説明

タッチパネル

【課題】複数の導体ラインから構成される検知電極と引き出し配線との接続部分において、急激な抵抗の上昇を抑えることができるようにされたタッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチパネルは、検知電極1とそれに接続する引き出し配線2とを有する。検知電極1は、所定の間隔で配列された複数の導体ライン4から構成され、開口部6が形成されるようにする。そして、導体ライン4は、引き出し配線2と接続する末端部分に、引き出し配線2に向かって線幅が大きくなる形状の接続部7を有する。検知電極1と引き出し配線2との接続は、接続部7を備えた導体ライン4と引き出し配線2との接続により実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォンやPDA(パーソナルデジタルアシスタント)等の電子機器では、画面の大型化への要求が大きく、スイッチやテンキーなどの入力装置を配置できる領域が少なくなっている。また、液晶表示パネル等の表示素子に表示された画像を参照しながら表示画像に触れ、分かりやすく情報の入力ができる入力方法の実現が求められている。
そのため、近年では、タッチパネル付きの表示装置への要求が高まっている。
【0003】
タッチパネルは、上述した液晶表示パネル等の表示パネル上に配置され、操作者が指やペン等の導体で操作面に触れたときに、そのタッチ位置を検出する入力装置の総称である。
【0004】
タッチパネルは、タッチ位置検出の方式の違いに従って抵抗膜方式や静電容量方式などが知られている。
抵抗膜方式は、表面に透明な検知電極の配設された2枚の基板を、互いの検知電極が対向するように離間して配置する。そして、操作者の指やペンで一方の基板を押下することで検知電極同士を接触させ、通電させて、タッチ操作を検知する構造となっている。
【0005】
静電容量方式は、人間が導体であり、操作者の指がグランドとして機能することを利用する。すなわち、タッチパネルの基板上に配置されたタッチ位置検出用の検知電極に指が近づくと、指と検知電極との間に容量が形成される。静電容量方式のタッチパネルでは、そのタッチ操作に伴う容量形成を変化として捉え、制御回路等により検知する。このとき、容量変化を検知する方式であるため、直接に操作者の指が検知電極に触れない場合でも、指の接近を検知することができる。
【0006】
静電容量方式では、透明基板の一方の面に、例えば、水平方向であるX方向に伸びた複数のX検知電極を設ける。そして、透明基板のもう一方の面に、またはX検知電極の上に絶縁膜を配置してその上に、X方向と垂直なY方向に伸びた複数のY検知電極を設ける。こうして基板または絶縁膜等の絶縁層を挟んで互いに交差する2種類の検知電極をマトリクス状に配置し、タッチ位置の座標の検出に用いている。
【0007】
このようなタッチパネルは、タッチパネル付きの表示装置を構成する場合、表示パネル上の表示の視認性を低下させることが無いように、高い光透過性が求められる。特に、タッチパネルでは、基板上にマトリクス状に配置された検知電極に高い光透過性が求められる。
【0008】
従来、タッチパネルの検知電極には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる透明電極が多用されてきた。
【0009】
しかしながら、ITO電極は、金属電極等に比べて抵抗が高く、また、固いためにクラックが入りやすいという問題を有していた。光の透過特性についても、若干黄色味を帯びるという問題を有し、下層の表示パネルの表示の視認性を低下させる原因となっていた。さらに、ITOの原料となるインジウムは希少元素であり、供給上の問題が懸念されて、安定的なタッチパネルの製造に支障をきたす恐れも有していた。
【0010】
そのため、タッチパネルにおいて、ITO電極に代替し、金属電極を用いる検討がなされている。例えば、特許文献1には、ITO電極に代え、光透過可能なメッシュ状(網目状)の金属電極を用いたタッチパネルが開示されている。
【0011】
図5は、メッシュ状の金属電極を用いた従来のタッチパネルの構造を模式的に説明する平面図である。
【0012】
図5に示す、メッシュ状の金属電極を用いた従来のタッチパネル500は、静電容量方式であり、ガラスなどの透明基板501上に、複数のX検知電極502と複数のY検知電極503とを配置して構成される。タッチパネル500のX検知電極502は、メッシュ状の金属電極であり、水平方向であるX方向に伸びるよう配置される。そして、X検知電極502は、一方の端部でベタ状の引き出し配線504に接続している。
【0013】
タッチパネル500のY検知電極503は、X検知電極502と同様のメッシュ状の金属電極であり、X方向と直交するY方向に伸びるよう配置されている。そして、Y検知電極503においても、一方の端部で、上述の引き出し配線504と同様のベタ状の引き出し配線505に接続している。
【0014】
タッチパネル500のX検知電極502とY検知電極503は、絶縁膜(図示されない)を介し、互いに絶縁して配置される。そのため、絶縁膜を挟んでX検知電極502とY検知電極503とが重畳する交差部分に容量が形成されている。引き出し配線504と引き出し配線505は、それぞれ他方で、X検知電極502とY検知電極503とを用いて静電容量を監視するように構成された制御回路(図示しない)に接続している。すなわち、タッチパネル500では、X検知電極502およびY検知電極503がそれぞれ引き出し配線504および引き出し配線505を介して、制御回路に接続する構成を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−39537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上の構成のタッチパネル500では、操作者の指等によるタッチ操作に伴って容量形成がなされた場合、それを電位の変化として検知することができ、その接触位置を検出することができる。
【0017】
タッチパネル500を用いた場合の、より具体的な検出の方法としては、引き出し配線504および引き出し配線505を介して、例えば、X検知電極502とY検知電極503のうち一方を定電圧とし、他方に対しては線順次でパルス電圧を印加する。そして、X検知電極502とY検知電極503との各交差部分で生じる容量カップリングによる微分波形を読み取って、操作者によるタッチ操作の有無を検知する。
【0018】
以上のように、図5に示したようなタッチパネル500を用い、タッチ操作の有無を検知する場合、例えば、制御回路等を用いて、引き出し配線504および引き出し配線505を介したX検知電極502およびY検知電極503への給電が必要となる。
【0019】
図6は、従来のタッチパネルの検知電極と引き出し配線の接続部分を拡大して示す模式的な平面図である。
【0020】
図6に示す検知電極は、例えば、上述したX検知電極502であり、メッシュ状の金属電極である。X検知電極502は、X方向に伸びる複数の導体ライン521と、導体ライン521と交差するようにY方向に伸びる導体ライン522とから構成され、メッシュ状となるよう構成されている。そして、X検知電極502に接続する引き出し配線504は、上述したようにベタ状の金属配線である。
【0021】
したがって、X検知電極502と引き出し配線504との電気的な接続は、図6に示すように、X検知電極502を構成する導体ライン521のそれぞれが引き出し配線504と接続することによって実現されている。引き出し配線504を介してX検知電極502への給電が行われる場合、具体的には、引き出し配線504からX方向に伸びる導体ライン521のそれぞれに対して給電が行われることになる。
【0022】
このとき、X検知電極502は、複数の導体ライン521により構成される構造である。したがって、X検知電極502と同様の線幅を有するベタ状の引き出し配線504に比べて、各導体ライン521は小さい線幅となっている。
【0023】
そのため、引き出し配線504を介してX検知電極502に給電を行おうとする場合、引き出し配線504とそれより線幅の小さい導体ライン521の接続部分523で、抵抗の急激な上昇が生じることになる。Y検知電極503についても同様である。
【0024】
その結果、タッチパネル500でのタッチ位置検出のためにX検知電極502に給電がなされた場合、引き出し配線504と各導体ライン521との接続部分523で発熱を生じることがあった。さらに、発熱によって高温の状態が形成された場合、接続部分523で断線に至る不具合を生じることがあった。Y検知電極503についても同様の不具合を生じることがあった。
【0025】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、複数の導体ラインからなる検知電極と引き出し配線との接続部分において、急激な抵抗の上昇を抑えることができるように構成されたタッチパネルを提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の態様は、所定の間隔で配列された複数の導体ラインからなる検知電極と、その複数の導体ラインのうちの少なくとも1本の末端部分と接続して検知電極と接続する引き出し配線とを有するタッチパネルであって、
引き出し配線と接続する導体ラインは、引き出し配線と接続する末端部分に、その引き出し配線に向かって線幅が大きくなる形状の接続部を有することを特徴とするタッチパネルに関する。
【0028】
本発明の態様において、接続部は、引き出し配線に向かって線幅が連続的に漸次大きくなる形状であることが好ましい。
【0029】
本発明の態様において、接続部は、引き出し配線に向かって線幅が段階的に大きくなる形状であることが好ましい。
【0030】
本発明の態様において、検知電極は、導体ラインと交差するように配列された複数の交差導体ラインを有し、網目状の構造を有することが好ましい。
【0031】
本発明の態様において、検知電極は、金属材料を用いて形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の態様によれば、検知電極と引き出し配線との接続部分において、急激な抵抗の上昇を抑えることができるように構成されたタッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態のタッチパネルの検知電極の構造を説明する模式的な平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のタッチパネルの構造を例示する模式的な平面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態のタッチパネルが有する検知電極の構造を説明する模式的な平面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のタッチパネルが有する検知電極の別の例の構造を説明する模式的な平面図である。
【図5】メッシュ状の金属電極を用いた従来のタッチパネルの構造を模式的に説明する平面図である。
【図6】従来のタッチパネルの検知電極と引き出し配線の接続部分を拡大して示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、液晶表示パネル等の表示パネル上に配置され、操作者が指やペン等の導体で操作面に触れたときに、そのタッチ位置を検出するタッチパネルに関する。本発明のタッチパネルは、例えば、静電容量方式である。したがって、本発明のタッチパネルは、互いに異なる方向に伸び、絶縁層を挟んで交差する2種類の検知電極をマトリクス状に配置して有する構造とすることが可能であり、操作者によるタッチ位置の座標を検出することができる。
【0035】
そして、本発明のタッチパネルは、上述した課題、特に検知電極に関する課題に鑑みて、特徴的な構造の検知電極を有する。
以下、図面を用いて、本発明のタッチパネルに用いられる検知電極およびタッチパネルについて説明する。
【0036】
<実施の形態1>
本発明の第1の実施形態であるタッチパネルは、上述したように、特徴的な構造の検知電極を備えたタッチパネルである。そして、本実施形態のタッチパネルは、静電容量方式とすることが可能である。
【0037】
図1は、本実施形態のタッチパネルの検知電極の構造を説明する模式的な平面図である。
【0038】
図1では、本実施形態のタッチパネルの検知電極1の構造を示すとともに、その効果を説明できるように、引き出し配線2との接続部分を拡大して模式的に示している。
【0039】
図1に示す検知電極1は、例えば、水平方向であるX方向に伸び、所定の間隔で配列された複数の導体ライン4を有して構成される。したがって、検知電極1は、導体ライン4の形成方向(X方向)に伸びる構造を有する。導体ライン4は、金属材料を用いて形成されている。導体ライン4の形成に使用可能な金属としては、金、銀、銅、ニッケルおよびチタンを挙げることができ、上記金属は単体の金属であってもよいし、合金であってもよい。また、単層の膜としてもよいし、多層の膜としてもよい。
【0040】
本実施形態のタッチパネルでは、検知電極をベタ状の金属電極とすること無く、所定の間隔で配列された複数の細い導体ライン4を有して構成することにより、下層に配置する表示パネルの視認性が損なわれることを防止することができる。
【0041】
検知電極1は、一方の端部で引き出し配線2との接続を実現している。引き出し配線2も、導体ライン4と同様の金属材料を用いて構成することができる。同様の材料とすることにより、検知電極1を構成する導体ライン4と引き出し配線2とを同じ形成工程によって形成でき、生産性を向上させることが可能となる。また、引き出し配線2は、検知電極1が配置されるタッチパネルの操作面の周囲に配置されており、光の透過性を考慮する必要が無い。したがって、より低抵抗化できるようにベタ状の形状とすることが好ましい。そして、引き出し配線2は、より低抵抗化できるように、タッチパネルの操作面の周囲で占有可能な面積を考慮した上で、より線幅を大きくすることが好ましい。
【0042】
また、本実施形態のタッチパネルの検知電極1は、図1に示すように、導体ライン4の伸びる方向(X方向)と垂直な方向(Y方向)に伸び、導体ライン4と交差するように配列された複数の交差導体ライン5を有することができる。その結果、検知電極1は、所定の大きさの開口部6を有するメッシュ状(網目状)の構造を有することができる。交差導体ライン5も、導体ライン4と同様の金属材料を用いて構成することができる。
【0043】
検知電極1が、交差導体ライン5を有し、メッシュ状の形状を有することにより、例えば、導体ライン4のうちの1本で断線が発生しても、交差導体ライン5を用いた電気的な迂回路の形成が可能となる。すなわち、検知電極1の信頼性を向上させることができ、導体ライン4にそうした断線が生じても、検知電極1の性能低下を抑えることができる。そして、交差導体ライン5は、導体ライン4と同程度の細い線幅を有し、所定の間隔で配列されているため、下層に配置する表示パネルの視認性が損なわれることはない。
【0044】
検知電極1と引き出し配線2との接続は、図1に示すように、検知電極1を構成する導体ライン4のそれぞれが直接的に引き出し配線2と接続することによって実現されている。尚、検知電極1が、交差導体ライン5を有する場合のように、各導体ライン4が他の導体ライン4を利用して引き出し配線2と接続することのできる構造であれば、検知電極1を構成する複数の導体ライン4のうちの少なくとも1本の導体ライン4が引き出し配線2に接続していればよい。特に好ましくは、複数の導体ライン4のうち少なくとも2本の導体ライン4を束ねるように、導体ライン4の末端部分と引き出し配線2とが接続される形態とする。本実施形態においては、検知電極1を構成する導体ライン4のそれぞれと引き出し配線2とが図1のように接続されている。このように図1の構造とすることにより、検知電極1と引き出し配線2との接続をより高信頼のものとすることができる。
【0045】
図1に示す検知電極1は、上述したように、所定の間隔で配列された複数の導体ライン4により構成される構造である。そのため、図1に示すように、例えば、検知電極1と同等の線幅を有するベタ状の引き出し配線2に比べて、導体ライン4はそれぞれ小さい線幅となっている。
【0046】
したがって、後述するように、本実施形態のタッチパネルにおいて、操作者によるタッチ操作の有無を検知するために、引き出し配線2を介して検知電極1に給電を行おうとする場合、導体ライン4をそのままの形状で引き出し配線2と接続すれば、引き出し配線2と、引き出し配線2に接続する導体ライン4との接続部分で抵抗を急激に上昇させることになる。
【0047】
そこで、本実施形態のタッチパネルの検知電極1では、引き出し配線2と接続する導体ライン4の末端部分に、引き出し配線2に向かって線幅が大きくなる形状の接続部7を配置して有している。より具体的には、検知電極1では、引き出し配線2と接続する導体ライン4の末端部分に、引き出し配線2に向かって、連続的に漸次線幅が大きくなる形状の接続部7を配置して有している。
【0048】
こうした形状の接続部7を設けることにより、操作者によるタッチ操作の有無を検知するため、引き出し配線2を介して検知電極1に給電を行なおうとする場合、引き出し配線2と導体ライン4との接続部分で抵抗が急激に上昇することを抑制できる。そして、引き出し配線2と各導体ライン4との接続部分での発熱を低減することができ、接続部分で断線に至る不具合が生じるのを防止することができる。
【0049】
このとき、検知電極1の接続部7を除いた部分で、タッチパネルの操作面を構成することにより、タッチパネルの操作に際し、下層にある表示パネルの視認性が損なわれることを防止することができる。
【0050】
また、図1に示す検知電極1では、接続部7の、導体ライン4が伸びる方向であるX方向の長さは、交差導体ライン5の配置間隔より小さいが、それと同等もしくはそれより大きくすることも可能である。そのように接続部7の長さを設定することにより、引き出し配線2と導体ライン4との接続部分で抵抗の急激な上昇を抑制し、抵抗の変化をより緩やかなものとすることができる。
【0051】
次に、本実施形態のタッチパネルについて、その全体の構造を例示する。
本実施形態のタッチパネル10は、上述した検知電極1を有し、例えば、図2に示す構造を有する。
【0052】
図2は、本実施形態のタッチパネルの構造を例示する模式的な平面図である。
【0053】
本実施形態の例として図2に示されたタッチパネル10は、上述したように静電容量方式であり、基板11上に、複数のX検知電極12と複数のY検知電極13とを配置して構成される。尚、図2において、X検知電極12とY検知電極13とは、それぞれ4個が所定の間隔で配列されているが、それらの個数は4個に限られるわけではなく、より少ない数や多い数とすることが可能である。また、例えば、複数のX検知電極12の一方側だけの検知電極を配置してもタッチ位置を検出することができる。
【0054】
また、X検知電極12およびY検知電極13の配列間隔についても、図2に示すものに限られず、より小さくすることが可能である。X検知電極12およびY検知電極13の配列間隔を、例えば、図1に示すような、X検知電極12およびY検知電極13を構成する導体ライン4の配列間隔と同等とすることも可能である。そうすることにより、タッチパネル10では、X検知電極12とY検知電極13とを配列して、タッチパネル10の操作面全面において、導体ライン4が均一な網目状を呈するように配置することができる。
【0055】
タッチパネル10の基板11は、可視光の透過が可能な透光性基板とすることが好ましい。基板11は、例えば、ガラス基板や、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PC(ポリカードネート)フィルム等の樹脂基板とすることが可能である。基板11を樹脂基板とすることにより、破損し難く、軽量のタッチパネル10を構成することができる。また、基板11がガラス基板の場合、厚さを0.3mm〜3.0mmとすることが可能である。
【0056】
タッチパネル10のX検知電極12とY検知電極13には、図1に示した検知電極1を用いることができる。すなわち、X検知電極12とY検知電極13はいずれも、図1に示したように、所定の間隔で配列された複数の導体ライン4(図2中では図示されない。)からなり、交差導体ライン5(図2中では図示されない。)を有する構造である。
図1に示したように、導体ライン4と交差導体ライン5とは、それぞれ同程度の線幅を有し、所定の間隔で配列されているため、下層に配置する表示パネルの視認性が損なわれることはない。
【0057】
X検知電極12は、水平方向であるX方向に伸びるよう配置され、一方の端部でベタ状の引き出し配線2に接続している。一方、Y検知電極13は、X方向と直交するY方向に伸びるよう配置され、一方の端部で、ベタ状の引き出し配線2に接続している。そして、X検知電極12とY検知電極13は、いずれにおいても、図1に示したように、引き出し配線2と接続する導体ライン4の末端部分に、引き出し配線2に向かって徐々に線幅が大きくなる形状の接続部7(図2中では図示されない。)を有している。
【0058】
タッチパネル10のX検知電極12とY検知電極13は、絶縁膜(図示されない)を介し、互いに絶縁して配置される。そのため、絶縁膜を挟んでX検知電極12とY検知電極13とが重畳する交差部分に容量が形成されている。
尚、本実施形態のタッチパネル10では、絶縁膜を設けず、X検知電極12を基板11の一方の面に配置し、Y検知電極13を他方の面に配置して、基板11を挟んでそれらが交差する構造とすることも可能である。
【0059】
X検知電極12とY検知電極13に接続する引き出し配線2は、他方でフレキシブルプリント基板(図示されない)等を介して、X検知電極12とY検知電極13とを用いて静電容量を監視するように構成された制御回路(図示されない)に接続している。すなわち、タッチパネル10では、X検知電極12およびY検知電極13がそれぞれ引き出し配線2を介して、制御回路に接続する構成を備える。
【0060】
したがって、タッチパネル10では、操作者の指等によるタッチ操作に伴って容量形成がなされた場合、それを電位の変化として検知することができ、そのタッチ位置を検出することができる。
【0061】
例えば、相互容量型においては、引き出し配線2を介して、X検知電極12とY検知電極13のうち一方を定電圧とし、他方に対しては線順次でパルス電圧を印加する。そして、X検知電極12とY検知電極13との各交差部分で生じる容量カップリングによる微分波形を読み取って、操作者によるタッチ操作の有無を検知することができる。
【0062】
このとき、タッチパネル10では、タッチ操作の有無を検知する場合、例えば、制御回路等を用いて、引き出し配線2を介したX検知電極12およびY検知電極13へと給電を行う。
【0063】
X検知電極12には、上述したように図1に示した検知電極1を用いている。X検知電極12は、X方向に伸びる複数の導体ライン4と、導体ライン4と交差するようにY方向に伸びる交差導体ライン5とを有し、メッシュ状となるよう構成されている。Y検知電極13も、同様に、Y方向に伸びる複数の導体ライン4と、導体ライン4と交差するようにX方向に伸びる交差導体ライン5とを有し、メッシュ状となるよう構成されている。
【0064】
X検知電極12と引き出し配線2との電気的な接続およびY検知電極13と引き出し配線2との電気的な接続は、図1に示すように、導体ライン4のそれぞれが引き出し配線2と接続することによって実現される。
【0065】
そして、本実施形態のタッチパネルのX検知電極12およびY検知電極13は、図1に示したように、引き出し配線2と接続する導体ライン4の末端部分に、引き出し配線2に向かって徐々に線幅が大きくなる形状の接続部7を配置して有している。
【0066】
この接続部7を有することにより、操作者によるタッチ操作の有無を検知するため、引き出し配線2を介して検知電極1に給電を行なおうとする場合、引き出し配線2と導体ライン4との接続部分で抵抗が急激に上昇することを抑制できる。そして、引き出し配線2と各導体ライン4との接続部分での発熱を低減することができ、接続部分で断線に至る不具合が生じるのを防止することができる。
【0067】
<実施の形態2>
本発明の第2の実施形態であるタッチパネルは、上述したように、特徴的な構造の検知電極を備えたタッチパネルであり、静電容量方式とすることが可能である。本実施形態のタッチパネルは、図1に示した検知電極1と異なる構造の検知電極を有し、それ以外の主な構造とタッチ位置の検出方法については、図2に示したタッチパネル10と同様とすることができる。そして、本実施形態であるタッチパネルは、上述した課題、特に従来の検知電極に起因する課題の改善されたタッチパネルとすることができる。
【0068】
図3は、本発明の第2の実施形態のタッチパネルが有する検知電極の構造を説明する模式的な平面図である。
【0069】
図3では、本実施形態のタッチパネルの検知電極21の構造を示すとともに、その効果を説明できるように、引き出し配線2との接続部分を拡大して模式的に示している。尚、引き出し配線2のように、図1の検知電極1と共通する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0070】
図3に示す検知電極21は、図1に示した検知電極1と同様、例えば、水平方向であるX方向に伸び、所定の間隔で配列された複数の導体ライン24を有して構成される。したがって、検知電極21は、導体ラインの形成方向(X方向)に伸びる構造を有する。導体ライン24は、金属材料を用いて形成されている。導体ライン24の形成に使用可能な金属としては、金、銀、銅、ニッケルおよびチタンを挙げることができ、第1の実施の形態の金属材料と同様のものを採用することができる。
【0071】
本実施形態のタッチパネルでは、検知電極21をベタ状の金属電極とすること無しに、上述したように所定の間隔で配列された複数の細い導体ライン24を有して構成する。こうすることにより、本実施形態のタッチパネルでは、下層に配置される表示パネルの視認性が損なわれることを防止することができる。
【0072】
検知電極21は、図1を用いて説明した検知電極1と同様に、一方の端部で引き出し配線2に接続している。引き出し配線2の構成材料は、導体ライン24と同様とすることができる。同様の材料とすることにより、検知電極21を構成する導体ライン24と引き出し配線2とを同じ形成工程によって形成でき、生産性を向上させることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態のタッチパネルの検知電極21は、図3に示すように、導体ライン24の伸びる方向(X方向)と垂直な方向(Y方向)に伸び、導体ライン24と交差するように配列された複数の交差導体ライン25を有することができる。その結果、検知電極21は、所定の大きさの開口部26を備えたメッシュ状(網目状)の構造を有することができる。交差導体ライン25も、導体ライン24と同様の金属材料を用いて構成することができる。
【0074】
検知電極21が、交差導体ライン25を有し、メッシュ状の形状を有することにより、例えば、導体ライン24のうちの1本で断線が発生しても、交差導体ライン25を用いた電気的な迂回路の形成が可能となる。すなわち、検知電極21の信頼性を向上させることができ、導体ライン24にそうした断線が生じても、検知電極21の性能低下を抑えることができる。そして、交差導体ライン25は、交差して接続する導体ライン24と同程度の細い線幅を有している。交差導体ライン25は、所定の間隔で配列されているため、下層に配置する表示パネルの視認性が損なわれることはない。
【0075】
検知電極21と引き出し配線2との接続は、図3に示すように、検知電極21を構成する導体ライン24のそれぞれが直接的に引き出し配線2と接続することによって実現されている。こうすることにより、検知電極21と引き出し配線2との信頼性の高い接続を実現することができる。
【0076】
尚、検知電極21と引き出し配線2との接続については、検知電極21を構成する複数の導体ライン24のうちの少なくとも1本の導体ライン24が引き出し配線2に接続する構造とすることが可能である。その場合の特に好ましい形態は、複数の導体ライン24のうち少なくとも2本の導体ライン24を束ねるように、導体ライン24の末端部分と引き出し配線2とが接続される形態とする。
【0077】
ここで、検知電極21は、上述したように、所定の間隔で配列された複数の導体ライン24により構成される構造である。そのため、図3に示すように、例えば、検知電極21と同等の線幅を有するベタ状の引き出し配線2に比べて、導体ライン24のそれぞれは小さい線幅となっている。
【0078】
本実施形態のタッチパネルは、上述した第1実施形態のタッチパネル20と同様に、操作者によるタッチ操作の有無を検知するために、引き出し配線2を介して検知電極21に給電を行う。したがって、検知電極21は、そうした給電に対し、引き出し配線2と導体ライン24との接続部分で抵抗を急激に上昇させることが無いように構成されていることが好ましい。
【0079】
すなわち、本実施形態のタッチパネルの検知電極21では、引き出し配線2と接続する導体ライン24の末端部分に、引き出し配線2に向かって線幅が大きくなる形状の接続部27を配置して有することが好ましい。より具体的には、検知電極21では、引き出し配線2と接続する導体ライン24の末端部分に、引き出し配線2に向かって、階段状となる形状で段階的に線幅が大きくなる形状の接続部27を配置して有することが好ましい。そして、検知電極21は、引き出し配線2と導体ライン24との接続部分として、接続部27が配置されて構成された接続領域23を有することが好ましい。
【0080】
検知電極1がそのような構造を有することにより、検知電極21の接続領域23にある開口部26は、引き出し配線2に向かって、階段状となる形状で段階的に面積が小さくなるように構成される。すなわち、接続領域23では、引き出し配線2に向かって段階的に開口部26の形成密度が小さくなっている。
【0081】
そして、検知電極21では、導体ライン24が接続部27を有する場合、その導体ライン24は接続部27のある末端部分において、引き出し配線2に向かって、階段状となる形状で段階的に線幅が大きくなる。その場合、図3に示すように、検知電極21では、その導体ライン24の段差の形成部分に交差導体ライン25を配置することが好ましい。
【0082】
尚、本実施形態のタッチパネルの検知電極21では、交差導体ライン25を配置しない構造とすることも可能である。
【0083】
図4は、本発明の第2の実施形態のタッチパネルが有する検知電極の別の例の構造を説明する模式的な平面図である。
【0084】
図4に示す、第2実施形態のタッチパネルが有する別の例の検知電極21aは、図3に示した検知電極21において交差導体ライン25が設けられていない構造に対応する。したがって、検知電極21aの検知電極21に対応する構成要素については、以下で、検知電極21と同一または類似の符号を用いて説明する。
【0085】
検知電極21aは、所定の間隔で配列された、ベタ状の引き出し配線2に比べて小さい線幅を有する複数の導体ライン24aによって構成される。検知電極21aは、引き出し配線2と接続する導体ライン24aの末端部分に、引き出し配線2に向かって、階段状となる形状で段階的に線幅が大きくなる接続部27aを配置して有する。そして、検知電極21aは、引き出し配線2と導体ライン24aとの接続部分として、接続部27aが配置されて構成された接続領域23aを有する。
【0086】
こうした構造の検知電極21aは、検知電極21aの接続領域23aで、引き出し配線2に接続する導体ライン24aの線幅が、急激に小さくなることを回避することができる。その結果、検知電極21に給電がなされた場合、引き出し配線2と導体ライン24aとの接続部分で急激に抵抗が上昇することを回避することができる。
【0087】
しかしながら、図4に示す検知電極21aでは、導体ライン24aの接続部27aの段差の形成部分に、階段状の形状に由来する角部28が形成される。このような先端が尖った角部28があると、操作者によるタッチ操作の有無を検知するために、引き出し配線2を介して検知電極21aに給電が行われた場合、そこに電流が集中し、発熱を生じる懸念がある。
【0088】
そこで、本発明の第2の実施形態のタッチパネルでは、図3に示す検知電極21のように、接続部27の段差の形成部分に、角部が形成されないように交差導体ライン25を設けることが好ましい。そして、上述の電流集中と発熱の問題を回避する。すなわち、第2実施形態のタッチパネルでは、検知電極の例として、図3に示す検知電極21のように、導体ライン24と交差するように配列された複数の交差導体ライン25を設け、それらを利用して、導体ライン24の接続部27の段差の形成部分に角部が形成されないようにすることができる。
その場合、交差導体ライン25は、接続部27の段差の形成部分にのみ設けることも可能である。
【0089】
また、図3に示すように、導体ライン24の段差部分に交差導体ライン25を配置するに際し、導体ライン24が段階的に線幅を大きくするのに対応して、接続部27に配置される交差導体ライン25の線幅を大きくすることが可能である。すなわち、検知電極21の接続領域23にある開口部26を外形の形状を維持したまま段階的に小さな面積となるようにし、開口部26の形成密度を小さくすることが可能である。
【0090】
検知電極21をこうした構造とすることにより、検知電極21の接続領域23で、導体ライン24に接続する交差導体ライン25の線幅が、急激に小さくなることを回避することができる。その結果、検知電極21に給電がなされた場合、導体ライン24と交差導体ライン25との接続部分で急激に抵抗が上昇することを回避することができる。
【0091】
以上の構成を有する検知電極21では、上述した形状の接続部27を設けて接続領域23を構成することにより、操作者によるタッチ操作の有無を検知するため、引き出し配線2を介して検知電極21に給電を行なおうとする場合、引き出し配線2と導体ライン24との接続部分で抵抗が急に上昇することを抑制できる。併せて、導体ライン24と交差導体ライン25との接続部分においても抵抗が急に上昇することを抑制できる。そして、引き出し配線2と各導体ライン24との接続部分での発熱を低減することができ、検知電極21の接続領域23で断線に至る不具合が生じるのを防止することができる。
【0092】
このとき、検知電極21の接続領域23を除いた部分で、タッチパネルの操作面を構成することが可能である。したがって、タッチパネルの操作に際し、上述の検知電極等での断線に至る不具合を回避するとともに、下層にある表示パネルの視認性が損なわれることを防止することができる。
【0093】
次に、本発明の第2の実施形態であるタッチパネルの構造については説明する。
本発明の第2の実施形態であるタッチパネルは、X検知電極およびY検知電極に図3に示した検知電極21または図4に示した検知電極21aを用いた以外、上述した本発明の第1の実施形態として例示されたタッチパネル10と同様とすることが可能である。
【0094】
そして、本発明の第2の実施形態であるタッチパネルは、下層に配置される表示パネルの視認性が損なわれることを防止することができる。
【0095】
また、操作者によるタッチ操作の有無を検知するため、引き出し配線を介して検知電極に給電を行なおうとする場合、引き出し配線と検知電極を構成する導体ラインとの接続部分で抵抗が急に上昇することを抑制できる。そして、引き出し配線と各導体ラインとの接続部分での発熱を低減することができ、接続部分で断線に至る不具合が生じるのを防止することができる。
【0096】
特に、本発明の第2の実施形態であるタッチパネルは、X検知電極およびY検知電極に、上述した図3の検知電極21を用いることが好ましい。X検知電極およびY検知電極に検知電極21を用いた第2実施形態のタッチパネルは、上述した発熱の問題をより効率良く抑制し、さらにX検知電極およびY検知電極の信頼性を高めることができる。
【0097】
尚、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【0098】
例えば、本発明のタッチパネルでは、検知電極の構造を、図1、図3および図4に示すように短冊状に構成することができるが、他の形状を選択することも可能である。
具体的には、複数の導体ラインを用いて構成された菱形や六角形等の形状の電極パッドを一方向に複数配列して検知電極を構成することが可能である。また、電極パッドが、図1や図3に示したような、複数の導体ラインからなるメッシュ状の構造を有するようにして検知電極を構成することも可能である。そして、ベタ状の引き出し配線と接続する接続部分において、検知電極を構成する導体ラインの末端部分に、図1等に示したのと同様の接続部を設けて、接続部分で断線に至る不具合が生じるのを防止することが可能である。
【0099】
さらに、本発明のタッチパネルは、抵抗膜方式とすることも可能である。
すなわち、従来の抵抗膜方式が検知電極にベタ状のITO電極を使用するのに対し、本発明のタッチパネルが抵抗膜方式である場合、検知電極として複数の導体ラインから構成されたメッシュ状の金属電極を用いることができる。併せて、検知電極に接続する引き出し配線と検知電極との接続部分において、検知電極を構成する導体ラインの末端部分に、図1等に示したのと同様の接続部を設けて、接続部分で断線に至る不具合が生じるのを防止することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1、21、21a 検知電極
2、504、505 引き出し配線
4、24、24a、521、522 導体ライン
5、25 交差導体ライン
6、26 開口部
7、27、27a 接続部
28 角部
10、500 タッチパネル
11 基板
12、502 X検知電極
13、503 Y検知電極
23、23a 接続領域
501 透明基板
523 接続部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で配列された複数の導体ラインからなる検知電極と、前記複数の導体ラインのうちの少なくとも1本の末端部分と接続して前記検知電極と接続する引き出し配線とを有するタッチパネルであって、
前記引き出し配線と接続する前記導体ラインは、前記引き出し配線と接続する末端部分に、前記引き出し配線に向かって線幅が大きくなる形状の接続部を有することを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記接続部は、前記引き出し配線に向かって線幅が連続的に漸次大きくなる形状であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記接続部は、前記引き出し配線に向かって線幅が段階的に大きくなる形状であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記検知電極は、前記導体ラインと交差するように配列された複数の交差導体ラインを有し、網目状の構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記検知電極は、金属材料を用いて形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101504(P2013−101504A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244953(P2011−244953)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000103747)京セラディスプレイ株式会社 (843)
【Fターム(参考)】