スポーツ用ボールおよびスポーツ用ボールの製造方法
【解決手段】スポーツ用ボールは、第1縁を有する第1パネル要素と、第2縁を有する第2パネル要素とを含む複数の接合されたパネル要素を含むケーシングを含んでいてもよい。第1縁および第2縁は互いに溶着されている。いくつかの構成では、第1パネル要素は、突起を備えた第1縁を有しており、突起は第1縁から外側に延びており、第2パネル要素は、第1縁に隣接して配置された第2縁を有しており、第1縁の突起は第2縁とブラダとの間に配置されている。別の構成では、第1縁および第2縁は丸い構成を有するよう形成されている。スポーツ用ボールはまた、ケーシング内に中間層およびブラダを含んでいてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ用ボールおよびスポーツ用ボールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サッカーボールなどの膨張可能な様々のスポーツ用ボールは、ケーシング、中間層およびブラダを含む層状の構造を有する。ケーシングは、スポーツ用ボールの外側部分を形成し、一般的には、(例えば縫製または接着剤により)当接縁に沿って互いに接合された耐久性および耐摩耗性の複数のパネルで形成されている。パネル構成は実に様々であるが、従来のサッカーボールのケーシングは32個のパネルを含んでおり、そのうちの12個は五角形であり、そのうちの20個は六角形である。
【0003】
中間層は、スポーツ用ボールの中間部分を形成し、ケーシングとブラダとの間に配置されている。とりわけ、中間層は、スポーツ用ボールに柔らかい感触を与え、エネルギーリターンを付与し、ブラダの拡大を規制してもよい。いくつかの構成では、中間層または中間層の一部は、ケーシングに基材として結合され、接合され、または他のやり方で組み込まれていてもよい。
【0004】
膨張可能な構成を有するブラダは、中間層内に配置されて、スポーツ用ボールの内側部分となる。膨張を促進するために(すなわち加圧した空気により)、ブラダは一般的には、中間層およびケーシングのそれぞれを通って延びるバルブ付きの開口部を含んでおり、それによりスポーツ用ボールの外部からアクセス可能となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
スポーツ用ボールは、以下に、スポーツ用ボールの外面を形成するケーシングを含むものとして開示されている。ケーシングは、第1縁を有する第1パネル要素と、第2縁を有する第2パネル要素とを含む複数の接合されたパネル要素を含む。一般的に、第1縁および第2縁は、互いに溶着されている。いくつかの構成では、第1パネル要素は、突起を備えた第1縁を有しており、突起は第1縁から外側に向かって延びている。第2パネル要素は、第1縁に隣接して配置された第2縁を有している。第1縁の突起は、第2縁とブラダとの間に配置されている。別の構成では、第1縁および第2縁は、丸い構成を有するよう形成されている。スポーツ用ボールはまた、ケーシング内に中間層およびブラダを含んでいてもよい。
【0006】
スポーツ用ボールの製造方法は、熱可塑性のポリマー材料を含む複数のパネル要素を設けるステップを含んでいてもよい。パネル要素を互いに溶着してパネル要素を接合する。溶着されたパネル要素は、パネル要素の少なくとも2つの第1縁および第2縁の間に形成された開口部を介して表裏反対にされ、その開口部の縁が互いに溶着される。いくつかの方法では、第1縁は、その外側に向かって延びる突起を有している。別の構成では、第1縁および第2縁は、丸い構成を有するよう形成されている。
【0007】
スポーツ用ボールはまた、スポーツ用ボールの外面を形成し、複数の第1溶着部により互いに接合された複数のパネル要素を含むケーシングを有していてもよい。パネル要素の少なくとも1つが、第1溶着部から間隔を空けた第2溶着部を含んでおり、カバー層がパネル要素に接合されて、第2溶着部を覆っている。
本発明の新規な利点および特徴は、特に添付の特許請求の範囲で指摘されるが、新規な利点および特徴の理解をより深めるために、本発明に関連した様々な構成および概念を説明および例示する、以下の説明事項および添付図面を参照することができる。
【0008】
上記発明の概要および以下の詳細な説明は、添付図面とともに読むことで、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】スポーツ用ボールの斜視図である。
【図2】スポーツ用ボールの別の斜視図である。
【図3】図2の切断線3-3 により定義された、スポーツ用ボールの一部の断面図である。
【図4】スポーツ用ボールのパネルの頂面図である。
【図5】接合された2つのパネルの斜視図である。
【図6】図5の切断線6-6 により定義された、接合されたパネルの断面図である。
【図7】パネルを接合する際に使用される溶着器具の断面図である。
【図8】図7の切断線8-8 により定義された、溶着器具の断面図である。
【図9A】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図9B】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図9C】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図9D】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図9E】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図10】図8に対応し、溶着器具の別の構成を示す断面図である。
【図11A】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11B】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11C】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11D】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11E】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11F】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図12】スポーツ用ボールの3つのパネルの頂面図である。
【図13A】図12の切断線13A-13Aにより定義された、パネルの断面図である。
【図13B】図12の切断線13B-13Bにより定義された、パネルの断面図である。
【図14A】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図14B】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図14C】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図14D】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図14E】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図15A】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15B】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15C】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15D】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15E】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15F】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図16A】図15Aのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16B】図15Bのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16C】図15Cのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16D】図15Dのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16E】図15Eのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16F】図15Fのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図17】スポーツ用ボールの別の構成を示す斜視図である。
【図18】図17の切断線18-18により定義された、図17に示すスポーツ用ボールの一部の断面図である。
【図19A】図18に対応し、さらなる構成を示す断面図である。
【図19B】図18に対応し、さらなる構成を示す断面図である。
【図19C】図18に対応し、さらなる構成を示す断面図である。
【図20】スポーツ用ボールの別の構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明および添付図面により、様々なスポーツ用ボール構成およびスポーツ用ボールの製造に関する方法が開示される。スポーツ用ボールはサッカーボールに関連して説明および図示されるが、本構成および本方法に関連した概念は、様々な種類の膨張可能なスポーツ用ボールに適用されてもよい。ゆえに、サッカーボールに加えて、本明細書中で説明される概念は、例えば、バスケットボール、(アメリカンフットボールまたはラグビー用の)フットボール、バレーボールおよび水球ボールに組み込まれてもよい。野球ボールおよびソフトボールなどの膨張不可能な様々なスポーツ用ボールにも、本明細書中で説明される概念を組み込んでもよい。
全体的なスポーツ用ボール構成
サッカーボールの一般的な構成を有するスポーツ用ボール10を、図1〜図3に示す。スポーツ用ボール10は、(a)スポーツ用ボール10の外側部分を形成するケーシング20と、(b)ケーシング20内に配置された中間層30と、(c)スポーツ用ボール10の内側部分を形成する膨張可能なブラダ40とを有する層状の構造を有している。加圧されたときに、ブラダ40は、スポーツ用ボール10が実質的に球形の形状を取るようにする。より詳しくは、ブラダ40内の圧力により、ブラダ40が中間層30に外向きの力をかけるようにされる。次いで、中間層30は、ケーシング20に外向きの力をかける。ブラダ40の拡大を制限するため、かつ、ケーシング20の張力を制限するためにも、中間層30の一部が、制限された度合の伸張を有していてもよい。すなわち、ブラダ40は中間層30に外向きの力をかけるが、中間層30の伸張特性により、ケーシング20に著しい張力が当該外向きの力によって誘発されることを効果的に防止することができる。したがって、中間層30は、ブラダ40からの圧力を規制しながら、外向きの力がケーシング20に球形の形状を誘発することを許容し、それによりスポーツ用ボール10に球形の形状を付与している。
【0011】
ケーシング20は、当接側部または縁に沿って互いに接合されて複数のシーム(縫い目)22を形成する、様々なパネル21で形成されている。パネル21は、12個の正五角形の形状を有するものとして示されているが、正五角形でない形状、凹状もしくは凸状の縁、または他の様々な形状(例えば、三角形、正方形、矩形、六角形、台形、円形、楕円形、非対称形)を有していてもよい。それらは、切り嵌め法のやり方で組み合わされてケーシング20を形成する。いくつかの構成では、スポーツ用ボール10は、12個の五角形のパネル21および20個の六角形のパネル21を有して、従来のサッカーボールの一般的な構成を付与していてもよい。選択されたパネル21も、隣接したパネル21を有する一体の(すなわち単一の)構造で形成されて、シーム22の数を低減する架橋されたパネルを形成していてもよい。したがって、ケーシング20の構成は、実に様々であってもよい。
【0012】
従来のケーシングとケーシング20との間の相違は、パネル21が接合されてシーム22を形成するやり方に関連している。従来のスポーツ用ボールのパネルは、縫製(例えば手縫いまたは機械縫製)により接合されている場合がある。対照的に、パネル21およびシーム22を接合するために、スポーツ用ボール10の製造では溶着処理が使用される。より詳しくは、パネル21は少なくとも一部がポリマー材料で形成されている。ポリマー材料は、熱可塑性ポリマー材料であってもよく、パネル21の縁は、加熱され互いに結合されてシーム22を形成してもよい。シーム22の構成の一例を、図3の断面図に示している。図3では、パネル21のそれぞれのポリマー材料を組み合わせるまたは混ぜることで、溶着処理により、2つのパネル21が互いに効率的に固定され、結合され、または、他のやり方で接合されている。別の構成では、パネル21のいくつかが縫製により接合されていてもよく、または、様々なシーム22が縫製により補足されていてもよい。
【0013】
シーム22を形成するために溶着処理を使用することの一つの利点は、スポーツ用ボール10の全体的な質量に関連している。従来のスポーツ用ボールは、質量の約10〜15パーセントがパネルの間のシームである場合があるが、パネル21を溶着することにより、シーム22の質量を低減することができる。ケーシング20の縫製されたシームをなくすことにより、スポーツ用ボール10の性能特性(例えば、エネルギーリターン、球形度、質量分散、耐久性、空気力学)を高める他の構造的な要素のために質量を使用することができる。そうでなければ、質量は縫製されたシームにより付与されることになる。別の利点は、製造効率に関連している。従来のスポーツ用ボールのシームのそれぞれを縫製することは、特に手縫いの場合に、比較的時間のかかる処理である。シーム22においてパネル21を互いに溶着することにより、ケーシング20を形成するのに必要な時間を低減して、それにより全体的な製造効率を高めることができる。
【0014】
中間層30は、ケーシング20とブラダ40との間に配置されている。中間層30は、スポーツ用ボールに柔らかい感触を与える圧縮可能な発泡層、エネルギーリターンを付与するゴム層、および、ブラダ40の拡大を規制する規制層の1つ以上を含むように形成されていてもよい。中間層30の全体的な構造は、実に様々であってもよい。一例として、規制層は、(a)ブラダ40の周りに、様々な方向に繰り返し巻き付けられて、実質的にブラダ40の全体を覆うメッシュを形成する糸、ヤーンもしくはフィラメント、(b)互いに縫製されてブラダ40の周りに延びる構造を形成する、大略的に平坦もしくは平らな複数の織物要素、または、(c)ラテックスを充満させ、ブラダ40の周りの重なり合った構成中に配置された、大略的に平坦もしくは平らな複数の織物片で形成されていてもよい。規制層はまた、2008年6月27日付で米国特許商標庁に出願された米国特許出願第12/147,799号に開示されているように、実質的にシームレスの球状の織物であってもよい。スポーツ用ボール10のいくつかの構成では、中間層30もしくは中間層30の一部は、ケーシング20に基材として結合され、接合され、もしくは他のやり方で組み込まれていてもよく、または、中間層30はスポーツ用ボール10に存在していなくてもよい。ゆえに、中間層30の構造は実に様々であって、様々な構成および材料を含んでいてもよい。
【0015】
ブラダ40は、膨張可能な構成を有しており、中間層30内に配置されてスポーツ用ボール10の内側部分を形成する。膨張されると、ブラダ40は丸い、または大略的に球形の形状を取る。膨張を促進するために、ブラダ40は、中間層30およびケーシング20を通って延びるバルブ付きの開口部(図示せず)を含んでいて、それによりスポーツ用ボール10の外部からアクセス可能とされていてもよい。または、ブラダ40は、半永久的に膨張されるバルブのない構造を有していてもよい。ブラダ40は、ブラダ40内の空気または他の流体がスポーツ用ボール10の外部へと放散するのを実質的に防ぐ、ゴムまたはカーボンラテックス材料で形成されていてもよい。ゴムおよびカーボンラテックスに加えて、他のエラストマー材料、または他のやり方で伸張可能な材料など様々な材料を、ブラダ40に使用してもよい。いくつかの構成では、ブラダ40はまた、2008年6月27日付で米国特許商標庁に出願された米国特許出願第12/147,943号に開示されているように、複数の接合されたパネルで形成された構造を有していてもよい。
第1製造工程
従来のスポーツ用ボール10のパネルは、上述したように、縫製(手縫いまたは機械縫製)により接合されていてもよい。しかし、パネル21は少なくとも一部が、溶着処理により接合することができるポリマー材料(熱可塑性ポリマー材料であってもよい)で形成されている。図4を参照して、スポーツ用ボール10に組み込まれる前のパネル21の1つが、パネル領域23および5つのフランジ領域24を有するものとして示されている。パネル領域23がパネル21の中央部を大略的に形成しているのに対し、フランジ領域24は、パネル21の縁部を大略的に形成して、パネル領域23の周りに延びている。参照を目的として、破線が、パネル領域23と様々なフランジ領域24との間に延びるものとして示されている。パネル21は五角形形状を有し、各フランジ領域24は五角形形状の1つの側部領域に対応している。パネルが異なる形状を有するさらなる構成では、フランジ領域の数は、形状の側部の数に対応して変化してもよい。パネル21は、5つのノッチ(切り欠き)25を区画している。ノッチ25は、五角形形状の頂点から内側に向かって延びており、様々なフランジ領域24を互いに効率的に分離している。したがって、フランジ領域24は、パネル領域23に接続されてはいるが、ノッチ25の形成により、互いに独立して屈曲または他のやり方で動くことが可能である。さらに、各フランジ領域24は、パネル21を通って延びる孔を形成する様々なレジストレーション(識別)開口26を区画している。
【0016】
様々パネル21のパネル領域23は、スポーツ用ボール10の外部に見えるケーシング20の部分の大半または全体を形成している。一方、フランジ領域24は、パネル21を互いに接合するために互いに結合されたパネル21の部分を形成している。図5および図6を参照して、2つのパネル21を互いに接合するやり方の一例を示す。パネル領域23は大略的に互いに共面とされているが、接合されたフランジ領域24は上方に曲がり、当接面に沿って接合される。さらに、接合されたフランジ領域24のそれぞれのレジストレーション開口26は整列されている。結合(すなわち溶着による)の前にレジストレーション開口26を整列させることにより、フランジ領域24は互いに適切に配置される。以下に、より詳細に説明するように、接合されたフランジ領域24の一部が、ケーシング20の製造処理中に切り落とされてもよい。図5および図6において上方を向いた面は、製造が完了するとスポーツ用ボール10の内部に配置され、下方を向いた面はスポーツ用ボール10の外面を形成することに注意されたい。
【0017】
パネル21はポリマー材料を含むものとして上に説明した。ポリマー材料はパネル21を互いに固定するために使用してもよい。パネル21用にふさわしいポリマー材料の例には、熱可塑性および/または熱硬化性ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリオレフィンが含まれる。いくつかの構成では、パネル21は、ケーシング20を補強または強化するフィラメントまたはファイバを含んでいてもよい。さらなる構成では、パネル21は層状の構造を有していてもよい。層状の構造は、ポリマー材料の外層と、織物、ポリマー発泡体、または、ポリマー材料に結合される他の材料で形成された内層とを含む。パネル21はまた、様々な材料で形成された複数の接合された層を含んでいてもよい。
【0018】
十分な熱にさらされると、特に熱可塑性ポリマー材料が使用されている場合に、パネル21内のポリマー材料は、固体状態から柔らかくなった状態または液状へと移行する。十分に冷却されると、ポリマー材料は、柔らかくなった状態または液状から固体状態へと再移行する。ポリマー材料のこれらの特性に基づいて、パネル21(すなわちフランジ領域24)の部分を互いに接合する溶着部を形成するために、溶着処理を使用してもよい。本明細書中で使用する際、「溶着する」という用語またはその変化形は、要素の少なくとも1つの中のポリマー材料を柔らかくして、または溶解して、冷却されたときに要素の材料が互いに固定されるようにすることを含む、2つの要素の間の固定技術と定義される。同様に、「溶着」という用語またはその変化形は、要素の少なくとも1つの中のポリマー材料を柔らかくして、または溶解して、冷却されたときに要素の材料が互いに固定されるようにすることを含む処理により2つの要素を接合する結合、連結または構造と定義される。例として、溶着することは、(a)ポリマー材料を含む2つのパネル21を溶解して、または柔らかくして、各パネル21のポリマー材料が互いに混ざり合うようにし(例えば、ポリマー材料の間の境界層にわたって拡散し)、冷却されたときに互いに固定されるようにすること、および、(b)第1パネル21中のポリマー材料を溶解して、または柔らかくして、ポリマー材料が第2パネル21の構造内に延びるまたは浸透する(例えば、第2パネル21に形成された割れ目もしくは空洞に浸透する、または、第2パネル21中のフィラメントもしくはファイバの周りに延びる、あるいはフィラメントもしくはファイバに結合する)ようにして、冷却されたときにパネル21を互いに固定することを含んでいてもよい。溶着することは、一方のパネル21のみがポリマー材料を含むとき、または、両方のパネル21がポリマー材料を含むときに起きてもよい。さらに、溶着することは、一般に縫製または接着剤の使用を含むものではなく、熱によりパネル21を互いに直接結合することを含むものである。しかし、ある場合、溶着することを通じたパネル21の溶着または接合を補うために、縫製または接着剤を使用してもよい。
【0019】
フランジ領域24を互いに溶着するために、伝導加熱、放射加熱、高周波加熱、超音波加熱およびレーザー加熱を含む様々な技術を使用してもよい。2つのフランジ領域24を結合することによりシーム22を形成するのに使用することのできる溶着鋳型50の一例を、図7および図8に示す。溶着鋳型50は、長さがパネル21の一方の側の長さに大略的に対応する2つの部分51を含む。すなわち、溶着鋳型50の長さは、フランジ領域24の長さと大略的に同じであるか、またはフランジ領域24の長さよりも大きい。各部分51は、他方の部分51に対向する対向面52を区画してもいる。すなわち、対向面52は互いに対向している。例えば、伝導加熱を目的として使用する場合、溶着鋳型50の温度を十分に上昇させてフランジ領域24の間に溶着を形成するために、部分51はそれぞれ、加熱された液体を導く内部の加熱要素または導管を含んでいてもよい。高周波加熱を目的として使用する場合、部分51の一方または両方が、パネル21内の特定のポリマー材料を加熱する高周波エネルギーを放射してもよい。溶着鋳型50に加えて、パネル21の間に溶着を効率的に形成することのできる他の様々な機器を使用してもよい。
【0020】
溶着鋳型50によりパネル21を接合するための一般的な処理を、図9A〜図9Eを参照して説明する。まず、図9A に示すように、2つのパネル21の隣接するフランジ領域24を、(a)フランジ領域24の表面が互いに対向するように、かつ、(b)レジストレーション開口26が大略的に一列に並ぶように配置する。溶着鋳型50の部分51は、当接するフランジ領域24の両側に配置されてもいる。次いで、図9Bに示すように、部分51は対向面52の間でフランジ領域24を圧縮して、フランジ領域24の表面が互いに接触するようにする。溶着鋳型50によりフランジ領域24を加熱することにより、フランジ領域24内のポリマー材料が、図9Cに示すように、フランジ領域24の間の溶着が促進される程度まで溶解されて、または他のやり方で柔らかくされて、それによりパネル21の間にシーム22を形成する。フランジ領域24を互いに結合することによりシーム22が形成されると、図9Dに示すように、部分51はフランジ領域24から後退してもよい。次いで、フランジ領域24の過剰な部分(レジストレーション開口26を区画する部分を含んでいてもよい)が、図9Eに示すように、切り落とされ、または他のやり方で除去されてシーム22の1つの形成が完了する。
【0021】
フランジ領域24の過剰な部分を除去するために、様々な切り落とし処理を使用してもよい。例として、切り落とし処理は、切断機器、砥石車またはエッチング処理の使用を含んでいてもよい。別の例として、溶着鋳型50は、図10に示すように、切断縁53を含んでいてもよい。切断縁53は溶着処理中にフランジ領域24を切り落とす。すなわち、部分51が対向面52の間でフランジ領域24を互いに加熱および圧縮する際に、切断縁53はフランジ領域24を通って突出しフランジ領域24を効率的に切り落とすのに使用することができる。
【0022】
フランジ領域24を溶着してパネル21の間にシーム22を形成する一般的な処理は、図9A〜図9Eに関連して、全般的に上で説明した。この一般的な処理を、図11Aに示すように、複数のパネル21を使い、各パネル21の複数のフランジ領域24に対して繰り返し実施して、大略的に球形の、または閉じた構造を効率的に形成してもよい。すなわち、ケーシング20に様々なシーム22を形成するために、上述した一般的な処理により複数のパネル21を互いに溶着してもよい。同様の構成を図11Bに示している。図11Bでは、フランジ領域24は切り落とされる。上述したように、フランジ領域24の切り落としまたは除去は、溶着処理のあとに行われてもよく、または、溶着処理の際に行われてもよい。
【0023】
シーム22は一般に各フランジ領域24の間に形成されるが、1つ以上のシーム22が処理のこの段階で形成されないままであってもよい。図11Aおよび図11Bを参照して、2つの結合されていない領域27が互いに隣接して配置されて、ケーシング20に開口部を形成している。結合されていない領域27の1つの目的は、結合されていない領域27により形成された開口部または開口を介して、ケーシング20を外表にできる、または他のやり方で裏返すことができることにある。より詳しくは、結合されていない領域27は、図11Bに示すように、分離されて開口部を形成していてもよく、ケーシング20は、この開口部を介して裏返され、または外表にされて、図11Cに示す構成を付与してもよい。フランジ領域24の切り落とされた部分は、図11Bでは外側に向かって突出しているが、結合されていない領域27から開口部を介してケーシング20を裏返す、または外表にすることで、フランジ領域24すべてがケーシング20内に配置される。ゆえに、ケーシング20が裏返され、または外表にされると、切り落とされたフランジ領域24は外側に向かってではなく内側に向かって突出する。例えば図3を参照して、ケーシング20の外部は大略的に滑らかな構成を有しているが、ケーシング20のフランジ領域24に対応する部分は内側に向かって突出する。パネル21はシーム22の領域でスポーツ用ボール10の外部に窪みを形成するが、同様の窪みは、縫製されたシームを有するゲームボールに共通して見られる。
【0024】
製造処理のこの段階でのさらなる考察は、結合されていない領域27を形成するパネル21の構成に関連する。図4を参照して、このパネル21は5つのフランジ領域24を含んでおり、それらは五角形のパネル領域23の縁の周りに延びており、パネル21の大部分はこの構成を有している。結合されていない領域27を形成するパネル21は図12に集合的に示されており、そこには様々なフランジ領域24が存在していない。くわえて、図13Aおよび図13Bの断面図に示すように、フランジ領域24が存在していない2つの縁29が鋳造されても、または他のやり方で成形されてもよい。結合されていない領域27は隣接した縁29の2つのセットの間に形成されるが、単一の結合されていない領域がただ2つの縁29の間に形成されてもよい。ゆえに、結合されていない領域27により形成された開口部は、少なくとも2つのパネル21の縁29の間に形成されるが、4つ以上の縁29の間に形成されてもよい。
【0025】
製造処理のこの段階で、ケーシング20が実質的に形成され、ケーシング20の表面が正確に方向付けされる。結合されていない領域27により形成されたケーシング20の開口部はこのとき、図11Dに示すように、中間層30およびブラダ40を挿入するのに使用してもよい。すなわち、中間層30およびブラダ40は、ケーシング20を裏返す、または外表にするのに使用した開口部を介して、ケーシング20内に配置されてもよい。次いで、中間層30およびブラダ40はケーシング20内に正確に配置される。それには、ブラダ40の一部を膨張させて、中間層30およびケーシング20の表面の間の接触を引き起こすことが含まれていてもよい。さらに、ブラダ40のバルブ付きの開口部(図示せず)は、中間層30およびケーシング20を通って延びるように配置されて、それによりスポーツ用ボール10の外部からアクセス可能にされていてもよい。中間層30およびブラダ40がケーシング20内に適切に配置されると、結合されていないフランジ領域24の間に形成されたケーシング20の開口部は、図11Eに示すように封止されてもよい。より詳しくは、封止鋳型60が、結合されていないフランジ領域24の間に(すなわち、結合されていない領域27に)溶着を形成して、最終的なシーム22を形成してもよい。最終的なシーム22はケーシング20を効率的に閉じ、それによって図11Fに示すようにスポーツ用ボール10の製造処理を実質的に完了する。ケーシング20を閉じるために、溶着の代わりに、縫製または接着剤を使用してもよい。
【0026】
結合されていない領域27にシーム22を形成するやり方を、より詳細に説明する。図11Eを参照し、封止鋳型60が2つのパネル21を接合してシーム22を形成しているスポーツ用ボール10の領域を通って延びるものとして、切断線14-14が示されている。結合されていない領域27でパネル21を接合するための全体的な処理を、図14A〜図14Eの切断線14-14に関連して説明する。図14Aを参照して、ケーシング20のパネル21は、中間層30およびブラダ40の組み合わせに対して緩く載っており、中間層30およびブラダ40の両方はケーシング20の内部に挿入されたばかりである。次いで、図14Bに示すように、ブラダ40が膨張され、それにより、中間層30およびブラダ40の組み合わせに、堅固な丸い構成が付与される。さらに、中間層30は外側に向かってケーシング20を押圧し、ケーシング20の内面に隣接し、それによってスポーツ用ボール10に大略的に球形の外観を付与する。
【0027】
上述したように、かつ図13Aおよび図13Bの断面図に示すように、フランジ領域24が存在していない縁29を鋳造してもよく、または他のやり方で成形してもよい。より詳しくは、縁29の両方は、放射状の、または大略的に丸い構成を有するよう成形される。すなわち、縁29は、ケーシング20の外面から内面へと延びた湾曲した構成を有しており、それによってスポーツ用ボール10の内部に向かって延びている。さらに、縁29の1つも、突起28を区画している。図14Cを参照して、突起28は外側に向かって他方の縁29の下方に延びており、それによって他方の縁29と中間層30およびブラダ40の両方との間に配置されている。この段階で、封止鋳型60は2つの縁29に隣接して配置される。次いで、図14Dに示すように、封止鋳型60は、下方に向かって縁29を押圧し、縁29でパネル21の材料を加熱して、縁29を互いに溶着するが、突起28を他の縁29に結合することを含む。次いで、図14Eに示すように、シーム22が2つのパネル21の間に形成されると、封止鋳型60は後退する。さらに、シーム22は、放射状の、または大略的に丸い構成のために、他のシーム22の大略的な外観を有している(図3を参照)。ゆえに、美学的には、結合されていない領域27の間に形成されたシーム22は、スポーツ用ボール10の他のシーム22と同様に見える、または同一にさえ見える。
【0028】
図13Aおよび図13Bにあるように、フランジ領域24が存在していない縁を鋳造または成形することで、スポーツ用ボール10に2つの利点が付与される。第一に、突起28が、2つのパネル21の間で溶着を形成および強化するのを支援するフランジを形成する。第二に、縁29の放射状の、または丸い構成により、スポーツ用ボール10の他のシーム22の一般的な外観が付与される。突起28と縁29の丸い構成とをスポーツ用ボール10に使用してもよいが、様々な他の構成をも使用してもよい。一例として、図15Aは、縁29が正方形の構成を有している構成を示しており、図16Aは、これらの正方形の縁29が接合されているところを示している。この構成では、シーム22は、窪んでいるというよりは滑らかな外観を有していてもよい。縁29はまた、図15Bおよび図16Bに示すように、突起28が存在しない丸い構成を有していてもよい。別の構成では、突起28は存在していてもよいが、縁29は、図15Cおよび図16Cに示すように、正方形の構成を有していてもよい。突起28の長さも変化してもよい。例えば図15Dおよび図16Dを参照して、突起28は、他の構成よりも大きな長さを有している。さらなる例として、補足層70を使用して、パネル21を互いに結合するのを支援してもよい。構成は変化してもよいが、補足層70は、パネル21に溶着されることになる熱可塑性のポリマー材料を含んでいてもよい。図15Eを参照して、補足層70は、パネル21の下方に配置されて、縁29により形成された隙間にわたって延びている。溶着の際、図16Eに示すように、パネル21はそれぞれ補足層70に接合され、縁29も互いに接合されてもよい。補足層70も、シーム22をさらに強化するため、または他のやり方で溶着処理を支援するために、上述した構成のいずれかとともに使用してもよい。例えば図15Fおよび図16Fを参照して、補足層70は、縁29が丸くされており、縁29の1つが突起28を区画している構成とともに使用されている。ゆえに、縁29でのパネル21の構成は、スポーツ用ボール10を閉じるのに使用されるシーム22に様々な構成を付与するために、かなり変化してもよい。
【0029】
上記説明に基づき、第1溶着操作により(すなわち溶着鋳型50により)、シーム22において様々なパネル21を接合することによって、スポーツ用ボール10のケーシング20を形成してもよい。フランジ領域24の突出部をスポーツ用ボール10内に配置するために、ケーシング20の開口部を介してケーシング20を効率的に裏返しても、または他のやり方で外表にしてもよい。中間層30およびブラダ40がケーシング20内に配置されると、開口部が第2溶着操作により(すなわち封止鋳型60により)封止されてもよい。ゆえに、2つの異なる溶着機器を使用した2つの異なる溶着操作を、パネル21を接合しケーシング20を形成するのに使用する。さらに、第1溶着操作によりシーム22の大部分が形成されるが、第2溶着操作により最終的ないくつかのシーム22が形成される。さらに、縁29が、互いに効率的に溶着する構造を有するよう鋳造され、または他のやり方で形成されてもよい。一例として、縁29が、放射状の、または大略的に丸い構成を有するよう鋳造または成形されてもよく、縁29の1つが突起28を区画してもいる。
第2製造工程
結合されていないフランジ領域24の間に(すなわち、結合されていない領域27に)形成されたケーシング20の開口部は、(a)ケーシング20を裏返して、または外表にして、突出したフランジ領域24をケーシング20内に配置するため、ならびに、(b)ケーシング20内に中間層30およびブラダ40を挿入するために使用することができる構造の一例である。別の例として、パネル21の1つが、図17および図18に示すように、プラグ82により封止されカバー層83により覆われる開口81を区画していてもよい。より詳しくは、(a)ケーシング20を裏返して、または外表にして、突出したフランジ領域24をケーシング20内に配置するため、ならびに、(b)ケーシング20内に中間層30およびブラダ40を挿入するために、開口81を使用してもよい。これらのステップが完了すると、プラグ82が開口81内に配置されて、開口81を区画しているパネル21に溶着される、または他のやり方で接合される。封止鋳型50または類似の機器を使用してプラグ82をケーシング20に溶着してもよいが、ケーシング20を閉じるのに縫製または接着剤を使用してもよい。溶着が完了すると、カバー層83がケーシング20に結合され、溶着され、接着され、または他のやり方で接合されて、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着を覆ってもよい。
【0030】
カバー層83は、(a)プラグ82とパネル21の残部との間の溶着を強化し、かつ、(b)スポーツ用ボール10の美観を高める。より詳しくは、カバー層83は、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着を覆い、それにより溶着を隠し保護する。さらに、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着は、パネル21を互いに接合している様々なシーム22から内側に向かって間隔を空けられている。カバー層83は、スポーツ用ボール10の視覚的な魅力を高める仕方で、着色され、織られ、または他のやり方で飾られていてもよい。別の構成では、カバー層83はまた、例えば、(a)スポーツ用ボール10の製造者を識別する商標情報、または、(b)スポーツ用ボール10のための膨張指示を含んでいてもよい。カバー層83をスポーツ用ボール10に接合するのに接着剤を使用してもよいが、カバー層83はまた、スポーツ用ボール10の表面に溶着されてもよい。いくつかの構成では、カバー層83は、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着にわたって固定された転写紙、アップリケ、接着剤要素、熱可塑性の要素、またはステッカーであってもよい。
【0031】
カバー層83の形状および寸法は一般的に、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着を覆うように選択される。図17および図18を参照して、カバー層83は、溶着を覆う大略的に円形の構成を有しているが、プラグ82の他の領域は覆っていない。反対に、図19Aは、カバー層83がプラグ82の表面にわたって延びプラグ82の全部を実質的に覆っている構成を示している。いくつかの構成では、図19Bに示すように、補足層84が、中間層30とケーシング20との間に配置されて、結合の助けとなっている。構成は変化してもよいが、補足層84は、パネル21およびプラグ82に溶着されることになる熱可塑性のポリマー材料を含んでいてもよい。いくつかの構成では、図19Cに示すように、層83,84がスポーツ用ボール10に存在していなくてもよい。図18を参照して、開口81およびプラグ82の両側が、比較的滑らかな仕方でかみ合い接合する、対応した段付きの構成を有している。より大きな強度を付与するため、または、他のやり方で開口81とプラグ82との間の結合を高めるために、図19A〜図19Cの断面図に示すように、様々な他の構成を使用してもよい。
【0032】
プラグ82はパネル21から分離され、次いで接合されてもよいが、図20に示すように、フラップ84の使用により同様の構成を実現してもよい。プラグ82をパネル21から分離する一方で、パネル21を切り裂いて開口を形成することによって、フラップ84は形成される。この開口は、(a)ケーシング20を裏返すか若しくは外表にして、突出したフランジ領域24をケーシング20内に配置するため、または、(b)ケーシング20内に中間層30およびブラダ40を挿入するために使用することができるものである。これらが完了すると、開口部を閉じるためにフラップ84を溶着してもよい。さらに、フラップ84とパネル21の残部との間の溶着は、パネル21を互いに接合している様々なシーム22から内側に向かって間隔を空けられている。図20に示すように、パネル21は五角形形状を有しており、フラップ84は五角形形状を有しており、カバー層83は、パネル21の表面の大部分を覆う五角形形状を有している。この構成の利点は、フラップ84により形成された開口部の領域が最大化され、それによりケーシング20を裏返す処理が容易になることである。さらなる構成では、カバー層83は、フラップ84とパネル21の残部との間の溶着の領域のみを覆っていてもよい。
【0033】
上記説明に基づき、溶着処理によりパネル21を接合することでケーシング20の少なくとも一部を形成してもよい。パネルを接合する他の方法と比較して、溶着処理は、スポーツ用ボール10の全体的な質量を低減し、製造効率を上げることができる。溶着処理がパネル21を接合するために使用されると、ケーシングを裏返して、または外表にして、突出したフランジ領域24をスポーツ用ボール10内に配置し、それにより実質的に滑らかな外面を形成するために、ケーシング20の開口部を使用することができる。さらに、中間層30およびブラダ40をケーシング20の開口部を介して挿入してもよく、次いでケーシング20の開口部は封止される。
【0034】
様々な構成を参照して、上および添付図面に本発明を開示した。しかし、本開示の目的は、本発明に関する様々な特徴および概念の例を提供することであり、本発明の範囲を限定することではない。添付の特許請求の範囲に規定した本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変更および修正を上記構成に加えることができることを、当業者は理解するであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ用ボールおよびスポーツ用ボールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サッカーボールなどの膨張可能な様々のスポーツ用ボールは、ケーシング、中間層およびブラダを含む層状の構造を有する。ケーシングは、スポーツ用ボールの外側部分を形成し、一般的には、(例えば縫製または接着剤により)当接縁に沿って互いに接合された耐久性および耐摩耗性の複数のパネルで形成されている。パネル構成は実に様々であるが、従来のサッカーボールのケーシングは32個のパネルを含んでおり、そのうちの12個は五角形であり、そのうちの20個は六角形である。
【0003】
中間層は、スポーツ用ボールの中間部分を形成し、ケーシングとブラダとの間に配置されている。とりわけ、中間層は、スポーツ用ボールに柔らかい感触を与え、エネルギーリターンを付与し、ブラダの拡大を規制してもよい。いくつかの構成では、中間層または中間層の一部は、ケーシングに基材として結合され、接合され、または他のやり方で組み込まれていてもよい。
【0004】
膨張可能な構成を有するブラダは、中間層内に配置されて、スポーツ用ボールの内側部分となる。膨張を促進するために(すなわち加圧した空気により)、ブラダは一般的には、中間層およびケーシングのそれぞれを通って延びるバルブ付きの開口部を含んでおり、それによりスポーツ用ボールの外部からアクセス可能となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
スポーツ用ボールは、以下に、スポーツ用ボールの外面を形成するケーシングを含むものとして開示されている。ケーシングは、第1縁を有する第1パネル要素と、第2縁を有する第2パネル要素とを含む複数の接合されたパネル要素を含む。一般的に、第1縁および第2縁は、互いに溶着されている。いくつかの構成では、第1パネル要素は、突起を備えた第1縁を有しており、突起は第1縁から外側に向かって延びている。第2パネル要素は、第1縁に隣接して配置された第2縁を有している。第1縁の突起は、第2縁とブラダとの間に配置されている。別の構成では、第1縁および第2縁は、丸い構成を有するよう形成されている。スポーツ用ボールはまた、ケーシング内に中間層およびブラダを含んでいてもよい。
【0006】
スポーツ用ボールの製造方法は、熱可塑性のポリマー材料を含む複数のパネル要素を設けるステップを含んでいてもよい。パネル要素を互いに溶着してパネル要素を接合する。溶着されたパネル要素は、パネル要素の少なくとも2つの第1縁および第2縁の間に形成された開口部を介して表裏反対にされ、その開口部の縁が互いに溶着される。いくつかの方法では、第1縁は、その外側に向かって延びる突起を有している。別の構成では、第1縁および第2縁は、丸い構成を有するよう形成されている。
【0007】
スポーツ用ボールはまた、スポーツ用ボールの外面を形成し、複数の第1溶着部により互いに接合された複数のパネル要素を含むケーシングを有していてもよい。パネル要素の少なくとも1つが、第1溶着部から間隔を空けた第2溶着部を含んでおり、カバー層がパネル要素に接合されて、第2溶着部を覆っている。
本発明の新規な利点および特徴は、特に添付の特許請求の範囲で指摘されるが、新規な利点および特徴の理解をより深めるために、本発明に関連した様々な構成および概念を説明および例示する、以下の説明事項および添付図面を参照することができる。
【0008】
上記発明の概要および以下の詳細な説明は、添付図面とともに読むことで、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】スポーツ用ボールの斜視図である。
【図2】スポーツ用ボールの別の斜視図である。
【図3】図2の切断線3-3 により定義された、スポーツ用ボールの一部の断面図である。
【図4】スポーツ用ボールのパネルの頂面図である。
【図5】接合された2つのパネルの斜視図である。
【図6】図5の切断線6-6 により定義された、接合されたパネルの断面図である。
【図7】パネルを接合する際に使用される溶着器具の断面図である。
【図8】図7の切断線8-8 により定義された、溶着器具の断面図である。
【図9A】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図9B】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図9C】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図9D】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図9E】スポーツ用ボールのための製造処理においてパネルを互いに溶着するステップを示した模式的な断面図である。
【図10】図8に対応し、溶着器具の別の構成を示す断面図である。
【図11A】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11B】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11C】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11D】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11E】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図11F】スポーツ用ボールのための製造処理におけるさらなるステップを示す斜視図である。
【図12】スポーツ用ボールの3つのパネルの頂面図である。
【図13A】図12の切断線13A-13Aにより定義された、パネルの断面図である。
【図13B】図12の切断線13B-13Bにより定義された、パネルの断面図である。
【図14A】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図14B】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図14C】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図14D】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図14E】図11Eの切断線14-14により定義された、スポーツ用ボールのための製造処理における追加のステップを示す断面図である。
【図15A】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15B】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15C】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15D】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15E】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図15F】図13Aに対応し、パネルのさらなる構成を示す断面図である。
【図16A】図15Aのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16B】図15Bのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16C】図15Cのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16D】図15Dのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16E】図15Eのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図16F】図15Fのパネルを接合しているところを示す断面図である。
【図17】スポーツ用ボールの別の構成を示す斜視図である。
【図18】図17の切断線18-18により定義された、図17に示すスポーツ用ボールの一部の断面図である。
【図19A】図18に対応し、さらなる構成を示す断面図である。
【図19B】図18に対応し、さらなる構成を示す断面図である。
【図19C】図18に対応し、さらなる構成を示す断面図である。
【図20】スポーツ用ボールの別の構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明および添付図面により、様々なスポーツ用ボール構成およびスポーツ用ボールの製造に関する方法が開示される。スポーツ用ボールはサッカーボールに関連して説明および図示されるが、本構成および本方法に関連した概念は、様々な種類の膨張可能なスポーツ用ボールに適用されてもよい。ゆえに、サッカーボールに加えて、本明細書中で説明される概念は、例えば、バスケットボール、(アメリカンフットボールまたはラグビー用の)フットボール、バレーボールおよび水球ボールに組み込まれてもよい。野球ボールおよびソフトボールなどの膨張不可能な様々なスポーツ用ボールにも、本明細書中で説明される概念を組み込んでもよい。
全体的なスポーツ用ボール構成
サッカーボールの一般的な構成を有するスポーツ用ボール10を、図1〜図3に示す。スポーツ用ボール10は、(a)スポーツ用ボール10の外側部分を形成するケーシング20と、(b)ケーシング20内に配置された中間層30と、(c)スポーツ用ボール10の内側部分を形成する膨張可能なブラダ40とを有する層状の構造を有している。加圧されたときに、ブラダ40は、スポーツ用ボール10が実質的に球形の形状を取るようにする。より詳しくは、ブラダ40内の圧力により、ブラダ40が中間層30に外向きの力をかけるようにされる。次いで、中間層30は、ケーシング20に外向きの力をかける。ブラダ40の拡大を制限するため、かつ、ケーシング20の張力を制限するためにも、中間層30の一部が、制限された度合の伸張を有していてもよい。すなわち、ブラダ40は中間層30に外向きの力をかけるが、中間層30の伸張特性により、ケーシング20に著しい張力が当該外向きの力によって誘発されることを効果的に防止することができる。したがって、中間層30は、ブラダ40からの圧力を規制しながら、外向きの力がケーシング20に球形の形状を誘発することを許容し、それによりスポーツ用ボール10に球形の形状を付与している。
【0011】
ケーシング20は、当接側部または縁に沿って互いに接合されて複数のシーム(縫い目)22を形成する、様々なパネル21で形成されている。パネル21は、12個の正五角形の形状を有するものとして示されているが、正五角形でない形状、凹状もしくは凸状の縁、または他の様々な形状(例えば、三角形、正方形、矩形、六角形、台形、円形、楕円形、非対称形)を有していてもよい。それらは、切り嵌め法のやり方で組み合わされてケーシング20を形成する。いくつかの構成では、スポーツ用ボール10は、12個の五角形のパネル21および20個の六角形のパネル21を有して、従来のサッカーボールの一般的な構成を付与していてもよい。選択されたパネル21も、隣接したパネル21を有する一体の(すなわち単一の)構造で形成されて、シーム22の数を低減する架橋されたパネルを形成していてもよい。したがって、ケーシング20の構成は、実に様々であってもよい。
【0012】
従来のケーシングとケーシング20との間の相違は、パネル21が接合されてシーム22を形成するやり方に関連している。従来のスポーツ用ボールのパネルは、縫製(例えば手縫いまたは機械縫製)により接合されている場合がある。対照的に、パネル21およびシーム22を接合するために、スポーツ用ボール10の製造では溶着処理が使用される。より詳しくは、パネル21は少なくとも一部がポリマー材料で形成されている。ポリマー材料は、熱可塑性ポリマー材料であってもよく、パネル21の縁は、加熱され互いに結合されてシーム22を形成してもよい。シーム22の構成の一例を、図3の断面図に示している。図3では、パネル21のそれぞれのポリマー材料を組み合わせるまたは混ぜることで、溶着処理により、2つのパネル21が互いに効率的に固定され、結合され、または、他のやり方で接合されている。別の構成では、パネル21のいくつかが縫製により接合されていてもよく、または、様々なシーム22が縫製により補足されていてもよい。
【0013】
シーム22を形成するために溶着処理を使用することの一つの利点は、スポーツ用ボール10の全体的な質量に関連している。従来のスポーツ用ボールは、質量の約10〜15パーセントがパネルの間のシームである場合があるが、パネル21を溶着することにより、シーム22の質量を低減することができる。ケーシング20の縫製されたシームをなくすことにより、スポーツ用ボール10の性能特性(例えば、エネルギーリターン、球形度、質量分散、耐久性、空気力学)を高める他の構造的な要素のために質量を使用することができる。そうでなければ、質量は縫製されたシームにより付与されることになる。別の利点は、製造効率に関連している。従来のスポーツ用ボールのシームのそれぞれを縫製することは、特に手縫いの場合に、比較的時間のかかる処理である。シーム22においてパネル21を互いに溶着することにより、ケーシング20を形成するのに必要な時間を低減して、それにより全体的な製造効率を高めることができる。
【0014】
中間層30は、ケーシング20とブラダ40との間に配置されている。中間層30は、スポーツ用ボールに柔らかい感触を与える圧縮可能な発泡層、エネルギーリターンを付与するゴム層、および、ブラダ40の拡大を規制する規制層の1つ以上を含むように形成されていてもよい。中間層30の全体的な構造は、実に様々であってもよい。一例として、規制層は、(a)ブラダ40の周りに、様々な方向に繰り返し巻き付けられて、実質的にブラダ40の全体を覆うメッシュを形成する糸、ヤーンもしくはフィラメント、(b)互いに縫製されてブラダ40の周りに延びる構造を形成する、大略的に平坦もしくは平らな複数の織物要素、または、(c)ラテックスを充満させ、ブラダ40の周りの重なり合った構成中に配置された、大略的に平坦もしくは平らな複数の織物片で形成されていてもよい。規制層はまた、2008年6月27日付で米国特許商標庁に出願された米国特許出願第12/147,799号に開示されているように、実質的にシームレスの球状の織物であってもよい。スポーツ用ボール10のいくつかの構成では、中間層30もしくは中間層30の一部は、ケーシング20に基材として結合され、接合され、もしくは他のやり方で組み込まれていてもよく、または、中間層30はスポーツ用ボール10に存在していなくてもよい。ゆえに、中間層30の構造は実に様々であって、様々な構成および材料を含んでいてもよい。
【0015】
ブラダ40は、膨張可能な構成を有しており、中間層30内に配置されてスポーツ用ボール10の内側部分を形成する。膨張されると、ブラダ40は丸い、または大略的に球形の形状を取る。膨張を促進するために、ブラダ40は、中間層30およびケーシング20を通って延びるバルブ付きの開口部(図示せず)を含んでいて、それによりスポーツ用ボール10の外部からアクセス可能とされていてもよい。または、ブラダ40は、半永久的に膨張されるバルブのない構造を有していてもよい。ブラダ40は、ブラダ40内の空気または他の流体がスポーツ用ボール10の外部へと放散するのを実質的に防ぐ、ゴムまたはカーボンラテックス材料で形成されていてもよい。ゴムおよびカーボンラテックスに加えて、他のエラストマー材料、または他のやり方で伸張可能な材料など様々な材料を、ブラダ40に使用してもよい。いくつかの構成では、ブラダ40はまた、2008年6月27日付で米国特許商標庁に出願された米国特許出願第12/147,943号に開示されているように、複数の接合されたパネルで形成された構造を有していてもよい。
第1製造工程
従来のスポーツ用ボール10のパネルは、上述したように、縫製(手縫いまたは機械縫製)により接合されていてもよい。しかし、パネル21は少なくとも一部が、溶着処理により接合することができるポリマー材料(熱可塑性ポリマー材料であってもよい)で形成されている。図4を参照して、スポーツ用ボール10に組み込まれる前のパネル21の1つが、パネル領域23および5つのフランジ領域24を有するものとして示されている。パネル領域23がパネル21の中央部を大略的に形成しているのに対し、フランジ領域24は、パネル21の縁部を大略的に形成して、パネル領域23の周りに延びている。参照を目的として、破線が、パネル領域23と様々なフランジ領域24との間に延びるものとして示されている。パネル21は五角形形状を有し、各フランジ領域24は五角形形状の1つの側部領域に対応している。パネルが異なる形状を有するさらなる構成では、フランジ領域の数は、形状の側部の数に対応して変化してもよい。パネル21は、5つのノッチ(切り欠き)25を区画している。ノッチ25は、五角形形状の頂点から内側に向かって延びており、様々なフランジ領域24を互いに効率的に分離している。したがって、フランジ領域24は、パネル領域23に接続されてはいるが、ノッチ25の形成により、互いに独立して屈曲または他のやり方で動くことが可能である。さらに、各フランジ領域24は、パネル21を通って延びる孔を形成する様々なレジストレーション(識別)開口26を区画している。
【0016】
様々パネル21のパネル領域23は、スポーツ用ボール10の外部に見えるケーシング20の部分の大半または全体を形成している。一方、フランジ領域24は、パネル21を互いに接合するために互いに結合されたパネル21の部分を形成している。図5および図6を参照して、2つのパネル21を互いに接合するやり方の一例を示す。パネル領域23は大略的に互いに共面とされているが、接合されたフランジ領域24は上方に曲がり、当接面に沿って接合される。さらに、接合されたフランジ領域24のそれぞれのレジストレーション開口26は整列されている。結合(すなわち溶着による)の前にレジストレーション開口26を整列させることにより、フランジ領域24は互いに適切に配置される。以下に、より詳細に説明するように、接合されたフランジ領域24の一部が、ケーシング20の製造処理中に切り落とされてもよい。図5および図6において上方を向いた面は、製造が完了するとスポーツ用ボール10の内部に配置され、下方を向いた面はスポーツ用ボール10の外面を形成することに注意されたい。
【0017】
パネル21はポリマー材料を含むものとして上に説明した。ポリマー材料はパネル21を互いに固定するために使用してもよい。パネル21用にふさわしいポリマー材料の例には、熱可塑性および/または熱硬化性ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリオレフィンが含まれる。いくつかの構成では、パネル21は、ケーシング20を補強または強化するフィラメントまたはファイバを含んでいてもよい。さらなる構成では、パネル21は層状の構造を有していてもよい。層状の構造は、ポリマー材料の外層と、織物、ポリマー発泡体、または、ポリマー材料に結合される他の材料で形成された内層とを含む。パネル21はまた、様々な材料で形成された複数の接合された層を含んでいてもよい。
【0018】
十分な熱にさらされると、特に熱可塑性ポリマー材料が使用されている場合に、パネル21内のポリマー材料は、固体状態から柔らかくなった状態または液状へと移行する。十分に冷却されると、ポリマー材料は、柔らかくなった状態または液状から固体状態へと再移行する。ポリマー材料のこれらの特性に基づいて、パネル21(すなわちフランジ領域24)の部分を互いに接合する溶着部を形成するために、溶着処理を使用してもよい。本明細書中で使用する際、「溶着する」という用語またはその変化形は、要素の少なくとも1つの中のポリマー材料を柔らかくして、または溶解して、冷却されたときに要素の材料が互いに固定されるようにすることを含む、2つの要素の間の固定技術と定義される。同様に、「溶着」という用語またはその変化形は、要素の少なくとも1つの中のポリマー材料を柔らかくして、または溶解して、冷却されたときに要素の材料が互いに固定されるようにすることを含む処理により2つの要素を接合する結合、連結または構造と定義される。例として、溶着することは、(a)ポリマー材料を含む2つのパネル21を溶解して、または柔らかくして、各パネル21のポリマー材料が互いに混ざり合うようにし(例えば、ポリマー材料の間の境界層にわたって拡散し)、冷却されたときに互いに固定されるようにすること、および、(b)第1パネル21中のポリマー材料を溶解して、または柔らかくして、ポリマー材料が第2パネル21の構造内に延びるまたは浸透する(例えば、第2パネル21に形成された割れ目もしくは空洞に浸透する、または、第2パネル21中のフィラメントもしくはファイバの周りに延びる、あるいはフィラメントもしくはファイバに結合する)ようにして、冷却されたときにパネル21を互いに固定することを含んでいてもよい。溶着することは、一方のパネル21のみがポリマー材料を含むとき、または、両方のパネル21がポリマー材料を含むときに起きてもよい。さらに、溶着することは、一般に縫製または接着剤の使用を含むものではなく、熱によりパネル21を互いに直接結合することを含むものである。しかし、ある場合、溶着することを通じたパネル21の溶着または接合を補うために、縫製または接着剤を使用してもよい。
【0019】
フランジ領域24を互いに溶着するために、伝導加熱、放射加熱、高周波加熱、超音波加熱およびレーザー加熱を含む様々な技術を使用してもよい。2つのフランジ領域24を結合することによりシーム22を形成するのに使用することのできる溶着鋳型50の一例を、図7および図8に示す。溶着鋳型50は、長さがパネル21の一方の側の長さに大略的に対応する2つの部分51を含む。すなわち、溶着鋳型50の長さは、フランジ領域24の長さと大略的に同じであるか、またはフランジ領域24の長さよりも大きい。各部分51は、他方の部分51に対向する対向面52を区画してもいる。すなわち、対向面52は互いに対向している。例えば、伝導加熱を目的として使用する場合、溶着鋳型50の温度を十分に上昇させてフランジ領域24の間に溶着を形成するために、部分51はそれぞれ、加熱された液体を導く内部の加熱要素または導管を含んでいてもよい。高周波加熱を目的として使用する場合、部分51の一方または両方が、パネル21内の特定のポリマー材料を加熱する高周波エネルギーを放射してもよい。溶着鋳型50に加えて、パネル21の間に溶着を効率的に形成することのできる他の様々な機器を使用してもよい。
【0020】
溶着鋳型50によりパネル21を接合するための一般的な処理を、図9A〜図9Eを参照して説明する。まず、図9A に示すように、2つのパネル21の隣接するフランジ領域24を、(a)フランジ領域24の表面が互いに対向するように、かつ、(b)レジストレーション開口26が大略的に一列に並ぶように配置する。溶着鋳型50の部分51は、当接するフランジ領域24の両側に配置されてもいる。次いで、図9Bに示すように、部分51は対向面52の間でフランジ領域24を圧縮して、フランジ領域24の表面が互いに接触するようにする。溶着鋳型50によりフランジ領域24を加熱することにより、フランジ領域24内のポリマー材料が、図9Cに示すように、フランジ領域24の間の溶着が促進される程度まで溶解されて、または他のやり方で柔らかくされて、それによりパネル21の間にシーム22を形成する。フランジ領域24を互いに結合することによりシーム22が形成されると、図9Dに示すように、部分51はフランジ領域24から後退してもよい。次いで、フランジ領域24の過剰な部分(レジストレーション開口26を区画する部分を含んでいてもよい)が、図9Eに示すように、切り落とされ、または他のやり方で除去されてシーム22の1つの形成が完了する。
【0021】
フランジ領域24の過剰な部分を除去するために、様々な切り落とし処理を使用してもよい。例として、切り落とし処理は、切断機器、砥石車またはエッチング処理の使用を含んでいてもよい。別の例として、溶着鋳型50は、図10に示すように、切断縁53を含んでいてもよい。切断縁53は溶着処理中にフランジ領域24を切り落とす。すなわち、部分51が対向面52の間でフランジ領域24を互いに加熱および圧縮する際に、切断縁53はフランジ領域24を通って突出しフランジ領域24を効率的に切り落とすのに使用することができる。
【0022】
フランジ領域24を溶着してパネル21の間にシーム22を形成する一般的な処理は、図9A〜図9Eに関連して、全般的に上で説明した。この一般的な処理を、図11Aに示すように、複数のパネル21を使い、各パネル21の複数のフランジ領域24に対して繰り返し実施して、大略的に球形の、または閉じた構造を効率的に形成してもよい。すなわち、ケーシング20に様々なシーム22を形成するために、上述した一般的な処理により複数のパネル21を互いに溶着してもよい。同様の構成を図11Bに示している。図11Bでは、フランジ領域24は切り落とされる。上述したように、フランジ領域24の切り落としまたは除去は、溶着処理のあとに行われてもよく、または、溶着処理の際に行われてもよい。
【0023】
シーム22は一般に各フランジ領域24の間に形成されるが、1つ以上のシーム22が処理のこの段階で形成されないままであってもよい。図11Aおよび図11Bを参照して、2つの結合されていない領域27が互いに隣接して配置されて、ケーシング20に開口部を形成している。結合されていない領域27の1つの目的は、結合されていない領域27により形成された開口部または開口を介して、ケーシング20を外表にできる、または他のやり方で裏返すことができることにある。より詳しくは、結合されていない領域27は、図11Bに示すように、分離されて開口部を形成していてもよく、ケーシング20は、この開口部を介して裏返され、または外表にされて、図11Cに示す構成を付与してもよい。フランジ領域24の切り落とされた部分は、図11Bでは外側に向かって突出しているが、結合されていない領域27から開口部を介してケーシング20を裏返す、または外表にすることで、フランジ領域24すべてがケーシング20内に配置される。ゆえに、ケーシング20が裏返され、または外表にされると、切り落とされたフランジ領域24は外側に向かってではなく内側に向かって突出する。例えば図3を参照して、ケーシング20の外部は大略的に滑らかな構成を有しているが、ケーシング20のフランジ領域24に対応する部分は内側に向かって突出する。パネル21はシーム22の領域でスポーツ用ボール10の外部に窪みを形成するが、同様の窪みは、縫製されたシームを有するゲームボールに共通して見られる。
【0024】
製造処理のこの段階でのさらなる考察は、結合されていない領域27を形成するパネル21の構成に関連する。図4を参照して、このパネル21は5つのフランジ領域24を含んでおり、それらは五角形のパネル領域23の縁の周りに延びており、パネル21の大部分はこの構成を有している。結合されていない領域27を形成するパネル21は図12に集合的に示されており、そこには様々なフランジ領域24が存在していない。くわえて、図13Aおよび図13Bの断面図に示すように、フランジ領域24が存在していない2つの縁29が鋳造されても、または他のやり方で成形されてもよい。結合されていない領域27は隣接した縁29の2つのセットの間に形成されるが、単一の結合されていない領域がただ2つの縁29の間に形成されてもよい。ゆえに、結合されていない領域27により形成された開口部は、少なくとも2つのパネル21の縁29の間に形成されるが、4つ以上の縁29の間に形成されてもよい。
【0025】
製造処理のこの段階で、ケーシング20が実質的に形成され、ケーシング20の表面が正確に方向付けされる。結合されていない領域27により形成されたケーシング20の開口部はこのとき、図11Dに示すように、中間層30およびブラダ40を挿入するのに使用してもよい。すなわち、中間層30およびブラダ40は、ケーシング20を裏返す、または外表にするのに使用した開口部を介して、ケーシング20内に配置されてもよい。次いで、中間層30およびブラダ40はケーシング20内に正確に配置される。それには、ブラダ40の一部を膨張させて、中間層30およびケーシング20の表面の間の接触を引き起こすことが含まれていてもよい。さらに、ブラダ40のバルブ付きの開口部(図示せず)は、中間層30およびケーシング20を通って延びるように配置されて、それによりスポーツ用ボール10の外部からアクセス可能にされていてもよい。中間層30およびブラダ40がケーシング20内に適切に配置されると、結合されていないフランジ領域24の間に形成されたケーシング20の開口部は、図11Eに示すように封止されてもよい。より詳しくは、封止鋳型60が、結合されていないフランジ領域24の間に(すなわち、結合されていない領域27に)溶着を形成して、最終的なシーム22を形成してもよい。最終的なシーム22はケーシング20を効率的に閉じ、それによって図11Fに示すようにスポーツ用ボール10の製造処理を実質的に完了する。ケーシング20を閉じるために、溶着の代わりに、縫製または接着剤を使用してもよい。
【0026】
結合されていない領域27にシーム22を形成するやり方を、より詳細に説明する。図11Eを参照し、封止鋳型60が2つのパネル21を接合してシーム22を形成しているスポーツ用ボール10の領域を通って延びるものとして、切断線14-14が示されている。結合されていない領域27でパネル21を接合するための全体的な処理を、図14A〜図14Eの切断線14-14に関連して説明する。図14Aを参照して、ケーシング20のパネル21は、中間層30およびブラダ40の組み合わせに対して緩く載っており、中間層30およびブラダ40の両方はケーシング20の内部に挿入されたばかりである。次いで、図14Bに示すように、ブラダ40が膨張され、それにより、中間層30およびブラダ40の組み合わせに、堅固な丸い構成が付与される。さらに、中間層30は外側に向かってケーシング20を押圧し、ケーシング20の内面に隣接し、それによってスポーツ用ボール10に大略的に球形の外観を付与する。
【0027】
上述したように、かつ図13Aおよび図13Bの断面図に示すように、フランジ領域24が存在していない縁29を鋳造してもよく、または他のやり方で成形してもよい。より詳しくは、縁29の両方は、放射状の、または大略的に丸い構成を有するよう成形される。すなわち、縁29は、ケーシング20の外面から内面へと延びた湾曲した構成を有しており、それによってスポーツ用ボール10の内部に向かって延びている。さらに、縁29の1つも、突起28を区画している。図14Cを参照して、突起28は外側に向かって他方の縁29の下方に延びており、それによって他方の縁29と中間層30およびブラダ40の両方との間に配置されている。この段階で、封止鋳型60は2つの縁29に隣接して配置される。次いで、図14Dに示すように、封止鋳型60は、下方に向かって縁29を押圧し、縁29でパネル21の材料を加熱して、縁29を互いに溶着するが、突起28を他の縁29に結合することを含む。次いで、図14Eに示すように、シーム22が2つのパネル21の間に形成されると、封止鋳型60は後退する。さらに、シーム22は、放射状の、または大略的に丸い構成のために、他のシーム22の大略的な外観を有している(図3を参照)。ゆえに、美学的には、結合されていない領域27の間に形成されたシーム22は、スポーツ用ボール10の他のシーム22と同様に見える、または同一にさえ見える。
【0028】
図13Aおよび図13Bにあるように、フランジ領域24が存在していない縁を鋳造または成形することで、スポーツ用ボール10に2つの利点が付与される。第一に、突起28が、2つのパネル21の間で溶着を形成および強化するのを支援するフランジを形成する。第二に、縁29の放射状の、または丸い構成により、スポーツ用ボール10の他のシーム22の一般的な外観が付与される。突起28と縁29の丸い構成とをスポーツ用ボール10に使用してもよいが、様々な他の構成をも使用してもよい。一例として、図15Aは、縁29が正方形の構成を有している構成を示しており、図16Aは、これらの正方形の縁29が接合されているところを示している。この構成では、シーム22は、窪んでいるというよりは滑らかな外観を有していてもよい。縁29はまた、図15Bおよび図16Bに示すように、突起28が存在しない丸い構成を有していてもよい。別の構成では、突起28は存在していてもよいが、縁29は、図15Cおよび図16Cに示すように、正方形の構成を有していてもよい。突起28の長さも変化してもよい。例えば図15Dおよび図16Dを参照して、突起28は、他の構成よりも大きな長さを有している。さらなる例として、補足層70を使用して、パネル21を互いに結合するのを支援してもよい。構成は変化してもよいが、補足層70は、パネル21に溶着されることになる熱可塑性のポリマー材料を含んでいてもよい。図15Eを参照して、補足層70は、パネル21の下方に配置されて、縁29により形成された隙間にわたって延びている。溶着の際、図16Eに示すように、パネル21はそれぞれ補足層70に接合され、縁29も互いに接合されてもよい。補足層70も、シーム22をさらに強化するため、または他のやり方で溶着処理を支援するために、上述した構成のいずれかとともに使用してもよい。例えば図15Fおよび図16Fを参照して、補足層70は、縁29が丸くされており、縁29の1つが突起28を区画している構成とともに使用されている。ゆえに、縁29でのパネル21の構成は、スポーツ用ボール10を閉じるのに使用されるシーム22に様々な構成を付与するために、かなり変化してもよい。
【0029】
上記説明に基づき、第1溶着操作により(すなわち溶着鋳型50により)、シーム22において様々なパネル21を接合することによって、スポーツ用ボール10のケーシング20を形成してもよい。フランジ領域24の突出部をスポーツ用ボール10内に配置するために、ケーシング20の開口部を介してケーシング20を効率的に裏返しても、または他のやり方で外表にしてもよい。中間層30およびブラダ40がケーシング20内に配置されると、開口部が第2溶着操作により(すなわち封止鋳型60により)封止されてもよい。ゆえに、2つの異なる溶着機器を使用した2つの異なる溶着操作を、パネル21を接合しケーシング20を形成するのに使用する。さらに、第1溶着操作によりシーム22の大部分が形成されるが、第2溶着操作により最終的ないくつかのシーム22が形成される。さらに、縁29が、互いに効率的に溶着する構造を有するよう鋳造され、または他のやり方で形成されてもよい。一例として、縁29が、放射状の、または大略的に丸い構成を有するよう鋳造または成形されてもよく、縁29の1つが突起28を区画してもいる。
第2製造工程
結合されていないフランジ領域24の間に(すなわち、結合されていない領域27に)形成されたケーシング20の開口部は、(a)ケーシング20を裏返して、または外表にして、突出したフランジ領域24をケーシング20内に配置するため、ならびに、(b)ケーシング20内に中間層30およびブラダ40を挿入するために使用することができる構造の一例である。別の例として、パネル21の1つが、図17および図18に示すように、プラグ82により封止されカバー層83により覆われる開口81を区画していてもよい。より詳しくは、(a)ケーシング20を裏返して、または外表にして、突出したフランジ領域24をケーシング20内に配置するため、ならびに、(b)ケーシング20内に中間層30およびブラダ40を挿入するために、開口81を使用してもよい。これらのステップが完了すると、プラグ82が開口81内に配置されて、開口81を区画しているパネル21に溶着される、または他のやり方で接合される。封止鋳型50または類似の機器を使用してプラグ82をケーシング20に溶着してもよいが、ケーシング20を閉じるのに縫製または接着剤を使用してもよい。溶着が完了すると、カバー層83がケーシング20に結合され、溶着され、接着され、または他のやり方で接合されて、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着を覆ってもよい。
【0030】
カバー層83は、(a)プラグ82とパネル21の残部との間の溶着を強化し、かつ、(b)スポーツ用ボール10の美観を高める。より詳しくは、カバー層83は、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着を覆い、それにより溶着を隠し保護する。さらに、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着は、パネル21を互いに接合している様々なシーム22から内側に向かって間隔を空けられている。カバー層83は、スポーツ用ボール10の視覚的な魅力を高める仕方で、着色され、織られ、または他のやり方で飾られていてもよい。別の構成では、カバー層83はまた、例えば、(a)スポーツ用ボール10の製造者を識別する商標情報、または、(b)スポーツ用ボール10のための膨張指示を含んでいてもよい。カバー層83をスポーツ用ボール10に接合するのに接着剤を使用してもよいが、カバー層83はまた、スポーツ用ボール10の表面に溶着されてもよい。いくつかの構成では、カバー層83は、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着にわたって固定された転写紙、アップリケ、接着剤要素、熱可塑性の要素、またはステッカーであってもよい。
【0031】
カバー層83の形状および寸法は一般的に、プラグ82とパネル21の残部との間の溶着を覆うように選択される。図17および図18を参照して、カバー層83は、溶着を覆う大略的に円形の構成を有しているが、プラグ82の他の領域は覆っていない。反対に、図19Aは、カバー層83がプラグ82の表面にわたって延びプラグ82の全部を実質的に覆っている構成を示している。いくつかの構成では、図19Bに示すように、補足層84が、中間層30とケーシング20との間に配置されて、結合の助けとなっている。構成は変化してもよいが、補足層84は、パネル21およびプラグ82に溶着されることになる熱可塑性のポリマー材料を含んでいてもよい。いくつかの構成では、図19Cに示すように、層83,84がスポーツ用ボール10に存在していなくてもよい。図18を参照して、開口81およびプラグ82の両側が、比較的滑らかな仕方でかみ合い接合する、対応した段付きの構成を有している。より大きな強度を付与するため、または、他のやり方で開口81とプラグ82との間の結合を高めるために、図19A〜図19Cの断面図に示すように、様々な他の構成を使用してもよい。
【0032】
プラグ82はパネル21から分離され、次いで接合されてもよいが、図20に示すように、フラップ84の使用により同様の構成を実現してもよい。プラグ82をパネル21から分離する一方で、パネル21を切り裂いて開口を形成することによって、フラップ84は形成される。この開口は、(a)ケーシング20を裏返すか若しくは外表にして、突出したフランジ領域24をケーシング20内に配置するため、または、(b)ケーシング20内に中間層30およびブラダ40を挿入するために使用することができるものである。これらが完了すると、開口部を閉じるためにフラップ84を溶着してもよい。さらに、フラップ84とパネル21の残部との間の溶着は、パネル21を互いに接合している様々なシーム22から内側に向かって間隔を空けられている。図20に示すように、パネル21は五角形形状を有しており、フラップ84は五角形形状を有しており、カバー層83は、パネル21の表面の大部分を覆う五角形形状を有している。この構成の利点は、フラップ84により形成された開口部の領域が最大化され、それによりケーシング20を裏返す処理が容易になることである。さらなる構成では、カバー層83は、フラップ84とパネル21の残部との間の溶着の領域のみを覆っていてもよい。
【0033】
上記説明に基づき、溶着処理によりパネル21を接合することでケーシング20の少なくとも一部を形成してもよい。パネルを接合する他の方法と比較して、溶着処理は、スポーツ用ボール10の全体的な質量を低減し、製造効率を上げることができる。溶着処理がパネル21を接合するために使用されると、ケーシングを裏返して、または外表にして、突出したフランジ領域24をスポーツ用ボール10内に配置し、それにより実質的に滑らかな外面を形成するために、ケーシング20の開口部を使用することができる。さらに、中間層30およびブラダ40をケーシング20の開口部を介して挿入してもよく、次いでケーシング20の開口部は封止される。
【0034】
様々な構成を参照して、上および添付図面に本発明を開示した。しかし、本開示の目的は、本発明に関する様々な特徴および概念の例を提供することであり、本発明の範囲を限定することではない。添付の特許請求の範囲に規定した本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変更および修正を上記構成に加えることができることを、当業者は理解するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツ用ボールであって、
当該スポーツ用ボールの外面を形成するケーシングであって、第1パネル要素および第2パネル要素を含む複数の接合されたパネル要素を含み、前記第1パネル要素は、外側に向かって延びる突起を備えた第1縁を有し、前記第2パネル要素は、前記第1縁に隣接して配置された第2縁を有するケーシングと、
前記ケーシング内に配置されたブラダとを備え、
前記第1縁の前記突起は、前記第2縁と前記ブラダとの間に配置され、前記第2縁に溶着されている、スポーツ用ボール。
【請求項2】
前記第1縁および前記第2縁が、前記第1縁と前記第2縁との間に窪みを区画する、丸い構成を有している、請求項1に記載のスポーツ用ボール。
【請求項3】
前記ケーシングと前記ブラダとの間に中間層をさらに含み、前記突起が前記中間層に接触している、請求項1に記載のスポーツ用ボール。
【請求項4】
前記第1縁および前記第2縁に隣接して配置された補足層を含み、
前記補足層は、前記第1パネルおよび前記第2パネルに結合されている、請求項1に記載のスポーツ用ボール。
【請求項5】
前記第1パネルおよび前記第2パネルは、熱可塑性のポリマー材料を含む、請求項1に記載のスポーツ用ボール。
【請求項6】
スポーツ用ボールの製造方法であって、
熱可塑性のポリマー材料を含む複数のパネル要素を設けるステップと、
前記パネル要素を互いに溶着して前記パネル要素を接合するステップと、
前記パネル要素の少なくとも2つの第1縁および第2縁の間に形成された開口部を介して前記パネル要素を表裏反対にするステップと、
前記第1縁から外側に向かって延びる突起を有するよう、前記第1縁を形成するステップと、
前記突起を前記第2縁の下方に配置するステップと、
前記第1縁と前記第2縁とを互いに溶着するステップとを含む、スポーツ用ボールの製造方法。
【請求項7】
前記第1縁と前記第2縁とを互いに溶着する前記ステップは、前記突起を前記第2縁に溶着するステップを含む、請求項6に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項8】
前記第1縁および前記第2縁の下方に補足層を配置するステップをさらに含み、
前記溶着するステップが、前記第1縁および前記第2縁を形成する前記パネル要素に前記補足層を接合するステップを含む、請求項6に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項9】
前記形成するステップが、丸い構成を有するよう前記第1縁および前記第2縁の少なくとも一方を鋳造するステップを含む、請求項6に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項10】
スポーツ用ボールの製造方法であって、
熱可塑性のポリマー材料を含む複数のパネル要素を設けるステップと、
前記パネル要素を互いに溶着して前記パネル要素を接合するステップと、
前記パネル要素の少なくとも2つの第1縁および第2縁の間に形成された開口部を介して前記パネル要素を表裏反対にするステップと、
丸い構成を有するよう前記第1縁および前記第2縁のそれぞれを形成するステップと、
前記第1縁および前記第2縁を互いに隣り合わせて、かつ、互いに接触して配置するステップと、
前記第1縁と前記第2縁とを互いに溶着するステップとを含む、スポーツ用ボールの製造方法。
【請求項11】
前記第1縁から外側に向かって延びる突起を有するよう、前記第1縁を形成するステップと、
前記突起を前記第2縁の下方に配置するステップと、
前記突起を前記第2縁に溶着するステップとをさらに含む、請求項10に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項12】
前記第1縁および前記第2縁の下方に補足層を配置するステップをさらに含み、
前記溶着するステップが、前記第1縁および前記第2縁を形成する前記パネル要素に前記補足層を接合するステップをさらに含む、請求項10に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項13】
スポーツ用ボールであって、
当該スポーツ用ボールの外面を形成するケーシングであって、複数の第1溶着部により互いに接合された複数のパネル要素を含み、前記パネル要素の少なくとも1つが、前記第1溶着部と間隔を空けた第2溶着部を含むケーシングと、
前記少なくとも1つのパネル要素に接合され、前記第2溶着部を覆っているカバー層と、
前記ケーシング内に配置されたブラダとを備える、スポーツ用ボール。
【請求項14】
前記外面が、前記パネル要素の間、および前記第1溶着部に窪みを区画している、請求項13に記載のスポーツ用ボール。
【請求項15】
前記ケーシングと前記ブラダとの間に配置された中間層を含む、請求項13に記載のスポーツ用ボール。
【請求項16】
前記パネル要素が五角形形状を有している、請求項13に記載のスポーツ用ボール。
【請求項17】
前記パネル要素は、熱可塑性のポリマー材料を含む、請求項13に記載のスポーツ用ボール。
【請求項1】
スポーツ用ボールであって、
当該スポーツ用ボールの外面を形成するケーシングであって、第1パネル要素および第2パネル要素を含む複数の接合されたパネル要素を含み、前記第1パネル要素は、外側に向かって延びる突起を備えた第1縁を有し、前記第2パネル要素は、前記第1縁に隣接して配置された第2縁を有するケーシングと、
前記ケーシング内に配置されたブラダとを備え、
前記第1縁の前記突起は、前記第2縁と前記ブラダとの間に配置され、前記第2縁に溶着されている、スポーツ用ボール。
【請求項2】
前記第1縁および前記第2縁が、前記第1縁と前記第2縁との間に窪みを区画する、丸い構成を有している、請求項1に記載のスポーツ用ボール。
【請求項3】
前記ケーシングと前記ブラダとの間に中間層をさらに含み、前記突起が前記中間層に接触している、請求項1に記載のスポーツ用ボール。
【請求項4】
前記第1縁および前記第2縁に隣接して配置された補足層を含み、
前記補足層は、前記第1パネルおよび前記第2パネルに結合されている、請求項1に記載のスポーツ用ボール。
【請求項5】
前記第1パネルおよび前記第2パネルは、熱可塑性のポリマー材料を含む、請求項1に記載のスポーツ用ボール。
【請求項6】
スポーツ用ボールの製造方法であって、
熱可塑性のポリマー材料を含む複数のパネル要素を設けるステップと、
前記パネル要素を互いに溶着して前記パネル要素を接合するステップと、
前記パネル要素の少なくとも2つの第1縁および第2縁の間に形成された開口部を介して前記パネル要素を表裏反対にするステップと、
前記第1縁から外側に向かって延びる突起を有するよう、前記第1縁を形成するステップと、
前記突起を前記第2縁の下方に配置するステップと、
前記第1縁と前記第2縁とを互いに溶着するステップとを含む、スポーツ用ボールの製造方法。
【請求項7】
前記第1縁と前記第2縁とを互いに溶着する前記ステップは、前記突起を前記第2縁に溶着するステップを含む、請求項6に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項8】
前記第1縁および前記第2縁の下方に補足層を配置するステップをさらに含み、
前記溶着するステップが、前記第1縁および前記第2縁を形成する前記パネル要素に前記補足層を接合するステップを含む、請求項6に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項9】
前記形成するステップが、丸い構成を有するよう前記第1縁および前記第2縁の少なくとも一方を鋳造するステップを含む、請求項6に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項10】
スポーツ用ボールの製造方法であって、
熱可塑性のポリマー材料を含む複数のパネル要素を設けるステップと、
前記パネル要素を互いに溶着して前記パネル要素を接合するステップと、
前記パネル要素の少なくとも2つの第1縁および第2縁の間に形成された開口部を介して前記パネル要素を表裏反対にするステップと、
丸い構成を有するよう前記第1縁および前記第2縁のそれぞれを形成するステップと、
前記第1縁および前記第2縁を互いに隣り合わせて、かつ、互いに接触して配置するステップと、
前記第1縁と前記第2縁とを互いに溶着するステップとを含む、スポーツ用ボールの製造方法。
【請求項11】
前記第1縁から外側に向かって延びる突起を有するよう、前記第1縁を形成するステップと、
前記突起を前記第2縁の下方に配置するステップと、
前記突起を前記第2縁に溶着するステップとをさらに含む、請求項10に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項12】
前記第1縁および前記第2縁の下方に補足層を配置するステップをさらに含み、
前記溶着するステップが、前記第1縁および前記第2縁を形成する前記パネル要素に前記補足層を接合するステップをさらに含む、請求項10に記載のスポーツ用ボールの製造方法。
【請求項13】
スポーツ用ボールであって、
当該スポーツ用ボールの外面を形成するケーシングであって、複数の第1溶着部により互いに接合された複数のパネル要素を含み、前記パネル要素の少なくとも1つが、前記第1溶着部と間隔を空けた第2溶着部を含むケーシングと、
前記少なくとも1つのパネル要素に接合され、前記第2溶着部を覆っているカバー層と、
前記ケーシング内に配置されたブラダとを備える、スポーツ用ボール。
【請求項14】
前記外面が、前記パネル要素の間、および前記第1溶着部に窪みを区画している、請求項13に記載のスポーツ用ボール。
【請求項15】
前記ケーシングと前記ブラダとの間に配置された中間層を含む、請求項13に記載のスポーツ用ボール。
【請求項16】
前記パネル要素が五角形形状を有している、請求項13に記載のスポーツ用ボール。
【請求項17】
前記パネル要素は、熱可塑性のポリマー材料を含む、請求項13に記載のスポーツ用ボール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【公表番号】特表2013−516227(P2013−516227A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547089(P2012−547089)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/058904
【国際公開番号】WO2011/084289
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/058904
【国際公開番号】WO2011/084289
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
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