説明

ゾーンストレッチ抵抗を有する衣料品

【課題】野球ボールの投球または送球の動きにおいて、手から放たれる際の肘関節を伸ばすことによる肘関節への負荷を軽減する衣料品を提供する。
【解決手段】着用者の関節(例えば肘または膝)の周囲に広がる円筒形部分、例えば腕領域12aまたは脚領域を有する様々な衣料品10であり、円筒形部分は、織物生地、および織物生地の表面に位置するかまたは織物生地に編み込まれたパターン20を含む。パターンは、関節屈曲面に実質的に平行な方向を向いた、円筒形部分の少なくとも一つの部位において第一の密度を有し、関節屈曲面に実質的に垂直な方向を向いた、円筒形部分の少なくとも一つの部位において第二の密度を有するものであり、関節の使用の結果として起こる過度使用症候群またはその他の負傷の可能性を減らす。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
野球ボールの投球または送球は協調的な体の動きを必要とし、野球ボールが手から放たれる際の肘関節を伸ばすことに終わる。より具体的には、投球は4つの大まかな段階:ワインドアップ、振りかぶり、加速、およびフォロースルーを伴う。ワインドアップおよび振りかぶりの段階は、野球ボールを前方向に推進する準備段階として肘関節を曲げ肩を後方に回転させることを伴う。加速時においては、野球ボールを加速させるために、肩を前方に回転させつつ、同時に肘関節を伸ばす。野球ボールが十分な速度に達すれば、野球ボールは手から放たれ、前方向に飛び出す。その後、投手は投球のフォロースルーを行い、これは肘関節のさらなる伸張を伴うことがある。
【0002】
加速およびフォロースルーの両方の段階において、比較的大きな伸張負荷および外反負荷が肘関節にかかることがある。より具体的には、加速段階において外反ストレスが肘関節にかかることがある。外反ストレスから生じる張力は、例えば、屈筋組織の負傷、内側側副靱帯の負傷、内側上顆の剥離、および尺骨烏口突起の牽引性の骨棘(traction spurs of the ulnar coronoid)の原因となることがある。加速段階に付随する圧縮力もまた、例えば、小頭の骨軟骨骨折、離断性骨軟骨炎、橈骨頭の変形、外側上顆炎、および外側側副靭帯の捻挫を引き起こし得る。送球動作のフォロースルー段階において、三頭筋は力強く肘を伸ばし、筋腱単位に沿って張力を発生させ得る。これらの力は、例えば、肘頭の剥離骨折、三頭筋の挫傷、肘頭の骨棘、および関節の変形を引き起こし得る。
【0003】
例えば、速球、カーブボール、およびナックルボールを適当に投げるのに必要とされる個々の動作は大いに異なり得るが、練習または試合において野球ボールを繰り返し投球することは、肘関節にストレスを誘導する。特定のゲーム中、練習期間中、またはシーズンを通して投球数が増えるにつれ、肘関節への反復的なストレスの負荷により肘関節の過度使用症候群が引き起こされ得る。
【発明の概要】
【0004】
概要
本発明の一つの局面は、着用者の関節をの周囲に広がる腕領域または脚領域のような円筒形部分を有する衣料品である。円筒形部分は、織物生地および織物生地の表面に位置するパターンを含む。パターンは、関節屈曲面に実質的に平行な方向を向いた、円筒形部分の少なくとも一つの部位において第一の密度を有し、かつパターンは、関節屈曲面に実質的に垂直な方向を向いた、円筒形部分の少なくとも一つの部位において第二の密度を有する。
【0005】
本発明の別の局面は、胴体領域および一対の腕領域を有する衣料品である。腕領域の少なくとも一方は、着用者の肘関節の周囲に広がる肘部分を有し、肘部分は一対の第一の部位および一対の第二の部位を含む。第一の部位は、肘関節屈曲面に実質的に平行な方向を向き、かつ肘部分の対向する側に位置し、および第一の部位は、肘部分の周囲に広がる方向に第一の程度のストレッチ抵抗を有する。第二の部位は、肘関節屈曲面に実質的に垂直な方向を向き、かつ肘部分の対向する側に位置し、および第二の部位は、肘部分の周囲に広がる方向に第二の程度のストレッチ抵抗を有する。第一の程度のストレッチ抵抗は、第二の程度のストレッチ抵抗よりも小さい可能性がある。
【0006】
本発明の様々な局面を特徴付ける新規性の利点および特徴は、特に、添付の特許請求の範囲によって指摘されている。しかし、新規性の利点および特徴をより深く理解するためには、本発明の局面に関する様々な態様および概念を説明および例証する以下の説明内容および添付図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
上記の概要および詳細な説明は、添付図面と合わせて読むことでよりよく理解されると考えられる。
【図1】本発明の局面に従う第一の衣料品の正面図である。
【図2】第一の衣料品の背面図である。
【図3】第一の衣料品の腕領域を屈曲させた形状の透視図である。
【図4】図3における4-4線により規定される、第一の衣料品の腕領域の断面図である。
【図5】第一の衣料品の腕領域を形成する生地要素の平面図である。
【図6】第一の衣料品の腕領域に適用されるパターンの平面図である。
【図7A】図7Aは、第一の代替生地要素の平面図である。
【図7B】図7Bは第二の代替生地要素の平面図である。
【図7C】図7Cは第三の代替生地要素の平面図である
【図7D】図7Dは第一の代替の腕領域の断面図であり、図4に対応する。
【図7E】図7Eは第二の代替の腕領域の断面図であり、図4に対応する。
【図8】本発明の局面に従う第二の衣料品の正面図である。
【図9】本発明の局面に従う第三の衣料品の正面図である。
【図10】本発明の局面に従う第四の衣料品の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
以下の内容および添付図面は、ゾーンストレッチ抵抗を有する様々な衣料品を開示する。上記の背景の節で述べたように、野球ボールの投球または送球は協調的な体の動きを必要とし、野球ボールが手から放たれる際の肘関節を伸ばすことに終わる。練習または試合で野球ボールを繰り返し投球することは、肘関節にストレスを誘導し、それによって肘関節の過度使用症候群が引き起こされ得る。後述する様々な衣料品は、野球ボールの投球の結果として起こる過度使用症候群またはその他の負傷の可能性を減少させ得る特徴が組み込まれている。
【0009】
衣料品10を、図1および図2において、一般的な長袖シャツの形状で示す。衣料品10は、胴体領域11ならびに一対の腕領域12aおよび12bを含む。胴体領域11は、個人の胴体に対応し、従って着用した際に胴体を覆う。腕領域12aおよび12bは、それぞれ個人の右腕および左腕に対応し、従って着用した際に右腕および左腕を覆う。
【0010】
腕領域12aには、ゾーンストレッチ抵抗を付与し、野球ボールの送球の結果としての過度使用症候群または右腕において生じるその他の負傷の可能性を減少させ得るパターン20が組み込まれている。統計上、右腕が個人の送球側の腕である可能性が最も高い。従って、以下の議論は、腕領域12aが送球側の腕に対応することを前提に進める。しかし、衣料品10に類似の衣料品が、送球側の腕が左腕である個人用に製造される場合、腕領域12aについて本明細書中で議論される様々な特徴は、腕領域12bにも導入され得る。
【0011】
パターン20は、腕領域12aの肘部分の周囲に配置され、個人の肘関節の周囲に広がるゾーンにストレッチ抵抗を付与するように構造化されている。以下でより詳細に議論されることであるが、パターン20は、腕領域12aを形成する織物生地の表面に適用される生地から形成され得る(例えば印刷プロセスを通じて)。通常、パターン20により提供されるストレッチ抵抗の程度は、特定の部位におけるパターン20を形成する生地の密度に直接的に関係する。従って、パターン20を形成する生地がより多くの量存在する腕領域12aの部位は、通常、より大きなストレッチ抵抗を示し、パターン20を形成する生地がより少ない量存在する腕領域12aの部位は、通常、より小さなストレッチ抵抗を示す。従って、特定のゾーンにおいてパターン20を形成する生地の密度を変化させることによって、腕領域12aのその特定のゾーンにおけるストレッチ抵抗が制御または選択され得る。
【0012】
本明細書中で使用する場合、「密度」という用語は、単位面積あたりのパターン20の量をさすことを意図する。従って、相対的に多量のパターン20が存在する部位は、相対的に少量のパターン20が存在する部位よりも大きな密度を有する。
【0013】
図3に関して、腕領域12aの肘部分は、屈曲させた形状で表わされている。より具体的には、この肘部分は、腕領域12aに収容された個人の肘関節がおよそ90度の角度に曲げられたかのように示されている。肘関節を屈曲させる間、前腕(すなわち、腕の肘関節と手首の間の部分)は、上腕(すなわち、腕の肩と肘関節の間の部分)に対して相対的に移動し、屈曲面を規定する。屈曲面の方向は、腕の位置によって異なり得るが、前腕および上腕の両方は通常、個人の身体に対する腕の位置に関わらず屈曲面に沿って位置する。従って、屈曲面は、実際上、前腕が肘関節を屈曲させている間に沿って移動する面に平行な面を表す。
【0014】
上記のように、パターン20は、個人の肘関節の周囲に広がるゾーンにストレッチ抵抗を付与するように構造化されている。通常、パターン20のゾーンは、屈曲面に実質的に平行な部位においてより大きなストレッチ抵抗を付与し、かつパターン20のゾーンは、屈曲面に実質的に垂直な部位においてより小さなストレッチ抵抗を付与する。さらに、パターン20により提供されるストレッチ抵抗の程度は、特定の部位におけるパターン20の密度に直接的に関連する。従って、異なる程度のストレッチ抵抗を有する、パターン20の異なるゾーンは、パターン20の密度の違いによって形成され得る。
【0015】
パターン20の異なるゾーンの位置および方向について今からより詳細に議論する。図1〜4に関して、パターン20は、第一ゾーン21、第二ゾーン22、第三ゾーン23、および第四ゾーン24を含む、四つの大まかなストレッチ抵抗ゾーンを含む。ゾーン21〜24の各々は、腕領域12aの肘部分に位置し、腕領域12aの周囲に連続的に広がっている。ゾーン21〜24は、腕領域12aの肘部分を囲む部位に概ね限定されるように表されているが、いくつかの態様においては、ゾーン21〜24は、腕領域12aの肩部分および手首部分まで拡張され得る。
【0016】
ゾーン21および23は、それぞれ、送球側の腕の上部および下部に位置し、屈曲面に実質的に平行な部位を含む。さらに、ゾーン21および23は、パターン20を形成する生地が比較的高密度なパターン20の部位を包含する。従って、ゾーン21および23は、屈曲面に実質的に平行な方向を向いた、よりストレッチ抵抗の高い部位を形成する。ゾーン22および24は、それぞれ、送球側の腕の対向する側に位置し、屈曲面に実質的に垂直な方向を向いた部位を含む。さらに、ゾーン22および24は、パターン20を形成する生地が比較的低密度なパターン20の部位を包含する。従って、ゾーン22および24は、屈曲面に実質的に垂直な方向を向いた、よりストレッチ抵抗の低い部位を形成する。
【0017】
上記の議論に基づくと、ゾーン21および23とゾーン22および24との間の違いには、屈曲面に対する方向およびストレッチ抵抗が含まれる。比較すると、ゾーン21および23は、a)屈曲面に実質的に平行な方向を有する部位およびb)比較的高いストレッチ抵抗を示し、ゾーン22および24は、a)屈曲面に実質的に垂直な方向を有する部位およびb)比較的低いストレッチ抵抗を示す。
【0018】
ゾーン21および23は、屈曲面に対して実質的に平行な部位を含むと上述した。同様に、ゾーン22および24は、屈曲面に対して実質的に垂直な部位を含むと上述した。ゾーン21〜24は各々、送球側の腕の周囲に広がっている場合、湾曲した形状をとるので、厳密な数学的意味においては、ゾーン21〜24の比較的小さな部分のみが屈曲面に対して真に平行または垂直である。しかし、ゾーン21〜24およびゾーン12〜24の部位は、屈曲面に対して「実質的に平行」および「実質的に垂直」であるとして論じられる。従って、ゾーン21〜24は、平行および垂直(厳密な数学的意味における)から、例えば45度外れるかもしれないが、屈曲面に対して「実質的に平行」および「実質的に垂直」であることに変わりはない。従って、「実質的に平行」および「実質的に垂直」という用語の使用は、平行および垂直の厳密な数学的定義からの逸脱を許容することを意図する。
【0019】
スポーツ選手は従来から、負傷する可能性があるまたは負傷し易い関節にラップ(wrap)を使用している。通常、ラップは関節の周囲に広がり、関節を形成する筋肉、靱帯、および腱に対して実質的に均一な圧力を加え、かつラップは関節周囲で実質的に均一なストレッチ抵抗を示す。しかし、パターン20は、ゾーンストレッチ抵抗を付与する。すなわち、パターン20は、ゾーン21および23に対してはより大きなストレッチ抵抗を、ゾーン22および24に対してはより小さなストレッチ抵抗を付与する。従って、従来のラップと異なり、パターン20は、肘関節周囲の選択された場所に対して圧力を加え得る。野球ボールを投球または送球する際、腕の柔軟性および可動性が高まれば、個人が打者に向かって野球ボールを正確かつ素早く加速させる能力が向上する。従来的なラップは、送球側の腕の柔軟性および可動性を制限し得るのに対して、パターン20は送球側の腕における概ね全方位の動作を許容しつつも、過度使用症候群または野球ボールの投球の結果として起こるその他の負傷の可能性を減少させる。パターン20はまた、衣料品10に独特の美観を与える。
【0020】
パターン20を形成するのに様々な製造技術が利用され得る。図4に示されるように、腕領域12aは織物生地から形成され、パターン20は、織物生地の表面に適用される別個の生地である。より具体的には、パターン20の生地は、図5に示されるように、腕領域12aを形成する生地要素14の表面に適用され得、次いで生地要素14が衣料品10に組み込まれ得る。生地要素14は、腕領域12aになる概ね円筒形の構造を形成するよう互いに隣接して配置される、対向する一対の縁部15を含む。腕領域12aを形成する際、縁部15は縫い合わせられるかまたは接合されて、縫い目16が規定される。パターン20の生地を生地要素14に適用するのに様々なスクリーン印刷プロセス、熱転写プロセス、成型プロセス、および接着プロセスが利用され得る。従って、パターン20またはストレッチゾーンを付与するその他のパターンを形成するのに様々な技術が利用され得る。
【0021】
図6において、パターン20が、個別的に示されており、ゾーン21〜24および4つの縁部25a〜25dが参照のために示されている。腕領域12aに組み込まれた場合、縁部25aは手首の最も近くに位置し、縁部25bは肩の最も近くに位置し、縁部25cおよび25dは互いに隣接しかつ腕領域12a内の縫い目16に隣接して配置される。パターン20の総体的な密度はゾーン22および24よりもゾーン21および23において大きいが、この密度は、縁部25c〜25d間の方向で段階的またはスペクトル様の様式で変化する。さらに、ゾーン21〜24の各々の密度は、ゾーン21〜24が縁部25aおよび25bに近づくにつれ減少する。
【0022】
パターン20は、実際上、複数の様々な大きさの、概ねダイヤモンド形の要素26から形成される。より具体的には、要素26は、ほぼ等しい長さの四辺を有し、これらの辺は内側に湾曲している。例えば、ゾーン22および24の中心部において、要素26は、分離しているかまたは互いに隔離されているため、腕領域12aを形成する織物生地が様々な要素26の間に広がっている。同様に、要素26は、縁部25aおよび25bの各々に隣接するゾーン21〜24の部分において、互いに隔離されている。しかし、ゾーン21および23の中心部においては、要素26は相互に重なり合うのに十分な大きさを有し、腕領域12aを形成する織物生地の一部を露出する様々な開口27を規定している。
【0023】
要素26の大きさは、パターン20により覆われている腕領域12aの織物生地とパターン20の部分の間から露出している腕領域12aの織物生地の相対的な面積が変化するようゾーン21〜24を通じて変化する。より具体的には、要素26の大きさは、要素26の位置がゾーン21および23の中心部に近づくにつれ大きくなる。この要素26の大きさの増加は、ゾーン21および23の中心部において開口27の大きさを効果的に減少させる。同様に、要素26の大きさは、要素26の位置がゾーン22および24の中心部に近づくにつれ小さくなる。
【0024】
要素26がパターン20の分離した部分を規定する部位において、腕領域12aの織物生地は、パターン20から大きな妨害を受けずに伸張することが許容される。しかし、要素26が開口27を規定する部位においては、腕領域12aの織物生地は、大きな伸張を制限され、それによって大きなストレッチ抵抗が付与される。従って、パターン20により露出される腕領域12aの部位は、より小さなストレッチ抵抗を示し、パターン20により覆われる部位はより大きなストレッチ抵抗を示す。上記のように、パターン20の密度が段階的またはスペクトル様の様式で変化する場合、腕領域12aのストレッチ抵抗は対応する様式で変化し得る。
【0025】
図1〜6に示されるパターン20は、衣料品10にゾーンストレッチ抵抗を付与するのに十分であるが、様々な他の構成もまた使用され得る。例えば、図7Aは、ストライプ28を含むパターン20を表す。ゾーン21の中心部は様々な開口27を通常含むが、ストライプ28は、開口の数を減らすことによってストレッチ抵抗をさらに大きくする。図7Bに示されるように、複数のストライプがパターン20として使用される場合もある。一般的に、太いストライプは大きなストレッチ抵抗を付与し、細いストライプは小さなストレッチ抵抗を付与すると考えられる。従って、太いストライプはゾーン21および23に対応する部位に配置され、細いストライプはゾーン22および24に対応する部位に配置される。同様の構成は、図7Cに示されるような分離した円形要素によって形成されてもよい。さらに、様々なパターン20の要素は、三角形、四角形、五角形、六角形、楕円形、または任意のその他の形であり得、規則的であっても不規則的であってもよい。パターン20は腕領域12aの外表面に配置されるように表されているが、パターン20は、図7Dに示されるように、内表面にも配置され得る。パターン20の厚さの違いもまた、ストレッチ抵抗のゾーンを付与し得る。図7Eに関して、パターン20は、ゾーン22および24よりもゾーン21および23においてより大きな厚さを有するように表されており、それによってゾーン21および23に対してより大きなストレッチ抵抗が付与される。従って、パターン20については様々な構成が使用され得る。
【0026】
衣料品10が、送球側の腕が左腕である個人により着用される状況においては、パターン20は、腕領域12bに適用され得る。両利き用の特性を有する衣料品10を提供するためには、図8に示されるように、腕領域12aおよび12bの両方がパターン20を含み得る。この構成はまた、肘関節の保護が有益となり得る様式で両方の腕が使用される運動活動において有益であり得る。
【0027】
パターン20を形成する生地の適用は、ゾーンストレッチ抵抗が達成され得る一つの様式である。代案として、腕領域12aの織物生地がポリマー繊維から形成される態様において、生地要素14は、ストレッチ抵抗のゾーンを付与するパターン20の構成で融解され得る。さらに、腕領域12aの肘部分の周囲で使用されるニットのタイプの違いを使用して、ストレッチ抵抗のゾーンが付与され得る。図9に関して、衣料品10の腕領域12aは、主として第一のニットタイプ(knit type)17から形成され、ゾーン21および23に対応する部位は、第二のニットタイプ18から形成される。第一のニットタイプ17との比較においては、第二のニットタイプ18は、張力が加えられた際に伸びる程度が小さく、ストレッチ抵抗生地のゾーンを付与する。
【0028】
肘関節は、パターン20のゾーンストレッチ抵抗からの利益を享受し得る身体の部分の一例である。図10に関して、ズボンの形状を有する衣料品10'が示されている。衣料品10'は、各々膝部分にパターン20を含む一対の脚領域12a'および12b'を含み、それによって膝関節にゾーンストレッチ抵抗が提供されている。例えば、肩関節、橈骨手根関節、股関節、および足根関節のような他の関節もまた、ゾーンストレッチ抵抗を付与するパターン20のような構造からの利益を享受し得る。
【0029】
腕領域12aの肘部分ならびに脚領域12a'および12b'の膝部分は、個人の四肢を収容する構造を形成している。腕領域12aならびに脚領域12a'および12b'は先細であり得るが(いくつかの衣料品において慣習的であるように)、腕領域12aならびに脚領域12a'および12b'は概ね円筒形の形状を示す。腕領域12aならびに脚領域12a'および12b'のこれらの円筒形部分にパターン20を適用することにより、異なるストレッチ抵抗のゾーンで、円筒形部分の周囲全体を取り囲むことができる。しかし、いくつかの態様において、パターン20または類似のパターンは、衣料品の非円筒形部位に適用され得るかまたは衣料の様々な部分を部分的にのみ取り囲み得る。さらに、パターン20または類似のパターンが衣料に独特の美観を付与するために使用される態様において、パターン20は、衣料品の任意の実用的な部分に配置され得る。
【0030】
腕領域12aおよび12bを形成する織物生地は、パターン20の存在を除いて同一であり得る。ウォームアップ後または投手がダグアウトにいるイニングにおいて、投手は、送球側の腕を投球できる状態で維持するために、送球側の腕を暖めた状態で維持することに注意を払い得る。送球側の腕を暖めた状態で維持するのを補助するため、腕領域12aは、腕領域12bよりも大きな断熱を付与する生地で形成され得る。従って、パターン20および高い熱保持性を付与する生地の組み合わせが有益であり得る。
【0031】
本発明は、様々な態様に関連して上記および添付の図面に開示されている。しかし、この開示により果たされる目的は、本発明の局面に関する様々な特徴および概念の例を提供することであり、本発明の局面の範囲を限定することではない。当業者は、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲から逸脱することなく、上記の態様に対して多くの変更および修正がなされ得ることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の関節の周囲に広がる円筒形部分を有し、円筒形部分が第一の織物生地および第一の織物生地の表面に適用された第二の生地を含み、第二の生地が関節屈曲面に実質的に平行な方向を向いた、円筒形部分の少なくとも一つの部位において第一の密度を有し、第二の生地が関節屈曲面に実質的に垂直な方向を向いた、円筒形部分の少なくとも一つの部位において第二の密度を有する、衣料品。
【請求項2】
第二の生地が、屈曲面に実質的に平行な方向を向いた、円筒形部分の部位において複数の開口を規定し、かつ屈曲面に実質的に垂直な方向を向いた、円筒形部分の部位において複数の分離した要素である、請求項1記載の衣料品。
【請求項3】
開口の大きさが、
開口の位置が、屈曲面に実質的に垂直な方向を向いた、円筒形部分の部位に近づくにつれ大きくなる、
請求項2記載の衣料品。
【請求項4】
分離した要素の大きさが、
分離した要素の位置が、屈曲面に実質的に平行な方向を向いた、円筒形部分の部位に近づくにつれ大きくなる、
請求項2記載の衣料品。
【請求項5】
円筒形部分が衣料品の肘領域を形成する、請求項1記載の衣料品。
【請求項6】
衣料品が胴体領域、第一の腕領域、および第二の腕領域を有するシャツであり、円筒形部分が第一の腕領域に組み込まれている、請求項5記載の衣料品。
【請求項7】
第一の腕領域を形成する第一の織物生地が、第二の腕領域を形成する生地よりも大きな防護特性を有する、請求項6記載の衣料品。
【請求項8】
円筒形部分が衣料品の膝領域を形成する、請求項1記載の衣料品。
【請求項9】
第二の生地が円筒形部分を通って伸びるストライプを含み、ストライプが屈曲面に実質的に平行な方向を向いている、請求項1記載の衣料品。
【請求項10】
屈曲面に実質的に平行な方向を向いた、円筒形部分の部位における第二の生地が、屈曲面に実質的に垂直な方向を向いた、円筒形部分の部位における第二の生地より大きな厚さを有する、請求項1記載の衣料品。
【請求項11】
第二の生地が表面上に印刷されている、請求項1記載の衣料品。
【請求項12】
胴体領域および一対の腕領域を含み、腕領域の少なくとも一方が着用者の肘関節の周囲に広がる肘部分を有する衣料品であって、
肘部分は、
肘関節屈曲面に実質的に平行な方向を向いた、肘部分の対向する側に位置し、肘部分の周囲に広がる方向に第一の程度のストレッチ抵抗を有する、一対の第一の部位;および
肘関節屈曲面に実質的に垂直な方向を向いた、肘部分の対向する側に位置し、肘部分の周囲に広がる方向に第二の程度のストレッチ抵抗を有する一対の第二の部位
を含み、
第一の程度のストレッチ抵抗が第二の程度のストレッチ抵抗よりも小さい、衣料品。
【請求項13】
ポリマー生地が肘部分に固定されている、請求項12記載の衣料品であって、ポリマー生地が第一の部位において第一の密度を有し、かつ第二の部位において第二の密度を有し、第一の密度は第二の密度よりも大きい、衣料品。
【請求項14】
ポリマー生地が肘部分を形成する織物生地上に印刷されている、請求項13記載の衣料品。
【請求項15】
ポリマー生地が肘部分に固定されている、請求項12記載の衣料品であって、ポリマー生地が一対の第一の部位において複数の開口を規定し、かつ第二の部位において複数の分離した要素である、衣料品。
【請求項16】
開口の大きさが、開口の位置が第二の部位に近づくにつれ大きくなる、請求項15記載の衣料品。
【請求項17】
要素の大きさが、要素の位置が第一の部位に近づくにつれ大きくなる、請求項16記載の衣料品。
【請求項18】
ポリマー生地が肘部分を形成する織物生地上に印刷されている、請求項15記載の衣料品。
【請求項19】
ストライプが肘領域を通って伸び、かつ肘関節屈曲面に実質的に平行な方向を向いている、請求項12記載の衣料品。
【請求項20】
肘部分が織物から形成され、織物は第一の部位に第一のニットタイプ(knit type)を有し、かつ第二の部位に第二のニットタイプを有する、請求項12記載の衣料品。
【請求項21】
第一の腕領域を形成する生地が、第二の腕領域を形成する生地よりも大きな防護特性を有し、肘部分は第一の腕領域の一部である、請求項12記載の衣料品。
【請求項22】
胴体領域、第一の腕領域、および第二の腕領域を有する衣料品であって、
第一の腕領域は、
着用者の肘関節の周囲に広がる円筒形構造を形成する織物生地;ならびに
肘関節屈曲面に実質的に平行な方向を向き、かつ織物生地の対向する側に位置し、織物生地を露出する複数の開口を規定する、一対の第一の印刷部位、および
肘関節屈曲面に実質的に垂直な方向を向き、かつ織物生地の対向する側に位置し、複数の分離した印刷要素を規定する、一対の第二の印刷部位、
を含む、織物生地の少なくとも表面上に位置する印刷物
を含む肘部分を有し、
肘部分が、第一の印刷部位に対応する部位において第一の程度のストレッチ抵抗を有し、かつ第二の印刷部位に対応する部位において第二の程度のストレッチ抵抗を有し、第一の程度のストレッチ抵抗は、第二の程度のストレッチ抵抗よりも大きい、衣料品。
【請求項23】
開口の大きさが、開口の位置が第二の印刷部位に近づくにつれ大きくなる、請求項22記載の衣料品。
【請求項24】
印刷要素の大きさが、印刷要素の位置が第一の印刷部位に近づくにつれ大きくなる、請求項22記載の衣料品。
【請求項25】
印刷物がポリマー生地である、請求項22記載の衣料品。
【請求項26】
第一の印刷部位の一方が、円筒形構造の縦軸方向に伸びるストライプを含む、請求項22記載の衣料品。
【請求項27】
織物生地が、第二の腕領域を形成する生地よりも大きな断熱特性を有する、請求項22記載の衣料品。
【請求項28】
図6に実質的に示されるパターンを含む、衣料品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−140744(P2011−140744A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26768(P2011−26768)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2008−533414(P2008−533414)の分割
【原出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)
【Fターム(参考)】