説明

ズームストロボおよびズームストロボ内蔵カメラ

【目的】近距離撮影時に適性露光ができるズームストロボおよびズームストロボを内蔵したカメラを提供すること。
【構成】ズームレンズ70の現焦点距離および現撮影距離を入力して、該入力した現焦点距離に応じてストロボズームモータ67により発光部61を移動させて照射角を制御するストロボCPU51を備え、ストロボCPU51は、入力した現撮影距離が所定値よりも小さいときには、現焦点距離に対応する照射角よりも広角側に発光部61を移動すること。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撮影レンズの焦点距離に応じて照射角を変更するズームストロボおよびズームストロボを内蔵したカメラに関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】撮影レンズの焦点距離、つまり画角に応じて照射角を変更するズームストロボが知られている。ストロボ装置の発光管は、撮影レンズの光軸から離れた位置にあるため、被写体がカメラに近い場合、ストロボ光の照射範囲が撮影レンズによる撮影範囲と一致せず、被写体にストロボ光が照射されない場合がある。
【0003】一方、ストロボの発光制御に関して、いわゆるTTL自動調光方式(以下「TTL方式」という)を採用しているものでは、ストロボ発光後、撮影レンズを通して入射光量(フィルムの受光光量)を測定し、その受光光量が所定値に達した際にストロボの発光を停止させている。このTTL方式の制御は、撮影距離が比較的遠いときには、反射光量が比較的少ないので、発光後に受光量を測定し、受光量が所定値に達してから発光を停止するのに十分な時間があるので、適性露光が可能になる。しかしながら、マクロ撮影時など撮影距離が非常に近いときには、反射光量が非常に多くなるので、受光量が短時間で所定値に達してしまい、発光停止制御が遅れて露光オーバーになることがある。
【0004】
【発明の目的】本発明は、上記従来のズームストロボを使用したストロボ撮影における問題に鑑みてなされたもので、近距離撮影時に適性露光ができるズームストロボおよびズームストロボを内蔵したカメラを提供することを目的とする。
【0005】
【発明の概要】本発明は、照射角可変装置を備えたズームストロボにおいて、撮影レンズの焦点距離情報および撮影距離情報を入力する情報入力手段および該情報入力手段が入力した焦点距離に応じて上記照射角変更装置を駆動する照射角制御手段を備え、上記照射角制御手段が、上記情報入力手段が入力した撮影距離が所定値よりも小さいときには、上記焦点距離に対応する照射角よりも広角側に照射角変更装置を駆動すること、に特徴を有する。
【0006】また、請求項3に記載の発明は、ズームストロボ内蔵カメラにおいて、撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出手段と、該焦点距離検出手段が検出した焦点距離に応じて上記照射角変更装置を駆動する照射角制御手段と、撮影レンズの撮影距離を検出する撮影距離検出手段とを備え、上記照射角制御手段が、上記撮影距離検出手段が検出した撮影距離が所定値よりも小さいときには、上記照射角変更装置を広角側に駆動すること、に特徴を有する。
【0007】
【実施例】以下図示実施例に基づいて本発明を説明する。図1は、本発明を適用したストロボ内蔵AF一眼レフカメラの制御回路の実施例を示すブロック図、図2は、本発明を適用したストロボ装置の制御回路の実施例を示すブロック図である。
【0008】カメラボディ10は、ストロボ制御、AF制御、露出制御などのカメラの撮影動作に関する全般的な処理を実行するCPU11と、ストロボ発光モード、撮影条件等の設定、表示制御、および撮影レンズ70との間で所定の通信を行なうIPU13と、AF用CCDセンサ16、測光用IC17のインターフェース等として機能するDPU15を備えている。メインCPU11、IPU13およびDPU15は、相互にバスラインで接続されていて、バスラインを介して相互に所定のデータの授受を行なう。
【0009】メインCPU11は、DPU13およびIPU15ならびに本カメラのシステム全体を統括的に制御するマイコンである。メインCPU11に接続されたE2PROM12には、撮影に関する各種データがメモリされていて、これらのデータは、適時にメインCPU11により読出されて利用される。
【0010】DPU13は、主に、CCD測距センサ16および測光IC(センサ)17から出力される測距信号および測光信号をメインCPU11に出力するインターフェースとしての機能と、内蔵ストロボ19の発光を制御するストロボ制御機能とを担っている。
【0011】IPU15は、ストロボ発光モード、露出モード、撮影枚数、シャッタ速度および絞り値などの撮影情報をLCDパネル21に表示させる表示制御機能を担っている。ストロボ発光モードとしては、先幕/後幕シンクロ発光モード等を備えている。これらの発光モードは、図示しないが、IPU15に接続されたモードスイッチ等の操作により択一して選択される。CPU11、DPU13およびIPU15に接続された内蔵ストロボ回路19は、詳細は図示しないが、発光管、充電回路、発光制御回路等を備えていて、充電制御はIPU15、発光タイミング制御はCPU11、自動調光制御はDPU13によりそれぞれ行なわれる。
【0012】メインCPU11には、スイッチ類として、測光スイッチSWSおよびレリーズスイッチSWR、および各種検出スイッチ等のスイッチ群としてのスイッチ回路23が接続されている。測光スイッチSWSおよびレリーズスイッチSWRは、周知の通りレリーズボタン(図示せず)に連動していて、レリーズボタンの半押しで測光スイッチSWSがオンし、同全押しでレリーズスイッチSWRがオンする。スイッチ回路23においては、図示しないが、メカチャージ完了検出スイッチ、フィルム巻上げ完了検出スイッチ、シャッタ後幕走行完了検出スイッチ等が設けられており、これらのスイッチはカメラの各種機構の動作完了時にオンする構成となっている。これらのスイッチの状態はCPU11に入力され、CPU11がこれらのスイッチ状態に基づいて各種動作制御を行なう。
【0013】また、このカメラボディ10は、自動焦点調節用のAFモータ25、フィルムの巻上げ、巻戻しを実行するワインドモータ29、およびメカチャージモータ31の3個のモータを有する。AFモータ25はモータドライバ27を介して、メカチャージモータ31およびワインドモータ29はモータドライバ33を介してそれぞれメインCPU11により駆動制御される。メカチャージモータ31は、シャッタの先幕および後幕をそれぞれ走行させるばね力に抗して待機位置まで移動(チャージ)し、絞りを絞り込ませる絞りレバーをばね力に抗して開放位置まで移動(チャージ)し、さらにミラーをばね力に抗して観察位置までダウン(チャージ)させる。上記各部材は、それぞれチャージ完了位置で機械的係止手段(図示せず)によって係止されている。
【0014】さらにメインCPU11には、マグネット類として、レリーズマグネット35、先幕シャッタ(第1)マグネット37、後幕シャッタ(第2)マグネット39およびEEマグネット41が、それぞれマグネットドライバを介して接続されている。レリーズマグネット35は、通電時に、上記チャージされた部材の機械的係止を解除する。一方先幕マグネット37および後幕マグネット39は、通電されているときに、上記レリーズマグネット35への通電により解除された先幕および後幕を機械的係止に代わって電磁的に係止し、通電が停止されたときにそれらの走行を許容してシャッタの制御を行なう。
【0015】またメインCPU11には、絞り込み機構(図示せず)に連動してEEパルスを発生するEEパルサーを備えたEE回路43が接続されている。CPU11は、ミラーアップ動作に連動して作動する絞り込み機構に連動するEE回路43からEEパルスが出力される毎にEEパルスをカウントして、その値があらかじめ算出した所定値と一致した時にEEマグネット41に通電して絞り込み機構をロックし、絞り込みを停止させる。
【0016】DPU13には、前述の通り位相差検出方式の測距センサ16および被写体輝度を検出するための測光IC17が接続されている。測距センサ16には、多数の画素が列上に配設されたCCDイメージセンサが使用されている。測距センサ16(のCCDイメージセンサ)から順に出力される各画素信号は、DPU13において、メインCPU11で処理できる画素データに変換処理されてから、メインCPU11に出力される。メインCPU11は、DPU13からの画素データに基づいて所定の演算を実行してデフォーカス量を算出し、算出したデフォーカス量に基づいてAFモータ25を駆動する。
【0017】測光IC17は、図示しないが測光用受光素子および対数圧縮回路を備えていて、被写体光束を受光した測光用受光素子の出力信号を対数圧縮回路により対数圧縮してDPU13に出力する。DPU13は、この測光データを所定の被写体輝度データに変換してメインCPU11に出力する。メインCPU11は、この被写体輝度データをA/D変換し、その被写体輝度Bv データ、及びフィルム感度情報などを基に、シャッタ速度および絞り値(EEパルス数)を算出する。
【0018】ストロボの発光制御に関する構成は、次のとおりである。メインCPU11は、内蔵ストロボを発光させるトリガ信号を内蔵ストロボ回路19に出力し、カメラに設けられた発光管(図示せず)の発光が行なわれる。DPU13は、発光前には、内蔵ストロボ回路19から発光準備完了信号を受ける。なお、発光準備完了信号は、DPU13からCPU11を経由してIPU15にも送られ、LCDパネル21に所定の表示がなされる。
【0019】DPU13は、撮影レンズを透過してフィルム面に到達する被写体からの反射光量を積分する積分回路(図示せず)を備えていて、ストロボ発光後、この積分回路の積分値が所定値と一致した場合に、内蔵ストロボ19の発光管の発光を停止させるクエンチ信号を内蔵ストロボ回路19に出力する。なお、本実施例においては、シャッタ先幕の走行完了から光量積分を行なう構成としている。また、メインCPU11は、DPU13のクエンチ信号出力をモニタしており、DPU13からのクエンチ信号を外部ストロボ装置の自動調光制御にも利用するようになっている。
【0020】IPU15は、ストロボ発光モード、調光発光などの撮影情報をLCD21に表示させる。IPU15はメインCPU11との間で、ストロボ発光モード、撮影モード、撮影枚数、合焦状態、シャッタ速度および絞り値などの撮影情報を授受する。IPU15は、メインCPU11から発光準備信号を受け取ると、内蔵ストロボ回路19にチャージを開始させる。
【0021】また、メインCPU11は、外付けズームストロボ50に搭載されたストロボCPU51との間で、アクセサリーシュー(図示せず)の所定の接点を介して、充電完了データ、後幕・先幕同調データまたはスレーブ同調データ、オート/マニュアル調光データ、TTL測光モードなどの所定のデータの通信を実行する。IPC15は、撮影レンズ70のレンズCPU71との間で、焦点距離f、使用可能な絞り値の範囲等の情報を相互に授受するとともに、各種演算、制御に必要な情報をメインCPU11との間でも授受する。
【0022】次に、外付けズームストロボ50の回路構成の実施例について、図2を参照して説明する。この外付けズームストロボ50は、高度な発光制御を可能にするストロボCPU51と、カメラボディ10のリモコン通信回路45との間で通信を実行するリモコン通信回路53を備えている。ストロボCPU51は、この外付けズームストロボ50がカメラボディ10のアクセサリーシューに装着されたときには、アクセサリーシューの接点群を介してメインCPU11と直接通信を実行し、同装着されていないときには、リモコン通信回路45、53を介して通信を実行する。リモコン通信回路45、53間の信号伝達媒体としては、導線、光ファイバー、または電磁波、赤外線がある。
【0023】ストロボCPU51に接続されたスレーブ受信回路55は、他のストロボ光を受光する受光素子を備え、受光素子がストロボ光を受光したら、受光信号をストロボCPU51に出力する。ストロボCPU51は、この受光信号を入力すると、発光モードに応じて、発光処理を行なう。
【0024】この外付けズームストロボ50は、従来のストロボと同様に、バッテリを備えた電源回路57、昇圧回路59、メインコンデンサC、発光(クセノン)管61a、リフレクタ61bを含む発光部61および発光制御回路63を備えている。発光モード、調光モード、ストロボズームモード、焦点距離または対応する照射角等は、外付けズームストロボ50の本体外面に設けられたLCDパネル69に表示される。
【0025】発光部61は、集光レンズ61cに対して接離移動可能に形成され、この接離移動により照射角を変更(ストロボズーミング)する。ストロボCPU51は、情報入力手段および照射角制御手段としての機能を有し、カメラ10から入力した焦点距離情報、撮影距離情報に基づいて、モータ駆動回路65を介して上記ズームモータ67を駆動し、所定のズーミングを行なう。また、発光部61の位置(照射角)は、図示しないが位置検出部材を介してストロボCPU51が検出する。照射角可変装置としては、ほかに公知の機構を採用することができる。例えば、リフレクタの開角度を変えるもの、集光レンズの方を移動するものなど公知の機構を適用できる。
【0026】図3には、ズームレンズ70のより詳細な構成を示してある。このズームレンズ70は、ズームモータを備えたパワーズームレンズであり、図示しないが、フォーカシングレンズ群およびズーミングレンズ群を含むズーム光学系を有している。
【0027】フォーカシングレンズ群は、AF機構75により駆動される。このAF機構75には、AFジョイント77a、77bを介してAFモータ25の駆動力が伝達される。ズーミングレンズ群はPZ(パワーズーム)機構85により駆動されるが、PZ機構85は、レンズCPU71によりモータドライブIC81を介して制御されるズームモータ83により駆動される。ズーミングレンズ群およびフォーカシングレンズ群の絶対位置、つまり焦点距離および撮影距離(合焦被写体距離)はそれぞれ、公知の構成からなる、ズームコード板89および距離コード板91により検出される。ズーム操作スイッチ93は、テレ方向、ワイド方向にそれぞれ所定のズーミングスピードでパワーズームさせるための操作スイッチである。
【0028】レンズCPU71は、インターフェース72およびカメラボディのIPU15を介してメインCPU11と接続され、メインCPU11との間で双方向通信により所定のデータ通信を実行する。レンズCPU71からメインCPU11に伝達されるデータは、開放絞り値、最大絞り値、ズームコード板89により検出した現焦点距離および距離コード板91により検出した現撮影距離である。
【0029】以上のカメラボディ10、ズームレンズ70および外付けズームストロボ50を使用してのストロボ撮影処理について、さらに図4〜図7を参照して説明する。先ず、撮影時のカメラボディ10における処理について、図4に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。この処理は、メインCPU11によって実行される。図示していないメインスイッチがオンされてメインCPU11等に電力供給が開始されると、メインCPU11は、このフローチャートを実行する。
【0030】このフローチャート入ると、最初にステップ(以下「S」)101において、ハード面のイニシャライズおよびソフト面のイニシャライズを実行する。次に、AF処理と測光演算処理等を交互に実行するための100ms タイマーをスタートさせ、レリーズスイッチSWRの状態を定期的にチェックするための4msタイマーをスタートさせる(S103、S105)。なお、これらのタイマーは、ハードタイマーである。
【0031】これらのタイマーをスタートさせたら、自動焦点調節モード(AF)かどうかをチェックし、AFでなければS117にジャンプする(S107、S117)。AFのときには、測光スイッチSWSがオンしていることを条件に、測距センサ16のCCD積分が終了したかどうかをチェックし、積分が終了していれば、積分データをDPU13から入力し、所定のAF演算を実行し、その演算結果に基づいてAFモータ25を駆動してS117に進み、CCD積分が終了していなければそのままS117に進む(S107、S109、S111、S113、S115、S117、またはS107、S109、S111、S117)。
【0032】S117では4msタイマーがカウントアップしているかどうかをチェックし、カウントアップしていれば4msタイマーをリセットしてレリーズスイッチSWRのチェックを行なう(S117、S119)。ここで、レリーズスイッチSWRがオンしていれば、レリーズ処理を実行する(S121〜S123)。そして、ワインド処理を実行してS103に戻る(S121〜S125)。
【0033】このレリーズ処理の詳細は公知の処理であるから詳細は説明しないが、メインCPU11は、ミラーアップ、絞り込みおよびシャッタ幕を走行させるが、先幕同調のときには、先幕の走行が完了したときに発光トリガ信号を外付けズームストロボ50に出力して外付けズームストロボ50を発光させる。また、TTL調光のときには、DPU13が、シャッタ先幕開放後に測光用IC17によりズームレンズ50を介して受光した被写体光量を測定する。そして、その受光量が所定の適量に達したら、DPU13から発光停止信号を外付けズームストロボ50に出力して発光を停止させる。
【0034】4msタイマーがカウントアップしていないとき、またはカウントアップしていてもレリーズスイッチSWRがオンされていないときには、S127に進む(S117、S127またはS117〜S121、S127)。
【0035】S127では、100ms タイマーがカウントアップしたかどうかをチェックし、カウントアップしていなければS107に戻る。100ms タイマーがカウントアップしていれば、100ms タイマーをリセットする(S117、S127、S129)。そして、IPU15からストロボ発光モード、露出モード情報、およびシャッタ速度、絞り値がマニュアル設定されていればそれらの情報を入力し、外付けズームストロボ50からは充電完了データ、先幕・後幕同調データ、オート/マニュアル調光データ、TTL調光データなどのデータを入力し、ズームレンズ70(レンズCPU71)からは現焦点距離データ、現撮影距離データ、制御可能な絞り値データなどを入力する(S131)。
【0036】次に、DPU13からは、測光用IC17が検知した測光データ(被写体輝度Bv )を入力してA/D 変換し、この被写体輝度Bv およびフィルム感度Sv データ等に基づいてシャッタ速度、絞り値などを算出する(S133、S135)。そして、これらのデータをIPU15に出力し、カメラ側で設定されているストロボ情報として、焦点距離、撮影距離、後幕・先幕同調モード、絞り値、カメラの露出モード等のデータを外付けズームストロボ50に出力し、さらにズームレンズ70に所定のデータを出力してS107に戻る(S135、S137)。上記S103〜S137の処理は、メインスイッチがオンされている間、繰り返される。
【0037】次に、外付けズームストロボ50のストロボズーム動作および発光動作について、図5ないし図7に示したフローチャートを参照して説明する。この動作は、外付けズームストロボ50に搭載されたストロボCPU51によって実行される。なお、この外付けズームストロボ50は、カメラボディ10のアクセサリーシューに装着されているものとする。
【0038】外付けズームストロボ50の電源がオンされたときに、ストロボCPU51はこのメインルーチンを実行する。先ず、各ポートのレベルなどのハード面のイニシャライズおよびソフト面のイニシャライズを実行し、5分タイマーを起動する(S301、S303)。この5分タイマーは、電源が投入されてから5分間何らの動作がなかったときに、節電のために電源を落すためのタイマーである。
【0039】次に、電源回路57、昇圧回路59をオンしてメインコンデンサCへの充電を開始し、各スイッチ状態を入力する(S305、S307、S307)。これらのスイッチは、TTL/マニュアル調光等の調光モード、オート/マニュアルズーミング等を切替える切替えスイッチ等である。ストロボCPU51は、これらのスイッチ状態に応じたモード等を選択する。
【0040】そして、カメラから通信があったかどうかをチェックし、通信がなくかつ5分タイマーがタイムアップしていないときにはS305に戻り、通信がなくかつ5分タイマーがタイムアップしていれば、電源を落として処理を終了する(S309、S311、S305またはS309、S311、S313)。カメラとの通信は、S131、S137における通信であり、メインCPU11により100ms毎に実行される。
【0041】5分以内にカメラから通信があれば、5分タイマーをリセットして、カメラとの通信モードをチェックする(S317、S325)。通信モード1は、カメラからストロボへの通信で、通信モード2はストロボからカメラへの通信である。通信モード1による通信では、カメラから所定のデータ(焦点距離f、ズームモード、発光モード、調光モードなど)を入力する(S319)。次に、入力したカメラデータに基づいて、ズームモードのときには撮影レンズの焦点距離f(画角)に対応する照射角を演算し、その演算結果に基づいて発光部をズーミングする(S321、S323)。ズーミングモードでなかったときには、何もしない。そして、対応焦点距離f等を外部LCDパネル69に表示してS305にリターンする。
【0042】次に、S305〜S309、S315、S317、S325を経て、S327の通信モード2の処理を実行する。S327では、充電完了データ、後幕・先幕同調データまたはスレーブ同調データ、オート/マニュアル調光データ、TTL測光かどうかなどのデータをカメラに対して出力する。そして、外部LCDパネル69に所定の表示を行なってS305に戻る。
【0043】通信モードがモード1、モード2のいずれでもない場合は、S305〜S309、S315、S317、S325を経てS331に進む。S331では、発光動作の準備を行なう。そして、発光トリガ信号が入ったかどうかをチェックする(S333)。発光トリガ信号が入らなかったときには、カメラから通信があったかどうかをチェックし、通信があったときにはS315に戻り(S335、S315)、通信はないが5分タイマーがタイムアップしていないときにはS333に戻り(S335、S337、S333)、通信がなくかつ5分タイマーがタイムアップしているときには、電源を落として処理を終了する(S335、S337、S339)。
【0044】発光トリガ信号が入ったときには、発光制御回路63に発光トリガ信号を出力して発光管61aを発光させる(S333、S341)。ここで、カメラ側のメインCPU11は、ストロボ側の発光処理に対して、前述のように、DPU13からクエンチ信号が出力されたことを検出した場合、外部ストロボ装置50へ発光停止信号を出力する。この発光停止信号を入力するとストロボCPU51は、発光制御回路63に発光停止、すなわち調光を行なわせ、その旨をLCDパネル69に表示させる調光bit を“1”に設定するが、上記調光がない場合は、調光bit を“0”に設定し、LCDパネル69に所定の表示をしてからS305に戻る(S343、S345、S329またはS343、S347、S329)。
【0045】次に、S323におけるストロボズーム処理について、図7に示したサブルーチンを参照して説明する。先ず、ボディ10から入力したパワーズームレンズ50の現焦点距離情報を読み出して、この焦点距離に対応するズーム位置データをセットする(S401、S403)。そして、ボディ10から入力したパワーズームレンズの現撮影距離情報を読み出して、この撮影距離が規定値よりも小さいかどうかをチェックする(S405、S407)。規定値よりも大きければ、S403でセットしたズーム位置まで発光管61を移動してリターンする(S407。S411)。
【0046】規定値よりも小さければ、照射角を広げるべく、S403でセットしたズーム位置データを、広角側に修正する(S407、S409)。そして、この広角側に修正したズーム位置データに基づいて、移動発光部61を駆動してリターンする(S411)。この処理により照射角が広がり、近接撮影における撮影範囲をカバーできる。
【0047】以上の通り、カメラボディ10、ズームレンズ70および外付けズームストロボ50を使用してストロボ撮影をすると、通常の撮影距離では、ズームレンズ70の焦点距離に応じて外付けズームストロボ50がズーミングする。しかも、近距離撮影においては、焦点距離に応じた照射角よりも広くなるようにズーミングするので、撮影範囲と照射範囲とのパララックスによるストロボ光のケラレが無くなる。さらに、ストロボ光による被写体からの単位面積当たりの反射光が弱くなるので、実質的にガイドナンバーが下がり、近接撮影におけるTTL発光制御の制御幅が広がり、露光オーバーを防止することができる。
【0048】近距離撮影時における広角側へのズーミングは、もっとも広照射角になる位置まででもよく、段階的にズーミング制御しているときは一または数ステップ分のズーミングでもよく、また、距離に応じて段階的に広照射角側にズーミングする構成でもよい。また、本発明について、一眼レフカメラに着脱するズームストロボに適用した実施例について説明したが、本発明は、ズームストロボを内蔵したレンズシャッタ式カメラ、一眼レフカメラに適用することもできる。レンズシャッタ式カメラの場合には、ストロボCPU51が実行する処理は、メインCPU11に処理させる。
【0049】
【発明の効果】以上の通り本発明は、撮影レンズの焦点距離に応じてズームするズームストロボが、撮影距離が所定の規定値よりも小さいときには、焦点距離に対応する照射角よりも広角側にズーミングするので、照射範囲が広がり、撮影範囲を十分にカバーできる。さらに、被写体からの単位面積当たりのストロボ反射光が弱くなるので、近接撮影における光量制御の幅が広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一眼レフカメラの制御回路の実施例を示したブロック図である。
【図2】本発明を適用した外付けズームストロボの制御回路の実施例を示したブロック図である。
【図3】本発明を適用した一眼レフカメラに装着されるパワーズームレンズの主要部の構成を示したブロック図である。
【図4】同一眼レフカメラの主動作に関するメインルーチンを示したフローチャートである。
【図5】
【図6】外付けズームストロボの主動作に関するメインルーチンを示したフローチャートである。
【図7】同外付けズームストロボの、パワーズーム処理に関するサブルーチンを示したフローチャートである。
【符号の説明】
10 カメラボディ
11 メインCPU
13 DPU
15 IPU
19 内蔵ストロボ回路
50 外付けズームストロボ
51 ストロボCPU
61 発光部
63 発光制御回路
67 ストロボズームモータ
70 ズームレンズ
71 レンズCPU
89 ズームコード板
91 距離コード板

【特許請求の範囲】
【請求項1】 照射角可変装置を備えたズームストロボであって、撮影レンズの焦点距離情報および撮影距離情報を入力する情報入力手段と、該情報入力手段が入力した焦点距離に応じて上記照射角変更装置を駆動する照射角制御手段と、を備え、上記照射角制御手段は、上記情報入力手段が入力した撮影距離が所定値よりも小さいときには、上記焦点距離に対応する照射角よりも広角側に照射角変更装置を駆動すること、を特徴とするズームストロボ。
【請求項2】 請求項1に記載のズームストロボは、カメラのアクセサリーシューに着脱可能に形成され、上記情報入力手段は、上記アクセサリーシューに設けられた接点群を介して上記焦点距離および撮影距離を入力することを特徴とするズームストロボ。
【請求項3】 照射角可変装置を備えたストロボを内蔵したカメラであって、撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出手段と、該焦点距離検出手段が検出した焦点距離に応じて上記照射角変更装置を駆動する照射角制御手段と、撮影レンズの撮影距離を検出する撮影距離検出手段とを備え、上記照射角制御手段は、上記撮影距離検出手段が検出した撮影距離が所定値よりも小さいときには、上記照射角変更装置を広角側に駆動すること、を特徴とするズームストロボ内蔵カメラ。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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