説明

タンク併設型入浴装置

【課題】
座位入浴と寝位入浴とを1台の浴槽3で実施でき、しかも装置を小型化して、便利で経済的で使い易いタンク併設型入浴装置を提供すること。
【解決手段】
正面側壁1が扉2である浴槽3と、搬送車4と、タンク5と、湯移動装置6とからなり、浴槽3は、扉2が設けられる浴槽主部10と、扉2に対向する側の浴槽主部10に連続して接続される浴槽副部11とからなり、浴槽3の基側から先側に向けて長尺に形成されてなり、入浴者を座位姿勢にして又は寝位姿勢にして支持できる搬送車4を前記浴槽3に押し込み可能であり、浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴と座位入浴を1台の浴槽3で実施できることを特徴とするタンク併設型入浴装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者及び高齢者(以下、要介護者)、特に要介護度の高い要介護者の介護入浴を行なうタンク併設型入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来装置の特許文献1のものは、
チェアトロリーの移動台車に吊り下げたチェア本体を浴槽本体内へ搬入する据置型車椅子入浴装置において、前記チェア本体をリクライニング角度を変更可能にするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3481752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された構成では、チェア本体のリクライニング角度が変更できるので、座位入浴者は後傾の姿勢で入浴ができる。
しかし、特許文献1に記載された浴槽は、座位姿勢の入浴者に使用されるものであって、座位姿勢をとれない寝位姿勢の入浴者には使用が困難であり、汎用性に乏しいものであった。又、従来装置には、座位姿勢が取れる入浴者でも寝位姿勢での入浴しかできないものもあり、汎用性に乏しいものであった。
本発明の目的は、座位入浴と寝位入浴とを1台の浴槽で実施でき、しかも装置を小型化して、便利で経済的で使い易いタンク併設型入浴装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現する本発明は、正面側壁1が扉2である浴槽3と、搬送車4と、タンク5と、湯移動装置6とからなり、浴槽3は、扉2が設けられる浴槽主部10と、浴槽主部10の扉2に対向する側に浴槽副部11が連続して接続され、浴槽3の基側から先側に向けて長尺に形成されてなり、浴槽3には浴槽3内の湯の水面高さを任意に変更できる浴槽上限水位スイッチ42が設けられ、入浴者を座位姿勢にして又は寝位姿勢にして支持できる搬送車4を前記浴槽3に押し込み可能であり、浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴と座位入浴を1台の浴槽3で実施できることを特徴とするタンク併設型入浴装置である。
又、搬送車4は座位搬送車13であり又は寝位搬送車14であり、これらの両搬送車を浴槽3に適用できる。
更に、タンク5は、門型形状に形成される貯湯容器であり、浴槽副部11を左右方向に跨いで設けられ、一方、浴槽副部11はその幅を先方漸狭に形成され、浴槽副部11の左右両外側部に湯移動装置6が配設されてなり、浴槽3を省湯量化及び浴槽3の奥行き長さを短縮化した。
更に又、浴槽副部11の上面には該浴槽副部11の上側開口部を覆う覆い部材12が設けられており、覆い部材12における入浴者の顔面に向かう位置に操作パネル16が設けられ、入浴者に装置の作動状況を開示した。
又、浴槽3の側壁外装又はタンク5の側壁外装の一部に、一体成形でなる凹形状部9が成形され、この凹形状部9に、薬液ボトル20を収納可能であり、この凹形状部9の天井面には、薬液ボトル20に接続する接続管46が垂下され、この凹形状部9の下面は、薬液ボトル20を載せる面であり浴槽3又はタンク5の外方向に微下降傾斜してなり、薬液ボトル20のずれ止34が形成されてなり、凹形状部9へ出し入れする薬液ボトル20の扱いが容易である。
搬送車4の背凭れ27に対向する側の扉上端部には扉凹形状部52が形成されてなり、この扉凹形状部52は、浴槽3内に固定式のオーバーフロー口を設ける代わりとし、又、浴槽3へ搬送車4を挿入した際の背凭れ27の背凭れ角度を鈍角化し、更に、浴槽3の奥行き長さを短縮化した。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る浴槽3は、コンパクトであってしかも奥行きを長尺に構成しているから、座位姿勢でも寝位姿勢でも入浴でき、座位姿勢の保持が困難な座れない入浴者も入浴させることができ、好都合である。
【0007】
本発明に係る搬送車4は座位搬送車13であり又は座位姿勢の保持が困難な座れない入浴者のために作られた寝位搬送車14であり、これらの両搬送車のいずれであっても、1個の浴槽3に連結のうえ収容でき好適に入浴を行なえ、好都合である。
【0008】
本発明に係るタンク5は、門型形状であり、浴槽副部11に跨って構成され、装置の奥行きを抑制し短縮化されたので、装置を小型化でき、好都合である。又、浴槽副部11は先方を漸狭になしているので、湯量を節約でき、好都合である。又、浴槽副部11を先方漸狭に形成したために生じた両側部の空間へ、ポンプ32や管路31の構成部品を配設し、装置を小型化でき、好都合である。
又、タンク5を浴槽副部11に載せることができ、タンク5のフレーム(図示省略)を簡略化して形状が維持できるためその形状維持に係るコストを安価に作製することができ、好都合である。又、装置内部を効果的に使用できるため、必要容量を確保したうえ、浴槽副部11の縁高さをより低くでき、浴槽副部11の底面を浅くでき(=浴槽副部11の深さを浅くでき)るためタンク内が洗い易く、好都合である。
【0009】
本発明に係る浴槽副部11の上面には上側開口部を覆う覆い部材12が設けられており、覆い部材12が入浴者の下体の一部を覆うので、羞恥心を緩和でき、好都合である。
又、覆い部材12が設けられ羞恥心を緩和できるので、底面を高くして省湯量化を図ることができ、好都合である。
【0010】
本発明は、覆い部材12における入浴者の顔面に向かう位置に、操作パネル16が設けられるので、操作状況を入浴者に開示できる。入浴者は、操作パネル16がよく見え、入浴者は浴槽3の湯温や入浴時間等の操作状況が分かり安心であり、好都合である。
更に、介助者にとっては、遠くからでも操作パネル16が見え、前述の操作状況が分かり、適宜修正操作を易く、安心であり、又、入浴者に設定に係る説明をし易すく、好都合である。
【0011】
本発明に係る浴槽3の側壁外装又はタンク5の側壁外装の一部に、一体成形でなる凹形状部9が成形され、この凹形状部9に、薬液ボトル20を収納可能である。
この構成によれば、囲いの無い見える位置に薬液ボトル20が載置されるので、凹形状部9へ出し入れする薬液ボトル20の扱いが容易であり楽であり、薬液の維持管理が容易にでき、好都合である。又、装置の側部に浴室壁があっても介助者が通れるだけの隙間があれば薬液ボトル20の交換ができ、浴室壁が浴槽3のどちら側に有っても薬液ボトル20の交換ができ、好都合である。浴室壁が浴槽3のどちら側に有るかによって、薬液ボトル20、配管、タンク5の位置等を調節するといったことが不要となり、製作コストを低減でき、好都合である。
又、凹形状部9を一体成形にして作製しているので、凹形状部9を継ぎ足して構成したものではないので、凹形状部9に係る継ぎ目が無く、外観が美しく、又、薬液がこぼれても装置内に進入せず、薬液による腐食を無くし、耐久性を良好にし、好都合である。
又、薬液ボトル20は載置している位置で容易に持ち上げることができ、持ち上げ操作により薬液の残量が分かり、補充時期が分かり、残量表示器などの構成を削減できそれに係るコストを低減でき、好都合である。
【0012】
本発明は、搬送車4の背凭れ27に対向する側の扉上端部には、扉凹形状部52が形成されている。この扉凹形状部52は、固定式オーバーフロー口の作用をなしており、浴槽3内に固定式オーバーフロー口を設ける代わりとしている。
上記構成では、浴槽3へ搬送車4を挿入した際の背凭れ27の背凭れ角度を鈍角化し、入浴者は上半身を後傾した楽な姿勢で入浴でき、又、寝位搬送車14を使用する時は背凭れ27を大幅に後傾でき、好都合である。
又、入浴時に入浴者の頭部下の背凭れ27部分は、扉2に載る形状となって、快適入浴を確保したうえ、浴槽3の奥行き長さを短縮化でき、占領スペースを小さくし、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の浴槽の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の浴槽の平面図である。
【図3】本発明の実施例1の浴槽に座位搬送車を入れた左側面図である。
【図4】本発明の実施例1の浴槽に寝位搬送車を入れた左側面図である。
【図5】本発明の実施例1の配管系統図である。
【図6】本発明の実施例1の寝位搬送車を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
以下、図1乃至図6に本発明の実施例1を示している。
図1に示すタンク併設型入浴装置15は、正面側壁1が扉2である浴槽3と、搬送車4と、タンク5と、湯移動装置6と、操作パネル16等とからなる。
浴槽3は、扉2が設けられる浴槽主部10と、浴槽主部10の扉2に対向する側に浴槽副部11が連続して接続され、浴槽3の基側から先側に向けて長尺に形成されてなる。
【0015】
浴槽副部11はその幅を先方漸狭に形成され、省湯量化を図った構成である。
浴槽副部11は後記する寝位搬送車14の長尺下肢受け19を受容する。
実施例1は、座位入浴を行なえると共に、浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴も行なえる構成である。
【0016】
詳細な記載は省略するが、扉2は、浴槽3に、蝶番18とロック機構17とで、開閉及び密閉を可能に設けられる。
浴槽3の左右前端のうち一方側は、蝶番18が取着され、回動作用をなす。浴槽3の左右前端のうち他方側にはロック片(図示省略)が扉方向に突設され、ロック作用をなす。
扉2の左右端のうち一方側は蝶番18に取着される。詳細な記載は省略するが、扉2には扉2を浴槽3に密着させるロック機構17が設けられる。扉2の左右端のうち他方側には、扉2に設けられたロック機構17により前記ロック片を引き寄せロックする構成が設けられる。
【0017】
搬送車4の背凭れ27に対向する側の扉上端部には、扉凹形状部52が形成されている。この扉凹形状部52は、固定式オーバーフロー口の作用をなしており、浴槽3内に固定式オーバーフロー口を設ける代わりとしている。浴槽3へ搬送車4を挿入した際の背凭れ27の背凭れ角度を鈍角化し、浴槽3の奥行き長さの短縮化するものである。
浴槽3には浴槽3内の湯の水面高さを変更できる可変オーバーフロー(図示省略)が設けられる。
【0018】
浴槽副部11の上面には上側開口部を覆う覆い部材12が設けられている。
覆い部材12における入浴者の顔面に向かう位置に、操作パネル16が設けられる。
操作パネル16には、浴槽温度表示器38と、タンク温度表示器37と、入浴時間表示器21、扉2が仮閉め位置にある時に点滅する扉ランプ47、タンク5が満水になると点灯するタンク満水ランプ8等が設けられる。
諸スイッチ、諸表示器等が入浴者に見えるように操作パネル16を約20度に起立させて設ける。
浴槽3の一方の側壁の上面に、入浴スイッチ48と、退浴スイッチ49と、停止スイッチ51とが設けられる。
【0019】
搬送車4は、入浴者を乗せ搬送すると共に、浴槽3に入浴者と共に押し込まれるものである。
搬送車4は、座位搬送車13、又は寝位搬送車14であり、これらの両搬送車は浴槽3に適用できる。
寝位搬送車14は浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴を行なう。
座位搬送車13は座位入浴を行なう。浴槽3は寝位入浴と座位入浴を実施可能にするものである。
【0020】
座位搬送車13は、乗座部22と、台車23とからなる。
乗座部22は、座部24と、下肢受け25と、フットレスト26と、背凭れ27と、枕28と、リクライニング機構(図示省略)と、台車23と、操作ハンドル29からなる。
台車23は乗座部22を載設しており、座位搬送車13を浴槽3に押し入れると、乗座部22と、台車23とが分離し、乗座部22は浴槽3の底壁30の上(=容器内)に移動し、台車23は底壁30の下(=容器外)に移動する。
下肢受け25は入浴者の下肢を支持するものであり、介助者の操作で回動でき、下垂位置から水平方向へ持ち上げ移動が可能である。
座位搬送車13は、搬送時は座位とし、入浴の際は、下肢受け25を水平位へ持ち上げた形状にする。
【0021】
寝位搬送車14は、下肢受け25を座部24から先方へ向けて長尺に形成してなる長尺下肢受け19としたものであり、座部24から前方へ、水平より先方がやや下がって延設される。又、座部24の高さは、移乗介護の容易さを考慮して、座位搬送車13のものよりやや高く(5センチ位)構成される。寝位搬送車14は座位姿勢を取れない入浴者に適するように製作したものである。前記座部24の高さに係る他の例として、座部24の高さを座位搬送車13のものと同高としてもよく、又、座部24の支持部材7を高さ可変の調節式のものに替えてもよい。
【0022】
尚、図示を省略するが、座位搬送車13の台車23の側部にリミット金具を設け、このリミット金具に対向する浴槽3の側壁部分にリミットスイッチを設ける。寝位搬送車14にはリミット金具を設けない。尚、リミット金具とリミットスイッチでなる検知器は、磁石と近接スイッチで構成してもよい。又、台車23にリミットスイッチを設け浴槽3にリミット金具を設けてもよい。磁石と近接スイッチの構成のものに於いても同様に、台車23に近接スイッチを設け浴槽3に磁石を設けてもよい。
搬送車4を浴槽3にドッキングした際に、検知器は座位搬送車13と寝位搬送車14のうちどちらが接続されているかを判別する。前記判別結果から、制御部54は、湯の水位、肩掛けシャワー(図示省略)、投与噴流等の検知アルゴリズムを変更する。
尚、上記とは逆に、検知器を寝位搬送車14と浴槽3に設け、座位搬送車13と寝位搬送車14のうちどちらが接続されているかを判別するものとしてもよい。
【0023】
タンク5は湯を貯める容器である。入浴当日の最初入浴の際は、先ず、タンク5に新湯を貯め、入浴の際に、貯湯を浴槽3へ移動する。退浴の際は、浴槽3で使用した湯を戻し、再度貯める容器である。
タンク5の形状は、浴槽副部11に跨る門型形状であり、浴槽副部11の左右方向に跨いで設けられる。この跨ぎ構成により、浴槽3の奥行きの短縮化を測っている。
タンク5の形状を更に詳述すると、タンク5の前部は門型形状であり、タンク5の後部は縦薄箱形状であり前部と後部とには仕切りが無く連通している。タンク5の上面には、蓋53が載置される。
【0024】
タンク5の側壁外装の一部に、一体成形でなる凹形状部9が成形される。前記凹形状部9に、薬液ボトル20を収納可能である。又、前記凹形状部9の天井面には、薬液ボトル20に接続され可撓部材でなる接続管46が垂下される。又、前記凹形状部9の下面は、タンク5の外方向に微下降傾斜してなり、薬液ボトル20のずれ止34が形成されてなる。他の実施例として、一体成形でなる凹形状部9を、浴槽3の側壁外装の一部に成形してもよい。
【0025】
湯移動装置6は、浴槽3とタンク5の間に接続され、管路31と、管路31に設けられる1個のポンプ32と、4個の電磁弁33等で構成される。
入浴時にはタンク5の湯を浴槽3へ移動させ、又、退浴時には浴槽3の湯をタンク5へ移動させるものである。
更に、タンク5に増し湯及び増し水をする時には湯温均一化の目的でタンク5の貯湯を管路31、ポンプ32を介して循環させる。
前述の通り、浴槽副部11はその幅が先方漸狭に形成したために、左右両外側部に凹み空間が生じている。この凹み空間に、湯移動装置6を配設し、装置の小型化を図っている。
【0026】
図5中、35はタンク増し湯ノズル、36はタンク排水弁、39はタンク上限水位スイッチ、40はタンク中位水位スイッチ、41はタンク下限水位スイッチ、42は浴槽上限水位スイッチ、43は浴槽下限水位スイッチ、44は増し湯ノズルである。
【0027】
次に、実施例1のタンク併設型入浴装置15の使用方法について説明する。
入浴準備に際し、湯と水をミキシングバルブ19で適温に為して、タンク5へ新湯を供給し貯湯する。この貯湯時はタンク上限水位スイッチ39が作動するまで給湯する。
【0028】
入浴者を搬送車4に乗せ、浴槽3の前へ搬送する。
タンク5は、門型形状に構成されて浴槽副部11に左右方向に跨がって構成され、装置の奥行きが短縮されており、浴室の占有空間を小さくしておりそれ故に搬送車4はその通路を広く取れ浴室での取り回し良好となる。
【0029】
浴槽3の扉2を、扉2の上縁を掴んで引き開ける。開けておいて上記搬送車4を入浴者と共に浴槽3内へ押し込む。
搬送車4が座位搬送車13の場合は、搬送車4を浴槽3へ入れる時、介助者は下肢受け25を水平方向へ回動させ係止する。
【0030】
座れない入浴者に対しては、寝位搬送車14を使用する。介助者は、入浴者を担架(図示省略)から寝位搬送車14へ移乗し、搬送する。
搬送車4を浴槽3へ押し込む際、搬送車4は、底壁30の前縁にぶつかって乗座部22が台車23から分離し、乗座部22及び入浴者は浴槽3内に入り、台車23は浴槽3の底壁30の下に至り容器外で待機する。
【0031】
搬送車4が寝位搬送車14の場合は、長尺下肢受け19及びフットレスト26は、浴槽副部11へ進入する。
搬送車4が、座位搬送車13であっても、又寝位搬送車14であっても、これらの両搬送車は浴槽3に適用(=押し込みセッティング)できる。浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴と、座位入浴とが実施可能である。
【0032】
入浴スイッチ48を押し、ポンプ32及び電磁弁33を作動させ、タンク5の湯を浴槽3へ移動させ、給湯する。
暫時給湯の後、浴槽上限水位スイッチ42が作動してポンプ32が止まり、湯の供給が止まる。湯面は浴槽上限水位スイッチ42の位置に至る。
上記給湯により入浴が開始される。
【0033】
覆い部材12において、入浴者に対面する位置に、操作パネル16が設けられ、入浴者は、入浴時間、浴槽温度、その他が見える。
搬送車4の背凭れ27に対向する側の扉上端部には、扉凹形状部52が形成されてなり、この扉凹形状部52は、浴槽3内に固定式のオーバーフロー口の作用をなす。即ち、浴槽3内の湯が大幅に増した時、湯は扉凹形状部52を通って流れ出る。
暫時入浴の後、退浴するがその際先ず湯を抜く。湯を抜くために退浴スイッチ49を押す。
退浴スイッチ49の指令により、ポンプ32及び電磁弁33が作動し、浴槽3の湯はタンク5に戻る。湯がタンク5に移動し、タンク中位水位スイッチ40が作動するとポンプ32が止まり、湯の移動が止まる。
【0034】
ポンプ32が止まった時に浴槽3に残った湯は、浴槽排水弁45を開けて排水する。
浴槽3内の湯が空になると、扉2を開ける。乗座部22を浴槽3から引き出す。台車23も連動して引き出され、乗座部22は台車23上に載り一体化される。入浴者を所定場所へ搬送し入浴を終わる。
【0035】
湯をタンク5へ移動した後、タンク温度センサ50が湯温の低下を検知し、制御部54を介して増し湯を行なう。タンク中位水位スイッチ40の位置より上部にはタンク増し湯ノズル35から増し湯が注がれる。増し湯は、タンク内の湯の温度を上げ、予め設定した温度に至ると停止する。増し湯中は、前記制御部54を介して、ポンプ32と、所要の電磁弁33が作動して、タンク5内の湯を、循環させ攪拌する。
【0036】
タンク5の側壁外装の一部に形成された凹形状部9に薬液ボトル20を収納する。
天井面から垂下した接続管46を薬液ボトル20の上口に接続する。薬液ボトル20は載置位置で容易に持ち上げることができ、持ち上げ操作で薬液の有無を確認する。
この凹形状部9の下面はタンク5の外方向に微下降傾斜しており、下面にこぼれた薬液は、タンク5の外方向に流れ落下する。凹形状部9が一体成形されているのでこぼれた薬液は、側壁の内側には入らず、側壁内の構成部材に付着せず、薬液が構成部材を腐食させることは無い。
凹形状部9の下面に設けられたずれ止34で薬液ボトル20の移動を止め、該薬液ボトル20を下面に載置する。
【0037】
薬液ボトル20の薬液は、タンク5又は浴槽3に流入し、湯中の菌を殺す。薬液の残量は、装置周辺からよく見える。薬液を補充する時は、接続管46を外し薬液ボトル20を取り出し、薬液ボトル20に薬液を補充し、再度、凹形状部9へセッティングする。
当日の入浴作業をすべて終了する時は、入浴終了の直後に、浴槽排水弁45を開け、浴槽3の貯湯を排出し捨てる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、身体障害者及び高齢者(以下、要介護者)、特に要介護度の高い要介護者の介護入浴を行なうタンク併設型入浴装置に適用できる。
又、本発明は、浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴と座位入浴のいずれも1台の浴槽3で実施できることを特徴とするタンク併設型入浴装置に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 正面側壁
2 扉
3 浴槽
4 搬送車
5 タンク
6 湯移動装置
7 支持部材
9 凹形状部
10 浴槽主部
11 浴槽副部
12 覆い部材
13 座位搬送車
14 寝位搬送車
16 操作パネル
20 薬液ボトル
34 ずれ止
46 接続管
52 扉凹形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側壁1が扉2である浴槽3と、搬送車4と、タンク5と、湯移動装置6とからなり、浴槽3は、扉2が設けられる浴槽主部10と、扉2に対向する側の浴槽主部10に連続して接続される浴槽副部11とからなり、浴槽3の基側から先側に向けて長尺に形成されてなり、入浴者を座位姿勢にして又は寝位姿勢にして支持できる搬送車4を前記浴槽3に押し込み可能であり、
浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴と座位入浴を1台の浴槽3で実施できることを特徴とするタンク併設型入浴装置。

【請求項2】
搬送車4は座位搬送車13であり又は寝位搬送車14であり、これらの2種類の搬送車を浴槽3に適用できることを特徴とする請求項1記載のタンク併設型入浴装置。

【請求項3】
タンク5は、門型形状に形成される貯湯容器であり、浴槽副部11を左右方向に跨いで設けられ、一方、浴槽副部11はその幅を先方漸狭に形成され、浴槽副部11の左右両外側部に湯移動装置6が配設されてなり、浴槽3を省湯量化及び浴槽3の奥行き長さを短縮化したことを特徴とする請求項1記載のタンク併設型入浴装置。

【請求項4】
浴槽副部11の上面には上側開口部を覆う覆い部材12が設けられており、覆い部材12における入浴者の顔面に向かう位置に操作パネル16が設けられ、
入浴者に装置の作動状況を開示したことを特徴とする請求項1記載のタンク併設型入浴装置。

【請求項5】
浴槽3の側壁外装又はタンク5の側壁外装の一部に、一体成形でなる凹形状部9が成形され、この凹形状部9に、薬液ボトル20を収納可能であり、この凹形状部9の天井面には、薬液ボトル20に接続する接続管46が垂下され、この凹形状部9の下面は、浴槽3又はタンク5の外方向に微下降傾斜してなり、薬液ボトル20のずれ止34が形成されてなり、
凹形状部9へ出し入れする薬液ボトル20の扱いが容易であることを特徴とする請求項1記載のタンク併設型入浴装置。

【請求項6】
搬送車4の背凭れ27に対向する側の扉上端部には、扉凹形状部52が形成されてなり、この扉凹形状部52は、浴槽3内に固定式オーバーフロー口を設ける代わりとし、浴槽3へ搬送車4を挿入した際の背凭れ27の背凭れ角度を鈍角化し、浴槽3の奥行き長さを短縮化するものであることを特徴とする請求項1記載のタンク併設型入浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−67463(P2011−67463A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221642(P2009−221642)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】