説明

スライドドアの調整機構

【課題】ビルトイン型スライドドアの最大開扉を調整することを可能にする機構を提供する。
【解決手段】本発明は、スライドリーフ(4)、前記スライドリーフ(4)の下部分に位置するガイド(6)、及び前記ガイド(6)の内側に位置する固定ストップ(16)を有するビルトイン型スライドドアの調整機構に関し、前記スライドリーフ(4)の端に固定されたカバー(1)と、前記カバー(1)と前記固定ストップ(16)の間に位置するガイド(6)の内側部分でスライド可能な可動ストップ(2)と、及び前記カバー(1)と前記可動ストップ(2)の間の相対的位置が調整されるように前記カバー(1)と前記可動ストップ(2)を横方向に移動させる調節ねじ(3)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルトイン型スライドドアの最大開扉を調整することを可能にする機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルトイン型スライドドアは、ヒンジ型ドアよりも自由な空間が増えるので特別な関心を寄せられている。このことは、開いたスライドドアのリーフが、建築物を区分する建築構造の包囲部の間に全体的又は部分的に隠れていることが理由となっている。
【0003】
一般に、スライドリーフの下部分には、床に固定された少なくとも一つのガイドが中をスライドするガイドを有する。これらのガイドの主な機能は、リーフの運動を常に同じ水平面上に維持しながらガイドすることであり、これにより、振り子運動によって発生しうる包囲部の内側表面とのぶつかりを防ぐ。
【0004】
多くの場合、この種のガイドは、両側の包囲部の間へのリーフの進入を遅くする第2の機能を発揮する。このような場合、「ストップ」と呼ばれる前記機能を行うガイドが、両方の包囲部の間に完全にリーフが進入することを防ぐ。
【0005】
上述したような床に直接固定されるストップの代わりに、リーフの上部分、一般に、その上部保縛レール上に固定されたストップが用いられる。
【0006】
これら両方の場合において、前記ストップの位置は、スライドドアに関わる美的観点及び機能的観点に基づいて決められる。この美的観点は、主に組み立てられた全体のアセンブリの外観に由来し、これは、ドアが完全に開いたときに包囲部から突き出たスライドリーフの部分に由来する外観に主に依存している。機能的観点に関しては、一例として、ドアのリーフ上のハンドルの存在があり、これは、包囲部とぶつかるようにもでき、あるいは包囲部で隠すこともできる。二つ目の例としては、包囲部がリーフ全体を隠さないものがあり、そのリーフの進入においては、奥と衝突することを防ぐように遅くなるようにされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これら上述のシステム両方は、一旦固定が終了すると、リーフと包囲部との最大重複を調節できないという欠点がある。即ち、ドアの最大開扉を調節できない。このことは、組み立て上の誤りがあれば不正確な動作をもたらし、あるいはユーザにとって外観が満足するものがない場合には、ストップを分解して所望の位置に再び組み立てることを要し、このことには多くの欠点を伴う。
【0008】
また、包囲部の間のリーフの所望の進入を達成するための適正なストップの位置を特定するのが常に明解であるとは限らない。この場合、多くの場合、そのようなアセンブリの誤りを発生させてしまう。
【0009】
上述のシステムはいずれも、将来的な維持又は改装の仕事を容易にすることはしない。なぜなら、このような仕事をするためにはスライドするリーフとストップの両方を分解することが必要であるからである。
【0010】
本発明の調整機構は、完全に満足するように上述の技術的問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、具体的には、本調整機構は、4つの鍵となる要素、即ち、カバー、調節ねじ、可動ストップ、及び固定ストップを有する。
【0012】
カバーは、スライドリーフと本発明の調整機構の間の接続要素である。このため、適切な接続手段、例えば、複数のオリフィス及びねじ、接着剤、又は他の接着要素、によってスライドリーフの端に固定される。また、カバーは、分解したりドアを取り外すことをせずに本調整機構を形成する要素にアクセスすることを可能にするアクセスポイントでもある。
【0013】
また、カバーは、調節ねじの頭部を収容する空洞と、及び前記ねじの他方の端が進入するオリフィスを有する。その端は、スライドリーフの下部分に位置するガイドの内部に収容される。
【0014】
調節ねじの頭部としては、例えば、湾曲状、円筒状または円錐状とすることができ、ねじ用ドライバー又は六角レンチ(Allen wrench)用の異なるねじ込みシステムと組み合わせることができる。
【0015】
調節ねじの頭部が空洞から抜け出すことを避けるため、オリフィスの直径よりも大きい直径を有し、かつ、カバーの内面に接触するようにブッシュを設ける。このブッシュは、調節ねじによって横方向に移動し、固定手段、例えば、ゴム製ボルト、固定鋲、又はねじ、によって調節ねじに固定される。
【0016】
可動ストップは、ガイドの内部に位置し、同様に調節ねじによって横方向に移動する。可動ストップの位置は、調節ねじを一方向にねじ込んだり又は他方向にねじを緩ませることによってストップに沿って変動し、カバーから離れたり又は近づいたりする。このため、可動ストップは、軸方向に横に延びるねじ付きオリフィスを有する。
【0017】
調節ねじは、その端に突起を有し、これは、可動ストップがカバーから離れすぎるように移動したときに可動ストップが調節ねじから抜け出てしまうことを避ける。
【0018】
可動ストップは、カバーに近い側に調節ねじの頭部の近くに位置するブッシュを収容することができるハウジングを有する。可動ストップがカバーの内面に接触状態にあるときに調節ねじを強く締めすぎた場合に、ブッシュはその変形を避けるという第2の機能を発揮する。
【0019】
可動ストップは、カバーから遠い方の側に、ゴム片を有し、これは、固定ストップに対して発生するぶつかりから可動ストップを保護し、そのようなぶつかりが発生するノイズをなくす。
【発明の効果】
【0020】
前記固定ストップの存在によって、包囲部の間におけるスライドリーフの進入を遅くする。これは本機構が適正に機能するために必要である。
【0021】
本発明は、固定ストップとしてスライドドアの床に固定されたガイドの一つを用いて、本調整機構の構成要素の数を最大限に減らしそのアセンブリを単純化する。しかし、適切な条件で固定された他のいずれの独立の要素をもそのような機能を行うことができる。
【0022】
本システムを調整する方法は、可動ストップが調節ねじに沿って移動するように調節ねじをねじ込んだり緩めるように回して、スライドリーフに固定されたカバーから離れたり近くになるように移動させるだけである。この調整の結果は、可動ストップが固定ストップにぶつかるまでスライドリーフを移動することによって検査することができる。
【0023】
可動ストップがスライドリーフのカバーの内面と接触状態にあるとき、包囲部と最大重複状態にある。従って、ドアの全開状態での通過できる面積が最大となる。
【0024】
可動ストップが調節ねじの端にあってその突起によって遅くされたとき、包囲部と最小重複状態にある。従って、ドアが完全に開いた状態での通路の面積が最小となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1には、本発明の調整機構の主要な構成要素、即ち、カバー1、可動ストップ2及び調節ねじ3の斜視図を示す。
【0026】
この図において、カバー1が、複数のねじによって構成する接続手段5によってスライドリーフ4の端に固定されており、調節ねじ3の頭部7がカバー1の空洞8に収容されている。
【0027】
図2は、スライドリーフ4の側面断面図を示してあり、スライドリーフ4のガイド6の内部の調整機構の異なる構成要素の位置を示してある。
【0028】
図示したように、カバー1は、調節ねじ3の頭部7を収容する空洞8、及び前記ねじ3の他方の端が進入するオリフィス(開口部)9を有する。スライドリーフ4の下部分に備わったガイド6の内部には、調節ねじ3の端が収容される。
【0029】
調節ねじ3の頭部7は、空洞8から抜け出ることを避けるため、カバー1の内面に接触し、かつ、オリフィス9の直径よりも大きな直径を有するブッシュ10を備える。前記ブッシュ10は、調節ねじ3によって横方向に移動し、かつゴム製のボルトによって構成する固定手段11によって、調節ねじ3に固定されている。
【0030】
可動ストップ2は、ガイド6の内側に位置し、これも調節ねじ3によって横方向に移動する。可動ストップ2の位置は、調節ねじ3をストップに沿った一方向にねじ込みをしたり、または、逆方向にねじを緩めることによって変動し、これによってカバー位置から離れたりまたは近くなったりする。このため、可動ストップ2には、軸方向に横に延びるねじ付きオリフィス12を有する。
【0031】
調節ねじ3は、その端に突起13を有し、これにより、可動ストップ2がカバー1から離れすぎるように移動したときに可動ストップ2が抜け出ることを避ける。
【0032】
可動ストップ2は、カバー1に近い方の側に、ブッシュ10を収容することができるハウジング14と、及びカバーから離れた側に、固定ストップ16に対して発生するぶつかりやノイズを避けることができるゴム片15を有する。
【0033】
図3は、スライドリーフ4のガイド6の内部の固定ストップ16の位置を示す図2のI−I部の平面の断面図である。
【0034】
図4は、包囲部17と最大重複位置にあるスライドドアの断面図である。この位置において、可動ストップ2は、カバー1の内面と接触状態にある。ブッシュ10は、この位置において調節ねじ3が更にねじ込まれた場合に発生し得るカバー1の変形を防ぐ。また、この図は、包囲部17の間のスライドリーフ4の進入を固定ストップ16がいかに遅くするかも示してある。可動ストップ2のゴム片15が前記固定ストップ16といかに接触するかも示してある。
【0035】
図5は、包囲部17と最小重複位置にあるスライドドアの上面断面図である。この位置において、可動ストップ2はカバー1から可能な限り離れるように移動しており、調節ねじ3の突起13によって遅くされている。また、この図は、上記と同様に、包囲部17の間におけるスライドリーフ4の進入をいかに固定ストップ16が遅くしているかも示している。
【0036】
図6は、スライドリーフ4に対するカバーの位置を示したスライドドアの外形の図である。
【0037】
上記の図面は、本発明の理解を助ける一実施例に関するものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】カバー、可動ストップ及び調節ねじの斜視図。
【図2】スライドリーフのガイドの内部の調整機構の構成要素の位置を示すスライドリーフの側面断面図。
【図3】図2のI−I部分の平面の断面図。
【図4】最大重複位置におけるスライドドアの断面図。
【図5】最小重複位置におけるスライドドアの断面図。
【図6】スライドドア及び包囲部の外形図。
【符号の説明】
【0039】
1 カバー
2 可動ストップ
3 調節ねじ
4 スライドリーフ
5 接続手段
6 ガイド
7 頭部
8 空洞
9 オリフィス
10 ブッシュ
11 固定手段
12 ねじ付きオリフィス
13 突起
14 ハウジング
15 ゴム片
16 固定ストップ
17 包囲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドリーフ(4)と、
前記スライドリーフ(4)の下部分に位置するガイド(6)と、
前記ガイド(6)の内側に位置する固定ストップ(16)と、を有するビルトイン型スライドドアの調整機構であって、
前記スライドリーフ(4)の端に固定されたカバー(1)と、
前記カバー(1)と前記固定ストップ(16)の間に位置するガイド(6)の内側部分でスライド可能な可動ストップ(2)と、
前記カバー(1)と前記可動ストップ(2)の間の相対的位置が調整されるように前記カバー(1)と前記可動ストップ(2)を横方向に移動させる調節ねじ(3)と、
を備えるビルトイン型スライドドアの調整機構。
【請求項2】
請求項1記載のビルトイン型スライドドアの調整機構であって、
ブッシュ(10)が、前記調節ねじ(3)によって横方向に移動し、かつ、前記カバー(1)の内面と前記可動ストップ(2)の間の固定手段(11)によって前記調節ねじ(3)に固定される、ビルトイン型スライドドアの調整機構。
【請求項3】
請求項1又は2記載のビルトイン型スライドドアの調整機構であって、
前記可動ストップ(2)は、
軸方向に延びるねじ付きオリフィス(12)と、
前記カバー(1)から最も遠い側の側面にあるゴム片(15)と、
前記カバー(1)に最も近い側の側面にある前記ブッシュ(10)のためのハウジング(14)と、を有するビルトイン型スライドドアの調整機構。
【請求項4】
請求項1記載のビルトイン型スライドドアの調整機構であって、
前記調節ねじ(3)は、その一端に頭部(7)を有し、かつ、その他端に突起(13)を有する、ビルトイン型スライドドアの調整機構。
【請求項5】
請求項1又は4記載のビルトイン型スライドドアの調整機構であって、
前記カバー(1)は、
前記調節ねじ(3)の頭部(7)を収容する空洞(8)と、オリフィス(9)と、前記スライドリーフ(4)と固定するための接続手段(5)と、を有するビルトイン型スライドドアの調整機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−114847(P2009−114847A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−273358(P2008−273358)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(506184934)
【Fターム(参考)】