スリッター
【課題】裁断寸法が自由で、メディアシートの寸法に簡単に対応できるスリッターを得るにある。
【解決手段】メディアシートの幅方向に独立して移動できように装置固定部に支持されかつ前記回転カッターをそれぞれ内蔵する複数のスリッター・ユニットと、これらのスリッター・ユニットを幅方向に独立的に送るスリッター・ユニット駆動部と、同スリッター・ユニット駆動部にメディアシートの幅方向停止位置を指示する制御装置とを設けたスリッターを提案するものである。
【解決手段】メディアシートの幅方向に独立して移動できように装置固定部に支持されかつ前記回転カッターをそれぞれ内蔵する複数のスリッター・ユニットと、これらのスリッター・ユニットを幅方向に独立的に送るスリッター・ユニット駆動部と、同スリッター・ユニット駆動部にメディアシートの幅方向停止位置を指示する制御装置とを設けたスリッターを提案するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷物を所定の大きさに裁断する裁断装置に関し、特に、1枚の印刷シートを裁断マーク位置で所定の寸法に裁断するスリッターに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、印刷後の多数枚の印刷シート(メディアシート)は、各シートのトンボマークが一致するようにスタック状態におかれ、ギロチン裁断機で所定の寸法に裁断されるのが普通である。
ところで、近年における印刷シートのデマンド化の進展に伴い、1枚〜数枚の大判シートの印刷と裁断を行う場合が多くなっているが、このような数枚の大判シートにあっては、大型裁断機で処理するには手間と費用が掛かり過ぎるため、大きなテーブル上に印刷済シートを置き、カッターナイフなどを用いて手作業で所定寸法に裁断している。
【0003】
しかしながら、手作業による裁断作業は、熟練を要するばかりでなく、同一寸法の大判シートを数十枚処理しなければならない場合もあり、処理枚数によっては、仕上がり状態に偏差が生じたり、長時間の作業が求められることがあった。
【0004】
また、従来では、複数の回転カッターを用いて印刷後の印刷シートを所定寸法に裁断するスリッターが提案されている。
【特許文献1】特開平10−76495号公報
【特許文献2】特開2002−346984公報
【特許文献3】特開2004−237377公報
【0005】
これらのスリッターの何れも、回転カッターの位置が予め定められた位置にあるので、裁断寸法が異なる印刷シートには適用できず、裁断寸法ごとにスリッターを設計しなければならない問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、以上に述べたような従来のメディアシートの裁断上の問題に鑑み、裁断寸法が自由で、メディアシートの寸法に簡単に対応できるスリッターを得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明は、メディアシートを位置するテーブルにフィードローラを付設してメディアシートを長さ方向に送り、メディアシートの幅方向に隣合う複数の回転カッターを同テーブルの送り方向一側に設け、これらの回転カッターによりメディアシートを長さ方向に裁断するスリッターにおいて、メディアシートの幅方向に独立して移動できように装置固定部に支持されかつ前記回転カッターをそれぞれ内蔵する複数のスリッター・ユニットと、これらのスリッター・ユニットを幅方向に独立的に送るスリッター・ユニット駆動部と、同スリッター・ユニット駆動部にメディアシートの幅方向停止位置を指示する制御装置とを設けたスリッターを提案するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御装置からの信号でスリッター・ユニットが裁断マーク対応位置に調節されるから、任意の裁断寸法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
後述する本発明の好ましい実施例の説明では、
1)前記各スリッター・ユニットは幅方向の移動送りネジに幅方向に移動可能に支持され、スリッター・ユニット駆動部はひとつのユニット送りモータ及び同ユニット送りモータから各移動送りネジに分岐される動力伝達系統に組み込まれた複数の電磁クラッチを有するスリッター、
2)
前記各スリッター・ユニットは各ユニットフレームに固定される第1ガイド板及び第2ガイド板を備え、メディアシートの裁断片はこれらの第1ガイド板及び第2ガイド板により上下に異なった向きに指向されるスリッター、
3)前記スリッターは、解除可能なフィードローラを付設したテーブル上に、メディアシートの幅方向の裁断マーク位置を視認できる透明スケールを設け、前記メディアシートの幅方向に移動可能に前記テーブル上に設けられて同幅方向の裁断マーク対応位置に位置される少なくとも2つのマーク位置検出器を配置し、前記テーブルのメデイアシート取入側に、前記フィードローラの解除時に一時的にメディアシートをクランプしてメディアシートの傾きを調整するメディア傾け台を設けたスリッター
が説明される。
【実施例1】
【0010】
以下、図面について本発明の実施例によるスリッターの詳細を説明する。
図2は本発明のスリッターの全体断面図であり、同スリッターは印刷シート即ちメディアシートSが長さ方向(図2の左右方向)に供給されるテーブルTを備えている。
【0011】
前記テーブルTの上部にはメディアシートSの表面に印刷処理されたトンボマークM1,M2(裁断マーク・図4示)の位置を透視できる透明スケールS1がメディアシートSの幅方向に延長した状態で位置され、オペレータは各トンボマークM1,M2に一致した同透明スケールS1の目盛からセットされるメディアシートSのトンボマークM1,M2位置を知ることができる。
前記テーブルTには前記透明スケールS1の直後に位置した解除可能なフィードローラF1が配置され、同フィードローラF1の下ローラ1aはシート送りモータ1で定速駆動される。
【0012】
前記フィードローラF1の上ローラ1bはオペレータにより手動操作される解除レバー2の操作により下ローラ1aから離間・解除できる。即ち、装置固定部の支点ピン3(図2)を中心に傾動できる解除レバー2は実線示の開放位置にあるとき下ローラ1aと上ローラ1bとの間にメディアシートSを挟んでメディアシートSを拘束でき、2点鎖線示の解除位置に手動操作されると、下ローラ1aから上ローラ1bを離してメディアシートSの拘束を解除できる。
【0013】
前記フィードローラF1に隣り合った第1シートセンサ4は、メディアシートSの先端を感知して、シート送りに異常があるか否かを告知する。
前記テーブルT上には透明スケールS1と平行関係におかれたカメラスケールS2(標準スケール)が位置され、このカメラスケールS2の目盛を利用して監視カメラP1,P2の場合を示すマーク位置検出器を対応トンボマークM1,M2の位置に位置決めできる。つまり、2台の監視カメラP1,P2は、図2の紙面と直角な方向に延長した案内レール5に沿い移動できるカメラ台21の下部に固定され、それらの視野をテーブルT上のメディアシートSに向けてある。
【0014】
したがって、カメラ台21のつまみ21aを摘んでオペレータは、透明スケールS1の目盛で読取られたトンボマークM1,M2の位置に対応したカメラスケールS2の対応目盛にカメラ台21の指示線(図3)を合わせることにより、各監視カメラP1,P2の視野内に対応トンボマークM1,M2を照準できる。各監視カメラP1,P2からのトンボマークM1,M2の長さ方向偏差情報及び幅方向偏差情報は、図14の制御装置cpuのメモリに記憶されると共に、長さ方向偏差情報からメディア傾け台30の傾け指令信号が算定され、後述する傾けモータ31(図14示)が駆動される。
【0015】
なお、図示実施例では、カメラ台21を手動操作するものを示すが、カメラ台21をステッピングモータ駆動とし、透明スケールS1で読取ったトンボマークM1,M2の位置情報を入力キー98(図14)から入力し、同入力信号に対応した値だけカメラ台21をステッピングモータで移動させ、対応トンボマークM1,M2の位置に監視カメラP1,P2を照準させる構成とすることもできる。
【0016】
前記テーブルTのメディアシート取入端部には、取り扱われるメディアシートSを一時的にクランプしてメディアシートSの傾きを調整するメディア傾け台30が配置される。
詳細を図5及び図6に示すメディア傾け台30は、メディアシートSの幅方向中央の中心軸32を中心として水平面内で傾動できるもので、その上面には両端部の押上げばね33で上方に付勢されたクランプ板34を備えている。即ち、このクランプ板34は、図5に示す手動操作可能なクランプレバー35の矢印方向の回動により上下動部材36及びプッシャ37により強制下降され、供給されたメディアシートSをメディア傾け台30の表面に押付けクランプする。
【0017】
また、前記メディア傾け台30の一端部には正逆転可能な傾けモータ31(図6)が臨ませてあり、この傾けモータ31の送りねじ39で往復動されるナット固定板41上に一対の主動板41a,42bが起立される。そして、これらの主動板41a,42b間に位置されるベアリング43はメディア傾け台30の端面に片持ち状態で固定される保持部材44の軸45に回転可能に支持される。
したがって、傾けモータ31が制御装置cpuの指令によりトンボマークM1,M2の長さ方向偏差情報に見合った回転数だけ回転されると、メディアシートSをクランプしたまま、メディア傾け台30は中心軸32を中心として傾動され、テーブルTに対するメディアシートSの画像の傾きが修正される。
【0018】
図2に戻って、前記テーブルTに対しては案内レール5の略直下に位置した天地カッターCが配置され、テーブルTの幅方向に延長する天地カッターCにより傾き状態を揃えられたトンボマークM1,M2の位置が同天地カッターCで切断される。この天地カッターCは、入力キー7から予め入力されるメディアシートSの長さ方向トンボマークM1,M2間距離に対応したタイミングで動作され、後端トンボマークM1,M2位置でメディアシートSを切断する。
【0019】
前記天地カッターCの直後のテーブルTにはトンボマークM1,M2の位置から切断されたメディアシートSを引取る2次フィードローラF2が配置され、これらの2次フィードローラF2の回転送り運動により平面状態を保ったまま、メディアシートSは後続のスリッター・ユニットU1,U2に送込まれる。
【0020】
メディアシートSの幅方向に隣り合って1対だけ設けられる同スリッター・ユニットU1,U2は、図11に示すように、移動送りネジ52A,52Bに沿って幅方向に移動できるユニットフレーム53を備え、同ユニットフレーム53には、スライド兼回転軸71により回転駆動される回転カッター54及び支持軸57で支持されて同回転カッター54の表面に押圧ばね56で圧接される回転刃58が内蔵される。
即ち、図8に示すように、前記スライド兼回転軸71に対しては、スライド兼回転軸71からの回転運動のみを伝達する一方向クラッチ72を介して送りローラ73がスライド兼回転軸71の長さ方向に移動可能に支持され、この送りローラ73の側面に回転カッター54が固定される。
【0021】
前記各スリッター・ユニットU1,U2のユニットフレーム53には裁断後のメディアシートSの画像部及び余白部をそれぞれ案内する第1ガイド板68及び第2ガイド板69が前記回転カッター54及び回転刃58の両側に位置した状態で固定される。
図9に拡大して示された第1ガイド板68は、前記回転カッター54の直上に略水平方向に延長した状態にあり、その先端部68aは上方に向かって角度をもって折り曲げられ、その後端部68bは下方に折り曲げてある。したがって、2次フィードローラF2で送られるメディアシートSの画像部は、回転刃58から離れるように第1ガイド板68の下面に沿い矢印方向に指向され、スリッター・ユニットU1,U2から排出されることになる。
【0022】
また、図10に拡大して示された第2ガイド板69は、前記回転刃58の直下で略水平方向に延長した状態にあり、その先端部69aは下方に向かって角度をもって折り曲げられ、その後端部69bは上方に折り曲げてある。したがって、2次フィードローラF2で送られるメディアシートSの左右余白部は、回転カッター54から離れるように第2ガイド板69の下面に沿い矢印方向に指向される。
したがって、第1ガイド板68及び第2ガイド板69の存在により、裁断後のメディアシートSの左右余白部と画像部は、互いに離間するように上下に分離されるので、互いに干渉することなくスリッター・ユニットU1,U2から排出されることになる。
【0023】
図11から図13は一対のスリッター・ユニットU1,U2を駆動制御する駆動部を示し、両スリッター・ユニットU1,U2のユニットフレーム53はユニット送りモータ63の駆動ギヤ78により駆動される。即ち、図11に示すように、両スリッター・ユニットU1,U2のユニットフレーム53には移動送りネジ52A,52Bにねじ合せされた送りナット74がそれぞれ固定され、これらの移動送りネジ52A,52Bの軸端には第1電磁クラッチ75及び第2電磁クラッチ77がそれぞれ設けられ、これらの第1電磁クラッチ75及び/または第2電磁クラッチ77の励磁時のみユニット送りモータ63の回転運動が移動送りネジ52A,52Bに伝達される。
【0024】
図13に示すように、ユニット送りモータ63の駆動ギヤ78は2系統の中継ギヤ81,82にそれぞれ噛み合わされ、これらの中継ギヤ81,82が第1電磁クラッチ75及び第2電磁クラッチ77の従動ギヤ83,84にそれぞれ噛み合わされるため、第1電磁クラッチ75及び/または第2電磁クラッチ77の励磁時に対応移動送りネジ52A,52Bにユニット送りモータ63からの回転運動が伝達される。
【0025】
次に、図14に示した制御部のブロックダイヤグラムについて、前述したスリッターの動作を説明する。
シングルモード
オペレータがシングルモードを選択した場合、フィードローラF1の上ローラ1bが解除レバー2で持上げられ、メディアシートSは、メディア傾け台30のクランプ板34の下とフィードローラF1の上ローラ1bの下との間に形成される空間を通ってテーブルT上に導入される。この場合、オペレータは、入力キー98から既知の幅方向トンボマークM1,M2間距離を入力するが、このトンボマークM1,M2間距離は制御装置cpuのメモリに記憶される。
【0026】
このメディアシートSの導入に際して、図4に示すように、オペレータはメディアシートSの画像面に印字されたトンボマークM1,M2を透明スケールS1の目盛の位置に合わせ、解除レバー2を手動操作して上ローラ1bを下降させ、つまみ21aを摘んでカメラ台21を幅方向に移動させ、カメラ台21の指示線をカメラスケールS2の対応目盛に合わせる(ステップS1)。
【0027】
次に、スタートボタン(図示せず)を押圧すると、シート送りモータ1が予め定めた回転数だけ駆動され、メディアシートSのトンボマークM1,M2が対応する監視カメラP1,P2の視野内に位置される。この場合、第1シートセンサ4によりメディアシートSの存在が確認され、メディアシートSがない場合はアラーム信号が発信される(ステップS2)。
この後、制御装置cpuに第1監視カメラP1及び第2監視カメラP2からのトンボマークM1,M2の認識信号が入力されるが、同認識信号が異常な値であったり、認識されない場合は、アラーム信号が発信され、メディアシートSのセット異常か、第1監視カメラP1及び/又は第2監視カメラP2の位置決め異常があることが告知される(ステップS3)。
【0028】
第1監視カメラP1及び第2監視カメラP2からのトンボマークM1,M2の認識信号の内、トンボマークM1,M2の長さ方向の位置偏差がある場合、制御装置cpuは「傾きあり」と判定する。表示ランプが点灯し、読み取り完了を発信する(ステップS4)。解除レバー2の操作でフィードローラF1の上ローラ1bが持上げられ、メディア傾け台30にメディアシートSが一時的にクランプされると同時的に同メディアシートSがフィードローラF1から自由になる(ステップS5)。
【0029】
これらのクランプレバー35及び解除レバー2の手動操作の後、「傾き調整」スタートボタン(図示せず)がオペレータにより押圧され、「傾き調整」が指示されると、傾けモータ31が駆動され、メディア傾け台30が中心軸32を中心として水平面内で傾動される(ステップS6)。
このステップS6の後、ステップS2へ戻り、メディア傾け台30の傾動運動は、第1監視カメラP1及び第2監視カメラP2からのトンボマークM1,M2の長さ方向位置偏差がなくなるまで続行されるが、トンボマークM1,M2の長さ方向位置偏差がなくなると、このことがブザーの鳴動等の告知手段により、オペレータに告知される(ステップS7)。
【0030】
この後、オペレータにより解除レバー2が戻され、画像の傾きを修正された状態でメディアシートSがフィードローラF1に挟持され、メディア傾け台30のクランクレバー35の手動操作によりクランプ板34が上昇されてメディア傾け台30に対するメディアシートSのクランプ状態が解消される(ステップS8)。
【0031】
これらの手動操作の後、入力キー98から準備状態が完了したことを入力すると、オペレータにより入力されたトンボマークM1,M2の位置情報と監視カメラP1,P2で検出した幅方向の位置情報から各スリッター・ユニットU1,U2の位置が割り出され、この指令信号に基づいて第1電磁クラッチ75及び第2電磁クラッチ77が励磁される。
この後、ユニット送りモータ63が駆動され、移動送りネジ52A,52Bを介して各スリッター・ユニットU1,U2がメディアシートSの幅方向へ移動開始する。各スリッター・ユニットU1,U2の回転カッター54の位置が対応するトンボマークM1,M2に厳密に対応した位置に到達すると、制御装置cpuの指令により第1電磁クラッチ75及び第2電磁クラッチ77が別々に消磁される(ステップS9)。
【0032】
各スリッター・ユニットU1,U2の幅方向への移動・停止の後、シート送りモータ1によりフィードローラF1が一定時間だけ駆動されるが、フィードローラF1はトンボマークM1,M2が天地カッターCに一致したとき、停止される。そして、メディアシートSの停止後にカッターモータ69が動作され、天地カッターCによりメディアシートSはトンボマークM1,M2の位置から切断され、トンボマークM1,M2の先端部が切落とされる(ステップS10)。
【0033】
次に、2次フィードローラF2位置の第2シートセンサ99によるメディアシートSの感知で、シート送りモータ1及びフィードモータ65によりフィードローラF1及び2次フィードローラF2が回転駆動され、制御装置cpuの指令により回転刃モータ67が回転され、メディアシートSの幅方向両側の余白部分が切除される(ステップS11)。
この場合、第1ガイド板68及び第2ガイド板69の存在により、裁断後のメディアシートSの左右余白部と画像部は、互いに離間するように上下に分離されるので、互いに干渉することなくスリッター・ユニットU1,U2から排出される。
【0034】
続いて、フィードローラF1及び2次フィードローラF2の回転駆動により、予め入力されたトンボマークM1,M2のメディアシートSの長さ方向距離分だけメディアシートSが送られると、フィードローラF1及び2次フィードローラF2が停止される。フィードローラF1及び2次フィードローラF2の停止後、再びカッターモータ69が動作され、天地カッターCによりメディアシートSは後端トンボマークM1,M2の位置から切断され、所定の寸法にメディアシートSが裁断される(ステップS12)。
最後に、シート送りモータ1及びフィードモータ65によりフィードローラF1及び2次フィードローラF2が再び回転駆動され、メディアシートSの残りの部分が機外に排出される(ステップS13)。
【0035】
リピートモード
同一仕様の複数枚のメディアシートSを処理する場合、オペレータによりリピートモードが選択されると、必要枚数の入力が促され、必要枚数の入力により、前述したステップS1からステップS13までの動作が繰り返され、ステップS13の終了時に必要枚数を記憶するカウンタが減算され、最後のメディアシートSの処理後に手動入力されたトンボマークM1,M2の幅方向距離及び長さ方向距離の情報がクリヤされることになる。
【0036】
シリーズモード
1枚のメディアシートSに同一画像が長さ方向に連続的に印刷処理されているメディアシートSの処理の場合、オペレータによりシリーズモードが選択される。このシリーズモードでは、連続枚数を示す設定枚数の入力が促され、設定枚数の入力によりステップS12の終了時に必要枚数を記憶するカウンタが減算され、ステップS10からステップS12までの動作がくりかえされる。勿論、リピートモードの場合と同様に、最後のメディアシートSの処理後に手動入力されたトンボマークM1,M2の幅方向距離及び長さ方向距離の情報がクリヤされることになる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
前述した本発明の実施例の説明では、2つの監視カメラとこれらの監視カメラに対応する2基のスリッター・ユニットを備えるものを例示したが、メディアシートを幅方向に複数に裁断する場合には、裁断数に応じた数の監視カメラ及びスリッター・ユニットを配置してもよい。勿論、各スリッター・ユニットには、第1ガイド板68及び第2ガイド板69を備えされるれば、裁断されたメディアシートの画像部相互間や余白部の干渉を避けて、裁断仕上がりの良好な状態を得ることができる。
【0038】
また、前述した本発明の実施例では、メディア傾け台及び監視カメラを用いる例を説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、メディア傾け台及び監視カメラを廃止して制御装置から入力される手動指令により各スリッター・ユニットを移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明によるスリッターの概念図である。
【図2】同スリッターの全体断面図である。
【図3】同スリッターの要部拡大平面図である。
【図4】同スリッターの透明スケールとカメラスケールとの関係を示す平面図である。
【図5】同スリッターのメディア傾け台の要部端面図である。
【図6】同メディア傾け台の駆動部の拡大平面図である。
【図7】同メディア傾け台の駆動部の斜視図である。
【図8】スリッター・ユニット内部の幅方向拡大断面図である。
【図9】同スリッター・ユニットの図8の9−9線に沿う断面図である。
【図10】同スリッター・ユニットの図8の10−10線に沿う断面図である。
【図11】同スリッター・ユニット駆動部の全体平面図である。
【図12】同スリッター・ユニット駆動部の要部拡大平面図である。
【図13】同スリッター・ユニット駆動部の図12の13−13線に沿う断面図である。
【図14】本発明によるスリッター制御部のブロックダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0040】
C 天地カッター
F1 フィードローラ
M1,M2 トンボマーク
S メディアシート
S1 透明スケール
S2 カメラスケール
T テーブル
U1,U2 スリッター・ユニット
30 メディア傾け台
52A,52B 移動送りネジ
53 ユニットフレーム
54 回転カッター
63 ユニット送りモータ
68 第1ガイド板
69 第2ガイド板
71 スライド兼回転軸
75 第1電磁クラッチ
77 第2電磁クラッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷物を所定の大きさに裁断する裁断装置に関し、特に、1枚の印刷シートを裁断マーク位置で所定の寸法に裁断するスリッターに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、印刷後の多数枚の印刷シート(メディアシート)は、各シートのトンボマークが一致するようにスタック状態におかれ、ギロチン裁断機で所定の寸法に裁断されるのが普通である。
ところで、近年における印刷シートのデマンド化の進展に伴い、1枚〜数枚の大判シートの印刷と裁断を行う場合が多くなっているが、このような数枚の大判シートにあっては、大型裁断機で処理するには手間と費用が掛かり過ぎるため、大きなテーブル上に印刷済シートを置き、カッターナイフなどを用いて手作業で所定寸法に裁断している。
【0003】
しかしながら、手作業による裁断作業は、熟練を要するばかりでなく、同一寸法の大判シートを数十枚処理しなければならない場合もあり、処理枚数によっては、仕上がり状態に偏差が生じたり、長時間の作業が求められることがあった。
【0004】
また、従来では、複数の回転カッターを用いて印刷後の印刷シートを所定寸法に裁断するスリッターが提案されている。
【特許文献1】特開平10−76495号公報
【特許文献2】特開2002−346984公報
【特許文献3】特開2004−237377公報
【0005】
これらのスリッターの何れも、回転カッターの位置が予め定められた位置にあるので、裁断寸法が異なる印刷シートには適用できず、裁断寸法ごとにスリッターを設計しなければならない問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、以上に述べたような従来のメディアシートの裁断上の問題に鑑み、裁断寸法が自由で、メディアシートの寸法に簡単に対応できるスリッターを得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明は、メディアシートを位置するテーブルにフィードローラを付設してメディアシートを長さ方向に送り、メディアシートの幅方向に隣合う複数の回転カッターを同テーブルの送り方向一側に設け、これらの回転カッターによりメディアシートを長さ方向に裁断するスリッターにおいて、メディアシートの幅方向に独立して移動できように装置固定部に支持されかつ前記回転カッターをそれぞれ内蔵する複数のスリッター・ユニットと、これらのスリッター・ユニットを幅方向に独立的に送るスリッター・ユニット駆動部と、同スリッター・ユニット駆動部にメディアシートの幅方向停止位置を指示する制御装置とを設けたスリッターを提案するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御装置からの信号でスリッター・ユニットが裁断マーク対応位置に調節されるから、任意の裁断寸法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
後述する本発明の好ましい実施例の説明では、
1)前記各スリッター・ユニットは幅方向の移動送りネジに幅方向に移動可能に支持され、スリッター・ユニット駆動部はひとつのユニット送りモータ及び同ユニット送りモータから各移動送りネジに分岐される動力伝達系統に組み込まれた複数の電磁クラッチを有するスリッター、
2)
前記各スリッター・ユニットは各ユニットフレームに固定される第1ガイド板及び第2ガイド板を備え、メディアシートの裁断片はこれらの第1ガイド板及び第2ガイド板により上下に異なった向きに指向されるスリッター、
3)前記スリッターは、解除可能なフィードローラを付設したテーブル上に、メディアシートの幅方向の裁断マーク位置を視認できる透明スケールを設け、前記メディアシートの幅方向に移動可能に前記テーブル上に設けられて同幅方向の裁断マーク対応位置に位置される少なくとも2つのマーク位置検出器を配置し、前記テーブルのメデイアシート取入側に、前記フィードローラの解除時に一時的にメディアシートをクランプしてメディアシートの傾きを調整するメディア傾け台を設けたスリッター
が説明される。
【実施例1】
【0010】
以下、図面について本発明の実施例によるスリッターの詳細を説明する。
図2は本発明のスリッターの全体断面図であり、同スリッターは印刷シート即ちメディアシートSが長さ方向(図2の左右方向)に供給されるテーブルTを備えている。
【0011】
前記テーブルTの上部にはメディアシートSの表面に印刷処理されたトンボマークM1,M2(裁断マーク・図4示)の位置を透視できる透明スケールS1がメディアシートSの幅方向に延長した状態で位置され、オペレータは各トンボマークM1,M2に一致した同透明スケールS1の目盛からセットされるメディアシートSのトンボマークM1,M2位置を知ることができる。
前記テーブルTには前記透明スケールS1の直後に位置した解除可能なフィードローラF1が配置され、同フィードローラF1の下ローラ1aはシート送りモータ1で定速駆動される。
【0012】
前記フィードローラF1の上ローラ1bはオペレータにより手動操作される解除レバー2の操作により下ローラ1aから離間・解除できる。即ち、装置固定部の支点ピン3(図2)を中心に傾動できる解除レバー2は実線示の開放位置にあるとき下ローラ1aと上ローラ1bとの間にメディアシートSを挟んでメディアシートSを拘束でき、2点鎖線示の解除位置に手動操作されると、下ローラ1aから上ローラ1bを離してメディアシートSの拘束を解除できる。
【0013】
前記フィードローラF1に隣り合った第1シートセンサ4は、メディアシートSの先端を感知して、シート送りに異常があるか否かを告知する。
前記テーブルT上には透明スケールS1と平行関係におかれたカメラスケールS2(標準スケール)が位置され、このカメラスケールS2の目盛を利用して監視カメラP1,P2の場合を示すマーク位置検出器を対応トンボマークM1,M2の位置に位置決めできる。つまり、2台の監視カメラP1,P2は、図2の紙面と直角な方向に延長した案内レール5に沿い移動できるカメラ台21の下部に固定され、それらの視野をテーブルT上のメディアシートSに向けてある。
【0014】
したがって、カメラ台21のつまみ21aを摘んでオペレータは、透明スケールS1の目盛で読取られたトンボマークM1,M2の位置に対応したカメラスケールS2の対応目盛にカメラ台21の指示線(図3)を合わせることにより、各監視カメラP1,P2の視野内に対応トンボマークM1,M2を照準できる。各監視カメラP1,P2からのトンボマークM1,M2の長さ方向偏差情報及び幅方向偏差情報は、図14の制御装置cpuのメモリに記憶されると共に、長さ方向偏差情報からメディア傾け台30の傾け指令信号が算定され、後述する傾けモータ31(図14示)が駆動される。
【0015】
なお、図示実施例では、カメラ台21を手動操作するものを示すが、カメラ台21をステッピングモータ駆動とし、透明スケールS1で読取ったトンボマークM1,M2の位置情報を入力キー98(図14)から入力し、同入力信号に対応した値だけカメラ台21をステッピングモータで移動させ、対応トンボマークM1,M2の位置に監視カメラP1,P2を照準させる構成とすることもできる。
【0016】
前記テーブルTのメディアシート取入端部には、取り扱われるメディアシートSを一時的にクランプしてメディアシートSの傾きを調整するメディア傾け台30が配置される。
詳細を図5及び図6に示すメディア傾け台30は、メディアシートSの幅方向中央の中心軸32を中心として水平面内で傾動できるもので、その上面には両端部の押上げばね33で上方に付勢されたクランプ板34を備えている。即ち、このクランプ板34は、図5に示す手動操作可能なクランプレバー35の矢印方向の回動により上下動部材36及びプッシャ37により強制下降され、供給されたメディアシートSをメディア傾け台30の表面に押付けクランプする。
【0017】
また、前記メディア傾け台30の一端部には正逆転可能な傾けモータ31(図6)が臨ませてあり、この傾けモータ31の送りねじ39で往復動されるナット固定板41上に一対の主動板41a,42bが起立される。そして、これらの主動板41a,42b間に位置されるベアリング43はメディア傾け台30の端面に片持ち状態で固定される保持部材44の軸45に回転可能に支持される。
したがって、傾けモータ31が制御装置cpuの指令によりトンボマークM1,M2の長さ方向偏差情報に見合った回転数だけ回転されると、メディアシートSをクランプしたまま、メディア傾け台30は中心軸32を中心として傾動され、テーブルTに対するメディアシートSの画像の傾きが修正される。
【0018】
図2に戻って、前記テーブルTに対しては案内レール5の略直下に位置した天地カッターCが配置され、テーブルTの幅方向に延長する天地カッターCにより傾き状態を揃えられたトンボマークM1,M2の位置が同天地カッターCで切断される。この天地カッターCは、入力キー7から予め入力されるメディアシートSの長さ方向トンボマークM1,M2間距離に対応したタイミングで動作され、後端トンボマークM1,M2位置でメディアシートSを切断する。
【0019】
前記天地カッターCの直後のテーブルTにはトンボマークM1,M2の位置から切断されたメディアシートSを引取る2次フィードローラF2が配置され、これらの2次フィードローラF2の回転送り運動により平面状態を保ったまま、メディアシートSは後続のスリッター・ユニットU1,U2に送込まれる。
【0020】
メディアシートSの幅方向に隣り合って1対だけ設けられる同スリッター・ユニットU1,U2は、図11に示すように、移動送りネジ52A,52Bに沿って幅方向に移動できるユニットフレーム53を備え、同ユニットフレーム53には、スライド兼回転軸71により回転駆動される回転カッター54及び支持軸57で支持されて同回転カッター54の表面に押圧ばね56で圧接される回転刃58が内蔵される。
即ち、図8に示すように、前記スライド兼回転軸71に対しては、スライド兼回転軸71からの回転運動のみを伝達する一方向クラッチ72を介して送りローラ73がスライド兼回転軸71の長さ方向に移動可能に支持され、この送りローラ73の側面に回転カッター54が固定される。
【0021】
前記各スリッター・ユニットU1,U2のユニットフレーム53には裁断後のメディアシートSの画像部及び余白部をそれぞれ案内する第1ガイド板68及び第2ガイド板69が前記回転カッター54及び回転刃58の両側に位置した状態で固定される。
図9に拡大して示された第1ガイド板68は、前記回転カッター54の直上に略水平方向に延長した状態にあり、その先端部68aは上方に向かって角度をもって折り曲げられ、その後端部68bは下方に折り曲げてある。したがって、2次フィードローラF2で送られるメディアシートSの画像部は、回転刃58から離れるように第1ガイド板68の下面に沿い矢印方向に指向され、スリッター・ユニットU1,U2から排出されることになる。
【0022】
また、図10に拡大して示された第2ガイド板69は、前記回転刃58の直下で略水平方向に延長した状態にあり、その先端部69aは下方に向かって角度をもって折り曲げられ、その後端部69bは上方に折り曲げてある。したがって、2次フィードローラF2で送られるメディアシートSの左右余白部は、回転カッター54から離れるように第2ガイド板69の下面に沿い矢印方向に指向される。
したがって、第1ガイド板68及び第2ガイド板69の存在により、裁断後のメディアシートSの左右余白部と画像部は、互いに離間するように上下に分離されるので、互いに干渉することなくスリッター・ユニットU1,U2から排出されることになる。
【0023】
図11から図13は一対のスリッター・ユニットU1,U2を駆動制御する駆動部を示し、両スリッター・ユニットU1,U2のユニットフレーム53はユニット送りモータ63の駆動ギヤ78により駆動される。即ち、図11に示すように、両スリッター・ユニットU1,U2のユニットフレーム53には移動送りネジ52A,52Bにねじ合せされた送りナット74がそれぞれ固定され、これらの移動送りネジ52A,52Bの軸端には第1電磁クラッチ75及び第2電磁クラッチ77がそれぞれ設けられ、これらの第1電磁クラッチ75及び/または第2電磁クラッチ77の励磁時のみユニット送りモータ63の回転運動が移動送りネジ52A,52Bに伝達される。
【0024】
図13に示すように、ユニット送りモータ63の駆動ギヤ78は2系統の中継ギヤ81,82にそれぞれ噛み合わされ、これらの中継ギヤ81,82が第1電磁クラッチ75及び第2電磁クラッチ77の従動ギヤ83,84にそれぞれ噛み合わされるため、第1電磁クラッチ75及び/または第2電磁クラッチ77の励磁時に対応移動送りネジ52A,52Bにユニット送りモータ63からの回転運動が伝達される。
【0025】
次に、図14に示した制御部のブロックダイヤグラムについて、前述したスリッターの動作を説明する。
シングルモード
オペレータがシングルモードを選択した場合、フィードローラF1の上ローラ1bが解除レバー2で持上げられ、メディアシートSは、メディア傾け台30のクランプ板34の下とフィードローラF1の上ローラ1bの下との間に形成される空間を通ってテーブルT上に導入される。この場合、オペレータは、入力キー98から既知の幅方向トンボマークM1,M2間距離を入力するが、このトンボマークM1,M2間距離は制御装置cpuのメモリに記憶される。
【0026】
このメディアシートSの導入に際して、図4に示すように、オペレータはメディアシートSの画像面に印字されたトンボマークM1,M2を透明スケールS1の目盛の位置に合わせ、解除レバー2を手動操作して上ローラ1bを下降させ、つまみ21aを摘んでカメラ台21を幅方向に移動させ、カメラ台21の指示線をカメラスケールS2の対応目盛に合わせる(ステップS1)。
【0027】
次に、スタートボタン(図示せず)を押圧すると、シート送りモータ1が予め定めた回転数だけ駆動され、メディアシートSのトンボマークM1,M2が対応する監視カメラP1,P2の視野内に位置される。この場合、第1シートセンサ4によりメディアシートSの存在が確認され、メディアシートSがない場合はアラーム信号が発信される(ステップS2)。
この後、制御装置cpuに第1監視カメラP1及び第2監視カメラP2からのトンボマークM1,M2の認識信号が入力されるが、同認識信号が異常な値であったり、認識されない場合は、アラーム信号が発信され、メディアシートSのセット異常か、第1監視カメラP1及び/又は第2監視カメラP2の位置決め異常があることが告知される(ステップS3)。
【0028】
第1監視カメラP1及び第2監視カメラP2からのトンボマークM1,M2の認識信号の内、トンボマークM1,M2の長さ方向の位置偏差がある場合、制御装置cpuは「傾きあり」と判定する。表示ランプが点灯し、読み取り完了を発信する(ステップS4)。解除レバー2の操作でフィードローラF1の上ローラ1bが持上げられ、メディア傾け台30にメディアシートSが一時的にクランプされると同時的に同メディアシートSがフィードローラF1から自由になる(ステップS5)。
【0029】
これらのクランプレバー35及び解除レバー2の手動操作の後、「傾き調整」スタートボタン(図示せず)がオペレータにより押圧され、「傾き調整」が指示されると、傾けモータ31が駆動され、メディア傾け台30が中心軸32を中心として水平面内で傾動される(ステップS6)。
このステップS6の後、ステップS2へ戻り、メディア傾け台30の傾動運動は、第1監視カメラP1及び第2監視カメラP2からのトンボマークM1,M2の長さ方向位置偏差がなくなるまで続行されるが、トンボマークM1,M2の長さ方向位置偏差がなくなると、このことがブザーの鳴動等の告知手段により、オペレータに告知される(ステップS7)。
【0030】
この後、オペレータにより解除レバー2が戻され、画像の傾きを修正された状態でメディアシートSがフィードローラF1に挟持され、メディア傾け台30のクランクレバー35の手動操作によりクランプ板34が上昇されてメディア傾け台30に対するメディアシートSのクランプ状態が解消される(ステップS8)。
【0031】
これらの手動操作の後、入力キー98から準備状態が完了したことを入力すると、オペレータにより入力されたトンボマークM1,M2の位置情報と監視カメラP1,P2で検出した幅方向の位置情報から各スリッター・ユニットU1,U2の位置が割り出され、この指令信号に基づいて第1電磁クラッチ75及び第2電磁クラッチ77が励磁される。
この後、ユニット送りモータ63が駆動され、移動送りネジ52A,52Bを介して各スリッター・ユニットU1,U2がメディアシートSの幅方向へ移動開始する。各スリッター・ユニットU1,U2の回転カッター54の位置が対応するトンボマークM1,M2に厳密に対応した位置に到達すると、制御装置cpuの指令により第1電磁クラッチ75及び第2電磁クラッチ77が別々に消磁される(ステップS9)。
【0032】
各スリッター・ユニットU1,U2の幅方向への移動・停止の後、シート送りモータ1によりフィードローラF1が一定時間だけ駆動されるが、フィードローラF1はトンボマークM1,M2が天地カッターCに一致したとき、停止される。そして、メディアシートSの停止後にカッターモータ69が動作され、天地カッターCによりメディアシートSはトンボマークM1,M2の位置から切断され、トンボマークM1,M2の先端部が切落とされる(ステップS10)。
【0033】
次に、2次フィードローラF2位置の第2シートセンサ99によるメディアシートSの感知で、シート送りモータ1及びフィードモータ65によりフィードローラF1及び2次フィードローラF2が回転駆動され、制御装置cpuの指令により回転刃モータ67が回転され、メディアシートSの幅方向両側の余白部分が切除される(ステップS11)。
この場合、第1ガイド板68及び第2ガイド板69の存在により、裁断後のメディアシートSの左右余白部と画像部は、互いに離間するように上下に分離されるので、互いに干渉することなくスリッター・ユニットU1,U2から排出される。
【0034】
続いて、フィードローラF1及び2次フィードローラF2の回転駆動により、予め入力されたトンボマークM1,M2のメディアシートSの長さ方向距離分だけメディアシートSが送られると、フィードローラF1及び2次フィードローラF2が停止される。フィードローラF1及び2次フィードローラF2の停止後、再びカッターモータ69が動作され、天地カッターCによりメディアシートSは後端トンボマークM1,M2の位置から切断され、所定の寸法にメディアシートSが裁断される(ステップS12)。
最後に、シート送りモータ1及びフィードモータ65によりフィードローラF1及び2次フィードローラF2が再び回転駆動され、メディアシートSの残りの部分が機外に排出される(ステップS13)。
【0035】
リピートモード
同一仕様の複数枚のメディアシートSを処理する場合、オペレータによりリピートモードが選択されると、必要枚数の入力が促され、必要枚数の入力により、前述したステップS1からステップS13までの動作が繰り返され、ステップS13の終了時に必要枚数を記憶するカウンタが減算され、最後のメディアシートSの処理後に手動入力されたトンボマークM1,M2の幅方向距離及び長さ方向距離の情報がクリヤされることになる。
【0036】
シリーズモード
1枚のメディアシートSに同一画像が長さ方向に連続的に印刷処理されているメディアシートSの処理の場合、オペレータによりシリーズモードが選択される。このシリーズモードでは、連続枚数を示す設定枚数の入力が促され、設定枚数の入力によりステップS12の終了時に必要枚数を記憶するカウンタが減算され、ステップS10からステップS12までの動作がくりかえされる。勿論、リピートモードの場合と同様に、最後のメディアシートSの処理後に手動入力されたトンボマークM1,M2の幅方向距離及び長さ方向距離の情報がクリヤされることになる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
前述した本発明の実施例の説明では、2つの監視カメラとこれらの監視カメラに対応する2基のスリッター・ユニットを備えるものを例示したが、メディアシートを幅方向に複数に裁断する場合には、裁断数に応じた数の監視カメラ及びスリッター・ユニットを配置してもよい。勿論、各スリッター・ユニットには、第1ガイド板68及び第2ガイド板69を備えされるれば、裁断されたメディアシートの画像部相互間や余白部の干渉を避けて、裁断仕上がりの良好な状態を得ることができる。
【0038】
また、前述した本発明の実施例では、メディア傾け台及び監視カメラを用いる例を説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、メディア傾け台及び監視カメラを廃止して制御装置から入力される手動指令により各スリッター・ユニットを移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明によるスリッターの概念図である。
【図2】同スリッターの全体断面図である。
【図3】同スリッターの要部拡大平面図である。
【図4】同スリッターの透明スケールとカメラスケールとの関係を示す平面図である。
【図5】同スリッターのメディア傾け台の要部端面図である。
【図6】同メディア傾け台の駆動部の拡大平面図である。
【図7】同メディア傾け台の駆動部の斜視図である。
【図8】スリッター・ユニット内部の幅方向拡大断面図である。
【図9】同スリッター・ユニットの図8の9−9線に沿う断面図である。
【図10】同スリッター・ユニットの図8の10−10線に沿う断面図である。
【図11】同スリッター・ユニット駆動部の全体平面図である。
【図12】同スリッター・ユニット駆動部の要部拡大平面図である。
【図13】同スリッター・ユニット駆動部の図12の13−13線に沿う断面図である。
【図14】本発明によるスリッター制御部のブロックダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0040】
C 天地カッター
F1 フィードローラ
M1,M2 トンボマーク
S メディアシート
S1 透明スケール
S2 カメラスケール
T テーブル
U1,U2 スリッター・ユニット
30 メディア傾け台
52A,52B 移動送りネジ
53 ユニットフレーム
54 回転カッター
63 ユニット送りモータ
68 第1ガイド板
69 第2ガイド板
71 スライド兼回転軸
75 第1電磁クラッチ
77 第2電磁クラッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアシートを位置するテーブルにフィードローラを付設してメディアシートを長さ方向に送り、メディアシートの幅方向に隣合う複数の回転カッターを同テーブルの送り方向一側に設け、これらの回転カッターによりメディアシートを長さ方向に裁断するスリッターにおいて、メディアシートの幅方向に独立して移動できように装置固定部に支持されかつ前記回転カッターをそれぞれ内蔵する複数のスリッター・ユニットと、これらのスリッター・ユニットを幅方向に独立的に送るスリッター・ユニット駆動部と、同スリッター・ユニット駆動部にメディアシートの幅方向停止位置を指示する制御装置とを設けたことを特徴とするスリッター。
【請求項2】
前記各スリッター・ユニットは幅方向の移動送りネジに幅方向に移動可能に支持され、スリッター・ユニット駆動部はひとつのユニット送りモータ及び同ユニット送りモータから各移動送りネジに分岐される動力伝達系統に組み込まれた複数の電磁クラッチを有することを特徴とする請求項1記載のスリッター。
【請求項3】
前記各スリッター・ユニットは各ユニットフレームに固定される第1ガイド板及び第2ガイド板を備え、メディアシートの裁断片はこれらの第1ガイド板及び第2ガイド板により上下に異なった向きに指向されることを特徴とする請求項1及び請求項2の何れかひとつに記載のスリッター。
【請求項4】
前記スリッターは、解除可能なフィードローラを付設したテーブル上に、メディアシートの幅方向の裁断マーク位置を視認できる透明スケールを設け、前記メディアシートの幅方向に移動可能に前記テーブル上に設けられて同幅方向の裁断マーク対応位置に位置される少なくとも2つのマーク位置検出器を配置し、前記テーブルのメデイアシート取入側に、前記フィードローラの解除時に一時的にメディアシートをクランプしてメディアシートの傾きを調整するメディア傾け台を設けた請求項1から請求項3に記載のスリッター。
【請求項1】
メディアシートを位置するテーブルにフィードローラを付設してメディアシートを長さ方向に送り、メディアシートの幅方向に隣合う複数の回転カッターを同テーブルの送り方向一側に設け、これらの回転カッターによりメディアシートを長さ方向に裁断するスリッターにおいて、メディアシートの幅方向に独立して移動できように装置固定部に支持されかつ前記回転カッターをそれぞれ内蔵する複数のスリッター・ユニットと、これらのスリッター・ユニットを幅方向に独立的に送るスリッター・ユニット駆動部と、同スリッター・ユニット駆動部にメディアシートの幅方向停止位置を指示する制御装置とを設けたことを特徴とするスリッター。
【請求項2】
前記各スリッター・ユニットは幅方向の移動送りネジに幅方向に移動可能に支持され、スリッター・ユニット駆動部はひとつのユニット送りモータ及び同ユニット送りモータから各移動送りネジに分岐される動力伝達系統に組み込まれた複数の電磁クラッチを有することを特徴とする請求項1記載のスリッター。
【請求項3】
前記各スリッター・ユニットは各ユニットフレームに固定される第1ガイド板及び第2ガイド板を備え、メディアシートの裁断片はこれらの第1ガイド板及び第2ガイド板により上下に異なった向きに指向されることを特徴とする請求項1及び請求項2の何れかひとつに記載のスリッター。
【請求項4】
前記スリッターは、解除可能なフィードローラを付設したテーブル上に、メディアシートの幅方向の裁断マーク位置を視認できる透明スケールを設け、前記メディアシートの幅方向に移動可能に前記テーブル上に設けられて同幅方向の裁断マーク対応位置に位置される少なくとも2つのマーク位置検出器を配置し、前記テーブルのメデイアシート取入側に、前記フィードローラの解除時に一時的にメディアシートをクランプしてメディアシートの傾きを調整するメディア傾け台を設けた請求項1から請求項3に記載のスリッター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−105156(P2008−105156A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291999(P2006−291999)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】
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