説明

スピーカー用磁気回路およびこれを用いた動電型スピーカー

【課題】 スピーカー振動板の振動方向に対して直交する巻軸方向を有する平板状のコイルを用いる動電型スピーカーに関し、長径方向に比べて短径方向が短い細長形の動電型スピーカーであって、音声再生能力に優れ、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するスピーカー用磁気回路、および、動電型スピーカーを提供する。
【解決手段】 スピーカー用磁気回路は、直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する棒状のマグネットと、マグネットと取付部において連結するU字状もしくは環状のヨークと、を備えるスピーカー用磁気回路であって、ヨークが、取付部を含まない部分の断面が略矩形状に形成され、取付部を含む部分の断面が略L字状に形成されて、取付部が、矩形断面を有するマグネットが係合する矩形状の空間を形成する凹状部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
長径方向に比べて短径方向が短い細長形の動電型スピーカーに関し、音声再生能力に優れ、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するスピーカー用磁気回路、および、動電型スピーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
音声を再生するスピーカーを取り付けるディスプレイ等の音響機器においては、スピーカーを取り付けるのに要する空間を小型化することが要望されている。特に、細長形化を図る動電型スピーカーでは、磁気回路の構成によって細長形化に限界がある場合がある。また、細長形(矩形、長円形(楕円形、トラック形を含む))の動電型スピーカーは、短径方向に振動板面積が限られる、磁気空隙の磁束密度が高いスピーカー用磁気回路を採用しようとすると、磁気回路の幅がスピーカー振動板よりも広くなり小型化できない、といった様々な理由から音声再生能力において不利な点がある。したがって、従来には、これらの問題を解決するために様々なスピーカー用磁気回路、および、これを用いた動電型スピーカーが提案されている。
【0003】
従来には、動電型スピーカーの薄型化を図るために、ボイスコイルが形成された板状の駆動力伝達部材を備えたスピーカーがある。例えば、フレームと、前記フレームに固定された磁気回路と、所定の方向に振動可能なように前記フレームに固定された振動板と、前記振動板に結合された駆動力伝達部材と、前記駆動力伝達部材を支持するダンパーとを備え、前記磁気回路は、第1の平面と第2の平面との間に配置されており、前記第1の平面は、前記振動板に平行な平面であって、前記磁気回路の少なくとも一部が接する平面として定義されており、前記第2の平面は、前記振動板に平行な平面であって、前記磁気回路の少なくとも一部が接する平面として定義されており、前記駆動力伝達部材は、ボイスコイルが形成された領域を有しており、前記駆動力伝達部材は、前記ボイスコイルに流れる電流と前記磁気回路によって提供される磁束との作用により発生する前記所定の方向の駆動力を前記振動板に伝達するように構成されており、前記ダンパーの一端は前記第1の平面と前記第2の平面との間にある位置で前記駆動力伝達部材に結合されており、前記ダンパーの他端は前記第1の平面と前記第2の平面との間にある位置で前記フレームに結合されている、スピーカーがある。(特許文献1)。
【0004】
また、ボイスコイルが形成された板状の駆動力伝達部材を備えたスピーカーとしては、例えば、平面振動板と、該平面振動板の裏面に面方向を振動方向に沿って取り付けられ、平面状にコイルが形成された駆動板と、該駆動板のコイルに磁界を及ぼすマグネットから構成してなり、該駆動板は、コイルを印刷形成したプリント配線板であることを特徴とした平面駆動スピーカーがある(特許文献2)。
【0005】
また、板状の駆動力伝達部材を備えていなくても、長方形状もしくは長円状の振動板の中央部に、対向する直線状二側面を有する偏平コイルで形成されたボイスコイルが、該振動板に対して実質的に直交するように該一方の直線状側面を振動板に接合し、該ボイスコイルに鎖交する磁束がコイル偏平面に直交するように磁気回路を配置してなる角形ダイナミックスピーカーがある(特許文献3)。あるいは、所定の方向に振動可能に支持される振動板と、上記振動板の振動方向に直交する方向に相対向して配置された一対のマグネットと、上記一対のマグネットの相対向した方向と平行な方向を巻き軸方向として巻回されたボイスコイルとを備え、上記ボイスコイルは、電流が上記巻き軸方向及び上記振動方向に直交する一方向に流れる部分が上記振動板に接合され、電流が他方向に流れる部分が上記一対のマグネットに対向して配置されるスピーカー装置がある(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3891481号公報(図1〜11)
【特許文献2】実開昭58−48194号公報(図1〜3)
【特許文献3】実開昭59−189398号公報(図1〜3)
【特許文献4】特開2007−129665号公報(図1〜9)
【0007】
しかしながら、長径方向に比べて短径方向が短い細長形の動電型スピーカーでは、細長形化を図るために磁気回路を構成するヨーク、マグネット等の部品を細長くすると、直線状の磁気空隙における磁束密度が低下し、音声を再生するスピーカーとしての再生能率が低下する場合がある、等の問題が発生しやすくなる。また、特許文献4の図7に記載の磁気回路のような対向する一対のマグネットで磁気ギャップを形成するものは、細長形の磁気回路であってもその短径方向長を短くするのに限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、スピーカー振動板の振動方向に対して直交する巻軸方向を有する平板状のコイルを用いる動電型スピーカーに関し、長径方向に比べて短径方向が短い細長形の動電型スピーカーであって、音声再生能力に優れ、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するスピーカー用磁気回路、および、動電型スピーカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスピーカー用磁気回路は、直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する棒状のマグネットと、マグネットと取付部において連結するU字状もしくは環状のヨークと、を備えるスピーカー用磁気回路であって、ヨークが、取付部を含まない部分の断面が略矩形状に形成され、取付部を含む部分の断面が略L字状に形成されて、取付部が、矩形断面を有するマグネットが係合する矩形状の空間を形成する凹状部である。
【0010】
また、本発明のスピーカー用磁気回路は、直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する棒状のマグネットと、マグネットと取付部において連結するU字状もしくは環状のヨークと、を備えるスピーカー用磁気回路であって、ヨークの取付部が、矩形断面を有するマグネットが係合する矩形状の空間を形成する凹状部であって、マグネットの磁気空隙を形成する平面とは反対側の平面に係合する第1平面と、マグネットの磁気空隙を形成する平面と反対側の平面とを連結する一方の平面に係合する第2平面と、を有する。
【0011】
また、本発明のスピーカー用磁気回路は、直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する棒状のマグネットと、マグネットと取付部において連結するU字状もしくは環状のヨークと、を備えるスピーカー用磁気回路であって、ヨークの取付部が、マグネットの棒状の両端部の端面の一部分を露出させないように覆ってマグネットと係合する矩形状の空間を形成する凹状部である。
【0012】
好ましくは、本発明のスピーカー用磁気回路は、ヨークの取付部により覆われるマグネットの端面の一部分の面積が、端面の全面積の半分以下になるように、凹状部を規定する第1平面または第2平面の断面長さ寸法が設定され、マグネットの端面を覆う第3平面および第4平面が形成されている。
【0013】
さらに好ましくは、本発明のスピーカー用磁気回路は、直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する2つの棒状のマグネットと、マグネットのそれぞれを連結するU字状もしくは環状のヨークと、を備える上記のいずれかのスピーカー用磁気回路であって、ヨークが、マグネット同士を対向するように取り付ける2つの取付部を、U字状もしくは環状の内周側に有する。
【0014】
また、本発明の動電型スピーカーは、上記のいずれかに記載のスピーカー用磁気回路と、スピーカー用磁気回路に連結するフレームと、フレームにその外周端部を固定されるエッジと、エッジによりその外周端部を支持されるスピーカー振動板と、直線状の磁気空隙に直線部の一方が配置されて、直線部の他方がスピーカー振動板の中央部に連結するトラック形状のコイルと、を備える。
【0015】
好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、トラック形状のコイルが、太さ寸法がスピーカー用磁気回路の磁気空隙の幅よりも小さい平角線を平板状に多層巻きするコイルであって、磁気空隙を構成する棒状のマグネットの矩形断面の一辺の寸法と略同程度の巻層厚寸法を有するコイルである。
【0016】
以下、本発明の作用について説明する。
【0017】
本発明のスピーカー用磁気回路は、直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する棒状のマグネットと、マグネットと取付部において連結するU字状もしくは環状のヨークと、を備える磁気回路であり、スピーカー振動板の振動方向に対して直交する巻軸方向を有する平板状のコイルを用いる動電型スピーカーに適する磁気回路である。スピーカー用磁気回路が備える棒状のマグネットは一つでも良く、好ましくは、2つの矩形断面を有する棒状のマグネットを備え、異なる磁極性をもつ平面同士を対向させるようにヨークでこれらを連結し、直線状の磁気空隙を形成する。
【0018】
断略矩形状の面を有するU字状もしくは環状のヨークは、長径方向と短径方向とを有する細長形の磁気回路を形成するのに適しており、U字状もしくは環状の長径方向に沿った内周側に、矩形断面を有する棒状のマグネットを取り付ける取付部を備え、長径方向に沿った直線状の磁気空隙を形成する。なお、長径方向とは、矩形、長円形、楕円形、あるいは、トラック形を含む細長形を規定する長軸が延びる方向であり、短径方向とは、長軸と直交する短軸が延びる方向である。鉄を含む強磁性の合金から形成されるヨークは、細長形の長軸に沿って直線部を配置し、長径方向の端部側に円弧部分を有するようなU字状、もしくは、環状に形成される。したがって、このスピーカー用磁気回路の短径方向の外寸長は、U字状もしくは環状のヨークの外周側の端面同士の距離によって規定される。
【0019】
このスピーカー用磁気回路を構成するヨークは、取付部を含まない部分の断面が略矩形状に形成され、取付部を含む部分の断面が略L字状に形成される。すなわち、ヨークが備える取付部は、矩形断面を有するマグネットが係合する矩形状の空間を形成する凹状部であり、あるいは、マグネットの磁気空隙を形成する平面とは反対側の平面に係合する第1平面と、マグネットの磁気空隙を形成する平面と反対側の平面とを連結する一方の平面に係合する第2平面と、を有する。マグネットが取り付けられる取付部は、略矩形状の断面を有するヨークの厚みを単に薄くするだけでは磁路の断面積が小さくなって局部的に飽和を生じ、磁気空隙における磁束密度の低下につながるので、取付部を略L字状に形成することで磁路の断面積を確保することができる。すなわち、矩形断面を有する棒状のマグネットを取り付けるヨークの取付部は、磁気空隙における磁束密度を保ちつつ、スピーカー用磁気回路の短径方向の長さを短くするように作用し、これを用いる動電型スピーカーを短径方向により短い細長形にすることができる。
【0020】
つまり、本発明の動電型スピーカーは、このスピーカー用磁気回路と、これに連結するフレームと、フレームにその外周端部を固定されるエッジと、エッジによりその外周端部を支持されるスピーカー振動板と、直線状の磁気空隙に直線部の一方が配置されて、直線部の他方がスピーカー振動板の中央部に連結するトラック形状のコイルと、を備えるようにすることで、長径方向に長く、短径方向に短い細長形の動電型スピーカーを実現できる。特に、トラック形状のコイルが、太さ寸法がスピーカー用磁気回路の磁気空隙の幅よりも小さい平角線を、多層巻きにして磁気空隙を構成する棒状のマグネットの矩形断面の一辺の寸法と略同程度の巻層厚寸法を有するようにしたコイルである場合には、板状の駆動力伝達部材を備えていないのでスピーカー振動系の軽量化が図られ、かつ、磁気空隙の幅を狭めることができることから磁気空隙における磁束密度が高くなり、さらに再生能率を向上することができる。
【0021】
このスピーカー用磁気回路を構成するヨークの取付部は、矩形断面を有するマグネットが係合する矩形状の空間を形成する断面形状が略L字状の凹状部であり、上述の第1平面または第2平面と、棒状のマグネットの端面を覆う第3平面および第4平面を有する。すなわち、このヨークの取付部は、マグネットの棒状の両端部の端面の一部分を露出させないように覆ってマグネットと係合する矩形状の空間を形成する凹状部である。棒状のマグネットの起磁力を有効に利用するスピーカー用磁気回路を実現するには、凹状部を規定する第1平面または第2平面の断面長さ寸法は、ヨークの取付部により覆われる矩形断面を有するマグネットの端面の一部分の面積が、端面の全面積の半分以下になるように設定されるのが好ましい。ヨークの取付部により覆われるマグネットの端面の一部分の面積が、端面の全面積の半分を超える程度に長い第2平面を設けると、凹状部が深くなるので磁気回路の短径方向の長さをより短くできるものの、ヨークの取付部の第3平面および第4平面を通過して短絡する磁束が増加して、その結果、磁気空隙での磁束密度が低下するからである。したがって、本発明のスピーカー用磁気回路は、これを用いる動電型スピーカーの再生能率の向上と、細長化とのバランスをとることができ、再生音質に優れる動電型スピーカーを実現できる。
【発明の効果】
【0022】
スピーカー振動板の振動方向に対して直交する巻軸方向を有する平板状のコイルを用いる動電型スピーカーに関し、特に、巻軸方向に対して平角線をずらすことなく多層巻きにして形成したトラック形状のコイルを備え、長径方向に比べて短径方向が短い細長形の動電型スピーカーであって、音声再生能力に優れ、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するスピーカー用磁気回路、および、動電型スピーカーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を説明する図である。(実施例1)
【図2】本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1の構成を説明する断面図である。(実施例1)
【図3】本発明の好ましい実施形態によるスピーカー振動板2を取り除いた場合の動電型スピーカー1の構成を説明する展開図である。(実施例1)
【図4】本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を構成する磁気回路10を説明する斜視図である。(実施例1)
【図5】本発明の好ましい実施形態による磁気回路10を構成するヨーク11を説明する斜視図である。(実施例1)
【図6】本発明の好ましい実施形態による他の実施例の磁気回路30を説明する斜視図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態によるスピーカー用磁気回路および動電型スピーカーについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0025】
図1、図2、および、図3は、本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を説明する図である。具体的には、図1は、動電型スピーカー1を前面側から見た斜視図であり、図2は、動電型スピーカー1の短径方向の断面図である。また、図3は、動電型スピーカー1の構成を説明する展開図であり、スピーカー振動板2およびフレーム6を取り除いた場合の動電型スピーカー1の構成を説明する図である。なお、後述するように、動電型スピーカー1の一部の構造や、内部構造等は、省略している。また、点A−O−A’を結ぶ直線(長軸)が延びる方向が長径方向であり、また、点O−B
を結ぶ直線(短軸)が延びる方向が短径方向である。
【0026】
本実施例の動電型スピーカー1は、長径方向長L1が約210mm、短径方向長L2が約20mmのトラック形のスピーカー振動板2を有する細長形の動電型スピーカーであり、細長形であっても口径が約52mmの円形振動板と同等の振動板面積を有するスピーカーである。スピーカー振動板2は、エッジ3によってその外周端を支持されており、エッジ3の外周端は、フレーム6に固定されている。また、スピーカー振動板2の中央部には、コイル4が背面側から連結しており、コイル4は、その両端部がダンパー5により振動可能に支持されている。本実施例のコイル4は、トラック形のコイルであって、スピーカー振動板2が振動する振動方向に対して、ほぼ直交する方向に巻軸方向を有する平板状のコイルである。また、フレーム6は、トラック形のスピーカー振動板2に対応した細長形状であり、フレーム6に収容されるように固定される磁気回路10も、短径方向長L2以下の幅が狭い細長形状を有している。したがって、動電型スピーカー1は、ディスプレイ等の機器が有する表示部の側面など、スピーカーを取り付ける幅が少ない機器に適するスピーカーである。フレーム6の背面側には、音声信号電流が供給される(図示しない)ターミナル7が取り付けられ、磁気回路10の一部が露出している。
【0027】
動電型スピーカー1のスピーカー振動板2は、その外周端にエッジ3の内周側が接着されており、また、その中央背面には、後述するトラック形状のコイル4の一方の直線部4bがスリット状の連結部に差し込まれて、接着剤で接着される。スピーカー振動板2は、スピーカー振動板の軽量化を図るために発泡させた熱可塑性樹脂を形成して構成されている。本実施例の場合には、押出成形された熱可塑性樹脂発泡シート(具体的には、ポリスチレンペーパー)を、プラグアシスト成形を併用した真空成形法を用いることで、凹凸を有するスピーカー振動板2を得ている。すなわち、長径方向長L1と短径方向長L2が著しく異なる細長形のスピーカー振動板2は、長径方向の分割振動の影響が顕著になりやすいので、短径方向断面形状が略U字形を含む形状になるようにして、長径方向に剛性を有する形状とされている。
【0028】
エッジ3は、本実施例では、柔軟性を有する発泡ゴムを金型内に注入して加熱発泡して形成したものである。スピーカー振動板2の長径方向に直線状に延びるトラック形の長辺と、短径方向に円弧状になるトラック形の短辺とでは、スピーカー振動板2を自由支持するように薄肉のコルゲーション(またはロール)によるフリーエッジが形成される。なお、トラック形の短辺では、短径方向に円弧状になるエッジが、スピーカー振動板2を固定支持するように厚肉で自由に振動しないフィックスドエッジとして形成されるものであってもよい。その結果、細長形のスピーカー振動板2は、短径方向ではエッジ3のフリーエッジ部のコンプライアンスで柔軟に支持される一方で、長径方向ではスピーカー振動板2を形成する熱可塑性樹脂の発泡シートの柔軟性によって、曲げ振動可能にされている。
【0029】
コイル4は、後述する磁気回路10に対応して、スピーカー振動板2が振動する振動方向に対して、ほぼ直交する方向に巻軸方向を有する平板状のコイルであって、長径方向長が約47.5mmで、短径方向長が約11.5mmのトラック形のコイルである。具体的には、コイル4は、太さ寸法が0.13mm×0.195mmの銅平角線を巻軸に対してずらすことなく多層巻きにして、厚みが平角線の太さ寸法約0.195mmにほぼ等しく、巻層厚寸法が約4.5mmである平板状に形成した2つの空芯のコイル41および42を、接着剤(若しくはワニス)で貼り合わせて形成している空芯コイルである。したがって、トラック形状のコイル4の一方の直線部4aと、他方の直線部4bと、一方の円弧部4cと、他方の円弧部4dと、の内周側には、トラック形状の孔4eが形成される。コイル4は、後述するように、磁気回路10の直線状の磁気空隙13に一方の直線部4aが配置されて、他方の直線部4bがスピーカー振動板2の中央部に連結する。また、一方の円弧部4cおよび他方の円弧部4dには、後述するダンパー5が連結する。
【0030】
なお、コイル4を構成する貼り合わせる2つのコイル41および42は、貼り合わされた部分(例えば、コイル41の一方の直線部4aおよびコイル42の一方の直線部4a。)に相互に同じ方向に音声信号電流が流れるように直列接続される。もちろん、コイル41および42は、並列接続であってもよい。また、コイル4に接続する(図示しない)錦糸線は、フレーム6に固定されるターミナル7と、ターミナル7からコイル4の引出線とを、ハンダづけして導通させて、コイル4に音声電流を供給する。ただし、錦糸線は、スピーカー振動板2に金属ハトメを設けてターミナル7まで導通させるようにしてもよい。
【0031】
ダンパー5は、柔軟性を有する繊維の織布を基材としてフェノール樹脂を含浸して成形する細長形状のコルゲーションダンパーを切断して、略矩形の形状を形成したものである。具体的には、ダンパー5は、コイル4に連結する2つのダンパー51ないし52であって、それぞれにコイル4の円弧部4cないし円弧部4dが差し込まれるスリット状の内側固定部5aと、スピーカー用磁気回路10のヨーク11に固定される外側固定部5bと、内側固定部5aと外側固定部5bとを連結する可動部5cと、を備える。長径方向の端部に位置するダンパーの可動部5cは、略矩形あるいは略扇形の形状であってコルゲーションを有し、後述するように、スピーカー用磁気回路10の内部空間11cまたは11dにそれぞれ配置される。
【0032】
フレーム6は、スピーカー振動板2の形状に対応して細長形のバスケット状にプレス成型された鉄板フレームであり、エッジ3を固定する略矩形の固定部と、磁気回路10を固定する固定部と、これらの固定部を連結する連結部と、複数の連結部の間に規定される窓と、(図示しない)ターミナル7を取り付ける取付孔と、を備える。したがって、スピーカー振動板2、エッジ3、コイル4、および、ダンパー5からなるスピーカー振動系は、フレーム6および磁気回路10に対して振動可能に支持される。
【0033】
図4および図5は、動電型スピーカー1を構成する磁気回路10を説明する図である。具体的には、図4は磁気回路10全体の斜視図であり、図5は断面展開図である。磁気回路10は、細長形で環状に形成されるヨーク11と、着磁される2つの矩形断面を有する棒状のマグネット12および13と、から構成される。磁気回路10を構成する各部材は、接着剤で固定される。また、磁気回路10も、フレーム6の固定部に接着剤で固定される。磁気回路10は、長径方向長が約62.0mmで、短径方向長が約10.2mmの外形寸法を有する細長形の磁気回路であって、ほぼその全体が前面視するフレーム6の内側に収容される大きさであるので、動電型スピーカー1を細長化することができる。
【0034】
ヨーク11は、略矩形状の断面を有する幅約3.0mm、厚さ約7.0mmの軟鉄の鋼材を、矩形状の外形寸法が長径方向で約62.0mm、短径方向で約10.2mmとなるように環状形に形成したヨークであり、マグネット12および13を連結する取付部11aおよび11bを、環状形の内周側であって長軸に沿った直線部の中央付近に備えている。取付部11aおよび11bは、後述する2つの矩形断面を有する棒状のマグネット12および13を、異なる磁極性をもつ平面同士を対向させるように連結し、長径方向に一致する直線状の磁気空隙14を形成する。なお、ヨーク11は、環状形の内周側の端部に内部空間11cおよび11dを形成するので、これらの空間を利用してダンパー51および52を、その支持可動部5cが磁気回路10に接触して異音を生じないようにすることができる。2つ内部空間11cおよび11dは、コイル4に対して駆動力を発生する磁気空隙として作用しない。
【0035】
2つの棒状のマグネット12および13は、それぞれ約4.0mm×約3.0mmの矩形断面を有する長さ約36.0mmの希土類磁石であり、棒状の両端部に、矩形の端面(面積約12.0mm)を有している。マグネット12および13は、予め着磁されてからヨーク11の取付部に連結されてもよく、また、接着剤等で連結された後に着磁してもよい。なお、希土類磁石とは、Nd−Fe−B系のネオジウム磁石、もしくは、Sm−Co系のサマリウムコバルト磁石であって、磁石の最大エネルギー積(BH)maxが大きな値をとる磁石であり、残留磁化および保磁力がさらに大きく、小さい体積でも保磁力の強いNd−Fe−B系の希土類磁石であってもよい。もちろん、マグネット12および13は、フェライト系磁石であってもよい。
【0036】
ヨーク11は、磁気回路10の環状の磁路を構成する部分であって、取付部11aおよび11bを含まない長径方向又は短径方向に沿った部分が、そのまま略矩形状の断面を有するように形成されるのに対して、取付部11aおよび11bを含む長径方向に沿った直線部分の断面が、マグネット12または13が係合する矩形状の空間を形成する凹状部を形成するように、略L字状に形成される。例えば、取付部11aおよび11bはそれぞれ、長径方向に沿う方向に延びる細長い矩形の面であり略L字断面の一辺側を規定する第1平面21と、同様に略L字断面のもう一辺側を規定する第2平面22と、短径方向に沿う方向に延びる矩形の面であり長軸に直交するような面を形成する第3平面23および24と、から形成される。
【0037】
つまり、図4および図5に図示するように、ヨーク11の取付部11aでは、矩形状の空間を形成する第1平面21が矩形状断面を有するマグネット12の平面12bに接し、第2平面22がマグネット12の平面12cに接し、(図示しない)第3平面23がマグネット12の平面12dに接し、第4平面24がマグネット12の(図示しない背面側に隠れる)平面12eに接するように取り付けられる。同様に、ヨーク11の取付部11bでは、矩形状の空間を形成する第1平面21が矩形状断面を有するマグネット13の平面13bに接し、第2平面22がマグネット13の平面13cに接し、(図示しない)第3平面23がマグネット13の平面13dに接し、第4平面24がマグネット13の(図示しない背面側に隠れる)平面13eに接するように取り付けられる。したがって、取付部11aおよび11bは、第1平面21の断面長さが約4.0mm、第2平面22の断面長さが約1.4mm、第1平面21および第2平面22の長径方向長が約36.0mmの共通の大きさの凹状部を形成する。なお、第1平面21の断面長さと、第2平面22の断面長さとは、それぞれ、矩形状の平面である第3平面23または第4平面24の一辺の長さに等しい。
【0038】
その結果、磁気回路10では、ヨーク11の取付部11aおよび11bが、2つの矩形断面を有する棒状のマグネット12および13を、異なる磁極性をもつ平面12aと13aとを対向させるように連結するので、長径方向に伸びる直線状の磁気空隙14を形成する。例えば、磁気空隙14は、前述のコイル4が配置される本実施例の磁気回路10では、幅が約1.0mmの間隔の空間であるので、棒状のマグネット12および13のほぼ全長に渡って、均一で強い磁束密度を示す磁気空隙になる。本実施例の磁気回路10では、ヨーク11の取付部11aおよび11bを略L字状の断面を有するように形成することで、短径方向長が極めて短い細長形の磁気回路であっても、直線状の磁気空隙14で(約0.854[T])という高い磁束密度を実現している。この磁気空隙14では、棒状のマグネット12の矩形断面の一辺の寸法が約4.0mmであるのに対して、コイル4の巻層厚寸法が略同程度の約4.5mmにされている。なお、コイル4の巻層厚寸法は、マグネット12の矩形断面の一辺の寸法の約半分の2.0mmから約2倍の8.0mm以内の範囲であればよい。
【0039】
また、磁気回路10では、例えば図4および図5に示すように、ヨーク11の取付部11aおよび11bを構成する第3平面23または第4平面24が、棒状のマグネット12および13の端面(12d、12e、13d、13e、)の一部を露出させないように覆っている。言い換えると、ヨーク11の取付部11aおよび11bは、マグネット12および13の棒状の両端部の端面(12d、12e、13d、13e、)の一部分を、露出させないように覆ってマグネット12ないし13と係合する矩形状の空間を形成する凹状部である。また、矩形状の第3平面23または第4平面24を規定する一辺の長さは、第1平面21の断面長または第2平面22の断面長と等しいので、その結果、ヨーク11の内側空間11cないし11dから磁気空隙14の方を見ると、マグネット12および13の両端部が約1.6mmだけヨーク11の取付部11aまたは11bから突出しているように見える。本実施例の場合には、第3平面23または第4平面24が覆う面積(約5.6mm)は、マグネット12および13の端面の面積の約46.7%であり、全面積の半分以下である。
【0040】
本実施例の磁気回路10において、マグネット12および13の棒状の両端部の端面が露出する面積は、取付部11aおよび11bを構成する第1平面21または第2平面22の断面長さで調整することができる。例えば、第2平面22の断面長さを、マグネット12および13の厚みの約半分に相当する約1.5mmに変更して、さらに取付部11aおよび11bの凹状部を深くするようにすると、相対的にヨーク11の短径方向長を短くできるので、より細長形の動電型スピーカーを実現できる。ただし、矩形断面を有するマグネットの厚みの半分を超えるような断面長さを有する第2平面22を設けると、局部的にヨーク11が細くなりすぎるだけでなく、取付部11aおよび11bを構成する第3平面23および第4平面24を通過して短絡する磁束が増加し、磁気空隙14での磁束密度が低下してしまうので、好ましくない。したがって、第2平面22の断面長さは、矩形断面を有するマグネット12および13の厚みの半分以下にして、第3平面23または第4平面24が覆う面積が、マグネット12および13の端面の全面積の半分以下にするのが好ましい。
【0041】
本実施例の磁気回路10において、マグネット12および13の棒状の両端部の端面は、更に大きい比率で取付部からはみ出すように露出しても良い。例えば、ヨーク11の短径方向長を長くせずに、第2平面22の断面長さを約0.5mmに変更して、取付部11aおよび11bの凹状部を浅くするようにしてもよい。ヨーク11の取付部11aおよび11bを含む長径方向に沿った直線部分の断面が、先の場合に比べて細くなるにも関わらず、磁気空隙14での磁束密度の低下を招くことなく、細長形の動電型スピーカーを実現できる。この実施例の場合には、直線状の磁気空隙14で(約0.832[T])という高い磁束密度を実現することができる。なお、第3平面23または第4平面24が覆う面積(約5.6mm)は、先の場合と変わらずにマグネット12および13の端面の面積の約46.7%であり、全面積の半分以下である。
【実施例2】
【0042】
図6は、先の実施例の磁気回路10に代えて動電型スピーカー1を構成し得る他の磁気回路30を説明する断面図である。本実施例の磁気回路30は、細長形で環状に形成されるヨーク31と、着磁される2つの矩形断面を有する棒状のマグネット32および33と、から構成され、直線状の磁気空隙34を有する。ヨーク31は、先のヨーク11とは、マグネット32および33の取付部31aおよび31bの形状が異なる他は、ほぼ共通するヨークである。また、マグネット32および33は、先の実施例の場合のマグネット12および13と同一であるので、共通する部分には共通の番号を付して説明を省略する。
【0043】
ヨーク31は、磁気回路30の環状の磁路を構成する部分であって、取付部31aおよび31bを含まない長径方向又は短径方向に沿った部分が、そのまま略矩形状の断面を有するように形成される。ヨーク31は、さらに、取付部31aおよび31bを含む長径方向に沿った直線部分の断面が、マグネット32または33が係合する矩形状の空間を形成する凹状部を形成するものの、略矩形状の断面を有するように形成される。例えば、取付部31aおよび31bはそれぞれ、長径方向に沿う内周側の矩形の面である第1平面35と、短径方向に沿う方向に延びる矩形の面であり、長軸に直交するような面を形成する(図示しない)第3平面36および第4平面37と、から形成される。
【0044】
つまり、図6に図示するように、先の実施例のヨーク11の取付部11aおよび11bでは、矩形状の空間を形成する第2平面22が設けられており、これがマグネット12の平面12cに接するように取り付けられるのに対して、本実施例のヨーク31の取付部31aおよび31bでは、これに相当する平面が設けられていない。先の実施例のヨーク11の第2平面22に相当する平面を設けないので、本実施例のヨーク31は、加工工数のコストダウンを図ることができる。
【0045】
また、本実施例のヨーク31では、矩形状の空間を形成する第1平面35が、矩形状断面を有するマグネット32または33での磁気空隙34を構成する平面とは反対側の平面に取り付けられる。また、矩形状の空間を形成する第3平面36または第4平面37が、マグネット32および33の棒状の両端部の端面の一部分を、覆うように接する。なお、第1平面35の断面長さは約7.0mmであり、ヨーク31の全高(厚み寸法)に等しい。また、第3平面36または第4平面37の断面長さは、第1平面35の断面長さに等しく、その結果、内側空間31dから見ると、マグネット32および33の両端部が約1.6mmだけヨーク31の取付部31aおよび31bから突出しているように見える。
【0046】
その結果、磁気回路30では、ヨーク31の取付部31aおよび31bが、2つの矩形断面を有する棒状のマグネット32および33を、異なる磁極性をもつ平面同士を対向させるように連結するので、長径方向に伸びる直線状の磁気空隙34を形成する。例えば、磁気空隙34は、先の実施例の場合と同様に幅が約1.0mmの間隔の空間であるので、棒状のマグネット32および33のほぼ全長に渡って、均一で強い磁束密度を示す磁気空隙になる。この磁気回路30では、ヨーク31の取付部31aおよび31bが略L字状の断面を有していなくても、短径方向長が極めて短い細長形の磁気回路であっても、直線状の磁気空隙34で(約0.820[T])という高い磁束密度を実現している。なお、本実施例の場合には、第3平面36または第4平面37がマグネット32および33の端面を覆う面積(約5.6mm)は、マグネット32および33の端面の面積の約46.7%であり、全面積の半分以下である。
【0047】
磁気回路30は、長径方向長が約62.0mmで、短径方向長が約10.2mmの外形寸法を有する細長形の磁気回路であって、ほぼその全体が前面視するフレーム6の内側に収容される大きさであるので、動電型スピーカー1を細長化することができる。なお、本実施例の動電型スピーカー1は、スピーカー用磁気回路30のほぼ全体をその内部に収容するフレーム6を用いる場合であるが、その底部がスピーカー用磁気回路30のヨーク31に連結する従来形状のフレームであっても、十分に細形化と薄型化とを図ることができる。振動系の動作が不安定になりやすい細長形の動電型スピーカーであっても、本実施例の動電型スピーカー1は、ボイスコイルが磁気回路の磁気空隙に接触して異音を生じ、動作不良という問題を抑制することができる。
【0048】
なお、上記の実施例のヨーク11または31は、略矩形状の断面を有する軟鉄の鋼材を、細長形の環状形に形成したヨークであるが、磁気回路を構成するヨークの形状は、このような環状形に限定されない。ヨークは、長径方向と短径方向とを有する細長形であって、長径方向に沿った内周側に矩形断面を有する棒状のマグネットを取り付ける取付部を備えていれば、長径方向の一端側が開放されているU字状であってもよい。また、上記の実施例の磁気回路10または30では、ヨーク11または31は、2つの矩形断面を有する棒状のマグネットを、異なる磁極性をもつ平面同士を対向させるように連結するものであるが、1つの矩形断面を有する棒状のマグネットとヨークの内周側の平面との間で、長径方向に沿った直線状の磁気空隙を形成するものであっても良い。
【0049】
また、上記の動電型スピーカー1は、スピーカー振動板2の振動方向に対して直交する巻軸方向を有する平板状のコイル4を用いる動電型スピーカーであるが、平板状のコイル4は、磁気回路10の磁気空隙14の幅よりも薄い板状の駆動力伝達部材、あるいは、トラック形状の孔4eに嵌合して平板状のコイル4を補強する補強部材をさらに備えていても良い。また、上記の動電型スピーカー1では、平板状のコイル4は、ダンパー51および52によって長径方向の端部側を振動可能に支持されているが、ダンパー51および52は、一体に形成された他の形態のダンパー5であってもよく、短径方向のローリングを抑制できている場合には、備えなくても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の動電型スピーカーは、ディスプレイ等の映像・音響機器に内蔵するスピーカーとしてのみならず、音声を再生するスピーカーを内蔵するキャビネットを有するゲーム機、スロットマシン等の遊戯機にも適用が可能である。また、本発明のスピーカー用磁気回路を備える動電型スピーカーは、全幅が狭く、小型・薄型のキャビネットで音声を再生するスピーカーシステムが実現できるので、設置空間が限定される車両用のスピーカーに特に適する。
【符号の説明】
【0051】
1 動電型スピーカー
2 スピーカー振動板
3 エッジ
4 コイル
5 ダンパー
6 フレーム
10、30 磁気回路
11、31 ヨーク
12、13、32、33 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する棒状のマグネットと、該マグネットと取付部において連結するU字状もしくは環状のヨークと、を備えるスピーカー用磁気回路であって、
該ヨークが、該取付部を含まない部分の断面が略矩形状に形成され、該取付部を含む部分の断面が略L字状に形成されて、該取付部が、該矩形断面を有する該マグネットが係合する矩形状の空間を形成する凹状部である、
スピーカー用磁気回路。
【請求項2】
直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する棒状のマグネットと、該マグネットと取付部において連結するU字状もしくは環状のヨークと、を備えるスピーカー用磁気回路であって、
該ヨークの該取付部が、該矩形断面を有する該マグネットが係合する矩形状の空間を形成する凹状部であって、該マグネットの該磁気空隙を形成する平面とは反対側の平面に係合する第1平面と、該マグネットの該磁気空隙を形成する該平面と反対側の平面とを連結する一方の平面に係合する第2平面と、を有する、
スピーカー用磁気回路。
【請求項3】
直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する棒状のマグネットと、該マグネットと取付部において連結するU字状もしくは環状のヨークと、を備えるスピーカー用磁気回路であって、
該ヨークの該取付部が、該マグネットの該棒状の両端部の端面の一部分を露出させないように覆って該マグネットと係合する矩形状の空間を形成する凹状部である、
スピーカー用磁気回路。
【請求項4】
前記ヨークの前記取付部により覆われる前記マグネットの前記端面の前記一部分の面積が、該端面の全面積の半分以下になるように、前記凹状部を規定する第1平面または第2平面の断面長さ寸法が設定され、該マグネットの該端面を覆う第3平面および第4平面が形成されている、
請求項3に記載のスピーカー用磁気回路。
【請求項5】
直線状の磁気空隙を形成する矩形断面を有する2つの前記棒状のマグネットと、該マグネットのそれぞれを連結するU字状もしくは環状の前記ヨークと、を備える請求項1から4のいずれかに記載のスピーカー用磁気回路であって、
該ヨークが、該マグネット同士を対向するように取り付ける2つの前記取付部を、該U字状もしくは該環状の内周側に有する、
スピーカー用磁気回路。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の前記スピーカー用磁気回路と、
該スピーカー用磁気回路に連結するフレームと、
該フレームにその外周端部を固定されるエッジと、
該エッジによりその外周端部を支持されるスピーカー振動板と、
前記直線状の磁気空隙に直線部の一方が配置されて、直線部の他方が該スピーカー振動板の中央部に連結するトラック形状のコイルと、
を備える動電型スピーカー。
【請求項7】
前記トラック形状の前記コイルが、太さ寸法が前記スピーカー用磁気回路の前記磁気空隙の幅よりも小さい平角線を平板状に多層巻きするコイルであって、該磁気空隙を構成する前記棒状のマグネットの前記矩形断面の一辺の寸法と略同程度の巻層厚寸法を有するコイルである、
請求項6に記載の動電型スピーカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−272988(P2010−272988A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121360(P2009−121360)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】