タンポン用アプリケータ
【課題】膣内の適切な位置に吸収体を容易に配置できるタンポン用アプリケータを提供する。
【解決手段】タンポン用アプリケータ1は、外筒2と、外筒内に挿入されることにより、外筒内の吸収体4を押し出す内筒3と、補助把持部材10と、を有し、外筒の一端には、開口が形成され、外筒の他端には、使用者が把持する把持部7が形成されている。補助把持部材10は、外筒の把持部の外周面を覆うカバー部11と、カバー部の外周面11aから径方向外側に延出する鍔部12と、を有する。把持部の外周面には、径方向外側に突出する突出部5が形成されており、カバー部の内周面には、突出部に引っ掛かり、補助把持部材と外筒との挿入方向における相対移動を規制する嵌合部13が形成されていることを要旨とする。
【解決手段】タンポン用アプリケータ1は、外筒2と、外筒内に挿入されることにより、外筒内の吸収体4を押し出す内筒3と、補助把持部材10と、を有し、外筒の一端には、開口が形成され、外筒の他端には、使用者が把持する把持部7が形成されている。補助把持部材10は、外筒の把持部の外周面を覆うカバー部11と、カバー部の外周面11aから径方向外側に延出する鍔部12と、を有する。把持部の外周面には、径方向外側に突出する突出部5が形成されており、カバー部の内周面には、突出部に引っ掛かり、補助把持部材と外筒との挿入方向における相対移動を規制する嵌合部13が形成されていることを要旨とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポン用アプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アプリケータ付きの生理用タンポンが提供されている。タンポン用アプリケータは、外筒と内筒とを備えている。外筒の内部には、引き出し紐を有する吸収体が収納されている。使用者は、生理用タンポンを使用する際に、外筒を把持した状態で外筒を膣内に挿入した後、内筒を外筒に向けて押圧する。吸収体は、内筒が外筒に向けて押圧されると、外筒から押し出されて膣内に配置される。しかし、生理用タンポンを使用する際に、外筒を適切な深さまで挿入されていない状態で、使用者が吸収体を押し出すと、吸収体は、膣内の適切な位置に配置されない。
【0003】
特許文献1には、このような問題に鑑みてなされたタンポン用アプリケータが記載されている。タンポン用アプリケータは、外筒の周囲に延出した鍔部を備えている。使用者は、生理用タンポンを使用する際に、鍔部を介して外筒を押圧して、膣内に外筒を挿入する。鍔部は、適切な深さまで外筒が挿入されると、膣口に当接する。したがって、使用者は、適切な深さまで外筒を挿入することができる。外筒を適切な深さまで挿入された状態で、使用者が吸収体を押し出すと、吸収体は、膣内の適切な位置に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3217617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、出願人は、上述のタンポン用アプリケータについて、以下のような問題点を発見した。
【0006】
特許文献1に記載のタンポン用アプリケータの鍔部は、厚み方向に貫通した穴部が形成されており、この穴部に外筒が挿入されている。この鍔部は、特許文献1の図1に示されているように、比較的薄い板状である。したがって、鍔部と外筒の外周面との接触面積が十分に確保できず、鍔部を外筒に対して安定した状態で装着できないおそれがあった。例えば、外筒を体内に挿入する際に鍔部の位置がずれてしまうと、適切な挿入角度を維持した状態で外筒を挿入できず、膣内の適切な位置に吸収体を配置できないおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、膣内の適切な位置に吸収体を容易に配置できるタンポン用アプリケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係るタンポン用アプリケータ(タンポン用アプリケータ1)は、吸収体が内部に収容される外筒(外筒2)と、前記外筒内に挿入されることにより、前記外筒内の前記吸収体(吸収体4)を前記外筒外へ押し出す内筒(内筒3)と、を有し、前記外筒の一端には、前記吸収体が押し出される開口(開口8)が形成され、前記外筒の他端には、使用者が把持する把持部(把持部7)が形成されたタンポン用アプリケータであって、前記外筒の前記把持部の外周面を覆うカバー部(カバー部11)と、前記カバー部の外周面(外周面11a)から前記外筒の径方向外側に向けて延出する鍔部(鍔部12)と、を有し、前記外筒に対して着脱自在に装着される補助把持部材(補助把持部材10)を備えており、前記把持部の外周面には、前記径方向外側に突出する突出部(突出部5)が形成されており、前記カバー部の内周面には、前記突出部に引っ掛かり、前記補助把持部材と前記外筒との挿入方向における相対移動を規制する嵌合部(嵌合部13)が形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るタンポン用アプリケータは、外筒の把持部よりも径方向外側に延出する鍔部が形成された補助把持部材を有する。使用者は、補助把持部材の鍔部を介してタンポン用アプリケータを押圧して、体内の適切な位置まで外筒を挿入し、体内の適切な位置に吸収体を配置することができる。
【0010】
補助把持部材と外筒とは、嵌合部と突出部との嵌合によって、挿入方向における相対移動が規制されている。よって、使用者が補助把持部材を持って体内にタンポン用アプリケータ全体を挿入する場合であっても、補助把持部材が外筒の挿入方向先端側へ移動し過ぎることを防ぐことができ、補助把持部材を外筒の適切な位置に維持することが可能となる。よって、補助把持部材と外筒との位置ずれを防ぎ、吸収体を体内に適切な位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタンポンの斜視図である。
【図2】図1に示すタンポンの平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る外筒の把持部を示す図である。(A)は、側面断面図であり、(B)は、A−A断面における変形態様を模式的に示した図である。
【図4】第1の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、正面図であり、(B)は、側面図であり、(C)は、B−B断面図である。
【図5】補助把持部材が外筒に装着された状態を模式的に示した断面図である。
【図6】第1の実施形態に係るタンポンの製造工程を説明するための図である。
【図7】第2の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、背面図であり、(B)は、C−C断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、背面図であり、(B)は、D−D断面図であり、(C)は、外筒に装着された状態の模式断面図である。
【図9】第4の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、背面図であり、(B)は、E−E断面図であり、(C)は、外筒に装着された状態の模式断面図である。
【図10】第5の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、外筒に装着された状態の模式断面図であり、(B)は、外筒に装着される状態を模式的に示した部分拡大断面図である。
【図11】補助把持部材の変形態様を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1から図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータについて説明する。タンポン用アプリケータ1は、外筒2と、外筒内に挿入される内筒3と、外筒2に対して装着される補助把持部材10と、を備える。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータ1の全体を示す斜視図であり、図2は、図1に示すタンポン用アプリケータの平面図である。図3は、タンポン用アプリケータの外筒2を示す図であり、図4は、補助把持部材を示す図である。図5は、補助把持部材を外筒に装着した状態の模式断面図である。
【0014】
外筒2及び内筒3は、内部に中空部を有する筒形状である。外筒2と内筒3の断面形状は、正円形である。外筒2及び内筒3は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、または表面をポリオレフィンフィルムでラミネートした厚紙によって全体が形成されている。
【0015】
本実施の形態では、外筒2及び内筒3は、ポリエチレンやポリプロピレンと、顔料1%以上と、滑材1%以上とが混ぜ合わされて射出成型によって、個別に成型されている。なお、本実施の形態に係る外筒2及び内筒3の断面形状は、正円形であるが、外筒2及び内筒3の断面形状は、膣内に挿入し易い形状であればよく、例えば、楕円形であってもよい。
【0016】
外筒2は、体内に挿入される挿入部6と、タンポン用アプリケータ1を体内に挿入する際に使用者が指で把持可能な把持部7(図3参照)と、を有する。把持部7は、図1及び図2に示す状態では、補助把持部材10によって覆われており、外部から視認できないように構成されている。挿入部6の内部には、吸収体4が収容されている。吸収体4には、取り出し紐4aが連結されている。取り出し紐4aは、吸収体4の端部から内筒3の内部を挿通し、その端部が内筒3から抜き出されている。使用中に取り出し紐4aを引くことにより、吸収体4を体内から引き出すことができる。
【0017】
外筒2の一端には、吸収体4が押し出される開口8が設けられている。開口8には、吸収体4が押し出される際に径方向外側に向けて変形する花弁体8aが形成されている。花弁体8aは、90度毎に分割された4つの分割片で形成されている。花弁体8aは、常時、開口8の縁部で閉となっているが、内筒3によって吸収体4が押し出されるときに吸収体4によって押し広げられて開口する。これにより、吸収体4が外筒2から押し出され、吸収体4を体内に挿入することができる。
【0018】
外筒2の他端には、補助把持部材10が装着されていない状態において、外筒2及び内筒3の移動操作の際に指によって把持可能な把持部7が設けられている。なお、使用者は、補助把持部材10が装着された状態においては、カバー部11や鍔部12を把持してタンポン用アプリケータを使用することができる。
【0019】
図3は、補助把持部材10を外した状態における外筒2の把持部7を示している。図3(A)は、模式側面断面図であり、図3(B)は、B−B断面図における変形態様を示す図である。図3におけるFL1線よりも上方は、断面図であり、FL1線よりも下方は、側面図である。
【0020】
把持部7には内筒3の先端部分が挿入されており、挿入された内筒3の先端面は吸収体4に臨んでいる把持部7の外径は、挿入部6の外径よりも小径である。挿入部6から把持部7に向かって徐々に径が小さく構成されており、その径が小さく構成された括れ部9に、補助把持部材10が引っ掛かるように構成されている。
【0021】
把持部の外周面には、突出部5が形成されている。突出部5は、補助把持部材10の後述する嵌合部13と当接し、外筒2に対する補助把持部材10の挿入方向に沿った移動を規制する。なお、本実施の形態では、外筒2の突出部5及び括れ部9が嵌合部13と当接した状態で補助把持部材10の移動が規制されるように構成されているが、外筒2の外周面が嵌合部13に当接した状態で補助把持部材10の移動が規制されるように構成されていてもよい。
【0022】
突出部5は、周方向に延びる4つの円弧状に形成された第1突出部51と、挿入方向の後端部において外筒の全外周に形成された第2突出部52と、を有する。4つの円弧状の第1突出部51は、90度ずつずれて配置されており、周方向に間隔を空けて配置されている。また、第1突出部51は、軸方向に間隔を空けて4列形成されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、把持部7には、把持部7の外周面に沿い、この外周面を覆う補助把持部材10が装着されている。図4は、補助把持部材10を示した図である。図4(A)は、正面図であり、(B)は、(A)の左側面図であり、(C)は、B−B断面図である。図5は、補助把持部材が外筒2に装着された状態を模式的に示した断面図である。
【0024】
補助把持部材10は、把持部7の外周面7aを覆うカバー部11と、カバー部11の外周面11aから外筒2の径方向(図1に示すX方向及びZ方向)外側に向けて延出する鍔部12と、が一体化されている。カバー部の外周面には、該外周面から突出形成された突起部14が設けられている。突起部14は、周方向に延びる円弧状であり、周方向に間隔を空けて配置されている。
【0025】
補助把持部材10は、ポリオレフィン系樹脂、エラストマー、紙、その他の材料に構成される。本実施の形態に係る補助把持部材10は、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂によって形成されている。
【0026】
補助把持部材10には、把持部7が挿入される穴部15が形成されている。穴部15の外周面には、把持部7の突出部5に引っ掛かり、補助把持部材10と外筒2との挿入方向における相対移動を規制する嵌合部13が形成されている。なお、タンポン用アプリケータの挿入方向は、タンポン用アプリケータの長手方向(図2に示すY方向)である。
【0027】
鍔部12の先端側の表面12aは、括れ部9に当接している。鍔部12の表面12aと括れ部9とが当接することによって、補助把持部材10の挿入方向の先端側(外筒2の開口8側)への移動が規制される。
【0028】
嵌合部13は、穴部15の外周面から径方向内側に突出しており、軸方向に延びている。嵌合部は、穴部の外周面に沿って配置されている。穴部15の外周面とは、穴部を囲むカバー部11の内周面11bである。(図4(C)参照)。嵌合部13は、第1嵌合部131と、第2嵌合部132と、を有する。第1嵌合部131及び第2嵌合部132における最内径は、突出部5における最外径より小さく構成されている。よって、突出部5と嵌合部13とが引っ掛かる。
【0029】
第1嵌合部131と、第2嵌合部132とは、周方向に間隔を空けて交互に配置されている。本実施の形態に係る第1嵌合部131は、120度ずつ間隔を空けて配置されている。第2嵌合部132は、第1嵌合部の間に1個ずつ配置され、互いに120度ずつ間隔を空けて配置されている。第1嵌合部131と第2嵌合部132は、60度ずつずれて配置されている。
【0030】
このように、嵌合部13は、60度ずつずれて配置され、突出部5は、90度ずつずれて配置されている。このような構成によれば、嵌合部13と突出部5との周方向における角度を調整しなくても、複数の嵌合部13及び突出部5のうちいずれかの嵌合部と突出部とが嵌合する。したがって、補助把持部材を外筒に装着する際に、相対的な角度の位置合わせを行う必要がなく、装着工程を簡略化することができる。
【0031】
第1嵌合部131と第2嵌合部132とが周方向において間隔を空けて交互に配置されているため、第1突出部51と嵌合する部分と、第2突出部52と嵌合する部分とがバランスよく分散して配置され、安定した状態で保持できる。更に、第1突出部と嵌合する部分と、第2突出部と嵌合する部分とがバランスよく分散して配置されていることにより、応力集中によるダメージを抑制できる。
【0032】
第1嵌合部131の挿入方向先端部は、挿入方向に対して傾斜する傾斜面131aが形成されている。この傾斜面131aは、挿入方向の後方に向かうに連れて径方向内側に突出している。このように、第1嵌合部131の先端部に傾斜面131aが形成されていることにより、補助把持部材10を外筒2に押し込む際に徐々に嵌合させて、スムーズに装着することができる。嵌合部13の傾斜面は、挿入方向に対して傾斜していればよく、傾斜面と挿入方向とがなす角度は限定されない、
【0033】
また、本実施の形態では、補助把持部材において外筒との当接する部分である第1嵌合部131の先端131b(図5参照)は、括れ部9に当接するように構成されている。しかし、後述する第5の実施形態に係るタンポン用アプリケータのように、把持部の先端に形成された突出部に補助把持部材が当接する構成においては、第1嵌合部131の先端131bが突出部に当接するように構成されていてもよい。
【0034】
第1嵌合部131の傾斜面131aよりも後方部分は、挿入方向に対して平行である。第1嵌合部131の後端部は、第2嵌合部とともに、第2突出部52に嵌合している。すなわち、第1嵌合部131が、括れ部9と当接し、第1嵌合部131及び第2嵌合部132が、第2突出部52に当接している。
【0035】
このような構成によれば、括れ部に当接する嵌合部の数<第2突出部に当接する嵌合部の数になる。当接する嵌合部の数は、補助把持部材と外筒との嵌合力、すなわち挿入方向における相対移動を規制する力に比例する。よって、第2突出部に当接する嵌合部の数が多くなるように構成することによって、補助把持部材が外筒2から外れ難くなる。
【0036】
また、補助把持部材10を外筒2に対して装着する際には、外筒2が径方向内側に変形するように構成されている。図3(B)は、B−B断面における外筒の変形状態を模式的に示した図である。図3(B)に示すFL2は、穴部15の外周面を示す仮想線であり、FL3は、嵌合部の最内径位置を示す仮想線である。
【0037】
把持部7は、最外径を形成する4つの第1突出部51が把持部7の同一円周上に等間隔で配置されている。把持部の突出部が形成された領域は、把持部の突出部が形成されていない領域よりも、その厚みが厚く、剛性が高い。更に、嵌合部13の最内径は、第1突出部51の最外径よりも小さいため、補助把持部材を挿入方向に押圧すると、嵌合部13と第1突出部51とが接して、嵌合部13が第1突出部51を径方向内側に向かって押圧する。そして、比較的剛性が低い把持部の突出部が形成されていない領域が変形して、突出部が径方向内側に変形する。
【0038】
第1突出部51の最外径位置は、変形前の状態で円形の把持部よりも外側に突出しているが、第1突出部51に径を小さくしようとする応力が集中するため、変形後の状態で嵌合部の最内径位置と同等となる。把持部の断面形状は、略正方形状となる。この状態で補助把持部材を更に押圧して、嵌合部13が第1突出部51を乗り越えることにより、第1突出部51が径方向外側に変形して変形前の状態となる。第1突出部51と嵌合部とが引っ掛かり、補助把持部材10が外筒2から抜ける方向への移動が規制される。
【0039】
また、補助把持部材を装着する際は、まず、第1嵌合部131が第2突出部52を径方向内側に変形させる。第1嵌合部131が挿入方向に延出しているため、この変形を維持した状態で更に補助把持部材10を挿入方向に押圧することができる。そして、第2嵌合部が第2突出部52を更に径方向内側に変形させる。このように、二段階で第2突出部52を径方向内側に変形させることにより、変形に必要な外力の付与を2回にわけることができ、挿入時に必要な最大応力を小さくすることができる。
【0040】
一方、補助把持部材10を外筒2から取り外そうとする際には、挿入時に二段階だった第1嵌合部131と第2嵌合部132の変形に必要な外力の付与が一段階となるため、最大応力が挿入時より大きくなる。補助把持部材10を外筒2から取り外そうとする際には、挿入時以上の力が必要になる。したがって、補助把持部材は、挿入し易く、かつ外れ難くなる。
【0041】
更に、嵌合部13は、括れ部9と、複数列の突出部5のうち最も後方に位置する第2突出部52とに当接する。例えば、嵌合部における外筒に対する当接箇所の挿入方向距離が短い場合には、嵌合状態が安定せず、補助把持部材がぐらつき易くなる。しかし、嵌合部における外筒に対する当接箇所の挿入方向距離を長く構成することにより、補助把持部材のぐらつきを低減し、安定性を高めることができる。
【0042】
このように構成された補助把持部材10を外筒2の把持部7に装着することにより、外筒2と別体で構成された補助把持部材10を、適宜外筒2に装着することができる。また、補助把持部材10と外筒2とは、突出部5と嵌合部13とによって嵌合しており、挿入方向の移動が規制される。よって、補助把持部材10を介して外筒2を体内に押圧した場合であっても、補助把持部材10の位置ずれを防止でき、タンポンを適切な位置に配置することができる。
【0043】
次いで、このように構成されたタンポン用アプリケータを有する生理用タンポンの使用態様について説明する。使用者は、外筒2の先端を膣口に当接させた状態で、外筒を膣内に挿入する方向に補助把持部材10を押圧する。補助把持部材10の第1嵌合部が外筒の括れ部9に当接しているため、補助把持部材10は、外筒2に対する開口側への移動が規制される。よって、使用者が補助把持部材10を膣内に向けて押すことにより、外筒2が膣内に挿入される。
【0044】
鍔部12は、生理用タンポンの膣内への挿入方向における補助把持部材10の先端側に配置されているため、外筒2を適切な位置まで挿入した状態で、鍔部12の表面12aは、膣口近傍に配置される。この状態で更に外筒2を挿入しようとしても、使用者の身体に鍔部12が当接する。すなわち、鍔部12は、ストッパーとしての機能を発揮し、使用者は、適切な位置まで外筒2を挿入できたことを把握することができる。
【0045】
また、外筒2を適切な位置まで挿入した状態において、膣口と指との間には、鍔部12が配置される。このとき、カバー部11の外径よりも鍔部12の幅が長いため、補助把持部材10を持つ指と膣口との間に鍔部12が配置され、経血等の体液によって使用者の指が汚れることを防ぐことができる。
【0046】
次いで、使用者は、膣内の所定の位置まで外筒2を挿入した後、内筒3を外筒2の開口8側に向けて押圧することにより、外筒2の開口8から吸収体4が押し出され、吸収体4が膣内の適切な位置に配置される。このように、鍔部12を備えることにより、使用者の指が膣口付近に触れることなく、適切な位置に容易に吸収体4を配置することができる。吸収体4を適切な位置に配置することにより、使用者は、使用時の違和感が少なくなり、タンポンの使用を快適に感じることができる。
【0047】
補助把持部材10は、把持部7の外周面7aを覆うカバー部11を備えており、このカバー部11と鍔部12とが一体化しているため、外筒2の把持部7に対する補助把持部材10の角度や位置が安定する。よって、鍔部12や把持部7を適切な角度で維持した状態で体内に外筒2を挿入し、膣内の適切な位置に吸収体4を配置することができる。
【0048】
次いで、このように構成された生理用タンポンの製造方法について、説明する。図6は、生理用タンポンの製造工程を模式的に示す図である。ステップ101として、生理用タンポンを構成する構成部品を成型する。具体的には、外筒2、内筒3、吸収体4、及び補助把持部材10を製造する。このステップ101の状態において、外筒の先端は、花弁体8aが形成されているが、複数の花弁体8aの各々が開いた状態(換言すると、開口8が開いた状態)にある。
【0049】
ステップ102において、外筒2及び内筒3を組み立てる。外筒2の先端側から内筒3を挿入する。この状態において、内筒3の先端部が外筒2の括れ部の内周面に係止する。内筒3は、外筒2の挿入部6よりも後方への移動が規制される。
【0050】
ステップ103において、吸収体4を外筒内に配置する。具体的には、外筒の先端側から吸収体を挿入する。このとき、吸収体4は、取り出し紐4aが形成されている側から挿入する。そして、吸収体4の取り出し紐4aをタンポン用アプリケータ1の後端(具体的には、内筒3の後端側の開口)から引き出す。
【0051】
ステップ104において、複数の花弁体8aを湾曲加工する。具体的には、花弁体8aの各々を外筒2の径方向内側に倒れるように湾曲させて、外筒2の先端部を略半球状に加熱成形する処理(以下、先端加工処理とも言う)を行う。先端加工処理が終了した時点で、生理用タンポンが完成する。
【0052】
なお、補助把持部材10は、上述の製造工程のいずれかの工程において外筒に装着するように構成してもよいし、生理用タンポンを使用者に提供する際には生理用タンポンと別体であって、使用する際に使用者が外筒2に装着するように構成してもよい。
【0053】
上述の製造工程において補助把持部材を装着するタイミングとしては、例えば、ステップ101とステップ102との間である外筒2を形成した後であってもよいし、ステップ102とステップ103の間である内筒と外筒とを組み立てた後であってもよいし、ステップ103とステップ104との間である吸収体を配置した後であってもよいし、ステップ104後である花弁体を加工した後であってもよい。
【0054】
例えば、補助把持部材を外筒2及び内筒3とともに一体成型した場合、補助把持部材を一体成型しない場合に比べて、形状が複雑でサイズも大きくなる。そのため、補助把持部材10を有しないタンポン用アプリケータの一体成成型と比べて生産性が著しく低下するおそれがある。
【0055】
また、別体で成型した補助把持部材10を外筒2等に接着剤等で固定することが考えられる。しかし、補助把持部材10を接着剤で固定しようとすると、接合工程が必要となり、製造工程が煩雑となる。更に、外筒2等と異なる成分(接着剤)を用いるため、生産性が低下するおそれがある。
【0056】
しかし、本願のように、突出部と嵌合部との嵌合によって補助把持部材を外筒に装着することにより、上記不具合を解消することができる。更に、例えば、補助把持部材が外筒に一体化されていると、鍔部の径方向外側に延出しているため、個々のタンポン用アプリケータの容積が大きく、持ち運びし難いおそれがある。しかし、補助把持部材は、外筒に対して着脱自在に構成されているため、使用時等、必要に応じて補助把持部材を装着することができる。更に、製造工程の煩雑化を抑制できる。
【0057】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態に係る補助把持部材10Aについて、図7に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図7は、第2の実施形態に係る補助把持部材10Aを示す図であり、図7(A)は、背面図であり、図7(B)は、C−C断面図である。
【0058】
第2の実施形態に係る補助把持部材10Aは、周方向に間隔を空けて配置された3個の第1嵌合部131と、周方向に間隔を空けて配置された3個の第2嵌合部132と、を備えており、第1嵌合部131と、第2嵌合部132とは、挿入方向に間隔を空けて配置されている。よって、第1突出部51は、第1嵌合部131のみと嵌合し、第2突出部52は、第2嵌合部132のみと嵌合する。
【0059】
補助把持部材は、外筒に装着される際に径方向に変形するように構成されている。また、第1嵌合部と第2嵌合部とが挿入方向において間隔を空けて配置されているため、第1嵌合部が突出部5に対して変形する際は、補助把持部材が略正三角形の断面形状に変形し、第2嵌合部が突出部5に対して変形する際は、補助把持部材が略逆三角形の断面形状に変形する。
【0060】
把持部の突出部は、円周上60度ずつずれた位置で1回の応力しか受けることがないため、繰り返し応力による疲労を抑えることが可能となり、補助把持部材を外筒2に対して嵌合する工程における不具合を抑制できる。
【0061】
(第3の実施形態)
次いで、第3の実施形態に係る補助把持部材10Bについて、図8に基づいて詳細に説明する。図8は、第3の実施形態に係る補助把持部材10Bを示す図であり、図8(A)は、背面図であり、図8(B)は、D−D断面図であり、図8(C)は、外筒に装着された状態の模式断面図である。
【0062】
第3の実施の形態に係る外筒2の突出部は、把持部の後端部において1箇所形成されている。第3の実施形態に係る補助把持部材10Bは、挿入方向に延びる3個の嵌合部13が、周方向に間隔を空けて形成されている。嵌合部13の先端は、括れ部9に当接し、嵌合部13の後端部は、突出部5に当接する。嵌合部は、挿入方向において括れ部と突出部5との間に配置され、補助把持部材10Bの挿入方向における双方向の移動を規制する。
【0063】
(第4の実施形態)
次いで、第4の実施形態に係る補助把持部材10Cについて、図9に基づいて詳細に説明する。図9は、第4の実施形態に係るタンポン用アプリケータの補助把持部材を示す図であり、図9(A)は、背面図であり、図9(B)は、E−E断面図であり、図9(C)は、外筒に装着された状態の模式断面図である。
【0064】
第4の実施形態に係る補助把持部材10Cの第1嵌合部131と第2嵌合部132は、第2の実施形態に係る補助把持部材10Aと同様に挿入方向において間隔を空けて配置されているが、第2の実施形態に係る補助把持部材10Aと異なり、周方向の位置が一致している。
【0065】
補助把持部材10Cの第1嵌合部131は、挿入部6と把持部7との間の括れ部9に当接し、第2嵌合部132は、突出部5に当接している。第1嵌合部131は、括れ部9よりも後方に配置され、第2嵌合部132は、突出部5よりも前方に配置されている。図9に示す状態において、補助把持部材10Cは、外筒に対して挿入方向前方への移動と、挿入方向後方への移動とが規制される。
【0066】
また、第4の実施形態に係る補助把持部材10Cは、第3の実施形態に係る補助把持部材10Bと比較して、括れ部9に当接する部分と突出部に当接部分とが分割されているため、材料を削減することができる。
【0067】
(第5の実施形態)
次いで、第5の実施形態に係る補助把持部材10Dについて、図10に基づいて詳細に説明する。図10は、第5の実施形態に係る補助把持部材を示す図であり、図10(A)は、外筒に装着された状態の模式断面図であり、図10(B)は、外筒2に装着される状態を模式的に示した部分拡大断面図である。
【0068】
第5の実施形態に係る外筒2の突出部5は、把持部の先端に形成された第1突出部51と、第1突出部51よりも後方において複数列に形成された第2突出部52とを有する。補助把持部材10Dの嵌合部13は、補助把持部材10の穴部15の外周面である。嵌合部13の先端部及び後端部は、挿入方向に対して傾斜した傾斜面13aが形成されている。本実施の形態では、略45度傾斜している。
【0069】
傾斜面13aの挿入方向に対する角度は、45度に限定されない。例えば、傾斜角度が45度よりも小さい場合には、嵌合時の弛みによるがたつきを抑制する効果を得ることができるが、嵌合力を得難くなる。一方、傾斜角度が45度よりも大きい場合には、嵌合力は得易くなるが、弛みによるがたつきを抑制する効果を十分に得られないおそれがある。傾斜面の角度は、がたつきを抑制する効果と嵌合力とのバランスを考慮して、略30度から略60度の間で調整することが好ましい。
【0070】
嵌合部の前端部は、上述の実施形態のように括れ部に当接せず、第1突出部と当接する。嵌合部は、複数の突出部の間に配置された状態で挿入方向への移動が規制される。図10(B)は、外筒2に補助把持部材を装着している状態を模式的に示した図である。補助把持部材の嵌合部は、複数の第2突出部間にも配置されるように構成されている。
【0071】
補助把持部材は、第1突出部と第2突出部との間に嵌合してもよいし、第2突出部間に嵌合してもよい。また、第2突出部52は、複数列形成されており、補助把持部材10の嵌合位置を適宜変更することができる。使用者は、自分の好み、つまり個人差のある膣の深さに応じて適宜タンポンの挿入位置を調整することが可能となり、所望の位置に吸収体を配置することが可能となる。
【0072】
(その他の実施形態)
補助把持部材が装着される際に外筒の突出部が変形するように構成されている場合において、把持部の挿入方向に対する突出部の断面形状は、変形前後で外接円を形成する頂点が変わらない範囲で選択することができるが、嵌合する面を最大化することを考慮して、変形後の外周形状が略円形になるような突出部5の断面形状が好ましい。
【0073】
把持部の突出部と補助把持部材の嵌合部とにおいて適度な嵌合強度が得られる形状変化を考慮すると、最外径となる突出部数は2〜6個(変形後の形状が楕円、正三角形〜6角形)とすることが好ましい。例えば、突出部の数が2個以下であれば、補助把持部材の固定が困難であり、6個を越えると弾性変形による最外径の変化が得られ難くなり、適切な嵌合力を得ることができないおそれがある。
【0074】
なお、把持部の変形時の断面形状が多角形になればなるほど、突出部の数が増加し、変形のための応力も増加する。例えば、3個の突出部が形成された外筒を断面円形状から略正三角形状へ変形するために必要な応力と、6個の突出部が形成された外筒を断面円形状から正六角形状へ変形するために必要な応力は、理論上2倍である。しかし、把持部が円筒形状であるため、それぞれの突出部が変形した応力の反作用が影響しあい、2倍以上の応力が必要となると考えられる。
【0075】
なお、第1の実施形態では、補助把持部材を外筒に装着する際に、外筒が変形するように構成されているが、この構成に限定されない。補助把持部材を外筒に装着する際に、外筒の把持部7と補助把持部材10のカバー部11のうち少なくともいずれか一方が変形すればよい。例えば、外筒の把持部7と補助把持部材10のカバー部11の両方が変形するように構成してもよい。
【0076】
例えば、補助把持部材が変形する場合においては、複数の嵌合部間の領域におけるカバー部11の剛性が、嵌合部13が形成された領域におけるカバー部11の剛性よりも低く構成されていることが好ましい。補助把持部材を外筒に装着する際は、補助把持部材の外側からカバー部材を把持して、挿入方向における先端側に力を加える。その際、嵌合部間の領域が変形し易く構成されているため、嵌合部間の領域が外筒側(内側)に変形する。嵌合部間が内側に変形すると、嵌合部が外筒から離間する方向に変形する。よって、補助把持部材を外筒に装着する際に、嵌合部と突出部とを容易に嵌合させることができる。
【0077】
図11は、補助把持部材の変形態様を模式的に示した図であり、補助把持部材のカバー部が変形するように構成された補助把持部材の変形前後の状態である。図11に示すFL4は、突出部の最外径を示す仮想線であり、FL5は、把持部の外周面を示す仮想線である。
【0078】
補助把持部材が変形する前の状態において、嵌合部の最内径は、突出部の最外径よりも小さく、補助把持部材10の穴部に把持部を挿入した状態でカバー部を径方向内側に押圧すると、カバー部の嵌合部13間の領域が把持部の外周面に近づくように変形する。カバー部の嵌合部が形成された領域は、嵌合部間の変形に伴って、把持部の外周面から離間するように変形する。
【0079】
このとき、嵌合部の最内径位置が突出部の最外径位置と同等となると、補助把持部材を更に挿入方向に押圧することができる。嵌合部が突出部を乗り越える位置まで補助把持部材を押圧した後、カバー部の変形を解除すると、カバー部が円形断面形状に戻り、突出部5と嵌合部が引っ掛かる。よって、補助把持部材が外筒から抜ける方向への移動が規制される。
【0080】
また、補助把持部材は、第5の実施形態に係る補助把持部材のように鍔部と嵌合部のみによって構成されていてもよいし、第1から第4の実施形態に係るように更にカバー部を有して構成されていてもよい。
【0081】
例えば、補助把持部材の鍔部の形状は限定されない。補助把持部材の形状は、平面視において矩形や三角形等の多角形であってもよいし、楕円形を含む円形であってもよい。更に、補助把持部材の形状は、ハート形や星形やリンゴ形であってもよいし、ティアドロップ型であってもよいし、動物の頭の形状や、蝶等昆虫の形状であってもよい。
【0082】
また、鍔部の外周形状は、曲線形状が望ましい。なお、曲線形状とは、尖った角部を有しない構成であればよく、直線形状を一部に含んでいてもよい。鍔部の外周形状が曲線形状であることにより、使用者が鍔部を把持した際の感触を和らげることができる。
【0083】
また、補助把持部材の鍔部は、挿入方向におけるカバー部の先端に配置されていなくてもよく、カバー部の先端よりも後方に配置されていてもよい。なお、鍔部がカバー部の先端よりも後方に配置されている構成にあっては、カバー部の先端が外筒の外周面や突出部に当接して、補助把持部材の先端側への移動が規制されるように構成される。
【0084】
突出部の数及び嵌合部の数は、突出部が存在しない位置と嵌合部が存在する位置が一致したり、又は突出部が存在する位置と嵌合部が存在しない位置が一致したりすると、突出部と嵌合部の嵌合が外れてしまうおそれがある。よって、突出部と嵌合部とが互いに同じ数及び同じ間隔で設けられないように構成することが望ましい。
【0085】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【実施例】
【0086】
以下、実施例1から6を挙げて、補助把持部材と外筒の嵌合強度を評価した。具体的には、以下の圧縮試験方法と引張試験方法とによって、圧縮力と引張力を測定した。なお、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0087】
(測定条件)
測定装置:島津製作所 AGS−50NG
<圧縮試験条件>
ストロークスピード:100mm/min
試験力リミット:40N
ストロークリミット:13mm(カバー部の長さ)
破断検出感度:レベルチェックなし
<引張試験条件>
ストロークスピード:100mm/min
試験力リミット:なし
ストロークリミット:なし
【0088】
<圧縮試験方法>
第1の実施形態に係る外筒を設置する。外筒の開口側が下になるように設置し、外筒の側面を固定具によって固定する。固定具に設置した外筒の把持部の後端部に第1の実施形態に係る補助把持部材を載せて、補助把持部材の穴部に外筒の把持部を挿入する。補助把持部材の上方から押圧治具を介して、補助把持部材を外筒の先端側に押圧して突出部と嵌合部とが嵌合するまで圧縮し、その圧縮力を測定した。押圧治具は、直径97mm、厚さ24mmの円柱形状である。
【0089】
<引張試験方法>
第1の実施形態に係る補助把持部材と第1の実施形態に係る外筒とが嵌合した状態で、外筒の径よりも大きな穴であって、補助把持部材の鍔部の径よりも小さい穴が形成された固定具に設置する。このとき、外筒の開口が下になるように、かつ補助把持部材の鍔部が穴に引っ掛かるように設置する。すなわち、固定具に設置した状態で、固定具の穴から上方に外筒の先端側が突出するように設置する。なお、外筒の先端を把持し易くするために、外筒の先端(開口)は、予め切断しておく。本実施例では、切断した後の外筒の長さが53mmとなるように切断した。そして、切断した後の外筒の先端につかみしろとしてのガムテープを接着して、ガムテープをチャックで掴んで補助把持部材が外筒から抜けるまで引き抜き方向に引っ張り、その引張力を測定した。
【0090】
(測定結果)
表1に測定結果を示す。
【表1】
【0091】
圧縮試験結果における「箇所1」は、第1嵌合部と突出部とが当接して、第1嵌合部によって突出部が変形する状態の圧縮力である。「箇所2」は、第1嵌合部及び第2嵌合部と突出部とが当接して、第1嵌合部及び第2嵌合部によって突出部が変形する状態の圧縮力である。引張試験結果は、第1嵌合部及び第2嵌合部と突出部とが当接して、第1嵌合部及び第2嵌合部によって突出部が変形する状態の引張力である。
圧縮時の最大圧縮力は、10.9Nであり、引張時の最大引張力は、44.1Nであった。
【0092】
圧縮時は、第1嵌合部によって突出部が変形し、円形断面形状から三角断面形状となり、その後、第1嵌合部と第2嵌合部とによって突出部が変形し、三角断面形状から六角断面形状となる。すなわち、段階的に外筒が変形するため、比較的圧縮力は低いことがわかる。一方、引張時は、第1嵌合部と第2嵌合部によって、円形断面形状から六角断面形状に変形するため、圧縮時と比較して、引張力が高いことがわかる。このように構成された補助把持部材によれば、圧縮力よりも引張力が高いため、挿入し易く、かつ抜け難いことがわかる。
【符号の説明】
【0093】
1…タンポン用アプリケータ、 2…外筒、 3…内筒、 4…吸収体、 4a…取り出し紐、 5…突出部、 51…第1突出部、 52…第2突出部、 6…挿入部、 7…把持部、 7a…外周面、 8…開口、 8a…花弁体、 9…括れ部、 10、10A、10B、10C、10D…補助把持部材、 11…カバー部、 11a…外周面、 11b…内周面、 12…鍔部、 12a…表面、 13…嵌合部、 131…第1嵌合部、 131a…傾斜面、 131b…先端、 132…第2嵌合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポン用アプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アプリケータ付きの生理用タンポンが提供されている。タンポン用アプリケータは、外筒と内筒とを備えている。外筒の内部には、引き出し紐を有する吸収体が収納されている。使用者は、生理用タンポンを使用する際に、外筒を把持した状態で外筒を膣内に挿入した後、内筒を外筒に向けて押圧する。吸収体は、内筒が外筒に向けて押圧されると、外筒から押し出されて膣内に配置される。しかし、生理用タンポンを使用する際に、外筒を適切な深さまで挿入されていない状態で、使用者が吸収体を押し出すと、吸収体は、膣内の適切な位置に配置されない。
【0003】
特許文献1には、このような問題に鑑みてなされたタンポン用アプリケータが記載されている。タンポン用アプリケータは、外筒の周囲に延出した鍔部を備えている。使用者は、生理用タンポンを使用する際に、鍔部を介して外筒を押圧して、膣内に外筒を挿入する。鍔部は、適切な深さまで外筒が挿入されると、膣口に当接する。したがって、使用者は、適切な深さまで外筒を挿入することができる。外筒を適切な深さまで挿入された状態で、使用者が吸収体を押し出すと、吸収体は、膣内の適切な位置に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3217617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、出願人は、上述のタンポン用アプリケータについて、以下のような問題点を発見した。
【0006】
特許文献1に記載のタンポン用アプリケータの鍔部は、厚み方向に貫通した穴部が形成されており、この穴部に外筒が挿入されている。この鍔部は、特許文献1の図1に示されているように、比較的薄い板状である。したがって、鍔部と外筒の外周面との接触面積が十分に確保できず、鍔部を外筒に対して安定した状態で装着できないおそれがあった。例えば、外筒を体内に挿入する際に鍔部の位置がずれてしまうと、適切な挿入角度を維持した状態で外筒を挿入できず、膣内の適切な位置に吸収体を配置できないおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、膣内の適切な位置に吸収体を容易に配置できるタンポン用アプリケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係るタンポン用アプリケータ(タンポン用アプリケータ1)は、吸収体が内部に収容される外筒(外筒2)と、前記外筒内に挿入されることにより、前記外筒内の前記吸収体(吸収体4)を前記外筒外へ押し出す内筒(内筒3)と、を有し、前記外筒の一端には、前記吸収体が押し出される開口(開口8)が形成され、前記外筒の他端には、使用者が把持する把持部(把持部7)が形成されたタンポン用アプリケータであって、前記外筒の前記把持部の外周面を覆うカバー部(カバー部11)と、前記カバー部の外周面(外周面11a)から前記外筒の径方向外側に向けて延出する鍔部(鍔部12)と、を有し、前記外筒に対して着脱自在に装着される補助把持部材(補助把持部材10)を備えており、前記把持部の外周面には、前記径方向外側に突出する突出部(突出部5)が形成されており、前記カバー部の内周面には、前記突出部に引っ掛かり、前記補助把持部材と前記外筒との挿入方向における相対移動を規制する嵌合部(嵌合部13)が形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るタンポン用アプリケータは、外筒の把持部よりも径方向外側に延出する鍔部が形成された補助把持部材を有する。使用者は、補助把持部材の鍔部を介してタンポン用アプリケータを押圧して、体内の適切な位置まで外筒を挿入し、体内の適切な位置に吸収体を配置することができる。
【0010】
補助把持部材と外筒とは、嵌合部と突出部との嵌合によって、挿入方向における相対移動が規制されている。よって、使用者が補助把持部材を持って体内にタンポン用アプリケータ全体を挿入する場合であっても、補助把持部材が外筒の挿入方向先端側へ移動し過ぎることを防ぐことができ、補助把持部材を外筒の適切な位置に維持することが可能となる。よって、補助把持部材と外筒との位置ずれを防ぎ、吸収体を体内に適切な位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタンポンの斜視図である。
【図2】図1に示すタンポンの平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る外筒の把持部を示す図である。(A)は、側面断面図であり、(B)は、A−A断面における変形態様を模式的に示した図である。
【図4】第1の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、正面図であり、(B)は、側面図であり、(C)は、B−B断面図である。
【図5】補助把持部材が外筒に装着された状態を模式的に示した断面図である。
【図6】第1の実施形態に係るタンポンの製造工程を説明するための図である。
【図7】第2の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、背面図であり、(B)は、C−C断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、背面図であり、(B)は、D−D断面図であり、(C)は、外筒に装着された状態の模式断面図である。
【図9】第4の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、背面図であり、(B)は、E−E断面図であり、(C)は、外筒に装着された状態の模式断面図である。
【図10】第5の実施形態に係る補助把持部材を示す図である。(A)は、外筒に装着された状態の模式断面図であり、(B)は、外筒に装着される状態を模式的に示した部分拡大断面図である。
【図11】補助把持部材の変形態様を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1から図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータについて説明する。タンポン用アプリケータ1は、外筒2と、外筒内に挿入される内筒3と、外筒2に対して装着される補助把持部材10と、を備える。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係るタンポン用アプリケータ1の全体を示す斜視図であり、図2は、図1に示すタンポン用アプリケータの平面図である。図3は、タンポン用アプリケータの外筒2を示す図であり、図4は、補助把持部材を示す図である。図5は、補助把持部材を外筒に装着した状態の模式断面図である。
【0014】
外筒2及び内筒3は、内部に中空部を有する筒形状である。外筒2と内筒3の断面形状は、正円形である。外筒2及び内筒3は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、または表面をポリオレフィンフィルムでラミネートした厚紙によって全体が形成されている。
【0015】
本実施の形態では、外筒2及び内筒3は、ポリエチレンやポリプロピレンと、顔料1%以上と、滑材1%以上とが混ぜ合わされて射出成型によって、個別に成型されている。なお、本実施の形態に係る外筒2及び内筒3の断面形状は、正円形であるが、外筒2及び内筒3の断面形状は、膣内に挿入し易い形状であればよく、例えば、楕円形であってもよい。
【0016】
外筒2は、体内に挿入される挿入部6と、タンポン用アプリケータ1を体内に挿入する際に使用者が指で把持可能な把持部7(図3参照)と、を有する。把持部7は、図1及び図2に示す状態では、補助把持部材10によって覆われており、外部から視認できないように構成されている。挿入部6の内部には、吸収体4が収容されている。吸収体4には、取り出し紐4aが連結されている。取り出し紐4aは、吸収体4の端部から内筒3の内部を挿通し、その端部が内筒3から抜き出されている。使用中に取り出し紐4aを引くことにより、吸収体4を体内から引き出すことができる。
【0017】
外筒2の一端には、吸収体4が押し出される開口8が設けられている。開口8には、吸収体4が押し出される際に径方向外側に向けて変形する花弁体8aが形成されている。花弁体8aは、90度毎に分割された4つの分割片で形成されている。花弁体8aは、常時、開口8の縁部で閉となっているが、内筒3によって吸収体4が押し出されるときに吸収体4によって押し広げられて開口する。これにより、吸収体4が外筒2から押し出され、吸収体4を体内に挿入することができる。
【0018】
外筒2の他端には、補助把持部材10が装着されていない状態において、外筒2及び内筒3の移動操作の際に指によって把持可能な把持部7が設けられている。なお、使用者は、補助把持部材10が装着された状態においては、カバー部11や鍔部12を把持してタンポン用アプリケータを使用することができる。
【0019】
図3は、補助把持部材10を外した状態における外筒2の把持部7を示している。図3(A)は、模式側面断面図であり、図3(B)は、B−B断面図における変形態様を示す図である。図3におけるFL1線よりも上方は、断面図であり、FL1線よりも下方は、側面図である。
【0020】
把持部7には内筒3の先端部分が挿入されており、挿入された内筒3の先端面は吸収体4に臨んでいる把持部7の外径は、挿入部6の外径よりも小径である。挿入部6から把持部7に向かって徐々に径が小さく構成されており、その径が小さく構成された括れ部9に、補助把持部材10が引っ掛かるように構成されている。
【0021】
把持部の外周面には、突出部5が形成されている。突出部5は、補助把持部材10の後述する嵌合部13と当接し、外筒2に対する補助把持部材10の挿入方向に沿った移動を規制する。なお、本実施の形態では、外筒2の突出部5及び括れ部9が嵌合部13と当接した状態で補助把持部材10の移動が規制されるように構成されているが、外筒2の外周面が嵌合部13に当接した状態で補助把持部材10の移動が規制されるように構成されていてもよい。
【0022】
突出部5は、周方向に延びる4つの円弧状に形成された第1突出部51と、挿入方向の後端部において外筒の全外周に形成された第2突出部52と、を有する。4つの円弧状の第1突出部51は、90度ずつずれて配置されており、周方向に間隔を空けて配置されている。また、第1突出部51は、軸方向に間隔を空けて4列形成されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、把持部7には、把持部7の外周面に沿い、この外周面を覆う補助把持部材10が装着されている。図4は、補助把持部材10を示した図である。図4(A)は、正面図であり、(B)は、(A)の左側面図であり、(C)は、B−B断面図である。図5は、補助把持部材が外筒2に装着された状態を模式的に示した断面図である。
【0024】
補助把持部材10は、把持部7の外周面7aを覆うカバー部11と、カバー部11の外周面11aから外筒2の径方向(図1に示すX方向及びZ方向)外側に向けて延出する鍔部12と、が一体化されている。カバー部の外周面には、該外周面から突出形成された突起部14が設けられている。突起部14は、周方向に延びる円弧状であり、周方向に間隔を空けて配置されている。
【0025】
補助把持部材10は、ポリオレフィン系樹脂、エラストマー、紙、その他の材料に構成される。本実施の形態に係る補助把持部材10は、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂によって形成されている。
【0026】
補助把持部材10には、把持部7が挿入される穴部15が形成されている。穴部15の外周面には、把持部7の突出部5に引っ掛かり、補助把持部材10と外筒2との挿入方向における相対移動を規制する嵌合部13が形成されている。なお、タンポン用アプリケータの挿入方向は、タンポン用アプリケータの長手方向(図2に示すY方向)である。
【0027】
鍔部12の先端側の表面12aは、括れ部9に当接している。鍔部12の表面12aと括れ部9とが当接することによって、補助把持部材10の挿入方向の先端側(外筒2の開口8側)への移動が規制される。
【0028】
嵌合部13は、穴部15の外周面から径方向内側に突出しており、軸方向に延びている。嵌合部は、穴部の外周面に沿って配置されている。穴部15の外周面とは、穴部を囲むカバー部11の内周面11bである。(図4(C)参照)。嵌合部13は、第1嵌合部131と、第2嵌合部132と、を有する。第1嵌合部131及び第2嵌合部132における最内径は、突出部5における最外径より小さく構成されている。よって、突出部5と嵌合部13とが引っ掛かる。
【0029】
第1嵌合部131と、第2嵌合部132とは、周方向に間隔を空けて交互に配置されている。本実施の形態に係る第1嵌合部131は、120度ずつ間隔を空けて配置されている。第2嵌合部132は、第1嵌合部の間に1個ずつ配置され、互いに120度ずつ間隔を空けて配置されている。第1嵌合部131と第2嵌合部132は、60度ずつずれて配置されている。
【0030】
このように、嵌合部13は、60度ずつずれて配置され、突出部5は、90度ずつずれて配置されている。このような構成によれば、嵌合部13と突出部5との周方向における角度を調整しなくても、複数の嵌合部13及び突出部5のうちいずれかの嵌合部と突出部とが嵌合する。したがって、補助把持部材を外筒に装着する際に、相対的な角度の位置合わせを行う必要がなく、装着工程を簡略化することができる。
【0031】
第1嵌合部131と第2嵌合部132とが周方向において間隔を空けて交互に配置されているため、第1突出部51と嵌合する部分と、第2突出部52と嵌合する部分とがバランスよく分散して配置され、安定した状態で保持できる。更に、第1突出部と嵌合する部分と、第2突出部と嵌合する部分とがバランスよく分散して配置されていることにより、応力集中によるダメージを抑制できる。
【0032】
第1嵌合部131の挿入方向先端部は、挿入方向に対して傾斜する傾斜面131aが形成されている。この傾斜面131aは、挿入方向の後方に向かうに連れて径方向内側に突出している。このように、第1嵌合部131の先端部に傾斜面131aが形成されていることにより、補助把持部材10を外筒2に押し込む際に徐々に嵌合させて、スムーズに装着することができる。嵌合部13の傾斜面は、挿入方向に対して傾斜していればよく、傾斜面と挿入方向とがなす角度は限定されない、
【0033】
また、本実施の形態では、補助把持部材において外筒との当接する部分である第1嵌合部131の先端131b(図5参照)は、括れ部9に当接するように構成されている。しかし、後述する第5の実施形態に係るタンポン用アプリケータのように、把持部の先端に形成された突出部に補助把持部材が当接する構成においては、第1嵌合部131の先端131bが突出部に当接するように構成されていてもよい。
【0034】
第1嵌合部131の傾斜面131aよりも後方部分は、挿入方向に対して平行である。第1嵌合部131の後端部は、第2嵌合部とともに、第2突出部52に嵌合している。すなわち、第1嵌合部131が、括れ部9と当接し、第1嵌合部131及び第2嵌合部132が、第2突出部52に当接している。
【0035】
このような構成によれば、括れ部に当接する嵌合部の数<第2突出部に当接する嵌合部の数になる。当接する嵌合部の数は、補助把持部材と外筒との嵌合力、すなわち挿入方向における相対移動を規制する力に比例する。よって、第2突出部に当接する嵌合部の数が多くなるように構成することによって、補助把持部材が外筒2から外れ難くなる。
【0036】
また、補助把持部材10を外筒2に対して装着する際には、外筒2が径方向内側に変形するように構成されている。図3(B)は、B−B断面における外筒の変形状態を模式的に示した図である。図3(B)に示すFL2は、穴部15の外周面を示す仮想線であり、FL3は、嵌合部の最内径位置を示す仮想線である。
【0037】
把持部7は、最外径を形成する4つの第1突出部51が把持部7の同一円周上に等間隔で配置されている。把持部の突出部が形成された領域は、把持部の突出部が形成されていない領域よりも、その厚みが厚く、剛性が高い。更に、嵌合部13の最内径は、第1突出部51の最外径よりも小さいため、補助把持部材を挿入方向に押圧すると、嵌合部13と第1突出部51とが接して、嵌合部13が第1突出部51を径方向内側に向かって押圧する。そして、比較的剛性が低い把持部の突出部が形成されていない領域が変形して、突出部が径方向内側に変形する。
【0038】
第1突出部51の最外径位置は、変形前の状態で円形の把持部よりも外側に突出しているが、第1突出部51に径を小さくしようとする応力が集中するため、変形後の状態で嵌合部の最内径位置と同等となる。把持部の断面形状は、略正方形状となる。この状態で補助把持部材を更に押圧して、嵌合部13が第1突出部51を乗り越えることにより、第1突出部51が径方向外側に変形して変形前の状態となる。第1突出部51と嵌合部とが引っ掛かり、補助把持部材10が外筒2から抜ける方向への移動が規制される。
【0039】
また、補助把持部材を装着する際は、まず、第1嵌合部131が第2突出部52を径方向内側に変形させる。第1嵌合部131が挿入方向に延出しているため、この変形を維持した状態で更に補助把持部材10を挿入方向に押圧することができる。そして、第2嵌合部が第2突出部52を更に径方向内側に変形させる。このように、二段階で第2突出部52を径方向内側に変形させることにより、変形に必要な外力の付与を2回にわけることができ、挿入時に必要な最大応力を小さくすることができる。
【0040】
一方、補助把持部材10を外筒2から取り外そうとする際には、挿入時に二段階だった第1嵌合部131と第2嵌合部132の変形に必要な外力の付与が一段階となるため、最大応力が挿入時より大きくなる。補助把持部材10を外筒2から取り外そうとする際には、挿入時以上の力が必要になる。したがって、補助把持部材は、挿入し易く、かつ外れ難くなる。
【0041】
更に、嵌合部13は、括れ部9と、複数列の突出部5のうち最も後方に位置する第2突出部52とに当接する。例えば、嵌合部における外筒に対する当接箇所の挿入方向距離が短い場合には、嵌合状態が安定せず、補助把持部材がぐらつき易くなる。しかし、嵌合部における外筒に対する当接箇所の挿入方向距離を長く構成することにより、補助把持部材のぐらつきを低減し、安定性を高めることができる。
【0042】
このように構成された補助把持部材10を外筒2の把持部7に装着することにより、外筒2と別体で構成された補助把持部材10を、適宜外筒2に装着することができる。また、補助把持部材10と外筒2とは、突出部5と嵌合部13とによって嵌合しており、挿入方向の移動が規制される。よって、補助把持部材10を介して外筒2を体内に押圧した場合であっても、補助把持部材10の位置ずれを防止でき、タンポンを適切な位置に配置することができる。
【0043】
次いで、このように構成されたタンポン用アプリケータを有する生理用タンポンの使用態様について説明する。使用者は、外筒2の先端を膣口に当接させた状態で、外筒を膣内に挿入する方向に補助把持部材10を押圧する。補助把持部材10の第1嵌合部が外筒の括れ部9に当接しているため、補助把持部材10は、外筒2に対する開口側への移動が規制される。よって、使用者が補助把持部材10を膣内に向けて押すことにより、外筒2が膣内に挿入される。
【0044】
鍔部12は、生理用タンポンの膣内への挿入方向における補助把持部材10の先端側に配置されているため、外筒2を適切な位置まで挿入した状態で、鍔部12の表面12aは、膣口近傍に配置される。この状態で更に外筒2を挿入しようとしても、使用者の身体に鍔部12が当接する。すなわち、鍔部12は、ストッパーとしての機能を発揮し、使用者は、適切な位置まで外筒2を挿入できたことを把握することができる。
【0045】
また、外筒2を適切な位置まで挿入した状態において、膣口と指との間には、鍔部12が配置される。このとき、カバー部11の外径よりも鍔部12の幅が長いため、補助把持部材10を持つ指と膣口との間に鍔部12が配置され、経血等の体液によって使用者の指が汚れることを防ぐことができる。
【0046】
次いで、使用者は、膣内の所定の位置まで外筒2を挿入した後、内筒3を外筒2の開口8側に向けて押圧することにより、外筒2の開口8から吸収体4が押し出され、吸収体4が膣内の適切な位置に配置される。このように、鍔部12を備えることにより、使用者の指が膣口付近に触れることなく、適切な位置に容易に吸収体4を配置することができる。吸収体4を適切な位置に配置することにより、使用者は、使用時の違和感が少なくなり、タンポンの使用を快適に感じることができる。
【0047】
補助把持部材10は、把持部7の外周面7aを覆うカバー部11を備えており、このカバー部11と鍔部12とが一体化しているため、外筒2の把持部7に対する補助把持部材10の角度や位置が安定する。よって、鍔部12や把持部7を適切な角度で維持した状態で体内に外筒2を挿入し、膣内の適切な位置に吸収体4を配置することができる。
【0048】
次いで、このように構成された生理用タンポンの製造方法について、説明する。図6は、生理用タンポンの製造工程を模式的に示す図である。ステップ101として、生理用タンポンを構成する構成部品を成型する。具体的には、外筒2、内筒3、吸収体4、及び補助把持部材10を製造する。このステップ101の状態において、外筒の先端は、花弁体8aが形成されているが、複数の花弁体8aの各々が開いた状態(換言すると、開口8が開いた状態)にある。
【0049】
ステップ102において、外筒2及び内筒3を組み立てる。外筒2の先端側から内筒3を挿入する。この状態において、内筒3の先端部が外筒2の括れ部の内周面に係止する。内筒3は、外筒2の挿入部6よりも後方への移動が規制される。
【0050】
ステップ103において、吸収体4を外筒内に配置する。具体的には、外筒の先端側から吸収体を挿入する。このとき、吸収体4は、取り出し紐4aが形成されている側から挿入する。そして、吸収体4の取り出し紐4aをタンポン用アプリケータ1の後端(具体的には、内筒3の後端側の開口)から引き出す。
【0051】
ステップ104において、複数の花弁体8aを湾曲加工する。具体的には、花弁体8aの各々を外筒2の径方向内側に倒れるように湾曲させて、外筒2の先端部を略半球状に加熱成形する処理(以下、先端加工処理とも言う)を行う。先端加工処理が終了した時点で、生理用タンポンが完成する。
【0052】
なお、補助把持部材10は、上述の製造工程のいずれかの工程において外筒に装着するように構成してもよいし、生理用タンポンを使用者に提供する際には生理用タンポンと別体であって、使用する際に使用者が外筒2に装着するように構成してもよい。
【0053】
上述の製造工程において補助把持部材を装着するタイミングとしては、例えば、ステップ101とステップ102との間である外筒2を形成した後であってもよいし、ステップ102とステップ103の間である内筒と外筒とを組み立てた後であってもよいし、ステップ103とステップ104との間である吸収体を配置した後であってもよいし、ステップ104後である花弁体を加工した後であってもよい。
【0054】
例えば、補助把持部材を外筒2及び内筒3とともに一体成型した場合、補助把持部材を一体成型しない場合に比べて、形状が複雑でサイズも大きくなる。そのため、補助把持部材10を有しないタンポン用アプリケータの一体成成型と比べて生産性が著しく低下するおそれがある。
【0055】
また、別体で成型した補助把持部材10を外筒2等に接着剤等で固定することが考えられる。しかし、補助把持部材10を接着剤で固定しようとすると、接合工程が必要となり、製造工程が煩雑となる。更に、外筒2等と異なる成分(接着剤)を用いるため、生産性が低下するおそれがある。
【0056】
しかし、本願のように、突出部と嵌合部との嵌合によって補助把持部材を外筒に装着することにより、上記不具合を解消することができる。更に、例えば、補助把持部材が外筒に一体化されていると、鍔部の径方向外側に延出しているため、個々のタンポン用アプリケータの容積が大きく、持ち運びし難いおそれがある。しかし、補助把持部材は、外筒に対して着脱自在に構成されているため、使用時等、必要に応じて補助把持部材を装着することができる。更に、製造工程の煩雑化を抑制できる。
【0057】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態に係る補助把持部材10Aについて、図7に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図7は、第2の実施形態に係る補助把持部材10Aを示す図であり、図7(A)は、背面図であり、図7(B)は、C−C断面図である。
【0058】
第2の実施形態に係る補助把持部材10Aは、周方向に間隔を空けて配置された3個の第1嵌合部131と、周方向に間隔を空けて配置された3個の第2嵌合部132と、を備えており、第1嵌合部131と、第2嵌合部132とは、挿入方向に間隔を空けて配置されている。よって、第1突出部51は、第1嵌合部131のみと嵌合し、第2突出部52は、第2嵌合部132のみと嵌合する。
【0059】
補助把持部材は、外筒に装着される際に径方向に変形するように構成されている。また、第1嵌合部と第2嵌合部とが挿入方向において間隔を空けて配置されているため、第1嵌合部が突出部5に対して変形する際は、補助把持部材が略正三角形の断面形状に変形し、第2嵌合部が突出部5に対して変形する際は、補助把持部材が略逆三角形の断面形状に変形する。
【0060】
把持部の突出部は、円周上60度ずつずれた位置で1回の応力しか受けることがないため、繰り返し応力による疲労を抑えることが可能となり、補助把持部材を外筒2に対して嵌合する工程における不具合を抑制できる。
【0061】
(第3の実施形態)
次いで、第3の実施形態に係る補助把持部材10Bについて、図8に基づいて詳細に説明する。図8は、第3の実施形態に係る補助把持部材10Bを示す図であり、図8(A)は、背面図であり、図8(B)は、D−D断面図であり、図8(C)は、外筒に装着された状態の模式断面図である。
【0062】
第3の実施の形態に係る外筒2の突出部は、把持部の後端部において1箇所形成されている。第3の実施形態に係る補助把持部材10Bは、挿入方向に延びる3個の嵌合部13が、周方向に間隔を空けて形成されている。嵌合部13の先端は、括れ部9に当接し、嵌合部13の後端部は、突出部5に当接する。嵌合部は、挿入方向において括れ部と突出部5との間に配置され、補助把持部材10Bの挿入方向における双方向の移動を規制する。
【0063】
(第4の実施形態)
次いで、第4の実施形態に係る補助把持部材10Cについて、図9に基づいて詳細に説明する。図9は、第4の実施形態に係るタンポン用アプリケータの補助把持部材を示す図であり、図9(A)は、背面図であり、図9(B)は、E−E断面図であり、図9(C)は、外筒に装着された状態の模式断面図である。
【0064】
第4の実施形態に係る補助把持部材10Cの第1嵌合部131と第2嵌合部132は、第2の実施形態に係る補助把持部材10Aと同様に挿入方向において間隔を空けて配置されているが、第2の実施形態に係る補助把持部材10Aと異なり、周方向の位置が一致している。
【0065】
補助把持部材10Cの第1嵌合部131は、挿入部6と把持部7との間の括れ部9に当接し、第2嵌合部132は、突出部5に当接している。第1嵌合部131は、括れ部9よりも後方に配置され、第2嵌合部132は、突出部5よりも前方に配置されている。図9に示す状態において、補助把持部材10Cは、外筒に対して挿入方向前方への移動と、挿入方向後方への移動とが規制される。
【0066】
また、第4の実施形態に係る補助把持部材10Cは、第3の実施形態に係る補助把持部材10Bと比較して、括れ部9に当接する部分と突出部に当接部分とが分割されているため、材料を削減することができる。
【0067】
(第5の実施形態)
次いで、第5の実施形態に係る補助把持部材10Dについて、図10に基づいて詳細に説明する。図10は、第5の実施形態に係る補助把持部材を示す図であり、図10(A)は、外筒に装着された状態の模式断面図であり、図10(B)は、外筒2に装着される状態を模式的に示した部分拡大断面図である。
【0068】
第5の実施形態に係る外筒2の突出部5は、把持部の先端に形成された第1突出部51と、第1突出部51よりも後方において複数列に形成された第2突出部52とを有する。補助把持部材10Dの嵌合部13は、補助把持部材10の穴部15の外周面である。嵌合部13の先端部及び後端部は、挿入方向に対して傾斜した傾斜面13aが形成されている。本実施の形態では、略45度傾斜している。
【0069】
傾斜面13aの挿入方向に対する角度は、45度に限定されない。例えば、傾斜角度が45度よりも小さい場合には、嵌合時の弛みによるがたつきを抑制する効果を得ることができるが、嵌合力を得難くなる。一方、傾斜角度が45度よりも大きい場合には、嵌合力は得易くなるが、弛みによるがたつきを抑制する効果を十分に得られないおそれがある。傾斜面の角度は、がたつきを抑制する効果と嵌合力とのバランスを考慮して、略30度から略60度の間で調整することが好ましい。
【0070】
嵌合部の前端部は、上述の実施形態のように括れ部に当接せず、第1突出部と当接する。嵌合部は、複数の突出部の間に配置された状態で挿入方向への移動が規制される。図10(B)は、外筒2に補助把持部材を装着している状態を模式的に示した図である。補助把持部材の嵌合部は、複数の第2突出部間にも配置されるように構成されている。
【0071】
補助把持部材は、第1突出部と第2突出部との間に嵌合してもよいし、第2突出部間に嵌合してもよい。また、第2突出部52は、複数列形成されており、補助把持部材10の嵌合位置を適宜変更することができる。使用者は、自分の好み、つまり個人差のある膣の深さに応じて適宜タンポンの挿入位置を調整することが可能となり、所望の位置に吸収体を配置することが可能となる。
【0072】
(その他の実施形態)
補助把持部材が装着される際に外筒の突出部が変形するように構成されている場合において、把持部の挿入方向に対する突出部の断面形状は、変形前後で外接円を形成する頂点が変わらない範囲で選択することができるが、嵌合する面を最大化することを考慮して、変形後の外周形状が略円形になるような突出部5の断面形状が好ましい。
【0073】
把持部の突出部と補助把持部材の嵌合部とにおいて適度な嵌合強度が得られる形状変化を考慮すると、最外径となる突出部数は2〜6個(変形後の形状が楕円、正三角形〜6角形)とすることが好ましい。例えば、突出部の数が2個以下であれば、補助把持部材の固定が困難であり、6個を越えると弾性変形による最外径の変化が得られ難くなり、適切な嵌合力を得ることができないおそれがある。
【0074】
なお、把持部の変形時の断面形状が多角形になればなるほど、突出部の数が増加し、変形のための応力も増加する。例えば、3個の突出部が形成された外筒を断面円形状から略正三角形状へ変形するために必要な応力と、6個の突出部が形成された外筒を断面円形状から正六角形状へ変形するために必要な応力は、理論上2倍である。しかし、把持部が円筒形状であるため、それぞれの突出部が変形した応力の反作用が影響しあい、2倍以上の応力が必要となると考えられる。
【0075】
なお、第1の実施形態では、補助把持部材を外筒に装着する際に、外筒が変形するように構成されているが、この構成に限定されない。補助把持部材を外筒に装着する際に、外筒の把持部7と補助把持部材10のカバー部11のうち少なくともいずれか一方が変形すればよい。例えば、外筒の把持部7と補助把持部材10のカバー部11の両方が変形するように構成してもよい。
【0076】
例えば、補助把持部材が変形する場合においては、複数の嵌合部間の領域におけるカバー部11の剛性が、嵌合部13が形成された領域におけるカバー部11の剛性よりも低く構成されていることが好ましい。補助把持部材を外筒に装着する際は、補助把持部材の外側からカバー部材を把持して、挿入方向における先端側に力を加える。その際、嵌合部間の領域が変形し易く構成されているため、嵌合部間の領域が外筒側(内側)に変形する。嵌合部間が内側に変形すると、嵌合部が外筒から離間する方向に変形する。よって、補助把持部材を外筒に装着する際に、嵌合部と突出部とを容易に嵌合させることができる。
【0077】
図11は、補助把持部材の変形態様を模式的に示した図であり、補助把持部材のカバー部が変形するように構成された補助把持部材の変形前後の状態である。図11に示すFL4は、突出部の最外径を示す仮想線であり、FL5は、把持部の外周面を示す仮想線である。
【0078】
補助把持部材が変形する前の状態において、嵌合部の最内径は、突出部の最外径よりも小さく、補助把持部材10の穴部に把持部を挿入した状態でカバー部を径方向内側に押圧すると、カバー部の嵌合部13間の領域が把持部の外周面に近づくように変形する。カバー部の嵌合部が形成された領域は、嵌合部間の変形に伴って、把持部の外周面から離間するように変形する。
【0079】
このとき、嵌合部の最内径位置が突出部の最外径位置と同等となると、補助把持部材を更に挿入方向に押圧することができる。嵌合部が突出部を乗り越える位置まで補助把持部材を押圧した後、カバー部の変形を解除すると、カバー部が円形断面形状に戻り、突出部5と嵌合部が引っ掛かる。よって、補助把持部材が外筒から抜ける方向への移動が規制される。
【0080】
また、補助把持部材は、第5の実施形態に係る補助把持部材のように鍔部と嵌合部のみによって構成されていてもよいし、第1から第4の実施形態に係るように更にカバー部を有して構成されていてもよい。
【0081】
例えば、補助把持部材の鍔部の形状は限定されない。補助把持部材の形状は、平面視において矩形や三角形等の多角形であってもよいし、楕円形を含む円形であってもよい。更に、補助把持部材の形状は、ハート形や星形やリンゴ形であってもよいし、ティアドロップ型であってもよいし、動物の頭の形状や、蝶等昆虫の形状であってもよい。
【0082】
また、鍔部の外周形状は、曲線形状が望ましい。なお、曲線形状とは、尖った角部を有しない構成であればよく、直線形状を一部に含んでいてもよい。鍔部の外周形状が曲線形状であることにより、使用者が鍔部を把持した際の感触を和らげることができる。
【0083】
また、補助把持部材の鍔部は、挿入方向におけるカバー部の先端に配置されていなくてもよく、カバー部の先端よりも後方に配置されていてもよい。なお、鍔部がカバー部の先端よりも後方に配置されている構成にあっては、カバー部の先端が外筒の外周面や突出部に当接して、補助把持部材の先端側への移動が規制されるように構成される。
【0084】
突出部の数及び嵌合部の数は、突出部が存在しない位置と嵌合部が存在する位置が一致したり、又は突出部が存在する位置と嵌合部が存在しない位置が一致したりすると、突出部と嵌合部の嵌合が外れてしまうおそれがある。よって、突出部と嵌合部とが互いに同じ数及び同じ間隔で設けられないように構成することが望ましい。
【0085】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【実施例】
【0086】
以下、実施例1から6を挙げて、補助把持部材と外筒の嵌合強度を評価した。具体的には、以下の圧縮試験方法と引張試験方法とによって、圧縮力と引張力を測定した。なお、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0087】
(測定条件)
測定装置:島津製作所 AGS−50NG
<圧縮試験条件>
ストロークスピード:100mm/min
試験力リミット:40N
ストロークリミット:13mm(カバー部の長さ)
破断検出感度:レベルチェックなし
<引張試験条件>
ストロークスピード:100mm/min
試験力リミット:なし
ストロークリミット:なし
【0088】
<圧縮試験方法>
第1の実施形態に係る外筒を設置する。外筒の開口側が下になるように設置し、外筒の側面を固定具によって固定する。固定具に設置した外筒の把持部の後端部に第1の実施形態に係る補助把持部材を載せて、補助把持部材の穴部に外筒の把持部を挿入する。補助把持部材の上方から押圧治具を介して、補助把持部材を外筒の先端側に押圧して突出部と嵌合部とが嵌合するまで圧縮し、その圧縮力を測定した。押圧治具は、直径97mm、厚さ24mmの円柱形状である。
【0089】
<引張試験方法>
第1の実施形態に係る補助把持部材と第1の実施形態に係る外筒とが嵌合した状態で、外筒の径よりも大きな穴であって、補助把持部材の鍔部の径よりも小さい穴が形成された固定具に設置する。このとき、外筒の開口が下になるように、かつ補助把持部材の鍔部が穴に引っ掛かるように設置する。すなわち、固定具に設置した状態で、固定具の穴から上方に外筒の先端側が突出するように設置する。なお、外筒の先端を把持し易くするために、外筒の先端(開口)は、予め切断しておく。本実施例では、切断した後の外筒の長さが53mmとなるように切断した。そして、切断した後の外筒の先端につかみしろとしてのガムテープを接着して、ガムテープをチャックで掴んで補助把持部材が外筒から抜けるまで引き抜き方向に引っ張り、その引張力を測定した。
【0090】
(測定結果)
表1に測定結果を示す。
【表1】
【0091】
圧縮試験結果における「箇所1」は、第1嵌合部と突出部とが当接して、第1嵌合部によって突出部が変形する状態の圧縮力である。「箇所2」は、第1嵌合部及び第2嵌合部と突出部とが当接して、第1嵌合部及び第2嵌合部によって突出部が変形する状態の圧縮力である。引張試験結果は、第1嵌合部及び第2嵌合部と突出部とが当接して、第1嵌合部及び第2嵌合部によって突出部が変形する状態の引張力である。
圧縮時の最大圧縮力は、10.9Nであり、引張時の最大引張力は、44.1Nであった。
【0092】
圧縮時は、第1嵌合部によって突出部が変形し、円形断面形状から三角断面形状となり、その後、第1嵌合部と第2嵌合部とによって突出部が変形し、三角断面形状から六角断面形状となる。すなわち、段階的に外筒が変形するため、比較的圧縮力は低いことがわかる。一方、引張時は、第1嵌合部と第2嵌合部によって、円形断面形状から六角断面形状に変形するため、圧縮時と比較して、引張力が高いことがわかる。このように構成された補助把持部材によれば、圧縮力よりも引張力が高いため、挿入し易く、かつ抜け難いことがわかる。
【符号の説明】
【0093】
1…タンポン用アプリケータ、 2…外筒、 3…内筒、 4…吸収体、 4a…取り出し紐、 5…突出部、 51…第1突出部、 52…第2突出部、 6…挿入部、 7…把持部、 7a…外周面、 8…開口、 8a…花弁体、 9…括れ部、 10、10A、10B、10C、10D…補助把持部材、 11…カバー部、 11a…外周面、 11b…内周面、 12…鍔部、 12a…表面、 13…嵌合部、 131…第1嵌合部、 131a…傾斜面、 131b…先端、 132…第2嵌合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体が内部に収容される外筒と、
前記外筒内に挿入されることにより、前記外筒内の前記吸収体を前記外筒外へ押し出す内筒と、を有し、
前記外筒の一端には、前記吸収体が押し出される開口が形成され、前記外筒の他端には、使用者が把持する把持部が形成され、
前記把持部の前記外周面に、前記径方向外側に突出する突出部が形成されたタンポン用アプリケータであって、
前記タンポン用アプリケータは、前記把持部の前記外周面から径方向外側に延出する鍔部と、前記突出部に嵌合する嵌合部と、を有する補助把持部材を備えており、
前記外筒の前記突出部と前記補助把持部材の前記嵌合部とが嵌合することにより、前記補助把持部材と前記外筒との挿入方向における相対移動が規制される、タンポン用アプリケータ。
【請求項2】
前記鍔部には、前記把持部の前記外周面が挿入される穴部が形成されており、
前記嵌合部は、前記穴部の外周面に沿って配置されている、請求項1に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項3】
前記鍔部には、前記把持部の前記外周面が挿入される穴部が形成されており、
前記嵌合部は、前記穴部の外周面から径方向内側に突出して形成されている、請求項1に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項4】
前記補助把持部材は、前記鍔部から前記挿入方向における後方に延び、前記外筒の前記把持部の少なくとも一部を覆うカバー部を備えており、
前記嵌合部は、前記カバー部に設けられている、請求項3に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項5】
前記嵌合部と前記突出部のうち少なくとも一方は、複数形成され、前記外筒の周方向に間隔を空けて配置されている、請求項3又は請求項4に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項6】
前記嵌合部は、前記外筒の周方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記複数の嵌合部間の領域におけるカバー部の剛性は、前記嵌合部が形成された領域におけるカバー部の剛性よりも低い、請求項3又は請求項4に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項7】
前記突出部は、前記外筒の周方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記複数の突出部間の領域における把持部の剛性は、前記突出部が形成された領域における把持部の剛性よりも低い、請求項1から請求項6のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項8】
前記突出部は、第1突出部と、前記第1突出部よりも前記挿入方向における後方に配置された第2突出部と、を有しており、
前記嵌合部は、前記第1突出部と前記第2突出部との間に配置される、請求項1から請求項7のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項9】
前記第1突出部は、前記把持部の前記挿入方向における先端部に設けられており、
前記第2突出部は、前記把持部の前記挿入方向における後端部に設けられている、請求項8に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項10】
前記嵌合部は、前記第1突出部に引っ掛かる第1嵌合部と、前記第2突出部に引っ掛かる第2嵌合部と、を備えており、
前記第1嵌合部と、前記第2嵌合部とは、前記カバー部の周方向に間隔を空けて交互に配置されている、請求項8又は請求項9に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項11】
前記第1嵌合部は、前記第1突出部と前記第2突出部とに引っ掛かるように構成されている、請求項10に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項12】
前記嵌合部の挿入方向における先端部は、前記挿入方向に対して傾斜しており、前記挿入方向における後方に向かうに連れて前記径方向内側に突出する、請求項1から請求項11のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項1】
吸収体が内部に収容される外筒と、
前記外筒内に挿入されることにより、前記外筒内の前記吸収体を前記外筒外へ押し出す内筒と、を有し、
前記外筒の一端には、前記吸収体が押し出される開口が形成され、前記外筒の他端には、使用者が把持する把持部が形成され、
前記把持部の前記外周面に、前記径方向外側に突出する突出部が形成されたタンポン用アプリケータであって、
前記タンポン用アプリケータは、前記把持部の前記外周面から径方向外側に延出する鍔部と、前記突出部に嵌合する嵌合部と、を有する補助把持部材を備えており、
前記外筒の前記突出部と前記補助把持部材の前記嵌合部とが嵌合することにより、前記補助把持部材と前記外筒との挿入方向における相対移動が規制される、タンポン用アプリケータ。
【請求項2】
前記鍔部には、前記把持部の前記外周面が挿入される穴部が形成されており、
前記嵌合部は、前記穴部の外周面に沿って配置されている、請求項1に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項3】
前記鍔部には、前記把持部の前記外周面が挿入される穴部が形成されており、
前記嵌合部は、前記穴部の外周面から径方向内側に突出して形成されている、請求項1に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項4】
前記補助把持部材は、前記鍔部から前記挿入方向における後方に延び、前記外筒の前記把持部の少なくとも一部を覆うカバー部を備えており、
前記嵌合部は、前記カバー部に設けられている、請求項3に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項5】
前記嵌合部と前記突出部のうち少なくとも一方は、複数形成され、前記外筒の周方向に間隔を空けて配置されている、請求項3又は請求項4に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項6】
前記嵌合部は、前記外筒の周方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記複数の嵌合部間の領域におけるカバー部の剛性は、前記嵌合部が形成された領域におけるカバー部の剛性よりも低い、請求項3又は請求項4に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項7】
前記突出部は、前記外筒の周方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記複数の突出部間の領域における把持部の剛性は、前記突出部が形成された領域における把持部の剛性よりも低い、請求項1から請求項6のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項8】
前記突出部は、第1突出部と、前記第1突出部よりも前記挿入方向における後方に配置された第2突出部と、を有しており、
前記嵌合部は、前記第1突出部と前記第2突出部との間に配置される、請求項1から請求項7のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項9】
前記第1突出部は、前記把持部の前記挿入方向における先端部に設けられており、
前記第2突出部は、前記把持部の前記挿入方向における後端部に設けられている、請求項8に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項10】
前記嵌合部は、前記第1突出部に引っ掛かる第1嵌合部と、前記第2突出部に引っ掛かる第2嵌合部と、を備えており、
前記第1嵌合部と、前記第2嵌合部とは、前記カバー部の周方向に間隔を空けて交互に配置されている、請求項8又は請求項9に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項11】
前記第1嵌合部は、前記第1突出部と前記第2突出部とに引っ掛かるように構成されている、請求項10に記載のタンポン用アプリケータ。
【請求項12】
前記嵌合部の挿入方向における先端部は、前記挿入方向に対して傾斜しており、前記挿入方向における後方に向かうに連れて前記径方向内側に突出する、請求項1から請求項11のいずれかに記載のタンポン用アプリケータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−111180(P2013−111180A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259052(P2011−259052)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
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