セラミックス基材支持具及びセラミックス部材の製造方法
【課題】支持具被膜(SiC被膜)を確実にセラミックス基材(SiC被覆黒鉛材)に残して、欠陥の少ないセラミックス部材を得ることのできるセラミックス基材支持具及び該支持具を用いたセラミックス部材の製造方法を提供する。
【解決手段】先端部13にセラミックス基材15を支持して反応炉内でセラミックス基材15にセラミックス部材被膜17を形成しセラミックス部材19を製造する際に使用されるセラミックス基材支持具11であって、セラミックス基材支持具11は、黒鉛からなる芯材21と、少なくとも先端部13を含む表面に、熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25を有する。
【解決手段】先端部13にセラミックス基材15を支持して反応炉内でセラミックス基材15にセラミックス部材被膜17を形成しセラミックス部材19を製造する際に使用されるセラミックス基材支持具11であって、セラミックス基材支持具11は、黒鉛からなる芯材21と、少なくとも先端部13を含む表面に、熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス基材支持具及びセラミックス部材の製造方法に関し、特にはCVD法によりセラミックス部材の製造を行う際に使用するセラミックス基材支持具及びCVD法によりセラミックス基板にセラミックス被覆を行うセラミックス部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
黒鉛などのセラミックス基材にCVD法にてSiCなどのセラミックス被膜を被覆してセラミックス部材を作製する際、セラミックス基材を支持する支持点にはセラミックス被膜が形成されない。このため、通常は支持点の場所を変えて、複数層の被膜を形成する方法がとられる。一方、生産性を高めるために一層の被膜で支持点にも被膜を形成する方法が提案されている。例えば、セラミックス基材をセラミックス被膜と同材質の被膜を有する支持ピンで支持し、その同材質の被膜をセラミックス基材の支持点に残留させて被覆を行うセラミックス部材の製造方法が特許文献1及び2に提案されている。
特許文献1に開示されるSiC被覆炭素材の製法は、炭素製の支持具が円錐形、角錐等であり、その頂部に黒鉛基材を載置させる表面をSiC、Si、またはSi3N4で被覆している。頂部の面積は炭素基材を破損しない範囲でできるだけ小さくして炭素基材へのSiC被覆を均一にすることが記載されている。
【0003】
特許文献2に開示される気相蒸着セラミックス部材とその製造方法は、支持治具の形状が、円柱形状、多角形柱、さらには、円錐や多角形錐でも可能であること、被覆するセラミックスと同一セラミックスが被覆されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−166286号公報
【特許文献2】特開2005−213571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの支持具及びセラミックス部材の製造方法には以下の問題がある。従来は、例えば図11に示す(特許文献2参照)ように、黒鉛基材(セラミックス基材)501を、表面にSiC被膜(支持具被膜)を有するセラミックス基材支持具(支持ピン)505で支持して、黒鉛基材501及び支持ピン505にCVD法によりSiC被膜を形成した後、支持ピン505を除去する方法でセラミックス部材を製造する方法がとられていた。このとき支持ピン505の先端506が黒鉛基材501に形成されたSiC被膜(セラミックス部材被膜)507側に残り、セラミックス部材被膜507と一体となる。しかしながら、支持ピンに形成されたSiC被膜(支持具被膜)の先端506はどの位置で分離されるか決まっておらず、SiC−CVD被覆が形成されたセラミックス部材から支持ピン505を分離するときに、支持ピン505の先端506がきれいに折れずに、黒鉛基材501のセラミックス部材被膜507が薄膜化したり、剥離して黒鉛基材501が露出するという問題がある。また、支持ピン505の支持具被膜が大きな突起となって黒鉛基材501のセラミックス部材被膜507中に残留する問題もあった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、支持具被膜を確実にセラミックス基材に(SiC被覆黒鉛材)に残して、ピンホールなどの欠陥の少ないセラミックス部材を得ることのできるセラミックス基材支持具及びセラミックス部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 先端部にセラミックス基材を支持して反応炉内で該セラミックス基材にセラミックス部材被膜を形成しセラミックス部材を製造する際に使用されるセラミックス基材支持具であって、前記セラミックス基材支持具は、黒鉛からなる芯材と、少なくとも前記先端部を含む表面に、熱分解炭素層を介在させた支持具被膜とを有することを特徴とするセラミックス基材支持具。
【0008】
このセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材支持具が、黒鉛の芯材を有し、その黒鉛の表面に熱分解炭素が被覆され、さらにその表面が支持具被膜にて被覆されている。熱分解炭素は気孔がないため、支持具被膜を被覆した際に、支持具被膜は熱分解炭素層内部に浸透して形成されない。このため、支持具被膜と熱分解炭素層との接着力を小さくすることができる。セラミックス基板にセラミックス部材被膜を形成したセラミックス部材及びセラミックス基材支持具からセラミックス基材支持具を取り除く際に、セラミックス基材支持具の熱分解炭素層と支持具被膜との間(すなわち決まった箇所)で容易に切り離される。そのためセラミックス部材からセラミックス基材が露出したり、セラミックス基板に形成されたセラミックス部材被膜の表面に、セラミックス基材支持具の支持具被膜の残る量が多くなりすぎることによるセラミックス基板のセラミックス被膜の凹凸ができにくい。
【0009】
(2) 前記支持具被膜は、前記セラミックス部材被膜と同一材質であることを特徴とする(1)のセラミックス基材支持具。
【0010】
このセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材支持具から分離してセラミックス部材に残るセラミックス基材の先端部(支持具被膜)が、セラミックス基材に被覆されるセラミックス部材被膜と同一材質となり、セラミックス部材表面は、単一の種類の被膜で覆われることとなる。このため、セラミックス基材の支持点では、セラミックス部材被膜と支持具被膜の熱膨張差などにより、それらの界面を基点とした微小クラックが形成されにくくなる。その結果、セラミックス基材にセラミックス被膜を確実に被覆することができる。
【0011】
(3) 前記支持具被膜は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることを特徴とする(1)または(2)のセラミックス基材支持具。
【0012】
このセラミックス基材支持具によれば、支持具被膜が炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスである。これらのセラミックスのCVDによる成膜温度(例えば800〜1400℃)では熱分解炭素との反応性に乏い。そのため、セラミックス基材支持具は、セラミックス部材の製造を繰り返し使用してもセラミックス基材支持具の熱分解炭素被膜が劣化、反応又は消耗することがなくセラミックス基材支持具を繰り返し使用することができる。
【0013】
(4) 前記支持具被膜は、炭化珪素であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つのセラミックス基材支持具。
【0014】
このセラミックス基材支持具によれば、支持具被膜が炭化珪素となることで、真空中及び高温での安定した使用が可能となる。また、炭化珪素は、共有結合性が強く、硬度が高いので、CVD炉に炉詰めする際などセラミックス基材支持具先端部の欠け又は磨耗を防ぐことができる。また炭化珪素を使用することにより、セラミックス基材支持具は、高温強度、耐食性にも優れた被膜が得られる。炭化珪素はセラミックス基材支持具の芯材の黒鉛との熱膨張係数が近いため、昇温により支持具被膜にクラックが発生しにくい。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離して支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長ができにくい。
【0015】
(5) 前記先端部における芯材はセラミックス基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つのセラミックス基材支持具。
【0016】
このセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材支持具の芯材の先端部が平坦に形成されている。すなわちセラミックス基材支持具の先端部の芯材が平坦であるので、セラミックス基材支持具の平坦な芯材表面に形成された熱分解炭素層も平坦に形成される。このため、セラミックス部材被膜を被覆後にセラミックス基材支持具をセラミックス基材から分離する際、セラミックス基材支持具の熱分解炭素の被覆された芯材の先端が折れにくくすることができる。熱分解炭素の被覆された芯材の先端部がセラミックス部材に残留しないので、改めて除去する必要が無い。また、セラミックス基材支持具の熱分解炭素の被覆された芯材は、芯材自体は元のままであるので支持具被膜を被覆すればセラミックス基材支持具は繰り返し使用することができる。
【0017】
(6) 前記セラミックス基材は、黒鉛であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つのセラミックス部材を製造するためのセラミックス基材支持具。
【0018】
このセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材が黒鉛であることで軟らかく、様々な形状に加工しやすい。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具先端部の熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材(例えば、サセプタ等)の製造に好適に使用できる。
【0019】
(7) セラミックス基材とセラミックス被膜とからなるセラミックス部材の製造方法であって、黒鉛からなる芯材と、少なくとも先端部を含む表面に、熱分解炭素層を介在して支持具被膜を有するセラミックス基材支持具を準備し、前記セラミックス基材支持具の前記先端部によりセラミックス基材を支持させて反応炉内で該セラミックス基材支持具を含む前記セラミックス基材にセラミックス部材被膜を形成した後、前記セラミックス部材から前記セラミックス基材支持具を分離して、前記セラミックス基材にセラミックス被膜を形成することを特徴とするセラミックス部材の製造方法。
【0020】
このセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材支持具が黒鉛の芯材を有し、その黒鉛の芯材に熱分解炭素が被覆され、さらに熱分解炭素層の上に支持具被膜にて被覆されている。セラミックス基材支持具の熱分解炭素は気孔がないため、支持具被膜を熱分解炭素上に被覆した際に、支持具被膜は熱分解炭素層内部に浸透して形成されない。このため、支持具被膜と熱分解炭素層との接着力を小さくすることができる。セラミックス部材被膜を形成したセラミックス部材をセラミックス基材支持具から取り除く際に、熱分解炭素層と支持具被膜との間(すなわち決まった箇所)で容易に切り離される。そのため、セラミックス基材が露出したり、セラミックス部材被膜を被覆したセラミックス部材の表面に、支持具被膜が残る量が多くなりすぎて、セラミックス基材に形成されたセラミックス被膜の表面に凹凸ができにくい。
【0021】
(8) 前記支持具被膜は、前記セラミックス部材被膜と同一材質であることを特徴とする(7)のセラミックス部材の製造方法。
【0022】
このセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材に形成されたセラミックス被膜に残るセラミックス部材支持具の先端部(支持具被膜)が、セラミックス基材に被覆されるセラミックス部材被膜と同一材質となり、セラミックス部材表面は、単一の種類の被膜で覆われることとなる。このため、セラミックス基材はセラミックス部材被膜と支持具被膜の熱膨張差などにより、それらの界面を基点とした微小クラックが形成されることない。そのため、セラミックス基材に確実にセラミックス被膜を被覆することができる。
【0023】
(9) 前記支持具被膜は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることを特徴とする(7)または(8)のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【0024】
このセラミックス部材の製造方法によれば、支持具被膜が炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであるので、これらのセラミックスのCVDによる成膜温度(例えば800〜1400℃)では熱分解炭素との反応性に乏しくなる。その結果、セラミックス基材支持具を繰り返し使用しても熱分解炭素層が劣化、反応又は消耗することがなくセラミックス基材支持具を繰り返し使用することができる。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離した支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長が発生しにくい。
【0025】
(10) 前記支持具被膜は、炭化珪素であることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1つのセラミックス部材の製造方法。
【0026】
このセラミックス部材の製造方法によれば、支持具被膜が炭化珪素である。そのため真空中及び高温での安定した使用が可能となる。また、炭化珪素は、共有結合性が強く、硬度が高いので、CVD炉に炉詰めする際など支持具先端部の欠け又は磨耗を防ぐことができる。また、炭化珪素を使用することにより、高温強度、耐食性にも優れた被膜が得られる。炭化珪素はセラミックス基材支持具の芯材の黒鉛との熱膨張係数が近いため、昇温により支持具被膜にクラックが発生しにくい。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離した支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長ができにくい。
【0027】
(11) 前記先端部は前記セラミックス基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有することを特徴とする(7)〜(10)のいずれか1つのセラミックス部材の製造方法。
【0028】
このセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材支持具の芯材の先端部が平坦に形成されている。すなわちセラミックス基材支持具の先端部の芯材が平坦であるので、平坦な芯材の表面に形成されたセラミックス基材支持具の熱分解炭素層も平坦に形成される。このため、セラミックス部材被膜を被覆後にセラミックス基材支持具をセラミックス部材から分離する際、熱分解炭素の被覆された芯材の先端が折れにくくすることができる。セラミックス基材支持具の熱分解炭素の被覆された芯材の先端部をセラミックス部材に残留しないので、改めて除去する必要が無い上に、熱分解炭素の被覆された芯材は、芯材自体は元のままであるので支持具被膜を被覆すればセラミックス基材支持具を繰り返し使用することができる。
【0029】
(12) 前記セラミックス基材は、黒鉛からなることを特徴とする(7)〜(11)のいずれか1つのセラミックス部材の製造方法。
【0030】
このセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材が黒鉛であることで軟らかく、様々な形状に加工しやすい。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具先端部の熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材(例えばサセプタ)等の製造に好適に使用することができる。
(13) 前記セラミックス基材に形成されるセラミックス被膜には前記支持具被膜が存在することを特徴とする請求項(7)〜(12)のいずれか1つのセラミック部材の製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材を支持するセラミックス基材支持具の先端部に設けられた支持具被膜が、熱分解炭素層を介して芯材に形成されているので、熱分解炭素層から支持具被膜を容易に分離することができる。このため、セラミックス部材のセラミックス基材表面にセラミックス部材被膜とセラミックス基材支持具から剥離してセラミックス基材の被膜に存在するセラミックス基材支持具のセラミックス被膜とを一体化して確実に残すことができる。
【0032】
本発明に係るセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材支持具の先端部に形成した支持具被膜が剥離してセラミックス基材の被膜に存在するセラミックス基材支持具のセラミックス被膜を、セラミックス基材表面のセラミックス部材被膜と一体化して確実に残すことができるので、欠陥の少ないセラミックス基材に形成されたセラミックス被膜を有するセラミックス部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成された状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るセラミックス基材支持具を用いた製造方法の手順を(a)〜(d)で示した工程説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成された状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具を用いた製造方法の手順を(a)〜(d)で示した工程説明図である。
【図5】比較例に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成された状態を示す断面図である。
【図6】比較例に係るセラミックス基材支持具を用いた製造方法の手順を(a)〜(d1)、(d2)で示した工程説明図である。
【図7】(a)は本発明の実施の形態2によって得られたセラミックス部材の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、(b)は本発明の本実施の形態2によるセラミックス基材支持具の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図8】(a)、(b)は、図7(a)、(b)の写真を模式的に示した図である。
【図9】(a)は比較例によって得られたセラミックス部材の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、(b)は比較例によるセラミックス基材支持具の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図10】(a)、(b)は、図9(a)、(b)の写真を模式的に示した図である。
【図11】従来のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明において、セラミックス基材とは、特に限定されないが、例えば黒鉛、炭素繊維強化炭素複合材、炭化硅素、ジルコニア、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化硅素、炭化硼素、窒化硼素、タンタルカーバイドなどどのようなものでも利用できる。中でもセラミックス基材は黒鉛であることが好ましい。黒鉛は軟らかく、様々な形状に加工することができる。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具先端部の熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材(例えばサセプタ)等の製造に好適となる。
本発明において、セラミックス部材被膜及び支持具被膜は特に限定されないが、例えば、炭化硅素、窒化硼素、窒化硅素、タンタルカーバイド、窒化硅素など、CVDで成膜することができるものであればどのような材料でもかまわない。また、セラミックス部材被膜と支持具被膜は、同一の種類であっても、異なる被膜であってもかまわないが、同一の種類であることが好ましい。同一の種類とは、セラミックス部材被膜と支持具被膜の主要成分が同一物質であることをいう。
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成された状態を示す断面図である。
本実施の形態に係るセラミックス基材支持具11は、先端部13にセラミックス基材15を支持して反応炉内でセラミックス基材15にセラミックス部材被膜17を形成しセラミックス部材19を製造する際に使用される。セラミックス基材支持具11は、芯材21が黒鉛からなる。芯材21は、尖った先端部13を有するピン形状に形成されている。セラミックス基材支持具11は、例えば円錐形あるいは角錐形に形成される。円錐形または角錐形の先端部13は平坦面ではなく尖っている。
【0035】
セラミックス基材支持具11は、少なくとも先端部13を含む表面に形成された熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25で被覆されている。セラミック基材支持具の熱分解炭素層23は、柱状組織を呈し、気孔のない緻密な組成であることから、CVDガスの浸透を防ぐことができる。また、セラミック基材支持具の熱分解炭素層23内部にCVDガスの侵入がないことから、セラミック基材支持具の熱分解炭素層23と支持具被膜25は互いに明瞭な界面を形成する。そのため、セラミック基材支持具の熱分解炭素層23は支持具被膜25に対する剥離性が得られる。
【0036】
セラミックス基材支持具11の芯材21を被覆する支持具被膜25は、セラミックス基材15を被覆するセラミックス部材被膜17と同一材質であることが好ましい。セラミックス部材19からセラミックス基材支持具11を分離した際に、セラミックス基材支持具11から剥離してセラミックス基材15に残るセラミック基材支持具の先端部13(支持具被膜)が、セラミックス基材15に被覆されるセラミックス部材被膜17と同一材質となる。このため、セラミックス基材15は、セラミックス部材被膜と支持具被膜の熱膨張差などにより、微小クラックが形成されにくくなる。そのためセラミックス被膜で確実に被覆されることになるからである。
【0037】
また、支持具被膜25は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることが好ましい。支持具被膜25が炭化物系セラミックスの場合、これらのセラミックスのCVDによる成膜温度(例えば800〜1400℃)ではセラミック基材支持具の熱分解炭素との反応性に乏しい。そのため、セラミックス基材支持具を繰り返し使用してもセラミックス基材支持具の熱分解炭素被膜が劣化、反応、消耗することがない。
【0038】
支持具被膜25は、炭化珪素であることがより好ましい。支持具被膜25が炭化珪素であると、真空中及び高温での安定したセラミックス基材支持具の使用が可能となる。また、炭化珪素は、共有結合性が強く、硬度が高いので、CVD炉に炉詰めする際などセラミックス基材支持具の先端部の欠け、磨耗を防ぐことができる。また、炭化珪素を使用すると、高温強度、耐食性にも優れた被膜が得られる。炭化珪素は芯材の黒鉛との熱膨張係数が近いため、昇温により支持具被膜にクラックが発生しにくい。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離した支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長ができにくい。
【0039】
セラミックス部材19を形成するためのセラミックス基材15は、黒鉛からなる。セラミックス基材15が黒鉛であることで、軟らかく、様々な形状に加工しやすい。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具の先端部に形成された熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材、(例えば、サセプタ)等の製造に使用することができる。
【0040】
セラミックス基材支持具11の支持具被膜25(炭化珪素被膜)の厚さは、セラミックス基材15である黒鉛基材に被覆されるセラミックス部材被膜17の厚さの1〜3倍であることが好ましい。さらに、支持具被膜25の厚さは、セラミックス部材被膜17の厚さの1.5〜2倍であることがより好ましい。支持具被膜25の厚さが、セラミックス部材被膜17の厚さの1倍未満であると十分な厚さの被覆を形成することができない。支持具被膜25の厚さが、セラミックス部材被膜17の厚さの3倍を超えると支持具被膜25がセラミックス基材支持具11から分離されて、セラミックス基材支持具先端の支持具被膜がセラミックス部材被膜17と一体化したときに、セラミックス基材に形成されたセラミックス部材被膜17の表面に過剰な凹部や凸部を生じやすくなる。
【0041】
支持具被膜はCVD法により形成されたものであることが好ましい。CVD法で形成されたセラミックス被膜は緻密な組織を形成するので、気体の透過性が低く、反応性のガスからセラミックス基材を守り、セラミックス基材から不純物の放出を防止することができる。
また、セラミックス基材支持具11に形成される熱分解炭素層の厚さは、10〜200μmであることが好ましい。10μm未満であると、セラミックス基材支持具11先端では摩耗などによって芯材が露出しやすくなり、支持具被膜が剥離しやすくなる。200μmを超えるとセラミックス基材支持具11の芯材と熱分解炭素層との熱膨張差によりセラミックス基材支持具11の先端の熱分解炭素層にクラックが入りやすくなる。
【0042】
セラミックス基材支持具11の先端部13はセラミックス基材15に対し尖った先端部として形成されている。セラミックス基材支持具11の先端部13が尖っているので、セラミックス基材支持具11とセラミックス基材15との間にセラミックス部材被膜の原料ガスが供給されるため、強い接合力を得ることができる。
【0043】
次に、上記のセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法を説明する。
図2は本発明の実施の形態1に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法の手順を(a)〜(d)で示した工程説明図である。
図2(a)に示すように、黒鉛からなる芯材21と、少なくとも先端部13を含む表面に、熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25を有するセラミックス基材支持具11を準備する。セラミックス基材支持具の芯材21に支持具被膜25を形成する温度は例えば1000〜1400℃である。
【0044】
図2(b)に示すように、セラミックス基材支持具11の先端部13によりセラミックス基材15を支持する。
図2(c)に示すように、セラミックス基材支持具11の先端部13に支持されたセラミックス基材15に対して、セラミックス基材支持具11と共に反応炉内でSiC、Si3N4などをセラミックス基材15の表面に被覆し、セラミックス部材被膜17を形成する。セラミックス基材15へセラミックス部材被膜17を形成する温度は例えば1000〜1400℃である。このとき同時に熱分解炭素層の形成された黒鉛の芯材を炉内に配置することにより、次の処理で使用するセラミックス基材支持具を同時に作成することができる。
【0045】
図2(d)に示すように、セラミックス部材被膜17をセラミックス基材15の表面及びセラミックス基材支持具11の表面に被覆した後、セラミックス基材15からセラミックス基材支持具11を分離する。セラミックス基材支持具11で支持したセラミックス部材被膜17が形成されたセラミックス部材19を、セラミックス基材支持具11に曲げるように力を加えて折り分離を行う(図面上横向きに)。折るように分離することによりセラミックス部材とセラミックス基材支持具との間のノッチを起点に破壊されるので、セラミックス基材支持具分離後の破断面の面積を小さくすることができる。これにより、セラミックス基材支持具11の先端部13における支持具被膜25は、熱分解炭素層23との境界を境にセラミックス基材支持具11に形成されたセラミックス被膜17と共に剥離されることになる。支持具被膜25が先端部13から剥離されたセラミックス基材支持具11は、熱分解炭素層23と、支持具被膜25との接着力が弱いので、セラミック部材被膜及び支持具被膜を剥離して再使用(リサイクル)することができる。このように、セラミックス基材支持具11は、先端部13の支持具被膜25を剥離して得たもの再利用してもよい。
【0046】
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照して説明する。
図3は本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成されたセラミックス被膜の状態を示す断面図である。
本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11は、先端部13にセラミックス基材15を支持して反応炉内でセラミックス基材15にセラミックス部材被膜17を形成しセラミックス部材19を製造する際に使用される。セラミックス基材支持具11は、セラミック基材支持具11の芯材21が黒鉛からなる。セラミックス基材支持具11は、例えば円錐形あるいは角錐形に形成される。芯材21は、平坦な先端部13を有するピン形状に形成されている。円錐形または角錐形の芯材の先端部13は、直径0.5mm以下の円に収まる平坦面とすることが望ましい。芯材の先端部13に直径0.5mmの円をはみ出して平坦面が形成されていると、支持点において支持具被膜とセラミック基材とが接するセラミック基材支持具11の先端部13の支持領域が大きくなる。このセラミック基材支持具11の先端部13支持領域は、セラミックス部材被膜の原料ガスが流れ込みにくくなるので、セラミックス部材被膜の無い支持領域の面積が大きくなりセラミックス基材から支持具被膜が剥離し基材が露出し易くなる。
【0047】
セラミックス基材支持具11は、少なくとも先端部13を含む表面に、熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25を被覆する。熱分解炭素層23は、柱状組織を呈し、気孔のない緻密な組成であることから、CVDガスの浸透を防ぐことができる。また、熱分解炭素層23の内部にCVDガスの侵入がないことから、熱分解炭素層23と支持具被膜は明瞭な界面を形成する。そのため、セラミック基材支持具11の熱分解炭素層は、支持具被膜25に対する剥離性が得られる。
【0048】
セラミックス基材支持具11の芯材21を被覆する支持具被膜25は、セラミックス基材15を被覆するセラミックス部材被膜17と同一材質であることが好ましい。セラミックス部材19からセラミックス基材支持具11を分離した際に、セラミックス基材支持具11から剥離してセラミックス部材19に残るセラミックス基材支持具11の先端部13が、セラミックス基材15に被覆されるセラミックス部材被膜17と同一材質となる。このため、セラミックス基材15は、セラミックス部材被膜と支持具被膜25の熱膨張差などにより、微小クラックが形成されにくくなる。そのため、セラミックス基材15は、セラミックス被膜で確実に被覆されることになる。
【0049】
また、支持具被膜25は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることが好ましい。支持具被膜25が炭化物系セラミックスの場合、これらのセラミックスのCVDによる成膜温度(例えば800〜1400℃)ではセラミック基材支持具の熱分解炭素層との反応性に乏しく、セラミック基材支持具を繰り返し使用してもセラミックス部材を熱分解炭素被膜が劣化、反応、消耗させることがない。
【0050】
支持具被膜25は、炭化珪素であってもよい。支持具被膜25が炭化珪素であることで、真空中及び高温での安定した使用が可能となる。また、炭化珪素は、共有結合性が強く、硬度が高いので、CVD炉に炉詰めする際などセラミックス基材支持具の支持具先端部の欠け、磨耗を防ぐことができる。また、炭化珪素を用いることで高温強度、耐食性にも優れた被膜が得られる。炭化珪素は芯材の黒鉛との熱膨張係数が近いため、昇温により支持具被膜にクラックが発生しにくい。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離した支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長ができにくい。
【0051】
セラミックス部材19を形成するためのセラミックス基材15は、黒鉛からなる。セラミックス基材15が黒鉛であることで軟らかく、様々な形状に加工しやすい。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具の先端部の熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材(例えばサセプタ)等の製造に好適に使用することができる。
【0052】
セラミックス基材支持具11に被覆された支持具被膜25(炭化珪素被膜)の厚さは、セラミックス基材15である黒鉛基材に被覆されるセラミックス部材被膜17の厚さの1〜3倍であることが好ましい。さらに、支持具被膜25の厚さは、セラミックス部材被膜17の厚さの1.5〜2倍であることがより好ましい。支持具被膜25の厚さは、セラミックス部材被膜17の厚さの1倍未満であると十分な厚さの被覆を形成することができず、支持具被膜25の厚さは、セラミックス部材被膜17の厚さの3倍を超えると支持具被膜25がセラミックス基材支持具11から分離されて、セラミックス基材支持具先端の支持具被膜がセラミックス部材被膜17と一体化したときに、セラミックス基材15に形成されたセラミックス部材被膜17の表面に過剰な凹部や凸部を生じやすくなる。
【0053】
セラミックス基材支持具11の先端部13の芯材は該セラミック基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有するように形成されている。すなわちセラミックス基材支持具11の先端部13芯材が平坦であるので、平坦な芯材表面に形成された熱分解炭素層23も平坦に形成される。このため、セラミックス部材被膜を被覆後にセラミックス基材支持具11を分離する際、熱分解炭素層の被覆された芯材の先端部が折れにくくすることができる。セラミックス基材支持具の熱分解炭素層に被覆された芯材の先端部がセラミックス部材に残留しないので、改めて除去する必要が無い。またセラミックス部材支持具の熱分解炭素層の被覆された芯材は、芯材自体は元のままであるので支持具被膜を被覆すれば繰り返し使用することができる。
セラミックス基材支持具11の先端部13の芯材表面に形成する熱分解炭素層23は、3〜100μmであることが好ましい。セラミックス基材支持具11の先端部13の芯材表面に形成する熱分解炭素層23は3μm未満であると、多孔質の黒鉛基材の表面を十分に平滑にすることができず、支持具被膜が剥離熱分解炭素層から剥離にくくなる。セラミックス基材支持具11の先端部13の芯材表面に形成する熱分解炭素層23は100μmを越えると、セラミックス基材支持具11の先端部13に形成された平坦部の周囲にあるエッジ部の曲率半径が大きくなるようになり、セラミックス基材支持具11の先端部13に形成された平坦部が小さくなる。このため、セラミックス部材の支持点に凹みができやすくなる。
【0054】
支持具被膜はCVD法により形成されたものであることが好ましい。CVD法で形成された被膜は緻密な組織を形成するので、気体の透過性が低く、反応性のガスからセラミックス基材を守り、セラミックス基材から不純物の放出を防止することができる。
また、セラミックス基材支持具11に形成される熱分解炭素の厚さは、10〜200μmであることが好ましい。セラミックス基材支持具11に形成される熱分解炭素の厚さが、10μm未満であると、セラミックス基材支持具11先端では摩耗などによって芯材が露出しやすくなり、支持具被膜を剥離しやすくなる。セラミックス基材支持具11に形成される熱分解炭素の厚さが、200μmを超えるとセラミックス基材支持具11の芯材と熱分解炭素膜との熱膨張差によりセラミックス基材支持具11の先端の熱分解炭素膜にクラックが入りやすくなる。さらに望ましい範囲は、30〜100μmである。
【0055】
次に、上記のセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法を説明する。
図4は本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法の手順を(a)〜(d)で示した工程説明図である。
図4(a)に示すように、黒鉛からなる芯材21と、少なくとも先端部13を含む表面に、熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25を有するセラミックス基材支持具11を準備する。セラミックス基材支持具11の芯材21に支持具被膜25を形成する温度は例えば1000〜1400℃である。
【0056】
図4(b)に示すように、セラミックス基材支持具11によりセラミックス基材15を支持する。
図4(c)に示すように、セラミックス基材支持具11に支持されたセラミックス基材15に対して、セラミックス基材支持具11と共に反応炉内でSiC、Si3N4などのセラミックス被膜を被覆し、セラミックス部材被膜17を形成する。セラミックス基材15へセラミックス部材被膜17を形成する温度は例えば1000〜1400℃である。このとき同時に熱分解炭素の形成された黒鉛の芯材を炉内に配置することにより、次の処理で使用するセラミックス基材支持具を同時に作成することができる。
【0057】
図4(d)に示すように、セラミックス部材被膜17をセラミックス基材15の表面及びセラミックス基材支持具11の表面に被覆した後、セラミックス基材15からセラミックス基材支持具11を分離する。セラミックス基材支持具11で支持したセラミックス部材被膜17が形成されたセラミックス部材19を、セラミックス基材支持具11の先端部13における面に沿って力を加えて折ることにより分離を行う(図面上横向きに)。折るように分離することによりセラミックス部材とセラミックス基材支持具との間のノッチを起点に破壊されるので、セラミックス基材支持具分離後の破断面の面積を小さくすることができる。これにより、セラミックス基材支持具11は、先端部13における支持具被膜25が、熱分解炭素層23との境界を境に剥離(分離)されることになる。支持具被膜25が先端部13から剥離されたセラミックス基材支持具11は、熱分解炭素層23で支持具被膜を容易に剥離できるので、セラミックス部材被膜及び支持具被膜を剥離して再使用(リサイクル)することができる。このように、セラミックス基材支持具11は、先端部13の支持具被膜25を剥離して得たものであってもよい。
【0058】
図5は比較例に係るセラミックス基材支持具27を用いたセラミックス部材19のセラミックス部材被膜17の形成された状態を示すセラミックス被膜17の断面図、図6は比較例に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法の手順を(a)〜(d1)、(d2)で示した工程説明図である。
本発明の実施の形態1及び2に対し、図5に示す比較例に係るセラミックス基材支持具27では、熱分解炭素層23が存在していない。また、セラミックス基材支持具の平坦な先端部13も形成されない。このため、図6の比較例に示すように、本発明の第1実施形態と同様の手順である図6(a)〜(c)を経た後、セラミックス部材被膜17をセラミックス基材15及びセラミックス基材支持具27に被覆した後、セラミックス基材15からセラミックス基材支持具27を分離すると、セラミックス基材15が凹部29底部で露出したり(図6(d1)参照)、支持具被膜25が大きな突起となってセラミックス部材中に残留したりする問題が生じる(図6(d2)参照)。
【0059】
これに対し、本実施の形態1及び本実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法では、セラミックス基材支持具11の芯材21に熱分解炭素層23が被覆され、さらにその表面が支持具被膜25にて被覆されている。セラミックス基材支持具11の熱分解炭素層23は気孔がないため、支持具被膜25を被覆した際に、支持具被膜25の原料ガスが熱分解炭素層内部に浸透することがない。このため、セラミックス基材15にセラミックス部材被膜17を被覆してセラミックス部材19を製造した後、セラミックス基材支持具11の先端部を折る際に、セラミックス基材支持具11の熱分解炭素層23と支持具被膜25との間で容易な切り離しが可能となる。セラミックス基材支持具11に熱分解炭素層23が介在することで支持具被膜25は熱分解炭素層との界面で折れやすく、セラミックス基材15が露出したり、セラミックス部材被膜17を被覆したセラミックス部材19の表面に、支持具被膜25が残りすぎて凹凸ができたりすることもない。
【0060】
図7(a)は本発明の実施の形態2によって得られたセラミックス部材19の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、(b)は本発明の実施の形態2によるセラミックス基材支持具11の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。図8(a)、(b)は、図7(a)、(b)の写真を模式的に示した図である。一方、図9(a)は比較例によって得られたセラミックス部材19の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、(b)は比較例によるセラミックス基材支持具27の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。図10(a)、(b)は、図9(a)、(b)の写真を模式的に示した図である。
上記の本発明の実施の形態2のセラミックス部材の製造方法による結果のセラミックス部材19の分離部分と、セラミックス基材支持具11の先端部13を観察した結果を示す。図7(a)に示す実施の形態の場合では、分離部分に確実に支持具被膜25が形成されることになる。即ち、図9(a)に示す比較例(従来技術)の場合のように、支持具被膜25が薄くなることがない。
【0061】
また、セラミックス部材より分離した後のセラミックス基材支持具11も、図7(b)に示す実施の形態2のものでは、先端部13から支持具被膜25が剥離されて熱分解炭素層23が露出している。即ち、図9(b)に示す比較例(従来技術)のように支持具被膜25が残留することがない。このため、本実施の形態2のセラミックス基材支持具11では、セラミックス基材支持具11の先端部周囲のセラミックス部材被膜及び支持具被膜をはがし、次回の支持具被膜25の被覆を新規に被覆することができ、先端部13が再使用の度に肥大化して、結局使用できなくなってしまうことがない。
【0062】
したがって、本実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11によれば、セラミックス基材15(炭化珪素被膜が形成された黒鉛基材)を支持するセラミックス基材支持具11の先端部13に設けられた支持具被膜25(セラミックス基材支持具の炭化珪素被膜)が、熱分解炭素層23を介して芯材21に形成される。そのためセラミックス基材支持具11の熱分解炭素層23から分離した支持具被膜25を、確実にセラミックス基材15(SiC被覆黒鉛材)に残すことができる。
【0063】
また、本実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法によれば、セラミックス基材支持具11の先端部13に形成した支持具被膜25(セラミックス基材支持具の炭化珪素被膜)を確実にセラミックス基材15に形成されたセラミックス被膜17中(炭化珪素被覆黒鉛基材)に残すことができるので、支持点部分にクラックや突起などの欠陥の少ないセラミックス部材19を得ることができる。
【0064】
本実施の形態1、本実施の形態2、比較例(従来技術)において、熱分解炭素層、セラミックス部材被膜、支持具被膜の成膜方法は、一般的な方法で成膜することが出来、特に限定されない。例えば以下のような方法で形成することができる。
(セラミックス部材被膜)
黒鉛の芯材を先端部が露出するようにCVD炉内に配置し、真空引き後、昇温する。成膜温度は、例えば800〜1400℃の範囲内の一定温度に炉内を保持する。次に炉内にキャリアガスとして水素、原料ガスとしてCH3Cl3Siなどを導入し、数時間保持してセラミックス基材、黒鉛の芯材表面にセラミックス部材被膜を沈積させる。尚、CH3Cl3Siを原料ガスとして使用した場合には、セラミックス部材被膜は炭化硅素となる。原料ガスは、CH3Cl3Siに限定されず、セラミックス部材被膜の種類に応じて一般的な原料ガスから適宜選択することができる。
(支持具被膜)
セラミックス基材を、セラミックス基材支持具で保持しCVD炉内に配置し、真空引き後、昇温する。成膜温度は、例えば800〜1400℃の範囲内の一定温度に炉内を保持する。次に炉内にキャリアガスとして水素、原料ガスとして、CH3Cl3Siなどを導入し、数時間保持して黒鉛の芯材表面に支持具被膜を沈積させる。(本実施の形態1、本実施の形態2では、黒鉛の芯材表面に熱分解炭素層は形成されている。)尚、CH3Cl3Siを原料ガスとして使用した場合には、支持具被膜は炭化硅素となる。原料ガスは、CH3Cl3Siに限定されず、支持具被膜の種類に応じて一般的な原料ガスから適宜選択することができる。
(熱分解炭素層)
黒鉛の芯材を先端部が露出するようにCVD炉内に配置し、真空引き後、昇温する。成膜温度は、例えば1200〜2000℃の範囲の一定温度に炉内を保持する。次に炉内にキャリアガスとして水素、原料ガスとして、メタン、エタン、プロパンなどの炭化水素ガスを導入し、数時間保持して黒鉛の芯材表面に熱分解炭素層を沈積させる。
尚、熱分解炭素層、支持具被膜は、それぞれ個別に処理してもよく、熱分解炭素層、支持具被膜の順に連続して同一の炉で処理することもできる。熱分解炭素層、支持具被膜を同一の炉で処理する場合には、熱分解炭素層を形成した後、支持具被膜の成膜温度に炉内温度を調整し、原料ガスを切り替えて連続して処理することができる。熱分解炭素層、支持具被膜を連続して処理することにより、処理工程を簡略化することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更又は応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
11 セラミックス基材支持具
13 先端部
15 セラミックス基材
17 セラミックス部材被膜
19 セラミックス部材
21 芯材
23 熱分解炭素層
25 支持具被膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス基材支持具及びセラミックス部材の製造方法に関し、特にはCVD法によりセラミックス部材の製造を行う際に使用するセラミックス基材支持具及びCVD法によりセラミックス基板にセラミックス被覆を行うセラミックス部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
黒鉛などのセラミックス基材にCVD法にてSiCなどのセラミックス被膜を被覆してセラミックス部材を作製する際、セラミックス基材を支持する支持点にはセラミックス被膜が形成されない。このため、通常は支持点の場所を変えて、複数層の被膜を形成する方法がとられる。一方、生産性を高めるために一層の被膜で支持点にも被膜を形成する方法が提案されている。例えば、セラミックス基材をセラミックス被膜と同材質の被膜を有する支持ピンで支持し、その同材質の被膜をセラミックス基材の支持点に残留させて被覆を行うセラミックス部材の製造方法が特許文献1及び2に提案されている。
特許文献1に開示されるSiC被覆炭素材の製法は、炭素製の支持具が円錐形、角錐等であり、その頂部に黒鉛基材を載置させる表面をSiC、Si、またはSi3N4で被覆している。頂部の面積は炭素基材を破損しない範囲でできるだけ小さくして炭素基材へのSiC被覆を均一にすることが記載されている。
【0003】
特許文献2に開示される気相蒸着セラミックス部材とその製造方法は、支持治具の形状が、円柱形状、多角形柱、さらには、円錐や多角形錐でも可能であること、被覆するセラミックスと同一セラミックスが被覆されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−166286号公報
【特許文献2】特開2005−213571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの支持具及びセラミックス部材の製造方法には以下の問題がある。従来は、例えば図11に示す(特許文献2参照)ように、黒鉛基材(セラミックス基材)501を、表面にSiC被膜(支持具被膜)を有するセラミックス基材支持具(支持ピン)505で支持して、黒鉛基材501及び支持ピン505にCVD法によりSiC被膜を形成した後、支持ピン505を除去する方法でセラミックス部材を製造する方法がとられていた。このとき支持ピン505の先端506が黒鉛基材501に形成されたSiC被膜(セラミックス部材被膜)507側に残り、セラミックス部材被膜507と一体となる。しかしながら、支持ピンに形成されたSiC被膜(支持具被膜)の先端506はどの位置で分離されるか決まっておらず、SiC−CVD被覆が形成されたセラミックス部材から支持ピン505を分離するときに、支持ピン505の先端506がきれいに折れずに、黒鉛基材501のセラミックス部材被膜507が薄膜化したり、剥離して黒鉛基材501が露出するという問題がある。また、支持ピン505の支持具被膜が大きな突起となって黒鉛基材501のセラミックス部材被膜507中に残留する問題もあった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、支持具被膜を確実にセラミックス基材に(SiC被覆黒鉛材)に残して、ピンホールなどの欠陥の少ないセラミックス部材を得ることのできるセラミックス基材支持具及びセラミックス部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 先端部にセラミックス基材を支持して反応炉内で該セラミックス基材にセラミックス部材被膜を形成しセラミックス部材を製造する際に使用されるセラミックス基材支持具であって、前記セラミックス基材支持具は、黒鉛からなる芯材と、少なくとも前記先端部を含む表面に、熱分解炭素層を介在させた支持具被膜とを有することを特徴とするセラミックス基材支持具。
【0008】
このセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材支持具が、黒鉛の芯材を有し、その黒鉛の表面に熱分解炭素が被覆され、さらにその表面が支持具被膜にて被覆されている。熱分解炭素は気孔がないため、支持具被膜を被覆した際に、支持具被膜は熱分解炭素層内部に浸透して形成されない。このため、支持具被膜と熱分解炭素層との接着力を小さくすることができる。セラミックス基板にセラミックス部材被膜を形成したセラミックス部材及びセラミックス基材支持具からセラミックス基材支持具を取り除く際に、セラミックス基材支持具の熱分解炭素層と支持具被膜との間(すなわち決まった箇所)で容易に切り離される。そのためセラミックス部材からセラミックス基材が露出したり、セラミックス基板に形成されたセラミックス部材被膜の表面に、セラミックス基材支持具の支持具被膜の残る量が多くなりすぎることによるセラミックス基板のセラミックス被膜の凹凸ができにくい。
【0009】
(2) 前記支持具被膜は、前記セラミックス部材被膜と同一材質であることを特徴とする(1)のセラミックス基材支持具。
【0010】
このセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材支持具から分離してセラミックス部材に残るセラミックス基材の先端部(支持具被膜)が、セラミックス基材に被覆されるセラミックス部材被膜と同一材質となり、セラミックス部材表面は、単一の種類の被膜で覆われることとなる。このため、セラミックス基材の支持点では、セラミックス部材被膜と支持具被膜の熱膨張差などにより、それらの界面を基点とした微小クラックが形成されにくくなる。その結果、セラミックス基材にセラミックス被膜を確実に被覆することができる。
【0011】
(3) 前記支持具被膜は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることを特徴とする(1)または(2)のセラミックス基材支持具。
【0012】
このセラミックス基材支持具によれば、支持具被膜が炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスである。これらのセラミックスのCVDによる成膜温度(例えば800〜1400℃)では熱分解炭素との反応性に乏い。そのため、セラミックス基材支持具は、セラミックス部材の製造を繰り返し使用してもセラミックス基材支持具の熱分解炭素被膜が劣化、反応又は消耗することがなくセラミックス基材支持具を繰り返し使用することができる。
【0013】
(4) 前記支持具被膜は、炭化珪素であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つのセラミックス基材支持具。
【0014】
このセラミックス基材支持具によれば、支持具被膜が炭化珪素となることで、真空中及び高温での安定した使用が可能となる。また、炭化珪素は、共有結合性が強く、硬度が高いので、CVD炉に炉詰めする際などセラミックス基材支持具先端部の欠け又は磨耗を防ぐことができる。また炭化珪素を使用することにより、セラミックス基材支持具は、高温強度、耐食性にも優れた被膜が得られる。炭化珪素はセラミックス基材支持具の芯材の黒鉛との熱膨張係数が近いため、昇温により支持具被膜にクラックが発生しにくい。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離して支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長ができにくい。
【0015】
(5) 前記先端部における芯材はセラミックス基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つのセラミックス基材支持具。
【0016】
このセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材支持具の芯材の先端部が平坦に形成されている。すなわちセラミックス基材支持具の先端部の芯材が平坦であるので、セラミックス基材支持具の平坦な芯材表面に形成された熱分解炭素層も平坦に形成される。このため、セラミックス部材被膜を被覆後にセラミックス基材支持具をセラミックス基材から分離する際、セラミックス基材支持具の熱分解炭素の被覆された芯材の先端が折れにくくすることができる。熱分解炭素の被覆された芯材の先端部がセラミックス部材に残留しないので、改めて除去する必要が無い。また、セラミックス基材支持具の熱分解炭素の被覆された芯材は、芯材自体は元のままであるので支持具被膜を被覆すればセラミックス基材支持具は繰り返し使用することができる。
【0017】
(6) 前記セラミックス基材は、黒鉛であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つのセラミックス部材を製造するためのセラミックス基材支持具。
【0018】
このセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材が黒鉛であることで軟らかく、様々な形状に加工しやすい。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具先端部の熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材(例えば、サセプタ等)の製造に好適に使用できる。
【0019】
(7) セラミックス基材とセラミックス被膜とからなるセラミックス部材の製造方法であって、黒鉛からなる芯材と、少なくとも先端部を含む表面に、熱分解炭素層を介在して支持具被膜を有するセラミックス基材支持具を準備し、前記セラミックス基材支持具の前記先端部によりセラミックス基材を支持させて反応炉内で該セラミックス基材支持具を含む前記セラミックス基材にセラミックス部材被膜を形成した後、前記セラミックス部材から前記セラミックス基材支持具を分離して、前記セラミックス基材にセラミックス被膜を形成することを特徴とするセラミックス部材の製造方法。
【0020】
このセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材支持具が黒鉛の芯材を有し、その黒鉛の芯材に熱分解炭素が被覆され、さらに熱分解炭素層の上に支持具被膜にて被覆されている。セラミックス基材支持具の熱分解炭素は気孔がないため、支持具被膜を熱分解炭素上に被覆した際に、支持具被膜は熱分解炭素層内部に浸透して形成されない。このため、支持具被膜と熱分解炭素層との接着力を小さくすることができる。セラミックス部材被膜を形成したセラミックス部材をセラミックス基材支持具から取り除く際に、熱分解炭素層と支持具被膜との間(すなわち決まった箇所)で容易に切り離される。そのため、セラミックス基材が露出したり、セラミックス部材被膜を被覆したセラミックス部材の表面に、支持具被膜が残る量が多くなりすぎて、セラミックス基材に形成されたセラミックス被膜の表面に凹凸ができにくい。
【0021】
(8) 前記支持具被膜は、前記セラミックス部材被膜と同一材質であることを特徴とする(7)のセラミックス部材の製造方法。
【0022】
このセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材に形成されたセラミックス被膜に残るセラミックス部材支持具の先端部(支持具被膜)が、セラミックス基材に被覆されるセラミックス部材被膜と同一材質となり、セラミックス部材表面は、単一の種類の被膜で覆われることとなる。このため、セラミックス基材はセラミックス部材被膜と支持具被膜の熱膨張差などにより、それらの界面を基点とした微小クラックが形成されることない。そのため、セラミックス基材に確実にセラミックス被膜を被覆することができる。
【0023】
(9) 前記支持具被膜は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることを特徴とする(7)または(8)のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【0024】
このセラミックス部材の製造方法によれば、支持具被膜が炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであるので、これらのセラミックスのCVDによる成膜温度(例えば800〜1400℃)では熱分解炭素との反応性に乏しくなる。その結果、セラミックス基材支持具を繰り返し使用しても熱分解炭素層が劣化、反応又は消耗することがなくセラミックス基材支持具を繰り返し使用することができる。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離した支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長が発生しにくい。
【0025】
(10) 前記支持具被膜は、炭化珪素であることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1つのセラミックス部材の製造方法。
【0026】
このセラミックス部材の製造方法によれば、支持具被膜が炭化珪素である。そのため真空中及び高温での安定した使用が可能となる。また、炭化珪素は、共有結合性が強く、硬度が高いので、CVD炉に炉詰めする際など支持具先端部の欠け又は磨耗を防ぐことができる。また、炭化珪素を使用することにより、高温強度、耐食性にも優れた被膜が得られる。炭化珪素はセラミックス基材支持具の芯材の黒鉛との熱膨張係数が近いため、昇温により支持具被膜にクラックが発生しにくい。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離した支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長ができにくい。
【0027】
(11) 前記先端部は前記セラミックス基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有することを特徴とする(7)〜(10)のいずれか1つのセラミックス部材の製造方法。
【0028】
このセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材支持具の芯材の先端部が平坦に形成されている。すなわちセラミックス基材支持具の先端部の芯材が平坦であるので、平坦な芯材の表面に形成されたセラミックス基材支持具の熱分解炭素層も平坦に形成される。このため、セラミックス部材被膜を被覆後にセラミックス基材支持具をセラミックス部材から分離する際、熱分解炭素の被覆された芯材の先端が折れにくくすることができる。セラミックス基材支持具の熱分解炭素の被覆された芯材の先端部をセラミックス部材に残留しないので、改めて除去する必要が無い上に、熱分解炭素の被覆された芯材は、芯材自体は元のままであるので支持具被膜を被覆すればセラミックス基材支持具を繰り返し使用することができる。
【0029】
(12) 前記セラミックス基材は、黒鉛からなることを特徴とする(7)〜(11)のいずれか1つのセラミックス部材の製造方法。
【0030】
このセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材が黒鉛であることで軟らかく、様々な形状に加工しやすい。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具先端部の熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材(例えばサセプタ)等の製造に好適に使用することができる。
(13) 前記セラミックス基材に形成されるセラミックス被膜には前記支持具被膜が存在することを特徴とする請求項(7)〜(12)のいずれか1つのセラミック部材の製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るセラミックス基材支持具によれば、セラミックス基材を支持するセラミックス基材支持具の先端部に設けられた支持具被膜が、熱分解炭素層を介して芯材に形成されているので、熱分解炭素層から支持具被膜を容易に分離することができる。このため、セラミックス部材のセラミックス基材表面にセラミックス部材被膜とセラミックス基材支持具から剥離してセラミックス基材の被膜に存在するセラミックス基材支持具のセラミックス被膜とを一体化して確実に残すことができる。
【0032】
本発明に係るセラミックス部材の製造方法によれば、セラミックス基材支持具の先端部に形成した支持具被膜が剥離してセラミックス基材の被膜に存在するセラミックス基材支持具のセラミックス被膜を、セラミックス基材表面のセラミックス部材被膜と一体化して確実に残すことができるので、欠陥の少ないセラミックス基材に形成されたセラミックス被膜を有するセラミックス部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成された状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るセラミックス基材支持具を用いた製造方法の手順を(a)〜(d)で示した工程説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成された状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具を用いた製造方法の手順を(a)〜(d)で示した工程説明図である。
【図5】比較例に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成された状態を示す断面図である。
【図6】比較例に係るセラミックス基材支持具を用いた製造方法の手順を(a)〜(d1)、(d2)で示した工程説明図である。
【図7】(a)は本発明の実施の形態2によって得られたセラミックス部材の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、(b)は本発明の本実施の形態2によるセラミックス基材支持具の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図8】(a)、(b)は、図7(a)、(b)の写真を模式的に示した図である。
【図9】(a)は比較例によって得られたセラミックス部材の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、(b)は比較例によるセラミックス基材支持具の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図10】(a)、(b)は、図9(a)、(b)の写真を模式的に示した図である。
【図11】従来のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明において、セラミックス基材とは、特に限定されないが、例えば黒鉛、炭素繊維強化炭素複合材、炭化硅素、ジルコニア、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化硅素、炭化硼素、窒化硼素、タンタルカーバイドなどどのようなものでも利用できる。中でもセラミックス基材は黒鉛であることが好ましい。黒鉛は軟らかく、様々な形状に加工することができる。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具先端部の熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材(例えばサセプタ)等の製造に好適となる。
本発明において、セラミックス部材被膜及び支持具被膜は特に限定されないが、例えば、炭化硅素、窒化硼素、窒化硅素、タンタルカーバイド、窒化硅素など、CVDで成膜することができるものであればどのような材料でもかまわない。また、セラミックス部材被膜と支持具被膜は、同一の種類であっても、異なる被膜であってもかまわないが、同一の種類であることが好ましい。同一の種類とは、セラミックス部材被膜と支持具被膜の主要成分が同一物質であることをいう。
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成された状態を示す断面図である。
本実施の形態に係るセラミックス基材支持具11は、先端部13にセラミックス基材15を支持して反応炉内でセラミックス基材15にセラミックス部材被膜17を形成しセラミックス部材19を製造する際に使用される。セラミックス基材支持具11は、芯材21が黒鉛からなる。芯材21は、尖った先端部13を有するピン形状に形成されている。セラミックス基材支持具11は、例えば円錐形あるいは角錐形に形成される。円錐形または角錐形の先端部13は平坦面ではなく尖っている。
【0035】
セラミックス基材支持具11は、少なくとも先端部13を含む表面に形成された熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25で被覆されている。セラミック基材支持具の熱分解炭素層23は、柱状組織を呈し、気孔のない緻密な組成であることから、CVDガスの浸透を防ぐことができる。また、セラミック基材支持具の熱分解炭素層23内部にCVDガスの侵入がないことから、セラミック基材支持具の熱分解炭素層23と支持具被膜25は互いに明瞭な界面を形成する。そのため、セラミック基材支持具の熱分解炭素層23は支持具被膜25に対する剥離性が得られる。
【0036】
セラミックス基材支持具11の芯材21を被覆する支持具被膜25は、セラミックス基材15を被覆するセラミックス部材被膜17と同一材質であることが好ましい。セラミックス部材19からセラミックス基材支持具11を分離した際に、セラミックス基材支持具11から剥離してセラミックス基材15に残るセラミック基材支持具の先端部13(支持具被膜)が、セラミックス基材15に被覆されるセラミックス部材被膜17と同一材質となる。このため、セラミックス基材15は、セラミックス部材被膜と支持具被膜の熱膨張差などにより、微小クラックが形成されにくくなる。そのためセラミックス被膜で確実に被覆されることになるからである。
【0037】
また、支持具被膜25は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることが好ましい。支持具被膜25が炭化物系セラミックスの場合、これらのセラミックスのCVDによる成膜温度(例えば800〜1400℃)ではセラミック基材支持具の熱分解炭素との反応性に乏しい。そのため、セラミックス基材支持具を繰り返し使用してもセラミックス基材支持具の熱分解炭素被膜が劣化、反応、消耗することがない。
【0038】
支持具被膜25は、炭化珪素であることがより好ましい。支持具被膜25が炭化珪素であると、真空中及び高温での安定したセラミックス基材支持具の使用が可能となる。また、炭化珪素は、共有結合性が強く、硬度が高いので、CVD炉に炉詰めする際などセラミックス基材支持具の先端部の欠け、磨耗を防ぐことができる。また、炭化珪素を使用すると、高温強度、耐食性にも優れた被膜が得られる。炭化珪素は芯材の黒鉛との熱膨張係数が近いため、昇温により支持具被膜にクラックが発生しにくい。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離した支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長ができにくい。
【0039】
セラミックス部材19を形成するためのセラミックス基材15は、黒鉛からなる。セラミックス基材15が黒鉛であることで、軟らかく、様々な形状に加工しやすい。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具の先端部に形成された熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材、(例えば、サセプタ)等の製造に使用することができる。
【0040】
セラミックス基材支持具11の支持具被膜25(炭化珪素被膜)の厚さは、セラミックス基材15である黒鉛基材に被覆されるセラミックス部材被膜17の厚さの1〜3倍であることが好ましい。さらに、支持具被膜25の厚さは、セラミックス部材被膜17の厚さの1.5〜2倍であることがより好ましい。支持具被膜25の厚さが、セラミックス部材被膜17の厚さの1倍未満であると十分な厚さの被覆を形成することができない。支持具被膜25の厚さが、セラミックス部材被膜17の厚さの3倍を超えると支持具被膜25がセラミックス基材支持具11から分離されて、セラミックス基材支持具先端の支持具被膜がセラミックス部材被膜17と一体化したときに、セラミックス基材に形成されたセラミックス部材被膜17の表面に過剰な凹部や凸部を生じやすくなる。
【0041】
支持具被膜はCVD法により形成されたものであることが好ましい。CVD法で形成されたセラミックス被膜は緻密な組織を形成するので、気体の透過性が低く、反応性のガスからセラミックス基材を守り、セラミックス基材から不純物の放出を防止することができる。
また、セラミックス基材支持具11に形成される熱分解炭素層の厚さは、10〜200μmであることが好ましい。10μm未満であると、セラミックス基材支持具11先端では摩耗などによって芯材が露出しやすくなり、支持具被膜が剥離しやすくなる。200μmを超えるとセラミックス基材支持具11の芯材と熱分解炭素層との熱膨張差によりセラミックス基材支持具11の先端の熱分解炭素層にクラックが入りやすくなる。
【0042】
セラミックス基材支持具11の先端部13はセラミックス基材15に対し尖った先端部として形成されている。セラミックス基材支持具11の先端部13が尖っているので、セラミックス基材支持具11とセラミックス基材15との間にセラミックス部材被膜の原料ガスが供給されるため、強い接合力を得ることができる。
【0043】
次に、上記のセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法を説明する。
図2は本発明の実施の形態1に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法の手順を(a)〜(d)で示した工程説明図である。
図2(a)に示すように、黒鉛からなる芯材21と、少なくとも先端部13を含む表面に、熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25を有するセラミックス基材支持具11を準備する。セラミックス基材支持具の芯材21に支持具被膜25を形成する温度は例えば1000〜1400℃である。
【0044】
図2(b)に示すように、セラミックス基材支持具11の先端部13によりセラミックス基材15を支持する。
図2(c)に示すように、セラミックス基材支持具11の先端部13に支持されたセラミックス基材15に対して、セラミックス基材支持具11と共に反応炉内でSiC、Si3N4などをセラミックス基材15の表面に被覆し、セラミックス部材被膜17を形成する。セラミックス基材15へセラミックス部材被膜17を形成する温度は例えば1000〜1400℃である。このとき同時に熱分解炭素層の形成された黒鉛の芯材を炉内に配置することにより、次の処理で使用するセラミックス基材支持具を同時に作成することができる。
【0045】
図2(d)に示すように、セラミックス部材被膜17をセラミックス基材15の表面及びセラミックス基材支持具11の表面に被覆した後、セラミックス基材15からセラミックス基材支持具11を分離する。セラミックス基材支持具11で支持したセラミックス部材被膜17が形成されたセラミックス部材19を、セラミックス基材支持具11に曲げるように力を加えて折り分離を行う(図面上横向きに)。折るように分離することによりセラミックス部材とセラミックス基材支持具との間のノッチを起点に破壊されるので、セラミックス基材支持具分離後の破断面の面積を小さくすることができる。これにより、セラミックス基材支持具11の先端部13における支持具被膜25は、熱分解炭素層23との境界を境にセラミックス基材支持具11に形成されたセラミックス被膜17と共に剥離されることになる。支持具被膜25が先端部13から剥離されたセラミックス基材支持具11は、熱分解炭素層23と、支持具被膜25との接着力が弱いので、セラミック部材被膜及び支持具被膜を剥離して再使用(リサイクル)することができる。このように、セラミックス基材支持具11は、先端部13の支持具被膜25を剥離して得たもの再利用してもよい。
【0046】
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照して説明する。
図3は本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材のセラミックス部材被膜の形成されたセラミックス被膜の状態を示す断面図である。
本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11は、先端部13にセラミックス基材15を支持して反応炉内でセラミックス基材15にセラミックス部材被膜17を形成しセラミックス部材19を製造する際に使用される。セラミックス基材支持具11は、セラミック基材支持具11の芯材21が黒鉛からなる。セラミックス基材支持具11は、例えば円錐形あるいは角錐形に形成される。芯材21は、平坦な先端部13を有するピン形状に形成されている。円錐形または角錐形の芯材の先端部13は、直径0.5mm以下の円に収まる平坦面とすることが望ましい。芯材の先端部13に直径0.5mmの円をはみ出して平坦面が形成されていると、支持点において支持具被膜とセラミック基材とが接するセラミック基材支持具11の先端部13の支持領域が大きくなる。このセラミック基材支持具11の先端部13支持領域は、セラミックス部材被膜の原料ガスが流れ込みにくくなるので、セラミックス部材被膜の無い支持領域の面積が大きくなりセラミックス基材から支持具被膜が剥離し基材が露出し易くなる。
【0047】
セラミックス基材支持具11は、少なくとも先端部13を含む表面に、熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25を被覆する。熱分解炭素層23は、柱状組織を呈し、気孔のない緻密な組成であることから、CVDガスの浸透を防ぐことができる。また、熱分解炭素層23の内部にCVDガスの侵入がないことから、熱分解炭素層23と支持具被膜は明瞭な界面を形成する。そのため、セラミック基材支持具11の熱分解炭素層は、支持具被膜25に対する剥離性が得られる。
【0048】
セラミックス基材支持具11の芯材21を被覆する支持具被膜25は、セラミックス基材15を被覆するセラミックス部材被膜17と同一材質であることが好ましい。セラミックス部材19からセラミックス基材支持具11を分離した際に、セラミックス基材支持具11から剥離してセラミックス部材19に残るセラミックス基材支持具11の先端部13が、セラミックス基材15に被覆されるセラミックス部材被膜17と同一材質となる。このため、セラミックス基材15は、セラミックス部材被膜と支持具被膜25の熱膨張差などにより、微小クラックが形成されにくくなる。そのため、セラミックス基材15は、セラミックス被膜で確実に被覆されることになる。
【0049】
また、支持具被膜25は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることが好ましい。支持具被膜25が炭化物系セラミックスの場合、これらのセラミックスのCVDによる成膜温度(例えば800〜1400℃)ではセラミック基材支持具の熱分解炭素層との反応性に乏しく、セラミック基材支持具を繰り返し使用してもセラミックス部材を熱分解炭素被膜が劣化、反応、消耗させることがない。
【0050】
支持具被膜25は、炭化珪素であってもよい。支持具被膜25が炭化珪素であることで、真空中及び高温での安定した使用が可能となる。また、炭化珪素は、共有結合性が強く、硬度が高いので、CVD炉に炉詰めする際などセラミックス基材支持具の支持具先端部の欠け、磨耗を防ぐことができる。また、炭化珪素を用いることで高温強度、耐食性にも優れた被膜が得られる。炭化珪素は芯材の黒鉛との熱膨張係数が近いため、昇温により支持具被膜にクラックが発生しにくい。支持具被膜にクラックが発生しにくいので、剥離した支持具被膜の断片を起点とするセラミックス部材被膜の異常成長ができにくい。
【0051】
セラミックス部材19を形成するためのセラミックス基材15は、黒鉛からなる。セラミックス基材15が黒鉛であることで軟らかく、様々な形状に加工しやすい。また、黒鉛は多孔質であることから、セラミックス部材被膜と強固に接合し、前記のセラミックス基材支持具の先端部の熱分解炭素層と支持具被膜をはがし易くすることができる。したがって、半導体製造における各種熱処理用部材(例えばサセプタ)等の製造に好適に使用することができる。
【0052】
セラミックス基材支持具11に被覆された支持具被膜25(炭化珪素被膜)の厚さは、セラミックス基材15である黒鉛基材に被覆されるセラミックス部材被膜17の厚さの1〜3倍であることが好ましい。さらに、支持具被膜25の厚さは、セラミックス部材被膜17の厚さの1.5〜2倍であることがより好ましい。支持具被膜25の厚さは、セラミックス部材被膜17の厚さの1倍未満であると十分な厚さの被覆を形成することができず、支持具被膜25の厚さは、セラミックス部材被膜17の厚さの3倍を超えると支持具被膜25がセラミックス基材支持具11から分離されて、セラミックス基材支持具先端の支持具被膜がセラミックス部材被膜17と一体化したときに、セラミックス基材15に形成されたセラミックス部材被膜17の表面に過剰な凹部や凸部を生じやすくなる。
【0053】
セラミックス基材支持具11の先端部13の芯材は該セラミック基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有するように形成されている。すなわちセラミックス基材支持具11の先端部13芯材が平坦であるので、平坦な芯材表面に形成された熱分解炭素層23も平坦に形成される。このため、セラミックス部材被膜を被覆後にセラミックス基材支持具11を分離する際、熱分解炭素層の被覆された芯材の先端部が折れにくくすることができる。セラミックス基材支持具の熱分解炭素層に被覆された芯材の先端部がセラミックス部材に残留しないので、改めて除去する必要が無い。またセラミックス部材支持具の熱分解炭素層の被覆された芯材は、芯材自体は元のままであるので支持具被膜を被覆すれば繰り返し使用することができる。
セラミックス基材支持具11の先端部13の芯材表面に形成する熱分解炭素層23は、3〜100μmであることが好ましい。セラミックス基材支持具11の先端部13の芯材表面に形成する熱分解炭素層23は3μm未満であると、多孔質の黒鉛基材の表面を十分に平滑にすることができず、支持具被膜が剥離熱分解炭素層から剥離にくくなる。セラミックス基材支持具11の先端部13の芯材表面に形成する熱分解炭素層23は100μmを越えると、セラミックス基材支持具11の先端部13に形成された平坦部の周囲にあるエッジ部の曲率半径が大きくなるようになり、セラミックス基材支持具11の先端部13に形成された平坦部が小さくなる。このため、セラミックス部材の支持点に凹みができやすくなる。
【0054】
支持具被膜はCVD法により形成されたものであることが好ましい。CVD法で形成された被膜は緻密な組織を形成するので、気体の透過性が低く、反応性のガスからセラミックス基材を守り、セラミックス基材から不純物の放出を防止することができる。
また、セラミックス基材支持具11に形成される熱分解炭素の厚さは、10〜200μmであることが好ましい。セラミックス基材支持具11に形成される熱分解炭素の厚さが、10μm未満であると、セラミックス基材支持具11先端では摩耗などによって芯材が露出しやすくなり、支持具被膜を剥離しやすくなる。セラミックス基材支持具11に形成される熱分解炭素の厚さが、200μmを超えるとセラミックス基材支持具11の芯材と熱分解炭素膜との熱膨張差によりセラミックス基材支持具11の先端の熱分解炭素膜にクラックが入りやすくなる。さらに望ましい範囲は、30〜100μmである。
【0055】
次に、上記のセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法を説明する。
図4は本発明の実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法の手順を(a)〜(d)で示した工程説明図である。
図4(a)に示すように、黒鉛からなる芯材21と、少なくとも先端部13を含む表面に、熱分解炭素層23を介在して支持具被膜25を有するセラミックス基材支持具11を準備する。セラミックス基材支持具11の芯材21に支持具被膜25を形成する温度は例えば1000〜1400℃である。
【0056】
図4(b)に示すように、セラミックス基材支持具11によりセラミックス基材15を支持する。
図4(c)に示すように、セラミックス基材支持具11に支持されたセラミックス基材15に対して、セラミックス基材支持具11と共に反応炉内でSiC、Si3N4などのセラミックス被膜を被覆し、セラミックス部材被膜17を形成する。セラミックス基材15へセラミックス部材被膜17を形成する温度は例えば1000〜1400℃である。このとき同時に熱分解炭素の形成された黒鉛の芯材を炉内に配置することにより、次の処理で使用するセラミックス基材支持具を同時に作成することができる。
【0057】
図4(d)に示すように、セラミックス部材被膜17をセラミックス基材15の表面及びセラミックス基材支持具11の表面に被覆した後、セラミックス基材15からセラミックス基材支持具11を分離する。セラミックス基材支持具11で支持したセラミックス部材被膜17が形成されたセラミックス部材19を、セラミックス基材支持具11の先端部13における面に沿って力を加えて折ることにより分離を行う(図面上横向きに)。折るように分離することによりセラミックス部材とセラミックス基材支持具との間のノッチを起点に破壊されるので、セラミックス基材支持具分離後の破断面の面積を小さくすることができる。これにより、セラミックス基材支持具11は、先端部13における支持具被膜25が、熱分解炭素層23との境界を境に剥離(分離)されることになる。支持具被膜25が先端部13から剥離されたセラミックス基材支持具11は、熱分解炭素層23で支持具被膜を容易に剥離できるので、セラミックス部材被膜及び支持具被膜を剥離して再使用(リサイクル)することができる。このように、セラミックス基材支持具11は、先端部13の支持具被膜25を剥離して得たものであってもよい。
【0058】
図5は比較例に係るセラミックス基材支持具27を用いたセラミックス部材19のセラミックス部材被膜17の形成された状態を示すセラミックス被膜17の断面図、図6は比較例に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法の手順を(a)〜(d1)、(d2)で示した工程説明図である。
本発明の実施の形態1及び2に対し、図5に示す比較例に係るセラミックス基材支持具27では、熱分解炭素層23が存在していない。また、セラミックス基材支持具の平坦な先端部13も形成されない。このため、図6の比較例に示すように、本発明の第1実施形態と同様の手順である図6(a)〜(c)を経た後、セラミックス部材被膜17をセラミックス基材15及びセラミックス基材支持具27に被覆した後、セラミックス基材15からセラミックス基材支持具27を分離すると、セラミックス基材15が凹部29底部で露出したり(図6(d1)参照)、支持具被膜25が大きな突起となってセラミックス部材中に残留したりする問題が生じる(図6(d2)参照)。
【0059】
これに対し、本実施の形態1及び本実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法では、セラミックス基材支持具11の芯材21に熱分解炭素層23が被覆され、さらにその表面が支持具被膜25にて被覆されている。セラミックス基材支持具11の熱分解炭素層23は気孔がないため、支持具被膜25を被覆した際に、支持具被膜25の原料ガスが熱分解炭素層内部に浸透することがない。このため、セラミックス基材15にセラミックス部材被膜17を被覆してセラミックス部材19を製造した後、セラミックス基材支持具11の先端部を折る際に、セラミックス基材支持具11の熱分解炭素層23と支持具被膜25との間で容易な切り離しが可能となる。セラミックス基材支持具11に熱分解炭素層23が介在することで支持具被膜25は熱分解炭素層との界面で折れやすく、セラミックス基材15が露出したり、セラミックス部材被膜17を被覆したセラミックス部材19の表面に、支持具被膜25が残りすぎて凹凸ができたりすることもない。
【0060】
図7(a)は本発明の実施の形態2によって得られたセラミックス部材19の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、(b)は本発明の実施の形態2によるセラミックス基材支持具11の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。図8(a)、(b)は、図7(a)、(b)の写真を模式的に示した図である。一方、図9(a)は比較例によって得られたセラミックス部材19の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、(b)は比較例によるセラミックス基材支持具27の分離部分の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。図10(a)、(b)は、図9(a)、(b)の写真を模式的に示した図である。
上記の本発明の実施の形態2のセラミックス部材の製造方法による結果のセラミックス部材19の分離部分と、セラミックス基材支持具11の先端部13を観察した結果を示す。図7(a)に示す実施の形態の場合では、分離部分に確実に支持具被膜25が形成されることになる。即ち、図9(a)に示す比較例(従来技術)の場合のように、支持具被膜25が薄くなることがない。
【0061】
また、セラミックス部材より分離した後のセラミックス基材支持具11も、図7(b)に示す実施の形態2のものでは、先端部13から支持具被膜25が剥離されて熱分解炭素層23が露出している。即ち、図9(b)に示す比較例(従来技術)のように支持具被膜25が残留することがない。このため、本実施の形態2のセラミックス基材支持具11では、セラミックス基材支持具11の先端部周囲のセラミックス部材被膜及び支持具被膜をはがし、次回の支持具被膜25の被覆を新規に被覆することができ、先端部13が再使用の度に肥大化して、結局使用できなくなってしまうことがない。
【0062】
したがって、本実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11によれば、セラミックス基材15(炭化珪素被膜が形成された黒鉛基材)を支持するセラミックス基材支持具11の先端部13に設けられた支持具被膜25(セラミックス基材支持具の炭化珪素被膜)が、熱分解炭素層23を介して芯材21に形成される。そのためセラミックス基材支持具11の熱分解炭素層23から分離した支持具被膜25を、確実にセラミックス基材15(SiC被覆黒鉛材)に残すことができる。
【0063】
また、本実施の形態2に係るセラミックス基材支持具11を用いたセラミックス部材19の製造方法によれば、セラミックス基材支持具11の先端部13に形成した支持具被膜25(セラミックス基材支持具の炭化珪素被膜)を確実にセラミックス基材15に形成されたセラミックス被膜17中(炭化珪素被覆黒鉛基材)に残すことができるので、支持点部分にクラックや突起などの欠陥の少ないセラミックス部材19を得ることができる。
【0064】
本実施の形態1、本実施の形態2、比較例(従来技術)において、熱分解炭素層、セラミックス部材被膜、支持具被膜の成膜方法は、一般的な方法で成膜することが出来、特に限定されない。例えば以下のような方法で形成することができる。
(セラミックス部材被膜)
黒鉛の芯材を先端部が露出するようにCVD炉内に配置し、真空引き後、昇温する。成膜温度は、例えば800〜1400℃の範囲内の一定温度に炉内を保持する。次に炉内にキャリアガスとして水素、原料ガスとしてCH3Cl3Siなどを導入し、数時間保持してセラミックス基材、黒鉛の芯材表面にセラミックス部材被膜を沈積させる。尚、CH3Cl3Siを原料ガスとして使用した場合には、セラミックス部材被膜は炭化硅素となる。原料ガスは、CH3Cl3Siに限定されず、セラミックス部材被膜の種類に応じて一般的な原料ガスから適宜選択することができる。
(支持具被膜)
セラミックス基材を、セラミックス基材支持具で保持しCVD炉内に配置し、真空引き後、昇温する。成膜温度は、例えば800〜1400℃の範囲内の一定温度に炉内を保持する。次に炉内にキャリアガスとして水素、原料ガスとして、CH3Cl3Siなどを導入し、数時間保持して黒鉛の芯材表面に支持具被膜を沈積させる。(本実施の形態1、本実施の形態2では、黒鉛の芯材表面に熱分解炭素層は形成されている。)尚、CH3Cl3Siを原料ガスとして使用した場合には、支持具被膜は炭化硅素となる。原料ガスは、CH3Cl3Siに限定されず、支持具被膜の種類に応じて一般的な原料ガスから適宜選択することができる。
(熱分解炭素層)
黒鉛の芯材を先端部が露出するようにCVD炉内に配置し、真空引き後、昇温する。成膜温度は、例えば1200〜2000℃の範囲の一定温度に炉内を保持する。次に炉内にキャリアガスとして水素、原料ガスとして、メタン、エタン、プロパンなどの炭化水素ガスを導入し、数時間保持して黒鉛の芯材表面に熱分解炭素層を沈積させる。
尚、熱分解炭素層、支持具被膜は、それぞれ個別に処理してもよく、熱分解炭素層、支持具被膜の順に連続して同一の炉で処理することもできる。熱分解炭素層、支持具被膜を同一の炉で処理する場合には、熱分解炭素層を形成した後、支持具被膜の成膜温度に炉内温度を調整し、原料ガスを切り替えて連続して処理することができる。熱分解炭素層、支持具被膜を連続して処理することにより、処理工程を簡略化することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更又は応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
11 セラミックス基材支持具
13 先端部
15 セラミックス基材
17 セラミックス部材被膜
19 セラミックス部材
21 芯材
23 熱分解炭素層
25 支持具被膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部にセラミックス基材を支持して反応炉内で該セラミックス基材にセラミックス部材被膜を形成しセラミックス部材を製造する際に使用されるセラミックス基材支持具であって、
前記セラミックス基材支持具は、黒鉛からなる芯材と、少なくとも前記先端部を含む表面に、熱分解炭素層を介在させた支持具被膜とを有することを特徴とするセラミックス基材支持具。
【請求項2】
前記支持具被膜は、前記セラミックス部材被膜と同一材質であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス基材支持具。
【請求項3】
前記支持具被膜は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックス基材支持具。
【請求項4】
前記支持具被膜は、炭化珪素であることを特徴とする請求項3に記載のセラミックス基材支持具。
【請求項5】
前記先端部は前記セラミックス基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセラミックス基材支持具。
【請求項6】
前記セラミックス基材は、黒鉛であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセラミックス部材を製造するためのセラミックス基材支持具。
【請求項7】
セラミックス基材とセラミックス被膜とからなるセラミックス部材の製造方法であって、黒鉛からなる芯材と、少なくとも先端部を含む表面に、熱分解炭素層を介在して支持具被膜を有するセラミックス基材支持具を準備し、前記セラミックス基材支持具の前記先端部によりセラミックス基材を支持させて反応炉内で該セラミックス基材支持具を含む前記セラミックス基材にセラミックス部材被膜を形成した後、前記セラミックス基材から前記セラミックス基材支持具を分離して製造することを特徴とするセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項8】
前記支持具被膜は、前記第セラミックス部材被膜と同一材質であることを特徴とする請求項7に記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項9】
前記支持具被膜は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることを特徴とする請求項7または請求項8記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項10】
前記支持具被膜は、炭化珪素であることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項11】
前記先端部は前記セラミックス基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有することを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項12】
前記セラミックス基材は、黒鉛からなることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項13】
前記セラミックス基材に形成されるセラミックス被膜には前記支持具被膜が存在することを特徴とする請求項7から12のいずれか1項に記載のセラミック部材の製造方法。
【請求項1】
先端部にセラミックス基材を支持して反応炉内で該セラミックス基材にセラミックス部材被膜を形成しセラミックス部材を製造する際に使用されるセラミックス基材支持具であって、
前記セラミックス基材支持具は、黒鉛からなる芯材と、少なくとも前記先端部を含む表面に、熱分解炭素層を介在させた支持具被膜とを有することを特徴とするセラミックス基材支持具。
【請求項2】
前記支持具被膜は、前記セラミックス部材被膜と同一材質であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス基材支持具。
【請求項3】
前記支持具被膜は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックス基材支持具。
【請求項4】
前記支持具被膜は、炭化珪素であることを特徴とする請求項3に記載のセラミックス基材支持具。
【請求項5】
前記先端部は前記セラミックス基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセラミックス基材支持具。
【請求項6】
前記セラミックス基材は、黒鉛であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセラミックス部材を製造するためのセラミックス基材支持具。
【請求項7】
セラミックス基材とセラミックス被膜とからなるセラミックス部材の製造方法であって、黒鉛からなる芯材と、少なくとも先端部を含む表面に、熱分解炭素層を介在して支持具被膜を有するセラミックス基材支持具を準備し、前記セラミックス基材支持具の前記先端部によりセラミックス基材を支持させて反応炉内で該セラミックス基材支持具を含む前記セラミックス基材にセラミックス部材被膜を形成した後、前記セラミックス基材から前記セラミックス基材支持具を分離して製造することを特徴とするセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項8】
前記支持具被膜は、前記第セラミックス部材被膜と同一材質であることを特徴とする請求項7に記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項9】
前記支持具被膜は、炭化物系セラミックスあるいは窒化物系セラミックスであることを特徴とする請求項7または請求項8記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項10】
前記支持具被膜は、炭化珪素であることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項11】
前記先端部は前記セラミックス基材支持具の軸に対し垂直な平坦面を有することを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項12】
前記セラミックス基材は、黒鉛からなることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のセラミックス基材支持具を用いたセラミックス部材の製造方法。
【請求項13】
前記セラミックス基材に形成されるセラミックス被膜には前記支持具被膜が存在することを特徴とする請求項7から12のいずれか1項に記載のセラミック部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図7】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図7】
【図9】
【公開番号】特開2012−184152(P2012−184152A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50303(P2011−50303)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
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