チェーンガイド
【課題】チェーン伝動装置に備えられて、隣接部材との接触に起因する騒音および摩耗が抑制されるチェーンガイドを提供する。
【解決手段】チェーン伝動装置において、仮想平面P1と交わる位置で走行する伝動チェーン13を案内すると共にチェーンテンショナにより付勢される可動ガイド100は、第1伝動チェーン13とは別の伝動チェーン23を案内すると共に軸線方向で隣接する固定ガイド270に近接して、かつ軸線方向から見て固定ガイド270と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されている。可動ガイド100は、軸線方向で固定ガイド270と対向する対向面111に、前記重合領域において軸線方向で固定ガイド270に向かって突出していると共に合成樹脂で形成されている突起部150を有する。可動ガイド100は、チェーン伝動装置の作動時に、仮想平面P1に関して傾斜したときに、突起部150にて固定ガイド270に接触する。
【解決手段】チェーン伝動装置において、仮想平面P1と交わる位置で走行する伝動チェーン13を案内すると共にチェーンテンショナにより付勢される可動ガイド100は、第1伝動チェーン13とは別の伝動チェーン23を案内すると共に軸線方向で隣接する固定ガイド270に近接して、かつ軸線方向から見て固定ガイド270と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されている。可動ガイド100は、軸線方向で固定ガイド270と対向する対向面111に、前記重合領域において軸線方向で固定ガイド270に向かって突出していると共に合成樹脂で形成されている突起部150を有する。可動ガイド100は、チェーン伝動装置の作動時に、仮想平面P1に関して傾斜したときに、突起部150にて固定ガイド270に接触する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に関し、詳細には、該チェーン伝動装置に備えられると共に、スプロケットに巻き掛けられて走行する伝動チェーンを案内するチェーンガイドに関する。そして、チェーン伝動装置は、例えば、エンジンが備えるタイミングチェーン伝動装置である。
【背景技術】
【0002】
チェーン伝動装置が、スプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンと、該スプロケットの回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する伝動チェーンを案内するチェーンガイドとを備え、該チェーンガイドが、前記回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材としての第2チェーンガイドに近接して、かつ軸線方向から見て該第2チェーンガイドと互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されているものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−20952号公報(段落0043〜0048、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来のチェーン伝動装置に関連して、図13を参照すると、チェーン伝動装置500において、スプロケットの回転軸線に直交する仮想平面P5と交わる位置で走行する伝動チェーン510を案内するチェーンガイドである可動ガイド511と、伝動チェーン510とは別の第2伝動チェーン520を案内する第2チェーンガイドである固定ガイド521とが、前記回転軸線に平行な軸線方向で近接して、かつ軸線方向から見て可動ガイドと固定ガイドとが互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されている場合には、チェーン伝動装置500の作動時に、伝動チェーン510の僅かな蛇行などに起因して、伝動チェーン510から可動ガイド511に軸線方向での力が作用したときに、図13に二点鎖線で示されるように、可動ガイド511が、固定ガイド521に対して相対的に、仮想平面P5に関して傾斜する傾斜状態、この例では、可動ガイド510が仮想平面Pに関して傾斜する傾斜状態が生じることがある。
【0005】
この傾斜状態は、可動ガイド511が、例えば、伝動チェーン510に張力を付与するチェーンテンショナ(図示されず)により付勢されて揺動する構造である場合に、チェーン伝動装置500が備えられる機械の本体(例えば、エンジンのエンジン本体)に設けられた支持軸に可動ガイド511を揺動可能に支持するために、可動ガイド511と前記支持軸との間に隙間が形成されていることにより発生する。
【0006】
そして、可動ガイド511と固定ガイド521との間で、このような傾斜状態が生じると、可動ガイド511が固定ガイド521に接触または衝突(以下、衝突を含めて、単に「接触」という。)して騒音が発生するという問題や、繰り返される接触または両ガイド511,521が接触状態で可動ガイド511が揺動することで、両ガイド511,521が摩耗するという問題があった。
【0007】
さらに、傾斜した可動ガイド511が固定ガイド521に引っ掛かることで、可動ガイド511が揺動できなくなる固定状態が発生すると、前記チェーンテンショナにより付勢されて揺動する可動ガイド511による伝動チェーン510の張力調整が困難になるという問題があった。
また、可動ガイド511が前記傾斜状態になることに起因する前述の騒音および摩耗などは、前記隣接部材が、固定ガイド521である場合に限らず、可動ガイド511とは別の可動ガイドである場合、およびエンジン本体である場合にも発生する。
【0008】
本発明は、前述の課題を解決するものであって、その目的は、チェーン伝動装置に備えられて、隣接部材との接触に起因する騒音および摩耗が抑制されるチェーンガイドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、請求項1に係る発明は、回転軸線を中心に回転可能なスプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に備えられて、前記回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する前記伝動チェーンを案内するチェーンガイドであって、前記回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材に近接して、かつ前記軸線方向から見て前記隣接部材と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されているチェーンガイドにおいて、走行している前記伝動チェーンが摺接するチェーン走行面と前記軸線方向で前記隣接部材と対向する対向面とを有するガイド本体と、前記重合領域において前記軸線方向で前記隣接部材に向かって突出して前記対向面に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部とを有し、前記チェーン伝動装置の作動時に、前記隣接部材との間で前記仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、前記突起部にて前記隣接部材に最初に接触することにより、前述の課題を解決したものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記ガイド本体が、前記チェーン走行面を有するシューと、前記シューを支持する剛性部としてのベースとを有し、前記突起部と前記シューとが、合成樹脂の一体成形により形成されており、前記突起部が、前記対向面において、ガイド長手方向に直交する直交方向で、前記シューから、前記ベースにおいて前記直交方向で前記シューとは反対側の端部まで延びている突条であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記突起部が、前記軸線方向に弧状に隆起していると共に、前記対向面においてガイド長手方向に直交する直交方向に延びている突条であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記突起部には、前記チェーン走行面に連通して前記チェーン走行面に付着している潤滑油を導く油溝が設けられていることにより、前述の課題を解決したものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の構成に加えて、前記ガイド本体が、チェーンテンショナのプランジャが当接する当接面を有するパッドを有し、前記油溝が、潤滑油が前記当接面に導かれるように、前記当接面に達していることにより、前述の課題を解決したものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記突起部が、中空部を形成している部分筒状壁であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記突起部が、ガイド長手方向で離隔する位置から前記軸線方向に突出すると共に、突出するにつれてガイド長手方向で互いに近づくように湾曲する1対の弧状壁であり、一方の前記弧状壁の先端部が、他方の前記弧状壁との間に隙間を形成しているか、または前記他方の弧状壁に接触していることにより、前述の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0016】
そこで、本発明のチェーンガイドは、回転軸線を中心に回転可能なスプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に備えられて、回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する伝動チェーンを案内すると共に、回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材に近接して、かつ軸線方向から見て隣接部材と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されていることにより、チェーンガイドが軸線方向で隣接部材に近接して配置されるので、共に重合領域を形成する隣接部材に対して、伝動チェーンを軸線方向でコンパクトに配置することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
【0017】
すなわち、請求項1に係る本発明のチェーンガイドによれば、走行している伝動チェーンが摺接するチェーン走行面と軸線方向で隣接部材と対向する対向面とを有するガイド本体と、重合領域において軸線方向で隣接部材に向かって突出して対向面に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部とを有し、チェーン伝動装置の作動時に、隣接部材との間で仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、突起部にて隣接部材に最初に接触することにより、チェーンガイドと隣接部材との間で相対的な傾斜が生じる傾斜状態で、チェーンガイドと隣接部材とが接触するときに、チェーンガイドにおいては、合成樹脂製の突起部が隣接部材と最初に接触(衝突を含む。)するので、ガイド本体と隣接部材が最初に接触する場合に比べて、突起部が合成樹脂に基づく弾性を有することに基づいて、突起部が奏する緩衝効果により、チェーンガイドと隣接部材との接触に起因して発生する騒音を抑制することができ、さらに突起部が合成樹脂であることにより、チェーンガイドと隣接部材との接触に起因するチェーンガイドおよび隣接部材の摩耗の発生を抑制または防止することができる。
【0018】
請求項2に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、ガイド本体が、走行している伝動チェーンが摺接するチェーン走行面を有するシューと、シューを支持する剛性部としてのベースとを有し、突起部とシューとが、合成樹脂の一体成形により形成されており、突起部が、対向面において、ガイド長手方向に直交する直交方向で、シューから、ベースにおいて直交方向でシューとは反対側の端部まで延びている突条であることにより、突起部がシューと一体成形されるので、部品点数が削減されて、チェーンガイドのコストを削減することができるうえ、突起部が直交方向でベースを横切ってシューからベースの端部まで延びているので、チェーンガイドと隣接部材とが直交方向で相対的に変位するときにも、ガイド本体と隣接部材との接触および引っ掛かりを防止することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、突起部が、軸線方向に弧状に隆起していると共に、対向面においてガイド長手方向に直交する直交方向に延びている突条であることにより、仮想平面に関して、直交方向回りにチェーンガイドが傾斜する場合にも、隣接部材が滑らかな弧状部分で突起部と接触するので、仮想平面に関して、直交方向回りでのチェーンガイドの傾斜角に依存することを減少させながら、接触に起因する騒音および摩耗の抑制が可能になり、また突起部に発生する摩耗も抑制することができる。
【0020】
請求項4に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、突起部には、チェーン走行面に連通してチェーン走行面に付着している潤滑油を導く油溝が設けられていることにより、チェーン走行面上から油溝を通じて突起部に導かれた潤滑油により、隣接部材における突起部との接触部での摩耗を抑制することができ、さらに突起部での摩耗を抑制することができる。
【0021】
請求項5に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、ガイド本体が、チェーンテンショナのプランジャが当接する当接面を有するパッドを有し、油溝が、潤滑油が当接面に導かれるように、当接面に達していることにより、チェーン走行面の潤滑油が油溝を介して当接面に供給されるので、パッドの摩耗を抑制することができる。また、プランジャとパッドとの当接時に、プランジャと当接面とに挟まれる空気が油溝を通じて、プランジャと当接面との間から放出されるので、プランジャと当接面とにより空気が圧縮されることが防止されて、プランジャおよび当接面間からの圧縮空気の流出に起因する騒音を防止することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、突起部が、中空部を形成している部分筒状壁であることにより、中空部が形成されていることで突起部の剛性が低下して、突起部での弾性変形による可撓性が高められるので、隣接部材との衝突時に、突起部が撓み易くなり、突起部と隣接部材との衝突による衝撃が緩和されて、衝突に起因する騒音を低減することができる。
【0023】
請求項7に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、突起部が、ガイド長手方向で離隔する位置から軸線方向に突出すると共に、突出するにつれてガイド長手方向で互いに近づくように湾曲する1対の弧状壁であり、一方の弧状壁の先端部が、他方の弧状壁との間に隙間を形成しているか、または他方の弧状壁に接触していることにより、突起部がガイド長手方向で分かれている1対の弧状壁であるために、隣接部材との衝突による突起部の弾性変形による可撓性が高められるので、突起部による緩衝効果が向上し、突起部と隣接部材との衝突時の、突起部による騒音低減効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施例を示し、軸線方向から見たチェーン伝動装置の全体図。
【図2】図1のチェーン伝動装置の可動ガイドの斜視図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】図1のIV−IV線断面図。
【図5】図1のV矢視での要部の図。
【図6】図1のチェーン伝動装置の可動ガイドの傾斜状態を説明するための図4に相当する断面図。
【図7】本発明の第2実施例を示し、チェーン伝動装置の可動ガイドの、図2に相当する図。
【図8】第2実施例において、図5に相当する図。
【図9】本発明の第3実施例を示し、チェーン伝動装置の可動ガイドの、図2に相当する図。
【図10】第3実施例において、図5に相当する図。
【図11】本発明の第4実施例を示し、チェーン伝動装置の可動ガイドの、図2に相当する要部の図。
【図12】第4実施例において、図4に相当する要部の図。
【図13】従来技術を示し、チェーン伝動装置の可動ガイドの傾斜状態を説明するための図4に相当する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のチェーンガイドは、回転軸線を中心に回転可能なスプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に備えられて、回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する伝動チェーンを案内すると共に、回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材に近接して、かつ軸線方向から見て隣接部材と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されており、走行している伝動チェーンが摺接するチェーン走行面と軸線方向で隣接部材と対向する対向面とを有するガイド本体と、重合領域において軸線方向で隣接部材に向かって突出して対向面に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部とを有し、チェーン伝動装置の作動時に、隣接部材との間で仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、突起部にて隣接部材に最初に接触することにより、隣接部材との接触に起因する騒音および摩耗が抑制されるものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
【0026】
本発明において、「近接」とは、チェーン伝動装置の作動時に、チェーンガイドおよび隣接部材の少なくとも一方が傾斜するときに、チェーンガイドと隣接部材とが接触し得る程度の間隔である所定間隔を置いて、チェーンガイドおよび隣接部材が軸線方向に離隔していることを意味する。
本発明において、チェーンガイドと隣接部材との「接触」には、チェーンガイドと隣接部材との衝突も含まれる。
チェーンガイドおよび隣接部材の両者が、合成樹脂製の突起部を有していてもよく、さらにこの場合に、突起部同士が接触してもよい。
本発明において、チェーン伝動装置の作動時に、隣接部材との間で仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態は、チェーンガイドおよび隣接部材の少なくとも一方が、仮想平面に関して傾斜する状態を意味する。
【0027】
本発明において、チェーンガイドが、チェーン伝動装置を備える機械の本体に設けられたガイド支持部に傾斜状態が発生し得る状態で移動可能に支持される可動ガイドである場合、隣接部材は、伝動チェーンとは別の伝動チェーンを案内すると共に前記機械の本体に固定されて設けられる固定ガイド、または、前記機械の本体に設けられた前記ガイド支持部とは別のガイド支持部に傾斜状態が発生し得る状態で移動可能に支持されると共に前記別の伝動チェーンを案内する、前記伝動チェーンとは別の可動ガイド、または、前記機械の本体である。
【0028】
また、本発明において、チェーンガイドが、チェーン伝動装置を備える機械の本体に固定されて設けられる固定ガイドである場合、隣接部材は、前記機械の本体に設けられたガイド支持部に傾斜状態が発生し得る状態で移動可能に支持されると共に伝動チェーンとは別の伝動チェーンを案内する可動ガイドである。
【0029】
可動ガイドは、例えば、伝動チェーンに張力を付与するチェーンテンショナに付勢されて移動する可動ガイドである。
本発明のチェーンガイドを備えるチェーン伝動装置は、エンジンおよびエンジン以外の機械(例えば、搬送装置)のいずれに備えられてもよい。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を図1〜図12を参照して説明する。
図1〜図6は、本発明の第1実施例を説明するための図である。
図1を参照すると、本発明の第1実施例において、チェーン伝動装置1は、機械としての内燃機関であるエンジン30に備えられて、該エンジン30の動弁装置を駆動するタイミングチェーン伝動装置である。エンジン30は、例えば、第1,第2バンク32,33を備えるV型エンジンであり、自動車に搭載される。
【0031】
チェーン伝動装置1は、エンジン30の潤滑油供給装置(図示されず)から供給される潤滑油により潤滑される。そして、チェーン伝動装置1の全体は、エンジン30において、シリンダブロックなどから構成されるエンジン本体31により形成される空間であって、かつオイル雰囲気で満たされるチェーン室内に収容されている。
【0032】
チェーン伝動装置1は、エンジン30の本体としてのエンジン本体31の第1部分である第1バンク32に配置される第1被動回転部材としての1対の動弁用カム軸34にそれぞれ設けられる1対の第1被動スプロケット12および各第1被動スプロケット12に巻き掛けられる第1伝動チェーン13を備える第1チェーン伝動機構10と、エンジン本体31の第2部分である第2バンク33に配置される第2被動回転部材としての1対の動弁用カム軸35にそれぞれ設けられる1対の第2被動スプロケット22および各第2被動スプロケット22に巻き掛けられる第2伝動チェーン23を備える第2チェーン伝動機構20とから構成される。
【0033】
第1チェーン伝動機構10は、第1伝動チェーン13および各第1被動スプロケット12のほかに、エンジン30の第1駆動回転部材としてのクランク軸36に設けられて該クランク軸36により回転駆動される第1駆動スプロケット11(図1に破線で示される。)と、クランク軸36の駆動力を各カム軸34に伝達するために走行する第1伝動チェーン13をその弛み側において案内する第1チェーンガイドとしての第1可動ガイド100と、走行する第1伝動チェーン13をその張り側において案内する第1チェーンガイドとしての第1固定ガイド170と、第1可動ガイド100を付勢して第1伝動チェーン13に張力を付与する第1チェーンテンショナ190とを備える。
【0034】
第1チェーン伝動機構10とは別のチェーン伝動機構である第2チェーン伝動機構20は、第2伝動チェーン23および各第2被動スプロケット22のほかに、エンジン30の第2駆動回転部材としてのクランク軸36に設けられて該クランク軸36により回転駆動される第2駆動スプロケット21と、クランク軸36の駆動力を各カム軸35に伝達するために走行する第2伝動チェーン23をその弛み側において案内する第2チェーンガイドとしての第2可動ガイド200と、走行する第2伝動チェーン23をその張り側において案内する第2チェーンガイドとしての第2固定ガイド270と、第2可動ガイド200を付勢して第2伝動チェーン23に張力を付与する第2チェーンテンショナ290とを備える。
【0035】
各駆動スプロケット11,21は、クランク軸36の回転軸線L6を中心に回転可能であり、各被動スプロケット12,22は、各カム軸34,35の回転軸線L4,L5を中心に回転可能である。
そして、第1伝動チェーン13は、第1チェーン伝動機構10でのいずれか1つの回転軸線L4,L6、例えばクランク軸36の回転軸線L6を、第1特定回転軸線として、前記第1特定回転軸線に直交する第1仮想平面P1(図3〜図5には、第1仮想平面P1の一例が示されている。)と交わる位置で走行する。
一方、第2伝動チェーン23は、第2チェーン伝動機構20でのいずれか1つの回転軸線L5,L6、例えば回転軸線L6を、第2特定回転軸線として、軸線方向で第1仮想平面P1に対して離隔していると共に前記第2特定回転軸線に直交する第2仮想平面P2(図3〜図5には、第2仮想平面P2の一例が示されている。)と交わる位置で走行する。
各回転軸線L4〜L6同士は互いに平行であり、したがって、第1,第2仮想平面P1,P2は互いに平行である。
【0036】
ここで、軸線方向は、回転軸線L4〜L6に平行な方向である。
また、第1伝動チェーン13が掛け渡される第1スプロケット群を構成する第1駆動スプロケット11および各第1被動スプロケット12のそれぞれは、第1スプロケットである。そして、第1伝動チェーン13とは別の第2伝動チェーン23が掛け渡される第2スプロケット群を構成する、第2駆動スプロケット21および各第2被動スプロケット22のそれぞれは、前記第1スプロケットとは別の第2スプロケットである。
また、各回転軸線L4,L6は第1回転軸線であり、各回転軸線L5,L6は第2回転軸線である。
【0037】
第1可動ガイド100は、エンジン本体31に設けられる第1ガイド支持部としての第1支持軸37(図3も参照)に、移動可能に、ここでは揺動軸線S1を中心に揺動可能に支持される。
第2可動ガイド200は、エンジン本体31に設けられる第1支持軸37とは別の第2ガイド支持部としての第2支持軸38に、移動可能に、ここでは揺動軸線S1とは別の第2揺動軸線S2を中心に揺動可能に支持される。
各固定ガイド170,270は、エンジン本体31に、結合手段としてのボルト(図示されず)により固定される。
【0038】
エンジン本体31に取り付けられる各チェーンテンショナ190,290は、そのボディ191,291に進退方向に移動可能に支持されるプランジャ192,292を有する。
各プランジャ192,292は、プランジャ192,292の中心軸線に平行な進退方向で前進して、各可動ガイド100,200を押圧することにより、各可動ガイド100,200を介して各伝動チェーン13,23に張力を付与する一方、各伝動チェーン13,23からの反力により進退方向で後退して、各伝動チェーン13,23に過大な張力が発生することを防止する。
【0039】
図1,図2,図3を参照すると、第1可動ガイド100は、エンジン本体31にねじ込まれることにより設けられた第1支持軸37に揺動可能に支持される基端部101と、ガイド長手方向で基端部101から離隔している先端部102とを有する。
第1可動ガイド100は、基端部101において、該基端部101と第1支持軸37との間に第1可動ガイド100の揺動を可能とするための径方向隙間Crおよび軸線方向隙間Caが形成されているガイド支持構造により、第1支持軸37に、または該第1支持軸37を介してエンジン本体31に、支持される。
プランジャ192は、ガイド長手方向で先端部102寄りの部位であるパッド140において、第1可動ガイド100を付勢する。
なお、図3では、分かりやすさの観点から、これら隙間Cr,Caが誇張されて示されている。
【0040】
図1を参照すると、第2可動ガイド200は、第1可動ガイド100と同様の構造を有し、したがって基端部101と同様の基端部および先端部102と同様の先端部202を有する。
また、第2可動ガイド200は、第1可動ガイド100の前記ガイド支持構造と同様の第2支持軸38によるガイド支持構造によりエンジン本体31に支持される。そして、第2可動ガイド200の前記基端部と第2支持軸38との間には、径方向隙間Crおよび軸線方向隙間Caとそれぞれ同様の径方向隙間および軸線方向隙間(図示されず)が形成されている。
【0041】
図1,図2,図4,図5を参照すると、第1可動ガイド100は、ガイド長手方向に延びているガイド本体110と、ガイド本体110に設けられる突起部150とを有する。
ガイド本体110は、基端部101を有すると共にガイド長手方向に延びているベース120と、チェーン走行方向に走行する伝動チェーン13のリンクプレート13aが摺接してガイド長手方向に移動するチェーン走行面131を有すると共にベース120に固定されているシュー130と、ベース120においてプランジャ192が当接する当接面141を有するパッド140(図1,図4参照)とを有する。
先端部202は、ベース120およびシュー130の各先端部120e,130eにより構成される。
【0042】
ベース120は、シュー130を支持する剛性部であり、シュー130の形成材料に比べて高強度の形成材料、例えば金属(一例として、アルミニウム)により形成されている。
突起部150は、ガイド本体110において、軸線方向で第2固定ガイド270と対向する対向面111に、少なくとも後述する重合領域A(図1参照)において、軸線方向で第2固定ガイド270に向かって突出していると共に合成樹脂で形成されている。
【0043】
ベース120は、シュー130を支持する支持面124を有するシュー側フランジ121と、第1可動ガイド100の背面125を有する反シュー側フランジ122と、両フランジ121,122を連結しているウェブ123と、リブ126とを有する。
シュー130は、第1伝動チェーン13の蛇行を規制するための1対の規制部132,133の間に形成されているチェーン走行面131での摩耗の発生を抑制する観点から、耐摩耗性の合成樹脂により形成されている。
そして、突起部150は、シュー130を形成している前記合成樹脂と同一の合成樹脂により、シュー130との一体成形により形成されている。
【0044】
突起部150は、ガイド長手方向での位置で、少なくともその一部が、パッド140の位置と同じ位置を占めるか、または、パッド140よりも先端部102寄りに配置される。そして、本実施例では、突起部150は、ガイド長手方向で、その過半がパッド140と同じ位置を占めるように、さらに具体的には、突起部150の全体またはほぼ全体がパッド140と同じ位置を占めるように、設けられている。
【0045】
そして、突起部150は、対向面111において、ガイド長手方向に交差する交差方向としての直交方向(または、ガイド厚さ方向であり、以下、「直交方向」という。)に、シュー130から、ベース120において直交方向で、シュー側フランジ121およびウェブ123を越えて、シュー130とは反対側の端部である反シュー側フランジ122まで延びていて、直交方向でのベース120の幅の全体に亘って設けられている突条である。本実施例では、突起部150は、直交方向に平行に延びている。
【0046】
突起部150は、軸線方向に弧状に隆起している隆起部であり、本実施例では部分円柱状または概ね半円柱状に隆起している柱状形状部151である。
なお、部分円柱は、円柱一部分を意味し、同様に、部分円柱面は、円柱面の一部分を意味し、部分筒および部分円筒は、筒の一部分および円筒の一部分をそれぞれ意味する。
また、弧状に隆起している突起部150の外側面152の形状は、本実施例では、1つの曲率半径を有する部分円柱面であるが、複数の曲率半径を有する部分円柱面から構成される湾曲面、または部分円柱面および平面を含む複合面であってもよい。
【0047】
突起部150には、チェーン走行面131に連通していると共に外側面152に開口していて、チェーン走行面131に付着している潤滑油を導く油溝154が設けられている。油溝154は、突起部150において、軸線方向での中央部である頂部153(図5参照)に位置する。
【0048】
図1を参照すると、第2可動ガイド200は、第1可動ガイド100のガイド本体110と同様に、第1可動ガイド100のベース120、シュー130およびパッド140にそれぞれ対応するベース220、シュー230およびパッド240を有する。
【0049】
図1,図4,図5を参照すると、第2固定ガイド270は、該固定ガイド270のガイド長手方向に延びているベース271と、チェーン走行方向に走行する第2伝動チェーン23のリンクプレート23aが摺接してガイド長手方向に移動するチェーン走行面281を有すると共にベース271に固定されているシュー280とを有する。
ベース271は、シュー280を支持するシュー側フランジ272と、反シュー側フランジ273と、両フランジ272,273を連結しているウェブ274と、リブ276とを有する。そして、両フランジ272,273およびウェブ274により形成される凹部により空間275が形成される。
【0050】
図1を参照すると、第1固定ガイド171は、第2固定ガイド270と同様に、ベース271およびシュー280にそれぞれ対応するベース171およびシュー180を有する。
各ベース171,271は、シュー180,280の形成材料に比べて高強度の形成材料、例えば金属により形成され、一例としてベース120,220と同じ材料で形成されている。
また、各シュー180,280は、耐摩耗性の合成樹脂により形成され、例えばシュー130,230と同じ材料で形成されている。
【0051】
図1,図4,図5,図6を参照すると、第2固定ガイド270は、軸線方向で第1可動ガイド100に隣接する隣接部材であると共に、第1可動ガイド100とは別のチェーンガイドである。
第1可動ガイド100は、軸線方向で第2固定ガイド270に近接して配置されていると共に、軸線方向から見て第2固定ガイド270と互いに重なり合う重合領域A(図1の拡大図において、網掛が施されている。)が形成される位置に配置されている。この重合領域Aは、第1可動ガイド100の揺動位置に応じて変化する。
【0052】
ここで、「近接」とは、チェーン伝動装置1の作動時に、チェーンガイドとしての第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間で、相対的に、仮想平面P1(または、仮想平面P2)に関して傾斜する傾斜状態(以下、「傾斜状態」という。その一例が、図3,図4,図5に二点鎖線で示される。)が生じた場合に、および、傾斜状態になることなく、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間で、相対的に、軸線方向での平行移動状態(以下、「平行移動状態」という。)が生じた場合に、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270とが接触(前述のように、「接触」との用語には「衝突」が含まれる。)し得る間隔である所定間隔を置いて、第1可動ガイド100および第2固定ガイド270が軸線方向に離隔していることを意味する。
また、傾斜状態には、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間での、相対的な、軸線方向での平行移動を伴う場合が含まれる。
【0053】
そして、本実施例においては、傾斜状態は、第1支持軸37との間の前記隙間Cr,Caが形成される前記ガイド支持構造に起因して、第1可動ガイド100が仮想平面P1に関して傾斜することにより生じ、また、平行移動状態は、前記ガイド支持構造に起因して、第1可動ガイド100が軸線方向に平行に移動することにより生じる。
なお、第2可動ガイド200も、その前記ガイド支持構造に起因して、第1可動ガイド100の傾斜状態および平行移動状態とそれぞれ同様の傾斜状態および平行移動状態を生じ得る。
したがって、各可動ガイド100,200は、前記ガイド支持構造により、傾斜状態および平行移動状態が発生し得る状態で、各支持軸37,38に揺動可能に支持される。
【0054】
より具体的には、第1可動ガイド100について、傾斜状態には、図3,図4に二点鎖線で示され、図6に示されるように、第1仮想平面P1に関して、第1可動ガイド100のガイド長手方向(図2参照)回りに傾斜する第1傾斜状態と、図5に二点鎖線で示されるように、仮想平面P1に関して、直交方向(図2参照)回りに傾斜角θで傾斜する(または、直交方向から見て第1可動ガイド100が第1仮想平面P1に関して傾斜する)場合にも、第2傾斜状態と、これら第1,第2傾斜状態が同時に生じる第3傾斜状態が含まれる。
なお、図6には、仮想平面P1(または、仮想平面P2)に関して、図3,図4に示される第1傾斜状態とは反対側に傾斜する第1傾斜状態が示されている。
【0055】
そして、図4,図5に示されるように、チェーン伝動装置1の作動時に、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間で、相対的に、傾斜状態が生じたときに、または、平行移動状態が生じたときに、第1可動ガイド100は、突起部150のみにて第2固定ガイド270に接触することで、第1可動ガイド100のベース120およびシュー130と第2固定ガイド270のベース271およびシュー280との接触が防止される。
【0056】
また、図6に示されるように、突起部150と第2固定ガイド270のシュー280(または、ベース271)との衝突時に、軸線方向で、ウェブ123と突起部150との間に、両フランジ121,122およびウェブ123により形成される凹部により形成される空間105が形成されていることから、軸線方向で、空間105を形成している部位150aにおいて第2固定ガイド270と衝突する場合には、該部位150aが空間105に入り込むように撓むので、衝突時の衝撃が緩和される。
【0057】
次に、前述の第1実施例の作用および効果について説明する。
第1,第2チェーン伝動機構10,20を備えるチェーン伝動装置1において、仮想平面P1と交わる位置で走行する第1伝動チェーン13を案内する第1可動ガイド100は、第1伝動チェーン13とは別の伝動チェーンである第2伝動チェーン23を案内すると共に軸線方向で隣接する第2固定ガイド270に近接して、かつ軸線方向から見て第2固定ガイド270と互いに重なり合う重合領域Aが形成される位置に配置されていることにより、第1可動ガイド200は、軸線方向で第2固定ガイド270に近接して配置されるので、共に重合領域Aを形成する第2固定ガイド270に対して、第1伝動チェーン13を、ひいては第1チェーン伝動機構10を軸線方向でコンパクトに配置することができる。
【0058】
第1可動ガイド100は、チェーン走行面131と軸線方向で第2固定ガイド270と対向する対向面111を有するガイド本体110と、重合領域Aにおいて軸線方向で第2固定ガイド270に向かって突出して対向面111に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部150とを有し、チェーン伝動装置1の作動時に、第2固定ガイド270との間で仮想平面P1(または、仮想平面P2)に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、突起部150にて第2固定ガイド270に最初に接触する。
この構成により、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間で相対的な傾斜が生じる傾斜状態で、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270とが接触するときに、第1可動ガイド100においては、合成樹脂製の突起部150のみが第2固定ガイド270のベース271と接触するので、ガイド本体110のベース120と第2固定ガイド270のベース271が最初に接触する場合に比べて、突起部150が合成樹脂に基づく弾性を有すること、および、ウェブ123との間に形成される空間105により突起部150に可撓性が付与されることに基づいて、突起部150が奏する緩衝効果により、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との接触に起因して発生する騒音を抑制することができ、さらに突起部150が合成樹脂であることにより、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との接触に起因する第1可動ガイド100のガイド本体110および第2固定ガイド270の摩耗(例えば、突起部150が設けられていない場合の、ベース120,271同士の接触による各ベース120,271の摩耗や、ベース120とシュー280(または、ベース271とシュー130)との接触によるシュー280(または、シュー130)の摩耗)の発生を抑制または防止することができる。
【0059】
ガイド本体110は、走行している第1伝動チェーン13が摺接するチェーン走行面131を有するシュー130と、シュー130を支持する剛性部としてのベース120とを有し、突起部150とシュー130とは、合成樹脂の一体成形により形成されており、突起部150は、対向面111において、ガイド長手方向に直交する直交方向で、シュー130から、ベース120において直交方向でシュー130とは反対側の端部である反シュー側フランジ122まで延びている突条である。
この構成により、突起部150がシュー130と一体成形されるので、部品点数が削減されて、第1可動ガイド100のコストを削減することができるうえ、突起部150が、直交方向でベース120を横切って、シュー130からシュー側フランジ121を経てベース120の反シュー側フランジ122まで延びているので、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270とが直交方向で相対的に変位するときにも、ガイド本体110と第2固定ガイド270との接触を防止することができる。
【0060】
さらに、突起部150がシュー130から反シュー側フランジ122まで延びているので、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との接触時に、第1可動ガイド100のシュー側フランジ121、シュー130または反シュー側フランジ122(または、第2固定ガイド200のシュー側フランジ272、シュー280または反シュー側フランジ273)が、第2固定ガイド271の空間275(または、第1可動ガイド100の空間105)に入り込んで、第1可動ガイド100が第2固定ガイド270に引っ掛かることを防止することができる。
【0061】
突起部150が、軸線方向に弧状に隆起していると共に、対向面111において直交方向に延びている突条であることにより、仮想平面P1に関して、直交方向回りに第1可動ガイド100が傾斜する第2傾斜状態となる場合にも、第2固定ガイド270が滑らかな弧状部分で突起部150と接触するので、直交方向回りでの第1可動ガイド100の傾斜角θに依存することを減少させながら、接触に起因する騒音および摩耗の抑制が可能になり、また突起部150に発生する摩耗も抑制することができる。
【0062】
突起部150には、チェーン走行面131に連通してチェーン走行面131に付着している潤滑油を導く油溝154が設けられていることにより、チェーン走行面131上から油溝154を通じて突起部150に導かれた潤滑油により、第2固定ガイド270における突起部150との接触部での摩耗を抑制することができ、さらに突起部150での摩耗を抑制することができる。
【0063】
次に、第2〜第4実施例における第1可動ガイド100を、図7〜図12を参照して説明する。
第2〜第4実施例は、第1実施例に対して、部分的に共通の構造を有することから、同一の部分または対応する部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、前記実施例の部材等と同一の部材等または対応する部材等については、必要に応じて同一の符号を使用することにより、その詳細な説明を省略する。
【0064】
図7,図8を参照すると、本発明の第2実施例において、第1可動ガイド100の突起部150は、中空部158を形成している部分筒状壁157、本実施例では半円形状の部分円筒状壁である。
この構成により、中空部158が形成されていることで突起部150の剛性が低下して、突起部150での弾性変形による可撓性が高められる。この結果、第2固定ガイド270との衝突時に、図8に二点鎖線で示されるように、突起部150が撓み易くなるので、突起部150と第2固定ガイド270との衝突による衝撃が緩和されて、衝突に起因する騒音を低減することができる。
【0065】
図9,図10を参照すると、本発明の第3実施例において、第1可動ガイド100の突起部150は、軸線方向に突出すると共に、突出するにつれて、先端部161a,162a同士が各ガイド長手方向で互いに近づくように湾曲する1対の弧状壁161,162であり、各弧状壁161,162が襞状に形成されている。そして、先端部161a,162a同士の間には、ガイド長手方向での隙間Gが形成され、1対の弧状壁161,162により空間163が形成されている。
なお、別の例として、1対の弧状壁161,162において、一方の弧状壁の先端部(例えば、弧状壁161の先端部161a)が、他方の弧状壁の先端部(例えば、弧状壁162の先端部162a)以外の部分で該他方の弧状壁との間に隙間を形成しているか、または前記他方の弧状壁に接触していてもよい。
【0066】
この構成により、突起部150がガイド長手方向で分かれている1対の弧状壁161,162であることで、第1,第2実施例の突起部150を構成する柱状形状部151,部分筒状壁157に比べて、突起部150の剛性が低下して、第2固定ガイド270との衝突による突起部150の弾性変形による可撓性が高められる。この結果、第2固定ガイド270との衝突時に、図10に二点鎖線で示されるように、突起部150が撓み易くなるので、突起部150による緩衝効果が向上し、突起部150と第2固定ガイド270との衝突時の、突起部150による騒音低減効果を向上させることができる。
【0067】
さらに、第2実施例では、突起部150に中空部158が形成されることにより、また第3実施例では、突起部150に、1対の弧状壁1対の弧状壁161,162に挟まれた空間163が形成されることにより、突起部150に中空部158や空間163が形成されていない場合(例えば第1実施例)に比べて、第1可動ガイド100が軽量化されて、その慣性が減少するので、チェーンテンショナ190による付勢力および第1伝動チェーン13からの反力による移動応答性が向上して、第1伝動チェーン13の張力調整の迅速性を向上させることができる。
【0068】
図11,図12を参照すると、本発明の第4実施例において、第1可動ガイド100の基本的な構造は、突起部150を含めて、第1実施例と同様であるが、パッド140が突起部150に一体成形されている点、および油溝がパッド140まで延びている点で異なる。
具体的には、パッド140は、シュー130および突起部150と、合成樹脂での一体成形により形成されている。そして、突起部150に設けられた油溝154は、油溝154内の潤滑油が当接面141に導かれるように、該当接面141に達している。
そして、チェーン走行面131上の潤滑油を油溝154を通じて当接面141に円滑に導くために、油溝154において、チェーン走行面131に開口する潤滑油導入部である上流端部154aが、当接面141に開口する潤滑油導出部である下流端部154bよりも上方に位置するように、第1可動ガイド100が配置されることが好ましい。
【0069】
この構成により、チェーン走行面131の潤滑油が油溝154を介して当接面141に供給されるので、パッド140の摩耗を抑制することができる。また、プランジャ192とパッド140との当接時に、プランジャ192と当接面141とに挟まれる空気が油溝154を通じて、プランジャ192と当接面141との間から放出されるので、プランジャ192と当接面141とにより空気が圧縮されることが防止されて、プランジャ192および当接面141間からの圧縮空気の流出に起因する騒音が防止される。
また、シュー130、突起部150およびパッド140が、合成樹脂の一体成形により形成されるので、部品点数が削減されて、パッド140を有する第1可動ガイド100のコストを削減することができるうえ、パッド140が合成樹脂であることに基づく緩衝効果により、プランジャ192とパッド140との接触に起因する騒音を抑制することができる。
【0070】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との接触時に、最初に突起部150のみが接触し、次いでガイド本体110が接触してもよく、この場合にも、最初に接触するのが突起部150のみであるので、突起部150により接触時の衝撃が緩和されて、騒音およびガイド本体110の摩耗が抑制される。
突起部150は、前記各実施例では、直交方向に平行に延びているが、直交方向に傾斜する方向に平行に延びていることで、直交方向に延びていてもよい。突起部150は、シュー130とは別個の部材により構成されてもよい。
油溝154は、直交方向に延びている複数の溝により構成されてもよく、また設けられていなくてもよい。
突起部は、直交方向または該直交方向に傾斜する方向に並んだ複数の山状の突起により構成されてもよい。突起部を構成する突条は、直交方向で局所的に、またはガイド長手方向で局所的に分断されていてもよい。
【0071】
突起部は、重合領域Aを形成する第1可動ガイド100および第2固定ガイド270において、第1可動ガイド100に設けられる代わりに、第2固定ガイド270に設けられてもよく、また、第1可動ガイド100および第2固定ガイド270の両者に設けられてもよい。そして、後者の場合に、突起部同士が接触してもよいし、突起部が、ガイド本体と当接してもよい。
ここで、第2固定ガイド270のガイド本体は、ベース271およびシュー280により構成される。
【0072】
チェーン伝動装置が備える1つのチェーン伝動機構について、突起部を有する可動ガイドとエンジン本体31とに関して本発明が適用されてもよい。また、チェーン伝動装置が備える2つの伝動チェーン機構について、第1,第2伝動チェーンの配置に応じて、第1,第2可動ガイド同士に関して、または第1固定ガイドと第2可動ガイドとに関して、本発明が適用されてもよい。
第1,第2駆動回転部材は、前記各実施例では同一であったが、別々の回転部材であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
100・・・可動ガイド
110・・・ガイド本体
111・・・対向面
120・・・ベース
130・・・シュー
131・・・チェーン走行面
140・・・パッド
141・・・当接面
150・・・突起部
154・・・油溝
270・・・固定ガイド
271・・・ベース
280・・・シュー
190・・・チェーンテンショナ
P1 ・・・仮想平面
A ・・・重合領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に関し、詳細には、該チェーン伝動装置に備えられると共に、スプロケットに巻き掛けられて走行する伝動チェーンを案内するチェーンガイドに関する。そして、チェーン伝動装置は、例えば、エンジンが備えるタイミングチェーン伝動装置である。
【背景技術】
【0002】
チェーン伝動装置が、スプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンと、該スプロケットの回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する伝動チェーンを案内するチェーンガイドとを備え、該チェーンガイドが、前記回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材としての第2チェーンガイドに近接して、かつ軸線方向から見て該第2チェーンガイドと互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されているものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−20952号公報(段落0043〜0048、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来のチェーン伝動装置に関連して、図13を参照すると、チェーン伝動装置500において、スプロケットの回転軸線に直交する仮想平面P5と交わる位置で走行する伝動チェーン510を案内するチェーンガイドである可動ガイド511と、伝動チェーン510とは別の第2伝動チェーン520を案内する第2チェーンガイドである固定ガイド521とが、前記回転軸線に平行な軸線方向で近接して、かつ軸線方向から見て可動ガイドと固定ガイドとが互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されている場合には、チェーン伝動装置500の作動時に、伝動チェーン510の僅かな蛇行などに起因して、伝動チェーン510から可動ガイド511に軸線方向での力が作用したときに、図13に二点鎖線で示されるように、可動ガイド511が、固定ガイド521に対して相対的に、仮想平面P5に関して傾斜する傾斜状態、この例では、可動ガイド510が仮想平面Pに関して傾斜する傾斜状態が生じることがある。
【0005】
この傾斜状態は、可動ガイド511が、例えば、伝動チェーン510に張力を付与するチェーンテンショナ(図示されず)により付勢されて揺動する構造である場合に、チェーン伝動装置500が備えられる機械の本体(例えば、エンジンのエンジン本体)に設けられた支持軸に可動ガイド511を揺動可能に支持するために、可動ガイド511と前記支持軸との間に隙間が形成されていることにより発生する。
【0006】
そして、可動ガイド511と固定ガイド521との間で、このような傾斜状態が生じると、可動ガイド511が固定ガイド521に接触または衝突(以下、衝突を含めて、単に「接触」という。)して騒音が発生するという問題や、繰り返される接触または両ガイド511,521が接触状態で可動ガイド511が揺動することで、両ガイド511,521が摩耗するという問題があった。
【0007】
さらに、傾斜した可動ガイド511が固定ガイド521に引っ掛かることで、可動ガイド511が揺動できなくなる固定状態が発生すると、前記チェーンテンショナにより付勢されて揺動する可動ガイド511による伝動チェーン510の張力調整が困難になるという問題があった。
また、可動ガイド511が前記傾斜状態になることに起因する前述の騒音および摩耗などは、前記隣接部材が、固定ガイド521である場合に限らず、可動ガイド511とは別の可動ガイドである場合、およびエンジン本体である場合にも発生する。
【0008】
本発明は、前述の課題を解決するものであって、その目的は、チェーン伝動装置に備えられて、隣接部材との接触に起因する騒音および摩耗が抑制されるチェーンガイドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、請求項1に係る発明は、回転軸線を中心に回転可能なスプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に備えられて、前記回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する前記伝動チェーンを案内するチェーンガイドであって、前記回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材に近接して、かつ前記軸線方向から見て前記隣接部材と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されているチェーンガイドにおいて、走行している前記伝動チェーンが摺接するチェーン走行面と前記軸線方向で前記隣接部材と対向する対向面とを有するガイド本体と、前記重合領域において前記軸線方向で前記隣接部材に向かって突出して前記対向面に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部とを有し、前記チェーン伝動装置の作動時に、前記隣接部材との間で前記仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、前記突起部にて前記隣接部材に最初に接触することにより、前述の課題を解決したものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記ガイド本体が、前記チェーン走行面を有するシューと、前記シューを支持する剛性部としてのベースとを有し、前記突起部と前記シューとが、合成樹脂の一体成形により形成されており、前記突起部が、前記対向面において、ガイド長手方向に直交する直交方向で、前記シューから、前記ベースにおいて前記直交方向で前記シューとは反対側の端部まで延びている突条であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記突起部が、前記軸線方向に弧状に隆起していると共に、前記対向面においてガイド長手方向に直交する直交方向に延びている突条であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記突起部には、前記チェーン走行面に連通して前記チェーン走行面に付着している潤滑油を導く油溝が設けられていることにより、前述の課題を解決したものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の構成に加えて、前記ガイド本体が、チェーンテンショナのプランジャが当接する当接面を有するパッドを有し、前記油溝が、潤滑油が前記当接面に導かれるように、前記当接面に達していることにより、前述の課題を解決したものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記突起部が、中空部を形成している部分筒状壁であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記突起部が、ガイド長手方向で離隔する位置から前記軸線方向に突出すると共に、突出するにつれてガイド長手方向で互いに近づくように湾曲する1対の弧状壁であり、一方の前記弧状壁の先端部が、他方の前記弧状壁との間に隙間を形成しているか、または前記他方の弧状壁に接触していることにより、前述の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0016】
そこで、本発明のチェーンガイドは、回転軸線を中心に回転可能なスプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に備えられて、回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する伝動チェーンを案内すると共に、回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材に近接して、かつ軸線方向から見て隣接部材と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されていることにより、チェーンガイドが軸線方向で隣接部材に近接して配置されるので、共に重合領域を形成する隣接部材に対して、伝動チェーンを軸線方向でコンパクトに配置することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
【0017】
すなわち、請求項1に係る本発明のチェーンガイドによれば、走行している伝動チェーンが摺接するチェーン走行面と軸線方向で隣接部材と対向する対向面とを有するガイド本体と、重合領域において軸線方向で隣接部材に向かって突出して対向面に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部とを有し、チェーン伝動装置の作動時に、隣接部材との間で仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、突起部にて隣接部材に最初に接触することにより、チェーンガイドと隣接部材との間で相対的な傾斜が生じる傾斜状態で、チェーンガイドと隣接部材とが接触するときに、チェーンガイドにおいては、合成樹脂製の突起部が隣接部材と最初に接触(衝突を含む。)するので、ガイド本体と隣接部材が最初に接触する場合に比べて、突起部が合成樹脂に基づく弾性を有することに基づいて、突起部が奏する緩衝効果により、チェーンガイドと隣接部材との接触に起因して発生する騒音を抑制することができ、さらに突起部が合成樹脂であることにより、チェーンガイドと隣接部材との接触に起因するチェーンガイドおよび隣接部材の摩耗の発生を抑制または防止することができる。
【0018】
請求項2に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、ガイド本体が、走行している伝動チェーンが摺接するチェーン走行面を有するシューと、シューを支持する剛性部としてのベースとを有し、突起部とシューとが、合成樹脂の一体成形により形成されており、突起部が、対向面において、ガイド長手方向に直交する直交方向で、シューから、ベースにおいて直交方向でシューとは反対側の端部まで延びている突条であることにより、突起部がシューと一体成形されるので、部品点数が削減されて、チェーンガイドのコストを削減することができるうえ、突起部が直交方向でベースを横切ってシューからベースの端部まで延びているので、チェーンガイドと隣接部材とが直交方向で相対的に変位するときにも、ガイド本体と隣接部材との接触および引っ掛かりを防止することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、突起部が、軸線方向に弧状に隆起していると共に、対向面においてガイド長手方向に直交する直交方向に延びている突条であることにより、仮想平面に関して、直交方向回りにチェーンガイドが傾斜する場合にも、隣接部材が滑らかな弧状部分で突起部と接触するので、仮想平面に関して、直交方向回りでのチェーンガイドの傾斜角に依存することを減少させながら、接触に起因する騒音および摩耗の抑制が可能になり、また突起部に発生する摩耗も抑制することができる。
【0020】
請求項4に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、突起部には、チェーン走行面に連通してチェーン走行面に付着している潤滑油を導く油溝が設けられていることにより、チェーン走行面上から油溝を通じて突起部に導かれた潤滑油により、隣接部材における突起部との接触部での摩耗を抑制することができ、さらに突起部での摩耗を抑制することができる。
【0021】
請求項5に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、ガイド本体が、チェーンテンショナのプランジャが当接する当接面を有するパッドを有し、油溝が、潤滑油が当接面に導かれるように、当接面に達していることにより、チェーン走行面の潤滑油が油溝を介して当接面に供給されるので、パッドの摩耗を抑制することができる。また、プランジャとパッドとの当接時に、プランジャと当接面とに挟まれる空気が油溝を通じて、プランジャと当接面との間から放出されるので、プランジャと当接面とにより空気が圧縮されることが防止されて、プランジャおよび当接面間からの圧縮空気の流出に起因する騒音を防止することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、突起部が、中空部を形成している部分筒状壁であることにより、中空部が形成されていることで突起部の剛性が低下して、突起部での弾性変形による可撓性が高められるので、隣接部材との衝突時に、突起部が撓み易くなり、突起部と隣接部材との衝突による衝撃が緩和されて、衝突に起因する騒音を低減することができる。
【0023】
請求項7に係る本発明のチェーンガイドによれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、突起部が、ガイド長手方向で離隔する位置から軸線方向に突出すると共に、突出するにつれてガイド長手方向で互いに近づくように湾曲する1対の弧状壁であり、一方の弧状壁の先端部が、他方の弧状壁との間に隙間を形成しているか、または他方の弧状壁に接触していることにより、突起部がガイド長手方向で分かれている1対の弧状壁であるために、隣接部材との衝突による突起部の弾性変形による可撓性が高められるので、突起部による緩衝効果が向上し、突起部と隣接部材との衝突時の、突起部による騒音低減効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施例を示し、軸線方向から見たチェーン伝動装置の全体図。
【図2】図1のチェーン伝動装置の可動ガイドの斜視図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】図1のIV−IV線断面図。
【図5】図1のV矢視での要部の図。
【図6】図1のチェーン伝動装置の可動ガイドの傾斜状態を説明するための図4に相当する断面図。
【図7】本発明の第2実施例を示し、チェーン伝動装置の可動ガイドの、図2に相当する図。
【図8】第2実施例において、図5に相当する図。
【図9】本発明の第3実施例を示し、チェーン伝動装置の可動ガイドの、図2に相当する図。
【図10】第3実施例において、図5に相当する図。
【図11】本発明の第4実施例を示し、チェーン伝動装置の可動ガイドの、図2に相当する要部の図。
【図12】第4実施例において、図4に相当する要部の図。
【図13】従来技術を示し、チェーン伝動装置の可動ガイドの傾斜状態を説明するための図4に相当する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のチェーンガイドは、回転軸線を中心に回転可能なスプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に備えられて、回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する伝動チェーンを案内すると共に、回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材に近接して、かつ軸線方向から見て隣接部材と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されており、走行している伝動チェーンが摺接するチェーン走行面と軸線方向で隣接部材と対向する対向面とを有するガイド本体と、重合領域において軸線方向で隣接部材に向かって突出して対向面に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部とを有し、チェーン伝動装置の作動時に、隣接部材との間で仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、突起部にて隣接部材に最初に接触することにより、隣接部材との接触に起因する騒音および摩耗が抑制されるものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
【0026】
本発明において、「近接」とは、チェーン伝動装置の作動時に、チェーンガイドおよび隣接部材の少なくとも一方が傾斜するときに、チェーンガイドと隣接部材とが接触し得る程度の間隔である所定間隔を置いて、チェーンガイドおよび隣接部材が軸線方向に離隔していることを意味する。
本発明において、チェーンガイドと隣接部材との「接触」には、チェーンガイドと隣接部材との衝突も含まれる。
チェーンガイドおよび隣接部材の両者が、合成樹脂製の突起部を有していてもよく、さらにこの場合に、突起部同士が接触してもよい。
本発明において、チェーン伝動装置の作動時に、隣接部材との間で仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態は、チェーンガイドおよび隣接部材の少なくとも一方が、仮想平面に関して傾斜する状態を意味する。
【0027】
本発明において、チェーンガイドが、チェーン伝動装置を備える機械の本体に設けられたガイド支持部に傾斜状態が発生し得る状態で移動可能に支持される可動ガイドである場合、隣接部材は、伝動チェーンとは別の伝動チェーンを案内すると共に前記機械の本体に固定されて設けられる固定ガイド、または、前記機械の本体に設けられた前記ガイド支持部とは別のガイド支持部に傾斜状態が発生し得る状態で移動可能に支持されると共に前記別の伝動チェーンを案内する、前記伝動チェーンとは別の可動ガイド、または、前記機械の本体である。
【0028】
また、本発明において、チェーンガイドが、チェーン伝動装置を備える機械の本体に固定されて設けられる固定ガイドである場合、隣接部材は、前記機械の本体に設けられたガイド支持部に傾斜状態が発生し得る状態で移動可能に支持されると共に伝動チェーンとは別の伝動チェーンを案内する可動ガイドである。
【0029】
可動ガイドは、例えば、伝動チェーンに張力を付与するチェーンテンショナに付勢されて移動する可動ガイドである。
本発明のチェーンガイドを備えるチェーン伝動装置は、エンジンおよびエンジン以外の機械(例えば、搬送装置)のいずれに備えられてもよい。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を図1〜図12を参照して説明する。
図1〜図6は、本発明の第1実施例を説明するための図である。
図1を参照すると、本発明の第1実施例において、チェーン伝動装置1は、機械としての内燃機関であるエンジン30に備えられて、該エンジン30の動弁装置を駆動するタイミングチェーン伝動装置である。エンジン30は、例えば、第1,第2バンク32,33を備えるV型エンジンであり、自動車に搭載される。
【0031】
チェーン伝動装置1は、エンジン30の潤滑油供給装置(図示されず)から供給される潤滑油により潤滑される。そして、チェーン伝動装置1の全体は、エンジン30において、シリンダブロックなどから構成されるエンジン本体31により形成される空間であって、かつオイル雰囲気で満たされるチェーン室内に収容されている。
【0032】
チェーン伝動装置1は、エンジン30の本体としてのエンジン本体31の第1部分である第1バンク32に配置される第1被動回転部材としての1対の動弁用カム軸34にそれぞれ設けられる1対の第1被動スプロケット12および各第1被動スプロケット12に巻き掛けられる第1伝動チェーン13を備える第1チェーン伝動機構10と、エンジン本体31の第2部分である第2バンク33に配置される第2被動回転部材としての1対の動弁用カム軸35にそれぞれ設けられる1対の第2被動スプロケット22および各第2被動スプロケット22に巻き掛けられる第2伝動チェーン23を備える第2チェーン伝動機構20とから構成される。
【0033】
第1チェーン伝動機構10は、第1伝動チェーン13および各第1被動スプロケット12のほかに、エンジン30の第1駆動回転部材としてのクランク軸36に設けられて該クランク軸36により回転駆動される第1駆動スプロケット11(図1に破線で示される。)と、クランク軸36の駆動力を各カム軸34に伝達するために走行する第1伝動チェーン13をその弛み側において案内する第1チェーンガイドとしての第1可動ガイド100と、走行する第1伝動チェーン13をその張り側において案内する第1チェーンガイドとしての第1固定ガイド170と、第1可動ガイド100を付勢して第1伝動チェーン13に張力を付与する第1チェーンテンショナ190とを備える。
【0034】
第1チェーン伝動機構10とは別のチェーン伝動機構である第2チェーン伝動機構20は、第2伝動チェーン23および各第2被動スプロケット22のほかに、エンジン30の第2駆動回転部材としてのクランク軸36に設けられて該クランク軸36により回転駆動される第2駆動スプロケット21と、クランク軸36の駆動力を各カム軸35に伝達するために走行する第2伝動チェーン23をその弛み側において案内する第2チェーンガイドとしての第2可動ガイド200と、走行する第2伝動チェーン23をその張り側において案内する第2チェーンガイドとしての第2固定ガイド270と、第2可動ガイド200を付勢して第2伝動チェーン23に張力を付与する第2チェーンテンショナ290とを備える。
【0035】
各駆動スプロケット11,21は、クランク軸36の回転軸線L6を中心に回転可能であり、各被動スプロケット12,22は、各カム軸34,35の回転軸線L4,L5を中心に回転可能である。
そして、第1伝動チェーン13は、第1チェーン伝動機構10でのいずれか1つの回転軸線L4,L6、例えばクランク軸36の回転軸線L6を、第1特定回転軸線として、前記第1特定回転軸線に直交する第1仮想平面P1(図3〜図5には、第1仮想平面P1の一例が示されている。)と交わる位置で走行する。
一方、第2伝動チェーン23は、第2チェーン伝動機構20でのいずれか1つの回転軸線L5,L6、例えば回転軸線L6を、第2特定回転軸線として、軸線方向で第1仮想平面P1に対して離隔していると共に前記第2特定回転軸線に直交する第2仮想平面P2(図3〜図5には、第2仮想平面P2の一例が示されている。)と交わる位置で走行する。
各回転軸線L4〜L6同士は互いに平行であり、したがって、第1,第2仮想平面P1,P2は互いに平行である。
【0036】
ここで、軸線方向は、回転軸線L4〜L6に平行な方向である。
また、第1伝動チェーン13が掛け渡される第1スプロケット群を構成する第1駆動スプロケット11および各第1被動スプロケット12のそれぞれは、第1スプロケットである。そして、第1伝動チェーン13とは別の第2伝動チェーン23が掛け渡される第2スプロケット群を構成する、第2駆動スプロケット21および各第2被動スプロケット22のそれぞれは、前記第1スプロケットとは別の第2スプロケットである。
また、各回転軸線L4,L6は第1回転軸線であり、各回転軸線L5,L6は第2回転軸線である。
【0037】
第1可動ガイド100は、エンジン本体31に設けられる第1ガイド支持部としての第1支持軸37(図3も参照)に、移動可能に、ここでは揺動軸線S1を中心に揺動可能に支持される。
第2可動ガイド200は、エンジン本体31に設けられる第1支持軸37とは別の第2ガイド支持部としての第2支持軸38に、移動可能に、ここでは揺動軸線S1とは別の第2揺動軸線S2を中心に揺動可能に支持される。
各固定ガイド170,270は、エンジン本体31に、結合手段としてのボルト(図示されず)により固定される。
【0038】
エンジン本体31に取り付けられる各チェーンテンショナ190,290は、そのボディ191,291に進退方向に移動可能に支持されるプランジャ192,292を有する。
各プランジャ192,292は、プランジャ192,292の中心軸線に平行な進退方向で前進して、各可動ガイド100,200を押圧することにより、各可動ガイド100,200を介して各伝動チェーン13,23に張力を付与する一方、各伝動チェーン13,23からの反力により進退方向で後退して、各伝動チェーン13,23に過大な張力が発生することを防止する。
【0039】
図1,図2,図3を参照すると、第1可動ガイド100は、エンジン本体31にねじ込まれることにより設けられた第1支持軸37に揺動可能に支持される基端部101と、ガイド長手方向で基端部101から離隔している先端部102とを有する。
第1可動ガイド100は、基端部101において、該基端部101と第1支持軸37との間に第1可動ガイド100の揺動を可能とするための径方向隙間Crおよび軸線方向隙間Caが形成されているガイド支持構造により、第1支持軸37に、または該第1支持軸37を介してエンジン本体31に、支持される。
プランジャ192は、ガイド長手方向で先端部102寄りの部位であるパッド140において、第1可動ガイド100を付勢する。
なお、図3では、分かりやすさの観点から、これら隙間Cr,Caが誇張されて示されている。
【0040】
図1を参照すると、第2可動ガイド200は、第1可動ガイド100と同様の構造を有し、したがって基端部101と同様の基端部および先端部102と同様の先端部202を有する。
また、第2可動ガイド200は、第1可動ガイド100の前記ガイド支持構造と同様の第2支持軸38によるガイド支持構造によりエンジン本体31に支持される。そして、第2可動ガイド200の前記基端部と第2支持軸38との間には、径方向隙間Crおよび軸線方向隙間Caとそれぞれ同様の径方向隙間および軸線方向隙間(図示されず)が形成されている。
【0041】
図1,図2,図4,図5を参照すると、第1可動ガイド100は、ガイド長手方向に延びているガイド本体110と、ガイド本体110に設けられる突起部150とを有する。
ガイド本体110は、基端部101を有すると共にガイド長手方向に延びているベース120と、チェーン走行方向に走行する伝動チェーン13のリンクプレート13aが摺接してガイド長手方向に移動するチェーン走行面131を有すると共にベース120に固定されているシュー130と、ベース120においてプランジャ192が当接する当接面141を有するパッド140(図1,図4参照)とを有する。
先端部202は、ベース120およびシュー130の各先端部120e,130eにより構成される。
【0042】
ベース120は、シュー130を支持する剛性部であり、シュー130の形成材料に比べて高強度の形成材料、例えば金属(一例として、アルミニウム)により形成されている。
突起部150は、ガイド本体110において、軸線方向で第2固定ガイド270と対向する対向面111に、少なくとも後述する重合領域A(図1参照)において、軸線方向で第2固定ガイド270に向かって突出していると共に合成樹脂で形成されている。
【0043】
ベース120は、シュー130を支持する支持面124を有するシュー側フランジ121と、第1可動ガイド100の背面125を有する反シュー側フランジ122と、両フランジ121,122を連結しているウェブ123と、リブ126とを有する。
シュー130は、第1伝動チェーン13の蛇行を規制するための1対の規制部132,133の間に形成されているチェーン走行面131での摩耗の発生を抑制する観点から、耐摩耗性の合成樹脂により形成されている。
そして、突起部150は、シュー130を形成している前記合成樹脂と同一の合成樹脂により、シュー130との一体成形により形成されている。
【0044】
突起部150は、ガイド長手方向での位置で、少なくともその一部が、パッド140の位置と同じ位置を占めるか、または、パッド140よりも先端部102寄りに配置される。そして、本実施例では、突起部150は、ガイド長手方向で、その過半がパッド140と同じ位置を占めるように、さらに具体的には、突起部150の全体またはほぼ全体がパッド140と同じ位置を占めるように、設けられている。
【0045】
そして、突起部150は、対向面111において、ガイド長手方向に交差する交差方向としての直交方向(または、ガイド厚さ方向であり、以下、「直交方向」という。)に、シュー130から、ベース120において直交方向で、シュー側フランジ121およびウェブ123を越えて、シュー130とは反対側の端部である反シュー側フランジ122まで延びていて、直交方向でのベース120の幅の全体に亘って設けられている突条である。本実施例では、突起部150は、直交方向に平行に延びている。
【0046】
突起部150は、軸線方向に弧状に隆起している隆起部であり、本実施例では部分円柱状または概ね半円柱状に隆起している柱状形状部151である。
なお、部分円柱は、円柱一部分を意味し、同様に、部分円柱面は、円柱面の一部分を意味し、部分筒および部分円筒は、筒の一部分および円筒の一部分をそれぞれ意味する。
また、弧状に隆起している突起部150の外側面152の形状は、本実施例では、1つの曲率半径を有する部分円柱面であるが、複数の曲率半径を有する部分円柱面から構成される湾曲面、または部分円柱面および平面を含む複合面であってもよい。
【0047】
突起部150には、チェーン走行面131に連通していると共に外側面152に開口していて、チェーン走行面131に付着している潤滑油を導く油溝154が設けられている。油溝154は、突起部150において、軸線方向での中央部である頂部153(図5参照)に位置する。
【0048】
図1を参照すると、第2可動ガイド200は、第1可動ガイド100のガイド本体110と同様に、第1可動ガイド100のベース120、シュー130およびパッド140にそれぞれ対応するベース220、シュー230およびパッド240を有する。
【0049】
図1,図4,図5を参照すると、第2固定ガイド270は、該固定ガイド270のガイド長手方向に延びているベース271と、チェーン走行方向に走行する第2伝動チェーン23のリンクプレート23aが摺接してガイド長手方向に移動するチェーン走行面281を有すると共にベース271に固定されているシュー280とを有する。
ベース271は、シュー280を支持するシュー側フランジ272と、反シュー側フランジ273と、両フランジ272,273を連結しているウェブ274と、リブ276とを有する。そして、両フランジ272,273およびウェブ274により形成される凹部により空間275が形成される。
【0050】
図1を参照すると、第1固定ガイド171は、第2固定ガイド270と同様に、ベース271およびシュー280にそれぞれ対応するベース171およびシュー180を有する。
各ベース171,271は、シュー180,280の形成材料に比べて高強度の形成材料、例えば金属により形成され、一例としてベース120,220と同じ材料で形成されている。
また、各シュー180,280は、耐摩耗性の合成樹脂により形成され、例えばシュー130,230と同じ材料で形成されている。
【0051】
図1,図4,図5,図6を参照すると、第2固定ガイド270は、軸線方向で第1可動ガイド100に隣接する隣接部材であると共に、第1可動ガイド100とは別のチェーンガイドである。
第1可動ガイド100は、軸線方向で第2固定ガイド270に近接して配置されていると共に、軸線方向から見て第2固定ガイド270と互いに重なり合う重合領域A(図1の拡大図において、網掛が施されている。)が形成される位置に配置されている。この重合領域Aは、第1可動ガイド100の揺動位置に応じて変化する。
【0052】
ここで、「近接」とは、チェーン伝動装置1の作動時に、チェーンガイドとしての第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間で、相対的に、仮想平面P1(または、仮想平面P2)に関して傾斜する傾斜状態(以下、「傾斜状態」という。その一例が、図3,図4,図5に二点鎖線で示される。)が生じた場合に、および、傾斜状態になることなく、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間で、相対的に、軸線方向での平行移動状態(以下、「平行移動状態」という。)が生じた場合に、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270とが接触(前述のように、「接触」との用語には「衝突」が含まれる。)し得る間隔である所定間隔を置いて、第1可動ガイド100および第2固定ガイド270が軸線方向に離隔していることを意味する。
また、傾斜状態には、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間での、相対的な、軸線方向での平行移動を伴う場合が含まれる。
【0053】
そして、本実施例においては、傾斜状態は、第1支持軸37との間の前記隙間Cr,Caが形成される前記ガイド支持構造に起因して、第1可動ガイド100が仮想平面P1に関して傾斜することにより生じ、また、平行移動状態は、前記ガイド支持構造に起因して、第1可動ガイド100が軸線方向に平行に移動することにより生じる。
なお、第2可動ガイド200も、その前記ガイド支持構造に起因して、第1可動ガイド100の傾斜状態および平行移動状態とそれぞれ同様の傾斜状態および平行移動状態を生じ得る。
したがって、各可動ガイド100,200は、前記ガイド支持構造により、傾斜状態および平行移動状態が発生し得る状態で、各支持軸37,38に揺動可能に支持される。
【0054】
より具体的には、第1可動ガイド100について、傾斜状態には、図3,図4に二点鎖線で示され、図6に示されるように、第1仮想平面P1に関して、第1可動ガイド100のガイド長手方向(図2参照)回りに傾斜する第1傾斜状態と、図5に二点鎖線で示されるように、仮想平面P1に関して、直交方向(図2参照)回りに傾斜角θで傾斜する(または、直交方向から見て第1可動ガイド100が第1仮想平面P1に関して傾斜する)場合にも、第2傾斜状態と、これら第1,第2傾斜状態が同時に生じる第3傾斜状態が含まれる。
なお、図6には、仮想平面P1(または、仮想平面P2)に関して、図3,図4に示される第1傾斜状態とは反対側に傾斜する第1傾斜状態が示されている。
【0055】
そして、図4,図5に示されるように、チェーン伝動装置1の作動時に、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間で、相対的に、傾斜状態が生じたときに、または、平行移動状態が生じたときに、第1可動ガイド100は、突起部150のみにて第2固定ガイド270に接触することで、第1可動ガイド100のベース120およびシュー130と第2固定ガイド270のベース271およびシュー280との接触が防止される。
【0056】
また、図6に示されるように、突起部150と第2固定ガイド270のシュー280(または、ベース271)との衝突時に、軸線方向で、ウェブ123と突起部150との間に、両フランジ121,122およびウェブ123により形成される凹部により形成される空間105が形成されていることから、軸線方向で、空間105を形成している部位150aにおいて第2固定ガイド270と衝突する場合には、該部位150aが空間105に入り込むように撓むので、衝突時の衝撃が緩和される。
【0057】
次に、前述の第1実施例の作用および効果について説明する。
第1,第2チェーン伝動機構10,20を備えるチェーン伝動装置1において、仮想平面P1と交わる位置で走行する第1伝動チェーン13を案内する第1可動ガイド100は、第1伝動チェーン13とは別の伝動チェーンである第2伝動チェーン23を案内すると共に軸線方向で隣接する第2固定ガイド270に近接して、かつ軸線方向から見て第2固定ガイド270と互いに重なり合う重合領域Aが形成される位置に配置されていることにより、第1可動ガイド200は、軸線方向で第2固定ガイド270に近接して配置されるので、共に重合領域Aを形成する第2固定ガイド270に対して、第1伝動チェーン13を、ひいては第1チェーン伝動機構10を軸線方向でコンパクトに配置することができる。
【0058】
第1可動ガイド100は、チェーン走行面131と軸線方向で第2固定ガイド270と対向する対向面111を有するガイド本体110と、重合領域Aにおいて軸線方向で第2固定ガイド270に向かって突出して対向面111に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部150とを有し、チェーン伝動装置1の作動時に、第2固定ガイド270との間で仮想平面P1(または、仮想平面P2)に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、突起部150にて第2固定ガイド270に最初に接触する。
この構成により、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との間で相対的な傾斜が生じる傾斜状態で、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270とが接触するときに、第1可動ガイド100においては、合成樹脂製の突起部150のみが第2固定ガイド270のベース271と接触するので、ガイド本体110のベース120と第2固定ガイド270のベース271が最初に接触する場合に比べて、突起部150が合成樹脂に基づく弾性を有すること、および、ウェブ123との間に形成される空間105により突起部150に可撓性が付与されることに基づいて、突起部150が奏する緩衝効果により、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との接触に起因して発生する騒音を抑制することができ、さらに突起部150が合成樹脂であることにより、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との接触に起因する第1可動ガイド100のガイド本体110および第2固定ガイド270の摩耗(例えば、突起部150が設けられていない場合の、ベース120,271同士の接触による各ベース120,271の摩耗や、ベース120とシュー280(または、ベース271とシュー130)との接触によるシュー280(または、シュー130)の摩耗)の発生を抑制または防止することができる。
【0059】
ガイド本体110は、走行している第1伝動チェーン13が摺接するチェーン走行面131を有するシュー130と、シュー130を支持する剛性部としてのベース120とを有し、突起部150とシュー130とは、合成樹脂の一体成形により形成されており、突起部150は、対向面111において、ガイド長手方向に直交する直交方向で、シュー130から、ベース120において直交方向でシュー130とは反対側の端部である反シュー側フランジ122まで延びている突条である。
この構成により、突起部150がシュー130と一体成形されるので、部品点数が削減されて、第1可動ガイド100のコストを削減することができるうえ、突起部150が、直交方向でベース120を横切って、シュー130からシュー側フランジ121を経てベース120の反シュー側フランジ122まで延びているので、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270とが直交方向で相対的に変位するときにも、ガイド本体110と第2固定ガイド270との接触を防止することができる。
【0060】
さらに、突起部150がシュー130から反シュー側フランジ122まで延びているので、第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との接触時に、第1可動ガイド100のシュー側フランジ121、シュー130または反シュー側フランジ122(または、第2固定ガイド200のシュー側フランジ272、シュー280または反シュー側フランジ273)が、第2固定ガイド271の空間275(または、第1可動ガイド100の空間105)に入り込んで、第1可動ガイド100が第2固定ガイド270に引っ掛かることを防止することができる。
【0061】
突起部150が、軸線方向に弧状に隆起していると共に、対向面111において直交方向に延びている突条であることにより、仮想平面P1に関して、直交方向回りに第1可動ガイド100が傾斜する第2傾斜状態となる場合にも、第2固定ガイド270が滑らかな弧状部分で突起部150と接触するので、直交方向回りでの第1可動ガイド100の傾斜角θに依存することを減少させながら、接触に起因する騒音および摩耗の抑制が可能になり、また突起部150に発生する摩耗も抑制することができる。
【0062】
突起部150には、チェーン走行面131に連通してチェーン走行面131に付着している潤滑油を導く油溝154が設けられていることにより、チェーン走行面131上から油溝154を通じて突起部150に導かれた潤滑油により、第2固定ガイド270における突起部150との接触部での摩耗を抑制することができ、さらに突起部150での摩耗を抑制することができる。
【0063】
次に、第2〜第4実施例における第1可動ガイド100を、図7〜図12を参照して説明する。
第2〜第4実施例は、第1実施例に対して、部分的に共通の構造を有することから、同一の部分または対応する部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、前記実施例の部材等と同一の部材等または対応する部材等については、必要に応じて同一の符号を使用することにより、その詳細な説明を省略する。
【0064】
図7,図8を参照すると、本発明の第2実施例において、第1可動ガイド100の突起部150は、中空部158を形成している部分筒状壁157、本実施例では半円形状の部分円筒状壁である。
この構成により、中空部158が形成されていることで突起部150の剛性が低下して、突起部150での弾性変形による可撓性が高められる。この結果、第2固定ガイド270との衝突時に、図8に二点鎖線で示されるように、突起部150が撓み易くなるので、突起部150と第2固定ガイド270との衝突による衝撃が緩和されて、衝突に起因する騒音を低減することができる。
【0065】
図9,図10を参照すると、本発明の第3実施例において、第1可動ガイド100の突起部150は、軸線方向に突出すると共に、突出するにつれて、先端部161a,162a同士が各ガイド長手方向で互いに近づくように湾曲する1対の弧状壁161,162であり、各弧状壁161,162が襞状に形成されている。そして、先端部161a,162a同士の間には、ガイド長手方向での隙間Gが形成され、1対の弧状壁161,162により空間163が形成されている。
なお、別の例として、1対の弧状壁161,162において、一方の弧状壁の先端部(例えば、弧状壁161の先端部161a)が、他方の弧状壁の先端部(例えば、弧状壁162の先端部162a)以外の部分で該他方の弧状壁との間に隙間を形成しているか、または前記他方の弧状壁に接触していてもよい。
【0066】
この構成により、突起部150がガイド長手方向で分かれている1対の弧状壁161,162であることで、第1,第2実施例の突起部150を構成する柱状形状部151,部分筒状壁157に比べて、突起部150の剛性が低下して、第2固定ガイド270との衝突による突起部150の弾性変形による可撓性が高められる。この結果、第2固定ガイド270との衝突時に、図10に二点鎖線で示されるように、突起部150が撓み易くなるので、突起部150による緩衝効果が向上し、突起部150と第2固定ガイド270との衝突時の、突起部150による騒音低減効果を向上させることができる。
【0067】
さらに、第2実施例では、突起部150に中空部158が形成されることにより、また第3実施例では、突起部150に、1対の弧状壁1対の弧状壁161,162に挟まれた空間163が形成されることにより、突起部150に中空部158や空間163が形成されていない場合(例えば第1実施例)に比べて、第1可動ガイド100が軽量化されて、その慣性が減少するので、チェーンテンショナ190による付勢力および第1伝動チェーン13からの反力による移動応答性が向上して、第1伝動チェーン13の張力調整の迅速性を向上させることができる。
【0068】
図11,図12を参照すると、本発明の第4実施例において、第1可動ガイド100の基本的な構造は、突起部150を含めて、第1実施例と同様であるが、パッド140が突起部150に一体成形されている点、および油溝がパッド140まで延びている点で異なる。
具体的には、パッド140は、シュー130および突起部150と、合成樹脂での一体成形により形成されている。そして、突起部150に設けられた油溝154は、油溝154内の潤滑油が当接面141に導かれるように、該当接面141に達している。
そして、チェーン走行面131上の潤滑油を油溝154を通じて当接面141に円滑に導くために、油溝154において、チェーン走行面131に開口する潤滑油導入部である上流端部154aが、当接面141に開口する潤滑油導出部である下流端部154bよりも上方に位置するように、第1可動ガイド100が配置されることが好ましい。
【0069】
この構成により、チェーン走行面131の潤滑油が油溝154を介して当接面141に供給されるので、パッド140の摩耗を抑制することができる。また、プランジャ192とパッド140との当接時に、プランジャ192と当接面141とに挟まれる空気が油溝154を通じて、プランジャ192と当接面141との間から放出されるので、プランジャ192と当接面141とにより空気が圧縮されることが防止されて、プランジャ192および当接面141間からの圧縮空気の流出に起因する騒音が防止される。
また、シュー130、突起部150およびパッド140が、合成樹脂の一体成形により形成されるので、部品点数が削減されて、パッド140を有する第1可動ガイド100のコストを削減することができるうえ、パッド140が合成樹脂であることに基づく緩衝効果により、プランジャ192とパッド140との接触に起因する騒音を抑制することができる。
【0070】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
第1可動ガイド100と第2固定ガイド270との接触時に、最初に突起部150のみが接触し、次いでガイド本体110が接触してもよく、この場合にも、最初に接触するのが突起部150のみであるので、突起部150により接触時の衝撃が緩和されて、騒音およびガイド本体110の摩耗が抑制される。
突起部150は、前記各実施例では、直交方向に平行に延びているが、直交方向に傾斜する方向に平行に延びていることで、直交方向に延びていてもよい。突起部150は、シュー130とは別個の部材により構成されてもよい。
油溝154は、直交方向に延びている複数の溝により構成されてもよく、また設けられていなくてもよい。
突起部は、直交方向または該直交方向に傾斜する方向に並んだ複数の山状の突起により構成されてもよい。突起部を構成する突条は、直交方向で局所的に、またはガイド長手方向で局所的に分断されていてもよい。
【0071】
突起部は、重合領域Aを形成する第1可動ガイド100および第2固定ガイド270において、第1可動ガイド100に設けられる代わりに、第2固定ガイド270に設けられてもよく、また、第1可動ガイド100および第2固定ガイド270の両者に設けられてもよい。そして、後者の場合に、突起部同士が接触してもよいし、突起部が、ガイド本体と当接してもよい。
ここで、第2固定ガイド270のガイド本体は、ベース271およびシュー280により構成される。
【0072】
チェーン伝動装置が備える1つのチェーン伝動機構について、突起部を有する可動ガイドとエンジン本体31とに関して本発明が適用されてもよい。また、チェーン伝動装置が備える2つの伝動チェーン機構について、第1,第2伝動チェーンの配置に応じて、第1,第2可動ガイド同士に関して、または第1固定ガイドと第2可動ガイドとに関して、本発明が適用されてもよい。
第1,第2駆動回転部材は、前記各実施例では同一であったが、別々の回転部材であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
100・・・可動ガイド
110・・・ガイド本体
111・・・対向面
120・・・ベース
130・・・シュー
131・・・チェーン走行面
140・・・パッド
141・・・当接面
150・・・突起部
154・・・油溝
270・・・固定ガイド
271・・・ベース
280・・・シュー
190・・・チェーンテンショナ
P1 ・・・仮想平面
A ・・・重合領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線を中心に回転可能なスプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に備えられて、前記回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する前記伝動チェーンを案内するチェーンガイドであって、前記回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材に近接して、かつ前記軸線方向から見て前記隣接部材と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されているチェーンガイドにおいて、
走行している前記伝動チェーンが摺接するチェーン走行面と前記軸線方向で前記隣接部材と対向する対向面とを有するガイド本体と、前記重合領域において前記軸線方向で前記隣接部材に向かって突出して前記対向面に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部とを有し、
前記チェーン伝動装置の作動時に、前記隣接部材との間で前記仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、前記突起部にて前記隣接部材に最初に接触することを特徴とするチェーンガイド。
【請求項2】
前記ガイド本体が、前記チェーン走行面を有するシューと、前記シューを支持する剛性部としてのベースとを有し、
前記突起部と前記シューとが、合成樹脂の一体成形により形成されており、
前記突起部が、前記対向面において、ガイド長手方向に直交する直交方向で、前記シューから、前記ベースにおいて前記直交方向で前記シューとは反対側の端部まで延びている突条であることを特徴とする請求項1に記載のチェーンガイド。
【請求項3】
前記突起部が、前記軸線方向に弧状に隆起していると共に、前記対向面においてガイド長手方向に直交する直交方向に延びている突条であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチェーンガイド。
【請求項4】
前記突起部には、前記チェーン走行面に連通して前記チェーン走行面に付着している潤滑油を導く油溝が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のチェーンガイド。
【請求項5】
前記ガイド本体が、チェーンテンショナのプランジャが当接する当接面を有するパッドを有し、
前記油溝が、潤滑油が前記当接面に導かれるように、前記当接面に達していることを特徴とする請求項4に記載のチェーンガイド。
【請求項6】
前記突起部が、中空部を形成している部分筒状壁であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のチェーンガイド。
【請求項7】
前記突起部が、ガイド長手方向で離隔する位置から前記軸線方向に突出すると共に、突出するにつれてガイド長手方向で互いに近づくように湾曲する1対の弧状壁であり、
一方の前記弧状壁の先端部が、他方の前記弧状壁との間に隙間を形成しているか、または前記他方の弧状壁に接触していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のチェーンガイド。
【請求項1】
回転軸線を中心に回転可能なスプロケットに巻き掛けられる伝動チェーンを備えるチェーン伝動装置に備えられて、前記回転軸線に直交する仮想平面と交わる位置で走行する前記伝動チェーンを案内するチェーンガイドであって、前記回転軸線に平行な軸線方向で隣接する隣接部材に近接して、かつ前記軸線方向から見て前記隣接部材と互いに重なり合う重合領域が形成される位置に配置されているチェーンガイドにおいて、
走行している前記伝動チェーンが摺接するチェーン走行面と前記軸線方向で前記隣接部材と対向する対向面とを有するガイド本体と、前記重合領域において前記軸線方向で前記隣接部材に向かって突出して前記対向面に設けられていると共に合成樹脂で形成されている突起部とを有し、
前記チェーン伝動装置の作動時に、前記隣接部材との間で前記仮想平面に関して相対的に傾斜する傾斜状態が生じたときに、前記突起部にて前記隣接部材に最初に接触することを特徴とするチェーンガイド。
【請求項2】
前記ガイド本体が、前記チェーン走行面を有するシューと、前記シューを支持する剛性部としてのベースとを有し、
前記突起部と前記シューとが、合成樹脂の一体成形により形成されており、
前記突起部が、前記対向面において、ガイド長手方向に直交する直交方向で、前記シューから、前記ベースにおいて前記直交方向で前記シューとは反対側の端部まで延びている突条であることを特徴とする請求項1に記載のチェーンガイド。
【請求項3】
前記突起部が、前記軸線方向に弧状に隆起していると共に、前記対向面においてガイド長手方向に直交する直交方向に延びている突条であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチェーンガイド。
【請求項4】
前記突起部には、前記チェーン走行面に連通して前記チェーン走行面に付着している潤滑油を導く油溝が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のチェーンガイド。
【請求項5】
前記ガイド本体が、チェーンテンショナのプランジャが当接する当接面を有するパッドを有し、
前記油溝が、潤滑油が前記当接面に導かれるように、前記当接面に達していることを特徴とする請求項4に記載のチェーンガイド。
【請求項6】
前記突起部が、中空部を形成している部分筒状壁であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のチェーンガイド。
【請求項7】
前記突起部が、ガイド長手方向で離隔する位置から前記軸線方向に突出すると共に、突出するにつれてガイド長手方向で互いに近づくように湾曲する1対の弧状壁であり、
一方の前記弧状壁の先端部が、他方の前記弧状壁との間に隙間を形成しているか、または前記他方の弧状壁に接触していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のチェーンガイド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−108612(P2013−108612A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256538(P2011−256538)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]