説明

ソフトコンタクトレンズ用装着具

【課題】表面を清潔に保ったままソフトコンタクトレンズを眼に装着することが可能となると共に、ソフトコンタクトレンズを過度に変形させることなく容易に保持して、痛みや異物感を使用者に与えることなく装着することができる、新規な構造のソフトコンタクトレンズ用装着具を提供することにある。
【解決手段】ソフトコンタクトレンズ用装着具10であって、手指の操作で相互に接近および離隔可能とされて相互の接近によりソフトコンタクトレンズ36を変形させて摘む一対の挟持部18a,18bを備えており、一対の挟持部18a,18bの先端部分において、一対の挟持部18a,18bで摘んだソフトコンタクトレンズ36の変形を一対の挟持部18a,18bの相互の離隔により解除させて凸面側で重ね合わせて支持せしめるレンズ載置面34が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースに収容されたソフトコンタクトレンズを、レンズケースから取り出して、眼に装着するために用いられる、ソフトコンタクトレンズ用装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ソフトコンタクトレンズは、容器部と蓋部を有するレンズケースに収納されており、眼球に重ね合わされる内面が容器部の開口部側となるように入れられている。そして、ソフトコンタクトレンズを装用する際には、蓋部を容器部から取り外してから、一方の手指でソフトコンタクトレンズを摘んで容器部から取り出し、その後、他方の手指にソフトコンタクトレンズを移して眼球の表面に装着する。
【0003】
ところで、コンタクトレンズを手指で摘んで眼に装着する方法では、手指表面の油分や汚れ,細菌等がコンタクトレンズに付着して、コンタクトレンズの清潔さが維持され難いという問題があった。また、付け爪等を使用している場合には、手指でコンタクトレンズを摘むことが難しく、付け爪の接触によってコンタクトレンズが損傷するおそれもあって、装着作業が困難であった。
【0004】
そこで、特開2000−245765号公報(特許文献1)には、スポイトの如き構造を有するコンタクトレンズ装着具が提案されている。これによれば、コンタクトレンズの外面に対して吸引力を及ぼすことで、手指によって直接触れることなくコンタクトレンズを移動させて、レンズケースからの取り出しや眼への装着を行うことができる。
【0005】
しかしながら、このような吸引力によるコンタクトレンズの保持は、形状安定性に優れたハードコンタクトレンズに対して有効である一方で、容易に変形するソフトコンタクトレンズでは、ノズル口に吸入されてしまって、変形や破れの発生が問題となる。しかも、ノズルが装着作業者の視界を妨げることから、鏡を見ながらの作業に支障をきたすおそれもあった。
【0006】
また、コンタクトレンズを直接手指で触ることなく着脱し得る別の器具として、特開2010−32772号公報(特許文献2)には、コンタクトレンズを摘むためのコンタクトレンズ着脱具が開示されている。即ち、特許文献1のコンタクトレンズ着脱具では、V字形状に繋がった第1把持片と第2把持片にそれぞれ固定された綿棒を操作して、ソフトコンタクトレンズをそれら綿棒によって挟んで手指の代わりに摘むことが可能とされている。
【0007】
ところが、特許文献2に記載のコンタクトレンズ着脱具も、特許文献1に記載のコンタクトレンズ装着具と同様に、ハードコンタクトレンズの装着には有効であっても、ソフトコンタクトレンズの装着に使用することが難しかった。即ち、ソフトコンタクトレンズは、薄く柔軟性に優れた合成樹脂で形成されており、外力の作用によって容易に変形することから、綿棒による挟み込みが不充分な場合にはソフトコンタクトレンズが綿棒間から脱落するおそれがある。一方、綿棒で強く挟み込むと、ソフトコンタクトレンズが半分に折り畳まれてしまって、装着できないおそれがある。しかも、装着時に、綿棒で摘まれて変形した状態のソフトコンタクトレンズを眼の表面に接触させると、エッジや変形部分の凹凸が使用者に痛みや異物感を与えるおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−245765号公報
【特許文献2】特開2010−32772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、表面を清潔に保ったままソフトコンタクトレンズを眼に装着することが可能となると共に、ソフトコンタクトレンズを過度に変形させることなく容易に保持して、痛みや異物感を使用者に与えることなく装着することができる、新規な構造のソフトコンタクトレンズ用装着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、ソフトコンタクトレンズ用装着具であって、手指の操作で相互に接近および離隔可能とされて相互の接近によりソフトコンタクトレンズを変形させて摘む一対の挟持部を備えており、該一対の挟持部の先端部分において、該一対の挟持部で摘んだソフトコンタクトレンズの変形を該一対の挟持部の相互の離隔により解除させて凸面側で重ね合わせて支持せしめるレンズ載置面が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第1の態様に従う構造とされたソフトコンタクトレンズ用装着具によれば、ソフトコンタクトレンズを直接手で触れることなく一対の挟持部で摘んでレンズケースから取り出すことができると共に、レンズ載置面上で支持されたソフトコンタクトレンズを手で触れることなく眼に装着することができる。このように、手指で直接に触れることなく装着作業を行うことができることから、手指の汚れや細菌等がソフトコンタクトレンズに付着するのを防いで、ソフトコンタクトレンズを清浄な状態で装着することができる。
【0012】
また、レンズ載置面が設けられて、ソフトコンタクトレンズを摘むことなく保持することができることから、例えば、ソフトコンタクトレンズの変形を眼への装着前に解除することによって、装着時にはソフトコンタクトレンズを眼球の表面形状に合わせた初期の形状に略復元することが可能である。これによれば、装着時の痛みや異物感を抑えることができると共に、ソフトコンタクトレンズが変形によって眼球表面に密着せずに脱落するのを防ぐことができる。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、前記挟持部よりも軟質の緩衝保持体が該挟持部の先端部分に設けられて、該緩衝保持体により前記レンズ載置面が形成されているものである。
【0014】
第2の態様によれば、軟質の緩衝保持体が挟持部とソフトコンタクトレンズの間に介在することにより、ソフトコンタクトレンズに傷が付く等の不具合を防ぐことができる。更に、挟持部が緩衝保持体よりも硬質とされていることにより、挟持部によってソフトコンタクトレンズを変形させて、安定して摘むことができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、前記レンズ載置面が前記一対の挟持部における両方の先端部分に協働して設けられており、それら一対の挟持部の間に跨がって前記ソフトコンタクトレンズが支持されるようになっているものである。
【0016】
第3の態様によれば、一対の挟持部の両方の先端部分を利用してレンズ載置面が設けられることにより、レンズ載置面の面積を大きく確保し易くなる。それ故、ソフトコンタクトレンズが、挟持部による摘みを解除した後にも、レンズ載置面上で安定して支持される。特に、一対の挟持部の間に隙間がある状態では、ソフトコンタクトレンズが、一対の挟持部によってより外周側において支持されて、レンズ載置面上により安定して載置される。
【0017】
本発明の第4の態様は、第1又は第2の態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、前記レンズ載置面が前記一対の挟持部における一方の先端部分に設けられており、該一方の挟持部によって前記ソフトコンタクトレンズが支持されるようになっているものである。
【0018】
第4の態様によれば、一方の挟持部によってソフトコンタクトレンズが支持されるようになっていることから、他方の挟持部の位置等に拘らず、ソフトコンタクトレンズの安定した支持が実現される。しかも、他方の挟持部には先端部分にレンズ載置面を設ける必要がないことから、ソフトコンタクトレンズを摘み易い形状を自由に選択することができて、ソフトコンタクトレンズのレンズケースからの取出しを簡単に行うことが可能となり得る。
【0019】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の何れか1つの態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、互いに交差する一対の腕部が交差点において回動軸で相互に連結されており、該回動軸から一方の側に延び出す該一対の腕部によって手指での操作部が構成されていると共に、該回動軸から他方の側に延び出す該一対の腕部によって前記一対の挟持部が構成されているものである。
【0020】
第5の態様によれば、一対の挟持部の手動での開閉操作を容易に行うことができると共に、ソフトコンタクトレンズ用装着具全体の操作性の向上も図られる。それ故、器具を介してソフトコンタクトレンズを簡単且つ精度良く取り扱うことができて、装着作業をスムーズに行うことができる。
【0021】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、前記挟持部と前記操作部が一体形成されて前記腕部が形成されており、該一対の腕部の一方に前記回動軸が一体形成されていると共に、該一対の腕部の他方に支持孔が形成されて、該回動軸が該支持孔に挿入支持されているものである。
【0022】
第6の態様によれば、挟持部と操作部が一体形成されることによって、部品点数の削減が実現される。しかも、一方の腕部には回動軸も一体形成されていることから、更なる部品点数の削減が図られる。
【0023】
本発明の第7の態様は、第5又は第6の態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、前記一対の腕部を相互に連結する弾性連結部がそれら一対の腕部と一体形成されているものである。
【0024】
第7の態様によれば、一対の腕部が弾性連結部と一体形成されて相互に連結されていることにより、部品点数を少なくすることができる。特に、第6の態様に記載された構造と組み合わせることにより、一対の腕部の全体を一体で形成することができて、部品点数を極めて少なくすることも可能になる。
【0025】
本発明の第8の態様は、第1〜第7の何れか1つの態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、前記レンズ載置面が凹形の湾曲面とされているものである。
【0026】
第8の態様によれば、レンズ載置面が、ソフトコンタクトレンズの変形を抑えつつ、ソフトコンタクトレンズの凸面に対してより広い面積で当接する。それ故、ソフトコンタクトレンズがレンズ載置面上で移動することなく安定して支持される。
【0027】
本発明の第9の態様は、第1〜第8の何れか1つの態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、前記挟持部の長さ方向に対して前記レンズ載置面が傾斜しているものである。
【0028】
第9の態様によれば、例えば、鏡を見ながらソフトコンタクトレンズを眼に装着する際に、ソフトコンタクトレンズ用装着具を操作する手によって、視線が遮られるのが防止されて、装着作業を行い易くすることができる。特に、操作部が設けられた構造では、操作部が視界を狭めるのを防止できることから、鏡を見ながら簡単に装着することが可能になる。
【0029】
本発明の第10の態様は、第1〜第9の何れか1つの態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、前記一対の挟持部における接近および離隔方向の相対位置を弾性的に位置決めするばね手段が設けられているものである。
【0030】
第10の態様によれば、ばね手段の弾性力によって一対の挟持部が弾性的に位置決めされていることにより、ソフトコンタクトレンズを摘む接近状態又はソフトコンタクトレンズの変形を解除してレンズ載置面で支持する離隔状態が、安定して維持される。また、接近又は離隔させられた一対の挟持部の初期位置への復帰が、ばね手段の弾性に基づいて、更なる外力を加えることなく実現されることから、使用者は接近と離隔の一方の操作においてのみ外力を加えれば良く、操作が簡単である。
【0031】
本発明の第11の態様は、第1〜第10の何れか1つの態様に記載されたソフトコンタクトレンズ用装着具において、前記一対の挟持部における接近方向の相対変位端を規定するストッパ手段が設けられているものである。
【0032】
第11の態様によれば、一対の挟持部からソフトコンタクトレンズに必要以上の力が伝達されるのを防いで、ソフトコンタクトレンズの変形や損傷を防ぐことが可能となる。具体的には、例えば、一対の挟持部の接近方向の相対変位端を、最接近した場合にもソフトコンタクトレンズを必要以上に押さえつけない程度の隙間を有するように設定することにより、ソフトコンタクトレンズを有利に保護することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ソフトコンタクトレンズを、手で直接触れることなく、レンズケースから取り出して眼に装着することができる。しかも、レンズケースから取り出す際に一対の挟持部によってソフトコンタクトレンズを変形させて摘む一方、眼への装着時には、ソフトコンタクトレンズの変形を解除して、初期形状で取り付けるようにされている。それ故、装着時の痛みや異物感を抑えることができると共に、眼球表面に対して容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのソフトコンタクトレンズ用装着具を示す平面図。
【図2】図1に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具を示す正面図。
【図3】図1に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の先端部分を拡大して示す平面図。
【図4】図3のIV−IV線断面図。
【図5】図1に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の先端部分を拡大して示す図。
【図6】図1に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具を構成する腕部および弾性連結部の一体成形品を示す平面図。
【図7】図1に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の使用方法を説明する正面図であって、緩衝保持体のレンズ載置面をレンズケース上のソフトコンタクトレンズの凸面に重ね合わせた状態を示す。
【図8】図1に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の使用方法を説明する平面図であって、レンズケース上のソフトコンタクトレンズを一対の挟持部によって変形させて摘まんだ状態を示す。
【図9】図1に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の使用方法を説明する背面図であって、ソフトコンタクトレンズの変形を解除して、ソフトコンタクトレンズをレンズ載置面上に載置した状態を示す。
【図10】図1に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の使用方法を説明する背面図であって、鏡を見ながらレンズ載置面上のソフトコンタクトレンズを眼に接近させて装着する状態を示す。
【図11】本発明の第2の実施形態としてのソフトコンタクトレンズ用装着具を示す平面図。
【図12】図10に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の正面図。
【図13】本発明の第3の実施形態としてのソフトコンタクトレンズ用装着具を示す平面図。
【図14】図13に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の正面図。
【図15】図13に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の先端部分を拡大して示す図。
【図16】図13に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具の平面図であって、レンズケース上のソフトコンタクトレンズを一対の挟持部によって変形させて摘んだ状態を示す図。
【図17】本発明の第4の実施形態としてのソフトコンタクトレンズ用装着具の要部を拡大して示す平面図であって、レンズケース上のソフトコンタクトレンズを一対の挟持部によって変形させて摘んだ状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0036】
図1,図2には、本発明の第1の実施形態としてのソフトコンタクトレンズ用装着具10が示されている。ソフトコンタクトレンズ用装着具10は、全体を弾性体で形成された器具であって、互いに交差する一対の腕部12a,12bを備えている。なお、以下の説明において、原則として、上下方向とは図2中の上下方向を、幅方向とは図1中の上下方向を言う。更に、先端側とは図1中の左側を、基端側とは図1中の右側をそれぞれ言うものとする。
【0037】
より詳細には、腕部12は、長手状とされており、中間部分を構成する交差部14と、交差部14から基端側に向かって延び出す操作部16と、交差部14から先端側に向かって突出する挟持部18とを、一体的に備えている。なお、腕部12の形成材料は、特に限定されるものではないが、汚れがつき難い非含水性の軟質材料が望ましい。例えば、ポリエチレン,ポリブタジエン,ポリプロピレン,ポリエステル,ウレタンエラストマー,シリコーンゴム等の軟質の合成樹脂材料が何れも用いられ得るが、本実施形態では、熱可塑性エラストマの一種であるポリエーテルブロックアミド共重合体が採用されており、充分な形状安定性と眼球を傷付けない可撓性とが両立して実現されている。
【0038】
交差部14は、腕部12において長手方向で中央よりも先端側に偏倚した中間部分に形成されており、上下方向で比較的に薄肉とされていると共に、幅方向で比較的に幅広とされている。また、腕部12aの交差部14aには、中央部分から下方に向かって突出する小径ロッド状の回動軸20が一体形成されている。一方、腕部12bの交差部14bには、中央部分を上下に貫通して、回動軸20と対応する断面形状を有する支持孔22が形成されている。更に、交差部14は、その先端側および基端側の端面が、何れも、回動軸20又は支持孔22を中心とする円弧状の湾曲面で形成された摺動面24とされている。
【0039】
操作部16は、交差部14から基端側に向かって延び出しており、交差部14よりも上下方向で厚肉且つ幅方向で狭幅とされている。また、操作部16は、先端部分(交差部14からの突出端部分)が基端側に向かって次第に幅方向外側に傾斜するテーパ部26とされており、幅方向で並列に配設される腕部12aの操作部16aと腕部12bの操作部16bが基端側においてより大きく離隔している。なお、操作部16aは、交差部14aの幅方向一方の端部から基端側に延び出していると共に、交差部14aよりも厚肉とされて下方に突出している。一方、操作部16bは、交差部14bの幅方向他方の端部から基端側に延び出していると共に、交差部14bよりも厚肉とされて上方に突出している。
【0040】
さらに、操作部16aの基端部と操作部16bの基端部は、弾性連結部28によって相互に連結されている。弾性連結部28は、操作部16と一体形成されており、操作部16に比して狭幅とされている。そして、操作部16aと操作部16bが幅方向で相対的に接近変位或いは離隔変位させられると、操作部16a,16b自体の弾性に加えて、弾性連結部28の弾性が作用して、初期形状への復元力が及ぼされるようになっている。このように、操作部16a,16b自体の弾性と、弾性連結部28の弾性によって、操作部16a,16bを介して挟持部18a,18bを弾性的に位置決めするばね手段が構成されている。
【0041】
挟持部18は、交差部14から先端側に向かって突出しており、交差部14よりも上下方向で厚肉且つ幅方向で狭幅とされている。また、腕部12aの挟持部18aと腕部12bの挟持部18bは、外力が作用しない初期状態において、図1に示されているように相互に離隔しており、隙間を有する状態で弾性的に位置決めされている。なお、腕部12aの挟持部18aは、交差部14aの幅方向他方の端部から先端側に延び出していると共に、交差部14aよりも厚肉とされて下方に突出している。一方、腕部12bの挟持部18bは、交差部14bの幅方向一方の端部から先端側に延び出していると共に、交差部14bよりも厚肉とされて上方に突出している。
【0042】
また、挟持部18の先端面は、上方に行くに従って先端側に傾斜する傾斜面30とされている。この傾斜面30は、左右方向に延びる仮想的な中心軸線(図2中の1点鎖線)に対して40°以上且つ50°以下の角度で傾斜しており、本実施形態では、略45°の角度をなして傾斜している。
【0043】
さらに、挟持部18の先端面(傾斜面30)には、緩衝保持体32が固定されている。緩衝保持体32は、図5に示されているように、薄肉の球冠殻形状を有しており、挟持部18よりも軟らかいシリコーンゴム等の弾性材料で形成されている。この緩衝保持体32は、凸側の外面が挟持部18の傾斜面30に接着や一部の埋込み等の手段で固定されており、挟持部18a,18bの先端部分に先端側が凹になるように配設されている。
【0044】
そして、挟持部18aに設けられた緩衝保持体32aの凹面と、挟持部18bに設けられた緩衝保持体32bの凹面との協働によって、一対の挟持部18a,18bの先端部分にレンズ載置面34が形成されている。このレンズ載置面34は、後述するソフトコンタクトレンズ36の凸面と略同じか該凸面よりも僅かに大きな曲率を有する凹形の湾曲面とされており、ソフトコンタクトレンズ36の凸面に押し付けられることによって隙間なく或いは極小さな隙間で重ね合わされるようになっている。また、緩衝保持体32が傾斜面30に固着されていることにより、レンズ載置面34は、左右方向に延びる仮想的な中心軸線(図2中の1点鎖線)に対して傾斜して広がっている。
【0045】
このような緩衝保持体32a,32bを取り付けられた一対の腕部12a,12bは、交差部14aに一体形成された回動軸20が交差部14bに形成された支持孔22に嵌め入れられることにより、交差部14a,14bにおいて相互に連結される。そして、操作部16a,16bが手指による操作で相互に接近方向又は離隔方向に変位させられることによって、一対の腕部12a,12bが回動軸20を中心として相対的に揺動変位させられて、挟持部18aと挟持部18bが相互に離隔変位又は接近変位させられるようになっている。
【0046】
なお、本実施形態において、一対の腕部12a,12bは、弾性連結部28によって連結されており、図6に示されているように、弾性連結部28を挟んだ両側に一体形成されている。そして、弾性連結部28を湾曲変形させて、腕部12aの回動軸20を腕部12bの支持孔22に嵌入すると共に、各腕部12a,12bの先端面に緩衝保持体32を固着することにより、ソフトコンタクトレンズ用装着具10が形成されている。
【0047】
このような構造とされたソフトコンタクトレンズ用装着具10は、図7〜図10に示されているように、ソフトコンタクトレンズ36の眼球表面への装着に用いられる。
【0048】
すなわち、先ず、図7に示されているように、凹面をレンズケース38の凸部40に重ね合わされて収容されているソフトコンタクトレンズ36の凸面に対して、ソフトコンタクトレンズ用装着具10の先端に設けられた緩衝保持体32の凹面を重ね合わせる。なお、図7〜図10では、見易さのために、レンズケース38は、平板形状の底面の一部に上方に凸となる凸部40を設けた簡単な構造で示されている。もっとも、ここで言うレンズケース38は、例えば、特開平10−313928号公報等に開示されている、ソフトコンタクトレンズ36がその凸面を容器部の開口側に向けて収容される公知のものであって、構造の詳細については特に限定されない。
【0049】
次に、手指によって握持された操作部16a,16bに握力を及ぼして相互に接近変位させて、挟持部18a,18bの先端を接近方向に変位させることにより、図8に示されているように、ソフトコンタクトレンズ36を変形させて、その一部を挟持部18a,18bの間で挟み込む。これにより、ソフトコンタクトレンズ36をレンズケースから取り出して、ソフトコンタクトレンズ用装着具10によって自由に移動させることができる。
【0050】
なお、緩衝保持体32のレンズ載置面34が凹面とされていることによって、ソフトコンタクトレンズ36は、レンズケース38から取り外してもレンズ載置面34に対して表面張力の作用等も利用して展張状態に保たれて載置される。それ故、ソフトコンタクトレンズ36をレンズケース38から摘み取る際にも、ソフトコンタクトレンズ36の折り畳み(2つ折れ)等の不具合が防止される。
【0051】
その後、図9に示されているように、傾斜面30が略水平方向で広がるようにソフトコンタクトレンズ用装着具10を保持して、ソフトコンタクトレンズ36の凸面を下方から緩衝保持体32a,32bで支持しながら、操作部16a,16bに及ぼした握力を解除して、挟持部18a,18bを初期の離隔状態に復帰させる。これにより、ソフトコンタクトレンズ36の変形が解除されて、初期形状に復元した状態で、一対の挟持部18a,18bの先端部分に跨って、レンズ載置面34上に載置される。
【0052】
最後に、図10に示されているように、ソフトコンタクトレンズ用装着具10の先端を眼41に接近させて、レンズ載置面34上に載置されたソフトコンタクトレンズ36を眼41の表面に重ね合わせて装着する。なお、レンズ載置面34は、挟持部18a,18bの先端面が傾斜面30とされていることにより、中心軸線(図2の1点鎖線)に対して傾斜して設けられている。それ故、鏡42を見ながら装着作業を行う場合に、作業者の視線(図10中の2点鎖線)が操作部16a,16bやそれを握持する作業者の手指等によって遮られるのを防ぐことができる。
【0053】
このように、本実施形態のソフトコンタクトレンズ用装着具10を用いることにより、ソフトコンタクトレンズ36を手指で直接触れることなく眼球の表面に装着することができる。それ故、ソフトコンタクトレンズ36の表面に手指から汚れや細菌等が付着するのを防いで、ソフトコンタクトレンズ36を清浄に維持したままで装着することができる。
【0054】
しかも、ソフトコンタクトレンズ36は、レンズケース38から取り出す際に変形させられるものの、装着時には、挟持部18a,18bによる拘束力が解除されて、初期形状でレンズ載置面34上に保持されている。それ故、使用者に痛みや異物感等を与えることなくソフトコンタクトレンズ36が装着されると共に、ソフトコンタクトレンズ36と眼球表面の間に必要以上に大きな隙間ができることがなく、ソフトコンタクトレンズ36がより簡単且つ確実に装着状態で保持される。
【0055】
また、挟持部18a,18bの先端面が傾斜面30とされていることによって、レンズ載置面34が傾斜しており、装着時に、操作部16とそれを握持する手指が作業の邪魔になるのを防ぐことができる。しかも、ソフトコンタクトレンズ36を眼41に装着する際に、ソフトコンタクトレンズ用装着具10の手指による支持および移動がし易く、装着作業をより容易に行うことができる。
【0056】
また、挟持部18a,18bの先端面(傾斜面30)には、挟持部18a,18bよりも軟質の緩衝保持体32が取り付けられており、緩衝保持体32の凹面によってレンズ載置面34が形成されている。このような軟質の緩衝保持体32がソフトコンタクトレンズ36と挟持部18a,18bの間に介在することで、ソフトコンタクトレンズ36の表面に、レンズ載置面34との当接による損傷や変形等の不具合が生じるのを防ぐことができる。
【0057】
さらに、緩衝保持体32が球冠状とされて、レンズ載置面34がソフトコンタクトレンズ36の凸面に略対応する湾曲面とされていることから、ソフトコンタクトレンズ36の凸面への当接時に応力が分散して及ぼされて、損傷や変形等をより効果的に防止することができる。
【0058】
また、緩衝保持体32が一対の挟持部18a,18bのそれぞれの先端部に設けられており、レンズ載置面34が一対の挟持部18a,18bの先端部分に協働して設けられている。これにより、レンズ載置面34の面積を効率的に得ることが可能とされて、当接圧の分散によってソフトコンタクトレンズ36の損傷や変形等を抑えることができる。
【0059】
しかも、レンズ載置面34にソフトコンタクトレンズ36が支持された状態では、一対の挟持部18a,18bが離隔していることから、レンズ載置面34は、ソフトコンタクトレンズ36の凸面に対してより外周側で当接させられる。それ故、ソフトコンタクトレンズ36がレンズ載置面34上で安定して支持されて、レンズ載置面34からの脱落等が防止される。
【0060】
また、腕部12を構成する交差部14と操作部16と挟持部18が一体形成されていると共に、各腕部12a,12bの操作部16a,16bが一体形成された弾性連結部28によって連結されている。これにより、少ない部品点数でソフトコンタクトレンズ用装着具10を形成することができる。
【0061】
また、操作部16a,16bが弾性体で形成されており、操作部16a,16bに使用者が握力を及ぼすことで、操作部16a,16bを弾性力に抗して接近方向に変位させて、挟持部18a,18bを相対的に接近させることができる一方、握力の解除によって操作部16a,16bの弾性に基づいて挟持部18a,18bが自動的にそれぞれの正確な初期位置に復帰するようになっている。これにより、ソフトコンタクトレンズ36を変形させて摘んだ状態から、ソフトコンタクトレンズ36の変形を解除してレンズ載置面34上に支持する状態に移行する際に、一対の挟持部18a,18bは、相対的な離隔変位量の調節を要することなく、所定の変位量だけ離隔する。それ故、レンズ載置面34によるソフトコンタクトレンズ36の支持が安定して実現されて、一対の挟持部18a,18bの離隔変位量が大きすぎることによるソフトコンタクトレンズ36のレンズ載置面34からの脱落や、離隔変位量が小さすぎることによるソフトコンタクトレンズ36の初期形状への復元不良等を回避することができる。
【0062】
図11,図12には、本発明の第2の実施形態としてのソフトコンタクトレンズ用装着具50が示されている。ソフトコンタクトレンズ用装着具50は、前記第1の実施形態に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具10に比して、緩衝保持体32を省略した構造とされており、一対の挟持部18a,18bの先端に設けられた傾斜面30によってレンズ載置面34が構成されている。なお、以下の説明において、第1の実施形態に示されたソフトコンタクトレンズ用装着具10と実質的に同一の部材および部位については、図中に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0063】
このような本実施形態に従う構造とされたソフトコンタクトレンズ用装着具50によれば、腕部12とは別体で形成される部品である緩衝保持体32を省略することによって、ソフトコンタクトレンズ用装着具50の全体を一体形成することができる。それ故、部品点数を更に少なくすることができて、輸送や保管等を簡単且つ安価に行うことが可能となる。更に、緩衝保持体32の後接着作業が省略されることから、製造工程数の削減が実現されると共に、図6に示された一体成形品において回動軸20を支持孔22に嵌め入れるだけの簡単な組立作業によってソフトコンタクトレンズ用装着具50を製造することができる。
【0064】
図13,図14には、本発明の第3の実施形態としてのソフトコンタクトレンズ用装着具60が示されている。このソフトコンタクトレンズ用装着具60では、一方の挟持部18aの先端面に緩衝保持体62が固着されている。一方、挟持部18bの先端には、緩衝保持体が固着されていない。要するに、挟持部18aの先端にだけ緩衝保持体62が固着されて、レンズ載置面64が一方の挟持部18aの先端部分にだけ設けられている。
【0065】
緩衝保持体62は、第1の実施形態の緩衝保持体32と同様に、挟持部18aよりも軟質のシリコーンゴム等で形成された弾性体で形成されている。また、緩衝保持体62は、図15に示されているように、薄肉の略球冠状を有していると共に、挟持部18b側の端部が欠けた形状とされている。
【0066】
そして、図16に示されているように、先ず、レンズケース38の凸部40に重ね合わされたソフトコンタクトレンズ36の凸面の中央付近に対して、緩衝保持体62のレンズ載置面64を重ね合わせる。次に、挟持部18bを挟持部18aに対して相対的に接近させることによって、ソフトコンタクトレンズ36の外周部分を挟持部18bで摘み上げるように変形させる。これによって、ソフトコンタクトレンズ36が一対の挟持部18a,18bによって摘まれて、レンズケース38から取り出される。その後、図9,図10と同様に、ソフトコンタクトレンズ36は、レンズ載置面64が上向きにされた状態で変形が解除されて、一方の挟持部18aの先端部分に設けられたレンズ載置面64上で支持される。そして、レンズ載置面64に載置されたソフトコンタクトレンズ36が眼球の表面に装着される。
【0067】
このような本実施形態のソフトコンタクトレンズ用装着具60によれば、一方の挟持部18aにのみ緩衝保持体62が固着されており、他方の挟持部18bはその先端部分が直接ソフトコンタクトレンズ36に当接するようになっている。それ故、レンズケース38の凸部40にソフトコンタクトレンズ36が吸着している場合等にも、緩衝保持体62よりも硬質の弾性体で形成された挟持部18bの先端部分によって、ソフトコンタクトレンズ36の外周部分を摘み上げることで、レンズケース38から容易に取り出すことができる。
【0068】
すなわち、手指でソフトコンタクトレンズ36をレンズケース38から取り出す場合には、ソフトコンタクトレンズ36の中央部分を食指によって抑えながら、拇指によってソフトコンタクトレンズ36の外周部分をレンズケース38から捲り上げて摘み取ることによって、ソフトコンタクトレンズ36をレンズケース38から効率的に取り出すことができる。そこで、本実施形態のソフトコンタクトレンズ用装着具60では、このような手指による取出しの場合と同様の力がソフトコンタクトレンズ36に及ぼされるようになっており、ソフトコンタクトレンズ36がレンズケース38から効率的に取り出されるのである。
【0069】
また、一方の挟持部18a側にのみレンズ載置面64が形成されていることから、挟持部18a,18bの相対的な変位によってレンズ載置面64の形状やソフトコンタクトレンズ36の凸面上での当接位置等が変化することは殆どない。それ故、挟持部18a,18bの相対位置に拘らず、ソフトコンタクトレンズ36がレンズ載置面64上で安定して支持されて、眼41への装着作業を容易に行うことができる。特に、ソフトコンタクトレンズ36が保存液を介してレンズ載置面64に吸着している状態で挟持部18a,18bを相対変位させた場合等であっても、ソフトコンタクトレンズ36がレンズ載置面64から脱落するのを防ぐことができる。
【0070】
図17には、本発明の第4の実施形態としてのソフトコンタクトレンズ用装着具70が示されている。このソフトコンタクトレンズ用装着具70では、一対の挟持部18a,18bの接近方向での相対変位端を規定するストッパ手段が、それら一対の挟持部18a,18bの接近側の対向面に設けられている。より具体的には、一方の挟持部18aの中間部分にストッパ突部72が突出形成されて、他方の挟持部18bに向かって突出している。そして、一対の挟持部18a,18bが接近方向に変位することによって、挟持部18aのストッパ突部72が挟持部18bに当接するようにされており、もって、一対の挟持部18a,18bの相対的な揺動が制限されている。これにより、ソフトコンタクトレンズ用装着具70では、一対の挟持部18a,18bの接近方向での相対変位端を規定するストッパ手段が、ストッパ突部72を利用して設けられている。
【0071】
このようなソフトコンタクトレンズ用装着具70によれば、一対の挟持部18a,18bによってソフトコンタクトレンズ36を摘む際に、ソフトコンタクトレンズ36に対して過度な力が及ぼされるのを防いで、ソフトコンタクトレンズ36の損傷を防ぐことができる。
【0072】
なお、ストッパ手段は、一対の挟持部18a,18bの接近側の変位端を規定することができれば、その具体的な構造は特に限定されるものではない。例えば、操作部16a,16bの一方から他方の側に向かって突出する突起を形成して、該突起が他方の操作部に当接することで、挟持部18a,18bの接近が制限されるようになっていても良い。また、例えば、一対の操作部16a,16bの交差部14a,14b側の端部が相互に当接することで、一対の操作部16a,16bの接近端を規定して、挟持部18a,18bの接近を制限するストッパ手段が構成されていても良い。
【0073】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、一対の腕部12a,12bは、弾性連結部28を介して一体形成されている必要はなく、それぞれ別体で形成されて、一方の腕部に形成された回動軸20が他方の腕部に形成された支持孔22に嵌入されることによって、それら腕部が相互に組み合わされていても良い。
【0074】
また、弾性連結部28は、必ずしも一対の腕部12a,12bの基端側の端部を連結するものではなく、例えば、一対の操作部16a,16bの中間部分を相互に連結するように設けられていても良い。更に、弾性連結部は、一対の腕部12a,12bと一体形成されていなくても良く、別体で形成された弾性連結部が一対の腕部12a,12bに接着や嵌合等の手段によって後固定されるようになっていても良い。
【0075】
また、腕部は、全体が一体形成されている必要はなく、挟持部と操作部がそれぞれ別体で形成されて、後固定されることによって腕部が構成されていても良い。更に、挟持部と操作部は、異なる材料で形成されていても良く、例えば、挟持部を比較的に軟質な弾性体で形成すると共に、操作部を挟持部に比して硬質とすることにより、操作部の形状安定性が高められて、操作部に及ぼされる外力(握力等)が挟持部に効率的に伝達されると共に、挟持部の当接によるソフトコンタクトレンズ36の損傷が防止される。ここで、操作部が弾性体で形成されていることは必須ではなく、硬質の合成樹脂や金属等で形成されていても良いが、この場合には、例えば、ばね手段としてコイルスプリング等を一対の操作部を連結するように配して、それら操作部を弾性的に位置決めすることが望ましい。なお、支持軸を腕部と別体の部材とすることも、勿論可能である。
【0076】
また、本発明に係るソフトコンタクトレンズ用装着具は、凸部40を有するレンズケース38に収容されたソフトコンタクトレンズ36の装着にのみ用いられるものではなく、凹部を有する一般的なレンズケースから、凹面が凹部の開口側に向くように収容されたソフトコンタクトレンズ36を取り出して、眼41に装着する場合にも、使用され得る。
【0077】
また、前記実施形態では、ソフトコンタクトレンズ36が変形を解除されてから眼41に装着されていたが、例えば、強角膜レンズを装着する際には、眼瞼内への挿入を容易にするために、一対の挟持部18a,18bによって挟み込んで変形させたままで眼瞼内へ挿入してから変形を解除して装着することも可能である。
【0078】
また、例えば、一対の挟持部18a,18bの先端部分が協働してレンズ載置面34,52を構成する場合に、一対の挟持部18a,18bが開かれてソフトコンタクトレンズ36の変形が解除された後、一対の挟持部18a,18bがソフトコンタクトレンズ36の表面上を滑るように接近させられて、一対の挟持部18a,18bが閉じた状態でレンズ載置面が構成されるようになっていても良い。
【符号の説明】
【0079】
10,50,60,70:ソフトコンタクトレンズ装着具、12:腕部、16:操作部、18:挟持部、20:回動軸、22:支持孔、28:弾性連結部、30:傾斜面、32,62:緩衝保持体、34,52,64:レンズ載置面、36:ソフトコンタクトレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手指の操作で相互に接近および離隔可能とされて相互の接近によりソフトコンタクトレンズを変形させて摘む一対の挟持部を備えており、該一対の挟持部の先端部分において、該一対の挟持部で摘んだ該ソフトコンタクトレンズの変形を該一対の挟持部の相互の離隔により解除させて凸面側で重ね合わせて支持せしめるレンズ載置面が設けられていることを特徴とするソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項2】
前記挟持部よりも軟質の緩衝保持体が該挟持部の先端部分に設けられて、該緩衝保持体により前記レンズ載置面が形成されている請求項1に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項3】
前記レンズ載置面が前記一対の挟持部における両方の先端部分に協働して設けられており、それら一対の挟持部の間に跨がって前記ソフトコンタクトレンズが支持されるようになっている請求項1又は2に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項4】
前記レンズ載置面が前記一対の挟持部における一方の先端部分に設けられており、該一方の挟持部によって前記ソフトコンタクトレンズが支持されるようになっている請求項1又は2に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項5】
互いに交差する一対の腕部が交差点において回動軸で相互に連結されており、該回動軸から一方の側に延び出す該一対の腕部によって手指での操作部が構成されていると共に、該回動軸から他方の側に延び出す該一対の腕部によって前記一対の挟持部が構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項6】
前記挟持部と前記操作部が一体形成されて前記腕部が形成されており、該一対の腕部の一方に前記回動軸が一体形成されていると共に、該一対の腕部の他方に支持孔が形成されて、該回動軸が該支持孔に挿入支持されている請求項5に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項7】
前記一対の腕部を相互に連結する弾性連結部がそれら一対の腕部と一体形成されている請求項5又は6に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項8】
前記レンズ載置面が凹形の湾曲面とされている請求項1〜7の何れか1項に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項9】
前記挟持部の長さ方向に対して前記レンズ載置面が傾斜している請求項1〜8の何れか1項に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項10】
前記一対の挟持部における接近および離隔方向の相対位置を弾性的に位置決めするばね手段が設けられている請求項1〜9の何れか1項に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。
【請求項11】
前記一対の挟持部における接近方向の相対変位端を規定するストッパ手段が設けられている請求項1〜10の何れか1項に記載のソフトコンタクトレンズ用装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−103350(P2012−103350A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250014(P2010−250014)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】