説明

スライド構造

【課題】従来よりもより優れた方法で培養細胞を観察することができるスライドを提供すること。
【解決手段】スライド1は、セル孔4の底部を形成する底板3と、底板3の上に設けられセル孔の貫通孔を形成したホルダー板2とから構成され、底板3がホウ珪酸ガラスによって形成され、ホルダー板2が結晶シリコンで形成されている。スライド1は、スライド1の表面側に細胞を入れるセル孔4の開口を有し、セル孔4の底部に顕微鏡によって観察するための透視面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてバイオテクノロジの分野に使用されるスライド構造であって、特に細胞の形態観察や定量的な解析に有効な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来生細胞の培養・観察・保管・輸送などの用途には多数の培養用セル(小さな培養容器の単位)を同一のスライド(顕微鏡での観察やまとめて保管する単位)内に構成するものが必要となる。スライドの基本構成としては、一般的に顕微鏡で観察が容易なSBS規格のウェルピッチを実現したものが多い。(SBS:Society for Biomolecular Screening)
図11に標準的なスライドのセル孔51を示す。スライドはガラス板で形成され、セル孔51の直径Dが2.5mmあって、隣接するセル孔51のピッチ間距離Lが4.5mmであり、例えば、4列×12行の48タイプのものがある。従来この種のスライドにはプラスチック製の一体成型品やガラス製でも表面に疎水コートしてウェルを分割した製品が主であった。
そして、セル孔51に細胞などの試料を入れ、培養液を内部にいれて細胞の培養を行っていた。生細胞の詳細な観察には、顕微鏡による蛍光観察が行われる。図12に示すように、蛍光観察は、スライド50の下に顕微鏡を配置し、スライドの上には光源52を配置し、特定の部位に蛍光標識された細胞を観察する方法である。対物レンズ53には浸積媒質(水、イマージョンオイル、グリセリン)が塗られる。
【特許文献1】特開平11−127843号公報(光不透過性樹脂で形成したスライドが開示されている)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のスライドでは、培養や保管に不都合があったり、細胞の培養量が多く、多くの細胞を一度に培養できないなどの問題があった。更に、培養細胞の形態観察には励起光による蛍光観察が行われるが、図11に示すように、隣接するセル孔に対して光aの漏洩などがあり、明確な観察ができにくい場合があった。スライドを移動するには細胞の活性を保つため、液体窒素などの極低温下で保存する必要があり、スライドの破損、強度や低下などの制約があるなどの問題があった。
【0004】
蛍光観察を行うためのスライドが必要とする基本的事項をまとめると以下の通りである。
(1)スライドには所定の数のセルを所定とおりの配置とすること。
(2)セル内で溶剤が溶出することによって、生細胞へ悪影響を生じないこと。
(3)セル内に必要量の培養液及び細胞数が確保できる最小限の容積を有すること。
(4)生細胞の詳細状態を観察のため蛍光法を用いるが、セルから不要なノイズ光を発生しないこと。
(5)セル間で励起光によるセル内での蛍光が、リークなどで隣接するセル内に干渉しない(セル間は遮光する)こと。
(6)スライドとして保管・移動などのために、液体窒素環境での冷却を可能とすること。
(7)底板を通した顕微鏡観察(下側からの高倍率観察)では、底板の平面度が良好かつ異常な蛍光を発することがないことで、内部の細胞が歪みなく明瞭に観察できること。
(8)培養細胞を剥離することなくセル内の培養液の補充、交換がしやすいこと、などの基本的事項がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、上記基本的事項を従来よりも、培養細胞を剥離することなく、より優れた方法で培養細胞を形態観察することができるスライドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスライド構造は、上記目的を達成するために、スライドの表面側に試料(培養液など)を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔としての貫通孔を形成したホルダー板とから構成され、前記底板がホウ珪酸ガラスによって形成され、前記ホルダー板が結晶シリコンで形成されている。
また、本発明のスライド構造は、スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔を形成する筒状のパイプと、前記底板の上に設けられ前記パイプを嵌合する嵌合孔を形成したホルダー板とから構成され、前記筒状のパイプの材質が前記ホルダー板の材質よりも光が透過しない部材(詳しくは、蛍光観察に用いられる光の波長)で形成した。
該発明は、前記底板と前記パイプが石英ガラスで形成され、前記ホルダー板が不透明なプラスチック又はモールド材によって形成されている。
本発明のスライド構造は、上記目的を達成するために、スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔としての貫通孔を形成したホルダー板とから構成され、前記底板が石英ガラスによって形成され、前記ホルダー板が黒色石英ガラスで形成されている。
さらに、本発明のスライド構造は、スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔としての貫通孔を形成したホルダー板とから構成され、前記セル孔の底部に該底部から上方へ突出する段部を形成した。
本発明のスライド構造は、スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、前記セル孔を形成する有底円筒形状のセル部と該セル部を嵌合する嵌合孔を形成したホルダー板とから構成され、前記セル部の筒部の材質が前記ホルダー板の材質よりも光が透過しない部材で形成し、前記セル部の底部を石英で形成した。
上記スライド構造は、前記底板の厚さが0.05mm〜0.25mmの範囲であることが好ましい。
上記スライド構造は、前記セル孔の底部に該底部から上方へ突出する段部を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スライドの底板がホウ珪酸ガラスによって形成され、ホルダー板が結晶シリコンで形成されているので、セル間の光漏れを防止し培養細胞などの顕微鏡による形態観察を行うことができる。さらに、前記底板が石英ガラスによって形成され、前記ホルダー板が黒色石英ガラスで形成されることによって、隣接するセル間のさらなる遮光の実施が可能となる。
また、本発明は、セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔を形成する筒状のパイプと、前記底板の上に設けられ前記パイプを嵌合する嵌合孔を形成したホルダー板とから構成され、前記筒状のパイプの材質が前記ホルダー板の材質よりも光が透過しない部材で形成したので、セル孔を形成する部材の材料が高価な場合に、材料費の節約をすることができる。
上記発明は、底板の厚さが0.05mm〜0.25mmの範囲とすることにより、40倍以上の液浸対物レンズが使用できるようになった。
上記発明は、セル孔の底部に該底部から上方へ突出する段部を形成したので、段部を介してセル孔に溶液を供給することができ、セル孔の培養細胞等の剥離を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の第1の実施形態のスライド構造について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るスライド1を示す。スライド1は、ホルダー板2と底板3とから構成されている。ホルダー板2及び底板3は共に四角形の板材によって形成されている。ホルダー孔2には、該ホルダー板2を上下に貫通するセル孔4を形成している。図1では、セル孔4を4隅のみ示しているが、セル孔4はSBS規格のウェルピッチによって形成されている。ただし、仕様よっては、SBS規格準じないウェルピッチや孔径のものであってもよい(これについては、以下の実施形態についても同じである)。
本実施形態では、図2に示すように、ホルダー板2の高さT1は標準5mmとし、1〜10mmのものがある。底板3の厚さは、標準0.15mmとしているが、0.05〜0.25mmとすることが好ましい。
【0008】
ホルダー板2の材質は、純粋な結晶シリコン(多結晶又は単結晶)板を用い、底板3はホウ珪酸系ガラスを使用している。ホルダー板2と底板3の結合、すなわち結晶シリコンとホウ珪酸ガラスの異種接合は、陽極接合法(他に常温接合法などでも可能)によって接合できる。このスライド構成では、細胞の培養のための培養容器と顕微鏡観察のためのガラス窓部としての透視面5を有する。
【0009】
陽極接合法では、通常の接合で必要なエポキシ系などの接着剤を使用しないため、これらからでる有害な成分の影響を受けず、細胞に影響を及ぼさない。ホルダー板2の材料の結晶シリコンは、不純物がなく細胞への影響は少ない。一方、底板のホウ珪酸系ガラスにはNaやLiなどのアルカリ系金属が入っているので不要な蛍光ノイズを発したりするが観察に対する影響は少ない。
【0010】
蛍光による顕微鏡観察などではガラス厚を薄くすることで顕微鏡の焦点距離の影響と不要な蛍光を極限まで減らすことが可能となる。この様な用途では、ガラス厚を0.05〜0.25mm程度迄薄く加工することで、顕微鏡での明瞭な観察を容易にすることができる。本実施形態でも、従来観察が困難であった40倍以上の液浸対物レンズを使用して培養細胞の観察が可能になった。
スライド1の移動・保管面では液体窒素環境での保冷に対し、問題なく使用することができる。理由としては、結晶シリコンとホウ珪酸系ガラスの熱膨張係数(CTE)がほぼ同じであることに拠っている。なお、室温時のCTEとして、結晶シリコンは約3.3ppm/Kであり、ガラスは3.5ppm/Kとほぼ同一である。スライド1の輸送・保管のために強度を増強する必要がある場合には、底板3を2重構造にしてもよい。
【0011】
次に、本発明の第2の実施形態のスライド構造について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本実施形態に係るスライド11の断面図であり、図4はスライド11の製造過程における斜視図である。
スライド11は、ホルダー板12と底板13及び円筒形のパイプ14から構成されている。ホルダー板12にはパイプ14が軸を上下方向に向けて配置され、ホルダー板12の下部には、底板13が設けられている。パイプ14の内部はセル孔15として形成され、セル孔15の底面には底板13で形成されている透視面16が設けられている。ホルダー板12の材質は、不透明プラスチックを使用し、底板13及びパイプ14の材質は、それぞれ石英ガラスが用いられている。
【0012】
スライド11の製造については、図4に示すように、初めに底板13の表面にパイプ14の一端部を載せて底板13とパイプ14を接合する。石英ガラス同士の接合は、周知であり高温法や低温法により接合できる。そして、底板13のパイプ14が配設されていない部分について、不透明プラスチックや他のモールド材を使用して充填し、パイプ14を含む矩形のホルダー板12が形成される。ホルダー板12及び底板13の厚さについては、上記第1の実施形態と同じである。
【0013】
本実施形態の構成では、底板の石英ガラスの成分は二酸化シリコンである。光の透過性に優れていて蛍光観察に対して影響がない。隣接するセルからの蛍光の散乱などの影響に対しては、セル間に遮光のための隔離部(不透明プラスチックなど)を設けることで対応可能となる。底板13とパイプ14の素材が同一であるため、耐熱特性は全く問題がない。
この様な用途では石英ガラス厚を0.1〜0.2mm程度薄く加工することで、顕微鏡での明瞭な観察を容易にすることができる。本実施形態では、従来観察が困難であった40倍以上の液浸対物レンズの観察が可能になった。
【0014】
次に、本発明の第3の実施形態のスライド構造について、図5を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態に係るスライド21の斜視図である。スライド21は、ホルダー板22と底板23とから構成されている。ホルダー板22及び底板23は共に四角形の板材によって形成されている。ホルダー板22には、該ホルダー板22を上下に貫通するセル孔24を形成している。
本実施形態では、図2に示すように、ホルダー板2の高さT1は標準5mmとし、1〜10mmのものがある。底板3の高さは、標準0.15mmとしているが、0.05〜0.25mmとすることが好ましい。
【0015】
ホルダー板22の材質は、黒色石英ガラス板を用い、底板23は透明な石英ガラス板を使用している。黒色石英ガラスの素材としては、二酸化珪素でなり、製法によって黒色、光の非透過としているものを用いる。ホルダー板22と底板23の結合、すなわち黒色石英ガラス板と石英ガラス板の異種接合は、上述の高温法又は低温法によって接合できる。このスライド構成では、細胞の培養のための培養容器と顕微鏡観察のためのガラス窓部としての透視面(図示せず、図2の符合5を参照、以下の実施形態も同じである)を有する。
【0016】
本実施形態では、上記第2の実施形態のスライドよりもさらに、隣接セル孔24間の遮光が可能となる。黒色石英ガラスを用いることで隣接するセル間の光の干渉もなく、素材が石英のため、蛍光等のノイズの影響もない。
【0017】
次に、本発明の第4の実施形態について図面を参照にして説明する。
図6は、有底円筒形状のセル筒32を示し、セル筒32は筒状のパイプ33と円板形状の底板34とからなる。パイプ33の材質は、黒色石英ガラス板であり、上記第3の実施形態と同じ素材のものを使用し、底板34は透明な石英ガラス板を使用している。パイプ33の高さは、標準5mmとし、1〜10mmのものがある。底板34の高さは、標準0.15mmとしているが、0.05〜0.25mmとすることが好ましい。
【0018】
図7に示すように、ホルダー板35は、セル筒32の形状と同じ貫通孔36を複数形成し、貫通孔36の長さはセル筒32の軸方向長さに一致させている。ホルダー板35の材質は、プラスチックなどの安価な材料を利用できる。このホルダー板35の貫通孔36にセル筒32を嵌合し、接着することによってスライド31が完成する。
このようなスライド31は、セル筒32の内部がセル孔となって、底板34の底部が顕微鏡のための透視面となる。
黒色石英ガラスは、一般的に高価なため、各セルを最小限の分離・独立の容器とし、それらをプラスチック素材などに配置・固定することによって、コストの安いスライドを得ることができる。
【0019】
図8は、本第4の実施形態の変形例を示す。
図6に示すセル筒32は、パイプ32の材質を黒色石英ガラス板とし、底板34を透明な石英ガラス板を使用したが、図8に示すようにセル筒37のパイプ38を石英ガラスとし、底板39を石英ガラスとし、図7に示すホルダー板35の貫通孔36にセル筒37を挿入してもよい。このようにしても、コストの安いスライドを得ることができる。
【0020】
次に、本発明の第5の実施形態について図面を参照にして説明する。
図9は、本実施形態のスライドの平面図であり、図10は図9のA−A線方向の断面図である。ほぼ有底円筒形状のセル筒42を示し、セル筒42は筒状のパイプ43と円板形状の底板44とからなる。パイプ43の材質は、石英ガラス又は黒色石英ガラス板であり、黒色石英ガラスは、上記第3の実施形態と同じ素材のものを使用し、底板44は透明な石英ガラス板を使用している。パイプ43の高さは、標準5mmとし、1〜10mmのものがある。底板44の高さは、標準0.15mmとしているが、0.05〜0.25mmとすることが好ましい。
使用するホルダー板については、図7に示すホルダー板35と同じであり、セル筒42の形状と同じ貫通孔36を複数形成し、貫通孔36の長さはセル筒42の軸方向長さに一致させている。ホルダー板35の材質は、プラスチックなどの安価な材料を費用できる。このホルダー板35の貫通孔36にセル筒42を嵌合し、接着することによってスライド41が完成する。
【0021】
図9に示すように、セル筒42にはセル孔45を形成し、セル孔45には該セル孔45に隣接させて段差部46を形成している。セル孔45の底部から段差部46までの高さHは、本実施形態では、0.1mmである。
本実施形態では、段差部46を形成しているので、セル孔45内に細胞を培養しているときに、培養液等の注入や交換をするような場合に、セル孔45にピペット(図示せず)によって培養液を注入する。この際、ピペットの培養液の注出先を段差部46に向けることで、段差部46に培養液を滴下し、段差部46を介して培養液をセル孔45に入れることができる。よって、細胞がピペットから直接、培養液を注がれることを防止し、液交換、液注入を繰り返しても細胞の剥がれや損傷を防止できる効果がある。
【0022】
このように、本発明の各実施形態では、底板の厚さを0.05〜0.25mmの範囲とすることで、40倍以上の液浸対物レンズを使用して培養細胞などを観察することができるようになった。特に内部の細胞の形態観察や定量的な解析を各種光学的手法により明確に観察できるようになった。セル孔の培養細胞が触れる部分についての接合は、有機溶剤を使用していないので、培養細胞に影響を与えることがない。
【0023】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的思想に基づいて、勿論、本発明は種々の変形又は変更が可能である。
上記第2の実施形態では、石英ガラスのパイプ14を用いて、パイプ14を石英ガラスの底板13に接合したが、上記第1及び第3の実施形態のように、セル孔を形成した石英ガラスのホルダー板を用い、このホルダー板を底板13に接合してもよい。
上記第5の実施形態の段差部46については、上記第1〜第3の実施形態のスライド1,11,21のように、ホルダー板2,12,22と底板3,13,23から構成されるものについても適用できる。このような場合は、底板3,13,23に段差部46を形成する。セル筒42については、パイプ43側に段差部46を形成したが、底板44側に段差部46を形成してもよい。さらには、この段差部46については、従来のガラスや透明プラスチックなどのセル孔に段差部を形成しても、細胞の剥離を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるスライド構造の斜視図である。
【図2】図1に示すスライドの部分断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態におけるスライド構造の断面図である。
【図4】図3のスライドの製造過程の途中を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施形態におけるスライド構造の斜視図である。
【図6】本発明の第4の実施形態におけるスライド構造のセル筒の斜視図である。
【図7】図6のセル筒と該セル筒が挿入されるホルダー板の斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態におけるセル筒の変形例の斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施形態におけるセル筒の平面図である。
【図10】図9のA−A線方向の断面図である。
【図11】従来のスライドの標準的なセル孔を示す平面図である。
【図12】従来のスライドを用いて顕微鏡で蛍光観察している状態の側面図である。
【符号の説明】
【0025】
11,21,41,50 スライド
2,12,22,35 ホルダー板
3,13,23,34,44 底板
4,15,24,45 セル孔
15,16 透視面
37,42 セル筒
46 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、
前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔としての貫通孔を形成したホルダー板とから構成され、
前記底板がホウ珪酸ガラスによって形成され、前記ホルダー板が結晶シリコンで形成されていることを特徴とするスライド構造。
【請求項2】
スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、
前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔を形成する筒状のパイプと、前記底板の上に設けられ前記パイプを嵌合する嵌合孔を形成したホルダー板とから構成され、前記筒状のパイプの材質が前記ホルダー板の材質よりも光が透過しない部材で形成したことを特徴とするスライド構造。
【請求項3】
前記底板と前記パイプが石英ガラスで形成され、前記ホルダー板が不透明なプラスチック又はモールド材によって形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスライド構造。
【請求項4】
スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、
前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔としての貫通孔を形成したホルダー板とから構成され、
前記底板が石英ガラスによって形成され、前記ホルダー板が黒色石英ガラスで形成されていることを特徴とするスライド構造。
【請求項5】
スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、
前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔としての貫通孔を形成したホルダー板とから構成され、
前記セル孔の底部に該底部から上方へ突出する段部を形成したことを特徴とするスライド構造。
【請求項6】
スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、
前記セル孔を形成する有底円筒形状のセル部と該セル部を嵌合する嵌合孔を形成したホルダー板とから構成され、前記セル部の筒部の材質が前記ホルダー板の材質よりも光が透過しない部材で形成し、前記セル部の底部を石英で形成したことを特徴とするスライド構造。
【請求項7】
前記底板の厚さが0.05mm〜0.25mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスライド構造。
【請求項8】
前記セル孔の底部に該底部から上方へ突出する段部を形成したことを特徴とする請求項1〜4及び6、7のいずれか1項に記載のスライド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−86286(P2008−86286A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273085(P2006−273085)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000133788)株式会社テクニスコ (8)
【出願人】(503318666)日京テクノス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】