説明

チップ形電解コンデンサ

【課題】リード線が絶縁性座板の外表面からはみ出すことを防止し、半田付け不良を低減することができるチップ形電解コンデンサを提供する。
【解決手段】一対のリード線11が導出されたコンデンサ本体2と、絶縁性座板3とを備えたチップ形電解コンデンサ1であって、絶縁性座板3には、一対のリード挿通孔21と、一対のリード線11が収納された一対の収納溝22とが設けられており、一対の収納溝22は、各リード挿通孔21から前記絶縁性座板3の第1側面24まで延在するように設けられており、収納溝22の深さは、リード挿通孔21から収納溝22の途中にある最浅位置32までは、リード挿通孔21から離れるに連れて浅くなり、最浅位置32から第1側面24までは、リード挿通孔21から離れるに連れて深くなる構成とすることで、リード線11が絶縁性座板の外表面からはみ出すことを防止したチップ形電解コンデンサを提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に表面実装されて用いられるチップ形電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチップ形電解コンデンサ41は、例えば、図7に示すように、コンデンサ本体43と絶縁性座板44とから構成され、コンデンサ本体43の外部に導出された一対のリード線42を絶縁性座板44に備えられた一対のスリット45に挿通し、さらにこのリード線42を絶縁性座板44に備えられた一対の収納溝46に沿って折り曲げることで、コンデンサ本体43を絶縁性座板44に取り付けている。このようにして、チップ形電解コンデンサ41は基板(図示省略)への表面実装に対応できる形状となっている。
【0003】
ところで、リード線を絶縁性座板の収納溝に沿って折り曲げると、リード線の反発力によって生じるスプリングバック現象により、リード線は折り曲げ前の状態に戻ろうとして、図8(a)に示すように、リード線の先端部が絶縁性座板の外表面から大きくはみ出した状態となることがある。また、折り曲げ方によっては、図8(b)に示すようにリード線の中腹部が絶縁性座板の外表面からはみ出すように曲がり、この膨らみ部分が絶縁性座板の外表面からはみ出した状態となることもある。リード線が絶縁性座板の外表面からはみ出した状態で、このチップ形電解コンデンサを半田付けにより基板に表面実装する場合、チップ形電解コンデンサが傾斜して基板に接合されることや、リード線の一部しか基板と半田付けされないことのために、チップ形電解コンデンサと基板との接着強度が低下するという問題がある。
【0004】
また、従来のチップ形電解コンデンサでは、リード線を絶縁性座板のスリットや収納溝に挿通および収納する場合に、絶縁性座板においてコンデンサ本体が取り付けられた面とスリットの内壁面とを接続する角部や、絶縁性座板においてコンデンサ本体とは反対側にある面と収納溝の内壁面とを接続する角部に、リード線の先端部がぶつかってしまい、その衝撃でリード線がコンデンサ内部に押し込まれ、コンデンサ素子に損傷を与えたり、リード線が擦れてリード線に施しためっきが剥がれ、めっき屑が基板の端子間に付着するなどして短絡を引き起こしてしまう問題がある。
【0005】
特許文献1には、スプリングバック現象を見越して、絶縁性座板に設けられた収納溝の深さを、絶縁性座板に設けられたリード線を挿通するための貫通孔から絶縁性座板の側面方向に離れるにつれて大きくなるようにし、リード線がスプリングバック現象により多少折り曲げ前の状態に戻った場合にも、リード線が収納溝に収まったままとなるようにしたチップ形電解コンデンサが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、絶縁性座板に設けられた収納溝の幅の一部をリード線の幅よりも狭くし、折り曲げたリード線をこの幅の狭い部分に挟み込むようにして収納溝に収納することにより、スプリングバック現象の発生を防止したチップ形電解コンデンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−186518号公報
【特許文献2】特開2001−326148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたチップ形電解コンデンサでは、リード線の先端部が収納溝深くまで沈み込んでしまい、リード線の先端部では半田が濡れ上がらず、半田付け不良が発生してしまう問題がある。また、このチップ形電解コンデンサでは、リード線の中腹部が絶縁性座板の外表面からはみ出すように曲がってしまう問題を解決するには至っていない。
【0009】
また、特許文献2に記載されたチップ形電解コンデンサでは、リード線を収納溝で挟み込んだ場合に、リード線が擦れてリード線に施しためっきが剥がれ、めっき屑が基板の端子間に付着するなどして短絡を引き起こしてしまう問題が発生する可能性がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、リード線が絶縁性座板の外表面からはみ出すことを防止し、半田付け不良を低減することができるチップ形電解コンデンサを提供することである。
【0011】
また、本発明の別の目的は、リード線の先端部が絶縁性座板に設けられた角部にぶつかっても、リード線がコンデンサ内部に押し込まれたり、リード線が擦れてリード線に施しためっきが剥がれたりすることを防止できるチップ形電解コンデンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明のチップ形電解コンデンサは、コンデンサ本体と、前記コンデンサ本体に取り付けられた絶縁性座板とを備えたチップ形電解コンデンサであって、前記コンデンサ本体は、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に接続された一対のリード線と、前記コンデンサ素子を収納するための有底筒状の収納容器と、前記収納容器の開口端を封口すると共に前記一対のリード線が挿通された挿通孔が形成された弾性封口材とを含み、前記絶縁性座板には、一対のリード挿通孔と、前記一対のリード線が収納された一対の収納溝とが設けられており、前記一対のリード挿通孔は、前記絶縁性座板を貫通し、前記一対の収納溝は、前記絶縁性座板において前記コンデンサ本体とは反対側にある面に、各リード挿通孔から前記絶縁性座板の第1側面まで延在するように設けられており、前記収納溝の深さは、前記リード挿通孔から前記収納溝の途中にある最浅位置までは前記リード挿通孔から離れるに連れて浅くなり、前記最浅位置から前記第1側面までは前記リード挿通孔から離れるに連れて深くなっていることを特徴とするものである。
【0013】
この構成により、リード線を収納溝に収納する場合に、少なくとも2回以上に分けて無理なくリード線を折り曲げることができるので、スプリングバック現象を低減させるとともに、リード線の中腹部が絶縁性座板の外表面からはみ出すように曲がってしまうことを防止できる。
【0014】
また、前記リード挿通孔がスリット状のリード挿通孔であり、前記絶縁性座板を貫通しかつ前記絶縁性座板の第2側面まで延在するように設けられていることにより、リード線を挿通できる面積が広くなり、リード線をリード挿通孔に容易に誘い込むことができる。また、第2側面側からリード線を挿通することも可能となる。
【0015】
また、前記収納溝の底面が複数の平面からなり、隣接する前記平面同士が鈍角で接続されていることにより、折り曲げ後のリード線に働く反発力は小さくなり、より効果的にスプリングバック現象を低減できる。
【0016】
また、前記収納溝の底面が1つの曲面からなることによっても、折り曲げ後のリード線に働く反発力は小さくなるため、より効果的にスプリングバック現象を低減することができる。
【0017】
また、前記絶縁性座板において前記コンデンサ本体が取り付けられた面と前記リード挿通孔の内壁面とを接続する角部、および、前記絶縁性座板において前記コンデンサ本体とは反対側にある前記面と前記収納溝の内壁面とを接続する角部の少なくともいずれか一方が面取りされていることにより、リード線の先端部が当該角部にぶつかっても、リード線がコンデンサ内部に押し込まれたり、リード線が擦れてリード線に施しためっきが剥がれたりすることを防止できる。また、コンデンサ本体を絶縁性座板に取り付ける場合に、リード線をリード挿通孔や収納溝により誘い込みやすくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、収納溝の深さを、絶縁性座板に備えられたリード挿通孔から収納溝の途中にある最浅位置までは、このリード挿通孔から離れるに連れて浅くし、最浅位置から絶縁性座板の第1側面まではリード挿通孔から離れるに連れて深くすることで、リード線が絶縁性座板の外表面からはみ出すことを防止し、半田付け不良を低減することができるチップ形電解コンデンサを提供できる。
【0019】
また、本発明によれば、絶縁性座板においてコンデンサ本体が取り付けられた面とリード挿通孔の内壁面とを接続する角部や、絶縁性座板においてコンデンサ本体とは反対側にある面と収納溝の内壁面とを接続する角部を面取りすることにより、リード線の先端部が当該角部にぶつかっても、リード線がコンデンサ内部に押し込まれたり、リード線が擦れてリード線に施しためっきが剥がれたりすることを防止できるチップ形電解コンデンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は、第1の実施形態のチップ形電解コンデンサを示す半透視図、(b)は、(a)の縦断正面図
【図2】(a)は、第1の実施形態の絶縁性座板をコンデンサ本体が取り付けられる面側から見た斜視図、(b)は、(a)の絶縁性座板をコンデンサ本体が取り付けられる面とは反対側から見た斜視図
【図3】(a)は、図2(a)のA−A線に沿った要部断面図、(b)は、図2(b)のB−B線に沿った要部断面図
【図4】(a)は、リード線を収納溝に沿って折り曲げるときの途中の様子(第1段階曲げ)を示す要部断面図、(b)は、リード線を収納溝に沿って折り曲げた後の様子(第2段階曲げ)を示す要部断面図
【図5】(a)は、リード挿通孔がスリット状のリード挿通孔の場合の絶縁性座板をコンデンサ本体が取り付けられる面側から見た斜視図、(b)は、(a)の絶縁性座板をコンデンサ本体が取り付けられる面とは反対側から見た斜視図
【図6】第2変形例のチップ形電解コンデンサの絶縁性座板の収納溝を示す要部断面図
【図7】従来のチップ形電解コンデンサを示す縦断正面図
【図8】(a)は、従来のチップ形電解コンデンサのリード線のはみ出しの一例を示す要部断面図、(b)は、(a)とは別のはみ出し例を示す要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。図1〜図4は、第1の実施形態を示す。このチップ形電解コンデンサ1は、コンデンサ本体2と絶縁性座板3とから構成される。コンデンサ本体2は、アルミニウム箔等の弁作用金属箔に誘電体皮膜を形成した陽極箔と陰極箔とに、電極取り出し用の一対のリード線11をそれぞれ接続し、セパレータを介して積層し巻回したコンデンサ素子12と、コンデンサ素子12を収納するための有底筒状の収納容器13と、収納容器13の開口端を封口すると共に一対のリード線11が挿通された挿通孔が形成された弾性封口材14とからなり、一対のリード線11は、コンデンサ本体2の外部に導出されている。この一対のリード線11を、絶縁性座板3に備えられたリード挿通孔21に挿通し、さらに絶縁性座板3に備えられた収納溝22に沿って折り曲げることで、コンデンサ本体2を絶縁性座板3に取り付けている。このようにして、チップ形電解コンデンサ1は基板(図示省略)への表面実装に対応できる形状となっている。
【0022】
図2(a)は、絶縁性座板3をコンデンサ本体2が取り付けられる面側から見た斜視図であり、図2(b)は、絶縁性座板3をコンデンサ本体2が取り付けられる面とは反対側の面から見た斜視図である。図2(a)、(b)に示すように、絶縁性座板3は、コンデンサ本体2の側面を支持するための支持壁23を有した板状体形状で、一対のリード挿通孔21と、一対の収納溝22とが設けられている。一対のリード挿通孔21は、絶縁性座板3を貫通し、一対の収納溝22は、絶縁性座板3においてコンデンサ本体2が取り付けられる面とは反対側にある面に、各リード挿通孔21から絶縁性座板3の第1側面24まで延在している。収納溝22は幅の違う2種類の収納溝22a、22bを接続した構成であり、リード挿通孔21から収納溝22の途中まではリード線11の幅とほぼ同じ幅を持つ収納溝22aが設けられ、収納溝22の途中から第1側面24まではリード線11の幅よりも大きい幅を持つ収納溝22bが設けられている。リード線11の幅よりも大きい幅を持つ収納溝22bが絶縁性座板3に備えられているので、チップ形電解コンデンサ1を半田付けにて基板に取り付ける際に、半田の面積が広がり、接着強度を高めることができる。
【0023】
図3(a)、(b)はそれぞれ、図2(a)のA−A方向から見た要部断面図、図2(b)のB−B方向から見た要部断面図であり、図2、図3に示すように、絶縁性座板3においてコンデンサ本体2が取り付けられる面とリード挿通孔21の内壁面とを接続する角部、および、コンデンサ本体2とは反対側にある面と収納溝22の内壁面とを接続する角部にはそれぞれ面取り25、26を施している。また、収納溝22は幅の違う2種類の収納溝22a、22bを接続した構成であるが、面取り26は、コンデンサ本体2とは反対側にある面と収納溝22aの内壁面とを接続する角部のみに施している。すなわち、収納溝1つにつき2ヵ所、一対の収納溝では4ヵ所を面取りしている。
【0024】
面取り25、26を施すことにより、リード線11をリード挿通孔21に挿通する場合や収納溝22に収納する場合に、リード線11の先端部が面取り25、26を施した角部にぶつかっても、その衝撃でリード線11がコンデンサ内部に押し込まれたり、リード線11が擦れてリード線11に施しためっきが剥がれたりすることを防止できる。また、面取り25、26を施すことにより、リード線11をリード挿通孔21および収納溝22に誘い込みやすくすることができる。また、面取りの大きさは適宜選択でき、面取りではなくR形状としてもよい。
【0025】
図3(a)に示すように、収納溝22の底面31は、2つの底面31a、31b同士が接続して形成される。底面31a、31bは、収納溝22の深さが、リード挿通孔21から収納溝22の途中までは、リード挿通孔21から離れるに連れて浅くなり、収納溝22の途中から第1側面24までは、リード挿通孔21から離れるに連れて深くなるように配置され、底面31a、31bとが接続する境界部は収納溝22の深さの最浅位置32となる。このように収納溝22の底面31が形成されているので、リード線11を収納溝22に沿って折り曲げる場合には、リード線11は、まず、図4(a)に示すように、リード挿通孔の内壁面と収納溝22の底面31aとを接続する角部Aを支点として、底面31aに沿って折り曲げられる(第1段階曲げ)。続いてリード線11は、図4(b)に示すように、最浅位置32を支点(図中、支点B)として、底面31bに沿って折り曲げられる(第2段階曲げ)。
【0026】
リード挿通孔21から離れるに連れて収納溝22の深さが浅くなる第1段階曲げでは、リード線11を折り曲げるときの折り曲げ角度αは90°未満と小さい角度になる。したがって、無理なくリード線11を折り曲げることができるので、折り曲げ後のリード線11に働く反発力は小さくなり、スプリングバック現象を低減できる。また、リード線11の中腹部が絶縁性座板3の外表面からはみ出すように折り曲がることもない。
【0027】
リード挿通孔21から離れるに連れて収納溝22の深さが深くなる第2段階曲げでは、リード線11を収納溝22に収納することができ、スプリングバック現象によってリード線11が折り曲げ前の状態に戻ろうとしても、絶縁性座板3の外表面からリード線11がはみ出すことはない。
【0028】
上述のように2段階で、リード線11を折り曲げているので、リード線11の折り曲げ全体を通しても、スプリングバック現象を低減できるとともに、リード線11の中腹部が絶縁性座板3の外表面からはみ出すように曲がってしまうことを防止できる。
【0029】
また、2つの底面31a、31bの接続角度βを鈍角とすれば、第2段階曲げの場合に、リード線11を折り曲げるときの折り曲げ角度γは90°未満と小さい角度となる。したがって、無理なくリード線11を折り曲げることができるので、折り曲げ後のリード線11に働く反発力は小さく、スプリングバック現象の程度を低減させることができる。また、リード線11の中腹部が絶縁性座板3の外表面からはみ出すように折り曲がることもない。
【0030】
さらに、2つの底面31a、31bの接続角度βを120度以上180未満とすることが好ましい。接続角度βを120度以上180未満とすることで、リード線11をより小さい角度で折り曲げることができ、より効果的にスプリングバック現象を低減できるとともに、リード線11の中腹部が絶縁性座板3の外表面からはみ出すように曲がってしまうことを防止できる。
【0031】
なお、最浅位置32は、収納溝22の長さ方向(収納溝の延伸方向)中央よりリード挿通孔21側にあることが好ましい。最浅位置32をリード挿通孔21側に設けることで、より効果的にスプリングバック現象を低減することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、収納溝22の底面31は2つの底面から形成されているが、底面の個数はこれに限定されることはなく、収納溝22の深さが、リード挿通孔21から収納溝22の途中にある最浅位置32までは、リード挿通孔21から離れるに連れて浅くなり、最浅位置32から第1側面24までは、リード挿通孔21から離れるに連れて深くなっている構成であれば、底面の個数は自由に設定できる。また、最浅位置32が連続して続くように底面が配置されていてもよい。
【0033】
また、リード挿通孔は、スリット状のリード挿通孔(以下、スリット51と記載する。)であってもよい。図5(a)は、リード挿通孔がスリット状のリード挿通孔である場合の、絶縁性座板3をコンデンサ本体2が取り付けられる面側から見た斜視図であり、図5(b)は、(a)の絶縁性座板3をコンデンサ本体2が取り付けられる面とは反対側の面から見た斜視図である。一対のスリット51は、絶縁性座板3を貫通し、かつ絶縁性座板3の第2側面52まで延在している。このように、スリット51を第2側面52まで延在させることで、リード線11を挿通できる面積が、リード挿通孔21の場合に比べて広くなり、リード線11をスリット51に容易に誘い込むことができる。また、第2側面52側からリード線11を挿通することも可能となる。また、絶縁性座板3においてコンデンサ本体2が取り付けられる面とスリット51の内壁面とを接続する角部には面取り53を施している。スリット51は3つの内面壁を有するので、絶縁性座板3においてコンデンサ本体2が取り付けられる面とスリット51の内壁面とを接続する角部はスリット1つにつき3ヵ所、つまり一対のスリットでは6ヵ所あり、その全てに面取り53を施している。
【0034】
(変形例)
図6は、絶縁性座板の収納溝の変形例を示す要部断面図であり、収納溝22の底面31が1つの曲線33で形成されている。収納溝22の深さは、第1実施形態と同様、収納溝22の深さが、リード挿通孔21から収納溝22の途中の最浅位置32までは、リード挿通孔21から離れるに連れて浅くなり、最浅位置32から第1側面24までは、リード挿通孔21から離れるに連れて深くなるように形成されている。変形例では、曲面33は円弧としているが、半楕円など楕円の一部分であっても良い。このように収納溝22の底面31が1つの曲線33で形成されているので、無理なくリード線11を折り曲げることができ、スプリングバック現象を低減できる。また、リード線11の中腹部が絶縁性座板3の外表面からはみ出すように折り曲がることもない。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【0036】
上述した各実施形態では、絶縁性座板においてコンデンサ本体が取り付けられた面と、リード挿通孔の内壁面とを接続する角部や、絶縁性座板においてコンデンサ本体とは反対側にある面と収納溝の内壁面とを接続する角部に面取りを実施しているが、面取りがなくとも、スプリングバック現象やリード線の中腹部が絶縁性座板の外表面からはみ出すように折り曲がることはなく、リード線が絶縁性座板の外表面からはみ出すことを防止できる。
【0037】
また、上述した各実施形態では、収納溝の底面の全域がリード線と接触しているが、一部であるならば、収納溝の底面とリード線が離れていてもよい。
【0038】
また、収納溝の底面がどんな形状であっても、絶縁性座板においてコンデンサ本体が取り付けられた面と、リード挿通孔の内壁面とを接続する角部や、絶縁性座板においてコンデンサ本体とは反対側にある面と収納溝の内壁面とを接続する角部に面取りを実施していれば、リード線がコンデンサ内部に押し込まれたり、リード線が擦れてリード線に施しためっきが剥がれたりすることを防止できる。
【0039】
上述した各実施形態では、絶縁性座板を、加工が容易で安価という利点から樹脂で形成したが、表面を絶縁加工した金属や硝子、セラミックスなどその他の材質で形成したものであっても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 チップ形電解コンデンサ
2 コンデンサ本体
3 絶縁性座板
11 リード線
12 コンデンサ素子
13 収納容器
14 弾性封口材
21 リード挿通孔
22 収納溝
23 支持壁
24 第1側面
25、26 面取り
31 底面
32 最浅位置
33 曲面
41 チップ形電解コンデンサ
42 リード線
43 コンデンサ本体
44 絶縁性座板
45 スリット
46 収納溝
51 スリット
52 第2側面
53 面取り
54 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ本体と、前記コンデンサ本体に取り付けられた絶縁性座板とを備えたチップ形電解コンデンサであって、
前記コンデンサ本体は、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に接続された一対のリード線と、前記コンデンサ素子を収納するための有底筒状の収納容器と、前記収納容器の開口端を封口すると共に前記一対のリード線が挿通された挿通孔が形成された弾性封口材とを含み、
前記絶縁性座板には、一対のリード挿通孔と、前記一対のリード線が収納された一対の収納溝とが設けられており、前記一対のリード挿通孔は、前記絶縁性座板を貫通し、前記一対の収納溝は、前記絶縁性座板において前記コンデンサ本体とは反対側にある面に、各リード挿通孔から前記絶縁性座板の第1側面まで延在するように設けられており、
前記収納溝の深さは、前記リード挿通孔から前記収納溝の途中にある最浅位置までは前記リード挿通孔から離れるに連れて浅くなり、前記最浅位置から前記第1側面までは前記リード挿通孔から離れるに連れて深くなっていることを特徴とするチップ形電解コンデンサ。
【請求項2】
前記リード挿通孔がスリット状のリード挿通孔であり、前記絶縁性座板を貫通しかつ前記絶縁性座板の第2側面まで延在するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のチップ形電解コンデンサ。
【請求項3】
前記収納溝の底面が複数の平面からなり、隣接する前記平面同士が鈍角で接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ形電解コンデンサ。
【請求項4】
前記収納溝の底面が1つの曲面からなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ形電解コンデンサ。
【請求項5】
前記絶縁性座板において前記コンデンサ本体が取り付けられた面と前記リード挿通孔の内壁面とを接続する角部、および、前記絶縁性座板において前記コンデンサ本体とは反対側にある前記面と前記収納溝の内壁面とを接続する角部の少なくともいずれか一方が面取りされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のチップ形電解コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−244081(P2012−244081A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115376(P2011−115376)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)