説明

セパレイトポアントシューズ

【課題】本来のポアントシューズに備わる板状の靴底に、足の親指と人差し指に挟む指間挟着具を取り付ける穴をあけ、サテンリボンで包んだ装具を、靴底裏の穴から通して、鼻緒状の突起を作り、体重による足の詰まりを防ぎ、バレリーナがバレエ技術を習得する際に強く感じるポアント内部における肉体的苦痛を軽減するとともに、バレエ技術の促進及び、バレエシューズの耐性を強化する。
【解決手段】本発明の指間挟着リボンを取り付けるセパレイトポアントシューズによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレリーナの足の痛みを軽減するポアントシューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のポアントシューズは、バレリーナの全体重を乗せるのに耐えられる様に硬い材料で形成されており、現在市販されている靴は多くの人の足に適合するよう、各サイズに複数の甲囲がJISで定められている。使用者はこの中から自分の足に合った靴を使用しているが、自分の足にしっくりと適合し履きやすい靴を得ることは困難であるうえ、バレリーナのつま先がポアントシューズの硬いつま先部分にあたり押し付けられるため、ラムウール、スポンジ、ジェル素材などのパッドを入れる、ストッキングでつま先をおおうなど、して足を保護するさまざまな工夫を凝らすが、この程度の対策では殆んど効果はなく、多数のまめ、水ぶくれ、爪が割れるなど、バレリーナは常に足のトラブル、苦痛、不安をかかえている。しかも、上記のように入手した現状で入手可能なポアントシューズは、心地よく使いやすい状態を保ち続けることはできず、時に1度の公演でしか使えないものといえるのである。そして、人間の骨は生まれてから大人になるまで少しずつ成長し硬さも形状も変化してゆくものである。一般に硬い骨の完成は10歳から12歳ごろに固まり始め、女性の場合、生理が始まってから2〜3年たった頃とされている。子供の骨はまだ柔らかく、鼻や耳のような軟骨であり、柔らかい骨は外部から強い力が加わると変形し、バレエを続けられなくなる可能性がある。しかしながら、ポアントシューズをはき始める時期は現在各教室の講師にゆだねられており、通常では2年間バレエシューズでレッスンをつんだ後、小学校4年生くらいから、早い教室では小学校1年生でポアントシューズを履くこととなっている。また、例外中の例外ではあるが、4歳の子どもに履かせている教室もある。このことは、個人運営のバレエスクールが生徒数を確保するため年々早まってゆく傾向にある。このような現状はバレエを志す子供たちの柔らかい骨の成長に著しい悪影響を及ぼしていた。また、大人のバレリーナにおいても足の苦痛は体重が多い分さらに耐えがたいものとなっている。さらに、踊りの最中においても従来のポアントシューズは靴の中でつま先が詰まりすぎるため、安定しない、踏ん張りが利かない、床を感じにくい、疲労しやすい、足がつるなど多くの問題が発生し更には、踊りの最中にリボンを解けないようにするためにサテンリボンをきつく締めるなどして、新たな問題が発生していた。
【0003】
この改善策として、従来のポアントシューズの中敷部材に鼻緒状の指間挟着リボンを取り付ける事により、バレリーナの足の痛みと負担を軽減する事となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、常に過酷な状態にさらされているバレリーナのつま先及び足の肉体が感ずる苦痛を低減する事によるバレエ技法の習得の促進と、ポアントシューズの寿命を延ばすことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従来のポアントシューズの中敷部材に、足の親指と人差し指とのあいだに挟む指間挟着リボンを突設する事により、バレリーナの足にまつわる痛みや不安を解決する。同時にそれは、バレリーナの足裏と中敷部材を密着させ、バレリーナがつま先で立つ際に体の支えとする足の甲を出し、足裏のアーチをささえる補助となる。また、本来ポアントシューズの一番破損しやすい土踏まずの部分から、足の腹部分に負担を移すことにより、使用可能日数をどの程度ならと明確でないにせよ、著しく延長させることができる。
【発明の効果】
【0006】
本件出願のセパレイトポアントシューズは、次のような効果がある。
1 バレリーナの足にかかる苦痛、負担を低減できる。
2 体重によって靴の中で足先が詰まる事がないため、足の腹でしっかりと床を感じ取る事ができ、次の動きに対応しやすくなる。
3 足の骨の成長を妨げないため、比較的低年齢の学童でも体重の軽いうちにポアントシューズをはくことができる。
4 バレリーナがポアントで立つ際、土踏まずのアーチを支え甲をきれいに出すことができる。
5 比較的少ないコストによって、個々のバレリーナの要望に沿った注文制作シューズの提供が可能。
6 ポアントシューズの寿命を延長することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の靴用部材の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。本発明のポアントシューズは、ポアントシューズ製作の従来の公知方法で、また従来の公知材料で製作されたものに指間挟着リボンを装着するものとする。
【0008】
(図1)は、通常のポアントシューズを示す断面図である。
【0009】
従来ポアントシューズは、剛性の板たとえば金属、カードボード、木、樹脂などでできた中敷(図1)A1を、革製の靴底部材(図1)A2と、薄い布(図1)A3で挟む状態で構成され、接着、釘止め、縫合などによって製作されている。板状の中敷部材を取り出し指間挟着リボンを通す穴を開け(図2)A3、指間リボン(図2)B1で(図2)Cを包み、中敷の穴の下から上に出し芯を巻き鼻緒を作る(図3)上に残ったリボンは中敷の裏でクロスさせ(図4)、シューズに中敷を収める際、サテンリボン取り付け位置に出す(図5)。接着、釘止め、縫合により靴底と一体に取り付け、完成とする。(図6)
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、上記のように構成したので、日本のバレエ界において、肉体が感ずる苦痛を低減し、バレエ技法の習得を促進し、ポアントシューズの強度を高めるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通常のポアントシューズを示す断面図である。
【図2】本発明が新たに加工し取り付ける部材3点の平面図である。
【図3】本発明が新たに取り付ける部材3点の組み立て状態を示す平面図ならびに断面図である。
【図4】新たに組み立てた中敷部材をシューズに収める際の、中敷部材サテンリボンの状態の説明図である。
【図5】新たに組み立てた中敷部材を収めたポアントシューズの断面図である。
【図6】完成図である。
【符号の説明】
【0012】
A1 中敷部材
A2 靴底部材
A3 薄い布
B1 指間挟着リボン
C 指間挟着リボン芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポアントシューズの中敷部材に、足の親指と人差し指とのあいだに挟む鼻緒状の指間挟着リボンを突設する事により、バレリーナの全体重がつま先にかける負担を軽減し、バレリーナが爪先立ちする際の足の甲を出しやすくすると共に、シューズの寿命を延長するポアントシューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−173209(P2008−173209A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7689(P2007−7689)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【特許番号】特許第4007514号(P4007514)
【特許公報発行日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(306046450)
【Fターム(参考)】