説明

タッチスイッチ

【課題】高感度なセンシングが可能なタッチスイッチを提供する。
【解決手段】絶縁層上に複数形成される帯状電極体6を備える静電容量式のタッチスイッチで、複数の帯状電極体は、平面視において、各帯状電極体の間に配置され隣接する各帯状電極体間を電気的に絶縁する第1絶縁領域7を設けた状態で、各帯状電極体の短手方向に沿って配置されており、各帯状電極体は、その長手方向に沿って複数配置されるタッチ電極部8と、各タッチ電極部の間に配置され隣接する各タッチ電極部間を電気的に絶縁すると共に両端部が第1絶縁領域に接続する第2絶縁領域9とを備えており、帯状電極体の短手方向と平行であって各第2絶縁領域の各端部を通る仮想領域上において、各第2絶縁領域に隣接する各第1絶縁領域を挟んだ一方側に各第2絶縁領域の端部が配置されており、他方側に各第1絶縁領域に隣接する各タッチ電極部が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
入力位置を検出するためのタッチスイッチの構成は、従来から種々検討されており、例えば、特許文献1や特許文献2等に開示されている静電容量式タッチスイッチが知られている。特許文献1に開示されている静電容量式タッチスイッチは、それぞれ所定のパターン形状を有する透明導電体を備えた一対の透明面状体の間に誘電体層が介在されて構成されており、指などが操作面に触れると、人体を介して接地されることによる静電容量の変化を利用して、タッチ位置を検出するものである。
【0003】
また、特許文献2には、図12に示すように、絶縁性基板100の一方面上に形成される透明導電膜101と、透明導電膜101から構成される複数のタッチ電極部102のそれぞれから引き出される引き出し配線103が形成される第1絶縁領域104とを備える静電容量式タッチスイッチ110が開示されている。透明導電膜101は、数個のタッチ電極部102が帯状に一列配置された帯状電極体105が、互いに平行となるように複数配置されて構成されており、各帯状電極体105の間に第1絶縁領域104が帯状に形成されている。また、各帯状電極体105におけるタッチ電極部102間には第2絶縁領域106が形成されており、タッチ電極部102毎に指等が触れたか否かを検知できるように構成されている。このようなタッチスイッチ110においては、基板100の端部にいくにしたがって、引き出し配線103の数が増加するため、第1絶縁領域104をある程度大きく設定する必要がある。
【0004】
このようなタッチスイッチは、例えば、ゲーム機や、券売機、会議テーブル、銀行端末(キャッシュディスペンサー)、パソコン、電子手帳、PDA、携帯電話等における表示画面上に設置されて、ゲーム機や券売機等の操作を行うために使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−173238号公報(図1、図5)
【特許文献2】特開2009−146419 (図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図12に示すようなタッチスイッチにおいては、指等が、帯状電極体105間に設けられる第1絶縁領域104と各帯状電極体105においてタッチ電極部102間に形成される第2絶縁領域106とが交差する位置に触れた場合、指の太さや指の置き方によっては、タッチスイッチ110がタッチされたことを感度よく認識することが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、高感度なセンシングが可能なタッチスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、絶縁層上に複数形成される帯状電極体を備える静電容量式のタッチスイッチであって、前記複数の帯状電極体は、平面視において、前記各帯状電極体の間に配置され隣接する各帯状電極体間を電気的に絶縁する第1絶縁領域を設けた状態で、前記各帯状電極体の短手方向に沿って配置されており、前記各帯状電極体は、その長手方向に沿って複数配置されるタッチ電極部と、前記各タッチ電極部の間に配置され隣接する各タッチ電極部間を電気的に絶縁すると共に両端部が前記第1絶縁領域に接続する第2絶縁領域とを備えており、前記帯状電極体の短手方向と平行であって前記各第2絶縁領域の各端部を通る仮想領域上において、前記各第2絶縁領域に隣接する前記各第1絶縁領域を挟んだ一方側に前記各第2絶縁領域の端部が配置されており、他方側に前記各第1絶縁領域に隣接する前記各タッチ電極部が配置されることを特徴とする静電容量式のタッチスイッチにより達成される。
【0009】
また、このタッチスイッチにおいて、前記各第2絶縁領域の一方の端部を通過する第1仮想領域と、他方の端部を通過する第2仮想領域とは、互いに重ならないように形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記帯状電極体は、前記絶縁層の一方面上に形成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記各帯状電極体は、互いに平行となるように形成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記帯状電極体が備える複数のタッチ電極部は、前記帯状電極体の長手方向に沿って、前記帯状電極体の短手方向における幅寸法が段階的に短くなるように形成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記各第1絶縁領域は、前記各タッチ電極部から前記絶縁層の端部に向けて引き出される金属線からなる引き出し配線がそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0014】
また、前記タッチ電極部は、金属線を網目状にして形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高感度なセンシングが可能なタッチスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)(b)は、それぞれ本発明の実施形態に係るタッチスイッチ1の概略構成例を示す断面図である。
【図2】図1の矢視A方向から見たタッチスイッチの平面図である。
【図3】図2の要部拡大平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るタッチスイッチにおけるタッチ電極部、第1絶縁領域及び第2絶縁領域の位置関係を説明するための説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るタッチスイッチにおけるタッチ電極部、第1絶縁領域及び第2絶縁領域の位置関係を説明するための説明図である。
【図6】(a)は従来型のタッチスイッチにおけるタッチ電極部の配置を示す模式図であり、(b)は、本実施形態に係るタッチスイッチにおけるタッチ電極部の配置を示す模式図である。
【図7】図2に示すタッチスイッチの変形例を示す要部拡大平面図である。
【図8】図2に示すタッチスイッチの変形例を示す平面図である。
【図9】図2に示すタッチスイッチの変形例を示す要部拡大平面図である。
【図10】図2に示すタッチスイッチの変形例を示す要部拡大平面図である。
【図11】図2に示すタッチスイッチの変形例を示す平面図である。
【図12】従来のタッチスイッチ構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実態形態にかかるタッチスイッチについて添付図面を参照して説明する。図1(a)(b)は、それぞれ本発明の実施形態に係るタッチスイッチ1の概略構成例を示す断面図であり、図2は、図1(a)又は図1(b)の矢視A方向から見た平面図である。図3は、図2の要部拡大平面図である。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0018】
本発明の一実施形態に係るタッチスイッチ1は、例えば、銀行端末(キャッシュディスペンサー)、券売機、パソコン、OA機器、電子手帳、PDA、携帯電話等の表示装置に取り付けられて使用される静電容量式のタッチスイッチ1であり、図1(a)に示すタッチスイッチ1は、透明基板2と、透明基板2の一方面上に配置されるパターニングされた透明導電膜3と、当該透明導電膜3を被覆する保護層4とを備えている。保護層4は、粘着層5を介して透明導電膜3上に貼着されている。なお、銀行端末や券売機等の表示装置にタッチスイッチ1を取り付ける際には、保護層4側が露出面(タッチ面)となるように、透明な粘着層を介して表示装置に取り付けられる。図1(b)に示すタッチスイッチ1は、図1(a)に示すタッチスイッチ1の構成と同様に、透明基板2と、透明基板2上に配置されるパターニングされた透明導電膜3とを備えているが、透明導電膜3が図1(a)とは逆の透明基板2の面上に配置されている。また、透明基板2の一方面側は、粘着層5を介して表面保護層4aと貼着されており、透明導電膜3が形成された透明基板2の他方面側は、粘着層5を介して電極パターン保護層4bと貼着されている。なお、表示装置にタッチスイッチ1を取り付ける際には、保護層4a側が露出面(タッチ面)となるように、透明な粘着層を介して表示装置に取り付けられる。
【0019】
透明基板2は、絶縁層を構成する誘電体基板であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリル、非晶性ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂などの合成樹脂製の可撓性フィルムやこれら2種以上の積層体、或いは、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス板により形成される。透明基板2の厚みは、特に限定されないが、例えば、合成樹脂製の可撓性フィルムにより透明基板2を構成する場合には、10μm〜2000μm程度とすることが好ましく、50μm〜500μm程度とすることがさらに好ましい。また、ガラス板により透明基板2を構成する場合には、0.1mm〜5mm程度とすることが好ましい。
【0020】
また、可撓性を有する材料から透明基板2を形成する場合、当該透明基板2に剛性を付与するために支持体を貼着してもよい。支持体としては、ガラス板や、ガラスに準ずる硬度を有する樹脂材料を例示することができ、その厚さは100μm以上であることが好ましく、0.2mm〜10mmであることがより好ましい。なお、透明基板2の表面に、濡れ性向上の為にプラズマ処理を行ったり、表面保護のためのハードコート層や、透明導電膜3の密着性改善や光学特性改善の為にアンダーコート層を設けるなど、必要な機能性膜を追加してもよい。
【0021】
透明基板2の一方の主面上に配置されるパターニングされた透明導電膜3は、図2及び図3に示すように、所定間隔をあけて互いに平行に延びるように形成されている帯状電極体6の集合体として形成されている。複数の帯状電極体6は、平面視において、各帯状電極体6の間に配置され隣接する各帯状電極体間を電気的に絶縁する第1絶縁領域7を設けた状態で、各帯状電極体6の短手方向に沿って配置されている。第1絶縁領域7は、隣接する帯状電極体6間に形成される領域であり、各第1絶縁領域7は、互いに平行に延びるように形成されている。この第1絶縁領域7には、後述の複数のタッチ電極部8から透明基板2の端部に向けて引き出される引き出し配線10がそれぞれ形成されている。第1絶縁領域7の幅寸法(互いに隣接する帯状電極間の距離)は、引き出し配線の幅や本数によって決まるが、安定な検出のためには、人の指の太さ以下の寸法に設定することが好ましく、例えば、1mm〜10mm程度に設定するとよい。
【0022】
各帯状電極体6は、その長手方向に沿って複数配置されるタッチ電極部8と、各タッチ電極部8の間に配置される第2絶縁領域9とを備えている。各タッチ電極部8は、帯状電極体6の長手方向に沿う方向に延びる対向辺を有する平行四辺形状となるように構成されており、タッチ電極部8の上記対向辺が、第1絶縁領域7との境界線を構成している。また、第2絶縁領域9は、上記のように各タッチ電極部8の間に形成され、隣接する各タッチ電極部間を電気的に絶縁する領域であり、両端部が、各帯状電極体6の両側に配置される第1絶縁領域7に接続するように構成されている。この第2絶縁領域9は、各タッチ電極間の寸法が、0.05mm〜1mm、好ましくは0.1mm〜0.3mmとなるように構成されている。また、図3に示すように、第1絶縁領域7を挟んだ一方側に配置される帯状電極体6に形成される各第2絶縁領域9aと、他方側に配置される帯状電極体6に形成され、この第2絶縁領域9aに最も隣接して配置される第2絶縁領域9bとの離間距離は、タッチ電極部8の大きさによって種々変更可能ではあるが、例えば、第1絶縁領域7を挟んで一方側に配置される第2絶縁領域9aの端部と、他方側に配置される第2絶縁領域9bの端部との上下方向(帯状電極体6の長手方向に沿う方向)の離間距離Dが、人の指先の幅寸法の半分程度以上、つまり、約3mm以上となるように構成することが好ましい。なお、上記離間距離Dの最大値は、タッチ電極部8の側辺であって帯状電極体6の長手方向に沿って延びる側辺の長さの1/2程度に設定することが好ましい。
【0023】
また、本発明におけるタッチスイッチ1においては、図4の説明図に示すように、帯状電極体6の短手方向と平行であって各第2絶縁領域9の各端部を通る仮想領域Lを想定した場合に、この仮想領域L上において、各第2絶縁領域9に隣接する各第1絶縁領域7を挟んだ一方側に各第2絶縁領域9の端部が配置されており、他方側に各第1絶縁領域7に隣接する各タッチ電極部8が配置されるように構成されている。ここで、仮想領域Lとは、仮想的な直線状領域のことであって、各第2絶縁領域9の各端部を挟んで上下方向(帯状電極体6の長手方向)に配置される各タッチ電極部のコーナー部がその側縁上(帯状電極体6の短手方向に沿って延びる側縁上)に配置される領域のことをいう。特に本実施形態においては、タッチ電極部8を平行四辺形状となるように構成しているため、図5に示すように、各第2絶縁領域9の一方の端部を通過する第1仮想領域L1と、他方の端部を通過する第2仮想領域L2とは、互いに重ならないように形成されている。
【0024】
透明導電膜3の材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系、酸化亜鉛、スズ酸化膜等の透明導電材料、或いは、スズ、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属材料、金属酸化物材料を例示することができ、これら2種以上を複合して形成してもよい。また、酸やアルカリに弱い金属単体でも導電材料として使用できる。
【0025】
また、カーボンナノチューブやカーボンナノホーン、カーボンナノワイヤ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリルなどの極細導電炭素繊維や銀素材からなる極細導電繊維をバインダーとして機能するポリマー材料に分散させた複合材を透明導電膜3の材料として用いることもできる。ここでポリマー材料としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレン、ポリ複素環ビニレン、PEDOT:poly(3,4-ethylenedioxythiophene)などの導電性ポリマーを採用することができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂などの非導電性ポリマーを採用することができる。
【0026】
透明導電膜3の材料として、特にカーボンナノチューブを非導電性ポリマー材料に分散させたカーボンナノチューブ複合材を採用した場合、カーボンナノチューブは、直径が一般的には0.8nm〜1.4nm(1nm前後)と極めて細いので、1本或いは1束ずつ非導電性ポリマー材料中に分散することでカーボンナノチューブが光透過を阻害することが少なくなり透明導電膜3の透明性を確保する上で好ましい。
【0027】
透明導電膜3の形成方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法、塗工法、印刷法などを例示することができる。また、透明導電膜3の厚みは、例えばスパッタリング法でITO膜を成膜する場合は、60nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。なお、膜厚が5nm以下では連続した膜になり難く、安定な導電層を形成することは困難である。
【0028】
透明導電膜3のパターニングは、透明基板2上に形成された透明導電膜3の表面に、所望のパターン形状を有するマスク部を形成して露出部分を酸液などでエッチング除去した後、アルカリ液などによりマスク部を溶解させて行うことができる。
【0029】
引き出し配線10の形成方法は、(A)極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを透明基板2上にスクリーン印刷する方法(特開2007−142334等参照)、(B)銅などの金属箔を透明基板2上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)が挙げられる。また、引き出し配線10を上述の透明導電膜3と同様の材料(インジウム錫酸化物(ITO)や導電性ポリマー等)により形成してもよい。引き出し配線10を透明導電膜3と同じ材料で形成する場合、透明導電膜3のパターニング手法と同手法や、上記(B)の形成方法、レーザー照射により不要な透明導電膜3を除去する方法等を採用することができる。
【0030】
上記(A)の形成方法における導電性粒子としては、銀を主成分とする微粒子を挙げることができる。また、例えば、金、銀、銅、金と銀の合金、金と銅の合金、銀と銅の合金、金と銀と銅の合金のいずれか一を主成分とする微粒子でもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合した導電性酸化物(IZO[indium
zinc oxide])、または酸化インジウムに酸化珪素を混合した導電性酸化物(ITSO)を主成分とする微粒子でもよい。
【0031】
また、引き出し配線10の形成方法は、上記(A)(B)の形成方法に限定されることはなく、上記(A)以外のグラビア印刷などの印刷方法や上記(B)以外のフォトリソグラフィを使用してもよい。
【0032】
保護層4は、透明基板2の一方面側に配置される透明導電膜3を保護するものであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリル等から形成した透明なフィルム体や、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス板により構成される。なお、フィルム体やガラス板の代わりに、透明な樹脂を透明導電膜3上に積層して保護層4を形成してもよい。この保護層4の厚みは、特に限定されないが、0.1mm〜10mm程度とすることが好ましい。
【0033】
粘着層5は、エポキシ系やアクリル系など、一般的な透明接着剤を用いることができ、ポリエステル系樹脂の透明性フィルムからなる芯材を含むものであってもよい。また、シート状粘着材を複数枚重ね合わせることにより粘着層5を形成してもよく、更に、複数種類のシート状粘着材を重ね合わせて形成してもよい。粘着層5の厚みは、特に指定はないが、実用上では200μm以下であることが好ましい。
【0034】
以上の構成を備えるタッチスイッチ1において、タッチ位置の検出方法は、従来の静電容量式のタッチスイッチと同様であり、タッチスイッチ1の表面側に指などで触れると、タッチ電極部8で静電容量の変化が生じる。引き出し配線10を介して接続された検出回路で前記静電容量の変化を検出することによって、タッチ電極部8に指などが触れたか否かを判定する。
【0035】
本実施形態に係るタッチスイッチ1は、上述のように、帯状電極体6の短手方向(隣接方向)と平行であって各第2絶縁領域9の各端部を通る仮想領域L上において、各第2絶縁領域9に隣接する各第1絶縁領域7を挟んだ一方側に各第2絶縁領域9の端部が配置されており、他方側に各第1絶縁領域7に隣接する各タッチ電極部8が配置される構成を有しているため、精度よくセンシングを行うことが可能となる。図6を用いて具体的に説明する。なお、図6(a)は従来型のタッチスイッチ110におけるタッチ電極部102の配置を示す模式図であり、図6(b)は、本実施形態に係るタッチスイッチ1におけるタッチ電極部8の配置を示す模式図である。
【0036】
まず、従来型の構成においては、第1絶縁領域104とこの第1絶縁領域104の両側に配置される2つの第2絶縁領域106とが十字状に交差するため、この交差位置(図6(a)中において○で示される位置)を指でタッチした場合、人体を介して接地されることによる静電容量の変化は、交差位置近傍の4つのタッチ電極部102に分散されることになる。その結果、一つ当たりのタッチ電極部102おいて検出される静電容量の変化が小さくなってしまい、感度良くタッチ検出を行うことが困難となる。
【0037】
これに対し、図6(b)に示す本発明に係るタッチおパネルによれば、第1絶縁領域7と第2絶縁領域9とが十字状に交差する領域が存在しないため、従来型のタッチスイッチ1において発生していたような問題が発生せず、高感度でタッチ位置をセンシングすることが可能となる。つまり、図6(b)において○で示す位置(第1絶縁領域7と一つの第2絶縁領域9が交差する位置)を指でタッチした場合であっても、No1で示されるタッチ電極部8に相当する領域と指との接触面積を大きく確保することが可能となるため、このNo1で示されるタッチ電極部8が静電容量の変化を確実に検出することができ、第1絶縁領域7上のどの位置をタッチしたとしても、タッチスイッチ1は感度良くタッチ位置を検出することができることになる。
【0038】
また、本実施形態においては、各第2絶縁領域9の一方の端部を通過する第1仮想領域L1と、他方の端部を通過する第2仮想領域L2とが、互いに重ならないように形成されている。このような構成によれば、帯状電極体6の隣接方向(帯状電極体6の短手方向)に並ぶ各タッチ電極部8の中心位置が一直線上に並ぶように、各タッチ電極部8を配列させることが可能となり、タッチスイッチ1をゲーム機や券売機等の各種装置の操作手段として活用する際の利便性を向上させることができる。
【0039】
以上、本発明に係るタッチスイッチ1の一実施形態について説明したが、具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態において、タッチスイッチ1が有する各タッチ電極部8を、金属線により網目状となるように構成してもよい。網目状の具体例としては、図7に示すように、金属線を格子状にした形状を挙げることができる。格子状形状としては、透明基板2の各辺に平行となるように金属線を配置して格子状形状を形成してもよく(図7(a))、透明基板2の各辺に対して所定角度傾くように金属線を配置して格子状形状を形成してもよい(図7(b))。金属線は、極細線であり、金属線同士は略等間隔に並べられている。金属線の線幅は、5μm〜50μmの範囲とすることが好ましく、特に10μm〜30μmの範囲とすることが好ましい。また、隣接する金属線同士の間隔は、100μm〜1000μmの範囲とすることが好ましい。タッチ電極部8を構成する金属線の形成方法は、上述の引き出し配線10の形成方法と同様であり、(A)極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを透明基板2上にスクリーン印刷する方法、(B)銅などの金属箔を透明基板2上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法が挙げられる。
【0040】
また、上記実施形態においては、透明基板2の一方面側に複数の帯状電極体6を形成することによりタッチスイッチ1を構成しているが、タッチスイッチ1の平面視において、複数の帯状電極体6が、各帯状電極体6の間に配置される第1絶縁領域7を設けた状態で、各帯状電極体6の短手方向に沿って配置されていればよい。したがって、タッチスイッチ1の一方面側から見た場合に、図2に示すような配置で複数の帯状電極体6が設けられている構成を採用することが可能であり、例えば、図2の平面図において奇数番号で示される帯状電極体6を透明基板2の一方面側に形成し、偶数番号で示される帯状電極体6を透明基板2の他方面側に形成してもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、全てのタッチ電極部8の形状が平行四辺形状となるように構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、図8に示すように、タッチスイッチ1の上辺部側及び下辺部側に配置されるタッチ電極部8の形状を台形形状となるように形成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態においては、各タッチ電極部8を平行四辺形状となるように構成しているため、図5に示すように、各第2絶縁領域9の一方の端部を通過する第1仮想領域L1と、他方の端部を通過する第2仮想領域L2とは、互いに重ならないように形成されているが、このような構成に特に限定されず、例えば、図9に示すように、各タッチ電極部8を矩形状となるように構成し、各第2絶縁領域9の一方の端部を通過する第1仮想領域L1と、他方の端部を通過する第2仮想領域L2とが重なるように構成してもよい。更に、図10に示すように、各帯状電極体6が備える複数のタッチ電極部8は、帯状電極体6の長手方向(図10においては上下方向)に沿って、帯状電極体6の短手方向(図10においては左右方向)における幅寸法が段階的に短くなるように形成してもよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、各第2絶縁領域9の一方の端部を通過する第1仮想領域L1と、他方の端部を通過する第2仮想領域L2とが重ならないように構成されるタッチ電極部8として、帯状電極体6の長手方向に沿う方向に延びる対向辺を有する平行四辺形状のタッチ電極部8を例示したが、このような形状に特に限定されず、例えば、図11に示すような形状となるようにタッチ電極部8を構成してもよい。図11においては、タッチ電極部8間に形成される第2絶縁領域9は、互いに平行な水平直線部91,91と、水平直線部91,91に垂直な垂直直線部92とを備えており、一方の水平直線部91の一端部と、他方の水平直線部91の一端部とを、垂直直線部92が接続するように構成して、上下に並ぶタッチ電極部8を区画するように形成されている。
【符号の説明】
【0044】
1 タッチスイッチ
2 透明基板
3 透明導電膜
4 保護層
5 粘着層
6 帯状電極体
7 第1絶縁領域
8 タッチ電極部
9 第2絶縁領域
10 引き出し配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層上に複数形成される帯状電極体を備える静電容量式のタッチスイッチであって、
前記複数の帯状電極体は、平面視において、前記各帯状電極体の間に配置され隣接する各帯状電極体間を電気的に絶縁する第1絶縁領域を設けた状態で、前記各帯状電極体の短手方向に沿って配置されており、
前記各帯状電極体は、その長手方向に沿って複数配置されるタッチ電極部と、前記各タッチ電極部の間に配置され隣接する各タッチ電極部間を電気的に絶縁すると共に両端部が前記第1絶縁領域に接続する第2絶縁領域とを備えており、
前記帯状電極体の短手方向と平行であって前記各第2絶縁領域の各端部を通る仮想領域上において、前記各第2絶縁領域に隣接する前記各第1絶縁領域を挟んだ一方側に前記各第2絶縁領域の端部が配置されており、他方側に前記各第1絶縁領域に隣接する前記各タッチ電極部が配置されることを特徴とする静電容量式のタッチスイッチ。
【請求項2】
前記各第2絶縁領域の一方の端部を通過する第1仮想領域と、他方の端部を通過する第2仮想領域とは、互いに重ならないように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式のタッチスイッチ。
【請求項3】
前記帯状電極体は、前記絶縁層の一方面上に形成されている請求項1又は2に記載の静電容量式のタッチスイッチ。
【請求項4】
前記各帯状電極体は、互いに平行となるように形成されている請求項1から3のいずれかに記載の静電容量式のタッチスイッチ。
【請求項5】
前記帯状電極体が備える複数のタッチ電極部は、前記帯状電極体の長手方向に沿って、前記帯状電極体の短手方向における幅寸法が段階的に短くなるように形成されている請求項1から4のいずれかに記載の静電容量式のタッチスイッチ。
【請求項6】
前記各第1絶縁領域は、前記各タッチ電極部から前記絶縁層の端部に向けて引き出される金属線からなる引き出し配線がそれぞれ形成されている請求項1から5のいずれかに記載の静電容量式のタッチスイッチ。
【請求項7】
前記タッチ電極部は、金属線を網目状にして形成されている請求項1から6のいずれかに記載のタッチスイッチ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−226498(P2012−226498A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92496(P2011−92496)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】