チャイルドシート付きシート
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、チャイルドシート付きシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のチャイルドシート付きシートとして、図16〜図18に示すものが知られている。
リアシート1のシートバック2は左右に大人が座れるように形成され、中央にはチャイルドシート3が配設されている。チャイルドシート3は図17に示すように下端部分を支点として手前側に引き倒すことができ、この状態で肘掛けになる。そして、さらに引き倒した部分の上半分だけをシートバック2の側に引き起こすことにより、図18に示すように子供が座るのに適切な椅子の形状になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のチャイルドシート付きシートにおいては、チャイルドシートの位置が常にシートバック全体の中央に位置するため、子供は窓の外の景色を見づらく、自動車に乗る楽しみが低減してしまうという課題があった。また、チャイルドシートを使用するときには左右の大人のスペースに割り込むので、子供一人と大人一人が座るときでも大人のスペースが狭くなってしまうという課題もあった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、子供が車両に乗る楽しみを向上させ、大人のスペースの広くすることが可能なチャイルドシート付きシートの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、シートバックの前面側がシートクッションの上方に引き起こされてチャイルドシートを形成するチャイルドシート付きシートであって、車幅方向にレールを配設し、シートバックを車幅方向に分割して分割シートとするとともに当該分割シートを上記レールに対して脱着可能とし、必要な箇所にチャイルドシートを備えた分割シートを取り付けて構成してある。
【0006】
【作用】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、車幅方向にレールを配設してあり、車幅方向に分割された分割シートがそれぞれレールに対して脱着可能であり、左右の配置を組み合わせれば、チャイルドシートを備えた分割シートを左右や中央などの必要な箇所に配置することができる。
【0008】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、チャイルドシートの位置を左右にわたって変更することができるので、窓の側にしたり中央にしたりして子供の車両に乗る楽しみを増加させることが可能なチャイルドシート付きシートを提供することができる。このとき、子供一人と大人一人であれば子供の位置が左右にずれることにより、大人のスペースが広くなって乗り心地もよくなる。
また、シートバックが分割されて組み合わせが任意となるので、左右の位置をずらすだけでなく、必要に応じてチャイルドシートを備えた分割シートを増やせば子供を二人や三人といったように沢山乗せることもできる。
【0010】
【実施例】
以下、図面にもとづいて本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の一実施例にかかるチャイルドシート付きシートの斜視図である。
図において、リアシート10は、一体構造のシートクッション20と、シートバック30とから構成されている。シートバックは30は左右両側に固定されるサイドシートバック31,31にて両者間に車幅方向に配向した二本の円筒状の支持レール32,32を支持しており、この支持レール32,32にて両サイドシートバック31,31の間にメインシートバック33,33と中央のセンターシートバック40を脱着可能に支持している。
【0011】
図2はセンターシートバック40を支持レール32,32から取り外した状態を斜視図により示しており、図3は断面図により示している。
センターシートバック40は、金属パイプを円環状に屈曲したシートフレーム41を内部に備え、その後方側に脱着機構42を備えている。脱着機構42は上端をセンターシートバック40の上面より突出させた状態で上下方向に支持された脱着レバー43を円筒状のスリーブ44内に保持しており、当該脱着レバー43は下端側に形成したフランジ43aと同スリーブ44の内面に形成したスロート状の受け部44aとの間にコイルスプリング45を収容して常に下方に付勢されている。センターシートバック40の背面には上記支持レール32,32を収容可能な凹部46,46を背面側に向けて開口して形成してあり、上記脱着レバー43はそれぞれ凹部46,46の上面に向けて突出するとともに先端位置で当該凹部46,46に向けて突出する係合爪43c,43cを形成した係合アーム43b,43bを備えており、コイルスプリング45に抗して脱着レバー43を引き上げたときに同係合詰め43c,43cは凹部46,46の上方へと退避する。そして、支持レール32の上面には当該係合爪43c,43cが進入して係合可能な係合孔32aがいくつか形成されている。
【0012】
一方、シートフレーム41の周囲には硬質ウレタンパッド47を備えてセンターシートバック40を形成してあり、前方側には上端から下方に向けて凹部48を形成し、この凹部48内にチャイルドシート50を配設している。チャイルドシート50は板状のチャイルドシートフレーム51の下端にてヒンジ機構52を介して凹部48の下端に保持され、当該ヒンジ機構52を支点として回動することにより、凹部48内に収容された収容状態と当該凹部48から引き出された使用状態との間で移動することができる。なお、ヒンジ機構52はチャイルドシートフレーム51を引き出したときに先端が水平以下に回転しないように互いに当接する突起52a,52bを備えている。
【0013】
チャイルドシートフレーム51の幅は概ね凹部48の幅と一致しているが、長さは凹部48の長さよりも短く、凹部48の上方の空いている空間には軟質ウレタンパッドからなるヘッドレスト53を配設している。そして、これらのセンターシートバック40の全周とチャイルドシートフレーム51の全周に表皮パッド49aを被覆するとともに、外周を表皮49bにて被覆している。なお、チャイルドシート50においては上端から表皮49bの一部を手前側に引き出してツマミ54を形成している。
メインシートバック33も、シートフレームと脱着機構を備えており、その周囲に硬質ウレタンパッドを被覆して全体を形成するとともに、その周囲に表皮パッドと表皮を被覆して構成されている。そして、脱着機構の脱着レバー33aの上端が上面より突出している。
【0014】
次に、上記構成からなる本実施例の動作を説明する。
一般的には、センターシートバック40は中央に配設され、図4に示すように、ツマミ54を把持してチャイルドシートフレーム51の上端を手前側に引き出すことにより、チャイルドシート50が形成される。
このチャイルドシート50を例えば右側に移動させたいときには、次のようにする。まず、図5に示すように、チャイルドシートフレーム51を凹部48内に収容し、脱着レバー43,43を上方に引き上げて係合爪43cと支持レール32の係合孔32aとの係合を解除する。そして、図6に示すようにしてセンターシートバック40を手前側に引き出すことにより、支持レール32,32から取り外す。
【0015】
次に、右側のメインシートバック33の脱着レバー33aを上方に引き上げ、支持レール32,32との係合を解除してから左側のメインシートバック33の方向へスライドさせる。すると、図7に示すように、右側のサイドシートバック31と右側のメインシートバック33との間に隙間が形成されるので、この隙間にセンターシートバック40を押し込む。これにより、背面の凹部46,46内に支持レール32,32が入り込み、その周面で係合爪43c,43cを押し上げて係合孔32a,32a内に係合させる。この状態を図8に示す。そして、センターシートバック40が完全に保持された状態でツマミ54を持ってチャイルドシートフレーム51の上端を手前側に引き出せばチャイルドシート50が完成する。
【0016】
同様の手順を介して図10に示すように左側のサイドシートバック31と左側のメインシートバック33との間に隙間を形成させ、図11に示すようにこの隙間にセンターシートバック40を挿入することもできる。この状態で図12に示すようにチャイルドシート50を完成させれば、左側に移動させたことになる。このように、シートバック30に車幅方向に配向した支持レール32を配設し、この支持レール32に沿ってチャイルドシート50を備えたセンターバックシート40を移動可能に構成したので、適宜、センターシートバック40を左右に移動させることができ、子供の車両に乗る楽しみを増加させることができる。
【0017】
特に、図9および図12に示すようにセンターシートバック40を左右に移動させたときにはメインシートバック33が左右に並び、大人が一人であればゆったりと座れる。また、センターシートバック40やメインシートバック33を取り外したときに後方のトランクルームを連通するようにしておけばトランクスルーとなり、大きな荷物も収容できる。この場合、取り外すシートによってトランクスルーのバリエーションを増加させることができる。また、センターシートバック40が左右に移動したとき、本来、その場所にはメインシートバック33のためのシートベルトが配設されており、このシートベルトで子供を保持することができる。
【0018】
なお、上述した実施例においては、メインシートバック33も支持レール32から脱着可能に構成しているが、少なくともセンターシートバック40だけを脱着可能とし、メインシートバック33は左右にスライドできるようにしておくだけでもよい。支持レール32については二本使用しているが、一本としたり、さらに増加させたりすることもできる。また、支持レール32の断面形状については円形のみならず、適宜、変更することもできる。脱着機構42については、上下動可能に支持された脱着レバー43を備えて構成しているが、他にもアームを連結して係合爪が支持レール32に対して係合および係合解除可能に構成することができる。
【0019】
なお、図13〜図15は、本発明の技術的範囲には含まれないが、参考例としての他の実施例を示している。上述した実施例においては、センターシートバック40がそのまま左右に移動し、これに伴なって当該センターシートバック40に支持されているチャイルドシート50が左右に移動するというものであった。これに対し、本実施例においては、チャイルドシートだけが左右に移動するようにしている。
リアシートバック100は一体となっており、下端側に車幅方向に配向した支持レール101が内蔵されるとともに、当該支持レール101に沿って前面側に開口する溝状の凹部102が形成されている。チャイルドシートフレーム103は下端を同支持レール101に対して回動可能に支持されており、通常時は、図13に示すように、リアシートバック100の中央に形成された凹部104内に収容可能となっている。
【0020】
チャイルドシートを左右に移動させたい場合、ツマミ105を把持してチャイルドシートフレーム103の上端側を手前に引き出し、図14に示すように下端が溝状の凹部102に入るようにして左右に移動させる。図15は、このようにしてチャイルドシートが左右に移動可能な範囲を示している。
本実施例に示すものでは、チャイルドシートの左右の位置を微妙に調整することができる。このため、大人がそばに寄り添った状態で少しだけチャイルドシートを窓側に寄せたりすることもできる。また、チャイルドシートを簡易なテーブルとして必要な場所に移動させて使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるチャイルドシート付きシートの一部透視斜視図である。
【図2】センターシートバックと支持レールから取り外した状態の斜視図である。
【図3】センターシートバックと支持レールから取り外した状態の断面図である。
【図4】チャイルドシートを中央で使用する状態を示す斜視図である。
【図5】チャイルドシートを中央で収容した状態を示す斜視図である。
【図6】センターシートバックを中央で取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】センターシートバックを右側に移動させる状態を示す斜視図である。
【図8】センターシートバックを右側に移動させた状態を示す斜視図である。
【図9】チャイルドシートを右側で使用する状態を示す斜視図である。
【図10】センターシートバックを左側に移動させる状態を示す斜視図である。
【図11】センターシートバックを左側に移動させた状態を示す斜視図である。
【図12】チャイルドシートを左側で使用する状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかるチャイルドシート付きシートの斜視図である。
【図14】同チャイルドシート付きシートの断面図である。
【図15】チャイルドシートを左右で使用する状態を示す斜視図である。
【図16】従来のチャイルドシート付きシートの斜視図である。
【図17】従来のチャイルドシート付きシートを使用する過程を示す斜視図である。
【図18】従来のチャイルドシート付きシートの使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10…リアシート
30…シートバック
32…支持レール
32a…係合孔
33…メインシートバック
40…センターシートバック
50…チャイルドシート
100…リアシートバック
101…支持レール
102…凹部
103…チャイルドシートフレーム
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、チャイルドシート付きシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のチャイルドシート付きシートとして、図16〜図18に示すものが知られている。
リアシート1のシートバック2は左右に大人が座れるように形成され、中央にはチャイルドシート3が配設されている。チャイルドシート3は図17に示すように下端部分を支点として手前側に引き倒すことができ、この状態で肘掛けになる。そして、さらに引き倒した部分の上半分だけをシートバック2の側に引き起こすことにより、図18に示すように子供が座るのに適切な椅子の形状になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のチャイルドシート付きシートにおいては、チャイルドシートの位置が常にシートバック全体の中央に位置するため、子供は窓の外の景色を見づらく、自動車に乗る楽しみが低減してしまうという課題があった。また、チャイルドシートを使用するときには左右の大人のスペースに割り込むので、子供一人と大人一人が座るときでも大人のスペースが狭くなってしまうという課題もあった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、子供が車両に乗る楽しみを向上させ、大人のスペースの広くすることが可能なチャイルドシート付きシートの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、シートバックの前面側がシートクッションの上方に引き起こされてチャイルドシートを形成するチャイルドシート付きシートであって、車幅方向にレールを配設し、シートバックを車幅方向に分割して分割シートとするとともに当該分割シートを上記レールに対して脱着可能とし、必要な箇所にチャイルドシートを備えた分割シートを取り付けて構成してある。
【0006】
【作用】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、車幅方向にレールを配設してあり、車幅方向に分割された分割シートがそれぞれレールに対して脱着可能であり、左右の配置を組み合わせれば、チャイルドシートを備えた分割シートを左右や中央などの必要な箇所に配置することができる。
【0008】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、チャイルドシートの位置を左右にわたって変更することができるので、窓の側にしたり中央にしたりして子供の車両に乗る楽しみを増加させることが可能なチャイルドシート付きシートを提供することができる。このとき、子供一人と大人一人であれば子供の位置が左右にずれることにより、大人のスペースが広くなって乗り心地もよくなる。
また、シートバックが分割されて組み合わせが任意となるので、左右の位置をずらすだけでなく、必要に応じてチャイルドシートを備えた分割シートを増やせば子供を二人や三人といったように沢山乗せることもできる。
【0010】
【実施例】
以下、図面にもとづいて本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の一実施例にかかるチャイルドシート付きシートの斜視図である。
図において、リアシート10は、一体構造のシートクッション20と、シートバック30とから構成されている。シートバックは30は左右両側に固定されるサイドシートバック31,31にて両者間に車幅方向に配向した二本の円筒状の支持レール32,32を支持しており、この支持レール32,32にて両サイドシートバック31,31の間にメインシートバック33,33と中央のセンターシートバック40を脱着可能に支持している。
【0011】
図2はセンターシートバック40を支持レール32,32から取り外した状態を斜視図により示しており、図3は断面図により示している。
センターシートバック40は、金属パイプを円環状に屈曲したシートフレーム41を内部に備え、その後方側に脱着機構42を備えている。脱着機構42は上端をセンターシートバック40の上面より突出させた状態で上下方向に支持された脱着レバー43を円筒状のスリーブ44内に保持しており、当該脱着レバー43は下端側に形成したフランジ43aと同スリーブ44の内面に形成したスロート状の受け部44aとの間にコイルスプリング45を収容して常に下方に付勢されている。センターシートバック40の背面には上記支持レール32,32を収容可能な凹部46,46を背面側に向けて開口して形成してあり、上記脱着レバー43はそれぞれ凹部46,46の上面に向けて突出するとともに先端位置で当該凹部46,46に向けて突出する係合爪43c,43cを形成した係合アーム43b,43bを備えており、コイルスプリング45に抗して脱着レバー43を引き上げたときに同係合詰め43c,43cは凹部46,46の上方へと退避する。そして、支持レール32の上面には当該係合爪43c,43cが進入して係合可能な係合孔32aがいくつか形成されている。
【0012】
一方、シートフレーム41の周囲には硬質ウレタンパッド47を備えてセンターシートバック40を形成してあり、前方側には上端から下方に向けて凹部48を形成し、この凹部48内にチャイルドシート50を配設している。チャイルドシート50は板状のチャイルドシートフレーム51の下端にてヒンジ機構52を介して凹部48の下端に保持され、当該ヒンジ機構52を支点として回動することにより、凹部48内に収容された収容状態と当該凹部48から引き出された使用状態との間で移動することができる。なお、ヒンジ機構52はチャイルドシートフレーム51を引き出したときに先端が水平以下に回転しないように互いに当接する突起52a,52bを備えている。
【0013】
チャイルドシートフレーム51の幅は概ね凹部48の幅と一致しているが、長さは凹部48の長さよりも短く、凹部48の上方の空いている空間には軟質ウレタンパッドからなるヘッドレスト53を配設している。そして、これらのセンターシートバック40の全周とチャイルドシートフレーム51の全周に表皮パッド49aを被覆するとともに、外周を表皮49bにて被覆している。なお、チャイルドシート50においては上端から表皮49bの一部を手前側に引き出してツマミ54を形成している。
メインシートバック33も、シートフレームと脱着機構を備えており、その周囲に硬質ウレタンパッドを被覆して全体を形成するとともに、その周囲に表皮パッドと表皮を被覆して構成されている。そして、脱着機構の脱着レバー33aの上端が上面より突出している。
【0014】
次に、上記構成からなる本実施例の動作を説明する。
一般的には、センターシートバック40は中央に配設され、図4に示すように、ツマミ54を把持してチャイルドシートフレーム51の上端を手前側に引き出すことにより、チャイルドシート50が形成される。
このチャイルドシート50を例えば右側に移動させたいときには、次のようにする。まず、図5に示すように、チャイルドシートフレーム51を凹部48内に収容し、脱着レバー43,43を上方に引き上げて係合爪43cと支持レール32の係合孔32aとの係合を解除する。そして、図6に示すようにしてセンターシートバック40を手前側に引き出すことにより、支持レール32,32から取り外す。
【0015】
次に、右側のメインシートバック33の脱着レバー33aを上方に引き上げ、支持レール32,32との係合を解除してから左側のメインシートバック33の方向へスライドさせる。すると、図7に示すように、右側のサイドシートバック31と右側のメインシートバック33との間に隙間が形成されるので、この隙間にセンターシートバック40を押し込む。これにより、背面の凹部46,46内に支持レール32,32が入り込み、その周面で係合爪43c,43cを押し上げて係合孔32a,32a内に係合させる。この状態を図8に示す。そして、センターシートバック40が完全に保持された状態でツマミ54を持ってチャイルドシートフレーム51の上端を手前側に引き出せばチャイルドシート50が完成する。
【0016】
同様の手順を介して図10に示すように左側のサイドシートバック31と左側のメインシートバック33との間に隙間を形成させ、図11に示すようにこの隙間にセンターシートバック40を挿入することもできる。この状態で図12に示すようにチャイルドシート50を完成させれば、左側に移動させたことになる。このように、シートバック30に車幅方向に配向した支持レール32を配設し、この支持レール32に沿ってチャイルドシート50を備えたセンターバックシート40を移動可能に構成したので、適宜、センターシートバック40を左右に移動させることができ、子供の車両に乗る楽しみを増加させることができる。
【0017】
特に、図9および図12に示すようにセンターシートバック40を左右に移動させたときにはメインシートバック33が左右に並び、大人が一人であればゆったりと座れる。また、センターシートバック40やメインシートバック33を取り外したときに後方のトランクルームを連通するようにしておけばトランクスルーとなり、大きな荷物も収容できる。この場合、取り外すシートによってトランクスルーのバリエーションを増加させることができる。また、センターシートバック40が左右に移動したとき、本来、その場所にはメインシートバック33のためのシートベルトが配設されており、このシートベルトで子供を保持することができる。
【0018】
なお、上述した実施例においては、メインシートバック33も支持レール32から脱着可能に構成しているが、少なくともセンターシートバック40だけを脱着可能とし、メインシートバック33は左右にスライドできるようにしておくだけでもよい。支持レール32については二本使用しているが、一本としたり、さらに増加させたりすることもできる。また、支持レール32の断面形状については円形のみならず、適宜、変更することもできる。脱着機構42については、上下動可能に支持された脱着レバー43を備えて構成しているが、他にもアームを連結して係合爪が支持レール32に対して係合および係合解除可能に構成することができる。
【0019】
なお、図13〜図15は、本発明の技術的範囲には含まれないが、参考例としての他の実施例を示している。上述した実施例においては、センターシートバック40がそのまま左右に移動し、これに伴なって当該センターシートバック40に支持されているチャイルドシート50が左右に移動するというものであった。これに対し、本実施例においては、チャイルドシートだけが左右に移動するようにしている。
リアシートバック100は一体となっており、下端側に車幅方向に配向した支持レール101が内蔵されるとともに、当該支持レール101に沿って前面側に開口する溝状の凹部102が形成されている。チャイルドシートフレーム103は下端を同支持レール101に対して回動可能に支持されており、通常時は、図13に示すように、リアシートバック100の中央に形成された凹部104内に収容可能となっている。
【0020】
チャイルドシートを左右に移動させたい場合、ツマミ105を把持してチャイルドシートフレーム103の上端側を手前に引き出し、図14に示すように下端が溝状の凹部102に入るようにして左右に移動させる。図15は、このようにしてチャイルドシートが左右に移動可能な範囲を示している。
本実施例に示すものでは、チャイルドシートの左右の位置を微妙に調整することができる。このため、大人がそばに寄り添った状態で少しだけチャイルドシートを窓側に寄せたりすることもできる。また、チャイルドシートを簡易なテーブルとして必要な場所に移動させて使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるチャイルドシート付きシートの一部透視斜視図である。
【図2】センターシートバックと支持レールから取り外した状態の斜視図である。
【図3】センターシートバックと支持レールから取り外した状態の断面図である。
【図4】チャイルドシートを中央で使用する状態を示す斜視図である。
【図5】チャイルドシートを中央で収容した状態を示す斜視図である。
【図6】センターシートバックを中央で取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】センターシートバックを右側に移動させる状態を示す斜視図である。
【図8】センターシートバックを右側に移動させた状態を示す斜視図である。
【図9】チャイルドシートを右側で使用する状態を示す斜視図である。
【図10】センターシートバックを左側に移動させる状態を示す斜視図である。
【図11】センターシートバックを左側に移動させた状態を示す斜視図である。
【図12】チャイルドシートを左側で使用する状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかるチャイルドシート付きシートの斜視図である。
【図14】同チャイルドシート付きシートの断面図である。
【図15】チャイルドシートを左右で使用する状態を示す斜視図である。
【図16】従来のチャイルドシート付きシートの斜視図である。
【図17】従来のチャイルドシート付きシートを使用する過程を示す斜視図である。
【図18】従来のチャイルドシート付きシートの使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10…リアシート
30…シートバック
32…支持レール
32a…係合孔
33…メインシートバック
40…センターシートバック
50…チャイルドシート
100…リアシートバック
101…支持レール
102…凹部
103…チャイルドシートフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの前面側がシートクッションの上方に引き出されてチャイルドシートを形成するチャイルドシート付きシートであって、
車幅方向にレールを配設し、前記シートバックを車幅方向に分割して分割シートとするとともに当該分割シートを上記レールに対して脱着可能とし、必要な箇所にチャイルドシートを備えた分割シートを取り付けて構成したことを特徴とするチャイルドシート付きシート。
【請求項1】
シートバックの前面側がシートクッションの上方に引き出されてチャイルドシートを形成するチャイルドシート付きシートであって、
車幅方向にレールを配設し、前記シートバックを車幅方向に分割して分割シートとするとともに当該分割シートを上記レールに対して脱着可能とし、必要な箇所にチャイルドシートを備えた分割シートを取り付けて構成したことを特徴とするチャイルドシート付きシート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【特許番号】特許第3572330号(P3572330)
【登録日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【発行日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−82282
【出願日】平成6年3月28日(1994.3.28)
【公開番号】特開平7−266947
【公開日】平成7年10月17日(1995.10.17)
【審査請求日】平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願人】(000101639)アラコ株式会社 (11)
【参考文献】
【文献】特開平06−016079(JP,A)
【文献】実開昭62−066539(JP,U)
【文献】実開昭62−075743(JP,U)
【登録日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【発行日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成6年3月28日(1994.3.28)
【公開番号】特開平7−266947
【公開日】平成7年10月17日(1995.10.17)
【審査請求日】平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願人】(000101639)アラコ株式会社 (11)
【参考文献】
【文献】特開平06−016079(JP,A)
【文献】実開昭62−066539(JP,U)
【文献】実開昭62−075743(JP,U)
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