説明

スライド収納ヘルメット

【課題】前部帽体と後部帽体の連結部における強度を向上させ、強度的に強くすることが可能なスライド収納ヘルメットを提供することにある。
【解決手段】使用者の前頭部を覆う前部帽体12と、前部帽体の内側にスライド収納可能とされ装着者の後頭部を覆う後部帽体13とを備え、前部帽体12内面の左側、右側の双方には、円弧状長穴14aが形成された摺動ガイド部材14が設けられる。また、後部帽体13の内面の左側、右側の双方に設けられ、円弧状長穴と係合して該円弧状長穴に沿ってスライド移動する係合軸15を備える。そして、係合軸を円弧状長穴に沿ってスライドさせることにより、後部帽体を前部帽体の内側に収納する収納状態と、前部帽体に対して後部帽体を広げた使用状態とを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド収納可能なヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の頭部を保護するヘルメットは、頭部を保護するためのボウル形状を有するので、一定の容積をとってしまい、収納、携帯に不利である。そこで、従来より、例えば特開平6−192907号公報(特許文献1)に記載されているように、ヘルメットを前部帽体と後部帽体とに分割し、更に、前部帽体と後部帽体を左右に設けられた回動軸により軸支し、該回動軸により前部帽体に対して後部帽体がスライド移動する折り畳み式のものが知られている。
【0003】
このような折り畳み式のヘルメットでは、ヘルメット使用時には、前部帽体に対して後部帽体を広げることにより使用状態とすることができ、また、ヘルメットを使用しない時には、前部帽体の内面側に後部帽体をスライドさせることにより、容易に収納状態とすることが可能となる。従って、未使用時においてヘルメット全体を小型化することが可能であるので、収納、或いは携帯に便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−192907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている折り畳み式のヘルメットでは、前帽体と後帽体とを回転軸で軸支する構成であるので、前部帽体と後部帽体が左右それぞれ1点ずつで支持されることになり強度的に弱く、ヘルメット使用時に応力が加えられると、左右の回転軸に応力が集中して、回転軸の劣化が激しくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、前部帽体と後部帽体の連結部における強度を向上させ、強度的に強くすることが可能なスライド収納ヘルメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、使用者の前頭部を覆う前部帽体と、該前部帽体の内側にスライド収納可能とされ前記使用者の後頭部を覆う後部帽体と、を備えたスライド収納ヘルメットにおいて、前記前部帽体内面の左側、右側の双方に設けられ、円弧状長穴が形成された摺動ガイド部材と、前記後部帽体内面の左側、右側の双方に設けられ、前記円弧状長穴と係合して該円弧状長穴に沿ってスライド移動する係合軸と、を備え、前記係合軸を前記円弧状長穴に沿ってスライドさせることにより、前記後部帽体を前記前部帽体の内側に収納する収納状態と、前記前部帽体に対して後部帽体を広げた使用状態と、を切り替えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記摺動ガイド部材の外周辺は、前記円弧状長穴に沿った円弧状とされ、前記後部帽体の内面には、前記摺動ガイド部材の外周辺に沿って摺動する円弧状ガイド部材が設けられることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記後部帽体の内面の前記円弧状長穴近傍には、前記係合軸がスライド終端位置に達して前記使用状態とされた際に、前記係合軸のスライド移動を阻止するストッパ部材が設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記後部帽体の外面の後端部近傍には、前記スライド方向に沿って延びる突起部が2箇所に形成され、前記前部帽体の内面には、前記後部帽体を前部帽体に対してスライドさせる際に、前記突起部と接触し、摩擦力をもって摺動する摺動片が設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記後部帽体の後端部、及び前部帽体の前端部に、それぞれ鍔部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、前部帽体の内側の左右双方に円弧状長穴を設け、後部帽体の内側の左右双方に係合軸を設け、円弧状長穴に沿って係合軸をスライド移動させることにより、収納状態と使用状態を変更することができる。従って、極めて簡単な操作での切替操作が可能となり、保管時や携行時には容易にヘルメットを収納状態とすることができ、且つ、ヘルメットを使用する際には容易に使用状態とすることが可能となる。
【0013】
請求項2の発明では、係止軸が円弧状長穴に沿ってスライド移動する際に、摺動ガイド部材の外周辺と円弧状ガイド部材が接触する。従って、後部帽体に応力が加えられた場合には、円弧状ガイド部材と外周辺との接触によりこの応力が前部帽体側へ伝達されるので、従来の点接触の場合と対比して、応力を分散させることができる。このため、一点に力が集中することを防止できる。
【0014】
請求項3の発明では、ストッパ部材を設けることにより、ヘルメットが完全に使用状態となった後においては、該ストッパ部材により後部帽体のスライド移動を阻止するので、ヘルメットの開放状態を維持することができる。このため、使用状態とされているヘルメットが不用意に収納されてしまうという問題の発生を回避することができる。
【0015】
請求項4の発明では、後部帽体の表面に突起部が設けられ、更に、前部帽体の内面側に摺動片が設けられ、後部帽体を前部帽体の内部に収納する際には、完全に収納が終了する直前の状態で突起部と摺動片とが摩擦接触するので、ある程度の摩擦抵抗力を持って収納状態とすることができる。
【0016】
請求項5の発明では、前部帽体の先端部に鍔部が形成され、後部帽体の後端部にも鍔部が形成されるので、ヘルメットを収納する場合、及び開放する場合において、使用者は各鍔部を掴むことにより、容易に収納操作、及び開放操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るスライド収納ヘルメットの平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスライド収納ヘルメットの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスライド収納ヘルメットの側面図であり、ヘルメット使用時の状態を示す。
【図4】本発明の一実施形態に係るスライド収納ヘルメットの側面図であり、ヘルメット収納時の状態を示す。
【図5】本発明の一実施形態に係るスライド収納ヘルメットの、前部帽体と後部帽体の接続部の様子を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスライド収納ヘルメットの、ストッパ部材の構成を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るスライド収納ヘルメットの、突起部と摺動片との接続の様子を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るスライド収納ヘルメットの内部に内装具が装備された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスライド収納ヘルメットの構成を示す平面図、図2は斜視図、図3はヘルメット使用時の側面図、図4はヘルメット収納時の側面図である。
【0019】
各図に示すように、本実施形態に係るスライド収納ヘルメット11(以下、単に「ヘルメット」という)は、使用者の頭部前方を保護するための前部帽体12と、頭部後方を保護するための後部帽体13を備えており、後述する円弧状長穴14aに沿って係合軸15を摺動させることにより、図3に示す使用状態(開いた状態)、または図4に示す収納状態のいずれかに切り替えることができる。
【0020】
図5は、ヘルメット11内側の、前部帽体12と後部帽体13の連結の様子を示す説明図であり、図5(a)は使用状態、(b)は使用状態にてロックを解除する状態、(c)は収納状態を示している。図5(a)〜(c)に示すように、前部帽体12の右側内面(左側も同一構造である)には、前部帽体12に対する後部帽体13の摺動をガイドする摺動ガイド部材14が取り付けられており、該摺動ガイド部材14と前部帽体12内面との間には一定の隙間が形成されている。
【0021】
また、摺動ガイド部材14には、円弧状長穴14aが形成され、更に、その周囲は円弧形状部14bとされている。そして、後部帽体13が、前部帽体12と摺動ガイド部材14の間の隙間(上記した一定の隙間)に挿通され、更に、後部帽体13の内面側適所に設けられた係合軸15が円弧状長穴14a内に挿入される。
【0022】
従って、係合軸15を円弧状長穴14aに沿ってスライド移動させることにより、前部帽体12に対して後部帽体13を広げて使用状態としたり、前部帽体12の内面側に後部帽体13を収納して収納状態とすることが可能である。
【0023】
更に、後部帽体13の内面側の適所には、円弧形状部14bと接触する円弧状の側辺を有するガイド部材17(円弧状ガイド部材)が設けられている。従って、後部帽体13の係合軸15を円弧状長穴14aに沿ってスライド移動させる際には、摺動ガイド部材14の外周となる円弧形状部14bがガイド部材17との摩擦力をもって摺動するので、ある程度の抵抗感をもって後部帽体13の出し入れ操作が可能となる。
【0024】
また、後部帽体13の内部には、ストッパ部材16が設けられており、ヘルメット11が使用状態とされている際には、該ストッパ部材16により、この使用状態を維持する。即ち、ストッパ部材16により、係合軸15が円弧状長穴14aに沿って摺動することを防止し、使用状態とされているヘルメット11の後部帽体13が不用意に前部帽体12内部に収容されることを防止する。以下、ストッパ部材16の詳細について、図6を参照して説明する。
【0025】
図6に示すように、ストッパ部材16は、つまみ部16aと、係止片16bと、回動軸16c、及び弦巻バネ20を備えている。そして、弦巻バネ20によりストッパ部材16は図中矢印Y1の方向に付勢されている。従って、図5(a)に示すように、ヘルメット11が使用状態とされている場合には、ストッパ部材16の係止片16bが、摺動ガイド部材14の係止肩14cに当接して後部帽体13の回動を阻止する。即ち、後部帽体13が不用意に前部帽体12の内部に収納されることを防止する。
【0026】
また、ヘルメット11の使用者がつまみ部16aを内側に押し込むことにより(即ち、図6の矢印Y1と反対の方向に押し込むことにより)係止片16bと係止肩14cとの係合が解除されるので、ヘルメット11を収納状態とすることが可能となる。
【0027】
また、図2に示すように、前部帽体12の前端部には鍔部22が設けられ、後部帽体13の後端部には鍔部23が設けられている。
【0028】
更に、図1〜図3に示すように、後部帽体13の後端部側には、該後部帽体13のスライド方向に延びる2本の突起部18a,18bが形成されている。また、図7は、図4のA−A断面を示す図であり、図7に示すように、前部帽体12の内面側の、各突起部18a,18bに対応する位置には、該突起部18a,18bと摩擦接触する摺動片19a,19bが形成されている。
【0029】
そして、後部帽体13を前部帽体12の内面に向けて収納すると、後部帽体13の後端部が前部帽体12の後端部に達する手前にて、突起部18a,18bと摺動片19a,19bが摩擦接触して摺動片19a,19bが突起部18a,18bに沿って摺動する。このため、後部帽体13が前部帽体12内に完全に収納される手前において、ある程度の抵抗感をもって後部帽体13が収納されることになる。
【0030】
次に、ヘルメット11の内部に設けられる内装具について説明する。図8に示すように、ヘルメット11の内部には、ハンモック31やヘッドバンド32、あご紐34等の内装具が設けられており、本実施形態に係るヘルメット11では、樹脂製のヘッドバンド32が2分割されており、各ヘッドバンド32は、それぞれ布製バンド33(左右2箇所に設けられている)により連結されている。従って、ヘッドバンド32は、2つの布製バンド33により分断されるので、後部帽体13を前部帽体12内部に収納する場合において自由自在に回動するので無理な力をかけることが無い。
【0031】
次に、上述のように構成された本実施形態に係るヘルメット11の作用について説明する。初めに、使用状態(前部帽体12と後部帽体13が開いた状態)から収納状態に変化させる場合について説明する。
【0032】
ヘルメット11が使用状態とされている場合には、図5(a)に示すように、係合軸15が円弧状長穴14aの最後端近傍(図中右側)に達しており、この状態においてストッパ部材16の係止片16bが摺動ガイド部材14の係止肩14cを乗り越え、該係止肩14cに係合する。即ち、係止片16bが係止肩14cを乗り越えると、図6に示す弦巻バネ20の付勢力により係止片16bが係止肩14cを乗り越える方向に付勢されて、該係止片16bが係止肩14cと係合し、係合軸15が円弧状長穴14aに沿ってスライド移動することが阻止される。
【0033】
従って、後部帽体13に対して前方に向く力が作用した場合でも、ストッパ部材16により、後部帽体13が前部帽体12の内部方向に向けて収納されることが阻止される。よって、使用者は使用状態とされたヘルメットを工事現場等で着用することができ、頭部を保護することができる。
【0034】
一方、使用状態とされているヘルメット11を収納状態とする場合には、使用者はストッパ部材16先端のつまみ部16aを下方向に押圧する。すると、図5(a)の状態から図5(b)の状態に変化し、更に、つまみ部16aが下方に移動すると、係止片16bと係止肩14cとの係合が外れストッパ部材16に設けられた帽体側に突出したお椀状の突起が後部帽体13に設けられたストッパ部材16側に突出した幅広な断面二等辺三角形状の突起に一旦固定されるので、係合軸15は円弧状長穴14aに沿ってスライド移動することが可能となり、同時にストッパ部材16が摺動ガイド部材14内に収納される。この状態で使用者が後部帽体13を前部帽体12の内面側に向けて押すと、係合軸15が円弧状長穴14aに沿ってスライド移動し、後部帽体13が前部帽体12の内面に収納される方向に向けて移動する。この際、前部帽体12の先端部には鍔部22が設けられ、後部帽体13の後端部にもやはり鍔部23が設けられているので、使用者は各鍔部22,23を掴んで操作することにより、容易に掴むことができ且つ、収納操作を容易に行うことが可能となる。
【0035】
そして、後部帽体13が完全に前部帽体12の内面に収納される直前の状態において、2つの突起部18a,18bと2つの摺動片19a,19b(図7参照)が互いに接触して摺動するので、ある程度の摩擦力をもって後部帽体13を前部帽体12の内側に収納することができる。即ち、一度収納状態とされたヘルメット11が簡単に開いてしまう等の問題の発生を回避することができる。
【0036】
また、前述したように、ヘルメット11内部に搭載されるヘッドバンド32は、2つに分断されており、これらが布製バンド33により連結される構成とされているので、ヘッドバンド32やハンモック31等の内装具に無理な力を加えることなく、自由自在に回動して簡単に内装具を収納状態とされたヘルメット11の内部に収容することができる。
【0037】
その結果、ヘルメット11全体の容積を小さくすることができ、緊急時用として用いる際の保管場所として多くの設置スペースを必要とせずに保管することができる。また、工事現場を視察する際等に、使用者がヘルメットを携行する場合には、容易にバック等に収納して持ち運ぶことが可能となる。
【0038】
次に、収納状態とされているヘルメット11を開放して、使用状態に変更する際の動作について説明する。
【0039】
ヘルメット11が収納状態とされているときは、前述したように、2つの突起部18a,18bと2つの摺動片19a,19bとの間の摩擦力によりこの収納状態が維持されている。使用者は、前部帽体12の鍔部22、及び、後部帽体13の鍔部23を掴み、両者を広げると、上記の摩擦力に抗して後部帽体13が前部帽体12の後方側に向けて摺動を開始する。即ち、図5(c)に示した状態から、係合軸15が円弧状長穴14aに沿って、図中右側にスライド移動する。
【0040】
この際、開き初めの状態では、上記の摩擦力が存在するので、この摩擦力によりある程度の力が必要になる。しかし、後部帽体13がある程度開き、突起部18a,18bと摺動片19a,19bとの接触が解除されると、小さい力にて前部帽体12に対して後部帽体13が広がることになる。そして、後部帽体13に設けられた係合軸15が円弧状長穴の終端に近づくと、ストッパ部材16の係止片16bが係止肩14cを乗り越えて、弦巻バネ20の付勢力により係止片16bが係止肩14cに係合される。
【0041】
従って、この係合により係合軸15が円弧状長穴14aに沿ってスライド移動することを阻止する。即ち、後部帽体13が完全に開くと(即ち、ヘルメット11が使用状態となると)、この状態で後部帽体13と前部帽体12が固定され、不用意に収納されるというトラブルの発生を回避できる。こうして、前部帽体12と後部帽体13に分割して構成されたヘルメット11を、簡単な操作で収納状態、或いは使用状態に変化させることができるのである。
【0042】
このようにして、本実施形態に係るスライド収納ヘルメット11では、前部帽体12の内側の左右双方に円弧状長穴14aを設け、後部帽体13の内側の左右双方に係合軸15を設け、円弧状長穴14aに沿って係合軸15をスライド移動させることにより、収納状態と使用状態を変更することができる。従って、極めて簡単な操作での切替操作が可能となり、保管時や携行時には容易にヘルメット11を収納状態とすることができ、且つ、ヘルメット11を使用する際には容易に使用状態とすることが可能となる。
【0043】
また、係合軸15が円弧状長穴14aに沿ってスライド移動することにより、収納状態と使用状態が切り替えられ、この際、摺動ガイド部材14の円弧形状部14bとガイド部材17が接触する。従って、後部帽体13に応力が加えられた場合には、ガイド部材17と円弧形状部14bの接触(辺での接触)によりこの応力が前部帽体12側へ伝達されるので、従来の点接触の場合と対比して、応力を分散させることができる。このため、一点に力が集中することを防止でき、摺動ガイド部材14と係合軸15との連結構造部に無理な力が作用して損傷する等の問題の発生を低減することが可能となる。
【0044】
また、後部帽体13を前部帽体12の内部に収納する際には、完全に収納が終了する直前の状態で図7に示した突起部18a,18bと摺動片19a,19bとが摩擦接触するので、違和感が無い程度の摩擦抵抗力が作用することとなり、極めて円滑な収納状態と使用状態の切替操作を行うことが可能となる。
【0045】
また、ストッパ部材16を設けることにより、ヘルメット11が完全に使用状態となった後においては、ストッパ部材16の係止片16bと係止肩14cが係合して係合軸15のスライド移動を阻止するので、ヘルメット11の開放状態を維持することができる。従って、使用状態とされているヘルメット11に上方からの落下物等により衝撃が加えられた場合でもロック方向に力が加わるので不用意に収納されてしまうという問題の発生を回避することが可能となる。
【0046】
更に、本実施形態に係るスライド収納ヘルメット11では、前部帽体12の先端部に鍔部22が形成され、後部帽体13の後端部に鍔部23が形成されているので、ヘルメット11を収納する場合、及び開放する場合において、使用者は各鍔部22,23を掴むことにより、容易に収納操作、及び開放操作を行うことができる。
【0047】
また、本実施形態では、係合軸15が円弧状長穴14aに沿ってスライドすることにより、収納、及び開放操作が行われるので、ヘルメット11の側面は図3,図4に示すように鋭利な突起部が存在せず、異物への衝突により損傷する等の問題の発生を低減することが可能となる。また、ヘルメット11は、図4に示すように鋭利な突起部が存在しないように収納されるため、コンパクトになり、スペースを取らずに保管しておくことが可能となる。
【0048】
以上、本発明のスライド収納ヘルメットを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、簡単な操作でヘルメット収納、及び開放を切り替えることに利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
11 スライド収納ヘルメット
12 前部帽体
13 後部帽体
14 摺動ガイド部材
14a 円弧状長穴
14b 円弧形状部
14c 係止肩
15 係合軸
16 ストッパ部材
16a つまみ部
16b 係止片
16c 回動軸
17 ガイド部材
18a,18b 突起部
19a,19b 摺動片
20 弦巻バネ
22 鍔部(前側)
23 鍔部(後側)
31 ハンモック
32 ヘッドバンド
33 布製バンド
34 あご紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の前頭部を覆う前部帽体と、該前部帽体の内側にスライド収納可能とされ前記使用者の後頭部を覆う後部帽体と、を備えたスライド収納ヘルメットにおいて、
前記前部帽体内面の左側、右側の双方に設けられ、円弧状長穴が形成された摺動ガイド部材と、
前記後部帽体内面の左側、右側の双方に設けられ、前記円弧状長穴と係合して該円弧状長穴に沿ってスライド移動する係合軸と、を備え、
前記係合軸を前記円弧状長穴に沿ってスライドさせることにより、前記後部帽体を前記前部帽体の内側に収納する収納状態と、前記前部帽体に対して後部帽体を広げた使用状態と、を切り替えることを特徴とするスライド収納ヘルメット。
【請求項2】
前記摺動ガイド部材の外周辺は、前記円弧状長穴に沿った円弧状とされ、前記後部帽体の内面には、前記摺動ガイド部材の外周辺に沿って摺動する円弧状ガイド部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載のスライド収納ヘルメット。
【請求項3】
前記後部帽体の内面の前記円弧状長穴近傍には、前記係合軸がスライド終端位置に達して前記使用状態とされた際に、前記係合軸のスライド移動を阻止するストッパ部材が設けられることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のスライド収納ヘルメット。
【請求項4】
前記後部帽体の外面の後端部近傍には、前記スライド方向に沿って延びる突起部が2箇所に形成され、
前記前部帽体の内面には、前記後部帽体を前部帽体に対してスライドさせる際に、前記突起部と接触し、摩擦力をもって摺動する摺動片が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスライド収納ヘルメット。
【請求項5】
前記後部帽体の後端部、及び前部帽体の前端部に、それぞれ鍔部を設けることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のスライド収納ヘルメット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112913(P2013−112913A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261435(P2011−261435)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】