説明

スポーツシューズ

【課題】スポーツシューズへの補助具を用いることなく、また、着用時における歩行時の違和感がないようなスポーツシューズであって、特にラケット、クラブ等のスイング時における左右の体重のかけ方を矯正することができるスポーツシューズを提供する。
【解決手段】靴底に硬質部と軟質部を有するスポーツシューズにおいて、スポーツシューズにおける靴底は、つま先部、土踏まず部及び踵部から構成されており、利き足側における靴底の外側部に軟質部を、前記靴底の内側部に硬質部を配置し、利き足と反対側における靴底のつま先部の中央部に軟質部を、当該両外側に硬質部を配置し、踵部の外側部に硬質部を、前記踵部の内側部に軟質部を配置したことを特徴とするスポーツシューズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツシューズであって、特にラケット、クラブ等のスイング時における左右足の体重移動を矯正することができるスポーツシューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スポーツの正しいフォームを習得しやすくするための矯正器具が多種多様に亘り発明及び考案がされている。
【0003】
スポーツをする際には、そのスポーツの正しいフォームを習得することが、上達するための一番の近道である。例えば、ゴルフにおいては、ゴルフプレーヤーがクラブでボールをインパクトする際に、より正確にボールの飛距離を伸ばすためには、ゴルフクラブの適切なスイングを行う必要がある。この場合、適切なスイングを行うためには、ボールと足との間の距離を最適なものとする必要があると共に、ボールにクラブがインパクトする際の上半身の前傾姿勢を適切なものとする必要がある。
【0004】
例えば、プレーヤーが右利きの場合には、右上から振り下ろして左上へと抜ける腕のスイングと、腰から上の体の旋回及びこのとき必然的に生じる右足から左足への自然な体重移動とを伴うものである。これらのスイング動作が正確に行われることによって、ボールの飛距離が伸びるものである。
【0005】
しかし、初心者においては、体全体を右から左へ移動させることによって、インパクト時の速度を高めて、飛距離を伸ばそうとする動きを無意識のうちに行っていることが多い。ところが、このようなスイングでは、体の中心軸が不安定なままでインパクトしてしまうことになり、結果としてミスショットにつながることも多い。
【0006】
このようなスイングを矯正するものとして、プレーヤーがスイングの練習を行う場合に装着するゴルフシューズであって、
表皮の上面が、その内側端縁から外側端縁まで平面状ではなく、好ましくは3〜7度、特に好ましくは5度前後の上がり傾斜状に斜断されると共に、該表皮の上面に甲部を載置固定して、左右ゴルフシューズの甲部が互いに内方向に傾斜するように形成されたゴルフシューズが公知である。(例えば、特許文献1参照)
【0007】
これにより、特許文献1に係るゴルフシューズでは、両膝が強制的に内方へ屈曲して固定され、腰が落ちて下半身が安定し、バックスイングからフォロースイングまで下半身の軸がずれることなくスイングが安定するようになるものである。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の構成においては、シューズの底面が予め斜めに形成されているため、スイング時の下半身を安定させることができるものであるが、通常のシューズと比べて、歩行時などの違和感を避けることができないものである。
【0009】
また、このような問題点を改善するものとして、ゴルフシューズの靴底の一部に取り付ける傾斜靴底と、この傾斜靴底をゴルフシューズに着脱可能とする着脱手段とを備えることを特徴とするものが公知である。(例えば、特許文献2参照)
【0010】
特許文献2に記載のゴルフシューズ用補助具は、ボールを打つ際に、傾斜靴底をゴルフシューズの底部に取り付けることによって、立った姿勢で重心が内側に移動し、体の軸がずれないようにスイング矯正でき、その後は傾斜靴底を外すことにより、通常の歩行状態が得られるものである。
【特許文献1】特開平9−313204号公報
【特許文献2】特開2003−325202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方で、特許文献2に係る発明は、通常の歩行状態を得るためには、その都度傾斜底靴を取り外さなくてはならず、使用の際には繁雑さが懸念される。
【0012】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するものであって、スポーツシューズへの補助具を用いることなく、また、着用時における歩行時の違和感がないようなスポーツシューズであって、特にラケット、クラブ等のスイング時における左右足の体重移動を矯正することができるスポーツシューズを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記問題点を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明のスポーツシューズは、靴底に硬質部と軟質部を有するスポーツシューズにおいて、スポーツシューズにおける靴底は、つま先部、土踏まず部及び踵部から構成されており、利き足側における靴底の外側部に軟質部を、前記靴底の内側部に硬質部を配置し、利き足と反対側における靴底のつま先部の中央部に軟質部を、当該両外側に硬質部を配置し、踵部の外側部に硬質部を、前記踵部の内側部に軟質部を配置したことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の発明のスポーツシューズは、請求項1に記載のスポーツシューズにおいて、利き足における前記靴底の前記軟質部、利き足と反対側における前記靴底のつま先部の中央部の前記軟質部を、スポンジ部とゴム部の二層構造とし、前記ゴム部を接地面とすることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の発明のスポーツシューズは、請求項2に記載のスポーツシューズにおいて、利き足及び利き足と反対側における前記靴底の前記軟質部のスポンジ部に貫通孔を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の発明のスポーツシューズは、請求項1、請求項2及び請求項3に記載のスポーツシューズにおいて、両足における前記靴底の前記軟質部が、前記靴底における前記硬質部よりも突出してなることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載の発明のスポーツシューズは、請求項1乃至請求項4に記載のスポーツシューズにおいて、利き足における前記つま先部の内側部に窪み部を設けたことを特徴とするものである。
(作用)
【0018】
請求項1記載のスポーツシューズに係る発明では、利き足側における靴底の外側部に軟質部を、前記靴底の内側部に硬質部を配置し、利き足と反対側における靴底のつま先部の中央部に軟質部を、当該両外側に硬質部を配置し、踵部の外側部に硬質部を、前記踵部の内側部に軟質部を配置したので、利き足の外側部に着用者の体重がかかると、軟質部が撓むため、着用者はバランスを崩し易くなる。一方、利き足の内側部に着用者の体重がかかっても、内側部は硬質部で形成されているため、着用者はバランスを崩すことない。
【0019】
請求項2記載のスポーツシューズに係る発明では、利き足における前記靴底の前記軟質部、利き足と反対側における前記靴底のつま先部の中央部の前記軟質部を、スポンジ部とゴム部の二層構造とし、前記ゴム部を接地面とするので、着用者の使用時に、前記スポンジ部は着用者の体重を受け易く、路面との接地面は前記ゴム部で形成されているので耐久性もよく、路面に対して安定性もよい。
【0020】
請求項3記載のスポーツシューズに係る発明では、利き足及び利き足と反対側における前記靴底の前記軟質部のスポンジ部に貫通孔を設けたので、前記貫通孔付近では撓みやすくなり、全体的に前記軟質部の硬度を下げることができる。また、前記貫通孔は、前記軟質部における前記スポンジ部にのみ設けられており、前記ゴム部には設けられていない為、グリップ力を損なうことはない。
【0021】
請求項4記載のスポーツシューズに係る発明では、両足における前記靴底の前記軟質部が、前記靴底における前記硬質部よりも突出してなるので、着用者の使用時には、着用者の体重によって軟質部が撓むため、路面に対して硬質部と同一面となる。
【0022】
請求項5に記載の発明のスポーツシューズは、利き足における前記つま先部の内側部に窪み部を設けたので、前記つま先部における屈曲性が良好となる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、利き足側における靴底の外側部に軟質部を、前記靴底の内側部に硬質部を配置し、利き足と反対側における靴底のつま先部の中央部に軟質部を、当該両外側に硬質部を配置し、踵部の外側部に硬質部を、前記踵部の内側部に軟質部を配置したので、利き足の外側部に着用者の体重がかかると、軟質部が撓むため、着用者はバランスを崩し易くなる。一方、利き足の内側部に着用者の体重がかかっても、内側部は硬質部で形成されているため、着用者はバランスを崩すことない。
これによって、ラケット、クラブ等のスイングを行う際に、着用者は常に、前記硬質部に体重がかかるように意識してスイングを行うことで、左右の体重移動を正確に行うことが出来るようになり、正しいスイングフォームを習得することができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載のスポーツシューズにおいて、利き足における前記靴底の前記軟質部、利き足と反対側における前記靴底のつま先部の中央部の前記軟質部を、スポンジ部とゴム部の二層構造とし、前記ゴム部を接地面とするので、着用者の使用時に、前記スポンジ部は着用者の体重を受け易く、路面との接地面は前記ゴム部で形成されているので耐久性もよく、路面に対して安定性もよい。
これによって、請求項1に記載の軟質部よりも、その硬度を下げることができるので、前記軟質部に体重がかかると、請求項1に記載のスポーツシューズよりも着用者はバランスを崩し易くなる。その結果として、早い段階で左右の体重移動を正確に行うことが出来るようになり、正しいスイングフォームを習得することができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、請求項2に記載のスポーツシューズにおいて、利き足及び利き足と反対側における前記靴底の前記軟質部のスポンジ部に貫通孔を設けたので、前記貫通孔付近では撓みやすくなり、全体的に前記軟質部の硬度を下げることができる。また、前記貫通孔は、前記軟質部における前記スポンジ部にのみ設けられており、前記ゴム部には設けられていない為、グリップ力を損なうことはない。
これによって、前記靴底の厚みを薄くするとともに、前記スポーツシューズの軽量化を図ることができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、請求項1、請求項2及び請求項3に記載のスポーツシューズにおいて、両足における前記靴底の前記軟質部が、前記靴底における前記硬質部よりも突出してなるので、着用者の使用時には、着用者の体重によって軟質部が撓むため、路面に対して硬質部と同一面となる。
これによって、スポーツシューズへの補助具を用いることもなく、また、前記靴底は傾斜にもなっていないため、着用者は違和感なく歩行することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明のスポーツシューズは、利き足における前記つま先部の内側部に窪み部を設けたので、前記つま先部における屈曲性が良好となる。
これによって、利き足の足首に負担をかけることなく、利き足のつま先部のみを屈曲させることができる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態におけるスポーツシューズを図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
本発明のスポーツシューズの実施例1について図1乃至図12に基づいて説明する。
【0030】
図1に示すように、スポーツシューズ1は、主に紐部等を有する靴本体2及び靴底3より形成されている。さらに、前記靴底3は、硬質部4、軟質部5より形成されている。また、前記軟質部5は、ゴム部5a及びスポンジ部5bから形成されている。また、図2及び図3に示すように、前記靴底3は、つま先部3a、土踏まず部3b及び踵部3cより構成されている。
【0031】
図2に示す前記靴底3は、右利きの着用者における右足の靴底を示し、図3に示す前記靴底3は、右利きの着用者における左足の靴底を示すものである。
【0032】
図2に示す右足の前記靴底3において、C型硬度計において75〜90度のゴムによって形成される前記硬質部4は、右足における前記つま先部3aの内側部に、前記靴底3の外形に沿うようにして配置され、前記踵部3cの内側部には、略平行四辺形状に配置されている。このとき、前記略平行四辺形状の前記硬質部4の一辺は、前記靴底3における内側部の外形と外接し、その対辺においては前記靴底3における外側部の外形とは接しないように、溝部3eを介して形成されている。
【0033】
また、C型硬度計において20度の発泡スポンジによって形成されるスポンジ部5bと、C型硬度計において40度のゴム部5aによって前記軟質部5は、着用者における右足の前記つま先部3aの中指付近に設けられる所定の溝部3dより外側部の薬指付近から小指を通り、前記靴底3の外形に沿って、前記踵部3cに亘り配置されており、前記踵部3cの内側部に設けられた前記硬質部4を囲うように、所定の前記溝部3eを有して設けられている。
【0034】
また、前記土踏まず部3bの箇所に、前記硬質部4により形成される凹部7は、前記つま先部3aの内側部と、前記踵部3cの一部分に設けられている前記硬質部4の間隙から、前記つま先部3aにかけて湾状に形成されている。また、前記凹部7は、前記靴本体2とほぼ密接するように薄く形成されており、前記硬質部4、前記スポンジ部5b及びリブ4dが隆起するようにして設けられている。
【0035】
また、前記つま先部3aにおける硬質部4、及び前記踵部3cにおける硬質部4には、グリップ力を有するように、略V字状又は逆V字状の突起部4a及び略C字状又は逆C字状の突起部4cが配置されている。
また、着用者の右足の親指付根付近には、前記つま先部3aにおける内側部の屈曲性を良好にするための窪み部4eが設けられており、前記突起部4a及び前記突起部4cよりも高さの低い略円柱形状の突起部4bが配置されている。一方、前記土踏まず部3bの前記凹部7には、前記靴底3の外形に沿って補強の為の前記リブ4dが配置されている。
【0036】
これらの前記硬質部4及び前記軟質部5における厚さ関係は、図4乃至図8における端面図を用いて、以下に説明する。
【0037】
図4は、図2における前記つま先部3aをA−Aにて端面図にしたものである。図2における前記つま先部3aの外側部は、前記硬質部4に固着される11mm程度の前記スポンジ部5bを有して、3mm程度の前記ゴム部5aが固着されて、前記軟質部5が形成されている。一方、前記溝部3dを介して、前記つま先部3aの内側部は、前記ゴム部5aよりXmm低い前記突起部4aが形成されている。
【0038】
図5は、図2における前記靴底3における中央よりの前記つま先部3aをB−Bにて端面図にしたものである。図2における前記つま先部3aの外側部は、前記硬質部4に固着される11mm程度の前記スポンジ部5bを有して、3mm程度の前記ゴム部5aが固着されて、前記軟質部5が形成されている。一方、湾状に広がる前記凹部7を介して、前記硬質部4が隆起しており、前記つま先部3aの内側部は、前記窪み部4eに略円柱形状の前記突起部4bが形成されている。
【0039】
図6は、図2における前記靴底3における中央よりの前記つま先部3aをC−Cにて端面図にしたものである。図2における前記つま先部3aの外側部は、前記硬質部4に固着される11mm程度の前記スポンジ部5bを有して、3mm程度の前記ゴム部5aが固着されて、前記軟質部5が形成されている。一方、湾状に広がる前記凹部7を介して、前記つま先部3aの内側部は、前記ゴム部5aよりXmm低い前記突起部4cが形成されている。
【0040】
図7は、図2における前記靴底3における前記凹部7をD−Dにて端面図にしたものである。図2における前記凹部7の外側部は、前記硬質部4に固着される11mm程度の前記スポンジ部5bを有して、3mm程度の前記ゴム部5aが固着されて、前記軟質部5が形成されている。一方、湾状に広がる前記凹部7を介して、前記凹部7の内側部は、所定の高さを有する前記リブ4dが形成されている。
【0041】
図8は、図2における前記靴底3における前記踵部3cをE−Eにて端面図にしたものである。図2における前記踵部3cの外側部は、前記硬質部4に固着される11mm程度の前記スポンジ部5bを有して、3mm程度の前記ゴム部5aが固着されて、前記軟質部5が形成されている。一方、前記溝部3eを介して、前記踵部3cの内側部は、前記ゴム部5aよりXmm低い前記突起部4aが形成されている。
【0042】
このようにして、着用者における右足の前記つま先部3aの中指付近に設けられる所定の溝部3dより外側の薬指付近から小指を通り、前記靴底3の外形に沿って、前記踵部3cに亘り配置される前記軟質部5は、前記スポンジ部5bを介して設置されており、前記硬質部4における前記突起部4a及び突起部4cよりXmm高くなるよう形成されている。前記寸法Xにおいては3mm程度あればよいもので、使用時に着用者の体重がかかることによって、前記スポンジ部5bを介した前記軟質部5が収縮して、前記突起部4a及び突起部4cと同一高さになればよく、前記寸法Xは0mmとすることもできる。
つまり、使用時に着用者の体重がかかることによって、前記スポンジ部5bを介した前記軟質部5が収縮して、前記突起部4a及び突起部4cとともに路面に対して、同一高さになればよいという趣旨である。
【0043】
図3に示す左足の前記靴底3において、前記硬質部4は、左足における前記つま先部3aの中指より内側に、前記靴底3の外形に沿うようにして、前記土踏まず部3b付近まで配置されている。また、前記硬質部4は、左足における前記つま先部3aの外側部においては、着用者の左足の薬指先端付近から、前記靴底3の外形に沿うようにして、前記靴底3の中央部付近まで配置されている。更に、前記硬質部4は、前記靴底3における外側部の中央部付近から前記踵部3cの中央部にかけて、略J字状にも形成されている。
【0044】
また、前記軟質部5は、左足における前記つま先部3aの外側部と内側部の前記硬質部4の間に、溝部3f及び溝部3gを介して、前記つま先部3aの中指より外側から、薬指を通って、前記靴底3の中央部付近に亘り配置されている。
【0045】
また、前記土踏まず部3bの箇所に、前記硬質部4により形成される凹部7は、前記靴底3における幅方向の中央部付近に亘り、略四角形状に設けられている。また、前記凹部7は、前記右足における同様にして、前記靴本体2とほぼ密接するように薄く形成されており、前記硬質部4、前記スポンジ部5b、軟質部6及びリブ4dが隆起するようにして設けられている。
【0046】
また、前記凹部7と、前記靴底3における外側部の中央部付近から前記踵部3cの中央部にかけて略J字状に形成されている前記硬質部4との間には、溝部3hを介して、前記靴底3の中央部付近から、前記靴底3の内側部を経て、前記踵部3cの中央部に亘るまで、C型硬度計において40度のゴムによって形成される帯状の軟質部6が配置されている。
【0047】
また、前記つま先部3aにおける前記硬質部4、及び前記踵部3cにおける前記硬質部4には、グリップ力を有するように、略V字状又は逆V字状の突起部4aの突起部、略円柱形状の突起部4b及び略C字状又は逆C字状の突起部4cが配置されている。また、前記軟質部6にも、略V字状又は逆V字状の突起部6a、略円柱形状の突起部6bが配置されている。一方、前記凹部7には、前記靴底3の外形に沿って補強の為のリブ4dが配置されている。
【0048】
これらの前記硬質部4及び前記軟質部5における厚さ関係は、図9乃至図11における端面図を用いて、以下に説明する。
【0049】
図9は、図3における前記つま先部3aをF−Fにて端面図にしたものである。図3における前記つま先部3aの中央部には、前記硬質部4に固着される11mm程度の前記スポンジ部5bを有して、3mm程度の前記ゴム部5aが固着されて、前記軟質部5が形成されている。一方、前記溝部3f及び前記溝部3gを介して、前記つま先部3aの前記硬質部4は、前記ゴム部5aよりXmm低い前記突起部4aが形成されている。
【0050】
図10は、図3における前記靴底3における前記凹部7をG−Gにて端面図にしたものである。前記硬質部4に固着される前記軟質部6は、前記溝部3hを介して、前記靴底3の外側に設けられる前記硬質部4よりYmmだけ高く形成されている。
【0051】
図11は、図3における前記靴底3における前記踵部3cをH−Hにて端面図にしたものである。前記硬質部4に固着される前記軟質部6は、前記溝部3hを介して、前記靴底3の外側に設けられる前記硬質部4よりYmmだけ高く形成されている。
また、前記凹部7の内側部は、右足における前記靴底3と同様にして、所定の高さを有する前記リブ4dが形成されている。
【0052】
このようにして、右足における前記靴底3と同様にして、前記軟質部5は、前記スポンジ部5bを介して設置されており、前記硬質部4における前記突起部4aよりXmm高く、前記軟質部6は、前記硬質部4における前記突起部4aよりYmm高くなるよう形成されている。前記寸法Xにおいては3mm程度、前記寸法Yにおいては1mm程度あればよいもので、使用時に着用者の体重がかかることによって、前記スポンジ部5bを介した前記軟質部5が収縮して、前記突起部4aと同一高さになればよく、前記寸法X及び前記寸法Yは0mmとすることもできる。
つまり、使用時に着用者の体重がかかることによって、前記スポンジ部5bを介した前記軟質部5が収縮して、前記突起部4aとともに路面に対して、同一高さになればよいという趣旨である。
【0053】
このようにして、構成される前記スポーツシューズ1は、主に、ゴルフをする際に着用することで、機能するものである。スイング開始前のアドレス時には、着用者は、ボールと足との間の距離を最適なものとする必要があると共に、上半身の前傾姿勢をとる。
【0054】
図12の左足における前記つま先部3aのF−F端面図に一例を示すように、この状態において、すでに両足における前記靴底3の前記軟質部5及び左足における前記靴底3の前記軟質部6は、着用者の体重によって収縮され、路面に対して、両足における前記硬質部4と同一の高さになっている。
この収縮作用によって、前記硬質部4と同一の高さになっているものの、その硬度は前記スポンジ部5bを介してなる前記軟質部5の方が低くなっている。よって、前記軟質部5に体重がかかると、着用者はバランスを崩し易くなる。
【0055】
従って、初心者によく見られる、体の中心軸を固定せずに、体全体を右から左へ移動させてスイングしようとして、右足の体重をかけると、右足における前記靴底3の外側部は、前記スポンジ部5bを介してなる前記軟質部5から構成されているため、バランスを崩してうまくスイングすることができなくなる。
つまり、バックスイング時において、右足における前記靴底3の重心位置は、前記靴底3における外側部の前記軟質部5ではなく、内側部の前記硬質部4にかかっていなければならない。
これによって、体の中心軸を固定せずに、体全体を右から左へ移動させてスイングを矯正でき、正しいバックスイング動作が行えるようになる。
【0056】
バックスイングからインパクトにかけて、体の中心軸から右側にかかっていた重心を左足へと移行させる際は、左足における前記靴底3の前記つま先部3aの全面で受けることが望ましい。この際には、左足における前記靴底3の前記つま先部3aの内外部は、前記硬質部4にて形成されているため、着用者はバランスを崩すこともない。
【0057】
インパクトからフォロースルーにかけては、左足における前記靴底3の外側部で重心を受けることが望ましい。この際にも、左足における前記靴底3の外側部は、前記硬質部4にて形成されているため、着用者はバランスを崩すこともない。
【0058】
本実施例によれば、前記靴底3に、前記硬質部4、前記軟質部5及び前記軟質部6を配置させ、ラケット、クラブ等のスイングを行う際に、着用者は常に、前記硬質部に体重がかかるように意識してスイングを行うことで、左右の体重移動を正確に行うことが出来るようになり、正しいスイングフォームを習得することができる。
また、スポーツシューズへの補助具を用いることなく、また、着用時においては、着用者の体重がかかることによって、前記軟質部5は収縮し、路面に対して前記硬質部4と同一面にあるため、前記靴底3は路面に対して平行であるので、歩行時に違和感を有するものでもない。
【0059】
また、本実施例においては、右利きの着用者を例にとり説明したが、左利きの着用者においては、左右の前記靴底3の構造が左右対称に置換されるものである。
また、ゴルフを例にして説明したが、テニス、バドミントン、野球等の他のスポーツにも使用できるものである。また、グリップ力を有するように設けられた前記突起部4a、前記突起部4b、前記突起部4c、前記突起部6a及び前記突起部6bの配置方向、形状は、各種スポーツに合わせて、適宜設計変更できるものである。
【実施例2】
【0060】
本発明のスポーツシューズの実施例2について図13乃至図16に基づいて説明する。
【0061】
図13及び図14に示すように、スポーツシューズ1における全体の構造は、前記実施例1と同様の為、以下、相違点についてのみ説明する。
【0062】
図13に示すように、右足の前記靴底3において、前記実施例1における前記スポーツシューズ1の前記軟質部5の前記スポンジ部5bに貫通孔5cが設けられている点で相違する。前記貫通孔5cは、直径7.5mm程度の環状であり、前記つま先部3aから前記土踏まず部にかけては、前記軟質部5の幅方向の中心線上に沿って、等間隔に配置されている。また、前記踵部3cにおいては、配列された前記突起部4aと平行になるよう、前記貫通孔5cが2列に亘り等間隔に配置されている。
【0063】
図15における前記つま先部3aをA−Aにて断面図にしたものを例にとり、前記貫通孔5cについて説明する。
前記貫通孔5cは、前記軟質部5における前記スポンジ部5bにのみ設けられており、前記ゴム部5aには設けられていない為、グリップ力を損なうことはない。
また、前記貫通孔5cは、前記スポーツシューズ1の軽量化を図る際、前記靴底3の厚みを薄くしたいとき等に効果を奏するものである。前記靴底3の厚みを薄くしていくと、前記軟質部5における前記ゴム部5a及び前記スポンジ部5bの撓み量が減少するので、前記硬質部4及び前記軟質部5における硬度の差が生じにくくなっていく。この際、前記軟質部5における前記スポンジ部5bに前記貫通孔5cを設けることで、前記貫通孔5c付近では撓みやすくなり、全体的に前記軟質部5の硬度を下げることができる。
これによって、前記実施例1と同様の効果を奏することができ、且つ前記スポーツシューズ1の軽量化を図ることができる。
【0064】
図14に示すように、左足の前記靴底3において、前記実施例1における前記スポーツシューズ1の前記軟質部5の前記スポンジ部5bに貫通孔5c及び長孔貫通孔5dが設けられている点で相違する。前記貫通孔5cは、直径7.5mm程度の環状であり、前記長孔貫通孔5dは、直径7.5mm程度の環状を長孔形状にしたものである。前記貫通孔5cは、前記つま先部3aにおいては、中指の付根付近及び前記凹部7側に位置する前記つま先部3aの幅方向に亘って、等間隔に配置されている。
【0065】
また、前記長孔貫通孔5dは、前記軟質部5の中央部付近に前記靴底3の長さ方向に沿って長孔が伸びている。
【0066】
図16は、前記つま先部3aをF−Fにて断面図にしたものであるが、本実施例2における前記右足の前記靴底3と同様の効果を奏するものである。
【0067】
本実施例は前記実施例1と同様の効果を奏するものであるが、更に、前記軟質部5における前記スポンジ部5bにのみ前記貫通孔5c及び前記長孔貫通孔5dを設けることで、前記貫通孔5c及び前記長孔貫通孔5d付近を撓みやすくさせ、全体的に前記軟質部5の硬度を下げることができる。
これによって、前記実施例1と同様の効果を奏することができ、前記靴底3の厚みを薄くし、且つ前記スポーツシューズ1の軽量化を図ることができる。
【0068】
また、本実施例2においては、前記軟質部5における前記スポンジ部5bに前記貫通孔5c及び前記長孔貫通孔5dを有する構成であるが、前記ゴム部5aと前記スポンジ部5bからなる前記軟質部5の全体に前記貫通孔5c及び前記長孔貫通孔5dを配置することもできるし、前記硬質部4に配置することもできる。
更に、各種スポーツに合わせて、前記貫通孔5c及び前記長孔貫通孔5dが配置された前記スポーツシューズ1における前記靴底3は、前記硬質部4のみから構成することもできるし、前記軟質部5のみから構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの左靴の正面図である。
【図2】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの右靴の底面図である。
【図3】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの左靴の底面図である。
【図4】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの右靴のA−A端面図である。
【図5】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの右靴のB−B端面図である。
【図6】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの右靴のC−C端面図である。
【図7】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの右靴のD−D端面図である。
【図8】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの右靴のE−E端面図である。
【図9】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの左靴のF−F端面図である。
【図10】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの左靴のG−G端面図である。
【図11】本発明の実施例1におけるスポーツシューズの左靴のH−H端面図である。
【図12】本発明の実施例1におけるスポーツシューズに重心がかかったときの左靴のF−F端面図である。
【図13】本発明の実施例2におけるスポーツシューズの右靴の底面図である。
【図14】本発明の実施例2におけるスポーツシューズの左靴の底面図である。
【図15】本発明の実施例2におけるスポーツシューズの右靴のA−A端面図である。
【図16】本発明の実施例2におけるスポーツシューズの左靴のF−F端面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 スポーツシューズ
2 靴本体
3 靴底
3a つま先部
3b 土踏まず部
3c 踵部
3d、3e、3f、3g、3h 溝部
4 硬質部
4a、4b、4c 突起部
4d リブ
4e 窪み部
5 軟質部
5a ゴム部
5b スポンジ部
5c 貫通孔
5d 長孔貫通孔
6 軟質部
6a、6b 突起部
7 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴底に硬質部と軟質部を有するスポーツシューズにおいて、
スポーツシューズにおける靴底は、つま先部、土踏まず部及び踵部から構成されており、
利き足側における靴底の外側部に軟質部を、前記靴底の内側部に硬質部を配置し、
利き足と反対側における靴底のつま先部の中央部に軟質部を、当該両外側に硬質部を配置し、
踵部の外側部に硬質部を、前記踵部の内側部に軟質部を配置したことを特徴とするスポーツシューズ。
【請求項2】
靴底に硬質部と軟質部を有するスポーツシューズにおいて、
利き足における前記靴底の前記軟質部、利き足と反対側における前記靴底のつま先部の中央部の前記軟質部を、スポンジ部とゴム部の二層構造とし、前記ゴム部を接地面とすることを特徴とする請求項1に記載のスポーツシューズ。
【請求項3】
靴底に硬質部と軟質部を有するスポーツシューズにおいて、
利き足及び利き足と反対側における前記靴底の前記軟質部のスポンジ部に貫通孔を設けたことを特徴とする請求項2に記載のスポーツシューズ。
【請求項4】
靴底に硬質部と軟質部を有するスポーツシューズにおいて、
両足における前記靴底の前記軟質部が、前記靴底における前記硬質部よりも突出してなることを特徴とする請求項1、請求項2及び請求項3に記載のスポーツシューズ。
【請求項5】
靴底に硬質部と軟質部を有するスポーツシューズにおいて、
利き足における前記つま先部の内側部に窪み部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のスポーツシューズ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2008−279025(P2008−279025A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125138(P2007−125138)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(591038820)株式会社デサント (42)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】