説明

タオル掛け

【課題】ライン取手に取り付けても取手として使用されにくく、掛けたタオルが、手元に近く使い勝手がよいと共にキャビネット等の扉や引き出しの前板に接触することがなく、タオルを掛けないときは邪魔にならないタオル掛けを提供する。
【解決手段】ライン取手10に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材21と、左右一対のベース部材21に、先端側が回動可能に、基端部がそれぞれ支持された左右一対のアーム部材25と、左右一対のアーム部材25の先端部に支持された掛止バーと、掛止バーがライン取手10の上側に位置すると共に平面的にベースキャビネット1の前面から離反した状態で、アーム部材25を位置決めする位置決め機構とを備えており、位置決め機構は、アーム部材25に形成された係止片と、この係止片が係止される、ベース部材21の張出部に形成された弾性変形部に形成された突条とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キッチンキャビネット等の扉や引き出しの前板に取り付けられたレール型のライン取手に装着するタオル掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタオル掛けとしては、例えば、図18及び図19(a)、(b)に示すように、キャビネットC等の扉や引き出しの前板dの上端部に取り付けられたライン取手LKに着脱自在に装着される左右一対のベース部材51のキャビネットから前方側に張り出した前端部に、タオルを掛ける直線状の掛止バー52の両端部が支持された固定式のものや、図20に示すように、ライン取手LKに着脱自在に取り付けられるベース部材61に、タオルを掛ける略四角形状の掛止リング62が回動可能に支持された可動式のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−026251号公報
【特許文献2】特開2009−142542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した固定式のタオル掛け50は、直線状の掛止バー52がライン取手LKの前方側で固定されているので、掛止バー52が取手として使用される可能性が高く、ベース部材51や掛止バー52の取付部が破損するおそれがあると共に、タオルを掛けない場合でも、掛止バー52が前方側に張り出しているので、邪魔であるといった問題がある。
【0005】
一方、可動式のタオル掛け60は、掛止リング62が固定されておらず、通常は、ライン取手LKの下方側に垂れ下がっているので、掛止リング62が取手として使用されることはほとんどないが、掛止リング62に掛けたタオルがライン取手LKよりもかなり下方側に位置することになるので、タオル掛けとしての使い勝手が悪いと共に、掛止リング62に掛けたタオルがキャビネット等の扉や引き出しの前板に接触し、ユーザが衛生面で不快感を抱きやすいといった問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、ライン取手に取り付けても取手として使用されにくく、掛けたタオルが、手元に近く使い勝手がよいと共にキャビネット等の扉や引き出しの前板に接触することがなく、タオルを掛けないときは邪魔にならないタオル掛けを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、収納家具の前面上部に設けられたレール型のライン取手に装着されるタオル掛けであって、前記ライン取手に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材と、左右一対の前記ベース部材に、先端側が回動可能に、基端部がそれぞれ支持された左右一対のアーム部材と、左右一対の前記アーム部材の先端部に支持された掛止バーと、前記掛止バーが前記ライン取手の上側に位置すると共に平面的に前記収納家具の前面から離反した状態で、前記アーム部材を位置決めする位置決め機構とを備えていることを特徴とするタオル掛けを提供するものである。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のタオル掛けにおいて、前記位置決め機構は、前記掛止バーを持って、前記収納家具の手前側に引っ張ると、前記アーム部材の位置決め状態が解除されるようになっていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明のタオル掛けにおいて、前記ベース部材は、前記ライン取手に嵌着される嵌着部と、この嵌着部から前方側に張り出す、下方側に弾性変形する弾性変形部を有する張出部とを備え、前記位置決め機構は、前記ベース部材の前記弾性変形部の上面に形成された突条と、前記アーム部材の基端部側に形成された係止片とを備え、前記係止片が、前記弾性変形部を押し下げることによって前記突条を乗り越え、前記ベース部材における前記嵌着部側で前記突条に係止されることによって、前記アーム部材が位置決めされるようになっていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明のタオル掛けにおいて、前記アーム部材の基端部には、前記弾性変形部を含む前記ベース部材の前記張出部の前端部が嵌り込む凹部が形成されており、前記ベース部材の前記張出部に形成された前記弾性変形部は、その前端側が垂下した垂下部を有していることを特徴としている。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、請求項1、2、3または4に係る発明のタオル掛けにおいて、下げた状態の前記アーム部材の揺動を防止する揺動防止機構を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、請求項1に係る発明のタオル掛けは、ライン取手に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材に、掛止バーを支持しているアーム部材が回動可能に支持されているので、掛止バーがベース部材に固定されている従来の固定式のタオル掛けとは異なり、ライン取手に取り付けても取手として使用されにくく、破損のおそれが少なくなると共に、左右一対のアーム部材を、位置決め機構によって、掛止バーがライン取手の上側に位置する状態で位置決めすることができるようになっているので、タオルを掛ける際は、アーム部材を、掛止バーがライン取手の上側に位置する状態で位置決めすることによって、掛けたタオルが手元により近くなって、使い勝手がよい。
【0013】
また、このタオル掛けでは、位置決め機構によって左右一対のアーム部材を位置決めした状態では、掛止バーが平面的に収納家具の前面から離反しているので、掛止リングがライン取手の下方側に垂れ下がっている従来の可動式のタオル掛けとは異なり、掛けたタオルが収納家具の扉や引き出しの前板に接触することがなく、ユーザが衛生面で不快感を抱きにくいと共に、タオルを掛けないときは、アーム部材を下げることによって、掛止バーが収納家具の前方側に張り出さなくなるので、邪魔になることもない。
【0014】
特に、請求項2に係る発明のタオル掛けは、掛止バーを持って、収納家具の手前側に引っ張ると、位置決め機構によるアーム部材の位置決め状態が解除されるようになっているので、さらに、取手として使用されにくくなるという効果がある。
【0015】
また、請求項3に係る発明のタオル掛けは、ベース部材の弾性変形部の上面に形成された突条と、アーム部材の基端部側に形成された係止片とを備えた位置決め機構を採用し、係止片が、弾性変形部を押し下げることによって突条を乗り越え、ベース部材における嵌着部側で突条に係止されることによって、アーム部材が位置決めされるようになっているので、特別な位置決め操作を行う必要がなく、掛止バーが支持されたアーム部材を持ち上げたり、引き下げたりするだけで、アーム部材の位置決め及びその解除を行うことができるので、操作性がよい。
【0016】
また、請求項4に係る発明のタオル掛けは、アーム部材の基端部に、弾性変形部を含むベース部材の張出部の前端部が嵌り込む凹部が形成されており、ベース部材の張出部に形成された弾性変形部は、その前端側が垂下した垂下部を有しているので、アーム部材を下げた状態であっても、弾性変形部に形成された垂下部の存在により、アーム部材の凹部間にベース部材の内部構造が露出することがなく、体裁がよい。
【0017】
また、請求項5に係る発明のタオル掛けは、下げた状態の前記アーム部材の揺動を防止する揺動防止機構を備えているので、アーム部材を下げたときに、前後方向へのバタツキを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係るタオル掛けの一実施形態をベースキャビネットのライン取手に装着したシステムキッチンを示す斜視図である。
【図2】同上のベースキャビネットにおけるタオル掛けの装着部分を示す部分正面図である。
【図3】同上のベースキャビネットにおけるタオル掛けの装着部分を示す部分側面図である。
【図4】(a)は同上のベースキャビネットを構成しているライン取手を示す斜視図、(b)は同上のライン取手を示す縦断面図である。
【図5】(a)は同上のタオル掛けを示す斜視図、(b)は同上のタオル掛けを示す平面図、(c)は同上のタオル掛けを示す正面図、(d)は同上のタオル掛けを示す側面図である。
【図6】(a)は同上のタオル掛けを構成しているベース部材を示す平面図、(b)は同上のベース部材を示す側面図、(c)は同上のベース部材を示す正面図、(d)は同上のベース部材を示す背面図である。
【図7】(a)は同上のタオル掛けを構成しているアーム部材を示す平面図、(b)は同上のアーム部材を示す側面図、(c)は同上のアーム部材を示す正面図、(d)は同上のアーム部材を示す背面図である。
【図8】図6(a)のX−X線に沿った断面図である。
【図9】図7(a)のY−Y線に沿った断面図である。
【図10】(a)は同上のタオル掛けのアーム部材を下げた状態を示す断面図、(b)は同上のタオル掛けのアーム部材を上げた状態を示す断面図である。
【図11】同上のタオル掛けのアーム部材を上げる際の弾性変形部の変形状態を示す拡大断面図である。
【図12】(a)、(b)は同上のタオル掛けのライン取手への装着動作を示す説明図である。
【図13】(a)、(b)は同上のタオル掛けのライン取手への装着動作を示す説明図である。
【図14】(a)、(b)は同上のタオル掛けのライン取手への装着動作を示す説明図である。
【図15】同上のベースキャビネットにおけるタオル掛けのアーム部材を上げた状態を示す斜視図である。
【図16】同上のベースキャビネットにおけるアーム部材を上げた状態のタオル掛けの装着部分を示す部分正面図である。
【図17】同上のベースキャビネットにおけるアーム部材を上げた状態のタオル掛けの装着部分を示す部分側面図である。
【図18】従来のキャビネットにおける固定式のタオル掛けの装着部分を示す部分正面図である。
【図19】(a)は同上のタオル掛け部分を示す拡大斜視図、(b)は同上のタオル掛け部分を示す断面図である。
【図20】従来の可動式のタオル掛けを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3は、本発明のタオル掛け20を取り付けたシステムキッチンを示している。このシステムキッチンは、同図に示すように、引き出しの前板1aの上端部にレール型のライン取手10が取り付けられたベースキャビネット1と、このベースキャビネット1の上端開口部に取り付けられた、シンク3等が連設されたワークトップ2とを備えており、ベースキャビネット1のライン取手10にタオル掛け20が着脱自在に装着されている。
【0020】
前記ライン取手10は、図4(a)、(b)に示すように、後端側が上方側に湾曲した下面壁11と、この下面壁11の後端縁から立ち上がる後面壁12と、この後面壁12の上端縁から前方に張り出す上面壁13と、前端縁が下面壁11の前端縁よりも前方側に張り出すように、上面壁13の前端縁から前方に向かって斜め下方に垂下する傾斜垂下片14とを備えており、傾斜垂下片14の前端縁には、後方側に突出する突条14aが形成されている。
【0021】
前記下面壁11の下面には、その前端部、中間部及び後端部に脚部15がそれぞれ連設されており、後端側の脚部15の下端には、下方に垂下する、複数のビス孔16aが形成された取付片16が連設されている。
【0022】
また、このライン取手10の両端部には、図3に示すように、後面壁12の上部から上面壁13、傾斜垂下片14にわたって内側に張り出す合成樹脂製のキャップ17が嵌着されている。
【0023】
以上のように構成されたライン取手10は、3本の脚部15を引き出しの前板1aの上端面に載せると共に、取付片16を引き出しの前板1aの後面上端部に重ね合わせた状態で、取付片16を引き出しの前板1aの後面上端部にビス止めすることで、前板1aに取り付けられている。
【0024】
前記タオル掛け20は、図5(a)〜(d)に示すように、ライン取手10に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材21と、左右一対のベース部材21の先端部に基端部がそれぞれ支持された、先端側が回動可能なアーム部材25と、両端部が左右一対のアーム部材25、25の先端部に支持された、タオルをかけるための円筒状の掛止バー29とから構成されている。
【0025】
前記ベース部材21は、図6(a)〜(d)及び図8に示すように、前方側からライン取手10に着脱自在に嵌着される嵌着部21Aと、この嵌着部21Aの下端部から前方側に張り出す張出部21Bとを備えており、嵌着部21A及び張出部21Bは、基板22と、この基板22の両側縁に連設された左右一対の側面板23、23とによって一体的に形成されている。
【0026】
前記嵌着部21Aを構成している基板22には、その前面上部に、ライン取手10に嵌着した状態で、ライン取手10を構成している傾斜垂下片14に形成された突条14aに係合する、横方向に延びる突条22aが形成されていると共に、その上面に形成された凹部22bに、ライン取手10に対する摩擦力を高めるゴム製または軟質合成樹脂製の滑り止め部材24が、その上面から僅かに突出した状態で取り付けられており、嵌着部21Aを構成している側面板23、23は、その後方側下端コーナー部23a及び後方側上端コーナー部23bが円弧状に面取りされていると共に、その下端縁に、ライン取手10を構成している下面壁11の前端縁が嵌合する段部23cが形成されている。
【0027】
前記張出部21Bを構成している基板22は、その前方側に、張出部21Bを構成している側面板23、23に連設されておらず、上下方向に弾性変形可能な弾性変形部22cを備えており、この弾性変形部22cは、その前端側が下方側に垂下した垂下部22dと、この垂下部22dの後方側を下方側に窪ませることによって形成された、上方側に突出した突条22eとを有している。
【0028】
前記張出部21Bを構成している側面板23、23は、基板22に連設されていない前端部の外面に、アーム部材25を回動可能に支持するための円形の突起23d、23dが形成されており、この前端部の下縁には、凹部23eが形成されている。
【0029】
前記アーム部材25は、図7(a)〜(d)及び図9に示すように、先端側に向かって徐々に幅狭になるように形成された略台形状の基板26と、この基板26の両側縁にそれぞれ連設されたフラットな側面板27A及び湾曲した側面板27Bと、幅狭の先端部に形成された、掛止バー29を支持する支持部28とを備えており、側面板27A、27Bの後端部側が基板26から張り出すことによって、ベース部材21に支持される基端部には、弾性変形部22cを含むベース部材21の張出部21Bの前端部が嵌り込む凹部が形成されている。
【0030】
前記側面板27A、27Bの張出部には、円形孔27aが形成されており、この円形孔27aに、ベース部材21の張出部21Bに形成された突起23dを嵌め込むことによって、アーム部材25がベース部材21に回動可能に支持されるようになっている。
【0031】
前記基板26の後端部には、その内面側に突出する係止片26aが一方の側面板27Aから他方の側面板27Bにわたって形成されており、図10(a)に示すように、係止片26aが、ベース部材21の張出部21Bに形成された凹部23eに嵌合することで、アーム部材25の前後方向へのバタツキが防止されるようになっており、アーム部材25の先端側を持ち上げると、図11に実線で示すように、係止片26aが、ベース部材21の張出部21Bに形成された弾性変形部22cを下方側に弾性変形させながら突条22eを乗り越えて、図10(b)に示すように、初期位置に復帰した突条22eの後面に係止されることで、掛止バー29を、ライン取手10よりも上側で、平面的にベースキャビネット1の前面(引き出しの前板1aの前面)から離反した位置に、位置決めすることができるようになっている。
【0032】
前記支持部28は、一方の側面板27Aに形成された円形凹部28aと、その側面板27Aから突出するように、円形凹部28a内に配設された小径の円筒部28bとから構成されており、円筒状の掛止バー29の端部を、円形凹部28aと小径の円筒部28bとの間に形成された隙間に嵌入することで、掛止バー29を支持するようになっている。
【0033】
以上のように構成されたタオル掛け20をベースキャビネット1のライン取手10に装着する場合は、図12(a)、(b)に示すように、ベース部材21の嵌着部21Aが斜めになるように、タオル掛け20全体を傾けた状態で、ベースキャビネット1の前面側からライン取手10の下面壁11と傾斜垂下片14との間に挿入し、嵌着部21Aの円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部23bを後面壁12に当接させる。
【0034】
続いて、図13(a)に示すように、嵌着部21Aの円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部23aを下面壁11に当接させ、同図(b)及び図14(a)に示すように、後方側上端コーナー部23bを後面壁12に当接させた状態で上方側に移動させると共に、後方側下端コーナー部23aを下面壁11に当接させた状態で上方側に移動させると、嵌着部21Aに形成された突条22aが傾斜垂下片14に形成された突条14aを前面側に押圧することで、傾斜垂下片14及び上面壁13を前方側に向かって斜め上方に弾性変形させながら、嵌着部21Aの突条22aが傾斜垂下片14の突条14aを乗り越え、図14(b)に示すように、嵌着部21Aの突条22aと傾斜垂下片14の突条14aとが相互に係合した状態で、タオル掛け20がライン取手10に装着される。
【0035】
タオル掛け20がライン取手10に装着された状態では、嵌着部21Aがライン取手10の上面壁13と下面壁11との間で突っ張るようになっており、これによって、ゴム製または軟質合成樹脂製の滑り止め部材24がライン取手10の上面壁13に密着し、ライン取手10に対するタオル掛け20の移動が阻止されるようになっている。
【0036】
また、タオル掛け20がライン取手10に装着された状態では、下面壁11の前端縁が嵌着部21Aの段部23cに嵌合すると共に、嵌着部21Aの後方側下端コーナー部23aが、湾曲した下面壁11と後面壁12とによって形成されるライン取手10の下端コーナー部に嵌合するようになっている。
【0037】
このようにして、ベースキャビネット1のライン取手10に装着されたタオル掛け20は、図15〜図17に示すように、タオル掛け20のアーム部材25を持ち上げて、掛止バー29をライン取手10よりも上側に位置決めした状態で、その掛止バー29にタオルを掛けて使用することになる。
【0038】
以上のように、このタオル掛け20は、ライン取手10に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材21に、掛止バー29を支持しているアーム部材25が回動可能に支持されており、しかも、アーム部材25の係止片26aが、ベース部材21の張出部21Bに形成された弾性変形部22cの突条22eに係止されることによって、掛止バー29がライン取手10よりも上側に位置決めされるようになっているので、引き出しを開けるために、ライン取手10の上側に位置決めされている掛止バー29を持って、ベースキャビネット1の手前側に引っ張ると、アーム部材25の係止片26aが、ベース部材21の張出部21Bに形成された弾性変形部22cを下方側に弾性変形させながら突条22eを乗り越えて、アーム部材25の位置決め状態が簡単に解除されることになる。従って、このタオル掛け20は、掛止バーがベース部材に固定されている従来の固定式のタオル掛けとは異なり、ライン取手10に取り付けても取手として使用されにくく、破損のおそれが少なくなる。
【0039】
また、このタオル掛け20は、左右一対のアーム部材25を位置決めすると、掛止バー29がライン取手10の上側に位置することになるので、タオルを掛ける際は、アーム部材25を位置決めすることによって、掛けたタオルがキッチン使用者の手元により近くなり、使い勝手がよい。
【0040】
また、このタオル掛け20は、左右一対のアーム部材25を持ち上げて位置決めした状態で、掛止バー29が平面的にベースキャビネット1の前面(引き出しの前板1aの前面)から離反しているので、掛止リングがライン取手の下方側に垂れ下がっている従来の可動式のタオル掛けとは異なり、掛けたタオルがベースキャビネット1の引き出しの前板1aに接触することがなく、ユーザが衛生面で不快感を抱きにくいと共に、タオルを掛けないときは、アーム部材25を下げることによって、掛止バー29がベースキャビネット1の前方側に張り出さなくなるので、タオル掛け20がキッチン使用者の邪魔にならない。
【0041】
また、このタオル掛け20は、アーム部材25の側面板27A、27Bの後端部側が基板26から張り出すことによって、ベース部材21に支持される基端部には、弾性変形部22cを含むベース部材21の張出部21Bの前端部が嵌り込む凹部が形成されており、ベース部材21の張出部21Bに形成された弾性変形部22cは、その前端側が垂下した垂下部22dを有しているので、アーム部材25を下げた状態であっても、弾性変形部22cに形成された垂下部22dの存在により、アーム部材25の凹部間にベース部材21の内部構造が露出することがなく、体裁が悪くなることもない。
【0042】
また、このタオル掛け20では、ベース部材21の嵌着部21Aをライン取手10に嵌着する際、嵌着部21Aにおける円弧状に面取りされた後方側下端コーナー部23aがライン取手10の下面壁11に当接しながら後方側に移動すると共に、嵌着部21Aにおける円弧状に面取りされた後方側上端コーナー部23bがライン取手10の後面壁12に当接しながら上方側に移動し、嵌着部21Aの突条22aがライン取手10における上面壁13の前端縁から前方に向かって斜め下方に垂下した傾斜垂下片14を押圧することによって、傾斜垂下片14を前方側に弾性変形させるようになっているので、タオル掛け20の嵌着部21Aをライン取手10に円滑かつ容易に嵌着することができ、しかも、嵌着部21Aをライン取手10に嵌着した状態では、嵌着部21Aがライン取手10の上面壁13と下面壁11との間で突っ張るようになっているので、嵌着部21Aがライン取手10に沿って移動しにくく、嵌着部21Aをライン取手10に別途固定しなくても、タオル掛け20をライン取手10の任意の位置に簡単かつ確実に固定することができる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、ベースキャビネット1の前面側からライン取手10にワンアクションで装着することができるタオル掛け20について説明したが、これに限定されるものではなく、ベース部材をライン取手の端部側から嵌め込むタイプのタオル掛けや、ライン取手に嵌め込んだベース部材を固定手段によってライン取手に別途固定するタイプのタオル掛けであってもよい。
【0044】
また、上述した実施形態では、システムキッチンを構成しているベースキャビネット1の引き出しの前板1aの上端部に取り付けられたライン取手10に装着するタオル掛けについて説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、引き出しの前板や扉の上端部にライン取手が取り付けられたべースキャビネット、洗面化粧台等の種々の収納家具に装着するタオル掛けに適用することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、種々の収納家具の扉や引き出しの前板に取り付けられたレール型のライン取手に着脱自在に装着するタオル掛けに利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ベースキャビネット
1a 前板
2 ワークトップ
3 シンク
10 ライン取手
11 下面壁
12 後面壁
13 上面壁
14 傾斜垂下片
14a 突条
15 脚部
16 取付片
16a ビス孔
17 キャップ
20 タオル掛け
21 ベース部材
21A 嵌着部
21B 張出部
22 基板
22a 突条
22b 凹部
22c 弾性変形部
22d 垂下部
22e 突条(位置決め機構)
23 側面板
23a 後方側下端コーナー部
23b 後方側上端コーナー部
23c 段部
23d 突起
23e 凹部(揺動防止機構)
24 滑り止め部材
25 アーム部材
26 基板
26a 係止片(位置決め機構、揺動防止機構)
27A、27B 側面板
27a 円形孔
28 支持部
28a 円形凹部
28b 円筒部
29 掛止バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納家具の前面上部に設けられたレール型のライン取手に装着されるタオル掛けであって、
前記ライン取手に着脱自在に取り付けられる左右一対のベース部材と、
左右一対の前記ベース部材に、先端側が回動可能に、基端部がそれぞれ支持された左右一対のアーム部材と、
左右一対の前記アーム部材の先端部に支持された掛止バーと、
前記掛止バーが前記ライン取手の上側に位置すると共に平面的に前記収納家具の前面から離反した状態で、前記アーム部材を位置決めする位置決め機構とを備えていることを特徴とするタオル掛け。
【請求項2】
前記位置決め機構は、前記掛止バーを持って、前記収納家具の手前側に引っ張ると、前記アーム部材の位置決め状態が解除されるようになっている請求項1に記載のタオル掛け。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記ライン取手に嵌着される嵌着部と、この嵌着部から前方側に張り出す、下方側に弾性変形する弾性変形部を有する張出部とを備え、
前記位置決め機構は、前記ベース部材の前記弾性変形部の上面に形成された突条と、前記アーム部材の基端部側に形成された係止片とを備え、
前記係止片が、前記弾性変形部を押し下げることによって前記突条を乗り越え、前記ベース部材における前記嵌着部側で前記突条に係止されることによって、前記アーム部材が位置決めされるようになっている請求項2に記載のタオル掛け。
【請求項4】
前記ベース部材に支持される前記アーム部材の基端部には、前記弾性変形部を含む前記ベース部材の前記張出部の前端部が嵌り込む凹部が形成されており、
前記ベース部材の前記張出部に形成された前記弾性変形部は、その前端側が垂下した垂下部を有している請求項3に記載のタオル掛け。
【請求項5】
下げた状態の前記アーム部材の揺動を防止する揺動防止機構を備えている請求項1、2、3または4に記載のタオル掛け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−229742(P2011−229742A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103945(P2010−103945)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【出願人】(592245890)井上金物株式会社 (7)