タイヤ空気圧センサ
【課題】空気圧センサ素子18のセンサ部分18aに連通する連通路36に水が侵入しにくく、また連通路36に侵入した水がケース32外に排出されるタイヤ空気圧センサ30を提供する。
【解決手段】ホイール10に配設固定されたタイヤ空気圧センサ30のケース32の天頂部にホイール10の回転方向に位置をずらして2つの空気孔34、34を穿設し、ケース32内に配設される空気圧センサ素子18に被せるキャップ38に通気孔16の開口部を回転方向で2つの空気孔34、34の中間位置に設ける。2つの空気孔34、34と通気孔16の開口部を、ケース32の天頂部とキャップ38の間でホイール10の半径方向と直交する略平面上で連通路36により連通する。しかも、空気孔34、34と通気孔16の開口部の間に壁40を設けて連通路36が九十九折り状態となるように構成する。
【解決手段】ホイール10に配設固定されたタイヤ空気圧センサ30のケース32の天頂部にホイール10の回転方向に位置をずらして2つの空気孔34、34を穿設し、ケース32内に配設される空気圧センサ素子18に被せるキャップ38に通気孔16の開口部を回転方向で2つの空気孔34、34の中間位置に設ける。2つの空気孔34、34と通気孔16の開口部を、ケース32の天頂部とキャップ38の間でホイール10の半径方向と直交する略平面上で連通路36により連通する。しかも、空気孔34、34と通気孔16の開口部の間に壁40を設けて連通路36が九十九折り状態となるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車の空気入りタイヤの空気圧を検出するための空気圧センサ素子に、タイヤ内に侵入した水が付着しないようにしたタイヤ空気圧センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタイヤ空気圧センサの一例を、図10ないし図12を参照して簡単に説明する。図10は、ホイールにタイヤ空気圧センサを配設固定した外観斜視図である。図11は、図10の構造にタイヤを装着した半径方向の断面部分図である。図12は、図10のA−A断面の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【0003】
図10ないし図12において、ホイール10にタイヤ空気圧センサ12がバンド14により配設固定される。タイヤ空気圧センサ12は、天頂側がホイール10の半径方向の外側となるように配設され、そのケース26の天頂部に1つの通気孔16が穿設される。ケース26内には、空気圧センサ素子18が配設され、そのセンサ部分18aに通気孔16が連通するように形成され、タイヤ20内の空気圧が通気孔16を介して空気圧センサ素子18のセンサ部分18aに加わり検出される。なお、ケース26内には、回路基板22が設けられ、この回路基板22に空気圧センサ素子18が搭載されるとともに、図示しない送信機およびバッテリーが搭載され、さらにケース26内が防水のために樹脂24でモールドされて、タイヤ空気圧センサ12が構成される。空気圧センサ素子18で検出した空気圧に応じた信号が、車内の受信機に適宜に送信されて、タイヤ20内の空気圧が監視される。
【0004】
かかる従来構造と同様に、タイヤ20内の空気圧を単純な形状の通気孔16を介して空気圧センサ18のセンサ部分18aに加えるタイヤ空気圧センサ12の構造が、特開2002−144830号公報や特開2005−47466号公報などに示されている。
【特許文献1】特開2002−144830号公報
【特許文献2】特開2005−47466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のごとき、従来構造にあっては、何らかの原因でタイヤ20内に水が侵入すると、さらに通気孔16を経てケース26内まで侵入して空気圧センサ素子18のセンサ部分18aに付着する虞がある。水が付着した場合には、空気圧センサ素子18の検出感度が悪くなるとともにその検出値に異常を生ずる虞もある。なお、特許文献2に示される技術にあっては、通気孔16の径の寸法を直径0.5mm以下とすることで、水の侵入を防ごうとしているが十分なものでない。
【0006】
本発明は、上述したごとき従来技術の事情に鑑みてなされたもので、タイヤ内の空気圧がケース内の空気圧センサ素子のセンサ部分に連通する連通路に水が侵入しにくいとともに、連通路に侵入した水がケース外に排出されるようようにしたタイヤ空気圧センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明のタイヤ空気圧センサは、ホイールに半径方向で外側が天頂側となるようにタイヤ空気圧センサを配設固定し、前記タイヤ空気圧センサのケースの天頂部に前記ホイールの回転方向に位置をずらして2つの空気孔を穿設し、前記ケース内に配設される空気圧センサ素子に被せるキャップに前記空気圧センサ素子に通じる通気孔の開口部を前記回転方向で前記2つの空気孔の中間位置に設け、前記2つの空気孔と前記通気孔の開口部を、前記ケースの天頂部と前記キャップの間で前記ホイールの半径方向と直交する略平面上で連通路により連通し、しかも前記空気孔と前記通気孔の開口部の間に壁を設けて前記連通路が九十九折り状態となるように構成されている。
【0008】
そして、前記連通路を前記通気孔の開口部を中心として前記回転方向で対称となるように構成しても良い。
【0009】
また、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部に最も近づく球面の一部を形成するように構成することもできる。
【0010】
また、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部を臨む位置に頂点を有する錐面の一部を形成するように構成することもできる。
【0011】
また、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記ホイールの回転軸と平行な軸芯を有し前記通気孔の開口部に最も近づく円筒面の一部を形成するように構成することもできる。
【0012】
また、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部を臨む位置に前記ホイールの回転軸と平行な陵を有する断面く字状を形成する2つの斜面の一部を形成するように構成することもできる。
【0013】
さらに、前記連通路の前記壁の前記通気孔側に向けた面を、前記連通路の前記通気孔の開口部からの通路長が長くなるほど、前記通気孔の開口部からの直線距離も長くなるように構成することも可能である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにあっては、タイヤ内の水が、空気孔よりケース内に侵入しても連通路が九十九折り状態であるために、空気圧センサ素子に到る通気孔側まで容易には移動できない。しかも、連通路はホイールの半径方向に直交する略水平面上にあり、ホイールの回転軸から2つの空気孔までの距離が通気孔までの距離よりも僅かながら長く、ホイールの回転時に空気孔側に作用する遠心力には通気孔側から空気孔側に向かう分力が作用し、この分力により連通路に侵入した水が空気孔側に移動されてタイヤ内に排出される。もって、空気圧センサ素子のセンサ部分に水が付着するようなことがない。
【0015】
そして、請求項2記載のタイヤ空気圧センサにあっては、連通路が通気孔の開口部を中心として回転方向で対称であり、連通路に侵入した水には2つの空気孔側からそれぞれに同じ空気圧が加わり、連通路に侵入した水がタイヤ内の圧力変化等により移動するようなことがない。
【0016】
また、請求項3および4記載のタイヤ空気圧センサのいずれにあっても、連通路の天頂側の面が球面または錐面の一部を形成するので、ホイールの回転で連通路内の水に作用する遠心力の球面または錐面に沿った分力により、連通路に侵入した水がより確実に空気孔側に移動されてタイヤ内に排出される。
【0017】
また、請求項5および6記載のタイヤ空気圧センサのいずれにあっても、連通路の天頂側の面が円筒面または断面く字状を形成する2つの斜面の一部を形成するので、ホイールの回転で連通路内の水に作用する遠心力の円筒面または2つの斜面に沿った空気孔に向かう分力により、連通路に侵入した水がより確実に空気孔側に移動されてタイヤ内に排出される。
【0018】
さらに、請求項7記載のタイヤ空気圧センサにあっては、連通路の天頂側の面が球面または錐面の一部を形成するとともに、連通路の通気孔の開口部からの通路長が長くなるほど通気孔の開口部からの直線距離も長なるようにしたので、ホイールの回転で連通路内の水に作用する遠心力の球面または錐面に沿った分力により、連通路に侵入した水が連通路を空気孔側に移動される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図4を参照して説明する。図1は、本発明のタイヤ空気圧センサの第1実施例をホイールに配設固定した外観斜視図である。図2は、図1のB−B断面の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。図3は、図2のC−C断面矢視図である。図4は、連通路に侵入した水が通気孔の開口部まで移動し難いことを説明するための図である。図1ないし図4において、図10ないし図12と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0020】
図1に示すごとく、本発明のタイヤ空気圧センサ30は、図10に示す従来例と同様に、バンド14によりホイール10に適宜に配設固定される。そして、ホイール10の半径方向の外側を天頂側としてタイヤ空気圧センサ30が配設され、そのケース32の天頂部にホイール10の回転方向に位置をずらして2つの空気孔34、34が穿設される。このケース32内に配設される空気圧センサ素子18に被せるキャップ38に空気圧センサ素子18のセンサ部分18aに連通する通気孔16が、2つの空気孔34、34の中間位置で開口される。しかも、ホイール10の半径方向と直交する略平面(ホイール10の回転軸と同軸芯を有する円筒面に接する略平面)上で、かつケース32とキャップ38の間で、2つの空気孔34、34と通気孔16の開口部が連通路36により連通される。この連通路36は、空気孔34、34と通気孔16の開口部の間に設けられた壁40、40…により九十九折り状態となるように形成される。第1実施例においては、まず両端側に隙間を設けて対向する2つの円弧状の第1の壁40a、40aが2つの空気孔34、34と通気孔16の開口部の間に立ち塞がるごとくケース32に設けられる。また、第1の壁40a、40aよりも径が小さくて両端側に隙間を設けて対向する2つの円弧状の第2の壁40b、40bが第1の壁40a、40aの隙間と通気孔16の開口部の間に立ち塞がるごとくキャップ38に設けられる。さらに、第2の壁40b、40bよりも径が小さくて両端側に隙間を設けて対向する2つの円弧状の第3の壁40c、40cが第2の壁40b、40bの隙間と通気孔16の開口部の間に立ち塞がるごとくケース32に設けらる。なお、この第1実施例にあっては、通気孔16の開口部を中心として、回転方向に2つの空気孔34、34および第1〜第3の壁40a、40a、40b、40b、40c、40cが対称に設けられ、連通路36が通気孔16の開口部を中心として対称に形成されている。
【0021】
かかる構成において、タイヤ20内に水が侵入し、さらに空気孔34より連通路36に侵入し、例えば図4のa状態のごとく、水滴が第1の壁40aの外側の連通路36にある場合、空気孔34、34に連通する両側の連通路36、36を介して両側からタイヤ20内の空気圧が均等に加わり、また水滴の表面張力のために、この場所に滞留する。また、図4のb状態のごとく、水滴が第1の壁40a、40aの隙間から第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に侵入しようとする場合、水滴の表面張力により第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に侵入し難く、しかも水滴が接するいくつもの連通路36、36…を介して全ての方向からタイヤ20内の空気圧が均等に加わり、この場所に滞留する。さらに、図4のc状態のごとく、水滴が第3の壁40c、40cの内側の面に付着している場合、タイヤ20内の空気圧が水滴を第3の壁40c、40cに押し付けるように作用し、また水滴の表面張力により、通気孔16の開口部に到るようなことがない。
【0022】
そして、車が急発進および急停止した際には、連通路36内の水滴にも慣性力により回転方向またはこれと逆方向の力が作用し、連通路36内を回転方向またはこれと逆方向に移動する。図4のa状態またはb状態では、いずれも空気孔34、34まで移動する可能性があり、空気孔34、34に到ると、ホイール10の回転による遠心力で空気孔34、34からタイヤ20内に排出される。また、図2に示すごとく、ホイール10の回転軸から通気孔16の開口部までの半径R1よりも、空気孔34、34までの半径R2が僅かに大きく、空気孔34、34に作用する遠心力は連通路36が設けられた略平面と僅かながら傾きがあり、通気孔16の開口側から空気孔34、34へ向かう分力が作用する。その結果、この分力により連通路36内の水滴が空気孔34、34側に移動され、最終的には空気孔34、34からタイヤ20内に排出される。
【0023】
本発明のタイヤ空気圧センサ30の第1実施例にあっては、上述のごとき作用により、タイヤ20内に侵入した水が連通路36を介して空気圧センサ素子18のセンサ部分に達するようなことがない。
【0024】
次に、本発明のタイヤ空気圧センサの第2実施例を図5を参照して説明する。図5は、本発明のタイヤ空気圧センサの第2実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。図5において、図1ないし図4と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0025】
図5に示す本発明のタイヤ空気圧センサの第2実施例にあっては、連通路36の天頂側の面が、ホイール10の半径方向の内側を凸とし、通気孔16の開口部に最も近づく半径R3の球面の一部分で形成されている。なお、連通路36を九十九折り状態とする壁40、40…、すなわち第1ないし第3の壁40a、40a、40b、40b、40c、40cは、いずれもケース32側に設けられている。
【0026】
かかる構成の第2実施例において、ホイール10の回転により遠心力を受けた連通路36内の水滴は、連通路36の天頂側の面に押圧され、第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36にある水滴は第1の壁40a、40aの隙間から第1の壁40a、40aの外側の連通路36に移動しようとする。また、第2と第3の壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36にある水滴は第2の壁40b、40bの隙間から第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に移動しようとする。さらに、第3の壁40c、40cの内側にある水滴は、第3の壁40c、40cの隙間から第2と第3のの壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36に移動しようとする。もって、水滴は、空気孔34、34側に移動し、通気孔16の開口部への水滴の移動が阻止される。
【0027】
なお、図5に示す第2の実施例の変形例として、ホイール10の回転軸と平行な軸芯を有し通気孔16の開口部側に凸な円筒面で、連通路36の天頂側の面を形成したとすると、第2と第3の壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36にある水滴が、第2の壁40b、40bの隙間から第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に移動するように遠心力が作用する。また、図5に示す実施例の更なる変形例として、ホイール10の回転方向に接する軸芯を有し通気孔16の開口部側に凸な円筒面で、連通路36の天頂側の面を形成したとすると、第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36にある水滴が、第1の壁40a、40aの隙間から第1の壁40a、40aの外側の連通路36に移動するように遠心力が作用するとともに、第3の壁40c、40cの内側の連通路36にある水滴が、第3の壁40c、40cの隙間から第2と第3の壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36に移動するように遠心力が作用する。
【0028】
次に、本発明のタイヤ空気圧センサの第3実施例を図6および図7を参照して説明する。図6は、本発明のタイヤ空気圧センサの第3実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。図7は、図6のD−D断面矢視図である。図6および図7において、図1ないし図5と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0029】
図6および図7に示す本発明のタイヤ空気圧センサの第3実施例にあっては、連通路36の天頂側の面が、ホイール10の半径方向の内側を凸とし、通気孔16の開口部に頂部を臨ませた四角錐面の一部で形成されている。しかも、連通路36は直線状の通路が九十九折り状態とされており、またこれらの直線状の各通路は空気孔34、34に近くて通気孔16の開口部からの通路長が長くなるほど四角錐面の頂部から離れた位置となるように、すなわち通気孔16の開口部からの直線距離が長くなるように設定されている。なお、第1ないし第3の壁40a、40a、40b、40b、40c、40cはいずれもキャップ38側に設けられている。
【0030】
かかる構成の第3実施例では、ホイール10の回転により九十九折り状態の連通路36の直線状の各通路は、空気孔34、34に近い側がより大きな遠心力を受けるとともに四角錐面に沿った分力が作用して、連通路36内に侵入した水滴が空気孔34、34側へと移動される。なお、遠心力を受けた連通路36内の水滴は、連通路36の天頂側の面に押圧され、第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36にある水滴は第1の壁40a、40aの隙間から第1の壁40a、40aの外側の連通路36に移動しようとする。また、第2と第3の壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36にある水滴は第2の壁40b、40bの隙間から第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に移動しようとする。さらに、第3の壁40c、40cの内側にある水滴は、第3の壁40c、40cの隙間から第2と第3のの壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36に移動しようとする。
【0031】
さらに、本発明のタイヤ空気圧センサの第4実施例を、図8および図9を参照して説明する。図8は、本発明のタイヤ空気圧センサの第4実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。図9は、図8のE−E断面矢視図である。図8および図9において、図1ないし図7と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0032】
図8および図9に示す本発明のタイヤ空気圧センサの第4実施例にあっては、連通路36の天頂側の面が、ホイール10の半径方向の内側を凸とし、通気孔16の開口部に最も近づく球面の一部で形成されている。しかも、連通路36の九十九折り状態の各通路は、放物線状の曲線からなるとともに、通気孔16の開口部からの通路長が長くなるほど通気孔16の開口部からの直線距離も長くなるように設定されている。
【0033】
かかる構成の第4実施例では、連通路36は通気孔16の開口部からの通路長の距離が長くなるほど大きな遠心力を受け、水滴が連通路36内に侵入しがたい。また、遠心力により、連通路36内の水滴が、天頂面の球面に沿って空気孔34、34側に移動して最終的にはタイヤ20内に排出される。
【0034】
なお、上記実施例において、壁40により形成した連通路36、36の九十九折り状態の形状は、上記実施例に記載されたものに限られるものでなく、空気孔36、36から通気孔16の開口部への水滴の移動が妨げられるように形成されていれば良い。また、上記実施例は、通気孔16の開口部を中心として、連通路36および空気孔34、34が回転方向に対称に設けられているが、これに限られるものでなく、非対称であっても良い。さらに、空気圧センサ素子18のセンサ部分18aは、通気孔16の開口部に向けて設けられているが、これに限られず、通気孔16からさらに別の通路を介してセンサ部分18aに連通するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のタイヤ空気圧センサの第1実施例をホイールに配設固定した外観斜視図である。
【図2】図1のB−B断面の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【図3】図2のC−C断面矢視図である。
【図4】連通路に侵入した水が通気孔の開口部まで移動し難いことを説明するための図である。
【図5】本発明のタイヤ空気圧センサの第2実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【図6】本発明のタイヤ空気圧センサの第3実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【図7】図6のD−D断面矢視図である。
【図8】本発明のタイヤ空気圧センサの第4実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【図9】図8のE−E断面矢視図である。
【図10】ホイールにタイヤ空気圧センサを配設固定した外観斜視図である。
【図11】図10の構造にタイヤを装着した半径方向の断面部分図である。
【図12】図10のA−A断面の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0036】
10 ホイール
12、30 タイヤ空気圧センサ
14 バンド
16 通気孔
18 空気圧センサ素子
18a センサ部分
20 タイヤ
22 回路基板
24 樹脂
26、32 ケース
34 空気孔
36 連通路
38 キャップ
40 壁
40a 第1の壁
40b 第2の壁
40c 第3の壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、車の空気入りタイヤの空気圧を検出するための空気圧センサ素子に、タイヤ内に侵入した水が付着しないようにしたタイヤ空気圧センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタイヤ空気圧センサの一例を、図10ないし図12を参照して簡単に説明する。図10は、ホイールにタイヤ空気圧センサを配設固定した外観斜視図である。図11は、図10の構造にタイヤを装着した半径方向の断面部分図である。図12は、図10のA−A断面の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【0003】
図10ないし図12において、ホイール10にタイヤ空気圧センサ12がバンド14により配設固定される。タイヤ空気圧センサ12は、天頂側がホイール10の半径方向の外側となるように配設され、そのケース26の天頂部に1つの通気孔16が穿設される。ケース26内には、空気圧センサ素子18が配設され、そのセンサ部分18aに通気孔16が連通するように形成され、タイヤ20内の空気圧が通気孔16を介して空気圧センサ素子18のセンサ部分18aに加わり検出される。なお、ケース26内には、回路基板22が設けられ、この回路基板22に空気圧センサ素子18が搭載されるとともに、図示しない送信機およびバッテリーが搭載され、さらにケース26内が防水のために樹脂24でモールドされて、タイヤ空気圧センサ12が構成される。空気圧センサ素子18で検出した空気圧に応じた信号が、車内の受信機に適宜に送信されて、タイヤ20内の空気圧が監視される。
【0004】
かかる従来構造と同様に、タイヤ20内の空気圧を単純な形状の通気孔16を介して空気圧センサ18のセンサ部分18aに加えるタイヤ空気圧センサ12の構造が、特開2002−144830号公報や特開2005−47466号公報などに示されている。
【特許文献1】特開2002−144830号公報
【特許文献2】特開2005−47466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のごとき、従来構造にあっては、何らかの原因でタイヤ20内に水が侵入すると、さらに通気孔16を経てケース26内まで侵入して空気圧センサ素子18のセンサ部分18aに付着する虞がある。水が付着した場合には、空気圧センサ素子18の検出感度が悪くなるとともにその検出値に異常を生ずる虞もある。なお、特許文献2に示される技術にあっては、通気孔16の径の寸法を直径0.5mm以下とすることで、水の侵入を防ごうとしているが十分なものでない。
【0006】
本発明は、上述したごとき従来技術の事情に鑑みてなされたもので、タイヤ内の空気圧がケース内の空気圧センサ素子のセンサ部分に連通する連通路に水が侵入しにくいとともに、連通路に侵入した水がケース外に排出されるようようにしたタイヤ空気圧センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明のタイヤ空気圧センサは、ホイールに半径方向で外側が天頂側となるようにタイヤ空気圧センサを配設固定し、前記タイヤ空気圧センサのケースの天頂部に前記ホイールの回転方向に位置をずらして2つの空気孔を穿設し、前記ケース内に配設される空気圧センサ素子に被せるキャップに前記空気圧センサ素子に通じる通気孔の開口部を前記回転方向で前記2つの空気孔の中間位置に設け、前記2つの空気孔と前記通気孔の開口部を、前記ケースの天頂部と前記キャップの間で前記ホイールの半径方向と直交する略平面上で連通路により連通し、しかも前記空気孔と前記通気孔の開口部の間に壁を設けて前記連通路が九十九折り状態となるように構成されている。
【0008】
そして、前記連通路を前記通気孔の開口部を中心として前記回転方向で対称となるように構成しても良い。
【0009】
また、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部に最も近づく球面の一部を形成するように構成することもできる。
【0010】
また、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部を臨む位置に頂点を有する錐面の一部を形成するように構成することもできる。
【0011】
また、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記ホイールの回転軸と平行な軸芯を有し前記通気孔の開口部に最も近づく円筒面の一部を形成するように構成することもできる。
【0012】
また、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部を臨む位置に前記ホイールの回転軸と平行な陵を有する断面く字状を形成する2つの斜面の一部を形成するように構成することもできる。
【0013】
さらに、前記連通路の前記壁の前記通気孔側に向けた面を、前記連通路の前記通気孔の開口部からの通路長が長くなるほど、前記通気孔の開口部からの直線距離も長くなるように構成することも可能である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにあっては、タイヤ内の水が、空気孔よりケース内に侵入しても連通路が九十九折り状態であるために、空気圧センサ素子に到る通気孔側まで容易には移動できない。しかも、連通路はホイールの半径方向に直交する略水平面上にあり、ホイールの回転軸から2つの空気孔までの距離が通気孔までの距離よりも僅かながら長く、ホイールの回転時に空気孔側に作用する遠心力には通気孔側から空気孔側に向かう分力が作用し、この分力により連通路に侵入した水が空気孔側に移動されてタイヤ内に排出される。もって、空気圧センサ素子のセンサ部分に水が付着するようなことがない。
【0015】
そして、請求項2記載のタイヤ空気圧センサにあっては、連通路が通気孔の開口部を中心として回転方向で対称であり、連通路に侵入した水には2つの空気孔側からそれぞれに同じ空気圧が加わり、連通路に侵入した水がタイヤ内の圧力変化等により移動するようなことがない。
【0016】
また、請求項3および4記載のタイヤ空気圧センサのいずれにあっても、連通路の天頂側の面が球面または錐面の一部を形成するので、ホイールの回転で連通路内の水に作用する遠心力の球面または錐面に沿った分力により、連通路に侵入した水がより確実に空気孔側に移動されてタイヤ内に排出される。
【0017】
また、請求項5および6記載のタイヤ空気圧センサのいずれにあっても、連通路の天頂側の面が円筒面または断面く字状を形成する2つの斜面の一部を形成するので、ホイールの回転で連通路内の水に作用する遠心力の円筒面または2つの斜面に沿った空気孔に向かう分力により、連通路に侵入した水がより確実に空気孔側に移動されてタイヤ内に排出される。
【0018】
さらに、請求項7記載のタイヤ空気圧センサにあっては、連通路の天頂側の面が球面または錐面の一部を形成するとともに、連通路の通気孔の開口部からの通路長が長くなるほど通気孔の開口部からの直線距離も長なるようにしたので、ホイールの回転で連通路内の水に作用する遠心力の球面または錐面に沿った分力により、連通路に侵入した水が連通路を空気孔側に移動される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図4を参照して説明する。図1は、本発明のタイヤ空気圧センサの第1実施例をホイールに配設固定した外観斜視図である。図2は、図1のB−B断面の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。図3は、図2のC−C断面矢視図である。図4は、連通路に侵入した水が通気孔の開口部まで移動し難いことを説明するための図である。図1ないし図4において、図10ないし図12と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0020】
図1に示すごとく、本発明のタイヤ空気圧センサ30は、図10に示す従来例と同様に、バンド14によりホイール10に適宜に配設固定される。そして、ホイール10の半径方向の外側を天頂側としてタイヤ空気圧センサ30が配設され、そのケース32の天頂部にホイール10の回転方向に位置をずらして2つの空気孔34、34が穿設される。このケース32内に配設される空気圧センサ素子18に被せるキャップ38に空気圧センサ素子18のセンサ部分18aに連通する通気孔16が、2つの空気孔34、34の中間位置で開口される。しかも、ホイール10の半径方向と直交する略平面(ホイール10の回転軸と同軸芯を有する円筒面に接する略平面)上で、かつケース32とキャップ38の間で、2つの空気孔34、34と通気孔16の開口部が連通路36により連通される。この連通路36は、空気孔34、34と通気孔16の開口部の間に設けられた壁40、40…により九十九折り状態となるように形成される。第1実施例においては、まず両端側に隙間を設けて対向する2つの円弧状の第1の壁40a、40aが2つの空気孔34、34と通気孔16の開口部の間に立ち塞がるごとくケース32に設けられる。また、第1の壁40a、40aよりも径が小さくて両端側に隙間を設けて対向する2つの円弧状の第2の壁40b、40bが第1の壁40a、40aの隙間と通気孔16の開口部の間に立ち塞がるごとくキャップ38に設けられる。さらに、第2の壁40b、40bよりも径が小さくて両端側に隙間を設けて対向する2つの円弧状の第3の壁40c、40cが第2の壁40b、40bの隙間と通気孔16の開口部の間に立ち塞がるごとくケース32に設けらる。なお、この第1実施例にあっては、通気孔16の開口部を中心として、回転方向に2つの空気孔34、34および第1〜第3の壁40a、40a、40b、40b、40c、40cが対称に設けられ、連通路36が通気孔16の開口部を中心として対称に形成されている。
【0021】
かかる構成において、タイヤ20内に水が侵入し、さらに空気孔34より連通路36に侵入し、例えば図4のa状態のごとく、水滴が第1の壁40aの外側の連通路36にある場合、空気孔34、34に連通する両側の連通路36、36を介して両側からタイヤ20内の空気圧が均等に加わり、また水滴の表面張力のために、この場所に滞留する。また、図4のb状態のごとく、水滴が第1の壁40a、40aの隙間から第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に侵入しようとする場合、水滴の表面張力により第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に侵入し難く、しかも水滴が接するいくつもの連通路36、36…を介して全ての方向からタイヤ20内の空気圧が均等に加わり、この場所に滞留する。さらに、図4のc状態のごとく、水滴が第3の壁40c、40cの内側の面に付着している場合、タイヤ20内の空気圧が水滴を第3の壁40c、40cに押し付けるように作用し、また水滴の表面張力により、通気孔16の開口部に到るようなことがない。
【0022】
そして、車が急発進および急停止した際には、連通路36内の水滴にも慣性力により回転方向またはこれと逆方向の力が作用し、連通路36内を回転方向またはこれと逆方向に移動する。図4のa状態またはb状態では、いずれも空気孔34、34まで移動する可能性があり、空気孔34、34に到ると、ホイール10の回転による遠心力で空気孔34、34からタイヤ20内に排出される。また、図2に示すごとく、ホイール10の回転軸から通気孔16の開口部までの半径R1よりも、空気孔34、34までの半径R2が僅かに大きく、空気孔34、34に作用する遠心力は連通路36が設けられた略平面と僅かながら傾きがあり、通気孔16の開口側から空気孔34、34へ向かう分力が作用する。その結果、この分力により連通路36内の水滴が空気孔34、34側に移動され、最終的には空気孔34、34からタイヤ20内に排出される。
【0023】
本発明のタイヤ空気圧センサ30の第1実施例にあっては、上述のごとき作用により、タイヤ20内に侵入した水が連通路36を介して空気圧センサ素子18のセンサ部分に達するようなことがない。
【0024】
次に、本発明のタイヤ空気圧センサの第2実施例を図5を参照して説明する。図5は、本発明のタイヤ空気圧センサの第2実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。図5において、図1ないし図4と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0025】
図5に示す本発明のタイヤ空気圧センサの第2実施例にあっては、連通路36の天頂側の面が、ホイール10の半径方向の内側を凸とし、通気孔16の開口部に最も近づく半径R3の球面の一部分で形成されている。なお、連通路36を九十九折り状態とする壁40、40…、すなわち第1ないし第3の壁40a、40a、40b、40b、40c、40cは、いずれもケース32側に設けられている。
【0026】
かかる構成の第2実施例において、ホイール10の回転により遠心力を受けた連通路36内の水滴は、連通路36の天頂側の面に押圧され、第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36にある水滴は第1の壁40a、40aの隙間から第1の壁40a、40aの外側の連通路36に移動しようとする。また、第2と第3の壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36にある水滴は第2の壁40b、40bの隙間から第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に移動しようとする。さらに、第3の壁40c、40cの内側にある水滴は、第3の壁40c、40cの隙間から第2と第3のの壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36に移動しようとする。もって、水滴は、空気孔34、34側に移動し、通気孔16の開口部への水滴の移動が阻止される。
【0027】
なお、図5に示す第2の実施例の変形例として、ホイール10の回転軸と平行な軸芯を有し通気孔16の開口部側に凸な円筒面で、連通路36の天頂側の面を形成したとすると、第2と第3の壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36にある水滴が、第2の壁40b、40bの隙間から第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に移動するように遠心力が作用する。また、図5に示す実施例の更なる変形例として、ホイール10の回転方向に接する軸芯を有し通気孔16の開口部側に凸な円筒面で、連通路36の天頂側の面を形成したとすると、第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36にある水滴が、第1の壁40a、40aの隙間から第1の壁40a、40aの外側の連通路36に移動するように遠心力が作用するとともに、第3の壁40c、40cの内側の連通路36にある水滴が、第3の壁40c、40cの隙間から第2と第3の壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36に移動するように遠心力が作用する。
【0028】
次に、本発明のタイヤ空気圧センサの第3実施例を図6および図7を参照して説明する。図6は、本発明のタイヤ空気圧センサの第3実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。図7は、図6のD−D断面矢視図である。図6および図7において、図1ないし図5と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0029】
図6および図7に示す本発明のタイヤ空気圧センサの第3実施例にあっては、連通路36の天頂側の面が、ホイール10の半径方向の内側を凸とし、通気孔16の開口部に頂部を臨ませた四角錐面の一部で形成されている。しかも、連通路36は直線状の通路が九十九折り状態とされており、またこれらの直線状の各通路は空気孔34、34に近くて通気孔16の開口部からの通路長が長くなるほど四角錐面の頂部から離れた位置となるように、すなわち通気孔16の開口部からの直線距離が長くなるように設定されている。なお、第1ないし第3の壁40a、40a、40b、40b、40c、40cはいずれもキャップ38側に設けられている。
【0030】
かかる構成の第3実施例では、ホイール10の回転により九十九折り状態の連通路36の直線状の各通路は、空気孔34、34に近い側がより大きな遠心力を受けるとともに四角錐面に沿った分力が作用して、連通路36内に侵入した水滴が空気孔34、34側へと移動される。なお、遠心力を受けた連通路36内の水滴は、連通路36の天頂側の面に押圧され、第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36にある水滴は第1の壁40a、40aの隙間から第1の壁40a、40aの外側の連通路36に移動しようとする。また、第2と第3の壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36にある水滴は第2の壁40b、40bの隙間から第1と第2の壁40a、40a、40b、40bの間の連通路36に移動しようとする。さらに、第3の壁40c、40cの内側にある水滴は、第3の壁40c、40cの隙間から第2と第3のの壁40b、40b、40c、40cの間の連通路36に移動しようとする。
【0031】
さらに、本発明のタイヤ空気圧センサの第4実施例を、図8および図9を参照して説明する。図8は、本発明のタイヤ空気圧センサの第4実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。図9は、図8のE−E断面矢視図である。図8および図9において、図1ないし図7と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0032】
図8および図9に示す本発明のタイヤ空気圧センサの第4実施例にあっては、連通路36の天頂側の面が、ホイール10の半径方向の内側を凸とし、通気孔16の開口部に最も近づく球面の一部で形成されている。しかも、連通路36の九十九折り状態の各通路は、放物線状の曲線からなるとともに、通気孔16の開口部からの通路長が長くなるほど通気孔16の開口部からの直線距離も長くなるように設定されている。
【0033】
かかる構成の第4実施例では、連通路36は通気孔16の開口部からの通路長の距離が長くなるほど大きな遠心力を受け、水滴が連通路36内に侵入しがたい。また、遠心力により、連通路36内の水滴が、天頂面の球面に沿って空気孔34、34側に移動して最終的にはタイヤ20内に排出される。
【0034】
なお、上記実施例において、壁40により形成した連通路36、36の九十九折り状態の形状は、上記実施例に記載されたものに限られるものでなく、空気孔36、36から通気孔16の開口部への水滴の移動が妨げられるように形成されていれば良い。また、上記実施例は、通気孔16の開口部を中心として、連通路36および空気孔34、34が回転方向に対称に設けられているが、これに限られるものでなく、非対称であっても良い。さらに、空気圧センサ素子18のセンサ部分18aは、通気孔16の開口部に向けて設けられているが、これに限られず、通気孔16からさらに別の通路を介してセンサ部分18aに連通するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のタイヤ空気圧センサの第1実施例をホイールに配設固定した外観斜視図である。
【図2】図1のB−B断面の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【図3】図2のC−C断面矢視図である。
【図4】連通路に侵入した水が通気孔の開口部まで移動し難いことを説明するための図である。
【図5】本発明のタイヤ空気圧センサの第2実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【図6】本発明のタイヤ空気圧センサの第3実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【図7】図6のD−D断面矢視図である。
【図8】本発明のタイヤ空気圧センサの第4実施例の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【図9】図8のE−E断面矢視図である。
【図10】ホイールにタイヤ空気圧センサを配設固定した外観斜視図である。
【図11】図10の構造にタイヤを装着した半径方向の断面部分図である。
【図12】図10のA−A断面の空気圧センサ素子の部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0036】
10 ホイール
12、30 タイヤ空気圧センサ
14 バンド
16 通気孔
18 空気圧センサ素子
18a センサ部分
20 タイヤ
22 回路基板
24 樹脂
26、32 ケース
34 空気孔
36 連通路
38 キャップ
40 壁
40a 第1の壁
40b 第2の壁
40c 第3の壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールに半径方向で外側が天頂側となるようにタイヤ空気圧センサを配設固定し、前記タイヤ空気圧センサのケースの天頂部に前記ホイールの回転方向に位置をずらして2つの空気孔を穿設し、前記ケース内に配設される空気圧センサ素子に被せるキャップに前記空気圧センサ素子に通じる通気孔の開口部を前記回転方向で前記2つの空気孔の中間位置に設け、前記2つの空気孔と前記通気孔の開口部を、前記ケースの天頂部と前記キャップの間で前記ホイールの半径方向と直交する略平面上で連通路により連通し、しかも前記空気孔と前記通気孔の開口部の間に壁を設けて前記連通路が九十九折り状態となるように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項2】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路を前記通気孔の開口部を中心として前記回転方向で対称となるように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項3】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部に最も近づく球面の一部を形成するように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項4】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部を臨む位置に頂点を有する錐面の一部を形成するように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項5】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記ホイールの回転軸と平行な軸芯を有し前記通気孔の開口部に最も近づく円筒面の一部を形成するように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項6】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部を臨む位置に前記ホイールの回転軸と平行な陵を有する断面く字状を形成する2つの斜面の一部を形成するように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項7】
請求項3または4記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の前記壁の前記通気孔側に向けた面を、前記連通路の前記通気孔の開口部からの通路長が長くなるほど、前記通気孔の開口部からの直線距離も長くなるように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項1】
ホイールに半径方向で外側が天頂側となるようにタイヤ空気圧センサを配設固定し、前記タイヤ空気圧センサのケースの天頂部に前記ホイールの回転方向に位置をずらして2つの空気孔を穿設し、前記ケース内に配設される空気圧センサ素子に被せるキャップに前記空気圧センサ素子に通じる通気孔の開口部を前記回転方向で前記2つの空気孔の中間位置に設け、前記2つの空気孔と前記通気孔の開口部を、前記ケースの天頂部と前記キャップの間で前記ホイールの半径方向と直交する略平面上で連通路により連通し、しかも前記空気孔と前記通気孔の開口部の間に壁を設けて前記連通路が九十九折り状態となるように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項2】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路を前記通気孔の開口部を中心として前記回転方向で対称となるように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項3】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部に最も近づく球面の一部を形成するように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項4】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部を臨む位置に頂点を有する錐面の一部を形成するように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項5】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記ホイールの回転軸と平行な軸芯を有し前記通気孔の開口部に最も近づく円筒面の一部を形成するように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項6】
請求項1記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の天頂側の面が、前記半径方向の内側を凸とし前記通気孔の開口部を臨む位置に前記ホイールの回転軸と平行な陵を有する断面く字状を形成する2つの斜面の一部を形成するように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【請求項7】
請求項3または4記載のタイヤ空気圧センサにおいて、前記連通路の前記壁の前記通気孔側に向けた面を、前記連通路の前記通気孔の開口部からの通路長が長くなるほど、前記通気孔の開口部からの直線距離も長くなるように構成したことを特徴とするタイヤ空気圧センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−326475(P2007−326475A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159508(P2006−159508)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
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