説明

タイヤ保全管理具

【課題】 自動車のタイヤの溝深さや空気圧を迅速に測定できるとともに、その状態を即刻判定できるタイヤ保全管理具を提供すること。
【解決手段】
測定器本体1に電源を有する電気回路が内蔵され、測定子4の突出長さが表示手段に明示されるとともに、所定の摩耗限度を境界にして前記電気回路に配設される検出部11に作用させ、該検出部11を介し測定子4の突出状態に連動して、タイヤの摩耗状態が前記検出部11の一である表示灯10の点灯、消灯及び/又はブザーの奏鳴によって知覚される。
また前記表示手段はデジタル表示及び/又は機械的に表示するスケール表示から成る。このほか表示手段が切り替えのスイッチ3を伴う前記デジタル表示から成るタイヤの空気圧測定部12が付加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のタイヤの溝深さや空気圧を測定してタイヤの保全を管理するタイヤ保全管理具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のタイヤの空気圧と溝深さに関するタイヤ管理方法として、特開2004−279217号公報(特許文献1)が提案されているが、空気圧及び溝深さともにコンピューターを用いたタイヤ管理方法であって、使用されているタイヤの状況を直接その場で判断できるものではない。
また、ダイヤルゲージでタイヤの溝深さを測定できる技術としては、登録実用新案公報第3029481号(特許文献2)に提案されているが、このものは単に溝深さを判定してその車種に応じてその都度判定するものであるから、摩耗限度に対する判定に手間取るものであった。
【特許文献1】 特開2004−279217号公報
【特許文献2】 登録実用新案公報第3029481号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記に鑑みて、自動車のタイヤの溝深さや空気圧が迅速に測定できるとともに、その状態が即刻判定できるタイヤ保全管理具の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に記載したタイヤ保全管理具は、測定器本体を手に持って、測定基準面より突出する測定子を介してタイヤの溝深さを検出するタイヤ溝深さ検出部を有するタイヤ保全管理具において、
前記測定器本体に電源を有する電気回路が内蔵され、かつ、測定子の突出長さが表示手段に明示されるとともに、所定の摩耗限度を境界にして前記電気回路に配設される検出部に作用させ、該検出部を介し測定子の突出状態に連動して、タイヤの摩耗状態が前記検出部の一である表示灯の点灯、消灯及び/又はブザーの奏鳴によって知覚されて成る。
また、請求項2に記載した発明は、請求項1記載のタイヤ保全管理具において、表示手段が、測定子の突出状態を電気的に表示するデジタル表示及び/又は機械的に表示するスケール表示からなる。
さらに、請求項3に記載した発明は、請求項2記載のタイヤ保全管理具において、タイヤの空気圧を測定する空気圧測定部が設けられ、その表示手段が切り替えのスイッチを伴う前記デジタル表示から成る。
【発明の効果】
【0005】
本発明のタイヤ保全管理具によれば、タイヤの溝深さに関しては、各自動車の車種毎の摩耗限度に達した溝ではスケール表示と表示灯やブザー或いはデジタル表示等で知らせるから、その判定が迅速となり、また、タイヤの空気圧の測定に関しては、スイッチで選択される上で空気圧がデジタル表示されるから、その判定も迅速となる上、夜間の暗い場所でも照明下で判定できるから、個人的な使用において極めて便利なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のタイヤ保全管理具におけるタイヤの溝深さの摩耗限度の判定表示に関しては、摩耗限度に達していないときは表示灯を消灯状態とするものから、逆に点灯するものまで幅広く対応され、その内容はデジタル表示部で明示されるものである。
このほか、測定子の突出長さを実測値でデジタル表示するなども図られる。
【実施例1】
【0007】
本発明のタイヤ保全管理具Aを実施例により説明すると、図1に示すように、正面視縦長の測定器本体1にはデジタル表示部2と、タイヤの溝深さの摩耗限度や管理内容等を指示するスイッチ3と、該スイッチ3の操作に連動して点灯し、測定子4の下端周囲を照明する照明灯5と、副尺を伴うスケール表示部6と、摩耗限度を超えた所要の範囲内で各個の光センサー7に光投入孔8から光量を投入する各個のLED9と、摩耗限度であるときに点灯又は消灯する表示灯10とからなる検出部11と、内臓される電源を伴う電気回路(図外)とが配設される。
そして、前記検出部11では図2に示すように、測定子4の縦方向に三個の光投入孔8が各車種の摩耗限度差毎に横設され、各光投入孔8に連通する位置に設けた光センサー7を照射する各個のLED9は、前記スイッチ3の選択によってデジタル表示部2に表示されたタイヤの摩耗限度毎に指示されるものである。すなわち、各摩耗限度毎にLED9と光センサー7の監視回路が閉状態となるから、指定摩耗限度のみの監視状態となり、他の摩耗限度の監視回路は開状態であるから、各車種毎の迅速な判定が出来ることとなる。
【0008】
このようにして成るタイヤ保全管理具Aは、タイヤの溝深さ測定に際し、スイッチ3を1回押すとデジタル表示部に「乗用車摩耗限度1.6mm以上」と表示され、2回押すと「小型貨物摩耗限度2.4mm以上」と表示され、3回押すと「大型貨物摩耗限度3.2mm以上」と表示される。
そこで、測定対象車が乗用車であれば、スイッチ3を1回押したときにデジタル表示部2に「乗用車摩耗限度1.6mm以上」と表示されるから「OK」表示部の設定ボタン13を押して確定する。すると、デジタル表示部2から「乗用車摩耗限度1.6mm以上」の表示が消えるとともに、照明灯5が点灯して測定子4の下端周囲が照明され、測定器本体1の一番下の光センサー7とLED9及び表示灯10の電気回路が閉回路となり、測定子4の下端が突出状態でタイヤの溝15に挿し込まれるが、1.6mm以上の溝深さのときはLED9の光量が光投入孔8から光センサー7へ届かず、その結果表示灯10が点灯せず、もう一度「OK」表示部の設定ボタン13を押すと、デジタル表示部2に「溝深さ良」と表示されるのである。逆に、測定子4の下端の溝15内の突出長さが1.6mm以下のときは、LED9の光量は投入孔8から光センサー7を照射して表示灯10が点灯し、設定ボタン13を押せば「溝深さ不良」とデジタル表示部2に表示されるのである。このようにして小型貨物、大型貨物についても前記の要領でその溝深さが測定され迅速な判定を得ることができる。なお、判定時に表示灯10の点灯とともに、ブザー(図外)を奏鳴したり、単独でブザーを奏鳴してその「溝深さ不良」を知覚させることもできる。
【0009】
次に、図3に示したタイヤ保全管理具Bについて説明すると、このものは前記タイヤ保全管理具Aに空気圧測定部12を付加したもので、デジタル表示部2とスイッチ3の関係が以下のようになる。
すなわち、一回押すとデジタル表示部2に「空気圧測定」と表示され、二回押すとデジタル表示部2に「溝深さ測定」と表示され、三回押すと「乗用車摩耗限度1.6mm以上」と表示され、四回押すと「小型貨物摩耗限度2.4mm以上」と表示され、五回押すと「大型貨物摩耗限度3.2mm以上」と表示される。
したがって、一回スイッチ3を押してデジタル表示部2に「空気圧測定」と表示されたとき、空気圧測定を開始するのであれば「OK」表示部の設定ボタン13を押して確定する。すると空気圧測定部12が閉回路となるとともに、照明灯5が点灯して空気圧測定部12の周囲を照明し、測定端14から供給される空気圧を内部に収蔵した検出部で検出して、デジタル表示部2にその空気圧を表示するものである。
また、溝深さ測定の場合であれば、三回以降のスイッチ3の操作となるが、その要領は前記と同様である。
なお、図2において、下から二番目(中段)のLED9と光センサー7と表示灯10の監視回路が小型貨物のタイヤの溝深さ測定に対応し、上段のLED9と光センサー7と表示灯10の監視回路が大型貨物のタイヤの溝深さ測定に対応するものである。また、簡便な溝深さ測定としては、副尺を伴うスケール表示部6で直接目視による測定もできる。
このように、タイヤ保全管理具Bではタイヤの空気圧測定と溝深さ測定がなされ、タイヤの保全が管理される。
【実施例2】
【0010】
次の図4に示したタイヤ保全管理具Cについて説明すると、このものは前記と同様に正面視縦長の測定器本体1にタイヤの空気圧測定部12が付加され、スイッチ3により「空気圧測定」と「溝深さ測定」が表示されるデジタル表示部2と、溝深さを測定する測定子4と、前記スイッチ3の操作に連動して空気圧測定部12の周囲と測定子4の下端周囲をそれぞれ照明する照明灯5と、測定子4の突出状態(溝深さ)を表示するスケール表示部6(副尺を設けたものでもよい)と、測定器本体1の内壁側に設けられた+接点16と、測定子4の頂部に立設された絶縁材にして突起のある押し棒17と、押し棒17の上昇で押し下げられる斜面を有する−接点18と、両接点16,18が接触したときに点灯する表示灯10が配設されて成る。
したがって、このタイヤ保全管理具Cにおけるタイヤの溝深さを判定する検出部11は、測定子4と同一の動きをする押し棒17によって開閉される+接点16と−接点18及び表示灯10とから成り、これらは電源としてのボタン電池を有する電気回路に電気的に接続される。
本実施例2で示したものは、乗用車向けの溝深さ測定に用いられるもので、その摩耗限度が1.6mm以上であるから、図示の測定子4が2mmの突出状態では両接点16,18は接触せず、摩耗限度に達していないものであるが、1,6mmから0へとタイヤの溝15が浅くなると、押し棒17が上昇して突起によって−接点18の斜面が押され、両接点16,18が接触し、スケール表示部6に測定子4の三角形状の指示端でその深さが明示されるとともに、赤色の表示灯10が点灯して摩耗限度を超えたことが告知される。このような検出部11の構成で、それぞれ小型貨物や大型貨物向けのタイヤ保全管理具Cが提供される。
【産業上の利用可能性】
【0011】
自動車の給油所でのサービスに使用されることは勿論のこと、個人的な利用においても簡便な判定が提供されることで、自動車産業でのサービス品としても、大いにその需要が期待されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明のタイヤ保全管理具Aの説明図で、分図(a)はその正面図、分図(b)は分図(a)の右側面図。
【図2】 検出部11の部分説明図。
【図3】 本発明のタイヤ保全管理具Bの説明図。
【図4】 本発明のタイヤ保全管理具Cの説明図。
【符号の説明】
【0013】
1 測定器本体
2 デジタル表示部
3 スイッチ
4 測定子
5 照明灯
6 スケール表示部
7 光センサー
8 光投入孔
9 LED
10 表示灯
11 検出部
12 空気圧測定部
13 設定ボタン
14 測定端
15 溝
16 +接点
17 押し棒
18 −接点
A乃至C タイヤ保全管理具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定器本体を手に持って測定基準面より突出する測定子を介して、タイヤの溝深さを検出するタイヤ溝深さ検出部を有するタイヤ保全管理具において、
前記測定器本体に電源を有する電気回路が内蔵され、かつ、測定子の突出長さが表示手段に明示されるとともに、所定の摩耗限度を境界にして前記電気回路に配設される検出部に作用させ、該検出部を介し測定子の突出状態に連動して、タイヤの摩耗状態が前記検出部の一である表示灯の点灯、消灯及び/又はブザーの奏鳴によって知覚されて成るタイヤ保全管理具。
【請求項2】
表示手段が、測定子の突出状態を電気的に表示するデジタル表示及び/又は機械的に表示するスケール表示から成る請求項1記載のタイヤ保全管理具。
【請求項3】
請求項2記載のタイヤ保全管理具において、
タイヤの空気圧を測定する空気圧測定部が設けられ、その表示手段が切り替えのスイッチを伴う前記デジタル表示から成るタイヤ保全管理具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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