説明

スポーツ用具及びそのグリップテープ

【課題】グリップ部分で折れても分断することが防止され、その後の取り扱いが容易となるスポーツ用具と、そのためのグリップテープとを提供する。
【解決手段】シャフトにグリップを固定するためのグリップテープにおいて、シャフト長手方向に延在する経糸と、シャフト周方向に延在する緯糸とを編組したネットによって補強されていることを特徴とするグリップテープ。このグリップテープ3によってグリップ1をシャフト2に固定したスポーツ用具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップ付きシャフトを有するゴルフクラブ等のスポーツ用具と、グリップをシャフトに固定するためのグリップテープとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブのシャフトにグリップを取り付ける場合、次の手順により行われる。
(1) シャフトの外面に両面テープを貼り付け、この両面テープの離型紙を剥がす。
(2) 上記両面テープの表面を溶剤で濡らす。この溶剤処理により、両面テープの粘着性を一時的に低下させる。なお溶剤としては、ホワイトガソリン等が用いられる。
(3) グリップのシャフト挿入孔にシャフトを挿入する。両面テープの表面を滑らせつつ内側グリップ内にシャフトを挿入する。
【0003】
上記工程(3)の後、溶剤は自然に蒸発する。この蒸発により、両面テープの粘着性が復活し、グリップとシャフトとが両面テープで接着される(特許文献1,2)。この両面テープとしては、不織布に粘着剤組成物を含浸させたものが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−66272
【特許文献2】特開2000−176061
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴルフクラブのグリップ部分を踏み付けてしまったり、自動車のトランクやドアで挟んでしまったりすることにより、ゴルフクラブがグリップ部分で折れることがある。このようにゴルフクラブがグリップ部分で折れたときに、折れた部位で分断(2体に分離)してしまうと、その後の取り扱い(運搬、廃棄など)に手間がかかるようになる。
【0006】
本発明は、グリップ部分で折れても分断することが防止され、その後の取り扱いが容易となるスポーツ用具と、そのためのグリップテープとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のグリップテープは、シャフトにグリップを固定するためのグリップテープにおいて、シャフト長手方向に延在する経糸と、シャフト周方向に延在する緯糸とを編組したネットによって補強されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、緯糸のピッチが経糸のピッチよりも大きいことが好ましく、特に、経糸のピッチが2〜8mmであり、緯糸のピッチが経糸のピッチの1.1〜5倍であることが好ましい。
【0009】
本発明のスポーツ用具は、このグリップテープによってグリップをシャフトに固定したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のグリップテープは、シャフト長手方向に延在する経糸と、シャフト周方向に延在する緯糸とを編み組みしたネットによって補強されているので、このグリップテープによってグリップを固定したシャフトのグリップ部に折損が生じてもシャフトは折損箇所で分離せず、グリップテープによって繋がったままとなる。そのため、その後のスポーツ用具の取り扱いが容易となる。
【0011】
また、このグリップテープを補強するネットが経糸を有しているので、グリップ交換の際にグリップテープを剥す場合、グリップテープが切れずに容易に且つ綺麗に剥すことができる。なお、緯糸のピッチを大きくして緯糸の本数を少なくすることにより、グリップテープをシャフトに貼り付けるときに、グリップテープをシャフトに沿って湾曲させ易くなる。また、緯糸の本数を少なくすることにより、グリップテープの厚みを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るゴルフクラブのシャフト部分の側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】ネットの拡大平面図である。
【図4】グリップテープの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0014】
本発明のグリップテープは、スポーツ用具にグリップを固定するための両面テープである。スポーツ用具としては、ゴルフクラブ、テニスラケット、バドミントンラケットなどが挙げられるが、ゴルフクラブが好適である。図1はゴルフクラブのグリップ部分の側面図であり、シャフト2に対しラバーを主材とするグリップ1がグリップテープ3(図4)によって固定されている。
【0015】
このグリップテープ3は、図3の通り、経糸6と緯糸7とを編み組みしたネット4によって粘着剤組成物5が補強されたものである。経糸6及び緯糸7を構成する糸は、平均糸径が50〜300μm特に100〜200μm程度であることが好ましい。経糸6及び緯糸7を構成する繊維としては、ガラス繊維のほか、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維などの合成樹脂繊維が好適であるが、これに限定されない。
【0016】
グリップテープ3は、経糸6がシャフト2の長手方向に延在し、緯糸7がシャフト2の径方向に延在するようにシャフト2に貼着される。経糸6同士のピッチaは2〜8mm特に3〜7mm程度が好適である。緯糸7のピッチbは、経糸6のピッチaの1.05〜5倍特に1.1〜3倍程度が好ましい。具体的には、経糸のピッチは約4mm、緯糸のピッチは約5mmとされる。このように経糸6の本数を多くすることにより、補強効果が大きくなる。また、緯糸7の本数を少なくすることにより、グリップテープ3をシャフト2に貼り付けるときに、グリップテープ3をシャフト2に沿って湾曲させ易くなる。また、緯糸7の本数を少なくすることにより、グリップテープ3の厚みを小さくすることができる。
【0017】
グリップテープ3の厚みは600μm以下、例えば200〜600μm特に300〜500μm程度が好ましい。
【0018】
ネット4によって補強される粘着剤組成物の粘着剤としては特に限定されず、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴムや天然ゴムを主成分とするゴム系粘着剤;アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル等を主成分とする合成樹脂系粘着剤等が挙げられる。これらは、溶剤型、エマルション型、ホットメルト型、水溶性型等のいずれでもよく、また、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリル系の粘着剤が好ましい。
【0019】
上記粘着剤層はまた、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤を含有してもよい。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記粘着付与剤及び上記可塑剤としては、通常、粘着剤に用いることができるものであれば特に限定されず、例えば、粘着付与剤としては、ロジン、テルペン系樹脂等の天然樹脂;クマロンインデン樹脂等の石油炭化水素系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂等が挙げられ、可塑剤としては、プロセスオイル等の石油系可塑剤;液状ポリイソブチレン、液状ポリブテン等の液状ゴム系可塑剤;二塩基酸エステル等の樹脂系可塑剤等が挙げられる。
【0020】
上記粘着付与剤及び上記可塑剤それぞれの粘着剤における使用量としては特に限定されず、例えば、粘着剤における樹脂100重量部に対して、150重量部以下であることが好ましい。より好ましくは、100重量部以下であり、更に好ましくは、80重量部以下である。
【0021】
粘着剤組成物はさらに、補強のために不織布を含有してもよい。不織布を構成する繊維としては上記の経糸及び緯糸の繊維と同様のものが好ましい。不織布の使用量は、粘着剤の樹脂100重量部に対し100重量部以下例えば5〜100重量部特に10〜65重量部程度が好ましい。粘着剤組成物は充填剤を含有してもよい。
【0022】
上記充填剤としては特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、クレー、タルク、ガラスパウダー、ミルドファイバー、クリストバライト、シリカ(珪砂)、ガラス粉末等の無機充填剤;有機充填剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
このように構成されたグリップテープ3は、経糸6と緯糸7とを編み組みしたネット4によって補強されているので、このグリップテープ3によってグリップ2を固定したシャフト2のグリップ部に折損が生じてもシャフト2は折損箇所で分離せず、グリップテープによって繋がったままとなる。そのため、その後のゴルフクラブの取り扱いが容易となる。
【0024】
また、このグリップテープ3が経糸6を有しているので、グリップ交換の際にグリップテープ3を剥す場合、グリップテープが切れずに容易に且つ綺麗に剥すことができる。
【符号の説明】
【0025】
1 グリップ
2 シャフト
3 グリップテープ
4 ネット
5 粘着剤組成物
6 経糸
7 緯糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトにグリップを固定するためのグリップテープにおいて、
シャフト長手方向に延在する経糸と、シャフト周方向に延在する緯糸とを編組したネットによって補強されていることを特徴とするグリップテープ。
【請求項2】
請求項1において、前記緯糸のピッチが前記経糸のピッチよりも大きいことを特徴とするグリップテープ。
【請求項3】
請求項2において、経糸のピッチが2〜8mmであり、緯糸のピッチが経糸のピッチの1.1〜5倍であることを特徴とするグリップテープ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のグリップテープによってグリップをシャフトに固定してなるスポーツ用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103076(P2013−103076A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250714(P2011−250714)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(592014104)ブリヂストンスポーツ株式会社 (652)
【Fターム(参考)】