説明

チェーンカバーの構造

【課題】 配列したスプロケットにチェーンの内側のみならず外側が噛合って送られるものであっても、スプロケットにチェーンカバーが噛み込むことがなくチェーンカバーの破損を防止でき、かつ、チェーンを覆って周囲にいる人の衣服に汚れが付く等の問題が生じることを防止できるチェーンカバーの構造を提供する。
【解決手段】 チェーン13のチェーンカバー20、20は、対の外リンクプレート22、22のそれぞれの外側面22b、22bに対向させて対で配設し、ピン23の軸方向視でこれら対のチェーンカバー20、20の外縁部24、24を外リンクプレート22、22の外縁部22c、22cよりも大きく形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内リンクプレートと外リンクプレートがピンで連結されたチェーンを覆うチェーンカバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
チェーンは、駆動力を伝達する部材・手段として一般産業機器に広く使用されるものである。
【0003】
チェーンを物品の搬送用に使用する場合、搬送対象の物品に悪影響を及ぼさないことと周囲の人にグリースなどの油を付着させないこととのため、チェーンカバーによってチェーンを外側から覆ってその対策をしている。
【0004】
チェーンカバーに関して、例えば特許文献1(特開平8-231017号)には、チェーンにチェーンカバー取り付け用の特別の加工や部材を不要にするため、チェーンのリンクプレート側の左右両側面とローラに面する外側面を覆うチェーンカバーの提案がされている。
【特許文献1】特開平8-231017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、チェーンの搬送経路について考えると、配列したスプロケットの外側にチェーンが循環するものの場合は、スプロケットにはチェーンの内側部分のみが噛合うので、上記特許文献1の技術に係るチェーンカバーによってもスプロケットに干渉すること無くチェーンを循環できる。
【0006】
しかしながら、チェーンの循環経路が屈曲箇所がある等複雑であって、配列したスプロケットにチェーンの内側のみならず外側が噛合って循環するものの場合、上記特許文献1など従来のチェーンカバーによっては、チェーンの送り範囲に限界を設けないと、チェーンの外側に噛合うスプロケットがチェーンカバー外側面に噛み込んでしまう。この噛み込みによって、チェーンの動作不良、チェーンの復帰不良、ひいてはチェーンカバーの破損に至るという問題点を有している。
【0007】
例えば、立体駐車装置においては、乗員が乗り降りする際にチェーンに乗員の衣服が触れると、衣服の油汚れの原因になり、チェーンカバーが特に必要なものであるが、チェーンにチェーンカバーを配置できる範囲が限定されてしまい効果的に汚れ防止を図りにくい場合があった。
【0008】
具体的には、図8に示すように、車両を載せた下側架台aを引き上げるチェーンbは、上側の架台cの側部で水平方向に引き込むため、チェーンbの一側に噛合うスプロケットdとチェーンbの他側に噛合うスプロケットeとによって送られる。そのため、上記の特許文献1等のチェーンカバーfを設けた場合、チェーンbの外側面を覆う部分が符号gで示す箇所等でスプロケットeに噛み込んでしまい、装置の作動不良を引き起こす。
【0009】
一方、作動不良を引き起こさないように、チェーンbの他側に噛合うスプロケットeまでは送られない範囲(図8で範囲h)でチェーンカバーfを設けたのでは、乗員が乗り降りする際の汚れ防止対策としては有効ではない。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解消するためなされたものであって、配列したスプロケットにチェーンの内側のみならず外側が噛合って送られるものであっても、スプロケットにチェーンカバーが噛み込むことがなくチェーンカバーの破損を防止でき、かつ、チェーンを覆って周囲にいる人の衣服に汚れが付く等の問題が生じることを防止できるチェーンカバーの構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するため次の構成を有するチェーンカバーの構造である。
【0012】
本発明のチェーンカバーの構造は、厚さ方向に間隔を置いた対の内リンクプレートをその長さ方向端部同士が隣り合うよう複数配列し、その隣り合う対の内リンクプレートの長さ方向端部同士を上記厚さ方向外側から対の外リンクプレートによって挟み、対の外リンクプレート端部および対の内リンクプレート端部をピンによって貫通し、このピンおよび外リンクプレートによって複数の内リンクプレートを連続させたチェーンであって、このチェーンを覆うチェーンカバーを設け、そのチェーンカバーは、対の外リンクプレートのそれぞれの外側面に対向させて対で配設し、ピンの軸方向視でこれら対のチェーンカバーの外縁部を外リンクプレートの外縁部よりも大きく形成したことを特徴とする。
【0013】
本発明のチェーンカバーの構造においては、チェーンカバーが、外リンクプレートから露出するピンの端部周囲を覆ってそのピン端部周囲を外部から閉鎖する収容室を、外リンクプレートに対向する側の部分に設けたものであることが好適である。
【0014】
本発明のチェーンカバーの構造においては、チェーンカバーが、外リンクプレートに配設状態においてチェーンの連続方向に隣り合う外リンクプレートに設けたチェーンカバーの外縁部同士が一部重なることが好適である。
【0015】
本発明のチェーンカバーの構造においては、チェーンカバーの外縁部同士が一部重なる部分が、ピンの軸方向視で内リンクプレートの長さ方向中央部に重なることが好適である。
【0016】
本発明のチェーンカバーの構造においては、チェーンカバーが、外リンクプレートの内側に先端が回りこんで掛け止する掛け止部を内側に突出して形成したことが好適である。
【0017】
本発明のチェーンカバーの構造においては、チェーンカバーが、外リンクプレートの外縁部を包み込んで外リンクプレートに嵌着する筒状の突出部を設けていることが好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のチェーンカバーの構造によれば、そのチェーンカバーが、対の外リンクプレートのそれぞれの外側面に対向させて対で配設したので、配列したスプロケットにチェーンの内側のみならず外側が噛合って送られるものであっても、そのスプロケットにチェーンカバーが噛み込むことがなくチェーンカバーの破損を防止できる。また、チェーンカバーがスプロケットに噛み込まないためチェーンの送り距離に限界を与えることがない。
【0019】
またピンの軸方向視でこれら対のチェーンカバーの外縁部を外リンクプレートの外縁部よりも大きく形成したので、チェーンを覆ってチェーンの周囲のものに油が付くことを防止でき、例えば人がいてもその衣服に汚れが付くことを防止することができるという優れた効果を奏する。
【0020】
それと共に、本発明のチェーンカバーの構造において、チェーンカバーが、外リンクプレートから露出するピンの端部周囲を覆ってそのピン端部周囲を外部から閉鎖する収容室を、外リンクプレートに対向する側の部分に設けたものにすれば、ピンの端部から外プレートのグリースなどの油が滲出して露出してもチェーンカバーによってその油を受けて外部から触れなくすることができ、チェーンの周囲のものに油が付くことを確実に防止でき、例えば人がいてもその衣服に汚れが付くことを効果的に防止することができる。
【0021】
本発明のチェーンカバーの構造において、チェーンカバーが、外リンクプレートに配設状態においてチェーンの連続方向に隣り合う外リンクプレートに設けたチェーンカバーの外縁部同士が一部重なるものにすれば、その一部重なる部分によってチェーンに外部のものが触ることをより一層防止できる。
【0022】
本発明のチェーンカバーの構造において、チェーンカバーの外縁部同士が一部重なる部分が、ピンの軸方向視で内リンクプレートの長さ方向中央部に重なるものにすれば、外側面に油のつきやすい内リンクプレートに外部のものが触れなくなることを確実に防止できるの。
【0023】
本発明のチェーンカバーの構造においては、チェーンカバーが、外リンクプレートの内側に先端が回りこんで掛け止する掛け止部を内側に突出して形成したものにすれば、この掛け止部によって、チェーンカバーを外リンクプレートに簡単に装着・取り外しすることができ、チェーンに対するチェーンカバーの装着作業・交換作業が容易になり作業負荷を減少させることができる。
【0024】
本発明のチェーンカバーの構造においては、チェーンカバーが、外リンクプレートの外縁部を包み込んで外リンクプレートに嵌着する筒状の突出部を設けているものにすれば、その筒状の突出部の嵌着によってチェーンカバーが外リンクプレートに緊密に接し、かつ、チェーンカバーの外リンクプレートに対する相対的な位置がずれなくなってガタつきがなくなるのでチェーンカバーがチェーンから外れ難い。それと共に、その筒状の突出部の内部によって外リンクプレート全体を包む部屋とすることができ、外リンクプレートに付いているグリース等の油が完全に覆われるのでその油がチェーンの周囲のものに付くことをより一層確実に防止でき、例えば人がいてもその衣服に汚れが付くことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1〜図7は本発明のチェーンカバーの一実施形態に係る立体駐車装置である。
【0027】
図1は、立体駐車装置の全体者視図、図2はその立体駐車装置のパレットおよびその昇降装置の斜視説明図、図3はその昇降装置の側面視図、図4はチェーンにチェーンカバーを設けた例の説明図、図5はチェーンおよびチェーンカバーの構造とそれらの取り付け状態説明図、図6(a)はチェーンカバーの外リンクプレートに被せる側から見た平面視図、図6(b)はそのチェーンカバーの側面視図、図7(a)はチェーンカバーの長さ方向から見た側面図、図7(b)は図6の(a)のIV−IV線に沿う断面図である。
【0028】
図1〜図3に示すように、立体駐車装置1は、内部に複数の駐車空間2ができるように、複数の支柱3aおよび梁体3bを組み合わせて構成されている。
【0029】
立体駐車装置1の構成部品であって前記駐車空間2に配置されるパレット4には自動車6が搭載されるようになっている。
【0030】
パレット4は、立体駐車装置1の複数の支柱3aおよび梁体3bに対して上下方向に移動し、そして、後述するように複数の支柱3aおよび梁体3bに対して左右方向(水平方向に沿っている)にも移動するようになっている。そのパレット4が自動車を搭載した状態で上下左右に移動することによって目的の駐車空間2に自動車6が位置して、駐車する。
【0031】
パレット4は昇降装置7による昇降駆動によって昇降し、これによってパレット4が上下方向に移動する構成になっている。その昇降装置7は平面視概略矩形の支持枠体8の一辺部に設けられている。支持枠体8は、図示しないが、平面視でパレット4の外周縁に沿った形状を呈している。
【0032】
その支持枠体8は、支柱3aおよび梁体3bに対して左右方向に沿って設けられたレール部材9上を走行可能な状態でその支柱3aおよび梁体3bに支持されている。このように支持された支持枠体8の左右方向(実施形態では支持枠体8の短片方向に沿う)への移動によって昇降装置7とパレット4が左右方向にも移動可能に構成されている。
【0033】
昇降装置7は、支持枠体8のパレット4の長さ前後端付近に位置に離隔して配置された駆動側スプロケット10と被動側スプロケット11の間を循環して進退動する循環チェーン12と、この循環チェーン12の上側経路途中部12aに一端部13aが固定され他端部13bがパレット4に固定された昇降用チェーン13と、前記被動側スプロケット11に隣り合って循環チェーン12の外側に位置する、昇降用チェーン13の送り方向を水平逆向きに変える第1アイドルスプロケット14と、この第1アイドルスプロケット14によって送り方向が逆向きに変えられた昇降用チェーン13の送り方向を上下方向にさらに変える第2アイドルスプロケット15と、上記循環チェーン12の駆動側スプロケット10に進退駆動力を与えて昇降用チェーン13を介してパレット4を昇降駆動させるモータ16aおよび減速機構16b等からなる昇降用駆動部16とを備えている。
【0034】
パレット4には左右対の昇降用チェーン13、13の他端部13b、13bが前後で2対、固定部17…にボルト・ナットによって締着して固定され、パレット4は4箇所で吊られて昇降するようになっている。これら2対の昇降用チェーン13、13を駆動するため、図3に示すように、駆動側スプロケット10、被動側スプロケット11および循環チェーン12は2対ずつ左右に設けられている。
【0035】
左右2対の駆動側スプロケット10、10は、同じ駆動軸18に回転方向に固定して設けられており、昇降用駆動部16によってこの駆動軸18を正転・逆転駆動することによって、駆動側スプロケット10、10および被動側スプロケット11、11間を循環する循環チェーン12、12および昇降用チェーン13、13を介してパレット4を上昇・下降することができるようになっている。
【0036】
昇降用チェーン13、13には、パレット4を最下位置にした場合において、第2アイドルスプロケット15から固定部17の間の経路のものにチェーンカバー20を取り付けて、自動車6から乗員が乗り降りする際に乗員または他のものが昇降用チェーン13に直接的に触れないようにするものである。その他、この経路以上の長さで昇降用チェーン13にチェーンカバー20を設けることができる。
【0037】
図4〜図7にしたがって上記の昇降用チェーン13にチェーンカバー20を設けた構造について説明する。
【0038】
昇降用チェーンに使用するチェーン13は、厚さ方向に間隔を置いた対の内リンクプレート21、21をその長さ方向端部21a、21a同士が隣り合うよう複数配列し、その隣り合う対の内リンクプレート21、21の長さ方向端部21a、21a同士を上記厚さ方向外側から対の外リンクプレート22、22によって挟み、対の外リンクプレート22、22端部22a、22aおよび対の内リンクプレート端部21a、21aをピン23によって貫通し、このピン23および外リンクプレート22によって複数の内リンクプレート21を連続させたチェーンであって、このチェーン13を覆うチェーンカバー20を設けている。
【0039】
このチェーン13において、実施形態では、内リンクプレート21および外リンクプレート22は何れも同様形状のほぼ繭型を呈しており、鋼板材の打ち抜き等によって形成されたものである。そして内リンクプレート21および外リンクプレート22の長さ方向端部21aおよび22aには、ピン23を挿通させる貫通孔が形成されている。このピン23はかしめることによって外リンクプレート22に固定する。その他、ピン23は、端部の形成した溝にリングを嵌めたり、孔に割りピンを通す等の種々の構成によって外リンクプレート22に抜け止めすることできる。また、チェーン13は上記の繭型形状のリンクプレートを用いたものの他、長板形状のリンクプレートを用いたものでも良い。
【0040】
また、チェーン13は対の内リンクプレート21、21同士を間隔をおいて一体化した構造としており、具体的には、対の内リンクプレート21、21間にはピン23の挿通する筒状部が長さ方向の前後端に設けられており、この筒状部が対の内リンクプレート21、21同士に溶接等によって強固に固定されてそれらを支持すると共に、この筒状部外周にはスプロケットに当接するローラが配設される。このローラは、内リンクプレートを筒状部の軸方向に見た場合に内リンクプレート21、21の外周縁からはみ出さない構成になっている。
【0041】
図5に示すように、チェーン13のチェーンカバー20、20は、対の外リンクプレート22、22のそれぞれの外側面22b、22bに対向させて対で配設し、ピン(リンクピン)23の軸方向視でこれら対のチェーンカバー20、20の外縁部24、24を外リンクプレート22、22の外縁部22c、22cよりも大きく形成した。
【0042】
実施形態では、図6に示すように、チェーンカバー20、20の外縁部24、24は概略長円形形状を呈している。
【0043】
チェーンカバー20、20は、外リンクプレート22から露出するピン23の端部(ピン端部)23a周囲を覆ってそのピン端部23a周囲を外部から閉鎖する空間を形成した収容室25を、外リンクプレート22に対向する側の部分20a(裏面側)に設けたものである。
【0044】
実施形態では、収容室25は外リンクプレート22の前後端部22a、22aに露出するピン端部23a、23aを同時に覆うように、裏面側20aから表面側20bに向けて凹んで裏面側20aから見て長円形状を呈した空間を呈している。チェーンカバー20の表面側20bには収容室25の外形が膨出している。
【0045】
また、チェーンカバー20が、外リンクプレート22に配設状態において、チェーン13の連続方向に隣り合う外リンクプレート22に設けたチェーンカバー20の外縁部24、24同士が一部重なるように(一部重なった部分を符号28で示す)その外縁部24、24は鍔状に広がっている。
【0046】
実施形態では、このチェーンカバー20の外縁部24は、図5、図6(特に(b))に示すように、側面視で一端部24aが他端部24bよりも表面側20b方向に高くなるように段差(境界部24c)が形成されている。この外縁部24の一端部24aが他端部24bよりも高いことによって、チェーン13において連続する外リンクプレート22にチェーンカバー20を設けた場合に隣り合うチェーンカバー20の外縁部24、24同士が重なっても互いに干渉せず、段差は外縁部24の一端部24a側に偏倚して形成されているので、チェーン13が曲がって重なる位置が変化しても外縁部24、24同士がぶつかって干渉しあうことが無い。段差の境界部24cは図5に示すような直線的なものでなくても曲線的なものでも良く、例えば他方のチェーンカバー20外縁部に沿う形状とすることができる。つまり、隣り合うチェーンカバー20、20同士において、重なった外縁部24、24の一方の周縁が他のチェーンカバー20に当らない限り種々の形状を取り得る。
【0047】
そして、上記チェーンカバー20、20の外縁部24、24同士が一部重なる部分28が、ピン23の軸方向視で内リンクプレート21の長さ方向中央部に重なるものである。
【0048】
また、上記チェーンカバー20、20が、外リンクプレート22、22の内側に先端が回り込んで掛け止する掛け止部26を内側に突出して形成したものである。
【0049】
また、チェーンカバー20が、外リンクプレート22、22の外縁部22c、22cを包み込んで外リンクプレート22、22に嵌着する筒状の突出部27を設けている。実施形態では、図7に示すように、突出部27によって外リンクプレート22を包み込むようにして嵌め込み、その嵌め込んだ状態で外リンクプレート22の内側面に掛け止部26の鉤状の先端部を引っ掛けて、外リンクプレート22からチェーンカバー20が取れないようにする。
【0050】
実施形態のチェーンカバーの構造によれば、チェーンカバー20、20を対の外リンクプレート22、22のそれぞれの外側面に対向させて対で配設したので、配列したスプロケットにチェーン13の内側のみならず外側が噛合って送られるものであっても、そのスプロケットにチェーンカバー20が噛み込むことがなくチェーンカバー20の破損を防止できる。また、チェーンカバー20がスプロケットに噛み込まないためチェーン13の送り距離に限界を与えることがない。
【0051】
また、ピン23の軸方向視でこれら対のチェーンカバー20、20の外縁部24、24を外リンクプレート22、22の外縁部22c、22cよりも大きく形成したので、チェーン13を覆ってチェーン13の周囲のものに油が付くことを防止でき、例えば人がいてもその衣服に汚れが付くことを防止することができる。
【0052】
それと共に、チェーンカバー20、20が、外リンクプレート22、22から露出するピン23、23の端部周囲を覆ってそのピン端部周囲を外部から閉鎖する収容室25を、外リンクプレート22、22に対向する側の部分に設けたものにすれば、ピン23、23の端部から外リンクプレート22、22のグリースなどの油が滲出して露出してもチェーンカバー20によってその油を受けて外部から触れなくすることができ、チェーン13の周囲のものに油が付くことを確実に防止でき、例えば人がいてもその衣服に汚れが付くことを効果的に防止することができる。
【0053】
また、チェーンカバー20が、外リンクプレート22に配設状態においてチェーン13の連続方向に隣り合う外リンクプレート22、22に設けたチェーンカバー20、20の外縁部24、24同士が一部重なるものなので、一部重なる部分28によってよりチェーン13に外部の直接触れることを一層効果的に防止できる。
【0054】
また、チェーンカバー20の外縁部24、24同士が一部重なる部分28が、ピン23の軸方向視で内リンクプレート21の長さ方向中央部に重なるものなので、外側面に油のつきやすい内リンクプレートに外部のものが触れなくなることを確実に防止できるの。
【0055】
また、チェーンカバー20が、外リンクプレート22の内側に先端が回りこんで掛け止する掛け止部26を内側に突出して形成したので、この掛け止部26によって、チェーンカバー20を外リンクプレート22に簡単に装着・取り外しすることができ、チェーンカバー20の装着作業・交換作業が容易になり作業負荷を減少させることができる。
【0056】
また、チェーンカバー20が、外リンクプレート22の外縁部を包み込んで外リンクプレート22に嵌着する筒状の突出部27を設けているものなので、その筒状の突出部27の嵌着によってチェーンカバー20が外リンクプレート22に緊密に接し、かつ、チェーンカバー20の外リンクプレート22に対する相対的な位置がずれなくなってガタつきがなくなるのでチェーンカバー20がチェーン13から外れ難くなる。それと共に、その筒状の突出部27の内部によって外リンクプレート22全体を包む部屋とすることができ、外リンクプレート22に付いているグリース等の油が完全に覆われるのでその油がチェーン13の周囲のものに付くことをより一層確実に防止でき、例えば人がいてもその衣服に汚れが付くことを防止することができる。
【0057】
尚、本発明のチェーンカバーの構造は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。本発明のチェーンカバーの構造は、実施形態の立体駐車装置の昇降用チェーンに用いる他、駆動力伝達用のチェーンであって、外部に対する汚れの付着が問題になる箇所で有れば何れの分野のチェーンにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のチェーンカバーの構造が採用されたチェーンを用いる立体駐車装置の全体斜視図である。
【図2】図1の立体駐車装置のパレットおよびその昇降装置の斜視説明図である。
【図3】パレットの昇降装置の側面視図である。
【図4】チェーンにチェーンカバーを設けた例の説明図である。
【図5】(a)、(b)はチェーンおよびチェーンカバーの構造とそれらの取り付け前、取り付け後の各状態の説明図である。
【図6】(a)はチェーンカバーの外リンクプレートに被せる側から見た平面視図、(b)はそのチェーンカバーの側面視図である。
【図7】(a)はチェーンカバーの長さ方向から見た側面図、(b)は図6の(a)のIV−IV線に沿う断面視図である。
【図8】従来のチェーンにチェーンカバーを設けた例の説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 立体駐車装置
2 駐車空間
3a 支柱
3b 梁体
4 パレット
6 自動車
7 パレットの昇降装置
8 支持枠体
9 レール部材
10 駆動側スプロケット
11 被動側スプロケット
12 循環チェーン
12a 上側経路途中部
13 昇降用のチェーン
13a チェーンの一端部
13b チェーンの他端部
14 第1アイドルスプロケット
15 第2アイドルスプロケット
16 昇降用駆動部
16a モータ
16b 減速機構
17 固定部
18 駆動軸
20 チェーンカバー
20a 裏面側
20b 表面側
21 内リンクプレート
21a 内リンクプレートの長さ方向前後の端部
22 外リンクプレート
22a 外リンクプレートの長さ方向前後の端部
22b 外リンクプレートの外側面
22c 外リンクプレートの外縁部
23 ピン
23a ピン端部
24 チェーンカバーの外縁部
24a 外縁部の一端部
24b 外縁部の他端部
24c 外縁部の境界部
25 収容室
26 掛け止部
27 筒状の突出部
28 チェーンカバーの外縁部同士が一部重なる部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に間隔を置いた対の内リンクプレートをその長さ方向端部同士が隣り合うよう複数配列し、その隣り合う対の内リンクプレートの長さ方向端部同士を上記厚さ方向外側から対の外リンクプレートによって挟み、対の外リンクプレート端部および対の内リンクプレート端部をピンによって貫通し、このピンおよび外リンクプレートによって複数の内リンクプレートを連続させたチェーンであって、
このチェーンを覆うチェーンカバーを設け、
そのチェーンカバーは、対の外リンクプレートのそれぞれの外側面に対向させて対で配設し、ピンの軸方向視でこれら対のチェーンカバーの外縁部を外リンクプレートの外縁部よりも大きく形成したことを特徴とするチェーンカバーの構造。
【請求項2】
チェーンカバーは、外リンクプレートから露出するピンの端部周囲を覆ってそのピン端部周囲を外部から閉鎖する収容室を、外リンクプレートに対向する側の部分に設けたものであることを特徴とする請求項1に記載のチェーンカバーの構造。
【請求項3】
チェーンカバーは、外リンクプレートに配設状態においてチェーンの連続方向に隣り合う外リンクプレートに設けたチェーンカバーの外縁部同士が一部重なることを特徴とする請求項1または2に記載のチェーンカバーの構造。
【請求項4】
チェーンカバーの外縁部同士が一部重なる部分は、ピンの軸方向視で内リンクプレートの長さ方向中央部に重なることを特徴とする請求項3に記載のチェーンカバーの構造。
【請求項5】
チェーンカバーは、外リンクプレートの内側に先端が回りこんで掛け止する掛け止部を内側に突出して形成したことを特徴とする請求項1から4のうちの1項に記載のチェーンカバーの構造。
【請求項6】
チェーンカバーは、外リンクプレートの外縁部を包み込んで外リンクプレートに嵌着する筒状の突出部を設けていることを特徴とする請求項1から5のうちの1項に記載のチェーンカバーの構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−183771(P2006−183771A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377611(P2004−377611)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(300058983)株式会社共伸製作所 (1)