹脂製などの線条をブラシ状に植設するとともに、このブラシ状の一部をさらに外方へ伸延させることで突条部11eをスパイラル状に形成し、しかも、対向する各突条部11eはねじれ方向を相互に反対方向となし、さらに、左右一対のスパイラルローラ同士は、スパイラル状の突条部同士を相互に嵌合させるとともに、相互のブラシの先端と突条部の先端とが干渉する程度に近接させて配置して、突条部の上部間に形成される摩擦角を大きく形成することができる。こうして、左右一対のスパイラル式ローラ間で砂糖キビ等の収穫物を両ローラの伸延方向に搬送しながら、対向する突条部の先端同士で砂糖キビ等の収穫物の葉を挾圧しながら下方へ引張って脱葉することができる。こうして収穫物の搬送効率と脱葉効率とを良好に確保することができる。
【0030】
以上説明したように本発明のスパイラル脱葉機は、所定間隔を有して並列された一対のスパイラルローラの先端部を自由端とするとともに他方の基端部を駆動端として回転自在に軸支するようにして自由端側にかかる負荷を軽減するようにしたことを要旨としたものであり、これに該当するものは本発明の権利範囲に属する。例えば、本実施例ではスパイラルローラとして、合成樹脂製の突条部を形成させる例について述べたが、スパイラルローラ11のローラ本体11cの周壁にスパイラル状の突条部を同一素材により一体成形することもできる。スパイラルローラの素材としては金属製素材の他に合成樹脂製素材及び木材等のものも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1のスパイラル脱葉機の正面図である。
【図2】同スパイラル脱葉機の平面図である。
【図3】図2における矢視A−A及び矢視B−Bの断面図である。
【図4】スパイラルローラによる脱葉機構を示す模式図である。
【図5】実施例2の砂糖キビ集中脱葉設備のフロー図である。
【図6】実施例3のスパイラル脱葉機の正面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 実施例1のスパイラル脱葉機
11 スパイラルローラ
11a 自由端側の基端部
11b 駆動端側の基端部
11c ローラ本体
11d 被覆層
11e 突条部
12 ローラ軸受部
13 回転駆動部
13a ベルト
13b プーリ
13c ギア
13d ギアボックス
14 基台部
20 砂糖キビ集中脱葉設備
21 搬送コンベア
22 送風機
23 掻き落し装置
30 実施例3のスパイラル脱葉機
31 フレーム部
32 基台部
33 回動軸部
34 傾斜角度調整部
35 回動軸部
36 支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枝葉や砂、泥を有した細長の収穫物が供給される搬送方向に所定間隔を有して伸延並列された一対のスパイラルローラと、
前記スパイラルローラの一方の基端部を自由端とするともに他方の基端部を駆動端として回転自在に軸支するローラ軸受部と、
前記ローラ軸受部により片持ち支持された前記スパイラルローラの回転軸をそれぞれ逆方向に回転させて上方から供給される前記収穫物の枝葉や砂、泥をローラ軸間に挟み込んで除去排出しながら前記収穫物を駆動端側から自由端側に搬送する回転駆動部を備えた基台部と、を有することを特徴とするスパイラル脱葉機。
【請求項2】
前記スパイラルローラの駆動端を片持ち支持する前記ローラ軸受部を、前記基台部に対して所定角度に傾斜させて固定する傾斜角度調整部を有することを特徴とする請求項1記載のスパイラル脱葉機。
【請求項3】
前記スパイラルローラにはそのローラ本体の周壁面に合成樹脂製ブラシや弾性ゴムからなる被覆層が配置されており、それぞれの被覆層に突条部がスパイラル状に形成されるとともに両突条部のねじれ方向を相互に反対方向としたことを特徴とする請求項1又は2記載のスパイラル脱葉機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−195420(P2007−195420A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15092(P2006−15092)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(391024102)株式会社マツオ (5)
【Fターム(参考)】