ダンス用トレーニング器具
【課題】手や足の被装着部に安定的に装着でき、ダンスの練習に集中できるようにすることにある。
【解決手段】棒状に形成された重錘部0と、重錘部0の外周面2bに沿うようにして重錘部0の軸方向Xに延在すると共に、各保持端部3a、3aが重錘部0に連結された弾性部材よりなる第1の弾性保持部(弾性保持部)3とを備え、第1の弾性保持部3は、重錘部0の軸方向Xの中心(中心部)Cから各保持端部3a、3aまでの長さがほぼ等しく構成され、かつ重錘部0との間に挿入される被装着部によって弾性変形することにより、重錘部0を被装着部に押し付けるように構成している。また、重錘部0の周方向の反対側に第1の弾性保持部3と同様の第2の弾性保持部4を備えた構成も有している。
【解決手段】棒状に形成された重錘部0と、重錘部0の外周面2bに沿うようにして重錘部0の軸方向Xに延在すると共に、各保持端部3a、3aが重錘部0に連結された弾性部材よりなる第1の弾性保持部(弾性保持部)3とを備え、第1の弾性保持部3は、重錘部0の軸方向Xの中心(中心部)Cから各保持端部3a、3aまでの長さがほぼ等しく構成され、かつ重錘部0との間に挿入される被装着部によって弾性変形することにより、重錘部0を被装着部に押し付けるように構成している。また、重錘部0の周方向の反対側に第1の弾性保持部3と同様の第2の弾性保持部4を備えた構成も有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンスを練習する際に、手や足の先端部を被装着部として使用するダンス用トレーニング器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンスの一形式であるバレエでは、腕の動きが優雅になるように導くことが指導者の重要な課題の一つとなっている。例えば、腕の外側の力を抜き、内側の力を意識させながら、腕を動かす訓練をすることにより、身体の軸が安定すると共に、肩もすっきりとなだらかに下がるようになり、首が長く見えるようになる。この場合、手の先端部である指に重さを感じさせることにより、腕の外側の力が抜け、内側の力を意識しながら腕を動かすことがより簡単にできるようになる。このため、指の間でボールペン等を挟むように持たせながら、ポール・ド・ブラ等の練習をするように導く指導者もいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来においては、手の指に重さを感じさせるものとして、上述のように、ボールペン等のようなものしかなく、このようなボールペン等を指の間で挟んで保持したとしても、当該ボールペンを安定的に保持することができず、練習に集中することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、手や足の先端部である被装着部に安定的に装着することができ、ダンスの練習に集中することができるダンス用トレーニング器具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ダンスを練習する際に手や足の先端部を被装着部として用いるダンス用トレーニング器具であって、棒状に形成された重錘部と、この重錘部の外周面に沿うようにして当該重錘部の軸方向に延在すると共に、各保持端部が当該重錘部に連結された弾性部材よりなる弾性保持部とを備えてなり、前記弾性保持部は、前記重錘部の軸方向の中心部から前記各保持端部までの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該重錘部との間に挿入される前記被装着部によって弾性変形することにより、当該重錘部を当該被装着部に押し付けるようになっていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記重錘部の周方向における前記弾性保持部とは反対側の当該重錘部の外周面に沿うようにして当該重錘部の軸方向に延在し、各保持端部が当該重錘部に連結された弾性部材よりなる第2の弾性保持部を備えてなり、前記第2の弾性保持部は、前記重錘部の軸方向の中心部から当該第2の弾性保持部の前記各保持端部までの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該重錘部との間に挿入される前記被装着部によって弾性変形することにより、当該重錘部を当該被装着部に押し付けるようになっていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記弾性保持部と前記第2の弾性保持部とは、前記各保持端部間の長さが異なるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れかに記載の発明において、前記重錘部は、棒状に形成された重りと、この重りの外周面を覆うように形成された包装体とを備えた構成になっており、前記各保持端部は、前記包装体に連結されていることを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れかに記載の発明において、前記弾性部材は、ゴム弾性を有する帯状部材であることを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記重りは、防錆処理金属によって構成されていることを特徴としている。
【0011】
ここで、防錆処理金属としては、例えばステンレス鋼や、表面にクロムメッキ、亜鉛メッキ、樹脂コーティング等を施した鉄などの金属が挙げられる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項4から6の何れかに記載の発明において、前記重りは、円柱状に形成され、角部に面取りが施されていることを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項4から7の何れかに記載の発明において、前記包装体は、弾性的に伸縮する発泡ゴム層を有する生地によって形成されていると共に、前記生地の伸縮性を利用して前記重りを入出させることが可能なスリット状の切れ込みが軸方向に延在すべく形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、重錘部を掌側に位置させるようにして、弾性保持部と重錘部との間に手の被装着部としての例えば中指を挿入すると、弾性保持部が弾性変形し、これによって生じた弾性力により、弾性保持部及び重錘部が中指に押し付けられた状態になる。このため、中指の中心線に沿う方向(以下、「中指の縦方向」という)及び中指の幅方向に、重錘部がずれるのを防止することができる。また、弾性保持部における各保持端部から重錘部の軸方向の中心部までの長さがほぼ等しく構成されており、重錘部の重心が中指の中心線に沿う位置にくるようになるので、手を動かした場合でも中指を中心にして重錘部が回転するように動くのを極力防止することができる。従って、手における被装着部としての中指に安定的に装着することができる。また、弾性保持部における各保持端部間の長さを中指の幅寸法に近づけることにより、重錘部が中指の幅方向にずれるのをより確実に防止することができる。
【0015】
また、重錘部を掌側に位置させるようにして、弾性保持部と重錘部との間に例えば互いに接触して横に並んだ状態の人差指、中指及び薬指の3本の指を重錘部の外周面に接するように挿入すると、弾性保持部が弾性変形すると共にこの弾性変形によって生じた弾性力が3本の指に作用し、これらの3本の指に弾性保持部及び重錘部が押し付けられた状態になる。このため、重錘部が中指を中心とする3本の指の縦方向及び幅方向にずれるのを防止することができると共に、当該重錘部が中指を中心にして回転するのも防止することができる。従って、手における被装着部としての中指を中心とする3本の指に安定的に装着することができる。また、弾性保持部における各保持端部間の長さを、人差指から薬指までの間の幅寸法に近づけることにより、重錘部が3本の指の幅方向にずれるのをより確実に防止することができる。
【0016】
なお、上述した中指とは異なる他の指に装着したり、2本から5本の各本数の指に同時に装着したりすることなども可能であり、これらの場合も上述したように安定的に装着することができる。この場合も、弾性保持部における各保持端部間の長さを被装着部の幅寸法に近づけることにより、より安定的に装着することが可能となる。
【0017】
更に、重錘部を足の裏側に位置させるようにして、弾性保持部と重錘部との間につま先を挿入することにより、弾性保持部の弾性力が足の被装着部の甲に作用し、重錘部が足の裏に押し付けられた状態になる。なお、実際にはダンス用のシューズ等を介して、弾性保持部及び重錘部が足の被装着部に押し付けられることになる。このため、重錘部が足の被装着部に対してずれたり回転したりするのを防止することができる。従って、足の被装着部にも安定的に装着することができる。また、弾性保持部における各保持端部間の長さを、足の被装着部(足の裏)の幅寸法に近づけることにより、重錘部が足の被装着部に対してずれるのをより確実に防止することができる。
【0018】
以上、手や足の先端部である被装着部に安定的に装着することができるので、ダンスの練習に集中することができる。また、腕の外側の力を抜き、かつ内側の力を意識させる上で、特に手の中指に重さを感じさせることが有効であるが、この中指や、この中指を中心とする位置に上述のように安定的に装着することができるので、ダンスを効率よく習得することができる効果(即ち、ダンスの習得効果)をより高めることができる。また、足の被装着部に装着することにより、特に足の動きに関するダンスの習得効果を高めることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、上述した弾性保持部と同様に構成された第2の弾性保持部が重錘部における弾性保持部とは周方向の反対側に設けられているので、例えば、重錘部を掌側に位置させるようにして、人差指と薬指とを第2の弾性保持部と重錘部との間に挿入し、その際、中指は当該第2の弾性保持部の上に当接させておき、この状態から当該中指を下方に移動することによって第2の弾性保持部を下方に弾性変形させると共に、当該中指を人差指と薬指との間を通して重錘部の下方に移動させ、更に当該中指を重錘部の下側に位置する弾性保持部と重錘部との間に挿入することができる。
【0020】
この場合、人差指、中指及び薬指の3本の指が弾性保持部及び第2の弾性保持部によって圧迫された状態になると共に、重錘部に押し付けられた状態になるので、中指を中心とする3本の指により確実かつ安定的に装着することができる。即ち、弾性保持部のみを利用した場合や、第2の弾性保持部のみを利用した場合には、中指の根元部には安定的に装着することができても、当該中指の先端側の部分には安定的に装着することができない場合があり得るが、弾性保持部及び第2の弾性保持部を利用することにより、中指の先端側の部分にも安定的に装着することができる。
【0021】
また、弾性保持部の各保持端部間の長さを中指の幅寸法に近づけ、第2の弾性保持部の各保持端部間の長さを人差指から薬指までの間の幅寸法に近づけることにより、中指の先端側の部分に更に確実かつ安定的に装着することができる。
【0022】
従って、手における被装着部としての中指の根元部から先端側の部分までのいずれの位置にも安定的に装着することができるので、ダンスの習得効果をより高めることができる。また、弾性保持部及び第2の弾性保持部の少なくとも一方の各保持端部間の長さを足の被装着部の幅寸法に近づけておくことにより、当該足の被装着部にも、より安定的に装着することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、弾性保持部の各保持端部間の長さと第2の弾性保持部の各保持端部間の長さとが異なる長さに構成されているので、例えば弾性保持部の各保持端部間の長さを手の中指の幅寸法に近づけ、第2の弾性保持部の各保持端部間の長さを人差指から薬指までの間の幅寸法や足の被装着部の幅寸法に近づけることにより、弾性保持部のみを利用して上述のように中指に安定的に装着することができ、第2の弾性保持部のみを利用して上述のように中指を中心とする3本の指に安定的に装着したり、足の被装着部に安定的に装着したりすることができ、更に弾性保持部及び第2の弾性保持部を利用して上述のように中指を中心とする3本の指により安定的に装着することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、重錘部が棒状に形成された重りと、この重りの外周面を覆うように形成された包装体と備えた構成になっているので、その重りとして、金属等のように比重の大きな材質のものを用いることができるので、重錘部をコンパクトに構成することができる。しかも、包装体として、ソフトな材質のものや断熱性の高いもの等を用いることができるので、手や足に装着した際に、金属の硬さや冷たさを感じさせることのない感触性の優れた重錘部を得ることができる。また、各保持端部が包装体に連結されるようになっているので、例えば金属製の重りを用いていても、包装体を介して、弾性保持部や第2の弾性保持部を重錘部に容易に連結することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、弾性保持部や第2の弾性保持部を構成する弾性部材がゴム弾性を有する帯状部材であるので、弾性保持部や第2の弾性保持部が手や足の被装着部に当たる面積を広くとることができる。即ち、弾性保持部や第2の弾性保持部から被装着部に作用する面圧を下げることができるので、当該被装着部に痛みや痒み等の違和感を生じさせることなく、より長く練習することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、重りが防錆処理金属によって構成されているので、手や足の汗等によって重りが錆びることがなく、長期にわたって安定的に使用することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、重りが円柱状に形成されているので、当該重りの外周面を包装体で覆った重錘部の形状も掌や足の裏になじみやすい円柱状の形状になる。従って、手や足の被装着部に痛みや疲れ等を感じさせることなく、より長く練習することができる。また、重りの角部が面取りされているので、当該重りを包装体に対して安全にかつ容易に入出させることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、包装体が弾性的に伸縮する発泡ゴム層を有する生地によって形成されているので、重錘部が全体的に柔らかな感じを受けるものとなり、手や足の被装着部に装着した際の感触を向上させることができる。しかも、発泡ゴム層によって包装体が断熱性に優れたものとなるので、例えば金属製の重りを用いても、その重りの冷たさを感じることがなく、感触性の向上を図ることができる。更に、発泡ゴム層によって包装体が緩衝性の優れたものとなるので、重錘部が万一、人の体に当たるようなことがあっても、その際の衝撃を包装体で吸収することができ、怪我が生じるを防止することができる。
【0029】
また、包装体には生地の伸縮性を利用して、重りを入出させることが可能なスリット状の切れ込みが軸方向に延在すべく形成されているので、重りを分離した状態で、包装体のみを単独で製造することができる。従って、製造能率の向上を図ることができる。しかも、切れ込みが軸方向に延在するスリット状に形成されているので、重りを包装体内に収納した後はその収納状態を安定的に維持することができると共に、通常の状態では切れ込みから重りが見えることがほとんどなく、外観上優れたものとなるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態としての一実施の形態について、特にダンスの一形式としてのバレエに用いた例を図示しながら説明する。
【0031】
この実施の形態で示すダンス用トレーニング器具100は、図1〜図3に示すように、重錘部0と、第1の弾性保持部(弾性保持部)3と第2の弾性保持部4とを備えた構成になっている。また、重錘部0は、図3に示すように、重り1と、包装体2とを備えた構成になっている。
【0032】
重り1は、防錆処理金属としてのステンレス鋼によって断面円形状の棒状(円柱状)に形成されたものであり、軸方向Xの各端部の角部には当該軸方向Xに対して45度方向に傾斜したテーパ状の面取り1aが形成されている。この重り1は、断面の直径が10mm〜25mm程度、軸方向Xの長さが40mm〜80mm程度、重さが35g〜250g程度に構成されている。
【0033】
包装体2は、重り1の外周面に密着すると共に、当該重り1の各端面にも極力密着するようにして、当該重り1の全体を覆うように形成されたものであり、弾性的に伸縮する発泡ゴム層と、この発泡ゴム層の表面及び裏面のそれぞれに貼り付けられた伸縮自在な布層とからなる三層の生地21によって形成されている。発泡ゴム層は、例えば発泡クロロプレンゴムによって約2mmの厚さに形成されており、衝撃を吸収する緩衝性の優れたものになっていると共に、断熱性に優れたものになっている。2つの布層は、吸水性の少ない(即ち、乾きやすい)ポリプロピレン等の化学繊維によって形成されている。
【0034】
また、生地21は、展開すると、図4に示すように、ほぼ直角四角形状に形成されており、その十字状に直交する一方の中心線21aに沿って折り曲げて重ね、各縁に沿うライン21cとライン21d、ライン21eとライン21f、ライン21gとライン21h、及びライン21iとライン21jの各位置で互いに縫い合わせてから、全体を裏返すことにより、図1〜図3に示すような包装体2に形成されるようになっている。この場合、十字状に直交する他方の中心線21bの近傍部分は、互いに縫い合わせることになるライン21e、21fや、ライン21i、21jから外された非縫製部21m、21nとなっている。
【0035】
そして、この非縫製部21m、21nは、図1に示すように、包装体2における軸方向Xの中心部にあって、当該軸方向Xに延在するスリット状の切れ込み2aとなるようになっている。この切れ込み2aは、生地21の伸縮性を利用して重り1を包装体2に対して入出させることを可能にすると共に、上述したライン21c〜21jの位置で縫い合わせた後に、生地21の全体を裏返すことを可能にしている。
【0036】
なお、重錘部0は、包装体2が重り1の外周面等に密着するように形成されていることから、重り1と同様に、ほぼ円柱状の棒状に形成されている。また、軸方向X及び当該軸方向Xの中心(中心部)Cは、重錘部0、重り1及び包装体2のすべてにおいてほぼ共通したものとなっている。更に、重錘部0の外周面は、包装体2の外周面2bと一致している。
【0037】
第1の弾性保持部3は、図1〜図3に示すように、包装体2の外周面2bに沿うようにして当該包装体2の軸方向Xに延在し、各保持端部3a、3aが当該包装体2に連結された構成になっている。この第1の弾性保持部3は、弾性部材としてのゴム弾性を有する帯状部材31によって形成されている。この帯状部材31は、吸水性の少ない(即ち、乾きやすい)ポリプロピレン等の化学繊維と共に、複数の糸ゴムが織り込まれたもので構成されており、その帯状の一方の面が包装体2の外周面2bに向けられている。そして、帯状部材31は、その一方及び他方の端部が上述した図4におけるライン21cの位置とライン21dの位置とを縫い合わせる際に、及びライン21gの位置とライン21hの位置とを縫い合わせる際に、生地21に挟まれた状態で当該生地21と共に縫い付けられて、包装体2の軸方向Xの各端部に連結されるようになっている。更に、帯状部材31は、第1の弾性保持部3の各保持端部3a、3aに相当する部分が包装体2に縫い付けられることによって、当該包装体2に連結されている。
【0038】
また、第1の弾性保持部3は、図1及び図3に示すように、包装体2の軸方向Xの中心Cから各保持端部3a、3aまでの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該包装体2との間に挿入される手の先端部である被装着部としての中指によって弾性変形することにより、包装体2の外周面2bを中指に押し付けるようになっている。また、各保持端部3a、3a間の長さは、挿入される中指に対して、重錘部0がその中指の幅方向に極力動かないようにするため、当該中指の幅寸法より大きくかつ当該中指の幅寸法に近い長さに設定されている。
【0039】
一方、第2の弾性保持部4は、包装体2の周方向における第1の弾性保持部3とは反対側の当該包装体2の外周面2bに沿うようにして当該包装体2の軸方向Xに延在し、各保持端部4a、4aが当該包装体2に連結されることによって構成されている。この第2の弾性保持部4は、弾性部材としてのゴム弾性を有する帯状部材41によって形成されている。この帯状部材41は、上述した帯状部材31と同一の素材によって構成されており、その帯状の一方の面が包装体2の外周面2bに向けられている。また、帯状部材41は、その一方及び他方の端部が上述した図4におけるライン21cの位置とライン21dの位置とを縫い合わせる際に、及びライン21gの位置とライン21hの位置とを縫い合わせる際に、生地21に挟まれた状態で当該生地21と共に縫い付けられて、包装体2の軸方向Xの端部に固定されるようになっている。この場合、帯状部材41の一方及び他方の端部は、第2の弾性保持部4の各保持端部4a、4aと一致している。
【0040】
従って、第2の弾性保持部4は、包装体2の軸方向Xの中心Cから各保持端部4a、4aまでの長さがほぼ等しく構成されていると共に、各保持端部4a、4a間の長さが第1の弾性保持部3の各保持端部3a、3a間の長さより相対的に長くなっている。即ち、第1の弾性保持部3と第2の弾性保持部4とは、各保持端部間の長さが異なるものとなっている。また、第2の弾性保持部4は、包装体2との間に挿入される手の被装着部としての人差指から薬指までの3本の指や、足の先端部である被装着部としてのつま先部によって弾性変形することにより、包装体2の外周面2bを当該3本の指や、つま先部に押し付けるようになっている。また、各保持端部4a、4a間の長さは、挿入された3本の指やつま先に対して、重錘部0がその指等の幅方向に極力動かないように、互いに接触して横に並んだ状態の人差指、中指及び薬指における人差指から薬指までの間の幅寸法や、つま先部における足の底の幅寸法に近い長さに設定されている。
【0041】
上記のように構成されたダンス用トレーニング器具100においては、図5及び図6に示すように、重錘部0を掌側に位置させるようにして、第1の弾性保持部3と重錘部0との間に中指を挿入すると、第1の弾性保持部3が弾性変形し、これによって生じた弾性力により、第1の弾性保持部3及び重錘部0が中指に押し付けられた状態になる。このため、中指の縦方向及び幅方向に、重錘部0がずれるのを防止することができる。また、第1の弾性保持部3における各保持端部3a、3aから重錘部0の軸方向Xの中心Cまでの長さがほぼ等しく構成されており、重錘部0の重心が中指の中心線に沿う位置にくることになるので、手を動かした場合でも中指を中心にして重錘部0が回転するように動くのを極力防止することができる。従って、手における被装着部としての中指に安定的に装着することができる。しかも、第1の弾性保持部3における各保持端部3a、3a間の長さが中指の幅寸法に近い長さに設定されているので、重錘部0が中指の幅方向にずれるのをより確実に防止することができる。
【0042】
また、図示を省略するが、重錘部0を掌側に位置させるようにして、第2の弾性保持部4と重錘部0との間に例えば互いに接触して横に並んだ状態の人差指、中指及び薬指の3本の指を包装体2の外周面2bに接するように挿入すると、第2の弾性保持部4が弾性変形すると共にこの弾性変形によって生じた弾性力が3本の指に作用し、これらの3本の指に第2の弾性保持部4及び重錘部0が押し付けられた状態になる。このため、重錘部0が中指を中心とする3本の指の縦方向及び幅方向にずれるのを防止することができると共に、当該重錘部0が中指を中心にして回転するのも防止することができる。従って、手における被装着部としての中指を中心とする3本の指に安定的に装着することができる。また、第2の弾性保持部4における各保持端部4a、4a間の長さが人差指から薬指までの間の幅寸法に近い長さに設定されているので、重錘部0が3本の指の幅方向にずれるのをより確実に防止することができる。
【0043】
一方、図11に示すように、重錘部0を足の裏側に位置させるようにして、第2の弾性保持部4と重錘部0との間につま先を挿入することにより、第2の弾性保持部4の弾性力が足の被装着部の甲に作用し、重錘部0が足の裏に押し付けられた状態になる。(なお、この場合、バレエ用のシューズS等を介して、第2の弾性保持部4及び重錘部0が足の被装着部に押し付けられることになる。)これにより、重錘部0が足の被装着部に対してずれたり回転したりするのを防止することができる。従って、足の被装着部にも安定的に装着することができる。また、第2の弾性保持部4における各保持端部4a、4a間の長さが足の被装着部(足の裏)の幅寸法に近い長さに設定されているので、重錘部0が足の被装着部に対してずれるのをより確実に防止することができる。
【0044】
また、第1の弾性保持部3と第2の弾性保持部4とが重錘部0の周方向において互いに反対側となる位置に設けられているので、例えば図7に示すように、重錘部0を掌側に位置させるようにして、人差指と薬指とを第2の弾性保持部4と重錘部0との間に挿入し、その際、中指は当該第2の弾性保持部4の上に当接させておき、この状態から、図8に示すように、中指を下方に移動することによって第2の弾性保持部4を下方に弾性変形させると共に、図9に示すように、中指を人差指と薬指との間を通して重錘部0の下方に移動させ、更に図10に示すように、当該中指を重錘部0の下側に位置する第1の弾性保持部3と重錘部0との間に挿入することができる。
【0045】
この場合、第1の弾性保持部3及び第2の弾性保持部4が人差指、中指及び薬指の各指に巻きつくようにして弾性変形すると共に、当該各指に重錘部0を押し付けることになるので、中指を中心とする3本の指により確実かつ安定的に装着することができる。即ち、第1の弾性保持部3のみを利用した場合や、第2の弾性保持部4のみを利用した場合には、中指の根元部には安定的に装着することができても、当該中指の先端側の部分には安定的に装着することができない場合があり得るが、第1の弾性保持部3及び第2の弾性保持部4を同時に使用することにより、中指の先端側の部分にも安定的に装着することができる。
【0046】
この場合、第1の弾性保持部3の各保持端部3a、3a間の長さが中指の幅寸法に近い長さに設定され、第2の弾性保持部4の各保持端部4a、4aの長さが人差指から薬指までの間の幅寸法に近い長さに設定されているので、中指の先端側の部分により安定的に装着することができる。
【0047】
以上、手や足の先端部である被装着部に安定的に装着することができるので、バレエの練習に集中することができる。また、腕の外側の力を抜き、かつ内側の力を意識させる上で、特に手の中指に重さを感じさせることが有効であるが、この中指や、この中指を中心とする位置に装着して図12に示すようにバレエの練習をする際に、重錘部0が中指等に安定的に保持された状態になるので、バレエの習得効果をより高めることができる。しかも、中指における根元部から先端側の部分までのいずれの位置にも安定的に装着することができるので、バレエの習得効果をより一層高めることができる。また、足の被装着部にも、安定的に装着することができるので、図13に示すように、特に足の動きに関するバレエの習得効果を高めることができる。
【0048】
また、重り1がステンレス鋼で構成され比重の大きなものとなっているので、重錘部0をコンパクトに構成することができる。しかも、包装体2を介して、第1の弾性保持部3や第2の弾性保持部4を重錘部0に容易に連結することができる。また、重り1がステンレス鋼によって構成されているので、手や足の汗等によって重りが錆びることがなく、長期にわたって安定的に使用することができる。
【0049】
また、重り1が円柱状に形成されているので、当該重り1の外周面を包装体2で覆った重錘部0の形状も掌や足の裏になじみやすい円柱状の形状になる。従って、手や足の被装着部に痛みや疲れ等を感じさせることなく、より長くバレエの練習をすることができる。
【0050】
更に、第1の弾性保持部3や第2の弾性保持部4が帯状部材31、41によって構成されているので、第1の弾性保持部3や第2の弾性保持部4が手や足の被装着部に当たる面積をより広くとることができる。即ち、第1の弾性保持部3や第2の弾性保持部4から被装着部に作用する面圧を下げることができるので、当該被装着部に痛みや痒み等の違和感を生じさせることなく、より長くバレエの練習をすることができる。
【0051】
更にまた、包装体2が弾性的に伸縮する発泡ゴム層を有する生地21によって形成されているので、重錘部0が全体的に柔らかな感じを受けるものとなり、手や足の被装着部に装着した際の感触を向上させることができる。しかも、発泡ゴム層によって包装体2が断熱性に優れたものとなるので、重り1がステンレス鋼によって構成されていても、その金属の冷たさを感じることがなく、感触性の向上を図ることができる。更に、発泡ゴム層によって包装体2が緩衝性に優れたものとなるので、重錘部0が万一、人の体に当たるようなことがあっても、その際の衝撃を包装体2で吸収することができ、負傷するのを防止することができる。
【0052】
また、包装体2には生地21の伸縮性を利用して、重り1を入出させることが可能なスリット状の切れ込み2aが軸方向Xに延在すべく形成されているので、重り1を分離した状態で、包装体2のみを単独で縫製することができる。従って、製造能率の向上を図ることができる。しかも、切れ込み2aが軸方向Xに延在するスリット状に形成されているので、重り1を包装体2内に収納した後はその収納状態を安定的に維持することができると共に、通常の状態では切れ込み2aから重りが見えることがほとんどなく、外観上優れたものを得ることができる。また、重り1の角部に面取り1aが設けられているので、当該重り1を包装体2に対して安全にかつ容易に入出させることができる。
【0053】
なお、上記実施の形態においては、ダンス用トレーニング器具をバレエの練習に用いた例を示したが、このダンス用トレーニング器具はバレエ以外の他のダンスの練習の際にも用いることができることはいうまでもない。
【0054】
また、2本の帯状部材31、41を用いるように構成したが、この帯状部材31、41については、図14に示すように、1本の帯状部材51によって構成してもよい。即ち、帯状部材51は、その各端部51a、51aを、生地21における例えばライン21cとライン21dとの位置で縫い合わせる際に、当該生地21と共に縫い付けることにより、包装体2の軸方向Xの一方の端部に連結し、またその長手方向の中間部51bを、包装体2の軸方向Xの他方の端部に縫い付けて連結することにより、帯状部材31に相当する帯状部材51A及び帯状部材41に相当する帯状部材51Bを得るようになっている。このように、2本の帯状部材31、41を1本の帯状部材51で構成することができるので、部品点数の低減を図ることができる。
【0055】
更に、重り1の角部にテーパ状の面取り1aを設けた例を示したが、この面取り1aは、当該重り1の角部を円弧状に丸めるように形成したものであってもよい。
【0056】
更にまた、切れ込み2aは、図15に示すように、包装体2内に重り1を収納した後、生地21における非縫製部21m、21n同士をその長手方向の中央部で縫い合せると共に、その縫合部2cの両側の非縫製部21m、21n同士を接着することにより、接合するように構成してもよい。この場合、非縫製部21m、21nに接着剤を塗布した後、当該非縫製部21m、21nを密着させてから縫合部2cを縫い合わせることにより、非縫製部21m、21n同士を確実に接着することができる。そして、切れ込み2aを接合することにより、重り1が包装体2内に密閉された状態になり、当該重り1を包装体2によって確実に保持することができるという利点がある。なお、図15においては、縫合部2cの位置や、非縫製部21m、21nの接着について説明するため、当該縫合部2cを明記すると共に、非縫製部21m、21nの間が開いた状態を示しているが、縫合部2cについては、縫い合わせた後、外からはほとんど見えない状態に仕上がると共に、非縫製部21m、21nについては、縫合部2cや接着がされる前から互いにほぼ接した状態になっている。また、上述した生地21におけるライン21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21jの縫い合わせにより接合した部分についても、接着により接合してもよく、また縫製と接着の双方を用いて接合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施の形態として示したダンス用トレーニング器具の正面図である。
【図2】同ダンス用トレーニング器具の側面図である。
【図3】同ダンス用トレーニング器具を示す図であって、図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】同ダンス用トレーニング器具における包装体の展開図である。
【図5】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、中指に装着した状態を示す手の甲の上方からの斜視図である。
【図6】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、中指に装着した状態を示す手の側方からの斜視図である。
【図7】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、人差指、中指及び薬指を用いて装着する際の手順を示す第1の斜視図である。
【図8】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、人差指、中指及び薬指を用いて装着する際の手順を示す第2の斜視図である。
【図9】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、人差指、中指及び薬指を用いて装着する際の手順を示す第3の斜視図である。
【図10】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、人差指、中指及び薬指を用いて装着する際の手順を示す第4の斜視図である。
【図11】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、足に装着した状態を示す正面図である。
【図12】同ダンス用トレーニング器具を手に装着して行うバレエの練習状態を示す説明図である。
【図13】同ダンス用トレーニング器具を足に装着して行うバレエの練習状態を示す説明図である。
【図14】同ダンス用トレーニング器具における帯状部材の他の例を示す断面図である。
【図15】同ダンス用トレーニング器具における包装体の切れ込みを接合する例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
0 重錘部
1 重り
1a 面取り
2 包装体
2a 切れ込み
2b 外周面
3 第1の弾性保持部(弾性保持部)
3a、4a 保持端部
4 第2の弾性保持部
21 生地
31、41 帯状部材
100 ダンス用トレーニング器具
C 中心(中心部)
X 軸方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンスを練習する際に、手や足の先端部を被装着部として使用するダンス用トレーニング器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンスの一形式であるバレエでは、腕の動きが優雅になるように導くことが指導者の重要な課題の一つとなっている。例えば、腕の外側の力を抜き、内側の力を意識させながら、腕を動かす訓練をすることにより、身体の軸が安定すると共に、肩もすっきりとなだらかに下がるようになり、首が長く見えるようになる。この場合、手の先端部である指に重さを感じさせることにより、腕の外側の力が抜け、内側の力を意識しながら腕を動かすことがより簡単にできるようになる。このため、指の間でボールペン等を挟むように持たせながら、ポール・ド・ブラ等の練習をするように導く指導者もいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来においては、手の指に重さを感じさせるものとして、上述のように、ボールペン等のようなものしかなく、このようなボールペン等を指の間で挟んで保持したとしても、当該ボールペンを安定的に保持することができず、練習に集中することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、手や足の先端部である被装着部に安定的に装着することができ、ダンスの練習に集中することができるダンス用トレーニング器具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ダンスを練習する際に手や足の先端部を被装着部として用いるダンス用トレーニング器具であって、棒状に形成された重錘部と、この重錘部の外周面に沿うようにして当該重錘部の軸方向に延在すると共に、各保持端部が当該重錘部に連結された弾性部材よりなる弾性保持部とを備えてなり、前記弾性保持部は、前記重錘部の軸方向の中心部から前記各保持端部までの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該重錘部との間に挿入される前記被装着部によって弾性変形することにより、当該重錘部を当該被装着部に押し付けるようになっていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記重錘部の周方向における前記弾性保持部とは反対側の当該重錘部の外周面に沿うようにして当該重錘部の軸方向に延在し、各保持端部が当該重錘部に連結された弾性部材よりなる第2の弾性保持部を備えてなり、前記第2の弾性保持部は、前記重錘部の軸方向の中心部から当該第2の弾性保持部の前記各保持端部までの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該重錘部との間に挿入される前記被装着部によって弾性変形することにより、当該重錘部を当該被装着部に押し付けるようになっていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記弾性保持部と前記第2の弾性保持部とは、前記各保持端部間の長さが異なるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れかに記載の発明において、前記重錘部は、棒状に形成された重りと、この重りの外周面を覆うように形成された包装体とを備えた構成になっており、前記各保持端部は、前記包装体に連結されていることを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れかに記載の発明において、前記弾性部材は、ゴム弾性を有する帯状部材であることを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記重りは、防錆処理金属によって構成されていることを特徴としている。
【0011】
ここで、防錆処理金属としては、例えばステンレス鋼や、表面にクロムメッキ、亜鉛メッキ、樹脂コーティング等を施した鉄などの金属が挙げられる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項4から6の何れかに記載の発明において、前記重りは、円柱状に形成され、角部に面取りが施されていることを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項4から7の何れかに記載の発明において、前記包装体は、弾性的に伸縮する発泡ゴム層を有する生地によって形成されていると共に、前記生地の伸縮性を利用して前記重りを入出させることが可能なスリット状の切れ込みが軸方向に延在すべく形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、重錘部を掌側に位置させるようにして、弾性保持部と重錘部との間に手の被装着部としての例えば中指を挿入すると、弾性保持部が弾性変形し、これによって生じた弾性力により、弾性保持部及び重錘部が中指に押し付けられた状態になる。このため、中指の中心線に沿う方向(以下、「中指の縦方向」という)及び中指の幅方向に、重錘部がずれるのを防止することができる。また、弾性保持部における各保持端部から重錘部の軸方向の中心部までの長さがほぼ等しく構成されており、重錘部の重心が中指の中心線に沿う位置にくるようになるので、手を動かした場合でも中指を中心にして重錘部が回転するように動くのを極力防止することができる。従って、手における被装着部としての中指に安定的に装着することができる。また、弾性保持部における各保持端部間の長さを中指の幅寸法に近づけることにより、重錘部が中指の幅方向にずれるのをより確実に防止することができる。
【0015】
また、重錘部を掌側に位置させるようにして、弾性保持部と重錘部との間に例えば互いに接触して横に並んだ状態の人差指、中指及び薬指の3本の指を重錘部の外周面に接するように挿入すると、弾性保持部が弾性変形すると共にこの弾性変形によって生じた弾性力が3本の指に作用し、これらの3本の指に弾性保持部及び重錘部が押し付けられた状態になる。このため、重錘部が中指を中心とする3本の指の縦方向及び幅方向にずれるのを防止することができると共に、当該重錘部が中指を中心にして回転するのも防止することができる。従って、手における被装着部としての中指を中心とする3本の指に安定的に装着することができる。また、弾性保持部における各保持端部間の長さを、人差指から薬指までの間の幅寸法に近づけることにより、重錘部が3本の指の幅方向にずれるのをより確実に防止することができる。
【0016】
なお、上述した中指とは異なる他の指に装着したり、2本から5本の各本数の指に同時に装着したりすることなども可能であり、これらの場合も上述したように安定的に装着することができる。この場合も、弾性保持部における各保持端部間の長さを被装着部の幅寸法に近づけることにより、より安定的に装着することが可能となる。
【0017】
更に、重錘部を足の裏側に位置させるようにして、弾性保持部と重錘部との間につま先を挿入することにより、弾性保持部の弾性力が足の被装着部の甲に作用し、重錘部が足の裏に押し付けられた状態になる。なお、実際にはダンス用のシューズ等を介して、弾性保持部及び重錘部が足の被装着部に押し付けられることになる。このため、重錘部が足の被装着部に対してずれたり回転したりするのを防止することができる。従って、足の被装着部にも安定的に装着することができる。また、弾性保持部における各保持端部間の長さを、足の被装着部(足の裏)の幅寸法に近づけることにより、重錘部が足の被装着部に対してずれるのをより確実に防止することができる。
【0018】
以上、手や足の先端部である被装着部に安定的に装着することができるので、ダンスの練習に集中することができる。また、腕の外側の力を抜き、かつ内側の力を意識させる上で、特に手の中指に重さを感じさせることが有効であるが、この中指や、この中指を中心とする位置に上述のように安定的に装着することができるので、ダンスを効率よく習得することができる効果(即ち、ダンスの習得効果)をより高めることができる。また、足の被装着部に装着することにより、特に足の動きに関するダンスの習得効果を高めることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、上述した弾性保持部と同様に構成された第2の弾性保持部が重錘部における弾性保持部とは周方向の反対側に設けられているので、例えば、重錘部を掌側に位置させるようにして、人差指と薬指とを第2の弾性保持部と重錘部との間に挿入し、その際、中指は当該第2の弾性保持部の上に当接させておき、この状態から当該中指を下方に移動することによって第2の弾性保持部を下方に弾性変形させると共に、当該中指を人差指と薬指との間を通して重錘部の下方に移動させ、更に当該中指を重錘部の下側に位置する弾性保持部と重錘部との間に挿入することができる。
【0020】
この場合、人差指、中指及び薬指の3本の指が弾性保持部及び第2の弾性保持部によって圧迫された状態になると共に、重錘部に押し付けられた状態になるので、中指を中心とする3本の指により確実かつ安定的に装着することができる。即ち、弾性保持部のみを利用した場合や、第2の弾性保持部のみを利用した場合には、中指の根元部には安定的に装着することができても、当該中指の先端側の部分には安定的に装着することができない場合があり得るが、弾性保持部及び第2の弾性保持部を利用することにより、中指の先端側の部分にも安定的に装着することができる。
【0021】
また、弾性保持部の各保持端部間の長さを中指の幅寸法に近づけ、第2の弾性保持部の各保持端部間の長さを人差指から薬指までの間の幅寸法に近づけることにより、中指の先端側の部分に更に確実かつ安定的に装着することができる。
【0022】
従って、手における被装着部としての中指の根元部から先端側の部分までのいずれの位置にも安定的に装着することができるので、ダンスの習得効果をより高めることができる。また、弾性保持部及び第2の弾性保持部の少なくとも一方の各保持端部間の長さを足の被装着部の幅寸法に近づけておくことにより、当該足の被装着部にも、より安定的に装着することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、弾性保持部の各保持端部間の長さと第2の弾性保持部の各保持端部間の長さとが異なる長さに構成されているので、例えば弾性保持部の各保持端部間の長さを手の中指の幅寸法に近づけ、第2の弾性保持部の各保持端部間の長さを人差指から薬指までの間の幅寸法や足の被装着部の幅寸法に近づけることにより、弾性保持部のみを利用して上述のように中指に安定的に装着することができ、第2の弾性保持部のみを利用して上述のように中指を中心とする3本の指に安定的に装着したり、足の被装着部に安定的に装着したりすることができ、更に弾性保持部及び第2の弾性保持部を利用して上述のように中指を中心とする3本の指により安定的に装着することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、重錘部が棒状に形成された重りと、この重りの外周面を覆うように形成された包装体と備えた構成になっているので、その重りとして、金属等のように比重の大きな材質のものを用いることができるので、重錘部をコンパクトに構成することができる。しかも、包装体として、ソフトな材質のものや断熱性の高いもの等を用いることができるので、手や足に装着した際に、金属の硬さや冷たさを感じさせることのない感触性の優れた重錘部を得ることができる。また、各保持端部が包装体に連結されるようになっているので、例えば金属製の重りを用いていても、包装体を介して、弾性保持部や第2の弾性保持部を重錘部に容易に連結することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、弾性保持部や第2の弾性保持部を構成する弾性部材がゴム弾性を有する帯状部材であるので、弾性保持部や第2の弾性保持部が手や足の被装着部に当たる面積を広くとることができる。即ち、弾性保持部や第2の弾性保持部から被装着部に作用する面圧を下げることができるので、当該被装着部に痛みや痒み等の違和感を生じさせることなく、より長く練習することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、重りが防錆処理金属によって構成されているので、手や足の汗等によって重りが錆びることがなく、長期にわたって安定的に使用することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、重りが円柱状に形成されているので、当該重りの外周面を包装体で覆った重錘部の形状も掌や足の裏になじみやすい円柱状の形状になる。従って、手や足の被装着部に痛みや疲れ等を感じさせることなく、より長く練習することができる。また、重りの角部が面取りされているので、当該重りを包装体に対して安全にかつ容易に入出させることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、包装体が弾性的に伸縮する発泡ゴム層を有する生地によって形成されているので、重錘部が全体的に柔らかな感じを受けるものとなり、手や足の被装着部に装着した際の感触を向上させることができる。しかも、発泡ゴム層によって包装体が断熱性に優れたものとなるので、例えば金属製の重りを用いても、その重りの冷たさを感じることがなく、感触性の向上を図ることができる。更に、発泡ゴム層によって包装体が緩衝性の優れたものとなるので、重錘部が万一、人の体に当たるようなことがあっても、その際の衝撃を包装体で吸収することができ、怪我が生じるを防止することができる。
【0029】
また、包装体には生地の伸縮性を利用して、重りを入出させることが可能なスリット状の切れ込みが軸方向に延在すべく形成されているので、重りを分離した状態で、包装体のみを単独で製造することができる。従って、製造能率の向上を図ることができる。しかも、切れ込みが軸方向に延在するスリット状に形成されているので、重りを包装体内に収納した後はその収納状態を安定的に維持することができると共に、通常の状態では切れ込みから重りが見えることがほとんどなく、外観上優れたものとなるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態としての一実施の形態について、特にダンスの一形式としてのバレエに用いた例を図示しながら説明する。
【0031】
この実施の形態で示すダンス用トレーニング器具100は、図1〜図3に示すように、重錘部0と、第1の弾性保持部(弾性保持部)3と第2の弾性保持部4とを備えた構成になっている。また、重錘部0は、図3に示すように、重り1と、包装体2とを備えた構成になっている。
【0032】
重り1は、防錆処理金属としてのステンレス鋼によって断面円形状の棒状(円柱状)に形成されたものであり、軸方向Xの各端部の角部には当該軸方向Xに対して45度方向に傾斜したテーパ状の面取り1aが形成されている。この重り1は、断面の直径が10mm〜25mm程度、軸方向Xの長さが40mm〜80mm程度、重さが35g〜250g程度に構成されている。
【0033】
包装体2は、重り1の外周面に密着すると共に、当該重り1の各端面にも極力密着するようにして、当該重り1の全体を覆うように形成されたものであり、弾性的に伸縮する発泡ゴム層と、この発泡ゴム層の表面及び裏面のそれぞれに貼り付けられた伸縮自在な布層とからなる三層の生地21によって形成されている。発泡ゴム層は、例えば発泡クロロプレンゴムによって約2mmの厚さに形成されており、衝撃を吸収する緩衝性の優れたものになっていると共に、断熱性に優れたものになっている。2つの布層は、吸水性の少ない(即ち、乾きやすい)ポリプロピレン等の化学繊維によって形成されている。
【0034】
また、生地21は、展開すると、図4に示すように、ほぼ直角四角形状に形成されており、その十字状に直交する一方の中心線21aに沿って折り曲げて重ね、各縁に沿うライン21cとライン21d、ライン21eとライン21f、ライン21gとライン21h、及びライン21iとライン21jの各位置で互いに縫い合わせてから、全体を裏返すことにより、図1〜図3に示すような包装体2に形成されるようになっている。この場合、十字状に直交する他方の中心線21bの近傍部分は、互いに縫い合わせることになるライン21e、21fや、ライン21i、21jから外された非縫製部21m、21nとなっている。
【0035】
そして、この非縫製部21m、21nは、図1に示すように、包装体2における軸方向Xの中心部にあって、当該軸方向Xに延在するスリット状の切れ込み2aとなるようになっている。この切れ込み2aは、生地21の伸縮性を利用して重り1を包装体2に対して入出させることを可能にすると共に、上述したライン21c〜21jの位置で縫い合わせた後に、生地21の全体を裏返すことを可能にしている。
【0036】
なお、重錘部0は、包装体2が重り1の外周面等に密着するように形成されていることから、重り1と同様に、ほぼ円柱状の棒状に形成されている。また、軸方向X及び当該軸方向Xの中心(中心部)Cは、重錘部0、重り1及び包装体2のすべてにおいてほぼ共通したものとなっている。更に、重錘部0の外周面は、包装体2の外周面2bと一致している。
【0037】
第1の弾性保持部3は、図1〜図3に示すように、包装体2の外周面2bに沿うようにして当該包装体2の軸方向Xに延在し、各保持端部3a、3aが当該包装体2に連結された構成になっている。この第1の弾性保持部3は、弾性部材としてのゴム弾性を有する帯状部材31によって形成されている。この帯状部材31は、吸水性の少ない(即ち、乾きやすい)ポリプロピレン等の化学繊維と共に、複数の糸ゴムが織り込まれたもので構成されており、その帯状の一方の面が包装体2の外周面2bに向けられている。そして、帯状部材31は、その一方及び他方の端部が上述した図4におけるライン21cの位置とライン21dの位置とを縫い合わせる際に、及びライン21gの位置とライン21hの位置とを縫い合わせる際に、生地21に挟まれた状態で当該生地21と共に縫い付けられて、包装体2の軸方向Xの各端部に連結されるようになっている。更に、帯状部材31は、第1の弾性保持部3の各保持端部3a、3aに相当する部分が包装体2に縫い付けられることによって、当該包装体2に連結されている。
【0038】
また、第1の弾性保持部3は、図1及び図3に示すように、包装体2の軸方向Xの中心Cから各保持端部3a、3aまでの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該包装体2との間に挿入される手の先端部である被装着部としての中指によって弾性変形することにより、包装体2の外周面2bを中指に押し付けるようになっている。また、各保持端部3a、3a間の長さは、挿入される中指に対して、重錘部0がその中指の幅方向に極力動かないようにするため、当該中指の幅寸法より大きくかつ当該中指の幅寸法に近い長さに設定されている。
【0039】
一方、第2の弾性保持部4は、包装体2の周方向における第1の弾性保持部3とは反対側の当該包装体2の外周面2bに沿うようにして当該包装体2の軸方向Xに延在し、各保持端部4a、4aが当該包装体2に連結されることによって構成されている。この第2の弾性保持部4は、弾性部材としてのゴム弾性を有する帯状部材41によって形成されている。この帯状部材41は、上述した帯状部材31と同一の素材によって構成されており、その帯状の一方の面が包装体2の外周面2bに向けられている。また、帯状部材41は、その一方及び他方の端部が上述した図4におけるライン21cの位置とライン21dの位置とを縫い合わせる際に、及びライン21gの位置とライン21hの位置とを縫い合わせる際に、生地21に挟まれた状態で当該生地21と共に縫い付けられて、包装体2の軸方向Xの端部に固定されるようになっている。この場合、帯状部材41の一方及び他方の端部は、第2の弾性保持部4の各保持端部4a、4aと一致している。
【0040】
従って、第2の弾性保持部4は、包装体2の軸方向Xの中心Cから各保持端部4a、4aまでの長さがほぼ等しく構成されていると共に、各保持端部4a、4a間の長さが第1の弾性保持部3の各保持端部3a、3a間の長さより相対的に長くなっている。即ち、第1の弾性保持部3と第2の弾性保持部4とは、各保持端部間の長さが異なるものとなっている。また、第2の弾性保持部4は、包装体2との間に挿入される手の被装着部としての人差指から薬指までの3本の指や、足の先端部である被装着部としてのつま先部によって弾性変形することにより、包装体2の外周面2bを当該3本の指や、つま先部に押し付けるようになっている。また、各保持端部4a、4a間の長さは、挿入された3本の指やつま先に対して、重錘部0がその指等の幅方向に極力動かないように、互いに接触して横に並んだ状態の人差指、中指及び薬指における人差指から薬指までの間の幅寸法や、つま先部における足の底の幅寸法に近い長さに設定されている。
【0041】
上記のように構成されたダンス用トレーニング器具100においては、図5及び図6に示すように、重錘部0を掌側に位置させるようにして、第1の弾性保持部3と重錘部0との間に中指を挿入すると、第1の弾性保持部3が弾性変形し、これによって生じた弾性力により、第1の弾性保持部3及び重錘部0が中指に押し付けられた状態になる。このため、中指の縦方向及び幅方向に、重錘部0がずれるのを防止することができる。また、第1の弾性保持部3における各保持端部3a、3aから重錘部0の軸方向Xの中心Cまでの長さがほぼ等しく構成されており、重錘部0の重心が中指の中心線に沿う位置にくることになるので、手を動かした場合でも中指を中心にして重錘部0が回転するように動くのを極力防止することができる。従って、手における被装着部としての中指に安定的に装着することができる。しかも、第1の弾性保持部3における各保持端部3a、3a間の長さが中指の幅寸法に近い長さに設定されているので、重錘部0が中指の幅方向にずれるのをより確実に防止することができる。
【0042】
また、図示を省略するが、重錘部0を掌側に位置させるようにして、第2の弾性保持部4と重錘部0との間に例えば互いに接触して横に並んだ状態の人差指、中指及び薬指の3本の指を包装体2の外周面2bに接するように挿入すると、第2の弾性保持部4が弾性変形すると共にこの弾性変形によって生じた弾性力が3本の指に作用し、これらの3本の指に第2の弾性保持部4及び重錘部0が押し付けられた状態になる。このため、重錘部0が中指を中心とする3本の指の縦方向及び幅方向にずれるのを防止することができると共に、当該重錘部0が中指を中心にして回転するのも防止することができる。従って、手における被装着部としての中指を中心とする3本の指に安定的に装着することができる。また、第2の弾性保持部4における各保持端部4a、4a間の長さが人差指から薬指までの間の幅寸法に近い長さに設定されているので、重錘部0が3本の指の幅方向にずれるのをより確実に防止することができる。
【0043】
一方、図11に示すように、重錘部0を足の裏側に位置させるようにして、第2の弾性保持部4と重錘部0との間につま先を挿入することにより、第2の弾性保持部4の弾性力が足の被装着部の甲に作用し、重錘部0が足の裏に押し付けられた状態になる。(なお、この場合、バレエ用のシューズS等を介して、第2の弾性保持部4及び重錘部0が足の被装着部に押し付けられることになる。)これにより、重錘部0が足の被装着部に対してずれたり回転したりするのを防止することができる。従って、足の被装着部にも安定的に装着することができる。また、第2の弾性保持部4における各保持端部4a、4a間の長さが足の被装着部(足の裏)の幅寸法に近い長さに設定されているので、重錘部0が足の被装着部に対してずれるのをより確実に防止することができる。
【0044】
また、第1の弾性保持部3と第2の弾性保持部4とが重錘部0の周方向において互いに反対側となる位置に設けられているので、例えば図7に示すように、重錘部0を掌側に位置させるようにして、人差指と薬指とを第2の弾性保持部4と重錘部0との間に挿入し、その際、中指は当該第2の弾性保持部4の上に当接させておき、この状態から、図8に示すように、中指を下方に移動することによって第2の弾性保持部4を下方に弾性変形させると共に、図9に示すように、中指を人差指と薬指との間を通して重錘部0の下方に移動させ、更に図10に示すように、当該中指を重錘部0の下側に位置する第1の弾性保持部3と重錘部0との間に挿入することができる。
【0045】
この場合、第1の弾性保持部3及び第2の弾性保持部4が人差指、中指及び薬指の各指に巻きつくようにして弾性変形すると共に、当該各指に重錘部0を押し付けることになるので、中指を中心とする3本の指により確実かつ安定的に装着することができる。即ち、第1の弾性保持部3のみを利用した場合や、第2の弾性保持部4のみを利用した場合には、中指の根元部には安定的に装着することができても、当該中指の先端側の部分には安定的に装着することができない場合があり得るが、第1の弾性保持部3及び第2の弾性保持部4を同時に使用することにより、中指の先端側の部分にも安定的に装着することができる。
【0046】
この場合、第1の弾性保持部3の各保持端部3a、3a間の長さが中指の幅寸法に近い長さに設定され、第2の弾性保持部4の各保持端部4a、4aの長さが人差指から薬指までの間の幅寸法に近い長さに設定されているので、中指の先端側の部分により安定的に装着することができる。
【0047】
以上、手や足の先端部である被装着部に安定的に装着することができるので、バレエの練習に集中することができる。また、腕の外側の力を抜き、かつ内側の力を意識させる上で、特に手の中指に重さを感じさせることが有効であるが、この中指や、この中指を中心とする位置に装着して図12に示すようにバレエの練習をする際に、重錘部0が中指等に安定的に保持された状態になるので、バレエの習得効果をより高めることができる。しかも、中指における根元部から先端側の部分までのいずれの位置にも安定的に装着することができるので、バレエの習得効果をより一層高めることができる。また、足の被装着部にも、安定的に装着することができるので、図13に示すように、特に足の動きに関するバレエの習得効果を高めることができる。
【0048】
また、重り1がステンレス鋼で構成され比重の大きなものとなっているので、重錘部0をコンパクトに構成することができる。しかも、包装体2を介して、第1の弾性保持部3や第2の弾性保持部4を重錘部0に容易に連結することができる。また、重り1がステンレス鋼によって構成されているので、手や足の汗等によって重りが錆びることがなく、長期にわたって安定的に使用することができる。
【0049】
また、重り1が円柱状に形成されているので、当該重り1の外周面を包装体2で覆った重錘部0の形状も掌や足の裏になじみやすい円柱状の形状になる。従って、手や足の被装着部に痛みや疲れ等を感じさせることなく、より長くバレエの練習をすることができる。
【0050】
更に、第1の弾性保持部3や第2の弾性保持部4が帯状部材31、41によって構成されているので、第1の弾性保持部3や第2の弾性保持部4が手や足の被装着部に当たる面積をより広くとることができる。即ち、第1の弾性保持部3や第2の弾性保持部4から被装着部に作用する面圧を下げることができるので、当該被装着部に痛みや痒み等の違和感を生じさせることなく、より長くバレエの練習をすることができる。
【0051】
更にまた、包装体2が弾性的に伸縮する発泡ゴム層を有する生地21によって形成されているので、重錘部0が全体的に柔らかな感じを受けるものとなり、手や足の被装着部に装着した際の感触を向上させることができる。しかも、発泡ゴム層によって包装体2が断熱性に優れたものとなるので、重り1がステンレス鋼によって構成されていても、その金属の冷たさを感じることがなく、感触性の向上を図ることができる。更に、発泡ゴム層によって包装体2が緩衝性に優れたものとなるので、重錘部0が万一、人の体に当たるようなことがあっても、その際の衝撃を包装体2で吸収することができ、負傷するのを防止することができる。
【0052】
また、包装体2には生地21の伸縮性を利用して、重り1を入出させることが可能なスリット状の切れ込み2aが軸方向Xに延在すべく形成されているので、重り1を分離した状態で、包装体2のみを単独で縫製することができる。従って、製造能率の向上を図ることができる。しかも、切れ込み2aが軸方向Xに延在するスリット状に形成されているので、重り1を包装体2内に収納した後はその収納状態を安定的に維持することができると共に、通常の状態では切れ込み2aから重りが見えることがほとんどなく、外観上優れたものを得ることができる。また、重り1の角部に面取り1aが設けられているので、当該重り1を包装体2に対して安全にかつ容易に入出させることができる。
【0053】
なお、上記実施の形態においては、ダンス用トレーニング器具をバレエの練習に用いた例を示したが、このダンス用トレーニング器具はバレエ以外の他のダンスの練習の際にも用いることができることはいうまでもない。
【0054】
また、2本の帯状部材31、41を用いるように構成したが、この帯状部材31、41については、図14に示すように、1本の帯状部材51によって構成してもよい。即ち、帯状部材51は、その各端部51a、51aを、生地21における例えばライン21cとライン21dとの位置で縫い合わせる際に、当該生地21と共に縫い付けることにより、包装体2の軸方向Xの一方の端部に連結し、またその長手方向の中間部51bを、包装体2の軸方向Xの他方の端部に縫い付けて連結することにより、帯状部材31に相当する帯状部材51A及び帯状部材41に相当する帯状部材51Bを得るようになっている。このように、2本の帯状部材31、41を1本の帯状部材51で構成することができるので、部品点数の低減を図ることができる。
【0055】
更に、重り1の角部にテーパ状の面取り1aを設けた例を示したが、この面取り1aは、当該重り1の角部を円弧状に丸めるように形成したものであってもよい。
【0056】
更にまた、切れ込み2aは、図15に示すように、包装体2内に重り1を収納した後、生地21における非縫製部21m、21n同士をその長手方向の中央部で縫い合せると共に、その縫合部2cの両側の非縫製部21m、21n同士を接着することにより、接合するように構成してもよい。この場合、非縫製部21m、21nに接着剤を塗布した後、当該非縫製部21m、21nを密着させてから縫合部2cを縫い合わせることにより、非縫製部21m、21n同士を確実に接着することができる。そして、切れ込み2aを接合することにより、重り1が包装体2内に密閉された状態になり、当該重り1を包装体2によって確実に保持することができるという利点がある。なお、図15においては、縫合部2cの位置や、非縫製部21m、21nの接着について説明するため、当該縫合部2cを明記すると共に、非縫製部21m、21nの間が開いた状態を示しているが、縫合部2cについては、縫い合わせた後、外からはほとんど見えない状態に仕上がると共に、非縫製部21m、21nについては、縫合部2cや接着がされる前から互いにほぼ接した状態になっている。また、上述した生地21におけるライン21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21jの縫い合わせにより接合した部分についても、接着により接合してもよく、また縫製と接着の双方を用いて接合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施の形態として示したダンス用トレーニング器具の正面図である。
【図2】同ダンス用トレーニング器具の側面図である。
【図3】同ダンス用トレーニング器具を示す図であって、図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】同ダンス用トレーニング器具における包装体の展開図である。
【図5】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、中指に装着した状態を示す手の甲の上方からの斜視図である。
【図6】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、中指に装着した状態を示す手の側方からの斜視図である。
【図7】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、人差指、中指及び薬指を用いて装着する際の手順を示す第1の斜視図である。
【図8】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、人差指、中指及び薬指を用いて装着する際の手順を示す第2の斜視図である。
【図9】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、人差指、中指及び薬指を用いて装着する際の手順を示す第3の斜視図である。
【図10】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、人差指、中指及び薬指を用いて装着する際の手順を示す第4の斜視図である。
【図11】同ダンス用トレーニング器具の使用方法を示す図であって、足に装着した状態を示す正面図である。
【図12】同ダンス用トレーニング器具を手に装着して行うバレエの練習状態を示す説明図である。
【図13】同ダンス用トレーニング器具を足に装着して行うバレエの練習状態を示す説明図である。
【図14】同ダンス用トレーニング器具における帯状部材の他の例を示す断面図である。
【図15】同ダンス用トレーニング器具における包装体の切れ込みを接合する例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
0 重錘部
1 重り
1a 面取り
2 包装体
2a 切れ込み
2b 外周面
3 第1の弾性保持部(弾性保持部)
3a、4a 保持端部
4 第2の弾性保持部
21 生地
31、41 帯状部材
100 ダンス用トレーニング器具
C 中心(中心部)
X 軸方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンスを練習する際に手や足の先端部を被装着部として用いるダンス用トレーニング器具であって、
棒状に形成された重錘部と、
この重錘部の外周面に沿うようにして当該重錘部の軸方向に延在すると共に、各保持端部が当該重錘部に連結された弾性部材よりなる弾性保持部とを備えてなり、
前記弾性保持部は、前記重錘部の軸方向の中心部から前記各保持端部までの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該重錘部との間に挿入される前記被装着部によって弾性変形することにより、当該重錘部を当該被装着部に押し付けるようになっていることを特徴とするダンス用トレーニング器具。
【請求項2】
前記重錘部の周方向における前記弾性保持部とは反対側の当該重錘部の外周面に沿うようにして当該重錘部の軸方向に延在し、各保持端部が当該重錘部に連結された弾性部材よりなる第2の弾性保持部を備えてなり、
前記第2の弾性保持部は、前記重錘部の軸方向の中心部から当該第2の弾性保持部の前記各保持端部までの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該重錘部との間に挿入される前記被装着部によって弾性変形することにより、当該重錘部を当該被装着部に押し付けるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項3】
前記弾性保持部と前記第2の弾性保持部とは、前記各保持端部間の長さが異なるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項4】
前記重錘部は、棒状に形成された重りと、この重りの外周面を覆うように形成された包装体とを備えた構成になっており、
前記各保持端部は、前記包装体に連結されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項5】
前記弾性部材は、ゴム弾性を有する帯状部材であることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項6】
前記重りは、防錆処理金属によって構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項7】
前記重りは、円柱状に形成され、角部に面取りが施されていることを特徴とする請求項4から6のうちいずれか一項に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項8】
前記包装体は、弾性的に伸縮する発泡ゴム層を有する生地によって形成されていると共に、前記生地の伸縮性を利用して前記重りを入出させることが可能なスリット状の切れ込みが軸方向に延在すべく形成されていることを特徴とする請求項4から7のうちいずれか一項に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項1】
ダンスを練習する際に手や足の先端部を被装着部として用いるダンス用トレーニング器具であって、
棒状に形成された重錘部と、
この重錘部の外周面に沿うようにして当該重錘部の軸方向に延在すると共に、各保持端部が当該重錘部に連結された弾性部材よりなる弾性保持部とを備えてなり、
前記弾性保持部は、前記重錘部の軸方向の中心部から前記各保持端部までの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該重錘部との間に挿入される前記被装着部によって弾性変形することにより、当該重錘部を当該被装着部に押し付けるようになっていることを特徴とするダンス用トレーニング器具。
【請求項2】
前記重錘部の周方向における前記弾性保持部とは反対側の当該重錘部の外周面に沿うようにして当該重錘部の軸方向に延在し、各保持端部が当該重錘部に連結された弾性部材よりなる第2の弾性保持部を備えてなり、
前記第2の弾性保持部は、前記重錘部の軸方向の中心部から当該第2の弾性保持部の前記各保持端部までの長さがほぼ等しく構成され、かつ当該重錘部との間に挿入される前記被装着部によって弾性変形することにより、当該重錘部を当該被装着部に押し付けるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項3】
前記弾性保持部と前記第2の弾性保持部とは、前記各保持端部間の長さが異なるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項4】
前記重錘部は、棒状に形成された重りと、この重りの外周面を覆うように形成された包装体とを備えた構成になっており、
前記各保持端部は、前記包装体に連結されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項5】
前記弾性部材は、ゴム弾性を有する帯状部材であることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項6】
前記重りは、防錆処理金属によって構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項7】
前記重りは、円柱状に形成され、角部に面取りが施されていることを特徴とする請求項4から6のうちいずれか一項に記載のダンス用トレーニング器具。
【請求項8】
前記包装体は、弾性的に伸縮する発泡ゴム層を有する生地によって形成されていると共に、前記生地の伸縮性を利用して前記重りを入出させることが可能なスリット状の切れ込みが軸方向に延在すべく形成されていることを特徴とする請求項4から7のうちいずれか一項に記載のダンス用トレーニング器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−92977(P2008−92977A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274597(P2006−274597)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000109288)チャコット株式会社 (7)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000109288)チャコット株式会社 (7)
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