説明

ズーム電子カメラ

【目的】 レンズ側ケーシング内にレンズ側CPUを搭載するズーム電子カメラにおいて、レンズ側CPUが誤動作の原因となる雑音(ノイズ)を受けにくい好ましい配置構造を得る。
【構成】 レンズ側ケーシングをボディ側ケーシングに回動可能に枢着する構造において、その枢着部の中空軸(筒状部)を挟んで、レンズ側CPUと、雑音の原因となるモータ等の駆動機構を有するズームレンズ関連要素とを反対側に位置させたズーム電子カメラ。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、被写体像を固体撮像素子に撮像する電子カメラに関し、特に、レンズ側ケーシングがボディ側ケーシングに対して回動可能である、ズームレンズを有するズーム電子カメラに関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】デジタルカメラ、ビデオカメラ等の電子カメラにおいて、レンズ側ケーシングをボディ側ケーシングに対して相対回動可能とし、ボディ側ケーシングを動かすことなく、撮像位置に高い自由度を与えたカメラが知られている。さらに、撮像レンズとしてズームレンズを用いたズーム電子カメラも知られている。
【0003】これらのズーム電子カメラでは、レンズ側ケーシング内の固体撮像素子からの画像信号をFPC基板を介してボディ側ケーシング内の信号処理回路に送っており、さらに、ズームレンズの制御もFPC基板を介して行なっている。しかし、従来のズーム電子カメラは、ズームレンズを制御するCPUは、ボディ側にあり、レンズ側は、このボディ側CPUからの制御信号を受けるだけであった。しかし、ズームレンズをより高度に制御するには、レンズ側ケーシング内に、レンズ側CPUを搭載して制御することが好ましい。
【0004】
【発明の目的】本発明は、レンズ側ケーシング内にレンズ側CPUを搭載するズーム電子カメラにおいて、レンズ側CPUが誤動作の原因となる雑音(ノイズ)を受けにくい好ましい配置構造を得ることを目的とする。
【0005】
【発明の概要】本発明は、レンズ側ケーシングをボディ側ケーシングに回動可能に枢着する構造では、レンズ側ケーシング内要素とボディ側ケーシング内要素とを電気的に接続するボディ−レンズ接続FPC基板を、その枢着部の中空軸(筒状部)を通過させることが一般に行なわれることから、この筒状部を挟んで、レンズ側CPUと、雑音の原因となるモータ等の駆動機構を有するズームレンズ関連要素とを反対側に位置させることにより、CPUを雑音源から離すという着眼でなされたものである。
【0006】本発明のズーム電子カメラは、少なくとも2群の可動変倍レンズ群を有するズームレンズ、上記可動変倍レンズ群を駆動するモータを含む駆動機構、上記ズームレンズによる被写体像を撮像する固体撮像素子、及び上記モータを含む駆動機構を制御するレンズ側CPUを配設したレンズ側ケーシング;及び上記固体撮像素子で撮像した画像信号の信号処理回路を有し、このレンズ側ケーシングに回動中心となる筒状部を介して相対回動可能に接続されたボディ側ケーシング;を有する構造において、上記ズームレンズ、モータを含む駆動機構及び固体撮像素子を、上記筒状部を挟んで、レンズ側CPUの反対側に配置したことを特徴としている。
【0007】『筒状部を挟んで反対側』とは、筒状部の中心を通るある直線(平面)を考えたとき、上記の要素がこの直線(平面)の互いに反対側にそれぞれ位置する関係を言う。具体的には例えば、レンズ側ケーシングの標準回動位置において、上記ズームレンズ、モータを含む駆動機構及び固体撮像素子が、上記筒状部の上方に位置し、上記レンズ側CPUが上記筒状部の下方に位置する関係である。この筒状部には、レンズ側ケーシング内電気要素とボディ側ケーシング内電気要素とを電気的に接続するボディ−レンズ接続FPC基板を挿通する。そして、この筒状部を通過させたボディ−レンズ接続FPC基板を、上記レンズ側CPU、固体撮像素子及び上記モータの駆動回路に接続する。
【0008】レンズ側ケーシング内には、レンズ内FPC基板を設け、ボディ−レンズ接続FPC基板は、このレンズ内FPC基板と、固体撮像素子を備えた基板とに、それぞれコネクタを介して接続することが組立性の上から好ましい。このとき基板のコネクタと、レンズ内FPC基板のコネクタとは、筒状部に関して、レンズ側CPUと同じ側に位置させるのがよい。つまり、固体撮像素子の基板は、筒状部に関し、ズームレンズを配設した一方の側からレンズ側CPUを配した他方の側に延長している。
【0009】
【発明の実施の形態】この実施形態のズームレンズ鏡筒は、CCDに撮像するいわゆるデジタルカメラ用である。レンズ構成は、図6、図7に示すように、固定の正の第1レンズ群L1と、可動の負の第2レンズ群L2及び正の第3レンズ群L3との3群構成である。このレンズ系は、ズーミング(変倍)は、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3を移動させて行ない、フォーカシングは、第2レンズ群L2を移動させて行なうバリフォーカルタイプであるが、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の位置制御は、カム溝によるものではない。設定焦点距離情報と被写体距離情報に基づいて、第2レンズ群L2の位置をオープン制御し、第3レンズ群L3の位置をクローズド制御するタイプである。
【0010】レンズ側ケーシング11内に位置する鏡筒ボディ10は、図5ないし図9に明らかなように、大きく前方プラスチックボディ12、後方プラスチックボディ13、及びこの前方ボディ12と後方ボディ13の間に挟着した絞ブロック14からなっている。前方ボディ12と後方ボディ13の間には、光軸と平行な方向の複数のガイドロッド15(図6、図7、図9に1本のみ図示)が固定されており、このガイドロッド15に、第2レンズ群L2を保持した2群枠16と、第3レンズ群L3を保持した3群枠17とがそれぞれ移動自在に案内されている。この3群枠17の後方には、CCD(撮像素子)18が位置し、このCCD18は、その基板20を介して後方ボディ13に固定されている。19は、水晶フィルターである。ケーシング11には、第1レンズ群L1の前方に位置するカバーガラス(平行平面板)25(図1、図2、図4)が固定されている。
【0011】2群枠16と3群枠17にはそれぞれ、上方に突出する2群ピン16aと3群ピン17aが一体に設けられている。また、この2群枠16と3群枠17はそれぞれ、バックラッシュ除去用の引張ばね16b、17bにより、後方(CCD18側)に移動付勢されている。
【0012】前方ボディ12には、2群枠16(第2レンズ群L2)の原点位置を検出するフォトセンサ(原点センサ)22が固定されており、2群枠16には、このフォトセンサ22と協働するドッグプレート23が固定されている。この実施形態では、第2レンズ群L2の原点位置は、広角端の無限遠撮影位置として設定されており、第2レンズ群L2がこの原点位置にあるとき、ドッグプレート23がフォトセンサ22を遮光して原点位置を検出する。この原点位置からの移動量は、第2レンズ群L2を駆動する2群パルスモータM2のパルス数を管理するレンズ側制御回路(CPU)70(図18)が送出する。原点位置からの移動量は、パルサーを用いて、同様にパルス管理することもできる。
【0013】図6に示す望遠端の状態と、図7に示す広角端の状態から類推できるように、望遠端から広角端に向けて焦点距離が変化するとき、2群枠16(第2レンズ群L2)は前方に移動し、3群枠17(第3レンズ群L3)は後方に移動する。つまり、焦点距離を変化させるとき、2群枠16(第2レンズ群L2)と3群枠17(第3レンズ群L3)は常に反対方向に移動する。
【0014】以上の鏡筒ボディ10内の2群枠16と3群枠17を駆動する駆動機構は、レンズ駆動ユニット30として、別に組み立てられ、前方ボディ12と後方ボディ13上に跨らせて装着される。このレンズ駆動ユニット30を、図1ないし図4、及び図10ないし図13について説明する。
【0015】このレンズ駆動ユニット30は、段違いに位置する第1親板31と第2親板32を有する。図10においては、図示の便宜上、上方に位置する第1親板31を鎖線で、下方に位置する第2親板32を実線で描いている。下方の第2親板32には、その下面に、それぞれの出力軸を該第2親板32に直交させた状態で、2群パルスモータM2と3群モータM3が固定されている。第1親板31には、2群枠16の2群ピン16aを嵌入させるカム溝(リード溝)35aを有する2群駆動板35と、3群枠17の3群ピン17aを嵌入させるカム溝(リード溝)36aを有する3群駆動板36とが、共通軸37で同軸に枢着されている。2群ピン16aと3群ピン17aは、それぞれの引張ばね16bと17bにより、カム溝35aとカム溝36aの後側(CCD18側)の面に常時当接し、バックラッシュが除去される。
【0016】第1親板31と第2親板32の間には、2群パルスモータM2の回転を2群駆動板35に伝達するギヤ機構38と、3群モータM3の回転を3群駆動板36に伝達するギヤ機構39及びボリューム機構(可変抵抗器)40とが支持されている。まず、2群パルスモータM2の出力軸に固定された第1ギヤ38aは、第2ギヤ38b、第3ギヤ38c、第4ギヤ38d、及び第5ギヤ38eを介して、2群駆動板35の外周に形成したセクタギヤ35bと噛み合っている。第2ギヤ38bないし第5ギヤ38eはそれぞれ、二段ギヤである。セクタギヤ35bと噛み合うギヤ機構38の最終ギヤ38eと、セクタギヤ36bと噛み合うギヤ機構39の最終ギヤ39fは、共通軸37に関し光軸方向の前後にそれぞれ位置している。
【0017】また3群モータM3の出力軸に固定された第1ギヤ39aは、第2ギヤ39b、第3ギヤ39c、第4ギヤ39d、第5ギヤ39e、及び第5ギヤ39fを介して、3群駆動板36の外周に形成したセクタギヤ36bと噛み合っている。第2ギヤ39bないし第5ギヤ39eはそれぞれ、二段ギヤである。第5ギヤ39eは、ギヤ機構39の第5ギヤ39fに噛み合うと同時に、ボリューム機構40の回転ブラシギヤ40aに噛み合っており、この回転ブラシギヤ40aには、その裏面にブラシ40bが固定されている。一方、後方ボディ13上には、レンズ駆動ユニット30とは別に(レンズ駆動ユニット30を固定する前に)、抵抗板40cが固定されていて、この抵抗板40cとブラシ40bとが接触する。抵抗板40cの二つの端子40d、40eの間の抵抗は、回転ブラシギヤ40aの回動位置によって変化し、よって3群駆動板36の回転位置、つまり3群枠17(第3レンズ群L3)の絶対位置に応じた抵抗値が取り出される。
【0018】2群駆動板35と3群駆動板36は、前述のように、共通軸37に同軸に枢着されており、そのカム溝35aと36aは、2群駆動板35と3群駆動板36が図10で反時計方向に回転するとき、2群枠16(2群ピン16a)と3群枠17(3群ピン17a)をともに前方に移動させる形状をしている。一方、前述のように、焦点距離が変化するときには、2群枠16(第2レンズ群L2)と3群枠17(第3レンズ群L3)は、移動方向を異ならせるから、2群駆動板35と3群駆動板36のズーミング時の回転方向は、常時、つまり、望遠側から焦点距離を短くするとき、及び広角側から焦点距離を長くするときのいずれの場合も、反対である。このように、2枚の2群駆動板35と3群駆動板36を同軸に枢着し、しかもその反対方向の回転で、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3を反対方向に動かす構成とすることにより、小型化を図ることができる。
【0019】また、この2群駆動板35と3群駆動板36は、図10、図12に示すように、平板状部材からなっていて、共通軸37の軸方向位置を僅かに異ならせて配置されている。この2群駆動板35と3群駆動板36が全円状部材であれば、両者のどの回転域でも相互に干渉するおそれはないが、小型化、軽量化を図るために、それぞれ略セクタ状の部材として構成してある。しかし、純粋にセクタ状であると、両者の回転角によっては、該セクタ状部材が板厚方向に変形したとき、その先端側の板厚端面が干渉するおそれがある。
【0020】そこで、2群駆動板35と3群駆動板36にはそれぞれその先端部側に、最大に反対方向に回動したときでも、平面的に見て相互にオーバラップするウィング部35c、36cを設けている。図10は、2群駆動板35が最大に反時計方向に回動し、3群駆動板36が最大に時計方向に回動した状態(広角端)を示しており、この状態でも、ウィング部35cと36cが平面的に見てオーバラップしている。別言すると、2群駆動板35と3群駆動板36は、できるだけ小さい略セクタ状とし、この一対のセクタ状の駆動板の先端部にそれぞれ、必ず一部が平面的にオーバラップするウィング部35c、36cを設けることにより、2群駆動板35と3群駆動板36の全回転域における円滑な回転を保証している。
【0021】以上の構成を有するレンズ駆動ユニット30(抵抗板40cを除く)は、別ユニットとして構成され、抵抗板40cを後方ボディ13上に複数の固定ねじ41で固定した後、別の複数の固定ねじ42を介して、鏡筒ボディ10(前方ボディ12と後方ボディ13)の上に固定される。
【0022】次に、前方ボディ12と後方ボディ13の間に挟まれた絞ブロック14及びその駆動ユニット60を、図14ないし図17について説明する。絞ブロック14の基板50と、この絞ブロック14に固定ねじ51を介して固定されたリテイナ52には、光軸上のアパーチャ50aと、52aが形成されている。基板50上に、アパーチャ50aの周囲に位置させて穿設したダボ孔50bには、絞羽根53の一対のダボのうちの一方のダボ53aが嵌まっている。基板50とリテイナ52の間には、開閉環54が回転自在に支持されており、この開閉環54には、絞羽根53の他方のダボ53bが嵌まるカム孔54aが形成されている。この周知の絞機構は、開閉環54を回動させると、絞羽根53による絞開口の大きさが、図14に示す最大開口と、図15に示す最小開口との間で変化する。
【0023】開閉環54には、回動操作用の半径方向の絞開閉アーム54bが形成され、この絞開閉アーム54bには、径方向連動溝54cが形成されている。また、絞ブロック14には、絞機構の原点位置を検出するフォトセンサ(原点センサ)55が固定されており、基板50上には、このフォトセンサ55に対応するドッグ54dが突出形成されている。図示例では、絞開放位置が原点として設定されており、絞開放位置で、ドッグ54dがフォトセンサ55を遮光して原点位置を検出する。そして開閉環54が開放位置から絞り込まれたときの絞り値(開閉環54の回転角)は、絞用パルスモータM1のパルス数を管理するレンズ側制御回路70(図18)が送出する。原点位置からの移動量(絞値)は、パルサーを用いて、同様にパルス管理することもできる。
【0024】駆動ユニット60は、絞ブロック14の基板50とは光軸方向及び径方向位置を異ならせて、後方ボディ13に固定される別ユニット部材である。駆動ユニット60の基板61には、絞用パルスモータM1が固定されており、その出力軸の第1ギヤ62aは、第2ギヤ62bを介して、セクタギヤ62cに噛み合っている。セクタギヤ62cには一体に、半径アーム62dが設けられており、この半径アーム62dに、開閉環54の径方向連動溝54cに嵌まる連動ピン63が突出形成されている。第2ギヤ62bは二段ギヤである。
【0025】以上の絞ブロック14と駆動ユニット60はそれぞれ予め組み立てられてユニット化される。そして、絞ブロック14の基板50は、前方ボディ12と後方ボディ13の間に挟着固定され、駆動ユニット60の基板61は、その連動ピン63を開閉環54の径方向連動溝54cに嵌め、かつその一端部を後方ボディ13の挟着溝65(図8)に挟み込んだ状態で、複数の固定ねじ64を介して後方ボディ13に固定される。
【0026】図18は、以上のズームレンズ鏡筒の制御系を示すものである。レンズ側制御回路(CPU)70には、以上に説明した要素、すなわち絞用パルスモータM1、2群パルスモータM2、3群モータM3、2群原点センサー22、3群用ボリューム40、絞原点センサー55、CCD18の他に、測光装置73、測距装置74が接続されている。測光装置73は、CCD18で兼用するのが一般的であるが、表記上、別に表示してある。測距装置74は、パッシブタイプ、アクティブタイプを問うものではないが、図1ないし図3には、パッシブタイプの測距装置74が示されている。
【0027】レンズ側ケーシング11は、略中心部の筒状ボス(筒状部)81(図1、図2)を介して、ボディ側ケーシング90(図18に概念的に表示)と270゜未満回転可能に接続される。ボディ側ケーシング90には、ボディ側CPU91、ズームスイッチ71、レリーズスイッチ72、CCD18の撮像画像信号を処理する信号処理回路75、記憶装置76、CCD18上に結像した被写体像を表示する、ファインダ機能を持つ液晶表示パネル(LCD)92、各種機能スイッチ等が搭載されている。これらのボディ側ケーシング90内の電気回路(要素)と、レンズ側ケーシング11内の電気回路(要素)とは、筒状ボス81を通るボディ−レンズ接続FPC基板82を介して接続されている。
【0028】すなわち、ボディ−レンズ接続FPC基板82は、筒状ボス81を通って、レンズ側ケーシング11内に入り、基板20上に設けたコネクタ83と、レンズ側FPC基板84に設けたコネクタ85に接続されている。基板20上には、CCD18が搭載されており、レンズ側FPC基板84上には、ケーシング11内の他のすべての電気要素を接続する印刷回路と、レンズ側CPU70等の電子デバイスが装着されている。なお、ズームレンズ鏡筒の駆動モータM1、M2、M3に対する給電は、ボディ側ケーシング90内に設けたバッテリによって行なわれるが、その給電ラインの図示は省略している。
【0029】そして、図1に明らかなように、上記のズームレンズの鏡筒ボディ10、モータM1、M2、M3を含む駆動機構及びCCD18は、筒状部81を挟んで、レンズ側CPU70の反対側に配置されている。すなわち、図1は、ズームレンズの光軸が水平をなすレンズ側ケーシング11の標準回動位置を示すものであり、この状態において、筒状部81の中心を通る直線(平面)を考えると、ズームレンズの鏡筒ボディ10、モータM1、M2、M3を含む駆動機構及びCCD18は、この直線(平面)の上方に位置し、レンズ側CPU70は、この直線(平面)の下方に位置している。さらに、上記のコネクタ83、85も、この直線(平面)の下方に位置している。基板20は、この直線(平面)に対して直交し、かつ該直線(平面)の上方から下方に延びている。
【0030】このように、鏡筒ボディ10の駆動系に関係するモータ等の要素は、筒状ボス81に関してその上方に位置させ、レンズ側CPU70は、筒状ボス81に関してその下方に位置させることにより、電気的雑音の影響を受けやすいレンズ側CPU70の誤動作を防ぐことができる。
【0031】上記構成の本ズームレンズ鏡筒の基本的な動作は次の通りである。図7の広角端の状態において、ズームスイッチ71をワイド側に操作すると、2群パルスモータM2、ギヤ機構38及び2群駆動板35を介して、2群枠16(第2レンズ群L2)は前方に移動し、3群モータM3、ギヤ機構39及び3群駆動板36を介して、3群枠17(第3レンズ群L3)は後方に移動する。同様に、図6の望遠端の状態において、ズームスイッチ71をテレ側に操作すると、2群枠16(第2レンズ群L2)は後方に、3群枠17(第3レンズ群L3)は前方に移動する。2群枠16の原点位置からの移動量は、レンズ側制御回路70から送出され、3群枠17の位置は、3群用ボリューム40によって検出された位置情報により決定される。このズーミング動作時には、ピントが合っている必要、あるいは焦点移動を生じさせないようにする必要は必ずしもない。
【0032】3群用ボリューム40によって検出される第3レンズ群L3の位置は、絶対位置であり、よってこの第3レンズ群の位置を基準に設定焦点距離が定められる。ズームスイッチ71の操作力を開放したとき、ピントはずれていてもよい。
【0033】次に、レリーズスイッチ72を押すと、その半押しで、測光装置73及び測距装置74が働き、被写体輝度情報及び被写体距離情報が得られ、全押しで、CCD18の撮像動作が行なわれる。レリーズスイッチ72が全押しされる前に、測光装置73による被写体輝度情報に基づき絞用パルスモータM1、絞原点センサー55及びレンズ側制御回路70により、絞値が設定され、上記の設定焦点距離情報と測距装置74による被写体距離情報に基づき、2群パルスモータM2、2群原点センサー22及びレンズ側制御回路70により、第2レンズ群L2が合焦位置に移動する。すなわち、ズームスイッチ71による設定焦点距離によって第3レンズ群L3の絶対位置を定めると、第2レンズ群L2の位置は、この設定焦点距離と測距装置74による被写体距離情報により一義的に定まるから、以上の動作により、ピントの合った被写体像がCCD18上に結像し、撮像動作が行なわれることになる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、レンズ側ケーシングをボディ側ケーシングに回動可能に枢着し、レンズ側ケーシング内にレンズ側CPUを搭載するズーム電子カメラにおいて、その枢着部の中空軸(筒状部)を挟んで、レンズ側CPUと、雑音の原因となるモータ等の駆動機構を有するズームレンズ関連要素とを反対側に位置させたから、レンズ側CPUを雑音源から離し、誤動作の原因を除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるズームレンズ鏡筒の一実施形態を示すケーシングを断面とした左側面図である。
【図2】同右側面図である。
【図3】同正面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】レンズ駆動ユニットを組み込む前の鏡筒ボディの左側面図である。
【図6】図5の縦断面図であって、望遠端の状態を示す図である。
【図7】図5の縦断面図であって、広角端の状態を示す図である。
【図8】図5のVIII矢視図である。
【図9】図8の横断面図である。
【図10】レンズ駆動ユニットの平面図である。
【図11】図10のXI矢視図である。
【図12】図10のXII 矢視図である。
【図13】図10のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】絞駆動ユニットの絞開放状態の正面図である。
【図15】同最小絞状態の正面図である。
【図16】図14のXVI-XVI 線に沿う断面図である。
【図17】図14のXVII-XVII 線に沿う断面図である。
【図18】本発明のズームレンズ鏡筒の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
M1 絞用パルスモータ
M2 2群パルスモータ
M3 3群モータ
10 鏡筒ボディ
11 ケーシング
12 前方プラスチックボディ
13 後方プラスチックボディ
14 絞ブロック
15 ガイドロッド
16 2群枠
17 3群枠
18 CCD
20 基板
22 フォトセンサー(原点センサー)
23 ドッグプレート
30 レンズ駆動ユニット
31 第1親板
32 第2親板
35 2群駆動板
36 3群駆動板
37 共通軸
38 39 ギヤ機構
40 ボリューム機構(可変抵抗器)
50 基板
52 リテイナ
53 絞羽根
54 開閉環
55 フォトセンサー(原点センサー)
60 駆動ユニット
61 基板
70 レンズ側CPU
71 ズームスイッチ
72 レリーズスイッチ
73 測光装置
74 測距装置
75 信号処理回路
76 記憶装置
81 筒状ボス
82 ボディ−レンズ接続FPC基板
83 85 コネクタ
84 レンズ側FPC基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも2群の可動変倍レンズ群を有するズームレンズ、上記可動変倍レンズ群を駆動するモータを含む駆動機構、上記ズームレンズによる被写体像を撮像する固体撮像素子、及び上記モータを含む駆動機構を制御するレンズ側CPUを配設したレンズ側ケーシング;及び上記固体撮像素子で撮像した画像信号の信号処理回路を有し、このレンズ側ケーシングに回動中心となる筒状部を介して相対回動可能に接続されたボディ側ケーシング;を有し、上記ズームレンズ、モータを含む駆動機構及び固体撮像素子が、上記筒状部を挟んで、レンズ側CPUの反対側に配置されていることを特徴とするズーム電子カメラ。
【請求項2】 請求項1記載のズーム電子カメラにおいて、レンズ側ケーシングの標準回動位置において、上記ズームレンズ、モータを含む駆動機構及び固体撮像素子が、上記筒状部の上方に位置し、上記レンズ側CPUが上記筒状部の下方に位置しているズーム電子カメラ。
【請求項3】 請求項1または2記載のズーム電子カメラにおいて、上記筒状部には、レンズ側ケーシング内電気要素とボディ側ケーシング内電気要素とを電気的に接続するボディ−レンズ接続FPC基板が挿通されているズーム電子カメラ。
【請求項4】 請求項3記載のズーム電子カメラにおいて、上記筒状部を通過させたボディ−レンズ接続FPC基板は、上記レンズ側CPU、固体撮像素子及び上記モータの駆動回路に接続されているズーム電子カメラ。
【請求項5】 請求項4記載のズーム電子カメラにおいて、レンズ側ケーシング内には、レンズ内FPC基板が備えられ、上記ボディ−レンズ接続FPC基板は、このレンズ内FPC基板と、上記固体撮像素子を備えた基板とに、それぞれコネクタを介して接続されているズーム電子カメラ。
【請求項6】 請求項5記載のズーム電子カメラにおいて、上記基板のコネクタと、レンズ内FPC基板のコネクタとは、筒状部に関して、レンズ側CPUと同じ側に位置しているズーム電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図11】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図7】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図10】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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